【実施例】
【0088】
実施例1. ナノカプセルの製造
高安定化siRNA重合体ナノカプセルを、実施例1および
図1および2に記載されているように、インサイチュー重合技術を介して作製した。
図1に示すsiRNAナノカプセルプラットフォームの製造を、正に荷電した単量体A、架橋剤B、中性コモノマーCで開始し、および静電的相互作用および水素結合を介して負に荷電したsiRNAの表面周辺にこれらの分子を濃縮する。一連の正に荷電した単量体(表1)、架橋剤(表2)および中性コモノマー(表3)を重合体ナノカプセルプラットフォームの製造に使用した。異なる架橋剤、たとえば表2に収載したものを調整可能な組成物、構造、表面特性および官能性をもつ共重合体コーティングを形成するために使用することができる。
【0089】
このインサイチュー重合技術により、デザインされた電荷および特性をもつsiRNAの表面上に保護性の架橋された分解性重合体シェル被覆を導入した。この架橋された重合体シェルは、Rnase分解、温度解離および血清不活性化からの保護をsiRNAに提供する。siRNAナノカプセルにおいて使用することができる架橋剤の非限定の例を表2に提供してある。
【0090】
実施例2. アクリル−スペルミンを使用するナノカプセルの製造
この実施例では、アクリル−スペルミンの調製をアクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステル(NAS)とスペルミンを反応させることによって達成した。簡潔には、それぞれ、スペルミン(100mg)およびNAS(80mg)を1mLクロロホルムに溶解した。次いで、NAS溶液を激しい撹拌下で室温にて徐々にスペルミン溶液に添加した。一晩の反応後、混合物を濾過して副生成物を除去した。次いで、濾液を回転蒸発によって乾燥し、続いてddH2Oで再分散した。不溶性物質の除去後、溶液を凍結乾燥した。最後に、アクリル−スペルミンをTLC処理することによって精製した。当業者であれば、これがアクリル−スペルミンを製造する例示的な方法であり、およびその代わりの方法を同じ結果に到達するために使用することができることを理解するだろう。
【0091】
図2にて図示したように、ナノカプセルの製造は、正に荷電した重合性単量体から開始した。この実施例の目的のためには、正に荷電した重合性単量体は、上記の通りに調製されたアクリル−スペルミンである。重合体ナノカプセルを製造するプロセスの第1の工程は、負に荷電したsiRNAの表面周辺に濃縮された静電的相互作用を必要とした。最初の相互作用後、水性溶液におけるその後の室温重合が、pH分解性架橋剤および親水性単量体で起こった。室温重合の間、それぞれのsiRNA分子は、重合体ネットワークの薄いシェルで包まれた。このような架橋されたシェルは、コアを持つsiRNAを加水分解から保護するのに役に立った。アクリル−スペルミンおよび親水性単量体の比の特異的調整により、表面電荷の精密な制御が可能になり、および重合体ナノカプセルの有効な細胞形質導入を確実にした。その上、2は、中性pHにおいて安定であるが、pH〜5.4である後期エンドソームなどの酸性環境において迅速に分解する。我々は、この独特の反応性の設計が、血清(pH〜7.4)において顕著な安定性をもつ重合体ナノカプセルを提供し、一方で、シェルの分解によりエンドソームからのこれらの逸脱を可能にし、これが細胞質にsiRNAを放出する(工程IV)と考える。さらにまた、我々の合成アプローチは、重合体ナノカプセル表面へのターゲティング成分(たとえば、抗体)の固定を可能にし、siRNAのターゲティング送達を可能にする。
【0092】
実施例3. ナノカプセルがカプセル化されたsiRNAを保護および送達する能力
本明細書において記述した重合体ナノカプセルの効力を試験するために、siRNAを効率的に送達する単一のsiRNAナノカプセルプラットフォームを生成した。重合体ナノカプセルをどのように作製するかという模式図を
図1および
図2に示してある。このプラットホームのこれらのナノカプセルを、カプセル化されたsiRNAをヌクレアーゼから保護するためにデザインし、および細胞にsiRNAを効率的に送達することができる。
【0093】
重合体ナノカプセルがカプセル化されたsiRNAを保護し、および細胞に効率的にsiRNAを送達する能力を試験するために、周知のsiRNA1005を重合体ナノカプセルの調製において使用した。siRNA1005は、HIV−1コレセプターCCR5をターゲットする短いヘアピンRNA(shRNA)である。siRNA1005の十分に特徴づけられた効力は、単一分子ナノカプセル送達技術を適用することによってCCR5ノックダウンを証明するための理想的な候補とした。siRNA1005を伴うナノカプセルの例示的な画像を
図4および
