特許第6283652号(P6283652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6283652単一のsiRNAおよびshRNAナノカプセルに基づいた新規RNAi分子送達プラットホーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283652
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】単一のsiRNAおよびshRNAナノカプセルに基づいた新規RNAi分子送達プラットホーム
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/51 20060101AFI20180208BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20180208BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20180208BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20180208BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180208BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   A61K9/51
   A61K47/32
   A61K31/7105
   A61K48/00
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】25
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2015-500671(P2015-500671)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公表番号】特表2015-510896(P2015-510896A)
(43)【公表日】2015年4月13日
(86)【国際出願番号】US2013032615
(87)【国際公開番号】WO2013138783
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2016年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/612,178
(32)【優先日】2012年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505088684
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,アーヴィン,エス.ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】カマタ,マサカズ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ル,ユンフェン
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−163364(JP,A)
【文献】 Journal of Controlled Release,2010年,Vol.144,p.251-258
【文献】 The AAPS Journal,2010年12月,Vol.12,No.4,p.492-503,DOI:10.1208/s12248-010-9210-4
【文献】 Nucleic Acid Therapeutics,2011年,Vol.21,No.3,p.133-147
【文献】 Expert Opin. Drug Deliv.,2011年,Vol.8, No.4,p.521-536
【文献】 Nature Nanotechnology,2010年 1月,Vol.5,p.48-53,DOI:10.1038/NNANO.2009.341
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体シェルおよびRNAi分子を含む重合体ナノカプセルであって、
前記重合体シェルは、
a)N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、
N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、
N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)アクリルアミド、
N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド、
N−(ピペラジン−1−イルメチル)アクリルアミド、
N−(ピペラジン−1−イルメチル)メタクリルアミド、
N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)アクリルアミド、
N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド、
(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハイドロクロライド及び
2−アミノエチルメタクリラート、
から成る群から選択される1つまたは複数の正に荷電した単量体、
b)1,3−グリセロールジメタクリラート、
グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラート、
N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミン、
ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート、
N,N’−メチレンビスアクリルアミド及び
ビスアクリロイル化ポリペプチド
から成る群から選択される1つまたは複数の架橋剤、および、
c)N−(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル)アクリルアミド、
アクリルアミド、
N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、
2‐ヒドロキシエチルアクリラート及び
2−ヒドロキシエチルメタクリラート、
から成る群から選択される1つまたは複数の中性の単量体
を含み;および、
前記RNAi分子は、siRNAまたはshRNA DNAカセットから成る群から選択される、重合体ナノカプセル。
【請求項2】
前記1つまたは複数の架橋剤は、分解可能な架橋剤対非分解性架橋剤の比を含む、請求項1の重合体ナノカプセル。
【請求項3】
前記分解可能な架橋剤対非分解性架橋剤の比は、1:0、3:2、2:3または1:4を含む比から選択される、請求項1または2の重合体ナノカプセル。
【請求項4】
前記架橋剤の全ては、分解可能な架橋剤である、請求項1の重合体ナノカプセル。
【請求項5】
全ての分解可能な架橋剤は、グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラートである、請求項4の重合体ナノカプセル。
【請求項6】
前記1つまたは複数の正に荷電した単量体は、アクリル−スペルミンである、請求項1〜5のいずれかの重合体ナノカプセル。
【請求項7】
前記1つまたは複数の正に荷電した単量体は、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハイドロクロライドである、請求項1〜5のいずれかの重合体ナノカプセル。
【請求項8】
前記1つまたは複数の正に荷電した単量体は、N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)アクリルアミド、N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド、N−(ピペラジン−1−イルメチル)アクリルアミド、N−(ピペラジン−1−イルメチル)メタクリルアミド、N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)アクリルアミドおよびN−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)メタクリルアミドを含む群から選択される、請求項1〜5のいずれかの重合体ナノカプセル。
【請求項9】
前記重合体ナノカプセルは、アクリル−スペルミン、トリス−アクリルアミドおよび、
1,3−グリセロールジメタクリラート、
グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラート、
N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミン、
ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート、
N,N’−メチレンビスアクリルアミド及び
ビスアクリロイル化ポリペプチド
から成る群から選択される架橋剤を含む、請求項1の重合体ナノカプセル。
【請求項10】
前記1つまたは複数の正に荷電した単量体は、3つのプロトン化可能なアミンを有する、請求項1−8のいずれかの重合体ナノカプセル。
【請求項11】
前記1つまたは複数の正に荷電した単量体は、2つのプロトン化可能なアミンを有する、請求項1〜8のいずれかの重合体ナノカプセル。
【請求項12】
前記1つまたは複数の正に荷電した単量体は、1つのプロトン化可能なアミンを有する、請求項1〜8のいずれかの重合体ナノカプセル。
【請求項13】
前記重合体ナノカプセルは、およそ20nmから250nmの直径である、請求項1〜12のいずれかの重合体ナノカプセル。
【請求項14】
前記重合体ナノカプセルは、ターゲティング薬剤に抱合される、請求項1〜13のいずれかの重合体ナノカプセル。
【請求項15】
前記ターゲティング薬剤は、シクロデキストリン、アダマンチン、CD4、CD8、CD45、aHLA、およびトランスフェリンを含む群から選択される、請求項14の重合体ナノカプセル。
【請求項16】
前記ターゲティング薬剤は、特異的細胞タイプに前記重合体ナノカプセルを送達し、前記細胞タイプは、免疫細胞、血液細胞、心臓細胞、肺細胞、視細胞、肝細胞、腎臓細胞、脳細胞、中枢神経系の細胞、末梢神経系細胞、癌細胞、ウイルスに感染した細胞、幹細胞、皮膚細胞、腸管細胞および/または聴覚性細胞から成る群から選択される、請求項14または15の重合体ナノカプセル。
【請求項17】
前記癌細胞は、リンパ腫細胞、固形腫瘍細胞、白血病細胞、膀胱癌細胞、乳癌細胞、大腸癌細胞、直腸癌細胞、子宮体癌細胞、腎臓癌細胞、肺癌細胞、メラノーマ細胞、膵臓癌細胞、前立腺癌細胞および甲状腺癌細胞から成る群から選択される細胞である、請求項16の重合体ナノカプセル。
【請求項18】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1〜17のいずれかの重合体ナノカプセル。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかの1つまたは複数の重合体ナノカプセルを含む医薬組成物。
【請求項20】
遺伝子の過剰発現によって特徴づけられる疾患の治療における使用のための、請求項19に記載の医薬組成物であって、前記siRNAまたはshRNAが過剰発現された遺伝子の発現をノックダウンまたは減少し、これにより前記疾患を治療する、医薬組成物。
【請求項21】
前記重合体ナノカプセルは、単一のRNAi分子を含む、請求項1〜18のいずれかの重合体ナノカプセル、あるいは請求項19又は20に記載の医薬組成物
【請求項22】
重合体シェルおよびRNAi分子を含む重合体ナノカプセルを作製する方法であって、
a)RNaseフリー水にRNAi分子を溶解すること、
b)1つまたは複数の正に荷電した単量体、1つまたは複数の中性単量体および1つまたは複数の架橋剤を脱酸素化して脱イオン化した水に溶解して単量体混合物を作製すること、
c)工程(a)の溶解したRNAi分子を工程(b)の単量体混合物と合わせること、
d)過硫酸アンモニウムおよびN,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミンを工程(c)の生成物に添加すること、および、
e)無血清培地中で工程(d)の生成物をインキュベートすること、
を含み、
1つまたは複数の正に荷電した単量体が、
N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、
N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、
N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)アクリルアミド、
N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド、
N−(ピペラジン−1−イルメチル)アクリルアミド、
N−(ピペラジン−1−イルメチル)メタクリルアミド、
N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)アクリルアミド、
N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド、
(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハイドロクロライド及び
2−アミノエチルメタクリラート、
から成る群から選択され、
1つまたは複数の架橋剤が、
1,3−グリセロールジメタクリラート、
グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラート、
N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミン、
ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート、
N,N’−メチレンビスアクリルアミド及び
ビスアクリロイル化ポリペプチド
から成る群から選択され、
1つまたは複数の中性単量体が、
N−(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル)アクリルアミド、
アクリルアミド、
N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、
2‐ヒドロキシエチルアクリラート及び
2−ヒドロキシエチルメタクリラート、
から成る群から選択される、
方法。
【請求項23】
1つまたは複数の正に荷電した単量体が、N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミドであり、1つまたは複数の架橋剤が1,3−グリセロールジメタクリラートであり、且つ、1つまたは複数の中性の単量体がN−(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル)アクリルアミドである、請求項1に記載の重合体ナノカプセル。
