(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケイ素鋼スラブに対して加熱工程、粗圧延工程及び仕上圧延工程を実施することを含む熱延ケイ素鋼の製造方法であって、
前記加熱工程は、予熱帯、加熱帯及び均熱帯を有する加熱炉内で実施され、
前記予熱帯は下記式(1):
【数1】
(式中、V
Tpは予熱帯での温度上昇率(単位:℃/分)を表し、tは加熱炉内のスラブの総加熱時間t=180〜240分を表し、T
Cはスラブの入炉初期温度(単位:℃)を表す)を満たし、
ケイ素鋼のケイ素含量xが1.5質量%以上、2.1質量%以下であって、前記均熱帯は下記式
(2):
10℃≦T
S≦30℃
(2)
(式中、T
Sは均熱帯での温度上昇量、すなわち、出炉直後のスラブ全体の温度と、加熱帯の終了時のスラブ全体の温度との差(単位:℃)を表す)を満たし、
前記加熱帯での温度上昇量は下記式(3):
加熱帯での温度上昇量={(出炉直後のスラブ全体の温度)−(均熱帯での温度上昇量)}−(予熱帯終了時の温度) (3)
を満たし、
前記予熱帯は、入炉位置から、該入炉位置を起点として炉長の1/6〜1/3離れた位置までの区域を指し、
前記均熱帯は、出炉位置から、該出炉位置を起点として炉長の1/6〜1/3離れた位置までの区域を指し、
前記加熱帯は、前記予熱帯と前記均熱帯との間の部分を指す、
熱延ケイ素鋼の製造方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的課題を鑑みて、本発明者らは多くの試験を繰り返した。その結果、熱延ケイ素鋼の製造方法において、加熱工程を変更することでケイ素鋼のエッジ欠陥発生率を極めて良好に低減できること、及び、粗圧延工程を変更することで該欠陥発生率を更に低減できることを見出した。このようにして本発明者らは本発明を完成させた。
【0008】
具体的に、本発明は熱延ケイ素鋼の製造方法を提供することを目的とする。該方法によれば、加熱工程及び粗圧延工程を変更することでケイ素鋼のエッジ欠陥を改善できるとともに、表面品質の高い熱延ケイ素鋼を製造できる。
【0009】
すなわち、本発明の技術的解決手段は以下の通りである。
【0010】
(1)ケイ素鋼スラブに対して加熱工程、粗圧延工程及び仕上圧延工程を実施することを含む熱延ケイ素鋼の製造方法であって、上記加熱工程は、予熱帯、加熱帯及び均熱帯を有する加熱炉内で実施され、
上記予熱帯は下記式(1):
【0011】
【数1】
【0012】
(式中、V
Tpは予熱帯での温度上昇率(単位:℃/分)を表し、tは加熱炉内のスラブの総加熱時間t=180〜240分を表し、T
Cはスラブの入炉初期温度(単位:℃)を表す)を満たし、
上記均熱帯は下記式(2−1)又は(2−2):
ケイ素鋼のケイ素含量が1.5重量%以上の場合:−10℃≦T
S≦30℃ (2−1)
ケイ素鋼のケイ素含量が1.5重量%未満の場合:10℃≦T
S≦80℃ (2−2)
(式中、T
Sは均熱帯での温度上昇量、すなわち、出炉直後のスラブ全体の温度と、加熱帯の終了時のスラブ全体の温度との差(単位:℃)を表す)を満たし、
上記加熱帯での温度上昇量は下記式(3):
加熱帯での温度上昇量={(出炉直後のスラブ全体の温度)−(均熱帯での温度上昇量)}−(予熱帯終了時の温度) (3)
を満たし、
上記予熱帯は、入炉位置から、該入炉位置を起点として炉長の1/6〜1/3離れた位置までの区域を指し、
上記均熱帯は、出炉位置から、該出炉位置を起点として炉長の1/6〜1/3離れた位置までの区域を指し、
上記加熱帯は、上記予熱帯と上記均熱帯との間の部分を指す、
熱延ケイ素鋼の製造方法。
【0013】
(2)上記粗圧延工程において垂直ロールによる幅圧下を1〜6パス行う、(1)に記載の熱延ケイ素鋼の製造方法。
【0014】
(3)上記垂直ロールによる幅圧下1回当たりの圧下量が10〜40cmである、(2)に記載の熱延ケイ素鋼の製造方法。
【0015】
(4)上記粗圧延において水平圧下を3〜8パス行い、累積圧下率が70〜90%である、(2)に記載の熱延ケイ素鋼の製造方法。
【0016】
(5)スラブ全体を出炉した直後の時点から、粗圧延の最終パスが完了する時点までの時間が360秒以内である、(2)に記載の熱延ケイ素鋼の製造方法。
【0017】