図5に示してある。
【0094】
概念の証拠として、CCR5 RNAをsiRNA1005のナノカプセルによって効率的にノックダウンすることができることを示した。このナノカプセルプラットフォームの1つの独特の利点は、単量体および粒子のサイズ、電荷および反応性の化学的特性を変化させる架橋剤を選択することによって重合体ナノカプセルを修飾する能力である。単量体および架橋剤の非限定的な例は、表1および表2において見いだすることができる。
【0095】
また、重合体ナノカプセルがカプセル化した材料を分解から効率的に保護する能力を、タンパク質をカプセル化することによって証明した。たとえば、EGFP、HRPおよびカスパーゼ3をカプセル化し、および重合体ナノカプセルで保護した。さらに、また重合体ナノカプセルをカプセル化された量子ドットおよびsiEGFP、siルシフェラーゼおよび上記の通りのsi1005などのsiRNAsに使用した。
【0096】
実施例4. shRNAをコードするDNAを使用するsiRNAの送達
siRNAの送達を、shRNA転写ユニットをコードするDNAを使用して達成した。たとえば、プラスミドおよびウイルスのベクターを、これらがsiRNAの高レベルおよび長期発現を提供するので、使用した。
【0097】
この実施例では、さらに重合体ナノカプセル技術を、shRNA1005をコードするDNAのナノカプセルに拡張した。実施例3に記載したように、shRNA1005は、CCR5 RNA発現の発現をターゲットし、およびノックダウンするRNAiである。このDNAナノカプセル技術は、DNA転写ユニットがsiRNAより非常に大きいので、上記のRNAiナノカプセルより困難である。
【0098】
DNAカセットのカプセル化のための重合体ナノカプセルプラットフォームの配合物を、単量体および粒子のサイズ、電荷および分解性を変化させる架橋剤を調整することによって修飾した。単量体および架橋剤の非限定的な例を表1および表2に提供してある。
【0099】
特に興味深いのは、重合体ナノカプセルを、異なる速度にて分解する架橋剤を使用して遅放のために操作し、数日あるいは数週間にわたって有効なsiRNA活性を可能にした。これは、必要とされる1日あたりの投与である現在の小分子薬物に勝る大きな利点である。
【0100】
実施例5. DNA ナノカプセルの合成および送達
図1に図示したように、単量体AおよびB、架橋剤Cから開始し、これらの分子を、静電的相互作用および水素結合を介してDNAカセットの表面に沿って自己組織化した(工程1)。次いで、重合体シェルの薄いネットワークを、その後のインサイチュー重合によってDNAカセット周辺で形成し(工程2)、DNAを保護する新たな表面特性を効率的に与えた。架橋剤Cは、非分解性(non−degrable)架橋剤であった。酸分解性架橋剤Dは、中性pHにおいて安定であったが、約pH 5.4の後期エンドソームなどの酸性環境において迅速に分解した。
【0101】
この独特な反応性の設計は、血清の生理的pH(pH〜7.4)において顕著な安定性をもつ重合体ナノカプセルを提供した。また、これは、単量体Bの正電荷から生じる「プロトン−スポンジ」効果に起因する有効なエンドソームの逸脱を引き起こし、およびシェルの分解進行により原形質へのDNAカセットの徐放を可能にした。次いで、DNAカセットは、核に入り、およびsiRNAの内因性の生成を可能にした(工程4)。
【0102】
実施例6. 短い直鎖DNAカセットを組み込むDNAナノカプセル
概念の証拠として、我々は、sh1005 shRNAを発現したH1を伴う短い直鎖DNAカセットを組み込むモデルDNAナノカプセルおよび対照として抗EGFP shRNAを発現したH1をデザインした。shRNA転写ユニットおよび抗生物質耐性遺伝子からなる大きなDNAプラスミドの送達は、細胞膜および核膜孔における送達バリアによって妨げられた。したがって、第2のDNAカセットを、PCRによって産生した395塩基対のみの最小化した直鎖DNAカセットを使用して製造した。395塩基対のみのDNAカセットは、より効率的に核膜孔を移動することができた。
【0103】
これらの2つのDNAカセットのゲル電気泳動画像を
図3Aに示した。興味深いことに、タングステン薬剤で染色した裸の直鎖DNAカセットのTEM画像は、直径約50nmで暗い半円弧として現れた。対照的に、DNAカセットナノカプセルは、およそ30nmのはるかに小さなサイズで円形形態を有した。これは、おそらく重合体との複合体形成を介したDNA凝縮の結果である。
【0104】
以前に報告されたプラスミドDNA(およそ150〜300nm)を含むナノ粒子と比較して、DNAカセットナノ粒子のサイズは、著しく1/10〜1/5のサイズである。この小さなサイズのDNAカセットナノカプセルは、おそらく高い拡散速度を引き起こし、および送達効率を改善する。