【請求項24】
重合体シェルおよびsiRNA分子を含む重合体ナノカプセルであって、重合体シェルがN−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、1,3−グリセロールジメタクリラート及びN−(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル)アクリルアミドを含む、重合体ナノカプセル。
【請求項25】
重合体シェルおよびshRNAを含む重合体ナノカプセルであって、重合体シェルがN−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラート及びアクリルアミドを含む、重合体ナノカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、米国特許法*119(e)の下で2012年3月16日に出願の米国出願番号第61/612,178号に対する利益を主張し、その開示は、その全体が参照により援用される。
【0002】
政府権利
本発明は、国立衛生研究所によって授与された、助成金番号A1069350;米国国防総省、国防脅威削減局によって授与された助成金番号HDTRA1−09−1−0001の下で政府支援により行われた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、新規ナノカプセルの使用による細胞内へのRNAおよびDNA分子の有効な送達に関する。具体的には、本発明は、DNA分子またはsiRNAが細胞への送達を容易にするために小さな重合体ナノカプセル内にカプセル化された新規DNAカセットおよびsiRNAナノカプセル技術に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
RNA干渉は、特異的遺伝子発現をターゲットする、およびサイレンスするための強力なツールである。「RNA干渉」(RNAi)という用語は、線虫(C. elegans)への二重鎖RNA(dsRNA)の注射が送達されたdsRNAに対して配列が高度に相同的である遺伝子の特異的サイレンシングをまねくという発見後に造り出された(Fire et al., 1998)。RNAiは、植物における同時抑制および真菌における沈静化の転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)機構に密接に関連する(Catalanotto et al., 2000;CogoniおよびMacino、1999;Dalmay et al., 2000、KettingおよびPlasterk、2000;Mourrain et al., 2000;Smardon et al., 2000)。
【0005】
RNAiは、研究者が線虫遺伝子を不活性化するためにアンチセンスRNAを使用することを試みていたときに発見された。研究者は、注射されたセンス鎖RNAが、遺伝子機能の阻害においてアンチセンスRNAと同程度に有効であることを見いだした(Guo et al.(1995)Cell 81:611−620)。さらなる研究により、活性因子がインビトロRNA標品に混入した適度な量の二本鎖RNA(dsRNA)であることが明らかになった。研究者は、さらにエクソン配列が必要とされること、およびイントロンおよびプロモーター配列が、効果がないものの、RNAiを損なうようには見えなかったことを決定した。
【0006】
RNAiは、全身的に作用することができる。この全身的効力は、TimmonsおよびFireによって証明された(1998年のNature 395:854)。TimmonsおよびFireは、単純な実験を行い驚くべき結果を生じた。彼らは、線虫unc−22遺伝子に対応する二本鎖RNAを発現するように操作された細菌を線虫に摂食させた。トランスジェニック線虫は、unc−22突然変異体のものに類似の表現型を現した。線虫およびその他の生物における、この、およびその他の実験の多様な結果は、RNAiがRNAプロセシング後に細胞RNAを不安定化するように作用することを示す。
【0007】
二本鎖RNA(dsRNA)は、ショウジョウバエ、線虫、プラナリア、ヒドラ、トリパノゾーム、真菌および植物を含む多数のインビボ状況において遺伝子サイレンシングを引き起こすことができる。さらにまた、望ましくない遺伝子の発現を特異的にノックダウンする独特の能力を有する短鎖干渉RNA(siRNA)は、多様化されたヒト疾患の治療に対して多大な見込みを持つ。実際に、2009年には、疾患を治療するためにsiRNAを使用する12の進行中の臨床治験があったことが報告された。Cheng et al., siRNA Delivery and Targeting, Molecular Pharmaceutics, 2009, 6(3):649−650。12の進行中の治験のうち、8つの治験は、眼および呼吸器の疾患の局所的治療のために裸のsiRNAを使用した。Castanotto, et al., The promises and pitfalls of RNA−interference−based therapeutics, Nature, 2009, 457(7228):426−433。2013年2月には、国立保健研究所によって報告された28のsiRNA臨床的治験があった。国立保健研究所臨床試験ウェブサイトを参照されたい。28の治験の多くは、裸のsiRNAを使用するようである。
【0008】
siRNAの臨床適用は、非効率的な送達系によって制約される。具体的には、安全で、安定で、および効率的である送達媒体の欠如がある。現在まで、種々の送達系が提唱されてきた。このような系は、カチオン性リポソーム、細胞貫通ペプチド(CPP)およびカチオン性重合体を含む。Tseng et al., Lipid−based systemic delivery of siRNA, Advanced Drug Delivery Reviews, 2009, 61(9):721−731および Lewis et al., Systemic siRNA delivery via hydrodynamic intravascular injection, Advanced Drug Delivery Reviews, 2007, 59(2−3):115−123。
【0009】
リポフェクトアミン(登録商標)および脂質様材料などのカチオン性リポソームおよびカチオン性脂質は、高い有効性でインビトロでの研究のために広く使用されているが;しかし、毒性および低い効率がなおもこれらインビボでの適用を制限する。
【0010】
CPPに基づいたアプローチについては、RNAi分子が、有意に改善された送達効率で、複合体形成した粒子内にCPPまたはCPPバイオ抱合体と共に組織化される。Crombez et al., A New Potent Secondary Amphipathic Cell−penetrating Peptide for siRNA Delivery Into Mammalian Cells, Molecular Therapy, 2009, 17(1):95−103および Davis et al., Evidence of RNAi in humans from systemically administered siRNA via targeted nanoparticles, Nature, 2010, 464(7291):1067−U140。それにもかかわらず、このように組織化された構造の形成は、弱い非共有結合性の相互作用によって駆動され、これらの粒子は、一般に、特に血清ヌクレアーゼに対して不安定であったし、これがRNAiの分解および不十分なターゲティングをまねく。
【0011】
カチオン性重合体に基づいたアプローチのためには、siRNAは、主に静電的相互作用を介してカチオン性重合体で組織化される。カチオン性重合体の独特のプロトンスポンジ効果は、改善された細胞内送達効率をもつ複合体を形成する。しかし、CPPに基づいたアプローチに類似して、このように組織化された系は、不安定であり、およびこれらが標的細胞の原形質に到達する前に容易にこれらのsiRNAペイロードを分離し、および放出する。
【0012】
したがって、このような集中的な努力にもかかわらず、siRNAのための有効な送達媒体の設計および合成は、困難なままである。したがって、高度に強く、および有効である新規siRNA送達法を開発することに対して、継続した需要がある。この研究の成功は、実用的な治療的適用に対して低毒性および長い細胞内半減期をもつ一般的な送達プラットホームを提供するだろう。
【発明の概要】
【0013】
簡単な発明の概要
一定の態様において、本発明は、重合体シェルおよびRNAi分子を含む重合体ナノカプセルを含む。一定の態様において、重合体シェルは、表1から選択される1つまたは複数の正に荷電した単量体、表2から選択される1つまたは複数の架橋剤および表3から選択される1つまたは複数の中性の単量体を含む。一定の態様において、RNAi分子は、siRNAまたはshRNA DNAカセットである。
【0014】
一定の態様において、1つまたは複数の架橋剤は、分解可能な架橋剤対非分解性架橋剤の比を含む。一定の態様において、分解可能な架橋剤対非分解性架橋剤の比は、1:0、3:2、2:3または1:4を含む比から選択される。一定の態様において、架橋剤の全ては、分解可能な架橋剤である。一定の態様において、全ての分解可能な架橋剤は、グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラートである。
【0015】
一定の態様において、1つまたは複数の正に荷電した単量体は、アクリル−スペルミンである。一定の態様において、1つまたは複数の正に荷電した単量体は、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドハイドロクロライド、ジメチルアミノエチルメタクリラート、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハイドロクロライドおよび(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムハイドロクロライドを含む群から選択される。一定の態様において、1つまたは複数の正に荷電した単量体は、N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)アクリルアミド、N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド、N−(ピペラジン−1−イルメチル)アクリルアミド、N−(ピペラジン−1−イルメチル)メタクリルアミド、N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)アクリルアミドおよびN−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)メタクリルアミドを含む群から選択される。
【0016】
一定の態様において、重合体ナノカプセルは、アクリル−スペルミン、トリス−アクリルアミドおよび表2から選択される架橋剤を含む。
【0017】
一定の態様において、1つまたは複数の正に荷電した単量体は、3つのプロトン化可能なアミンを有する。一定の態様において、1つまたは複数の正に荷電した単量体は、2つのプロトン化可能なアミンを有する。一定の態様において、1つまたは複数の正に荷電した単量体は、1つのプロトン化可能なアミンを有する。
【0018】
一定の態様において、重合体ナノカプセルは、直径がおよそ20nm〜250nmである。
【0019】
一定の態様において、重合体ナノカプセルは、ターゲティング薬剤に抱合される。一定の態様において、ターゲティング薬剤は、シクロデキストリン、アダマンチン、CD4、CD8、CD45、aHLAおよびトランスフェリンを含む群から選択される。一定の態様において、ターゲティング薬剤は、特定の細胞タイプに重合体ナノカプセルを送達し、細胞タイプは、免疫細胞、血液細胞、心臓細胞、肺細胞、視覚細胞、肝細胞、腎臓細胞、脳細胞、中枢神経系細胞、末梢神経系細胞、癌細胞、ウイルスに感染した細胞、幹細胞、皮膚細胞、腸管細胞および/または聴覚細胞を含む群から選択される。一定の態様において、癌細胞は、リンパ腫細胞、固形腫瘍細胞、白血病細胞、膀胱癌細胞、乳癌細胞、大腸癌細胞、直腸癌細胞、子宮体癌細胞、腎臓癌細胞、肺癌細胞、メラノーマ細胞、膵臓癌細胞、前立腺癌細胞および甲状腺癌細胞を含む群から選択される細胞である。
【0020】
一定の態様において、重合体ナノカプセルは、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0021】
一定の態様において、本発明は、上記した1つまたは複数の重合体ナノカプセルを含む医薬組成物を含む。
【0022】
一定の態様において、本発明は、本明細書において記述したナノカプセルの医薬組成物で遺伝子の過剰発現によって特徴づけられる疾患を治療する方法であって、siRNAまたはshRNAが過剰発現された遺伝子の発現をノックダウンし、または減少し、これによって疾患を治療する、方法を含む。
【0023】
一定の態様において、本発明は、siRNA重合体ナノカプセルを作製する方法を含む。一定の態様において、siRNAは、RNase−フリー水に溶解される。一定の態様において、表1から選択される1つまたは複数の正に荷電した単量体および表2から選択される1つまたは複数の架橋剤は、脱酸素化され(in)、および脱イオン水に溶解されて単量体混合物を生じる。一定の態様において、上記の通りの溶解したsiRNAは、単量体混合物と合わせられる。一定の態様において、過硫酸アンモニウムおよびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンが混合物に添加される。一定の態様において、混合物は、無血清培地においてインキュベートされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】DNAカセットナノカプセルの合成および送達の図解を示す:1)DNAカセットの周りの親水性単量体A、正に荷電した単量体B、分解性架橋剤Cおよび非分解性架橋剤Dの自己組織化;2):インサイチュー重合を介するDNAカセットナノカプセルの形成;3):送達;IV):DNAカセットの放出およびsiRNAの発現。
