【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名:第28回 インターフェックス ジャパン(医薬品・化粧品・洗剤 研究開発・製造技術国際展)、開催場所:東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−10−1)、開催日:平成27年 7月1日〜3日 展示会名:JAPAN PACK 2015(2015 日本国際包装機械展)、開催場所:東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−10−1)、開催日:平成27年10月13日〜16日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る物品搬送装置について、
図1〜3を参照しつつ説明する。
【0021】
物品搬送装置1は、前の工程から物品Pを受け取る位置である物品受け取り位置Sから、次の工程に物品Pを受け渡す位置である物品受け渡し位置Tまで物品Pを搬送する。
図1に示すように、本実施形態の物品搬送装置1は、該物品搬送装置1よりも上流に位置して、物品搬送装置1に物品Pを供給するための、前の工程としての物品供給部90と、該物品搬送装置1よりも下流に位置して、物品搬送装置1から移載された物品Pを収容するための、次の工程としての物品収容部91との間に配置されている。
図2に示すように、物品搬送装置1の下流側端部の上方には、物品搬送装置1から物品Pを受け取って、物品収容部91に物品Pを移載するための物品移動部92が設けられている。本実施形態の物品移動部92として、パラレルリンクロボットが採用されている。
【0022】
以下、物品Pが搬送される方向を前方として、物品受け取り位置S及び物品受け渡し位置Tを含む物品搬送経路Rが延びる方向を前後方向Xとし、鉛直方向を上下方向Yとする。また、前後方向X及び上下方向Yに直交する方向を左右方向Zとし、前方を向いて右側を右方、左側を左方とする。図面には、それぞれの方向に対応する座標軸が必要に応じて図示されている。
【0023】
本実施形態では、物品搬送装置1は、例えば、物品Pとして、PTPシートが10段重ねられた状態で包装袋に詰められた略直方体の包装体を搬送する。
図2及び3に示すように、本実施形態の物品Pは、長辺と短辺とを有し、長手方向の両端を除く面が、異なる面積を有する面から構成されている。物品Pは、最も面積の大きい矩形状の幅広面P1と、該幅広面P1よりも面積が小さい矩形状の幅狭面P2とを有する。
【0024】
物品搬送装置1は、物品受け取り位置Sで、物品供給部90から物品Pを直接受け取る。物品搬送装置1は、物品搬送経路Rが物品供給部90での物品Pの搬送方向と直交するように配置されている。物品搬送装置1は、前後方向Xにおける後方の端部が物品供給部90に対して近接して配置されており、該後方の端部から物品Pを受け取る。物品供給部90は、物品Pの長手方向と物品Pの搬送方向とが平行となるように左右方向Zに物品Pを搬送している。物品搬送装置1は、物品供給部90から、物品Pの長手方向が前後方向Xと直交する状態で物品Pを受け取る。物品搬送装置1は、物品Pの短手方向と物品Pの搬送方向とが平行となるように物品Pを搬送する。本実施形態では、物品供給部90は、物品Pの幅広面P1を底面として物品Pを搬送しており、物品搬送装置1は、該物品供給部90から、物品Pの幅広面P1が底面となる転倒状態で物品Pを受け取る。
【0025】
物品搬送装置1は、物品受け渡し位置Tで、物品移動部92を介して物品Pを物品収容部91に受け渡す。物品搬送装置1は、物品搬送経路Rが物品収容部91での物品Pの搬送方向と平行となるように配置されている。物品搬送装置1は、前後方向Xにおける前方の端部が物品収容部91に対して近接して配置されており、該前方の端部から物品Pを受け渡す。物品搬送装置1は、物品収容部91に対して、物品Pの長手方向が前後方向Xと直交する状態で物品Pを受け渡す。本実施形態では、物品移動部92が物品Pの幅狭面P2を吸盤で吸着し、物品収容部91に物品Pを移載するようになっており、物品搬送装置1は、物品Pの幅狭面P2が底面となる起立状態で物品収容部91に物品Pを受け渡す。
【0026】
以上のように、物品搬送装置1は、物品供給部90と物品収容部91との間に配置され、物品供給部90から物品Pを受け取って、物品移動部92を介して物品収容部91に物品Pを受け渡すようになっている。以下、本実施形態の物品搬送装置1について説明する。