【0105】
実施例7. DNAカセットナノカプセルは、細胞に効率的に送達される
本発明のDNAカセットナノカプセルは、細胞に効率的に送達することができる。Alexa592標識したDNAカセットナノカプセルと4時間インキュベーション後のHEK−293T細胞の光学および蛍光画像を
図4および
図5に示してある。強烈な緑の蛍光は、FITC標識されたsiRNAナノカプセルの送達を証明する(
図4および
図5)。
【0106】
Alexa592標識されたDNAカセットナノカプセルを形質導入したHEK−293 T細胞のフローサイトメトリーにより、蛍光イメージングの結果を確認し、蛍光標識されたsiRNAナノカプセルの良好な送達を証明した(
図5C)。
【0107】
また、CCR5およびCCR5−shRNA(sh1005)を伴うルシフェラーゼレポーター遺伝子配列の融合を発現する293T細胞におけるDNAナノカプセルのRNAi活性を調べた(
図5D)。CCR5−shRNA DNAナノカプセルは、CCR5−ルシフェラーゼ融合mRNAのノックアウトを反映する生物発光強度の約80%をダウンレギュレートし、一方で、対照DNAカセットナノカプセルで処理した細胞は、ルシフェラーゼ活性における有意な減少を示さなかった。
【0108】
Dnase Iに対するDNAナノカプセルの感受性を調査するために、Lipofectamine(登録商標)と複合体形成したDNAおよびDNAナノカプセルをDnase Iと共に1時間インキュベートした(
図6A)。
【0109】
酸処理およびDNA抽出後、アガロースゲル電気泳動は、このようなナノカプセルが、プロートされ(proted)およびカプセル化されたDNAの完全性を維持できることを示した。対照的に、天然の状態においてカプセル化されていないDNAおよびLipofectamine(登録商標)と共に調合された非カプセル化DNAは、分解した。DNAナノカプセルは、0.4pmol以下のDNAカセットの濃度にて、明らかな細胞毒性を示さなかった。0.4pmolにて、DNAナノカプセルで処理した細胞の生存度は、約85%までわずかに減少した(
図7)。
【0110】
実施例8. siRNAナノカプセルは、効率的に細胞およびターゲット特異的配列に送達される
図4Aは、25nmの平均直径のCCR5配列3’−gagcatgactgacatctac−5’をターゲットする二本鎖siRNAナノカプセルの代表的なTEM画像を示す。興味深いことに、それぞれのナノカプセルの中で、直径約5nmの暗いコアが明瞭に観察され、これはTEM観察のために使用したタングステンを染色する薬剤とのsiRNAの好ましい複合体形成に起因する。二本鎖のsiRNA(21塩基対)は、12kDaの平均分子量および3〜5nmのサイズを有するので、それぞれの重合体ナノカプセルは、1つのsiRNA分子のみを含むと思われる。
図4Bは、FITC標識されたsiRNAと4時間インキュベーション後のHEK−293 T細胞の蛍光画像を示す。強烈な緑の蛍光は、siRNAナノカプセルの有効な送達を証明する。
【0111】
概念の証拠として、CCR5−siRNAを使用して、CCR5発現をターゲットし、およびダウンレギュレートした。CCR5ケモカイン受容体において天然に存在する突然変異を持って生まれた個体が、HIV感染症および疾患進行から保護されていることは、十分に証明されてきた。CCR5−siRNAは、CCR5発現をダウンレギュレートし、および患者におけるHIV耐性を発症するための治療的薬物として大きな将来性を持つ。この概念を証明するために、
図4Cは、CCR5配列(
図4Cにおける画像の左パネル)およびEGFP配列(
図4Cにおける画像の右パネル)にターゲットされるsiRNAナノカプセルを形質導入したHEK293細胞の蛍光(flourescence)画像を示す。明らかに、CCR5−siRNAナノカプセルの送達は、CCR5−mCherry融合タンパク質発現を効率的にダウンレギュレートする。これは、siRNAナノカプセル送達および機能の有効性を証明する。
【0112】
ルシフェラーゼを安定して発現するルシフェラーゼ発現CWR細胞を、単一のsiRNAナノカプセルの遺伝子−サイレンシング効力を試験するために使用した(
図14A)。ルシフェラーゼsiRNAナノカプセルで処理した細胞は、50nMを上回った濃度にて特にルシフェラーゼ活性の有意な減少を示し、一方、対照siRNAナノカプセルで処理した細胞は、ルシフェラーゼ活性の有意な減少を示さなかった。siRNAナノカプセルは、200nM以下のsiRNAの濃度にて明らかな細胞毒性を示さなかった。300nMにて、siRNAナノカプセルで処理した細胞の生存度は、約75%までわずかに減少した(
図14B)。