図2】単一のsiRNAナノカプセルの合成および送達の模式的な図解を示す。模式図の工程Iは、負に荷電したsiRNAと相互作用する正に荷電した重合性単量体を示す。模式図の工程IIは、それぞれのsiRNA分子を包む重合体ネットワークを作製するための、pH分解性架橋剤および親水性単量体の重合を示す。模式図の工程IIIは、コアを持つsiRNAを加水分解から保護する架橋シェルを示す。模式図の工程IVは、血清(pH〜7.4)における重合体ナノカプセルの安定性およびこれらが、原形質にsiRNAを放出するシェルの分解によるエンドソームから逸脱する能力を示す。 より具体的には、工程Iは、以下を示す:正に荷電した、重合性単量体、アクリル−スペルミン(1)から開始し、静電的相互作用が、負に荷電したsiRNAの表面の周りに1を濃縮する。工程IIは、以下を示す:pH分解性架橋剤(2)および親水性単量体(3)を含む、水性溶液におけるその後の室温重合が、重合体ネットワークの薄いシェルでそれぞれのsiRNA分子を包む。工程IIIは、以下を示す:架橋されたシェルウェルは、コアを持つsiRNAを加水分解から保護する;一方で、1対3の比を調整することにより、表面電荷の精密制御を可能にして重合体ナノカプセルの有効な細胞形質導入を確実にする。工程IVは、以下を示す:(2)は、中性pHにおいて安定であるが、pH〜5.4の後期エンドソームなどの酸性環境において迅速に分解する。この独特の応答性の設計が、血清(pH〜7.4)において顕著な安定性をもつ重合体ナノカプセルを提供するだろうと考えられ、一方で、シェルの分解によるエンドソームからのこれらの逸脱を可能にし、細胞質にsiRNAを放出する。さらにまた、この合成アプローチは、重合体ナノカプセル表面へのターゲティング成分(たとえば、抗体)の固定を可能にし、siRNAのターゲットされた送達を可能にする。
図3】DNAカセットおよびナノカプセルの画像および写像を示す。図2Aは、DNAカセットのゲル電気泳動画像を示す。レーンaは、CCR5 shRNAであり、およびレーンbは、EGFP shRNAである。図2Bは、DNAカセットのTEM画像を示す(スケールバー=100nm)。図3Cは、DNAカセットナノカプセルのTEM画像を示す(DNA対図1および実施例1および実施例2において示した3つの反応物のモル比sA、B、C=1:750:750:30)。
図4】重合体ナノカプセルおよびこれらが分解を妨げる能力を示す。図4Aは、siRNAナノカプセルのTEM画像を示す。図4Bは、FITC標識されたsiRNAナノカプセルを形質導入したHEK−293 T細胞の蛍光(fluorescence)および光学的画像を示す。図4Cは、CCR5にターゲットしたsi1005 siRNAナノカプセルを形質導入されたHEK−293 T細胞(右)の蛍光(fluorescence)画像を示し、CCR5−mCherry融合タンパク質のノックダウンを示す(対照としての対照siRNAナノカプセル(左))。図4Dは、活性ヒト血清の非存在または存在下における、siRNAナノカプセル(1、3、5、7)およびsiRNA Lipofectamine(登録商標)(Invitrogen(登録商標))(2、4、6、8)によるCCR5−mCherryノックダウンを示す。
図5】Alexa592標識DNAカセットナノカプセルを形質導入されたHEK−293T細胞を示す。図5Aは、細胞の光学的画像を示す。図5Bは、細胞の蛍光画像を示す。図5Cは、細胞のフローサイトメトリーグラフを示す。図5Dは、CCR5−shRNA DNAカセットナノカプセル(100μL中2.5×104細胞当たりDNA100ng)による、CCR5−ルシフェラーゼのノックダウンを示す。これらの実験において、細胞に、4時間100nMにてAlexa592標識DNAカセットナノカプセルを投与した。次いで、ナノカプセルを取り除いて、細胞をPBSで3回洗浄した。トリプシン処理後、細胞をLeica Zeiss Axio Observerで撮影し、およびまた、フローサイトメーターによって解析した。
図6】Dnase Iに対するDNAカセットの、並びにヌクレアーゼ(nulcease)およびヒト血清に対するsiRNAの感受性を示す。図6Aは、Dnase Iへの天然のDNAカセットおよびDNAナノカプセルの感受性を示す。それぞれ、Lipofectamine(登録商標)と複合体を形成したDNAカセットおよびDNAナノカプセルを、Dnase I無しおよびDnase Iと1時間インキュベートした。試料を、2%アガロースゲルで泳動し、およびImageQuant LAS4000で撮像した。図6Bは、ヌクレアーゼ(nulcease)および血清に対するsiRNAの感受性を示す。それぞれ、リポフェクトアミンと複合体を形成したsiRNAおよびsiRNAナノカプセルを、ヌクレアーゼ(上)およびヒト血清(下)と1時間インキュベートした。次いで、siRNAsを、クロロホルム/0.1%SDS−0.5M塩化ナトリウムでリポフェクトアミンおよびナノカプセルから抽出した。試料を4%アガロースゲルで泳動し、ImageQuant LAS4000で撮像した。
図7】CCR5 DNAカセットナノカプセルを形質導入されたHEK−293T細胞の生存度を示す。HEK−293T細胞を、無血清培地中、37℃にて、4時間、0、0.1、0.2および0.4pmolにてDNAカセットナノカプセルで処理した。次いで、培地を、10%ウシ胎仔血清を伴うDMEMに変えた。24時間後、細胞生存度を、96ウェルプレートリーダーを使用して、CytoToxGlowキットを介して決定した。
図8】HEK−293T細胞におけるCCR5−ルシフェラーゼのノックダウンを示す。図8Aは、CCR5 DNAカセットナノカプセルを形質導入されたHEK−293T細胞におけるCCR5−ルシフェラーゼのノックダウンを示す。図8Bは、CCR5 siRNA Lipofectamine(登録商標)複合体を形質導入されたHEK−293T細胞におけるCCR5−ルシフェラーゼのノックダウンを示す。HEK−293T細胞を無血清培地中、37℃にて、4時間、0、0.1、0.2および0.4pmolにてDNAカセットナノカプセルおよび0、50、100および200pmolにてsiRNA Lipofectamine(登録商標)複合体で処理した。次いで、培地を、10%ウシ胎仔血清を伴うDMEMに変えた。48時間後、ルシフェラーゼ活性を、96ウェルプレートリーダーを使用して決定した。
図9A】CCR5−shRNA DNAカセットナノカプセル(nanocpsule)の分解速度を示す。図9Aは、分解性および非分解性架橋剤の混合物で調製したCCR5−shRNA DNAカセットナノカプセルの分解速度を示す。
図9B図9Bは、水においてDLSによってモニターしたCCR5−shRNA DNAカセットナノカプセルの安定性を示す。重合体ナノカプセルの最初のシェルの厚みは、R−R*から見積もられ、Rは、DNAナノカプセルの初期直径であり、およびR*は、DNA分子の直径(分解後の最終直径)である。分解程度は、[R−R]/[R−R*]×100%として算出され、Rは、ナノカプセルの直径である。
図10】分解性架橋剤(グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラート、GDGDA)対非分解性架橋剤(N,N’−メチレンビスアクリルアミド(methylenesbisacrylamide) 、BIS)の異なる比(5:0;3:2;2:3および1:4)でのsh1005 DNAカセットナノカプセルによるHEK293細胞におけるCCR5のダウンレギュレーションを示す。培養0日目において、細胞に、4時間DNAカセットナノカプセルを形質導入した。培養3、5および9日目において、細胞を抗CCR5で標識し、フローサイトメトリーによって解析した。
図11】表1からの正に荷電した単量体#1〜#14で調製されたナノカプセルがルシフェラーゼを発現するCWR細胞におけるルシフェラーゼ遺伝子発現をノックダウンする能力を示す。図から分かるように、ルシフェラーゼ発現の最善のノックダウンは、正に荷電した単量体#1、#2、#7および#8で調製されたナノカプセルで達成された。
図12】表2からの架橋剤#1〜#5で調製されたナノカプセルがルシフェラーゼを発現するCWR細胞におけるルシフェラーゼ遺伝子発現をノックダウンする能力を示す。図から分かるように、ルシフェラーゼ発現の最善のノックダウンは、架橋剤#1(すなわち、2−ヒドロキシエチルメタクリラート)で調製されたナノカプセルで達成された。
図13】中性単量体がsiRNAナノカプセルのサイズに影響を及ぼす能力を示す。図で分かるように、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル)アクリルアミドは、最も小さなナノカプセル(25nm未満)を生じ、およびアクリルアミドは、最も大きなナノカプセル(200nmを上回る)を生じた。
図14】ルシフェラーゼsiRNAナノカプセルを使用することによるルシフェラーゼ遺伝子発現のノックダウンを示す。図14Aは、ルシフェラーゼsiRNAナノカプセルおよび対照siRNAナノカプセルを使用する、CWR細胞におけるルシフェラーゼ遺伝子発現のノックダウンを示す。図14Bは、siRNAナノカプセル処理後の細胞生存度を示す。CWR細胞を無血清培地において37℃にて4時間、0、20、50、100、200および300nMにてsiRNAナノカプセルで処理した。次いで、培地を、10%ウシ胎仔血清を伴うDMEMに変えた。48時間後、ルシフェラーゼ活性を、96ウェルプレートリーダーを使用して決定した。
図15】ナノカプセルのpH滴定曲線を示し、および重合体ナノカプセルの1つが、pH 7.3および5.5の間でPEI25Kの緩衝液能力の約60%を有することを確認する。ナノカプセルの緩衝能力を酸塩基滴定によって測定した。pH10に最初に合わせたナノカプセル溶液(イオン化できる(ioniziable)アミン基の総モル濃度の点から8.3mM)を0.01M塩酸で滴定した。pHプロフィールを室温にて記録した。
図16】BSA対照ナノ粒子のTEM画像を示す。これは、siRNAナノカプセルのものと同じ製剤を使用して合成し、および画像において暗いコアを示さない。BSAを20μMにて20μLのRnaseフリーの水に溶解した。次いで、0.5mLの脱酸素化して脱イオン化した水に溶解した、アクリル−スペルミン、トリス−アクリルアミドおよびグリセロールジメタクリラート(モル比=5:5:1)の特定量を、微小遠心管においてBSAと混合した(BSA対アクリル−スペルミンの最終的なモル比=1:220)。BSAの表面からのラジカル重合を2μLの1%過硫酸アンモニウム溶液および1μLの5%のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを添加することによって開始した(BSA対アクリル−スペルミンの最終的なモル比=1:240)。反応を窒素雰囲気において60分間進行させた。
図17】動的光散乱によって決定されたsiRNAナノカプセルの1つの表面電荷を示す。
図18】動的光散乱によって決定されたsiRNAナノカプセルの1つのサイズおよびサイズ分布を示す。光散乱によって得た24.6nmの平均直径は、TEMによって得た20nmの平均直径と一致する。
図19】血清の存在および非存在下におけるsiRNAナノカプセルの1つによるルシフェラーゼのノックダウンを示す。
図20】pH 5.4またはpH 7.4下でのsiRNAナノカプセルの分解プロフィールを示す。
図21】単量体の自己組織化後のsiRNAの吸収変化を示す。siRNA(上部)の吸収は、siRNA−単量体複合体(下部)の形成後に減少した。
図22】CD4受容体を発現する293細胞に対するsiRNAのターゲティング送達を示す。図22Aは、抗CD4抗体と抱合したFITC標識されたsiRNAナノカプセルと4時間インキュベーション後のCD4受容体を発現する293細胞のフローサイトメトリーグラフを示す。図22Bは、抗CD4抗体と抱合したFITC標識されたsiRNAナノカプセルと4時間インキュベーション後のCD4受容体のない正常293細胞のフローサイトメトリーグラフを示す。1mg/mLにてpH=8.7 HEPES緩衝液中に溶解した100μLの抗CD4抗体を1mg/mLにて10μLの2−イミノチオラン(Iminothiolane)(Trout試薬)と30分間反応させた。次いで、修飾抗CD4抗体を、一晩10μMにて100μLのFITC標識されたsiRNAナノカプセルとインキュベートする。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
便宜のために、明細書、実施例および添付の請求の範囲において使用される一定の用語および句の意味を以下に提供してある。
【0026】
本明細書に使用される、「標的」という用語は、転写のためのマトリックスとして役立つ全ての転写された領域を含むDNAまたはRNA鎖の切片に相補的である二本鎖DNAまたはRNAのDNAまたはRNA鎖の切片をいう。標的遺伝子、通常センス鎖は、その発現がRNA干渉を介して選択的に阻害され、またはサイレンスされる遺伝子である。
【0027】
本明細書に使用される、「重合体ナノカプセル」という用語は、「重合体シェル」および「RNAi分子」を含む組成物をいう。
【0028】
本明細書に使用される、「重合体シェル」という用語は、1つまたは複数の正に荷電した重合体単量体、1つまたは複数の架橋剤および任意に1つまたは複数の中性重合体単量体を含むRNAi重合体ナノカプセルの重合体部分をいう。正に荷電した単量体、架橋剤および中性単量体の例は、表1、表2および表3に提供してある。
【0029】
本明細書に使用される、「RNAi分子」という用語は、RNA干渉において役割を担うRNAまたはDNA分子をいう。具体的には、RNAi分子は、本明細書において開示したとおりのshRNA、siRNAまたはdsRNAをいう。小ヘアピンRNA(shRNA)は、RNA干渉によって遺伝子発現をサイレンスするために使用することができる堅固なヘアピンターンを形成するRNA配列である。shRNAは、DNAプラスミド、ウイルスベクターまたは細菌ベクターを使用して標的細胞に送達することができる。本明細書に使用される、shRNAは、DNAカセットを使用して細胞に送達することができる。二本鎖RNA(dsRNA)は、広範なウイルスの群を含む。低分子干渉RNA(siRNA)は、二重鎖RNA分子の分類である。siRNAsは、短い(一般に長さが約20−25塩基対)。siRNAは、RNA干渉によって遺伝子発現をサイレンスするために使用することができる。さらにまた、siRNAは、またウイルスおよびレトロウイルス感染などの、RNAiに関連した経路においても作用することができる。
【0030】
本明細書に使用される、「分解性重合体」および「非分解性重合体」という用語は、本明細書において記述した重合体がより小さな断片に分解する能力をいう。本発明の一定の態様において、分解性重合体は、生理的pHにて壊れることができる。一定の態様において、分解性重合体は、およそpH 7.4にて分解することができる。一定の態様において、分解性および非分解性重合体の混合物により、分解性重合体混合物を得ることができる。一定の態様において、分解性および非分解性重合体の混合物は、生理的pHにて分解することができる。一定の態様において、分解性および非分解性重合体の混合物は、およそpH 7.4にて分解することができる。
【0031】
本明細書に使用される、「突然変異体遺伝子」および「標的突然変異体遺伝子」という用語は、対応する正常な、変異されていない細胞の遺伝子(本明細書において「対応する野生型遺伝子」といわれる)に相対的に少なくとも1つの点突然変異を含む遺伝子をいう。突然変異体遺伝子および標的突然変異体遺伝子という用語は、具体的には、その発現が疾患または障害と関連する正常細胞の遺伝子(たとえば、癌遺伝子)また遺伝子断片の任意の変異体を包含する。
【0032】