【0027】
物品搬送装置1は、
図1及び2に戻って示すように、物品Pを搬送するためのリニアコンベア10と、物品Pの姿勢を変更する姿勢変更部8と、を備える。
【0028】
図2に示すように、リニアコンベア10は、物品Pを搬送するための物品搬送経路Rを構成する本体部2と、該本体部2の外周に沿って移動する複数の可動子3と、複数の可動子3の走行状態を制御する制御部4と、を有する。本実施形態のリニアコンベア10は、4つの可動子3を1グループとし、各可動子3の間に物品Pを配置することで、3つの物品Pを搬送する。
【0029】
本体部2は、該本体部2の中央に位置するベース5と、該ベース5の外周に沿って配置された固定子6と、該固定子6の外周に沿って配置されたレール7と、を有する。本体部2は、扁平に形成されている。本体部2は、上下方向Yに直立するように設置されて使用される。
【0030】
ベース5は、長辺と短辺とを有する矩形板状の中央ベース51と、該中央ベース51の長手方向における各端部に接続された半円板状の横ベース52と、を有する。ベース5は、中央ベース51の長辺側の周縁に対応する一対のベース直線部511と、横ベース52の円周側の周縁に対応する一対のベース湾曲部521とが連続して接続されており、無端状に形成されている。ベース5は、長辺側が水平方向に延びるように設置される。
【0031】
固定子6は、中央ベース51の各ベース直線部511に沿って配置された一対の固定子直線部61と、横ベース52の各ベース湾曲部521に沿って配置された一対の固定子湾曲部62と、を有する。即ち、固定子6は、無端状のベース5の外周に沿ってベース5を一周しており、無端状に形成されている。本実施形態では、固定子6側が電磁石EMとなっている。
【0032】
固定子6は、物品受け取り位置S及び物品受け渡し位置Tを含む物品搬送経路Rを構成している。本実施形態では、物品搬送経路Rは、水平方向に延びており、一対の固定子直線部61のうちの上方側に位置する上固定子直線部611によって構成されている。可動子3は、レール7上を走行して上固定子直線部611の後方側の端部611aに位置したときに物品Pを受け取る。そのため、物品Pを受け取る際の後述する搬送部32の位置が物品受け取り位置Sとなる。また、可動子3は、上固定子直線部611の前方側の端部611bに位置したときに物品Pを受け渡すため、このときの搬送部32の位置が物品受け渡し位置Tとなる。
【0033】
レール7は、固定子6の各固定子直線部61に沿って配置された一対のレール直線部71と、固定子6の各固定子湾曲部62に沿って配置された一対のレール湾曲部72と、を有する。即ち、レール7は、無端状の固定子6の外周に沿って固定子6を一周しており、無端状に形成されている。
【0034】
図3に示すように、可動子3は、永久磁石PMが配置され、本体部2のレール7上を走行する可動子本体31と、可動子本体31の上部に配置され、物品Pを載置して搬送するための搬送部32と、を有する。可動子3は、固定子6の電磁石EMに電流を流すことによって、永久磁石PMと電磁石EMとが反発する力を推進力としてレール7上を移動し、本体部2のレール7上を循環する。本実施形態では、10個の可動子3が本体部2のレール7上を循環する。これら複数の可動子3は、レール7上で、進行方向に並んでいる。そのため、複数の可動子3は、物品搬送経路Rでは、前後方向Xに並ぶこととなる。
【0035】
可動子本体31は、搬送部32を載置するための板状の載置部311と、該載置部311の両端部であって、可動子3の進行方向(
図3では、前後方向Xの前方に向かう方向)に直交する方向(
図3では、左右方向Z)における両端部から延出する一対の対向延出部312と、を有する。本実施形態の載置部311と各対向延出部312とは、一体的に形成されている。載置部311及び各対向延出部312は、アルミニウム合金によって形成されている。各対向延出部312の先端側には永久磁石PMが設けられ、各対向延出部312の基端側には、レール7に沿って移動するローラ313が設けられている。載置部311がレール7の上部に位置するように、一対の対向延出部312同士の間にレール7が配置されることで、永久磁石PMが電磁石EMに沿って配置され、可動子本体31がレール7に沿って移動可能となっている。
【0036】