(6)上記粗圧延工程においてスラブサイジングプレスを使用し、その幅圧下量が10〜180cmの範囲である、(2)に記載の熱延ケイ素鋼の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る熱延ケイ素鋼の製造方法によれば、熱延ケイ素鋼の製造におけるエッジ欠陥発生率を低減できるので、表面品質の高い熱延ケイ素鋼を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
熱延ケイ素鋼の製造方法は、主に、ケイ素鋼スラブに対して加熱工程、粗圧延工程及び仕上圧延工程を実施することを含んでおり、必要に応じて巻き取り工程を更に含んでもよい。巻き取り工程によって、熱延ケイ素鋼を巻き取ってケイ素鋼コイル、すなわちケイ素鋼ホットコイルとすることができる。
【0021】
本発明者らは、実際の製造に基づいて温度測定、観察及びシミュレーション計算を実施し、以下の結論に達した。熱延ケイ素鋼の場合、エッジ欠陥は、粗圧延の水平圧延及び垂直ロール圧延においてスラブ側面の上下エッジ部がそれぞれ上下面側に回り込むことを主な原因として発生する(
図1参照)。エッジ部が表面側に回り込んだ後の発生メカニズムは、鋼種に応じて4種類考えられる。
【0022】
原因(1):熱伝導率が低く塑性に劣る鋼種の場合
スラブエッジは、空冷の影響を最も強く受けるため、最も温度が低く、圧延されてケイ素鋼の表面側に回り込んで欠陥を形成する。エッジの温度が低いため、回り込んだ部分と周辺組織は変形抵抗が一致せず、したがって圧延延展時にクラックが発生し、さらにその後の圧延工程では溶接不良によって圧延方向に欠陥が形成される。
【0023】
原因(2):γ−α相変態温度が比較的高い鋼種の場合
スラブエッジ部の金属が粗圧延時に二相域となるが、フェライトの変形応力はオーステナイト相の1/4と低く、フェライト相に変形が集中することから、その後の圧延工程において局所変形が増加しやすく、フェライト相が最終的には破断して欠陥が形成される。
【0024】
原因(3):焼け過ぎとなりやすい鋼種の場合
スラブのエッジ及び側面における焼け過ぎによる欠陥が鋼板の表面のエッジ部に残存してエッジシーム疵となる。
【0025】
原因(4):鉄皮膜を除去しにくい鋼種の場合
スラブエッジの酸化物層が除去しにくいため、鋼板の表面のエッジ部に残存してエッジシーム疵となる。
【0026】
本発明においては、熱延ケイ素鋼のエッジ品質の改善には加熱工程と粗圧延工程が関与しているだけであり、仕上圧延工程は特に限定されない。従来の熱延ケイ素鋼の製造方法における仕上圧延工程を採用してもよい。
【0027】
本発明における各工程を以下に詳述する。
【0028】
<1.加熱工程>
上記加熱工程は加熱炉内で実施する。加熱炉は特に限定されず、例えば、熱延ケイ素鋼の製造方法で通常使用されるウォーキングビーム式加熱炉を採用してもよい。バーナーの種類は、通常のバーナーでも、リジェネレーティブバーナーでもよい。
【0029】
熱延ケイ素鋼用加熱炉は、一般的に、予熱帯、加熱帯及び均熱帯の3つの炉帯に分けられる。しかし、新型の熱延加熱炉(パルス式加熱炉等)では、そのように厳密な区別を持たないものもあるため、上述した本発明の各炉帯は以下の原則に従って定義する。
・上記予熱帯は、入炉位置から、該入炉位置を起点として炉長の1/6〜1/3離れた位置までの区域を指す。
・上記均熱帯は、出炉位置から、該出炉位置を起点として炉長の1/6〜1/3離れた位置までの区域を指す。
・上記加熱帯は、上記予熱帯と上記均熱帯との間の部分を指す。
【0030】
従来の加熱システムは、予熱帯の温度がより低く、加熱帯の温度がより高く、均熱帯の温度が出炉温度と等しいという加熱特性を有するため、加熱帯でスラブに吸収される熱が継続して芯部へと伝導されることで、スラブの断面温度を均一に分布させるという目的が達成される。しかしながら、このような加熱システムを用いて製造される特定のケイ素鋼では、エッジシーム疵の発生率が非常に高く、酷い場合には80%を超えるため、トリミングして欠陥を除去しなければならない場合が多い。
【0031】
本発明中、加熱工程には以下の要求が課される。
【0032】
(1)均熱帯の温度上昇
図2に示すようなスラブ断面の温度分布を達成することを目的とする。すなわち、スラブの表面温度、特にスラブのエッジ温度をより高くすることを目的とする。この目的は以下に示すように3つある。
【0033】
1.上記原因(1)による欠陥の除去
スラブエッジ部の温度がより高いと、粗圧延における成形性が向上し、回り込んだエッジとその周辺組織との展延性の差が小さくなり、欠陥の程度が低減したり、欠陥の発生が回避されたりする。