本明細書に使用される、「抱合体」または「抱合体薬剤」または「表面に抱合されたターゲティング薬剤」または「重合体ナノカプセル抱合体」という用語は、重合体ナノカプセルに抱合され、および特異的細胞タイプの表面に対する重合体ナノカプセルの特異的ターゲティングを提供し、これにより特異的細胞タイプに対するsiRNAまたはshRNAの送達を指揮するタンパク質またはその有効な部分などの任意の部分をいう。たとえば、接合体薬剤は、細胞特異的な細胞表面受容体に結合し、これにより重合体ナノカプセルを標的細胞のすぐ近くにさせることができる。一定の態様において、重合体ナノカプセルの特異的ターゲティングを達成するために使用される接合体は、CD4、CD8、CD45、CD133、aHLAおよびトランスフェリンを含む。その他の態様において、接合体は、細胞特異的抗体またはその断片であることができる。細胞タイプに特異的にターゲットするために使用される抱合体のさらなる例は、詳細な説明において下に記述してある。
【0033】
「相補的RNA鎖」という用語(また本明細書において「アンチセンス鎖」ともいわれる)は、標的遺伝子の発現の間に形成されるmRNA転写物またはそのプロセシング産物に相補的であるdsRNAの鎖をいう。本明細書に使用される、「相補的ヌクレオチド配列」という用語は、標的突然変異体遺伝子(すなわち、標的遺伝子の「対応するヌクレオチド配列」)のmRNA転写物の領域に相補的である相補的RNA鎖上の領域をいう。「dsRNA」は、2つの相補的な、および逆平行の核酸鎖を含む二重鎖構造を有するリボ核酸分子をいう。dsRNAの全てのヌクレオチドが、Watson−Crick塩基対を示さなければならないというわけではない。塩基対の最大数は、dsRNAで最も短い鎖におけるヌクレオチドの数である。RNA鎖は、同じまたは異なるヌクレオチドの数を有してもよい。相補的RNA鎖の相補的ヌクレオチド領域は、25未満、好ましくは19〜24、より好ましくは20〜24、さらにより好ましくは21〜23および最も好ましくは22または23ヌクレオチドの長さである。相補的RNA鎖は、30未満、好ましくは25未満、より好ましくは21〜24および最も好ましくは23ヌクレオチドの長さである。標的突然変異体遺伝子の発現を阻害する際に、この長さの相補的またはアンチセンス鎖(「短鎖干渉RNA」または「siRNA」として公知)を含むdsRNAは、特に効率的である。「に導入すること」は、当業者によって理解されるとおり、細胞における取り込みまたは吸収を意味する。dsRNAの吸収または取り込みは、細胞プロセスを介して、または補助薬剤もしくは装置によって行うことができる。たとえば、インビボでの送達のためには、dsRNAを組織部位に注射すること、または全身投与することができる。インビトロでの送達は、エレクトロポレーションおよびリポフェクションなどの当該技術分野において公知の方法を含む。
【0034】
本明細書に使用される、「発現の選択的阻害」は、dsRNAが標的突然変異体遺伝子の発現に対して、対応する野生型遺伝子に対するよりも優れた阻害作用を有することを意味する。好ましくは、標的突然変異体遺伝子の発現レベルは、対応する野生型遺伝子の発現レベルの98%未満、95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満または10%未満である。
【0035】
本明細書に使用され、および当技術分野において公知のとおり、「同一性」という用語は、配列を比較することによって定まる、2つ以上のポリヌクレオチド配列の関係である。また、同一性は、一連のこのような配列の間のマッチによって定まる、ポリヌクレオチド配列の間の配列相関性の程度を意味する。同一性は、容易に算出することができる(たとえばComputation Molecular Biology, Lesk, A. M., eds., Oxford University Press, New York (1998)および Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York (1993)を参照されたい、これらの両方が本明細書において参照により援用される)。2つのポリヌクレオチド配列間の同一性を測定するための多数の方法が存在するが、本用語は当業者に周知である(たとえば、Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press (1987); およびSequence Analysis Primer, Gribskov., M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York (1991)を参照されたい)。配列間の同一性を決定するために一般に使用される方法は、たとえばCarillo, H., and Lipman, D., SIAM J. Applied Math. (1988) 48:1073に開示されたものを含む。本明細書に使用される、「実質的に同一」は、dsRNAのセンス鎖と標的遺伝子の対応する部分との間に非常に高い程度の相同性(好ましくは100%の配列同一性)があることを意味する。しかし、90%または95%を上回る配列同一性を有するdsRNAを本発明において使用してもよく、およびしたがって、遺伝子突然変異、株多型または進化の多様性のために予想され得る配列変異が許容され得る。100%の同一性が好ましいが、dsRNAは、RNAと標的遺伝子との間に単一または複数の塩基対ランダムミスマッチを含んでもよい。
【0036】
本明細書に使用される、「治療」という用語は、疾患、疾患の症候または疾患への素因を、治療する、治癒する、緩和する、軽減する、変化させる、直す、寛解させる、改善する、または影響を及ぼす目的で、障害、たとえば疾患または状態、疾患の症候または疾患への素因を有する、患者に対する治療的薬剤の適用もしくは投与、または患者からの摘出組織もしくは株化細胞に対する治療的薬剤の適用または投与をいう。
【0037】
本明細書に使用される、「医薬組成物」は、dsRNAの薬理学的に有効な量および薬学的に許容される担体を含む。本明細書に使用される、「薬理学的に有効な量」、「治療的に有効な量」または単に「有効量」は、意図された薬理学的、治療的または予防的結果を生じるのに有効なRNAのその量をいう。たとえば、所与の臨床的治療が、疾患または障害と関連する測定可能なパラメーターにおける少なくとも25%の減少があるときに有効であるとみなされる場合、その疾患または障害の治療のための薬物の治療的に有効な量は、そのパラメーターにおける少なくとも25%の減少を生じさせるために必要な量である。
【0038】
「薬学的に許容される担体」という用語は、治療的薬剤の投与のための担体をいう。このような担体は、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびこれらの組み合せを含むが、限定されない。本用語は、細胞培養培地を具体的に除外する。経口的に投与される薬物については、薬学的に許容される担体は、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤などの薬学的に許容される賦形剤を含むが、限定されない。適切な不活性希釈剤は、ナトリウムおよび炭酸カルシウム、ナトリウムおよびリン酸カルシウムおよびラクトースを含み、一方で、トウモロコシデンプンおよびアルギン酸は、適切な崩壊剤である。結合剤は、デンプンおよびゼラチンを含んでもよく、一方で、平滑剤は、存在する場合、一般にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであるだろう。必要に応じて、錠剤は、胃腸管における吸収を遅延させるためにグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなどの材料で被覆されていてもよい。
【0039】
導入
RNA干渉は、特異的遺伝子発現をサイレンスするための強力なツールであり、および様々なRNAiに基づいた療法がヒト疾患について考慮されている。しかし、ヒトにおける適用のためのRNAiの有効な使用にとっての主な障害は、細胞へのその有効な送達である。たとえば、レンチウイルスベクターによる造血幹細胞への短鎖ヘアピンshRNAの形質導入は、siRNAの内因性合成を可能にすることが示されており、持続可能な遺伝子サイレンシングを提供することができる。しかし、移植手順において使用される毒性の骨髄破壊療法および遺伝子修飾された細胞の移植の制限は、現在広い適用を制約する。
【0040】
カチオン性リポソーム、細胞透過ペプチド(CPP)およびカチオン性重合体を含む様々な非ウイルスsiRNA送達系が提唱されてきた。リポフェクトアミン(登録商標)および脂質様材料などのカチオン性脂質は、インビトロ研究のために広く使用されており、および特に肝臓におけるインビボ遺伝子サイレンシングための可能性が示されている。CPPに基づいたアプローチの一例として、siRNAを複合形成された粒子内にCPPまたはCPPバイオ接合体と共に組織化して、著しく向上された送達効率を生じることができる。それにもかかわらず、このような構造の形成は、弱い非共有性の相互作用によって駆動され、およびこれらの粒子は、一般に、特に血清ヌクレアーゼに対して不安定であった。
【0041】
カチオン重合体に基づいたアプローチのためには、siRNAを、静電的相互作用を介して主にカチオン性重合体と共に組織化することができる。たとえば、ターゲティング薬剤としてトランスフェリンを伴うカチオン性重合体に基づいたナノ粒子は、ヒトにおいて腫瘍にsiRNA分子を送達し、およびリボヌクレオチド還元酵素サブユニットRRM2、抗癌標的の発現を減少させることを示した。しかし、CPPに基づいたアプローチと同様に、このような系は、非共有性の静電的自己組織化に基づいており、これは血流内で電解質およびポリイオンからの競合を有する。したがって、集中的な努力にもかかわらず、siRNAのための有効な送達媒体の設計および合成は、困難なままである。
【0042】
上で記述した困難にもかかわらず、siRNAは、特異的遺伝子を調節し、および対応するタンパク質の発現を制御するこれらの独特の能力に起因して、多様なヒト疾患の治療のための広い可能性を持つ最も有望かつ特異的な薬剤候補の1つになった。インビトロにおけるsiRNA送達のための現在の市販の製品は、リポフェクションおよびヌクレオフェクションを含む。これらの2つの方法は、多くの株化細胞において広く(widly)適用できるが、送達効率および初代細胞における毒性は、大変困難なままである。
【0043】
siRNAのインビボ送達については、全身投与を介した哺乳類におけるsiRNAによって媒介される遺伝子サイレンシングが裸のsiRNAを使用して達成された。しかし、この投与は、ヒトに適合性でなく、およびヒトにおける使用のために多くの制限を有する。いくつかの最近の研究は、アルギニンペプチド、CpGオリゴヌクレオチドおよびプロタミンのように正に荷電したペプチドまたはタンパク質を使用してマウスモデルおよび非ヒト霊長類において改善されたsiRNA送達を示した。Crombez et al., A New Potent Secondary Amphipathic Cell−penetrating Peptide for siRNA Delivery Into Mammalian Cells, Molecular Therapy, 2009, 17(1):95−103。もう一つの最近の研究は、メラノーマ細胞にターゲットされるsiRNAナノ粒子の全身投与を介した、ヒトにおけるRNAi機構の存在を証明する。Davis et al., Evidence of RNAi in humans from systemically administered siRNA via targeted nanoparticles, Nature, 2010, 464(7291):1067−1070。それにもかかわらず、ターゲティング部位への高度に有効な送達は、なおも主要な障壁として残り続けている。加えて、有害な免疫応答がsiRNAによって引き起こされる可能性も解決されないままである。
【0044】
本明細書において記述したとおりの、高度に安定化されたRNAi分子重合体ナノカプセル(「重合体ナノカプセル」)は、インサイチュー重合技術を介して作られ、これはデザインされた電荷および特性をもつRNAi分子の表面をカバーする保護的な架橋された分解性重合体シェルを導入した。この架橋された重合体シェルは、Rnase分解、温度解離および血清不活性化からの保護をRNAi分子に提供する。さらにまた、重合体ネットワークの分解性は、RNAi分子に徐放特性を付与し、より少ない細胞内免疫応答を生じる。重合体ナノカプセルの電荷を調整することにより、ヒト細胞へのRNAi分子の送達効率が達成された。さらにまた、293T、Hela、CEMおよびPBMCを含む広く多様な細胞への効率的なRNAi分子送達は、高度に正に荷電したナノカプセルで達成された。
【0045】
さらにまた、最適化されたナノカプセル上に表面に抱合体形成されたターゲティング薬剤は、T細胞などの関心対象の細胞内へのRNAi分子の良好なターゲットされた送達を提供した。RNAi分子送達に提供された多様化され、かつ制御可能な非ターゲティングおよびターゲティング能力は、任意の所望の遺伝子発現をノックダウンするために、RNAi分子を使用する多くのインビトロ試験および臨床的適用において重要な意味を有するだろう。
【0046】
重合体ナノカプセル
本発明は、架橋された重合体ナノカプセル内にRNAi分子をインプリントするための、自己組織化によるおよびインサイチュー重合技術における新規ストラテジーを提供する。一定の態様において、重合体ナノカプセルは、直径がおよそ20−100nmである。重合体ナノカプセルの小さな直径は、外部のRNase攻撃および血清中和からのRNAi分子の保護を最大にする。
【0047】
具体的態様において、重合体ナノカプセルは、10nm−20nm、20−25nm、25nm−30nm、30nm−35nm、35nm−40nm、40nm−45nm、45nm−50nm、50nm−55nm、55nm−60nm、60nm−65nm、70−75nm、75nm−80nm、80nm−85nm、85nm−90nm、90nm−95nm、95nm−100nmまたは100nm−110nmである。具体的態様において、重合体ナノカプセルは、およそ10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、25nm、26nm、27nm、28nm、29nm、30nm、31nm、32nm、33nm、34nm、35nm、36nm、37nm、38nm、39nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、73nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、81nm、82nm、83nm、84nm、85nm、86nm、87nm、88nm、89nm、90nm、91nm、92nm、93nm、94nm、95nm、96nm、97nm、98nm、99nm、100nm、101nm、102nm、103nm、104nm、105nm、106nm、107nm、108nm、109nm、110nm、111nm、112nm、113nm、114nm、115nm、116nm、117nm、118nm、119nmまたは120nmの直径である。具体的態様において、重合体ナノカプセルは、120nm−130nm、130nm−140nm、140nm−150nm、150nm−160nm、160nm−170nm、170nm−180nm、180nm−190nm、190nm−200nm、200nm−210nm、220nm−230nm、230nm−240nm、240nm−250nmまたは250nmより大きい直径である。