搬送部32は、板状の搬送ベース321と、該搬送ベース321を2つの領域に仕切る仕切部322と、搬送部32を可動子本体31に固定するための固定部323と、を有する。本実施形態では、搬送ベース321と仕切部322とは、一体的に形成されている。搬送ベース321及び仕切部322は、PE樹脂(ポリエチレン)によって形成されている。搬送部32は、搬送ベース321が可動子本体31の載置部311に載せられた状態で、固定部323によって可動子本体31に固定される。これにより、搬送部32は、可動子本体31と一体的に走行する。
【0037】
搬送ベース321は、長辺3211と短辺3212とを有する矩形状に形成されている。搬送ベース321は、短手方向が可動子3の進行方向と平行となるように配置されている。搬送ベース321は、仕切部322よりも進行方向前側に位置する前ベース321aと、仕切部322よりも進行方向後側に位置する後ベース321bと、を有する。
【0038】
複数の可動子3がレール7上に前後方向Xに並んだ状態で配置されると、前ベース321aは、前方に位置する可動子3に対して延出し、後ベース321bは、後方に位置する可動子3に対して延出する。
【0039】
仕切部322は、板状に形成されている。仕切部322は、長辺3221と短辺3222とを有する矩形の板状部材である。仕切部322の長辺3221の長さは、搬送ベース321の長辺3211の長さと略一致しており、仕切部322は、搬送ベース321を、該搬送ベース321の短手方向に仕切っている。仕切部322は、搬送ベース321の一方の面から延出するように搬送ベース321上に配置されている。本実施形態の仕切部322は、搬送ベース321上で、前ベース321aを構成する前仕切部322aと、後ベース321bを構成する後仕切部322bと、を有する。即ち、前仕切部322aは、前ベース321aの基端側に位置し、後仕切部322bは、後ベース321bの基端側に位置している。仕切部322は、上側の長辺3221の中央部が切欠かれた形状となっている。
【0040】
固定部323は、搬送ベース321の短辺3212側から下方側に延出している。搬送部32が可動子本体31に載せられると、固定部323は、可動子本体31の対向延出部312に沿って配置される。固定部323は、対向延出部312に対してビス止めされる。これにより、搬送部32は、可動子本体31に対して固定される。
【0041】
制御部4は、可動子3がレール7上を走行するように、電磁石EMに流す電流を制御する。制御部4は、物品搬送経路Rに沿って複数の可動子3を移動させる。制御部4は、前後方向Xにおける隣り合う可動子3間の距離である可動子間距離を変更する。制御部4は、物品受け渡し位置Tで物品Pが位置決めされるように、可動子間距離を変更する。具体的には、物品受け渡し位置Tで物品Pが位置決めされるように、物品受け取り位置Sで設定された可動子間距離から、物品受け渡し位置Tで設定された可動子間距離へ変更する。本実施形態では、制御部4は、物品Pの搬送中に、可動子間距離を変更する。制御部4は、可動子3同士が搬送中に所定の可動子間距離よりも接近しないように制御し、可動子3同士が接触しないようにしている。本実施形態では、該所定の可動子間距離として、可動子本体31同士の距離が20mm以下とならないように設定されている。
【0042】
また、本実施形態では、物品受け取り位置Sにおける可動子間距離は、物品受け渡し位置Tにおける可動子間距離よりも広く設定されている。具体的には、物品搬送装置1は、物品Pを転倒状態で受け取り、姿勢変更部8によって物品Pの姿勢を変更した上で、物品Pを起立状態で受け渡すため、制御部4は、物品受け取り位置Sよりも、物品受け渡し位置Tでの可動子間距離が狭くなるように、可動子間距離を制御する。また、物品Pの前後方向Xの幅は、姿勢変更部8を境として、姿勢変更部8の上流よりも下流の方が狭くなるため、制御部4は、姿勢変更部8の下流で、可動子間距離が狭くなるように各可動子3を制御している。本実施形態では、制御部4は、本体部2のベース5に内蔵されている。
【0043】
姿勢変更部8は、物品受け取り位置Sと物品受け渡し位置Tとの間で物品Pの姿勢を変更する。具体的には、姿勢変更部8は、該姿勢変更部8よりも上流側から、隣り合う可動子3によって搬送されてきた物品Pの姿勢を、前後方向X及び上下方向Yに直交する方向を中心に該物品Pを回転させることで変更する。本実施形態では、姿勢変更部8は。左右方向Zを中心に物品Pを回転させることで、物品Pの姿勢を変更する。