【0034】
2.上記原因(2)による欠陥の除去
加熱工程においてスラブエッジ部の温度がより高くなり、粗圧延工程において相変態点以上の温度となる(又は粗圧延の最終パス時に相変態が起こる)ことから、相変態による欠陥が避けられる。
【0035】
3.粗圧延において表面が水平方向に大きく延展されることによる、欠陥とエッジ部との距離の短縮
上下表面は温度が高いため変形抵抗がより低いので、圧延時により大きく延展され、回り込んだエッジ部から表面までのマージンが短縮される。実際に製造を行ってこの結果を検証した。
図3は、加熱工程を調整して得られた、粗圧延後の凹状側面を有する中間スラブを表す。
【0036】
したがって、本発明において均熱帯は下記式(2−1)又は(2−2):
ケイ素鋼のケイ素含量が1.5重量%以上の場合:−10℃≦T
S≦30℃ (2−1)
ケイ素鋼のケイ素含量が1.5重量%未満の場合:10℃≦T
S≦80℃ (2−2)
(式中、T
Sは均熱帯での温度上昇量、すなわち、出炉時のスラブ全体の温度と、加熱帯の終了時のスラブ全体の温度との差(単位:℃)を表す)を満たす。
【0037】
均熱帯の温度を上昇させることで、上記原因(1)及び原因(2)による欠陥を除去できる。
【0038】
(2)予熱帯での温度上昇
本発明中、予熱帯では温度を高くする必要がある。これは、その後の加熱帯で温度が低下するからである。このように、スラブを炉内に保持する時間を延長することなく同じ生産ペースを保つためには、他の炉帯の加熱温度を高くして、スラブの熱吸収に対する加熱帯での温度低下の影響を相殺しなければならない。
【0041】
(式中、V
Tpは予熱帯での温度上昇率(単位:℃/分)を表し、tは加熱炉内のスラブの総加熱時間t=180〜240分を表し、T
Cはスラブの入炉初期温度(単位:℃)を表す)を満たす。
【0042】
(3)加熱帯での温度低下
加熱帯の温度を低下させることで、スラブエッジ部の焼け過ぎを防止でき、上記原因(3)による線状欠陥を避けることができる。一方、加熱温度が高いと酸化過程が促進され、さらに温度上昇によって酸化物の成分が変性するため、出炉時に層状の鉄皮膜が形成されやすく、該皮膜を除去するのが困難である。したがって、加熱帯での温度を低下させることで、上記原因(4)によるエッジシーム疵も防止できる。
【0043】
だが実際のところは、加熱帯において炉内保持時間が異なっていても、出炉温度が異なっていても、炉内気体温度の設定に特に要求が課されることはなく、予熱帯の温度及び均熱帯での温度上昇量に基づいて決定できる。
【0044】
この方法では予熱帯及び均熱帯での加熱方法が限定されるため、加熱帯の温度は実際の製造に応じて決定される。具体的には、加熱帯でのスラブの温度上昇量は下記式(3):
加熱帯でのスラブの温度上昇量={(出炉温度)−(均熱帯での温度上昇量)}−(予熱帯終了時の温度) (3)
(式中、出炉温度は、出炉直後のスラブ全体の温度、すなわち、スラブの目標加熱温度を表し、均熱帯での温度上昇量は、上述の通り、出炉直後のスラブ全体の温度と、加熱帯の終了時のスラブ全体の温度との差(単位:℃)を表し、予熱帯終了時の温度は、予熱帯から出た直後のスラブ全体の温度を表す)を満たす。
【0045】
加熱帯における炉内気体温度は、上で算出される加熱帯での温度上昇量に基づき、実際の生産ペース(炉内のスラブ前進速度)を加味して決定される。
【0046】
<2.粗圧延工程>
本発明中、粗圧延工程における各用語は以下の通り定義される。
【0047】
「幅圧下量」は、スラブが幅方向に受ける変形力による実際の幅減少量を意味する。ここでの変形力は、垂直ロール又はスラブサイジングプレスによるものであってもよい。
【0048】
「垂直ロールによる幅圧下」は、垂直ロールによるスラブの実際の圧下量、すなわち垂直ロール圧延を施した後のスラブの幅減少量を意味する。
【0049】
「1回当たりの圧下量」は、垂直ロール圧延1回当たりのスラブの幅減少量を意味する。
【0050】
「水平圧下」は、水平ロールの圧力を受けて生じるスラブの変形を意味する。
【0051】
「累積圧下率」は、圧延開始時のスラブの入側厚さに対する圧延終了時のスラブの出側厚さの比(%)を意味する。
【0052】
「SSP幅圧下量」は、SSPによる圧下後のスラブの幅減少量を意味する。
【0053】