【0048】
一定の態様において、本明細書において開示した重合体ナノカプセルのさらなる利点は、非ターゲティングおよびターゲティング能力、より高い効率およびより低い有害な免疫応答を含む。たとえば、より高い効率は、さらなる取り込みおよびより定方向の送達から生じ得る。
【0049】
さらに、保護ナノカプセル内の高度に安定化されたRNAi分子は、一旦ナノ構造重合体シェルがエンドソームおよびリソソームにおいて分解されると、完全に放出させることができる。一定の態様において、非ターゲティング重合体にカプセル化されたRNAi分子は、リポソーム形質導入によって生じる低効率および高い毒性と比較して、優れた効率および非細胞毒性でインビトロにおいてPBMCなどの初代細胞に形質導入することができる。
【0050】
重要なことに、適切な重合体電荷を選択し、およびデザインすることによって、具体的目的(本明細書において記述した重合体(polymner)ナノカプセルに部分を抱合することによるターゲティングなど)のためにRNAi分子送達の方法を調節することができる。
【0051】
一定の態様において、分解可能な架橋剤対非分解性架橋剤の比は、1:1、1:2、2:1、1:3、2:3、3:1、3:2、4:1、1:4、4:3、3:4、5:1、1:5、2:5、5:2、5:3、3:5、4:5、5:4、6:1、1:6、1:7、7:1、2:7、7:2、3:7、7:3、4:7、7:4、5:7、7:5、6:7、7:6、8:1、1:8、3:8、8:3、5:8、8:5、7:8、8:7、9:1、1:9、2:9、9:2、4:9、9:4、5:9、9:5、7:9、9:7、8:9、9:8、10:1、1:10、3:10、10:3、7:10、10:7、9:10、10:9または当業者には使用することがが公知だろう任意のその他の比である。
【0052】
一定の態様において、分解可能な架橋剤は、表2における架橋剤1、2、3、4または6の1つまたは複数である。一定の態様において、非分解性架橋剤は、表2における架橋剤5である。
【0053】
一定の態様において、重合体ナノカプセルは、1時間または2時間または3時間または4時間または5時間または6時間または7時間または8時間または9時間または10時間または11時間または12時間または13時間または14時間または15時間または16時間または17時間または18時間または19時間または20時間または21時間または22時間または23時間または1日または2日または3日または4日または5日または6日または1週間または2週間または3週間または1ヵ月またはこれらの任意の組み合わせで分解するようにデザインされる。一定の態様において、重合体ナノカプセルが生理的pHにて上記の割合のいずれかにて分解するようにデザインされている。具体的態様において、重合体ナノカプセルは、その必要のある被験体に対する投与後に上の割合のいずれかにて分解するようにデザインされる。
【0054】
具体的態様において、RNAi分子は、インビボにおいて特異的部位に効率的に送達することができる。一定の態様において、ターゲティング薬剤(すなわち、抱合体または抱合体薬剤)は、重合体ナノカプセルに抱合される。一定の態様において、抱合体は、重合体粒子からのターゲティング薬剤の解離を妨げる。具体的態様において、シクロデキストリンおよびアダマンタンは、ターゲティング薬剤抱合のために使用することができる。
【0055】
一つの態様において、本発明は、インビトロ試験および静脈内注射を経た特異的組織および器官に対するインビボターゲティングに対して高い効率および低い毒性でターゲットされないおよびターゲットされた重合体ナノカプセルRNAi分子送達を使用して実践される。
【0056】
また、架橋された重合体に起因するRNAi分子の増強された安定性により、それがターゲティング部位に到達する前の体におけるその長期の循環を保証する。全体として、本明細書において記述した新規RNAi分子送達技術は、インビトロおよび予測されるインビボの両方で、顕著な効率、増大された安定性および軽微な毒性を有する。
【0057】
単量体および架橋剤
異なる単量体および架橋剤を、インサイチュー重合によってRNAi分子をカプセル化するために、使用することができる。
【0058】
一定の態様において、正の単量体は、以下の構造を有し:
【化1】

式中、
20は、非置換のC−Cアルキルであり
21は、以下からなる群より選択され:
【化2】

式中、mは、1から5の整数であり;
22は、Hまたは非置換のC−CアルキルまたはNR2526で置換されたC−Cアルキルであり、式中
25およびR26は、Hまたは非置換のC−Cアルキルまたはアミノで置換されたC−CアルキルまたはNR2728で置換されたC−Cアルキルから独立して選択され、式中、
27およびR28は、Hまたは非置換のC−Cアルキルまたはアミノで置換されたC−Cアルキルから独立して選択され、
23は、Hまたは非置換のC−Cアルキルまたはアミノで置換されたC−CアルキルまたはNR2930で置換されたC−Cアルキルであり、式中、
29およびR30は、Hまたは非置換のC−Cアルキルまたはアミノで置換されたC−CアルキルまたはNR3132で置換されたC−Cアルキルから独立して選択され、式中、
31およびR32は、Hまたは非置換のC−Cアルキルまたはアミノで置換されたC−Cアルキルから独立して選択され、
およびR22およびR23は、任意に結合して5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し;および
24は、孤立電子対または非置換のC−Cアルキルである。
【0059】
一定の態様において、架橋剤は、以下の構造を有する:
【化3】


式中Rは、非置換のC−Cアルキルであり、
は、非置換のC−Cアルキルであり、
およびAは、以下からなる群より選択され:
【化4】

式中R10は、非置換のC−Cアルキレン;
アミノ酸;
2から10のアミノ酸からなるペプチドであり;
【化5】

式中R11は、非置換のC−Cアルキレンであり、およびR12は、非置換のC−Cアルキレンであり;
【化6】

式中nは、1から10までである;および
【化7】

式中R13は、非置換のC−Cアルキレンであり、およびR14は、非置換のC−Cアルキレンである。
【0060】
一定の態様において、中性単量体は、以下の構造を有する:
【化8】


式中R1は、非置換のC1−C4アルキルであり、およびR2は、アミノまたはヒドロキシ置換されたアルキルで置換されたアミノまたはORであり、式中R3は、ヒドロキシアルキルである。
【0061】
単量体の非限定的な例を、表1および3に示す。架橋剤の非限定的な例を、表2において見いだすることができる。抗体、ペプチドまたは成長因子などの、ターゲティング薬剤は、下記のように、重合体と共有結合的にまたは非共有結合的に抱合することができる。
【0062】
表1. RNAi分子重合体ナノカプセルのための正に荷電した単量体の非限定的な例(*単量体は市販ではなく、およびこれらのナノカプセル(nanocaspule)の製造のために特別に合成した)。
【表1】
【0063】
表2. RNAi分子重合体ナノカプセルのための架橋剤の非限定的な例。
【表2】
【0064】
表3. RNAi分子重合体ナノカプセルのための中性単量体の非限定的な例。
【表3】
【0065】
重合体ナノカプセル抱合体
一定の態様において、細胞へのRNAi分子のターゲットされた送達を、最適化したナノカプセルにおいて表面複合ターゲティング薬剤を使用して達成する。特に興味深いのは、重合体ナノカプセル抱合体は、免疫、肺性、肺、眼、肝臓、腎臓、脳、中枢神経系、末梢神経系、心臓、癌、増殖性、ウイルスにまたはレトロウイルスに感染した、幹、皮膚、腸管および/または聴覚の細胞をターゲットするために使用することができる。
【0066】
一定の態様において、重合体ナノカプセルの特異的ターゲティングを達成するために使用される抱合体は、CD4、CD8、CD45、CD133、aHLAおよびトランスフェリンを含む。一定の態様において、重合体ナノカプセルの特異的ターゲティングを達成するために使用される抱合体は、分化のクラスターまたはデジグネーションクラスター(CD)マーカーのいずれか1つまたは複数を含む。たとえば、CDマーカーは、CDXを含み、Xは1〜340のいずれか1つであることができる。本明細書において記述したように、たとえば、「CD1」という用語は、全てのCD1変異体およびサブタイプを意味する。これは、本明細書において記述した全てのCDマーカーに適用される。
【0067】
一定の態様において、重合体ナノカプセルの特異的ターゲティングを達成するために使用される抱合体は、AFP、ベータ−カテニン、BMI−1、BMP−4、c−kit、CXCL12、SDF−1、CXCR4、デコリン、E−カドヘリン、カドヘリン1、EGFR、ErbB1、エンドグリン、EpCAM、TROP−1、FcイプシロンRI A、FCER1A、L1CAM、LMO2、Nodal、Notch−1、PDGFRB、ポドプラニン、PTEN、ソニックヘッジホッグ、STAT3、シンデカン−1、トランスフェリン受容体(Tranferrin)およびビメンチンのいずれか1つまたは複数を含む。
【0068】
一定の態様において、重合体ナノカプセルの特異的ターゲティングを達成するために使用される抱合体は、ALK、AFP、B2M、Beta−hCG、BCR−ABL、BRAF、CA15−3、CA19−9、CA−125、カルシトニン、CEA(癌胎児抗原)、CD20、クロマグラニン(Chromagranin)A、サイトケラチンまたはその断片、EGFR、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、フィブリン、フィブリノゲン、HE4、HER2/neu、IgG変異体、KIT、乳酸デヒドロゲナーゼ、核マトリックスタンパク質22、PSA、チログロブリン、uPA、PAI−1およびOva1のいずれか1つまたは複数を含む。
【0069】
本明細書において記述した、または当業者に公知の任意のマーカーは、特異的細胞の所望のターゲティングを達成するために、単独で、または1つまたは複数のさらなるマーカーと組み合わせて使用することができる。
【0070】
当業者に公知の全てのその他の細胞および/または組織特異性マーカーは、参照により本明細書に援用される。
【0071】
ターゲット遺伝子の発現によって生じる疾患を治療する方法
一つの態様において、本発明は、ターゲット突然変異遺伝子の発現によって生じる疾患を有する、または発症するリスクのある被験体を治療する方法に関する。一定の態様において、本明細書において記述した重合体ナノカプセルは、細胞の増殖性および/または分化性障害の1つまたは複数を制御するための新規の治療的薬剤として作用することができる。一定の態様において、重合体ナノカプセルは、1つまたは複数の免疫または免疫不全障害を制御するための新規の治療的薬剤として作用することができる。一定の態様において、重合体ナノカプセルは、ウイルス複製またはウイルス感染を予防するための新規の治療的薬剤として作用することができる。一定の態様において、重合体ナノカプセルは、1つのまたは複数の神経性または神経変性障害を制御するための新規の治療的薬剤として作用することができる。一定の態様において、重合体ナノカプセルは、癌を治療する、または予防するための新規の治療的薬剤として作用することができる。
【0072】
一定の態様において、重合体ナノカプセルは、進行癌、先天性爪肥厚、年齢関連性の黄斑変性症、脈絡膜血管新生、転移性メラノーマ、CNS転移のない転移性メラノーマ、慢性骨髄性白血病、固形腫瘍、進行型固形腫瘍、視神経萎縮、非動脈性(arteric)前部虚血性視神経症、膵臓癌、膵管腺癌、糖尿病性(diavetic)黄斑浮腫、高コレステロール血症、肝臓転移を伴う結腸直腸癌、肝臓転移を伴う膵臓癌、肝臓転移を伴う胃癌、肝臓転移を伴う乳癌、肝臓転移を伴う卵巣癌、子癇前症、神経芽細胞腫、高眼圧、広隅角緑内障、緑内障、眼疼痛、乾性眼症候群、腎臓傷害、急性腎不全、臓器移植後臓器機能障害、腎臓移植の合併症、TBX3過剰発現および糖尿病性網膜症を治療するための新規の治療的薬剤として作用することができる。
【0073】
具体的態様において、重合体ナノカプセルは、ウイルス感染を治療するための新規の治療的薬剤として作用することができる。具体的態様において、重合体ナノカプセルは、レトロウイルスのウイルス感染を治療するための新規の治療的薬剤として作用することができる。具体的態様において、重合体ナノカプセルは、HIVまたはAIDS感染症を治療するための新規の治療的薬剤として作用することができる。具体的態様において、重合体ナノカプセルは、レトロウイルスのウイルス感染を抑制するための新規の治療的薬剤として作用することができる。具体的態様において、重合体ナノカプセルは、レトロウイルスまたはウイルス複製を遮断する、妨げる、またはダウンレギュレートするための新規の治療的薬剤として作用することができる。
【0074】
一定の態様において、本明細書において記述した重合体ナノカプセルは、硝子体内注射によって、静脈内に、片足の底面における皮膚硬結への注射によって、経口投与によって、皮下に、および当業者に公知の医薬品投与の任意のその他の様式によって投与することができる。
【0075】
一定の態様において、本方法は、被験体に本発明の医薬組成物を投与することを含み、その結果、ターゲット突然変異遺伝子の発現は、サイレンスされ、またはダウンレギュレートされる。一定の態様において、被験体は、哺乳動物である。一定の態様において、哺乳動物は、ヒトである。これらの高い特異性のため、本発明の重合体ナノカプセルは、本明細書において記述したように、病気にかかった細胞および組織の突然変異遺伝子を特異的にターゲットする。
【0076】
疾患の予防において、ターゲット遺伝子は、疾患の開始もしくは維持のために必要とされたか、またはより高い疾患にかかるリスクと関連するとして同定されたものでもよい。疾患の治療において、重合体ナノカプセルは、疾患を示す細胞または組織と接触することができる。1つの非限定的な例として、重合体ナノカプセルは、癌と関連する変異した遺伝子の全部または一部と実質的に同一であり、または腫瘍細胞において高レベルにて発現したものは、癌性細胞または腫瘍遺伝子と接触する、またはそれに導入しされ得る。もう一つの非限定的な例として、重合体ナノカプセルは、ウイルス性またはレトロウイルス性疾患と関連する変異した遺伝子の全部または一部と実質的に同一である。具体的には、本明細書において記述した重合体ナノカプセルで治療することができるレトロウイルス疾患の非限定的な例は、HIVである(図3、4および6〜10を参照されたい)。
【0077】