【0044】
図2に戻って示すように、姿勢変更部8は、物品Pを回転するための回転体81と、該回転体81を前後方向X及び上下方向Yに直交する方向を中心に回転させる回転軸82と、を有する。姿勢変更部8は、物品受け渡し位置Tよりも上流に設置されている。本実施形態では、姿勢変更部8は、物品搬送経路Rの中央部に位置するように設置されている。
【0045】
回転体81は、回転軸82が固定され、回転中心となる回転軸固定部811と、該回転軸固定部811から回転軸82の径外方向に延びる少なくとも1つの板状部812と、を有する。回転体81は、回転軸82の回転に伴って回転する。本実施形態では、回転体81は、4つの板状部812を有する。4つの板状部812は、隣り合う板状部812同士の間隔が等間隔となるように、回転軸固定部811から回転軸82の径外方向に延びている。回転軸固定部811と板状部812とは、一体的に形成され、薄板状の部材となっている。回転軸固定部811及び板状部812は、PE樹脂(ポリエチレン)によって形成されている。
【0046】
回転体81は、物品Pの姿勢変更前後の状態である通常状態と、物品Pの姿勢変更中の状態である変更状態とに切り替わる。本実施形態の回転体81は、通常状態で停止して物品Pを受け取り、変更状態では回転するよう、停止状態と回転状態とが切り替わるように制御されている。回転体81は、物品搬送経路Rに沿って配置されている。回転体81は、前後方向Xに直交する方向における物品搬送経路Rの両側に配置されている。回転体81は、物品搬送経路Rの左右方向Zにおける両側に配置されている。具体的には、本体部2の一対のレール直線部71のうちの上方側に位置する上レール直線部711の左右方向Zにおける両側に配置されている。回転体81は、上半分が上レール直線部711の上端面よりも上方に位置すると共に、下半分が上レール直線部711の上端面よりも下側に位置する高さに設置されている。回転体81は、通常状態では、板状部812の端面が可動子3の搬送ベース321の上面と同じ高さとなるように設置されている。
【0047】
板状部812は、長辺と短辺とを有する略矩形状に形成されている。板状部812は、回転方向の前方を向く前端面8121と、回転方向に対して後方を向く後端面8122と、板状部812の先端に位置する先端面8123と、を有し、長辺側が、前端面8121及び後端面8122を構成している。各端面は、平坦に形成されている。
【0048】
各板状部812は、前端面8121が、回転方向前方に位置する板状部812の後端面8122と直角となるように、後端面8122が回転方向後方に位置する板状部812の前端面8121と直角となるように回転軸固定部811から回転軸82の径外方向に延びている。そのため、回転体81は、回転軸固定部811を中心としたクロス形状となっている。
【0049】
本実施形態の物品搬送装置1の説明は以上である。次に、本実施形態の物品搬送装置1が物品供給部90から物品Pを受け取ってから、物品収容部91に物品Pを受け渡すまでの流れについて、
図4〜
図14を参照しつつ説明する。
図6〜
図12については、
図4及び
図5と重複する符号については、省略する。ここでは、物品受け取り位置Sにおける可動子間距離が、物品受け渡し位置Tにおける可動子間距離よりも広くなるように設定された場合について説明する。
【0050】
本実施形態では、物品Pが可動子3と可動子3との間に配置されると、物品Pは、前方に位置する可動子3の後ベース321bと後方に位置する可動子3の前ベース321aとに跨って載置される。また、可動子間距離は、前方に位置する可動子3の後仕切部322bと後方に位置する可動子3の前仕切部322aとが物品Pの側面に容易に当接するほど近接する広さに設定されている。そのため、前ベース321a及び後ベース321bは、物品Pを載置可能な載置延出部321a,321bとして機能し、仕切部322は、載置延出部321a,321bに対して上方に延出する上方延出部322として機能する。このように、隣り合う可動子3は、前ベース321aと後ベース321bとによって物品Pを下から支えつつ、後仕切部322bと前仕切部322aとによって物品Pを前後方向Xにおける両側から支えることができるようになっている。
【0051】