本発明中、粗圧延工程においては、既存の熱延ケイ素鋼の製造方法で通常使用される粗圧延装置を採用してもよい。粗圧延装置としては、2ロール圧延機又は4ロール圧延機を採用してもよい。
【0054】
粗圧延工程の各パラメータの設定については、現在一般的に使用されているパラメータを参照できる。しかしながら、粗圧延工程のいくつかのパラメータを以下のように設定した場合、熱延ケイ素鋼におけるエッジ欠陥発生率を更に低減できる。
【0055】
(1)幅圧下量
本発明においては、垂直ロールによる幅圧下を1〜6パス行い、幅圧下1回当たりの圧下量が10〜40cmである。垂直ロールによる幅圧下を3パス行い、1回当たりの圧下量が30cmであることが好ましい。
【0056】
(2)水平圧下
本発明においては、水平ロールによる圧下を3〜8パス行い、累積圧下率が70〜90%である。
【0057】
(3)脱スケール水
表面温度が低下し過ぎるのを防ぐために、加熱炉からスラブを抽出してから中間テーブルロールまでの間で、粗圧延域で使用する水のパス数は4パス以下とする。
【0058】
(4)粗圧延時間
表面温度が低下し過ぎるのを防ぐために、粗圧延は迅速に進行させるべきである。スラブ全体を出炉した直後の時点から、粗圧延の最終パスが完了する時点までの時間は360秒以内とする。
【0059】
(5)スラブサイジングプレス(SSP)
粗圧延工程においては、必要に応じてSSPを使用してもよい。凹状輪郭を有するSSPモジュールを使用すると、エッジ欠陥とエッジ部との距離を短縮しやすくなる。したがって、その後の工程でのトリミング量を低減して歩留まりを増やすことができる。SSPを使用する場合、その幅圧下量は10〜180cmの範囲にする必要がある。
【0060】
<3.仕上圧延工程>
本発明に係る熱延ケイ素鋼の製造方法においては、熱延ケイ素鋼のエッジ品質を改善するのに仕上圧延工程の改良を必要としないため、仕上圧延工程は特に限定されない。現在、熱延ケイ素鋼の製造方法において通常使用される仕上圧延装置(一般的には5〜7スタンドの4ロール圧延機)を採用してもよい。
【0061】
<4.巻き取り工程>
本発明の熱延ケイ素鋼は、必要に応じて巻き取って熱延ケイ素鋼コイル、すなわちケイ素鋼ホットコイルとしてもよい。
【実施例】
【0062】
次に、実施例
、参考例及び比較例とともに本発明の技術的解決手段を詳述するが、本発明はこれらに限定されない。
【0063】
製造において使用した材料及び装置を以下に記載する。
【0064】
スラブ材料:本発明では、様々なケイ素含量のケイ素鋼スラブ(バオシャン アイアン アンド スティール社製)を使用するが、市販品も使用できる。
加熱炉:リジェネレーティブバーナーを備えたウォーキングビーム式加熱炉
スラブサイジングプレス(SSP):入側ガイド板と、入出側ピンチロールと、圧力ロールとを備えたサイジングプレス
粗圧延装置:2スタンド(第1スタンドは垂直ロールを有さない2ロール圧延機であり、第2スタンドは垂直ロールを備える可逆圧延式4ロール圧延機である)
仕上圧延装置:7スタンドの4ロール圧延機
【0065】
(実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5)
ケイ素鋼スラブA(ケイ素含量:2.1重量%)に対して以下の工程を順次実施することで、熱延ケイ素鋼を製造する。
【0066】
(1)加熱工程
表1に示す加熱条件に従って実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5のスラブをそれぞれ加熱炉に装入し、3段階加熱工程(すなわち予熱帯、加熱帯及び均熱帯)を順次実施した後、出炉する。
【0067】
(2)粗圧延工程
表1に従って、幅圧下量、水平圧下量、脱スケール水工程において粗圧延域で使用する水のパス数、及び、粗圧延時間を設定し、加熱工程後のケイ素鋼スラブを粗圧延装置に送給して粗圧延工程を行う。
【0068】
実施例5ではスラブサイジングプレスを使用するが、実施例1〜
2、参考例3、実施例4では使用しない。
【0069】
(3)仕上圧延工程
粗圧延したスラブを仕上圧延装置に送給して仕上圧延工程を行う。
【0070】
パラメータは以下の通り設定する。
圧延速度:9〜11m/秒
目標厚さ:2.0〜2.6mm
【0071】
その後、各熱延ケイ素鋼製品のエッジ欠陥発生率を評価する。
【0072】