細胞の増殖性および/または分化性障害の非限定的な例は、癌、たとえば癌腫、肉腫、転移性障害または造血性腫瘍性障害、たとえば白血病を含む。転移性腫瘍は、多数の原発性腫瘍型から生じることができ、前立腺、結腸、肺、乳房および肝臓起源のものを含むが限定されない。本明細書に使用される、「癌」、「過剰増殖性」および「腫瘍性」という用語は、自律的な成長、すなわち迅速に増殖する細胞成長によって特徴づけられる状況の異常状態に対して能力を有する細胞をいう。これらの用語は、組織病理学的タイプまたは侵襲性の段階にかかわりなく、全てのタイプの癌性成長または発癌性プロセス、転移性組織または悪質に形質転換した細胞、組織もしくは器官を含むことを意味する。また、増殖障害は、造血性腫瘍性障害を含み、造血性起源の過形成性/腫瘍性(neoplatic)の細胞を含む、たとえば骨髄性、リンパ様もしくは赤血球系統またはその前駆細胞から生じる疾患を含む。
【0078】
細胞成長および分化を直接または間接的に制御する細胞の遺伝子における突然変異は、癌の主な原因であると考えられる。およそ30の遺伝子のファミリーがあり、発癌遺伝子と呼ばれ、ヒト腫瘍形成に関係する。1つのこのようなファミリー、RAS遺伝子ファミリーのメンバーは、真核細胞の広い範囲において保有され、およびヒト腫瘍において変異されることが頻繁に見いだされる。本発明の重合体ナノカプセルを使用してこのような癌遺伝子をターゲットし、これらの発現をノックダウンまたは妨げることができる。
【0079】
癌遺伝子に加えて、本発明の方法および組成物は、点突然変異を有するその他の疾患関連ターゲット遺伝子に適用することができる。遺伝子突然変異は、1000を超える異なるヒト遺伝子において報告されてきた。これらの突然変異およびこれらの関連する表現型についてのデータはまとめられており、2つの主要なデータベースを介してオンラインで利用できる:Online Mendelian Inheritance in Man in BaltimoreおよびHuman Gene Mutation Database in Cardiff。たとえば、ヒトゲノムにおける高頻度のCGからTGまたはCA突然変異は、5’メチルシトシンの脱アミノに起因する。また、20未満のヌクレオチドの短い欠失または挿入は、ヒトにおける非常に共通の突然変異である。たとえば、Antonarakis, S. E., Eur. Pediatr. (2000) 159(3):5173−8を参照されたい。
【0080】
さらにまた、Sachidanandamらは、1,420,000の単一のヌクレオチド多型を含むヒトゲノム配列変異のマップを記述し、診断および療法のための生物医学的に重要な遺伝子を同定するために有用である(Sachidanandam, R., et al., Nature (2001) 409(6822):821−2 and Nature (2001) 409(6822):822−3)。マップは、記述された遺伝子およびその他のゲノム特徴を伴う全ての一般公開されているSNPsを組み込む。ほぼ60,000のSNPsは、エクソン(コードおよび非翻訳領域)内にあり、およびエクソンの85%は、最も近いSNPの5kb以内にある。Cliffordらは、癌ゲノム解剖プロジェクトによって同定された単一ヌクレオチド多型の発現に基づいた遺伝的/物理的なマップを提供する(Clifford, R., et al., Genome Res (2000) 10(8):1259−65)。SNPマップに加えて、Sachidanandamらは、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺または前立腺組織において発現した遺伝子におけるSNPを含むマップを提供する。
【0081】
したがって、本発明のRNAi分子重合体ナノカプセルは、このような突然変異遺伝子をターゲットして、これらの発現をノックダウンまたは妨げるために、使用することができる。
【0082】
突然変異遺伝子の発現を阻害する方法
さらにもう一つの側面において、本発明は、被験体における突然変異遺伝子の発現を阻害するための方法に関する。本方法は、被験体に本発明の組成物を投与することを含み、その結果、突然変異遺伝子の発現が、対応する野生型遺伝子と比較してサイレンスされる。一定の態様において、被験体は、哺乳動物である。一定の態様において、哺乳動物は、ヒトである。
【0083】
これらの高い特異性のため、本発明のsiRNAナノカプセルは、ターゲット突然変異遺伝子のRNAs(初生のまたはプロセシングされたもの)を、および驚くべきことに低投薬量にて特異的にターゲットする。重合体ナノカプセルを使用してターゲット遺伝子の発現を阻害するための組成物および方法は、本明細書において記述したように行うことができる。
【0084】
一つの態様において、本発明は、重合体ナノカプセルを含む組成物を投与することを含み、重合体ナノカプセルは、実質的にターゲット突然変異遺伝子のRNA転写物に相補的な、および対応する野生型遺伝子に部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含む。治療された被験体がヒトなどの哺乳動物であるとき、組成物は、以下を含む経口または非経口経路を含むが、限定されない当該技術分野において公知の任意の手段によって投与してもよい:静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、直腸、膣および局所投与(頬側および舌下を含む)。好ましい態様において、組成物は、静脈内または非経口内注入または注射によって投与される。
【0085】
ターゲット遺伝子の発現阻害のための方法は、サイレンスしたい任意の突然変異遺伝子に適用でき、これにより選択的にその発現を阻害する。サイレンシングのためにターゲットすることができるヒト遺伝子の非限定的な例は、以下を含む:癌遺伝子サイトカイニン遺伝子、イディオタイプタンパク質遺伝子、プリオン遺伝子、血管形成を誘導する分子を発現する遺伝子、接着分子をコードする遺伝子、細胞表面受容体をコードする遺伝子、転移および/または浸潤プロセスに関与するタンパク質の遺伝子、プロテアーゼの、並びにアポトーシスおよび細胞周期を調節する分子の遺伝子、EGF受容体を発現する遺伝子、複数薬物耐性1遺伝子(MDR1遺伝子)をコードする遺伝子、ウイルスの取り込みおよび複製を可能にする遺伝子、神経変性障害を生じさせる遺伝子、タンパク質凝集および/または蓄積を生じさせる遺伝子、ホルモンのアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを生じさせる遺伝子、神経性障害を生じさせる遺伝子、心臓障害を生じさせる遺伝子および心理的障害を生じさせる遺伝子。当業者であれば、どの遺伝子が上記した例示的な遺伝子の広いカテゴリーに包含されるか理解するだろう。
【0086】
製造の方法
一定の態様において、本明細書において記述した重合体ナノカプセルは、特定のサイズを達成するように、遺伝子ダウンレギュレーションのために特異的部位をターゲットするように、および特異的遺伝子をダウンレギュレートするように製造される。本明細書において記述した重合体ナノカプセルのサイズは、本明細書において記述した重合体:架橋剤の比に基づいて決定することができる。たとえば、ターゲットされた送達は、本明細書において記述した重合体ナノカプセルの外側に付着された(すなわち、抱合された)抱合体薬剤を使用して達成することができる。さらにまた、本明細書において記述した重合体ナノカプセルのRNAi分子の特異的遺伝子への特異的結合(これにより、特異的遺伝子発現を減少する)は、当業者に公知の方法を使用してRNAi分子をデザインすることによって達成することができる。たとえば、Birmingham et al., “A protocol for designing siRNAs with high functionality and specificity,” Nature Protocols, 2007;2(9):2068−78を参照されたい。さらにまた、重合体ナノカプセルがターゲット部位にRNAi分子を送達する能力は、本明細書において記述したように分解性:非分解性重合体の比を調整することによって最適化すること、および決定することができる。
【0087】
投与の方法
本発明によって包含される医薬組成物は、以下を含む経口または非経口経路を含むが、限定されない当該技術分野において公知の任意の手段によって投与されてもよい:静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、直腸、膣および局所投与(頬側および舌下を含む)。好ましい態様において、医薬組成物は、静脈内または非経口内注入または注射によって投与される。
【実施例】
【0088】
実施例1. ナノカプセルの製造
高安定化siRNA重合体ナノカプセルを、実施例1および図1および2に記載されているように、インサイチュー重合技術を介して作製した。図1に示すsiRNAナノカプセルプラットフォームの製造を、正に荷電した単量体A、架橋剤B、中性コモノマーCで開始し、および静電的相互作用および水素結合を介して負に荷電したsiRNAの表面周辺にこれらの分子を濃縮する。一連の正に荷電した単量体(表1)、架橋剤(表2)および中性コモノマー(表3)を重合体ナノカプセルプラットフォームの製造に使用した。異なる架橋剤、たとえば表2に収載したものを調整可能な組成物、構造、表面特性および官能性をもつ共重合体コーティングを形成するために使用することができる。
【0089】
このインサイチュー重合技術により、デザインされた電荷および特性をもつsiRNAの表面上に保護性の架橋された分解性重合体シェル被覆を導入した。この架橋された重合体シェルは、Rnase分解、温度解離および血清不活性化からの保護をsiRNAに提供する。siRNAナノカプセルにおいて使用することができる架橋剤の非限定の例を表2に提供してある。
【0090】
実施例2. アクリル−スペルミンを使用するナノカプセルの製造
この実施例では、アクリル−スペルミンの調製をアクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステル(NAS)とスペルミンを反応させることによって達成した。簡潔には、それぞれ、スペルミン(100mg)およびNAS(80mg)を1mLクロロホルムに溶解した。次いで、NAS溶液を激しい撹拌下で室温にて徐々にスペルミン溶液に添加した。一晩の反応後、混合物を濾過して副生成物を除去した。次いで、濾液を回転蒸発によって乾燥し、続いてddH2Oで再分散した。不溶性物質の除去後、溶液を凍結乾燥した。最後に、アクリル−スペルミンをTLC処理することによって精製した。当業者であれば、これがアクリル−スペルミンを製造する例示的な方法であり、およびその代わりの方法を同じ結果に到達するために使用することができることを理解するだろう。
【0091】
図2にて図示したように、ナノカプセルの製造は、正に荷電した重合性単量体から開始した。この実施例の目的のためには、正に荷電した重合性単量体は、上記の通りに調製されたアクリル−スペルミンである。重合体ナノカプセルを製造するプロセスの第1の工程は、負に荷電したsiRNAの表面周辺に濃縮された静電的相互作用を必要とした。最初の相互作用後、水性溶液におけるその後の室温重合が、pH分解性架橋剤および親水性単量体で起こった。室温重合の間、それぞれのsiRNA分子は、重合体ネットワークの薄いシェルで包まれた。このような架橋されたシェルは、コアを持つsiRNAを加水分解から保護するのに役に立った。アクリル−スペルミンおよび親水性単量体の比の特異的調整により、表面電荷の精密な制御が可能になり、および重合体ナノカプセルの有効な細胞形質導入を確実にした。その上、2は、中性pHにおいて安定であるが、pH〜5.4である後期エンドソームなどの酸性環境において迅速に分解する。我々は、この独特の反応性の設計が、血清(pH〜7.4)において顕著な安定性をもつ重合体ナノカプセルを提供し、一方で、シェルの分解によりエンドソームからのこれらの逸脱を可能にし、これが細胞質にsiRNAを放出する(工程IV)と考える。さらにまた、我々の合成アプローチは、重合体ナノカプセル表面へのターゲティング成分(たとえば、抗体)の固定を可能にし、siRNAのターゲティング送達を可能にする。
【0092】
実施例3. ナノカプセルがカプセル化されたsiRNAを保護および送達する能力
本明細書において記述した重合体ナノカプセルの効力を試験するために、siRNAを効率的に送達する単一のsiRNAナノカプセルプラットフォームを生成した。重合体ナノカプセルをどのように作製するかという模式図を図1および図2に示してある。このプラットホームのこれらのナノカプセルを、カプセル化されたsiRNAをヌクレアーゼから保護するためにデザインし、および細胞にsiRNAを効率的に送達することができる。
【0093】
重合体ナノカプセルがカプセル化されたsiRNAを保護し、および細胞に効率的にsiRNAを送達する能力を試験するために、周知のsiRNA1005を重合体ナノカプセルの調製において使用した。siRNA1005は、HIV−1コレセプターCCR5をターゲットする短いヘアピンRNA(shRNA)である。siRNA1005の十分に特徴づけられた効力は、単一分子ナノカプセル送達技術を適用することによってCCR5ノックダウンを証明するための理想的な候補とした。siRNA1005を伴うナノカプセルの例示的な画像を図4および図5に示してある。
【0094】
概念の証拠として、CCR5 RNAをsiRNA1005のナノカプセルによって効率的にノックダウンすることができることを示した。このナノカプセルプラットフォームの1つの独特の利点は、単量体および粒子のサイズ、電荷および反応性の化学的特性を変化させる架橋剤を選択することによって重合体ナノカプセルを修飾する能力である。単量体および架橋剤の非限定的な例は、表1および表2において見いだすることができる。
【0095】
また、重合体ナノカプセルがカプセル化した材料を分解から効率的に保護する能力を、タンパク質をカプセル化することによって証明した。たとえば、EGFP、HRPおよびカスパーゼ3をカプセル化し、および重合体ナノカプセルで保護した。さらに、また重合体ナノカプセルをカプセル化された量子ドットおよびsiEGFP、siルシフェラーゼおよび上記の通りのsi1005などのsiRNAsに使用した。
【0096】
実施例4. shRNAをコードするDNAを使用するsiRNAの送達
siRNAの送達を、shRNA転写ユニットをコードするDNAを使用して達成した。たとえば、プラスミドおよびウイルスのベクターを、これらがsiRNAの高レベルおよび長期発現を提供するので、使用した。
【0097】
この実施例では、さらに重合体ナノカプセル技術を、shRNA1005をコードするDNAのナノカプセルに拡張した。実施例3に記載したように、shRNA1005は、CCR5 RNA発現の発現をターゲットし、およびノックダウンするRNAiである。このDNAナノカプセル技術は、DNA転写ユニットがsiRNAより非常に大きいので、上記のRNAiナノカプセルより困難である。
【0098】
DNAカセットのカプセル化のための重合体ナノカプセルプラットフォームの配合物を、単量体および粒子のサイズ、電荷および分解性を変化させる架橋剤を調整することによって修飾した。単量体および架橋剤の非限定的な例を表1および表2に提供してある。
【0099】
特に興味深いのは、重合体ナノカプセルを、異なる速度にて分解する架橋剤を使用して遅放のために操作し、数日あるいは数週間にわたって有効なsiRNA活性を可能にした。これは、必要とされる1日あたりの投与である現在の小分子薬物に勝る大きな利点である。