本実施形態の隣り合う可動子3は、前方に位置する可動子3の後仕切部322bと後方に位置する可動子3の前仕切部322aとが物品Pの側面に近接し、且つ前方に位置する可動子3の後ベース321bと後方に位置する可動子3の前ベース321aとが物品Pの底面を支持する状態である近接支持状態で物品Pを搬送する。
【0052】
本実施形態では、4つの可動子3を1グループとし、3つの物品Pを搬送する。そのため、前後方向Xにおける最前方に位置する可動子3から順に第1可動子3A、第2可動子3B、第3可動子3C、及び第4可動子3Dとする。
【0053】
まず、4つの可動子3は、レール7上を物品搬送経路Rに向かって走行する。第1可動子3A及び第2可動子3Bは、搬送部32A,32Bが物品受け取り位置Sに来たときに停止する。即ち、第1可動子3A及び第2可動子3Bは、物品供給部90を流れる物品Pが搬送部32Aと搬送部32Bとの間に搬入される位置で停止する。搬送部32Aと搬送部32Bとの間に物品Pが搬入されると、第1可動子3A及び第2可動子3Bが前方へ移動すると共に、第3可動子3Cが第2可動子3Bに追従して移動し、第2可動子3B及び第3可動子3Cは、搬送部32B,32Cが物品受け取り位置Sに来たときに停止する。搬送部32Bと搬送部32Cとの間に物品Pが搬入されると、第2可動子3B及び第3可動子3Cが前方へ移動すると共に、第4可動子3Dが第3可動子3Cに追従して移動し、第3可動子3C及び第4可動子3Dは、搬送部32C,32Dが物品受け取り位置Sに来たときに停止する。3つの物品Pの受け取りが完了すると、4つの可動子3は、物品受け渡し位置Tに向かって走行を開始する。
【0054】
図4に示すように、4つの可動子3は、前後方向Xに並んだ状態で走行し、姿勢変更部8に接近する。本実施形態では、姿勢変更部8の回転体81は、4つの板状部812を有するため、上下方向Yの上側に位置する板状部812を第1板状部812Aとして、回転方向に順に第2板状部812B、第3板状部812C、及び第4板状部812Dとする。
図5に示すように、4つの可動子3は、第1可動子3Aの後仕切部322bAの端面と第1板状部812Aの後端面8122Aとが前後方向Xで略一致する位置で停止する。これにより、物品Pの底部は、第4板状部812Dの前端面8121Dに載置され、物品Pの前後方向Xにおける前側に位置する前側部分は、第1板状部812Aの後端面8122Aと対向する。この場合、4つの可動子3は、物品Pの前側部分が第1板状部812Aの後端面8122Aと接触する位置まで移動してもよい。
【0055】
図6に示すように、第1可動子3Aのみが前方へ移動し、第1可動子3Aは、後仕切部322bAの端面と第1板状部812Aの前端面8121Aとの距離が、物品Pの幅狭面P2の幅に対応した距離となる位置で停止し、物品Pを受け取るよう待機する。そして、
図7に示すように、回転体81が回転する。回転体81は、第4板状部812Dの前端面8121Dで物品Pの底部を支持し、第1板状部812Aの後端面8122Aで物品Pの前側部分を支持しながら回転する。
図8に示すように、回転体81が所定角度回転することによって、第4板状部812Dの前端面8121Dで支持されていた物品Pの底部が立った状態となると共に、第1板状部812Aの後端面8122Aで支持されていた物品Pの前側部分が寝た状態となる。このように、姿勢変更部8は、物品Pの姿勢を転倒状態から起立状態に変更し、第1可動子3Aは、起立状態の物品Pを受け取る。本実施形態では、回転体81が90度回転することで、物品Pの姿勢を変更する。
【0056】
図9に示すように、第1可動子3Aが物品Pを受け取ると、第2可動子3Bから第4可動子3Dは、並んだ状態で前方へ移動し、物品Pは、第2可動子3Bによって後方から保持される。そして、第2可動子3Bから第4可動子3Dは、第2可動子3Bの前仕切部322aBの端面と第4板状部812Dの前端面8121Dとが前後方向Xで略一致する位置で停止する。このように、可動子間距離は、後方に位置する可動子3によって物品Pを保持するために、物品Pの姿勢変更後、直ちに幅広の状態から幅狭の状態に変更される。
【0057】
そして、
図10に示すように、第1可動子3Aと第2可動子3Bは、物品Pを近接支持した状態で前方へ移動する。第1可動子3A及び第2可動子3Bは、第2可動子3Bの後仕切部322bBの端面と第4板状部812Dの前端面8121Dとの距離が、物品Pの幅狭面P2の幅に対応した距離となる位置で停止し、次の物品Pを受け取るよう待機する。同時に、第3可動子3C及び第4可動子3Dは、物品Pを第3板状部812Cの前端面8121Cにしっかりと載置させるべく、前方側へ若干移動する。