【0113】
さらにまた、ヒト血清無しで、ナノカプセルおよびLipofectamine(登録商標)(Invitrogen(登録商標))は、それぞれ8%および15%にCCR5−mCherry発現をサイレンスした。しかし、ヒト血清の存在下において、CCR5 siRNAナノカプセルは、なおも85%を超えるCCR5−mCherry発現をノックダウンし、一方、Lipofectamine(登録商標)を介して送達されたsiRNAは、数を45%にするだけだった。したがって、ナノカプセルは、Lipofectamine(登録商標)と比較して、ヒト血清ヌクレアーゼの攻撃に対して、中のsiRNAに余分の保護および安定化を提供することができる。
【0114】
実施例9. DNAカセットナノカプセルは、細胞において遺伝子発現を効率的にノックダウンする
DNAカセットナノカプセルのノックダウン効力を、CCR5−ルシフェラーゼ融合タンパク質を発現するHEK−293T細胞への標準的なLipofectamine(登録商標)siRNA形質導入と比較した(
図8)。
【0115】
48時間後、0.1pmol sh1005 DNAカセットナノカプセルは、45%までCCR5−ルシフェラーゼの発現をサイレンスした。全く対照的に、100pmol(1000×量)のsiRNA−Lipofectamine(登録商標)複合体が、47%にCCR5−ルシフェラーゼのレベルをノックダウンするために必要であった。モル基準で、sh1005 DNAカセットナノカプセルは、Lipofectamine(登録商標)と調合されたsi1005 siRNAより、CCR5をダウンレギュレートする際に1000倍以上有効である(
図7および
図8)。この結果は、おそらく形質導入された細胞内でのshRNAの新規転写に起因する。
【0116】
実施例10. 遅放および分解性ナノカプセル
DNAカセットナノカプセルの高い有効性のため、DNAカセットナノカプセルを、持続された活性が有益である適用に使用することができる。これを達成するために、DNAカセットナノカプセルを、異なる速度にて分解する架橋剤を使用して遅放のために操作した。
【0117】
100%分解性架橋剤(例えば、グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラート、GDGDA)(5:0)で調製したDNAナノカプセルは、10時間後に完全に分解した。分解性架橋剤1対非分解性架橋剤(たとえば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、BIS)4の混合物で調製したDNAナノカプセルは、150時間後に完全に分解した(
図9)。分解プロフィールの勾配は、分解性架橋剤の割合と一致して増加する。これは、分解性架橋剤の割合が高いほど、より高い分解速度を引き起こすことを確証させる。
【0118】
100%の分解性架橋剤を使用することにより、CCR5のダウンレギュレーションは、形質導入後、3および5日目にて70%に達し、9日目にて23%に減少した(
図10)。
【0119】
分解性架橋剤対非分解性架橋剤の比が3:2であるとき、CCR5のノックダウンは、3日目にて58%から5日目にて70%に増加し、次いで42%に減少した。
【0120】
DNAナノカプセルの非分解性架橋剤対分解性架橋剤の比が2:3にて、CCR5のサイレンシング割合は、53%から64%に増加し、および更に73%に増加した。20%の分解性架橋剤を使用することにより、CCR5のダウンレギュレーションは、3日目にて20%の低さであり、および9日目にて80%に達した。
【0121】
実施例11. 視覚化ナノカプセル
重合体ナノカプセルのIRスペクトルを、PerkinElmer Paragon 1000 FT−IRスペクトロメーターで得た。UV可視スペクトルをGeneSys 6スペクトロメーター(Thermo Scientific)で取得した。蛍光スペクトルをQuantaMaster Spectrofluorimeter(Photon Technology International)で得た。ナノカプセルのTEM画像を100000×にてPhilips EM120 TEMで得た(たとえば、
図3、
図4および
図5を参照されたい)。
【0122】
観察前に、siRNAナノカプセルをpH 7.0の1%リンタングステン酸(PTA)溶液を使用してネガティブ染色した。ゼータ電位および粒子サイズ分布をMalvern粒子寸法測定器Nano−ZSで測定した。ナノカプセルのSEM画像をJEOL JSM−6700F SEMで得た。シリコン表面上の乾燥試料を測定前に金でスパッターコートした。細胞の蛍光画像をZeiss Axio Observer.Z1蛍光顕微鏡またはLeica TCS SP MP Inverted Confocal Microscopeで得た。細胞の蛍光強度分布をBecton Dickinson FACScan Analytic Flow Cytometerで決定した。488nmアルゴンレーザーを励起光として使用した。