【0100】
実施例5. DNA ナノカプセルの合成および送達
図1に図示したように、単量体AおよびB、架橋剤Cから開始し、これらの分子を、静電的相互作用および水素結合を介してDNAカセットの表面に沿って自己組織化した(工程1)。次いで、重合体シェルの薄いネットワークを、その後のインサイチュー重合によってDNAカセット周辺で形成し(工程2)、DNAを保護する新たな表面特性を効率的に与えた。架橋剤Cは、非分解性(non−degrable)架橋剤であった。酸分解性架橋剤Dは、中性pHにおいて安定であったが、約pH 5.4の後期エンドソームなどの酸性環境において迅速に分解した。
【0101】
この独特な反応性の設計は、血清の生理的pH(pH〜7.4)において顕著な安定性をもつ重合体ナノカプセルを提供した。また、これは、単量体Bの正電荷から生じる「プロトン−スポンジ」効果に起因する有効なエンドソームの逸脱を引き起こし、およびシェルの分解進行により原形質へのDNAカセットの徐放を可能にした。次いで、DNAカセットは、核に入り、およびsiRNAの内因性の生成を可能にした(工程4)。
【0102】
実施例6. 短い直鎖DNAカセットを組み込むDNAナノカプセル
概念の証拠として、我々は、sh1005 shRNAを発現したH1を伴う短い直鎖DNAカセットを組み込むモデルDNAナノカプセルおよび対照として抗EGFP shRNAを発現したH1をデザインした。shRNA転写ユニットおよび抗生物質耐性遺伝子からなる大きなDNAプラスミドの送達は、細胞膜および核膜孔における送達バリアによって妨げられた。したがって、第2のDNAカセットを、PCRによって産生した395塩基対のみの最小化した直鎖DNAカセットを使用して製造した。395塩基対のみのDNAカセットは、より効率的に核膜孔を移動することができた。
【0103】
これらの2つのDNAカセットのゲル電気泳動画像を図3Aに示した。興味深いことに、タングステン薬剤で染色した裸の直鎖DNAカセットのTEM画像は、直径約50nmで暗い半円弧として現れた。対照的に、DNAカセットナノカプセルは、およそ30nmのはるかに小さなサイズで円形形態を有した。これは、おそらく重合体との複合体形成を介したDNA凝縮の結果である。
【0104】
以前に報告されたプラスミドDNA(およそ150〜300nm)を含むナノ粒子と比較して、DNAカセットナノ粒子のサイズは、著しく1/10〜1/5のサイズである。この小さなサイズのDNAカセットナノカプセルは、おそらく高い拡散速度を引き起こし、および送達効率を改善する。
【0105】
実施例7. DNAカセットナノカプセルは、細胞に効率的に送達される
本発明のDNAカセットナノカプセルは、細胞に効率的に送達することができる。Alexa592標識したDNAカセットナノカプセルと4時間インキュベーション後のHEK−293T細胞の光学および蛍光画像を図4および図5に示してある。強烈な緑の蛍光は、FITC標識されたsiRNAナノカプセルの送達を証明する(図4および図5)。
【0106】
Alexa592標識されたDNAカセットナノカプセルを形質導入したHEK−293 T細胞のフローサイトメトリーにより、蛍光イメージングの結果を確認し、蛍光標識されたsiRNAナノカプセルの良好な送達を証明した(図5C)。
【0107】
また、CCR5およびCCR5−shRNA(sh1005)を伴うルシフェラーゼレポーター遺伝子配列の融合を発現する293T細胞におけるDNAナノカプセルのRNAi活性を調べた(図5D)。CCR5−shRNA DNAナノカプセルは、CCR5−ルシフェラーゼ融合mRNAのノックアウトを反映する生物発光強度の約80%をダウンレギュレートし、一方で、対照DNAカセットナノカプセルで処理した細胞は、ルシフェラーゼ活性における有意な減少を示さなかった。
【0108】
Dnase Iに対するDNAナノカプセルの感受性を調査するために、Lipofectamine(登録商標)と複合体形成したDNAおよびDNAナノカプセルをDnase Iと共に1時間インキュベートした(図6A)。
【0109】
酸処理およびDNA抽出後、アガロースゲル電気泳動は、このようなナノカプセルが、プロートされ(proted)およびカプセル化されたDNAの完全性を維持できることを示した。対照的に、天然の状態においてカプセル化されていないDNAおよびLipofectamine(登録商標)と共に調合された非カプセル化DNAは、分解した。DNAナノカプセルは、0.4pmol以下のDNAカセットの濃度にて、明らかな細胞毒性を示さなかった。0.4pmolにて、DNAナノカプセルで処理した細胞の生存度は、約85%までわずかに減少した(図7)。
【0110】
実施例8. siRNAナノカプセルは、効率的に細胞およびターゲット特異的配列に送達される
図4Aは、25nmの平均直径のCCR5配列3’−gagcatgactgacatctac−5’をターゲットする二本鎖siRNAナノカプセルの代表的なTEM画像を示す。興味深いことに、それぞれのナノカプセルの中で、直径約5nmの暗いコアが明瞭に観察され、これはTEM観察のために使用したタングステンを染色する薬剤とのsiRNAの好ましい複合体形成に起因する。二本鎖のsiRNA(21塩基対)は、12kDaの平均分子量および3〜5nmのサイズを有するので、それぞれの重合体ナノカプセルは、1つのsiRNA分子のみを含むと思われる。図4Bは、FITC標識されたsiRNAと4時間インキュベーション後のHEK−293 T細胞の蛍光画像を示す。強烈な緑の蛍光は、siRNAナノカプセルの有効な送達を証明する。
【0111】
概念の証拠として、CCR5−siRNAを使用して、CCR5発現をターゲットし、およびダウンレギュレートした。CCR5ケモカイン受容体において天然に存在する突然変異を持って生まれた個体が、HIV感染症および疾患進行から保護されていることは、十分に証明されてきた。CCR5−siRNAは、CCR5発現をダウンレギュレートし、および患者におけるHIV耐性を発症するための治療的薬物として大きな将来性を持つ。この概念を証明するために、図4Cは、CCR5配列(図4Cにおける画像の左パネル)およびEGFP配列(図4Cにおける画像の右パネル)にターゲットされるsiRNAナノカプセルを形質導入したHEK293細胞の蛍光(flourescence)画像を示す。明らかに、CCR5−siRNAナノカプセルの送達は、CCR5−mCherry融合タンパク質発現を効率的にダウンレギュレートする。これは、siRNAナノカプセル送達および機能の有効性を証明する。
【0112】
ルシフェラーゼを安定して発現するルシフェラーゼ発現CWR細胞を、単一のsiRNAナノカプセルの遺伝子−サイレンシング効力を試験するために使用した(図14A)。ルシフェラーゼsiRNAナノカプセルで処理した細胞は、50nMを上回った濃度にて特にルシフェラーゼ活性の有意な減少を示し、一方、対照siRNAナノカプセルで処理した細胞は、ルシフェラーゼ活性の有意な減少を示さなかった。siRNAナノカプセルは、200nM以下のsiRNAの濃度にて明らかな細胞毒性を示さなかった。300nMにて、siRNAナノカプセルで処理した細胞の生存度は、約75%までわずかに減少した(図14B)。
【0113】
さらにまた、ヒト血清無しで、ナノカプセルおよびLipofectamine(登録商標)(Invitrogen(登録商標))は、それぞれ8%および15%にCCR5−mCherry発現をサイレンスした。しかし、ヒト血清の存在下において、CCR5 siRNAナノカプセルは、なおも85%を超えるCCR5−mCherry発現をノックダウンし、一方、Lipofectamine(登録商標)を介して送達されたsiRNAは、数を45%にするだけだった。したがって、ナノカプセルは、Lipofectamine(登録商標)と比較して、ヒト血清ヌクレアーゼの攻撃に対して、中のsiRNAに余分の保護および安定化を提供することができる。
【0114】
実施例9. DNAカセットナノカプセルは、細胞において遺伝子発現を効率的にノックダウンする
DNAカセットナノカプセルのノックダウン効力を、CCR5−ルシフェラーゼ融合タンパク質を発現するHEK−293T細胞への標準的なLipofectamine(登録商標)siRNA形質導入と比較した(図8)。
【0115】
48時間後、0.1pmol sh1005 DNAカセットナノカプセルは、45%までCCR5−ルシフェラーゼの発現をサイレンスした。全く対照的に、100pmol(1000×量)のsiRNA−Lipofectamine(登録商標)複合体が、47%にCCR5−ルシフェラーゼのレベルをノックダウンするために必要であった。モル基準で、sh1005 DNAカセットナノカプセルは、Lipofectamine(登録商標)と調合されたsi1005 siRNAより、CCR5をダウンレギュレートする際に1000倍以上有効である(図7および図8)。この結果は、おそらく形質導入された細胞内でのshRNAの新規転写に起因する。
【0116】
実施例10. 遅放および分解性ナノカプセル
DNAカセットナノカプセルの高い有効性のため、DNAカセットナノカプセルを、持続された活性が有益である適用に使用することができる。これを達成するために、DNAカセットナノカプセルを、異なる速度にて分解する架橋剤を使用して遅放のために操作した。
【0117】
100%分解性架橋剤(例えば、グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラート、GDGDA)(5:0)で調製したDNAナノカプセルは、10時間後に完全に分解した。分解性架橋剤1対非分解性架橋剤(たとえば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、BIS)4の混合物で調製したDNAナノカプセルは、150時間後に完全に分解した(図9)。分解プロフィールの勾配は、分解性架橋剤の割合と一致して増加する。これは、分解性架橋剤の割合が高いほど、より高い分解速度を引き起こすことを確証させる。
【0118】
100%の分解性架橋剤を使用することにより、CCR5のダウンレギュレーションは、形質導入後、3および5日目にて70%に達し、9日目にて23%に減少した(図10)。
【0119】
分解性架橋剤対非分解性架橋剤の比が3:2であるとき、CCR5のノックダウンは、3日目にて58%から5日目にて70%に増加し、次いで42%に減少した。
【0120】
DNAナノカプセルの非分解性架橋剤対分解性架橋剤の比が2:3にて、CCR5のサイレンシング割合は、53%から64%に増加し、および更に73%に増加した。20%の分解性架橋剤を使用することにより、CCR5のダウンレギュレーションは、3日目にて20%の低さであり、および9日目にて80%に達した。
【0121】
実施例11. 視覚化ナノカプセル
重合体ナノカプセルのIRスペクトルを、PerkinElmer Paragon 1000 FT−IRスペクトロメーターで得た。UV可視スペクトルをGeneSys 6スペクトロメーター(Thermo Scientific)で取得した。蛍光スペクトルをQuantaMaster Spectrofluorimeter(Photon Technology International)で得た。ナノカプセルのTEM画像を100000×にてPhilips EM120 TEMで得た(たとえば、図3図4および図5を参照されたい)。
【0122】
観察前に、siRNAナノカプセルをpH 7.0の1%リンタングステン酸(PTA)溶液を使用してネガティブ染色した。ゼータ電位および粒子サイズ分布をMalvern粒子寸法測定器Nano−ZSで測定した。ナノカプセルのSEM画像をJEOL JSM−6700F SEMで得た。シリコン表面上の乾燥試料を測定前に金でスパッターコートした。細胞の蛍光画像をZeiss Axio Observer.Z1蛍光顕微鏡またはLeica TCS SP MP Inverted Confocal Microscopeで得た。細胞の蛍光強度分布をBecton Dickinson FACScan Analytic Flow Cytometerで決定した。488nmアルゴンレーザーを励起光として使用した。
【0123】
実施例12. siRNA ナノカプセルの合成
インサイチュー重合およびsiRNAの異なるタイプおよび比でsiRNAナノカプセルの製造プロセスを最適化した。具体的には、正に荷電した単量体、親水性単量体および分解性架橋剤を、siRNAナノカプセルを最適化するために使用した。
【0124】
siRNAナノカプセルの形態および収量に対する緩衝液塩、イオン型、イオン性強度および溶媒組成物の効果を評価した。
【0125】
種々のターゲット成分を、siRNAのターゲットされた送達を達成するために、siRNAナノカプセルに抱合した。たとえば、これらの実験に使用したターゲティング抱合体は、CD4、CD8、CD45、aHLAおよびトランスフェリンを含んだ。これらの例示的な抱合体は、重合体ナノカプセルの特異的ターゲティングを達成するために、単独または併用で使用することができる。図22は、CD4受容体を発現する293細胞へのsiRNAのターゲティング送達を示す。
図22Aは、抗CD4抗体と抱合されたFITC標識されたsiRNAナノカプセルと4時間インキュベーション後の、CD4受容体を発現する293細胞のフローサイトメトリーグラフを示す。図22Bは、抗CD4抗体と抱合されたFITC標識されたsiRNAナノカプセルと4時間インキュベーション後の、CD4受容体のない通常の293細胞のフローサイトメトリーグラフを示す。
【0126】
実施例13. ナノカプセルの特性付け
TEMおよび動的光散乱を使用して、単一のsiRNA ナノカプセル(nanocaspule)のサイズおよびサイズ分布を決定した。さらにまた、電気泳動および電気泳動光散乱を使用して、siRNAとナノカプセルとの間の表面電荷および相互作用を調査した。具体的には、サイズ、表面電荷およびカプセル化収量を調査した。
【0127】
ヌクレアーゼおよび血清の存在下におけるsiRNAおよび単一siRNAナノカプセルの安定性を比較した。siRNAナノカプセルの分解性および放出プロフィールをpH 7.4および5.4の緩衝液において調査した。リポフェクトアミンおよびsiRNAナノカプセルと複合体を形成したsiRNAを、ヌクレアーゼおよびヒト血清と1時間インキュベートした。RNA抽出後、アガロースゲル電気泳動は、このようなナノカプセルが中のsiRNAの完全性を維持することができることを示し(図6B)、一方、同時に天然の状態において、またはリポフェクトアミンと調合したときにsiRNAを分解する。
【0128】
実施例14. siRNA ナノカプセルの細胞内送達
siRNAナノカプセルのsiRNA送達効率を広く多様な細胞において試験した。これらの細胞の例は、HEK−293 T、Hela、CEM、PBMCおよびMSCを含む。
【0129】
蛍光標識したsiRNAを、エンドサイトーシス阻害剤を使用してエンドサイトーシス経路を調査するために使用した。ナノカプセルによるsiRNA送達の効率および毒性を、市販のリポソーム薬剤によるものと比較した。CCR5、EGFP、Gaussiaルシフェラーゼを含むsiRNAの異なるタイプを、遺伝子サイレンシングの特異性を定量的に評価するために使用した。