【0058】
そして、
図11に示すように、回転体81が回転し、
図12に示すように、回転体81は、物品Pの姿勢を転倒状態から起立状態に変更し、第2可動子3Bは、起立状態の物品Pを受け取る。以上の動作を繰り返すことで、姿勢が変更された全ての物品Pが載置された状態で、4つの可動子3は、並んで前方へ走行する。
【0059】
4つの可動子3は、物品受け渡し位置Tで物品Pが位置決めされるように、搬送部32が物品受け渡し位置Tに位置すると停止する。これにより、
図13に示すように、物品移動部92が降下した位置に3つの物品Pが位置するため、物品移動部92は、3つの物品Pを確実に把持することができる。そして、
図14に示すように、物品移動部92は、3つの物品Pを揃えて、物品収容部91に移載する。物品Pを受け渡した4つの可動子3は、再度、レール7上を物品搬送経路Rに向かって走行する。そして、4つの可動子3は、物品搬送経路Rに到達すると、再度、物品Pの搬送を開始する。
【0060】
以上のように、上記実施形態によれば、各可動子3は、隣に位置する隣接可動子3との間に物品Pを配置させた状態で、該隣接可動子3と共に物品Pを搬送すると共に、制御部4は、可動子間距離を、物品受け渡し位置Tで物品Pが位置決めされるように、物品受け取り位置Sでの可動子間距離から変更することができる。そのため、例えば、物品受け取り位置Sから物品受け渡し位置Tの間で、物品Pの姿勢が変わる場合や、物品Pの形状が変わる場合であっても、物品受け取り位置Sにおける可動子間距離を、物品受け渡し位置Tでの物品Pの幅に合わせて変更することで、物品受け渡し位置Tで物品Pを正確に位置決めすることができる。これにより、物品受け渡し位置Tに確実に物品Pを置くことができる。
【0061】
また、隣り合う可動子3間に物品Pが配置されると、隣り合う可動子3は、物品受け渡し位置Tにおいて、載置延出部321a,321bによって物品Pを下から支えつつ、上方延出部322によって物品Pを前後方向Xにおける両側から支えることができる。そのため、物品受け渡し位置Tで物品Pを安定よく正確に位置決めすることができる。
【0062】
上記実施形態では、物品受け取り位置Sにおける可動子間距離は、物品受け渡し位置Tにおける可動子間距離よりも広く設定されている。これにより、例えば、物品Pを幅広で受け取って幅狭で受け渡す場合に、物品受け取り位置Sでは、前の工程から幅広の物品Pを隣り合う可動子3間の距離を幅広にして受け取り、物品受け渡し位置Tでは、幅狭の物品Pの幅に合わせて隣り合う可動子3間の距離を狭めることができる。そのため、物品受け取り位置Sでは物品Pを安定して受け取ることができると共に、物品受け渡し位置Tでは隣り合う可動子3間の距離を物品Pの幅に合わせることができるので、物品受け渡し位置Tで物品Pを正確に位置決めすることができる。
【0063】
上記実施形態では、姿勢変更部8を備えることにより、隣り合う可動子3が物品Pを搬送しつつ、姿勢変更部8によって物品Pの姿勢を変更することができる。また、制御部4は、姿勢変更部8から物品受け渡し位置Tの間で可動子間距離を変更することができる。そのため、搬送中に物品Pの姿勢を変更させつつも、物品受け渡し位置Tで物品Pを正確に位置決めすることができる。
【0064】
上記実施形態では、可動子3と可動子3との間に物品Pを配置することによって物品Pを搬送することができるため、様々な大きさの物品Pを搬送することができる。具体的には、前後方向Xにおける幅が広い物品Pや、前後方向Xにおける幅が狭い物品P等、物品Pの大きさに合わせて可動子間距離を調整することで、様々な大きさの物品Pを搬送することができる。また、一度に複数種類の大きさの物品Pを搬送することもできる。例えば、第1可動子3Aと第2可動子3Bとによって搬送する物品Pのサイズと、第2可動子3Bと第3可動子3Cとによって搬送する物品Pのサイズとが異なっていても、物品Pの大きさに合わせて可動子間距離を調整することで、異なる大きさの物品Pを搬送することもできる。このように、上記実施形態では、物品の大きさにとらわれることなく、様々な大きさの物品を搬送することができる。
【0065】