【0123】
実施例12. siRNA ナノカプセルの合成
インサイチュー重合およびsiRNAの異なるタイプおよび比でsiRNAナノカプセルの製造プロセスを最適化した。具体的には、正に荷電した単量体、親水性単量体および分解性架橋剤を、siRNAナノカプセルを最適化するために使用した。
【0124】
siRNAナノカプセルの形態および収量に対する緩衝液塩、イオン型、イオン性強度および溶媒組成物の効果を評価した。
【0125】
種々のターゲット成分を、siRNAのターゲットされた送達を達成するために、siRNAナノカプセルに抱合した。たとえば、これらの実験に使用したターゲティング抱合体は、CD4、CD8、CD45、aHLAおよびトランスフェリンを含んだ。これらの例示的な抱合体は、重合体ナノカプセルの特異的ターゲティングを達成するために、単独または併用で使用することができる。
図22は、CD4受容体を発現する293細胞へのsiRNAのターゲティング送達を示す。
図22Aは、抗CD4抗体と抱合されたFITC標識されたsiRNAナノカプセルと4時間インキュベーション後の、CD4受容体を発現する293細胞のフローサイトメトリーグラフを示す。
図22Bは、抗CD4抗体と抱合されたFITC標識されたsiRNAナノカプセルと4時間インキュベーション後の、CD4受容体のない通常の293細胞のフローサイトメトリーグラフを示す。
【0126】
実施例13. ナノカプセルの特性付け
TEMおよび動的光散乱を使用して、単一のsiRNA ナノカプセル(nanocaspule)のサイズおよびサイズ分布を決定した。さらにまた、電気泳動および電気泳動光散乱を使用して、siRNAとナノカプセルとの間の表面電荷および相互作用を調査した。具体的には、サイズ、表面電荷およびカプセル化収量を調査した。
【0127】
ヌクレアーゼおよび血清の存在下におけるsiRNAおよび単一siRNAナノカプセルの安定性を比較した。siRNAナノカプセルの分解性および放出プロフィールをpH 7.4および5.4の緩衝液において調査した。リポフェクトアミンおよびsiRNAナノカプセルと複合体を形成したsiRNAを、ヌクレアーゼおよびヒト血清と1時間インキュベートした。RNA抽出後、アガロースゲル電気泳動は、このようなナノカプセルが中のsiRNAの完全性を維持することができることを示し(
図6B)、一方、同時に天然の状態において、またはリポフェクトアミンと調合したときにsiRNAを分解する。
【0128】
実施例14. siRNA ナノカプセルの細胞内送達
siRNAナノカプセルのsiRNA送達効率を広く多様な細胞において試験した。これらの細胞の例は、HEK−293 T、Hela、CEM、PBMCおよびMSCを含む。
【0129】
蛍光標識したsiRNAを、エンドサイトーシス阻害剤を使用してエンドサイトーシス経路を調査するために使用した。ナノカプセルによるsiRNA送達の効率および毒性を、市販のリポソーム薬剤によるものと比較した。CCR5、EGFP、Gaussiaルシフェラーゼを含むsiRNAの異なるタイプを、遺伝子サイレンシングの特異性を定量的に評価するために使用した。
【0130】
実施例15. インビトロでの細胞の内部移行
細胞の内部移行研究を、蛍光顕微鏡技術および蛍光活性化細胞選別器(FACS)によって行った。HeLa細胞を10%ウシ成長血清(BGS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補ったダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)中で培養した。細胞(20000細胞/ウェル、24ウェルプレート)をsiRNAナノカプセル添加する前日に播いた。
【0131】
異なる濃度のsiRNAナノカプセルを細胞培地に添加した。2〜4時間、37℃にてインキュベーションの後、細胞をPBSで3回洗浄し、および蛍光顕微鏡で視覚化またはトリプシン処理のいずれかをして、遠心分離し、およびPBSに再懸濁し、およびFACSによって解析した。
【0132】
実施例16. 細胞増殖アッセイ
重合体ナノカプセルの毒性を、対照として天然のタンパク質を使用してMTTアッセイによって評価した。HEK−293T細胞(7000細胞/ウェル)を重合体ナノカプセルへの曝露の前日に96ウェルプレート上に播いた。異なる濃度のナノカプセルを2〜4時間細胞とインキュベートし、混合物から除去し、および24時間新鮮な培地でインキュベートした。MTT溶液(20μL)をそれぞれのウェルに添加し、3時間インキュベートした。次いで、培地を除去し、および100μL DMSOを細胞上に添加した。プレートを150rpmで5分間振盪テーブル上に置き、徹底的に溶液を混合し、および次いで、吸光度読取りを560nmにて測定した。未処理の細胞を100%細胞増殖対照として使用した。