【0130】
実施例15. インビトロでの細胞の内部移行
細胞の内部移行研究を、蛍光顕微鏡技術および蛍光活性化細胞選別器(FACS)によって行った。HeLa細胞を10%ウシ成長血清(BGS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補ったダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)中で培養した。細胞(20000細胞/ウェル、24ウェルプレート)をsiRNAナノカプセル添加する前日に播いた。
【0131】
異なる濃度のsiRNAナノカプセルを細胞培地に添加した。2〜4時間、37℃にてインキュベーションの後、細胞をPBSで3回洗浄し、および蛍光顕微鏡で視覚化またはトリプシン処理のいずれかをして、遠心分離し、およびPBSに再懸濁し、およびFACSによって解析した。
【0132】
実施例16. 細胞増殖アッセイ
重合体ナノカプセルの毒性を、対照として天然のタンパク質を使用してMTTアッセイによって評価した。HEK−293T細胞(7000細胞/ウェル)を重合体ナノカプセルへの曝露の前日に96ウェルプレート上に播いた。異なる濃度のナノカプセルを2〜4時間細胞とインキュベートし、混合物から除去し、および24時間新鮮な培地でインキュベートした。MTT溶液(20μL)をそれぞれのウェルに添加し、3時間インキュベートした。次いで、培地を除去し、および100μL DMSOを細胞上に添加した。プレートを150rpmで5分間振盪テーブル上に置き、徹底的に溶液を混合し、および次いで、吸光度読取りを560nmにて測定した。未処理の細胞を100%細胞増殖対照として使用した。
【0133】
実施例17. siRNA ナノカプセルのための正に荷電した単量体の合成
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)アクリルアミド、N−(ピペラジン−1−イルメチル)アクリルアミド、およびN−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)アクリルアミド(すなわち、正に荷電した単量体)の調製は、アクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステル(AHS)とアミン含有前駆体(N−(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン/N−メチルプロパン−1,3−ジアミン/ピペラジン−1−イルメタンアミン/N,N’−ビス(2−アミノエチル)エタン−1,2−ジアミン)を反応することによって達成した。簡潔には、それぞれ、アミン含有前駆体およびAHSを0.5mol/Lにてクロロホルムに溶解した。次いで、アクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステルを激しい撹拌下で室温にて徐々に1:1のモル比にて各々のアミン含有前駆体に添加した。一晩の反応後、混合物を濾過して、副生成物を除去した。次いで、濾液を回転蒸発によって乾燥し、続いて水中に再分散した。不溶性物質の除去後、溶液を凍結乾燥した。最後に、生成物を薄層クロマトグラフィーによって精製した。収率は、37%から63%であった。1HNMRを、最終生成物を確認するために行った。
【0134】
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミドについての1H NMRは、400MHz、DOにて、以下のピークを産生した:6.46(m、1H、CH=CHCO)、5.65(m、2H、CH=CHCO)、3.27(m、2H、CONH−CH)、2.78(m、10H、CH−NH−CHおよびCH−NH)、1.75(m、4H、NH−CH−CH)、1.23(m、4H、NH−CH−(CH−CH−NH)。
【0135】
N−(ピペラジン−1−イルメチル)アクリルアミドについての1H NMRは、400MHz、DOにて、以下のピークを産生した:6.53(m、1H、CH=CHCO)、5.69(m、2H、CH=CHCO)、3.91(m、2H、CONH−CH−N)、2.28(m、4H、CH−NH−CH)、2.75(m、4H、CH−NH−CH)。
【0136】
N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)アクリルアミドについての1H NMR(400MHz、DO):6.39(m、1H、CH=CHCO)、5.58(m、2H、CH=CHCO)、3.18(m、2H、CONH− CH−N)、2.54(m、2H、CH−NH−CH)、3.22(m、3H、NH−CH)。
【0137】
N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)アクリルアミドについての1H NMRは、400MHz、DOにて以下のピークを産生した:6.41(m、1H、CH=CHCO)、5.62(m、2H、CH=CHCO)、3.14(m、2H、CONH−CH−N)、2.48(m、6H、N−(CH)、2.65(m、4H、CH−NH)。
【0138】
実施例18. siRNA ナノカプセルのための正に荷電した単量体の合成
N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド、N−(ピペラジン−1−イルメチル)メタクリルアミド、およびN−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド(すなわち、正に荷電した単量体)の調製は、メタアクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステルと、(N,N’−(ブタン−1,4−ジイル)ビス(プロパン−1,3−ジアミン)/N−(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン/N−メチルプロパン−1,3−ジアミン/ピペラジン−1−イルメタンアミン/N,N−ビス(2−アミノエチル)エタン−1,2−ジアミン)を反応することによって達成した。簡潔には、それぞれ、アミン含有前駆体およびメタクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステルを0.5mol/Lにて1mLクロロホルムに溶解した。次いで、MAHSを激しい撹拌下で室温にて徐々に1:1のモル比にてアミン含有前駆体の1つに添加した。一晩の反応後、混合物を濾過して、副生成物を除去した。次いで、濾液を回転蒸発によって乾燥し、続いてddH2Oで再分散した。不溶性物質の除去後、溶液を凍結乾燥した。最後に、生成物を薄層クロマトグラフィーによって精製した。収率は、32%から61%であった。1HNMRを、最終産物を確認するために行った。
【0139】
N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミドのための1H NMRは、400MHz、DOにて、以下のピークを産生した:1.89(m、3H、CH=C(CH)CO)、5.72(m、2H、CH=C(CH)CO)、3.27(m、2H、CONH−CH)、2.78(m、10H、CH−NH−CHおよびCH−NH)、1.75(m、4H、NH−CH−CH)、1.23(m、4H、NH−CH−(CH−CH−NH)。
【0140】
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミドのための1H NMRは、400MHz、DOにて、以下のピークを産生した:1.92(m、3H、CH=C(CH)CO)、5.75(m、2H、CH=C(CH)CO)、3.27(m、2H、CONH−CH)、2.78(m、10H、CH−NH−CHおよびCH−NH)、1.75(m、4H、NH−CH−CH)、1.23(m、4H、NH−CH−(CH−CH−NH)。
【0141】
N−(ピペラジン−1−イルメチル)メタクリルアミドのための1H NMRは、400MHz、DOにて、以下のピークを産生した:1.90(m、3H、CH=C(CH)CO)、5.72(m、2H、CH=C(CH)CO)、3.91(m、2H、CONH−CH−N)、2.28(m、4H、CH−NH−CH)、2.75(m、4H、CH−NH−CH)。
【0142】
N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)メタクリルアミドのための1H NMRは、400MHz、DOにて、以下のピークを産生した:1.94(m、3H、CH=C(CH)CO)、5.62(m、2H、CH=C(CH)CO)、3.18(m、2H、CONH−CH−N)、2.54(m、2H、CH−NH−CH)、3.22(m、3H、NH−CH)。
【0143】
N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)メタクリルアミドのための1H NMRは、400MHz、DOにて、以下のピークを産生した:1.93(m、3H、CH=C(CH)CO)、5.67(m、2H、CH=C(CH)CO)、3.14(m、2H、CONH−CH−N)、2.48(m、6H、N−(CH)、2.65(m、4H、CH−NH2)。
【0144】
実施例19. siRNA ナノカプセルの合成
siRNAを、20μMにて20μLのRnaseフリーの水に溶解した。次いで、0.5mLの脱酸素化して脱イオン化した水に溶解した正に荷電した単量体、トリス−アクリルアミドおよびグリセロールジメタクリラート(モル比=5:5:1)の特定量を微小遠心管に添加した。アクリロイル化されたタンパク質の表面からのラジカル重合を、2μLの脱酸素化して脱イオン化した水および0.4μLのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに溶解した0.02mgの過硫酸アンモニウムを添加することによって開始した。反応を窒素雰囲気において60分間進行させた。
【0145】
実施例20. 遺伝子発現のsiRNAノックダウンに対する正に荷電した単量体の効果
表1において提供した正に荷電した単量体の効果を試験するため、siRNAナノカプセルを表1における14の各々の正に荷電した単量体それぞれと、ルシフェラーゼ遺伝子発現に対するsiRNAで調製した。これらのノックダウン実験をルシフェラーゼ発現CWR細胞において行った。
【0146】
重合体ナノカプセルを調製するために、siRNAを20μMにて20μLのRnaseフリーの水に溶解した。次いで、表1から選択した正に荷電した単量体、トリス−アクリルアミドおよびグリセロールジメタクリラート(正に荷電した単量体のプロトン可能なアミンの総数:トリス−アクリルアミド:グリセロールジメタクリラート=15:5:1)の特定量を0.5mLの脱酸素化して脱イオン化した水に溶解し、微小遠心管に添加した。アクリロイル化されたタンパク質の表面からのラジカル重合を、2μLの脱酸素化して脱イオン化した水および0.4μLのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに溶解した0.02mgの過硫酸アンモニウムを添加することによって開始した。反応を窒素雰囲気において60分間進行させた。
【0147】
CWR細胞を無血清培地において37℃にて4時間50nMにてsiRNAナノカプセルで処理した。次いで、培地を10%ウシ胎仔血清でDMEMに変えた。48時間後、ルシフェラーゼ活性を、96ウェルプレートリーダーを使用して決定した(図11)。
【0148】
実施例21. 遺伝子発現のsiRNA ノックダウンに対する異なる架橋剤の効果
遺伝子ノックダウンに対する表2において提供された架橋剤の効果を試験するために、siRNAナノカプセルを1,3−グリセロールジメタクリラート、グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラート、N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミン、ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェートまたはN,N’−メチレンビスアクリルアミドと、ルシフェラーゼ遺伝子発現に対するsiRNAで調製した(表2)。これらのノックダウン実験をルシフェラーゼ発現CWR細胞において行った。
【0149】
重合体ナノカプセルを調製するために、siRNAを20μMにて20μLのRnaseフリーの水に溶解した。次いで、アクリル−スペルミン、トリス−アクリルアミドおよび表2からの架橋剤の特定量(正に荷電した単量体のプロトン可能なアミンの総数:トリス−アクリルアミド:架橋剤=15:5:1)を0.5mLの脱酸素化して脱イオン化した水に溶解し、微小遠心管に添加した。アクリロイル化したタンパク質の表面からのラジカル重合を2μLの脱酸素化して脱イオン化した水および0.4μLのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに溶解した0.02mgの過硫酸アンモニウムを添加することによって開始した。反応を窒素雰囲気において60分間進行させた。
【0150】
CWR細胞を無血清培地において37℃にて4時間、50nMにてsiRNAナノカプセルで処理した。次いで、培地を10%ウシ胎仔血清でDMEMに変えた。48時間後、ルシフェラーゼ活性を、96ウェルプレートリーダーを使用して決定した(図12)。
【0151】
実施例21. siRNA ナノカプセルサイズに対する異なる中性単量体の効果
ナノカプセルサイズに対する表3において提供した中性単量体の効果を試験するために、siRNAナノカプセルを1N−(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル)アクリルアミド、アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、2‐ヒドロキシエチルアクリラートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリラートで調製した(表3)。
【0152】
重合体ナノカプセルを調製するために、siRNAを20μMにて20μLのRnaseフリーの水に溶解した。次いで、アクリル−スペルミン、表3から選択した中性単量体およびグリセロールジメタクリラートの特定量(アクリル−スペルミンのプロトン可能なアミンの総数:中性のコモノマー:グリセロールデメタクリラート=15:5:1)を0.5mLの脱酸素化して脱イオン化した水に溶解し、微小遠心管に添加した。アクリロイル化されたタンパク質の表面からラジカル重合を2μLの脱酸素化して脱イオン化した水および0.4μLのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに溶解した0.02mgの過硫酸アンモニウムを添加することによって開始した。一旦siRNAナノカプセルが形成されたら、重合体ナノカプセルのサイズを測定した(図13)。
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