上記実施形態では、1つの姿勢変更部8で全ての物品Pの姿勢を変更することができるので、可動子3毎に姿勢変更部8を設ける必要がない。そのため、装置が複雑になるのを防止することができると共に、何れかの姿勢変更部8が故障して物品Pの姿勢が変更されない結果、物品移動部92による把持漏れが生じるということも生じ難い。
【0066】
上記実施形態では、可動子3は、物品Pを近接支持した状態で搬送するため、可動子3は、物品Pをしっかりと保持した状態で搬送することができる。これにより、物品Pの搬送中に、物品Pが搬送部32上で位置ずれすることがなく、搬送途中に、物品Pがリニアコンベア10の外壁等に接触するなどして物品Pが痛むのを防止することができる。
【0067】
上記実施形態では、回転体81は、物品搬送経路Rの左右方向Zにおける両側に配置されているため、物品Pの長手方向における両端部を支持しながら、物品Pを回転させることができる。そのため、上記実施形態の姿勢変更部8は、物品Pの姿勢を安定して変更することができる。
【0068】
上記実施形態では、回転体81は、通常状態では、板状部812の端面が可動子3の搬送ベース321の上面と同じ高さとなるように設置されている。具体的には、回転体81は、通常状態で、板状部812の前端面8121及び後端面8122が搬送ベース321の上面と同じ高さとなるように設置されている。このように、回転体81は、通常状態で、可動子3に対して段差なく配置されているため、可動子3から物品Pを円滑に受け取ることができる。
【0069】
尚、本発明の物品搬送装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0070】
上記実施形態では、仕切部322は、前仕切部322a及び後仕切部322bを有している場合について説明したが、これに限定されるものではない。
図15に示すように、仕切部322は1つ設けられていてもよい。また、仕切部322の中央部分に位置する材料を切り出すことで、上記実施形態のように前ベース321a及び後ベース321bを構成し、搬送部32の計量化を図ってもよい。
【0071】
前ベース321a及び後ベース321bについては、様々な形状を採用することができる。例えば、
図16に示すように、前ベース321aを前仕切部322aの中央部から延出させ、後ベース321bを後仕切部322bの両端から間隔をあけて延出させてもよい。また、
図17に示すように、前ベース321aを左右方向Zにおける一方側から延出させ、後ベース321bを左右方向Zにおける他方側から延出させてもよい。これにより、後方の可動子3の搬送ベース321と、前方の可動子3の搬送ベース3とが間隔をあけて嵌り合うように位置するので、隣り合う可動子3をより接近させることができ、薄い物品Pであっても、物品受け渡し位置Tで正確に位置決めすることができる。
【0072】
上記実施形態では、物品Pとして、PTPシートが10段重ねられた状態で包装袋に詰められた略直方体の包装体を例示したが、これに限定されるものではない。可動子3は、様々な物品Pを搬送することができる。また、物品Pとして、略直方体の物品Pを搬送する場合について説明したが、これに限定されるものではない。可動子3は、様々な形状の物品Pを搬送することができる。例えば、曲面を有する容器、円柱、角柱、その他、搬送することのできる物品Pの形状については限定されるものではない。
【0073】
上記実施形態では、物品搬送装置1は、物品Pの短手方向と物品Pの搬送方向とが平行となるように物品Pを搬送する場合について説明したが、これに限定されるものではない。物品搬送装置1は、物品Pの長手方向と物品Pの搬送方向とが平行となるようにして物品Pを搬送してもよい。そして、姿勢変更部8によって物品Pの姿勢が変更されることによって、物品Pの長手方向における端部を底面とし、物品Pを物品収容部91に受け渡すものであってもよい。
【0074】
上記実施形態では、定型の物品Pを搬送する場合について説明したがこれに限定されるものではない。可動子3は、不定形の物品Pを搬送してもよい。例えば、
図18に示すように、マヨネーズやホイップクリーム、液体等の流動性を有する内容物を充てんした袋を、広がった状態で搬送し、
図19に示すように、物品受け渡し位置Tでの可動子間距離を狭めることによって、物品Pの形状を前後方向Xの幅が狭くなるように変形することもできる。この場合、変形後の物品Pを物品移動部92によって把持して移載することに限定されない。物品移動部92としてプッシャー等によって、直接、物品収容部91に物品Pを移動させてもよい。このように、物品Pがプッシャー等によって押し出されても、物品受け渡し位置Tで物品Pが位置決めされているため、物品Pが物品収容部91の枠等に当たるなどして、物品Pの移動漏れが生じるのを防止することができる。