【0133】
実施例17. siRNA ナノカプセルのための正に荷電した単量体の合成
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミド、N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)アクリルアミド、N−(ピペラジン−1−イルメチル)アクリルアミド、およびN−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)アクリルアミド(すなわち、正に荷電した単量体)の調製は、アクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステル(AHS)とアミン含有前駆体(N−(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン/N−メチルプロパン−1,3−ジアミン/ピペラジン−1−イルメタンアミン/N,N’−ビス(2−アミノエチル)エタン−1,2−ジアミン)を反応することによって達成した。簡潔には、それぞれ、アミン含有前駆体およびAHSを0.5mol/Lにてクロロホルムに溶解した。次いで、アクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステルを激しい撹拌下で室温にて徐々に1:1のモル比にて各々のアミン含有前駆体に添加した。一晩の反応後、混合物を濾過して、副生成物を除去した。次いで、濾液を回転蒸発によって乾燥し、続いて水中に再分散した。不溶性物質の除去後、溶液を凍結乾燥した。最後に、生成物を薄層クロマトグラフィーによって精製した。収率は、37%から63%であった。
1HNMRを、最終生成物を確認するために行った。
【0134】
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)アクリルアミドについての
1H NMRは、400MHz、D
2Oにて、以下のピークを産生した:6.46(m、1H、CH
2=CHCO)、5.65(m、2H、CH
2=CHCO)、3.27(m、2H、CONH−CH
2)、2.78(m、10H、CH
2−NH−CH
2およびCH
2−NH
2)、1.75(m、4H、NH−CH
2−CH
2)、1.23(m、4H、NH−CH
2−(CH
2)
2−CH
2−NH)。
【0135】
N−(ピペラジン−1−イルメチル)アクリルアミドについての
1H NMRは、400MHz、D
2Oにて、以下のピークを産生した:6.53(m、1H、CH
2=CHCO)、5.69(m、2H、CH
2=CHCO)、3.91(m、2H、CONH−CH
2−N)、2.28(m、4H、CH
2−NH−CH
2)、2.75(m、4H、CH
2−NH−CH
2)。
【0136】
N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)アクリルアミドについての
1H NMR(400MHz、D
2O):6.39(m、1H、CH
2=CHCO)、5.58(m、2H、CH
2=CHCO)、3.18(m、2H、CONH− CH
2−N)、2.54(m、2H、CH
2−NH−CH
3)、3.22(m、3H、NH−CH
3)。
【0137】
N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)アクリルアミドについての
1H NMRは、400MHz、D
2Oにて以下のピークを産生した:6.41(m、1H、CH
2=CHCO)、5.62(m、2H、CH
2=CHCO)、3.14(m、2H、CONH−CH
2−N)、2.48(m、6H、N−(CH
2)
3)、2.65(m、4H、CH
2−NH
2)。
【0138】
実施例18. siRNA ナノカプセルのための正に荷電した単量体の合成