帯鋼用の表面品質オンライン検出器を使用して、熱延ケイ素鋼の上下面について全長にわたって全てが撮影範囲内となるように撮影した後、熱延ケイ素鋼の上面、下面及び両側面の4箇所について全長にわたって表面品質を手動で検査する。エッジ部から15mm離れた距離を基準とし、上記範囲内に5メートルにわたって連続しているか、あるいは10個を超えるエッジシーム疵があった場合、熱延ケイ素鋼は不合格であると判断する。本試験では、帯鋼コイルを複数個生産する。
欠陥発生率=(ケイ素鋼の不合格数)/(ケイ素鋼コイルの生産数)×%
【0073】
【表1】
【0074】
表1から分かる通り、加熱工程及び粗圧延工程がいずれも本発明の製造方法に従っている実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5では、エッジ欠陥発生率はいずれも3.0%以下である。
【0075】
(実施例6〜
7、参考例8、実施例9〜10)
実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5で使用したケイ素鋼スラブA(ケイ素含量:2.1重量%)を使用するが、粗圧延工程は表2に従って行い、残りの工程は実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5と同様に実施して、実施例6〜
7、参考例8、実施例9〜10のケイ素鋼を製造する。
【0076】
実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5と同様の評価方法を採用して、実施例6〜
7、参考例8、実施例9〜10のケイ素鋼のエッジ欠陥発生率を評価する。
【0077】
【表2】
【0078】
表2から分かる通り、加熱工程には本発明の方法を採用し、粗圧延工程には従来通り既存のケイ素鋼製造方法を採用した実施例6〜
7、参考例8、実施例9〜10では、エッジ欠陥発生率は3.5%〜5%であり、加熱工程及び粗圧延工程がいずれも本発明の製造方法に従っている実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5よりもわずかに高い。
【0079】
(
参考例11〜15)
ケイ素鋼スラブB(ケイ素含量:0.5重量%)を使用するが、加熱工程は表3に従って行い、残りの工程は実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5と同様に実施して、
参考例11〜15のケイ素鋼を製造する。実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5と同様の方法に従ってエッジ欠陥発生率を評価する。
【0080】
【表3】
【0081】
表3から分かる通り、ケイ素含量が0.5重量%のケイ素鋼スラブに対して本発明における加熱方法及び粗圧延方法を適用した場合も、エッジ欠陥発生率をより低いレベルに抑えることができる。
【0082】
(比較例1〜5)
比較例1〜3ではケイ素鋼スラブA(ケイ素含量:2.1重量%)を使用し、比較例4〜5ではケイ素鋼スラブB(ケイ素含量:0.5重量%)を使用する。比較例1〜5ではそれぞれ、表4に示したパラメータに従って加熱工程と粗圧延工程を実施する以外は、実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5と同様にして比較例1〜5のケイ素鋼を製造する。また、実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜5と同様の方法に従ってエッジ欠陥発生率を評価する。
【0083】
【表4】
【0084】
表4から分かる通り、これらの製造方法に従って製造された熱延ケイ素鋼、すなわち比較例1〜5では、エッジ欠陥発生率は、それぞれ11%、8%、7%、8%及び6%であり、本発明に係る実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜7、参考例8、実施例9〜10、参考例11〜15の熱延ケイ素鋼のエッジ欠陥発生率より明らかに高い。
【0085】
実施例1〜
2、参考例3、実施例4〜7、参考例8、実施例9〜10、参考例11〜15及び比較例1〜5から分かる通り、熱延ケイ素鋼を製造する際に本発明における加熱工程を用いると、エッジ欠陥発生率を明らかに低減でき、本発明における加熱工程と粗圧延工程を同時に採用すると、エッジ欠陥発生率を更に良好に低減できる。
【0086】
したがって、本発明における加熱工程と粗圧延工程を同時に採用することが理想的である。