【0075】
また、不定形の物品Pを搬送する場合、可動子間距離は、物品受け渡し位置Tで物品Pが位置決めされるように変更されればよく、物品搬送経路Rの何れの位置で変更されてもよい。
【0076】
上記実施形態では、固定子6側を電磁石EMとして、可動子3側を永久磁石PMとしたが、これに限定されるものではない。固定子6側を永久磁石PMとして、可動子3側を電磁石EMとしてもよい。
【0077】
上記実施形態では、リニアコンベア10は、4つの可動子3を1グループとし、3つの物品Pを搬送する場合について説明したが、これに限定されるものではない。1グループとする可動子2の個数は限定されるものではない。例えば、リニアコンベア10は、5つの可動子3を1グループとして、4つの物品Pを搬送してもよい。即ち、リニアコンベア10は、搬送したい物品Pの数に応じで1グループとする可動子3の数を自由に増減することができる。
【0078】
上記実施形態では、物品受け取り位置Sにおける可動子間距離は、物品受け渡し位置Tにおける可動子間距離よりも広く設定されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。物品受け取り位置Sにおける可動子間距離は、物品受け渡し位置Tにおける可動子間距離よりも狭く設定されていてもよい。即ち、物品搬送装置1は、物品Pを起立状態で受け取って、転倒状態で受け渡してもよい。また、不定形の物品Pを搬送する場合には、物品受け取り位置Sで前後方向Xの幅が狭い状態の物品Pを、物品受け渡し位置Tで広げるようにしてもよい。
【0079】
上記実施形態では、回転体81は、物品搬送経路Rの左右方向Zにおける両側に配置されている場合について説明したが、回転体81は、物品搬送経路Rの左右方向Zにおける片側に配置されてもよい。
【0080】
上記実施形態では、回転体81は、通常状態で停止し、変更状態で回転することによって通常状態と変更状態とに切り替わる場合について説明したが、これに限定されるものではない。回転体81は、停止と回転を繰り返すことなく、連続して回転することにより、通常状態と変更状態とに連続的に切り替わってもよい。これにより、より速い搬送スピードにも追従することができ、短時間により多くの物品Pを搬送することができる。
【0081】
上記実施形態では、各可動子3は、近接支持状態で物品Pを搬送する場合について説明したが、これに限定されるものではない。各可動子3は、前方に位置する可動子3の後仕切部322bと後方に位置する可動子3の前仕切部322aとが、物品Pの側面と離間した広さに設定された状態である離間支持状態で物品Pを搬送してもよい。要は、隣り合う可動子3によって物品Pを搬送し、且つ物品受け渡し位置Tで物品Pを位置決めすることができればよく、物品Pの搬送中の態様については特に限定されない。
【0082】
上記実施形態では、可動子間距離は、姿勢変更部8による姿勢変更に伴って、幅広の状態から幅狭の状態に変更される場合について説明したが、これに限定されるものではない。物品受け渡し位置Tで物品Pが位置決めされればよく、可動子間距離は、姿勢変更部8から物品受け渡し位置Tまでの間のどの位置で幅広の状態から幅狭の状態に変更されてもよい。
【0083】
上記実施形態では、特に言及していないが、姿勢変更部8は、可動子3の搬送部32よりも下方に収納可能であってもよい。即ち、流動性を有する内容物が充填された不定形の物品Pを搬送する場合には、物品Pの姿勢は変更されないため、姿勢変更部8を収納した状態で物品Pを搬送してもよい。
【0084】
上記実施形態では、制御部4は、本体部2のベース5に内蔵されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。制御部4が配置される場所については特に限定されるものではなく、制御部4は、可動子3に内蔵されていてもよい。
【0085】
上記実施形態では、物品Pの大きさに合わせて可動子間距離を調整することで、異なる大きさの物品Pを搬送できることについて説明したが、搬送ベース321上で仕切部322の位置を変更することで、異なる大きさの物品Pを搬送することもできる。