N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミド、N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド、N−(ピペラジン−1−イルメチル)メタクリルアミド、およびN−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)メタクリルアミド(すなわち、正に荷電した単量体)の調製は、メタアクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステルと、(N,N’−(ブタン−1,4−ジイル)ビス(プロパン−1,3−ジアミン)/N−(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン/N−メチルプロパン−1,3−ジアミン/ピペラジン−1−イルメタンアミン/N,N−ビス(2−アミノエチル)エタン−1,2−ジアミン)を反応することによって達成した。簡潔には、それぞれ、アミン含有前駆体およびメタクリル酸、ヒドロキシスクシンイミドエステルを0.5mol/Lにて1mLクロロホルムに溶解した。次いで、MAHSを激しい撹拌下で室温にて徐々に1:1のモル比にてアミン含有前駆体の1つに添加した。一晩の反応後、混合物を濾過して、副生成物を除去した。次いで、濾液を回転蒸発によって乾燥し、続いてddH2Oで再分散した。不溶性物質の除去後、溶液を凍結乾燥した。最後に、生成物を薄層クロマトグラフィーによって精製した。収率は、32%から61%であった。
1HNMRを、最終産物を確認するために行った。
【0139】
N−(3−((4−((3−アミノプロピル)アミノ)ブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミドのための
1H NMRは、400MHz、D
2Oにて、以下のピークを産生した:1.89(m、3H、CH
2=C(CH
3)CO)、5.72(m、2H、CH
2=C(CH
3)CO)、3.27(m、2H、CONH−CH
2)、2.78(m、10H、CH
2−NH−CH
2およびCH
2−NH
2)、1.75(m、4H、NH−CH
2−CH
2)、1.23(m、4H、NH−CH
2−(CH
2)
2−CH
2−NH)。
【0140】
N−(3−((4−アミノブチル)アミノ)プロピル)メタクリルアミドのための
1H NMRは、400MHz、D
2Oにて、以下のピークを産生した:1.92(m、3H、CH
2=C(CH
3)CO)、5.75(m、2H、CH
2=C(CH
3)CO)、3.27(m、2H、CONH−CH
2)、2.78(m、10H、CH
2−NH−CH
2およびCH
2−NH
2)、1.75(m、4H、NH−CH
2−CH
2)、1.23(m、4H、NH−CH
2−(CH
2)
2−CH
2−NH)。
【0141】
N−(ピペラジン−1−イルメチル)メタクリルアミドのための
1H NMRは、400MHz、D
2Oにて、以下のピークを産生した:1.90(m、3H、CH
2=C(CH
3)CO)、5.72(m、2H、CH
2=C(CH
3)CO)、3.91(m、2H、CONH−CH
2−N)、2.28(m、4H、CH
2−NH−CH
2)、2.75(m、4H、CH
2−NH−CH
2)。
【0142】
N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)メタクリルアミドのための
1H NMRは、400MHz、D
2Oにて、以下のピークを産生した:1.94(m、3H、CH
2=C(CH
3)CO)、5.62(m、2H、CH
2=C(CH
3)CO)、3.18(m、2H、CONH−CH
2−N)、2.54(m、2H、CH
2−NH−CH
3)、3.22(m、3H、NH−CH
3)。
【0143】
N−(2−(ビス(2−アミノエチル)アミノ)エチル)メタクリルアミドのための
1H NMRは、400MHz、D
2Oにて、以下のピークを産生した:1.93(m、3H、CH
2=C(CH
3)CO)、5.67(m、2H、CH
2=C(CH
3)CO)、3.14(m、2H、CONH−CH
2−N)、2.48(m、6H、N−(CH
2)
3)、2.65(m、4H、CH
2−NH2)。
【0144】
実施例19. siRNA ナノカプセルの合成
siRNAを、20μMにて20μLのRnaseフリーの水に溶解した。次いで、0.5mLの脱酸素化して脱イオン化した水に溶解した正に荷電した単量体、トリス−アクリルアミドおよびグリセロールジメタクリラート(モル比=5:5:1)の特定量を微小遠心管に添加した。アクリロイル化されたタンパク質の表面からのラジカル重合を、2μLの脱酸素化して脱イオン化した水および0.4μLのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに溶解した0.02mgの過硫酸アンモニウムを添加することによって開始した。反応を窒素雰囲気において60分間進行させた。
【0145】
実施例20. 遺伝子発現のsiRNAノックダウンに対する正に荷電した単量体の効果
表1において提供した正に荷電した単量体の効果を試験するため、siRNAナノカプセルを表1における14の各々の正に荷電した単量体それぞれと、ルシフェラーゼ遺伝子発現に対するsiRNAで調製した。これらのノックダウン実験をルシフェラーゼ発現CWR細胞において行った。
【0146】
重合体ナノカプセルを調製するために、siRNAを20μMにて20μLのRnaseフリーの水に溶解した。次いで、表1から選択した正に荷電した単量体、トリス−アクリルアミドおよびグリセロールジメタクリラート(正に荷電した単量体のプロトン可能なアミンの総数:トリス−アクリルアミド:グリセロールジメタクリラート=15:5:1)の特定量を0.5mLの脱酸素化して脱イオン化した水に溶解し、微小遠心管に添加した。アクリロイル化されたタンパク質の表面からのラジカル重合を、2μLの脱酸素化して脱イオン化した水および0.4μLのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに溶解した0.02mgの過硫酸アンモニウムを添加することによって開始した。反応を窒素雰囲気において60分間進行させた。
【0147】
CWR細胞を無血清培地において37℃にて4時間50nMにてsiRNAナノカプセルで処理した。次いで、培地を10%ウシ胎仔血清でDMEMに変えた。48時間後、ルシフェラーゼ活性を、96ウェルプレートリーダーを使用して決定した(
図11)。
【0148】
実施例21. 遺伝子発現のsiRNA ノックダウンに対する異なる架橋剤の効果
遺伝子ノックダウンに対する表2において提供された架橋剤の効果を試験するために、siRNAナノカプセルを1,3−グリセロールジメタクリラート、グリセロール1,3−ジグリセロラートジアクリラート、N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミン、ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェートまたはN,N’−メチレンビスアクリルアミドと、ルシフェラーゼ遺伝子発現に対するsiRNAで調製した(表2)。これらのノックダウン実験をルシフェラーゼ発現CWR細胞において行った。
【0149】
重合体ナノカプセルを調製するために、siRNAを20μMにて20μLのRnaseフリーの水に溶解した。次いで、アクリル−スペルミン、トリス−アクリルアミドおよび表2からの架橋剤の特定量(正に荷電した単量体のプロトン可能なアミンの総数:トリス−アクリルアミド:架橋剤=15:5:1)を0.5mLの脱酸素化して脱イオン化した水に溶解し、微小遠心管に添加した。アクリロイル化したタンパク質の表面からのラジカル重合を2μLの脱酸素化して脱イオン化した水および0.4μLのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに溶解した0.02mgの過硫酸アンモニウムを添加することによって開始した。反応を窒素雰囲気において60分間進行させた。
【0150】
CWR細胞を無血清培地において37℃にて4時間、50nMにてsiRNAナノカプセルで処理した。次いで、培地を10%ウシ胎仔血清でDMEMに変えた。48時間後、ルシフェラーゼ活性を、96ウェルプレートリーダーを使用して決定した(
図12)。
【0151】
実施例21. siRNA ナノカプセルサイズに対する異なる中性単量体の効果
ナノカプセルサイズに対する表3において提供した中性単量体の効果を試験するために、siRNAナノカプセルを1N−(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル)アクリルアミド、アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、2‐ヒドロキシエチルアクリラートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリラートで調製した(表3)。
【0152】
重合体ナノカプセルを調製するために、siRNAを20μMにて20μLのRnaseフリーの水に溶解した。次いで、アクリル−スペルミン、表3から選択した中性単量体およびグリセロールジメタクリラートの特定量(アクリル−スペルミンのプロトン可能なアミンの総数:中性のコモノマー:グリセロールデメタクリラート=15:5:1)を0.5mLの脱酸素化して脱イオン化した水に溶解し、微小遠心管に添加した。アクリロイル化されたタンパク質の表面からラジカル重合を2μLの脱酸素化して脱イオン化した水および0.4μLのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンに溶解した0.02mgの過硫酸アンモニウムを添加することによって開始した。一旦siRNAナノカプセルが形成されたら、重合体ナノカプセルのサイズを測定した(
図13)。