特許第6283677号(P6283677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283677
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】外部知能を備える医薬給送カプセル
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/07 20060101AFI20180208BHJP
   A61J 7/04 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   A61J3/07 A
   A61J7/04 Z
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-536790(P2015-536790)
(86)(22)【出願日】2013年9月23日
(65)【公表番号】特表2015-531298(P2015-531298A)
(43)【公表日】2015年11月2日
(86)【国際出願番号】US2013061202
(87)【国際公開番号】WO2014058605
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年7月1日
(31)【優先権主張番号】61/711,627
(32)【優先日】2012年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517249646
【氏名又は名称】シュトコ・ツェーン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】イオルダノフ,フェンツェスラフ,ピー
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ワンケ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ケルクホフ,クラース
(72)【発明者】
【氏名】シミズ,ジェフリー,エー
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−510558(JP,A)
【文献】 特表2010−509968(JP,A)
【文献】 特開2009−061282(JP,A)
【文献】 米国特許第04731765(US,A)
【文献】 実開平04−030535(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/018743(WO,A1)
【文献】 特開2010−170504(JP,A)
【文献】 特開2009−196709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/07
A61J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬を投与するためのシステムであって、
複数のカプセルと、
カプセルディスペンサと、
カプセルアクティベータとを含み、
各カプセルは、医薬を収容する貯槽と、出口とを含み、前記医薬は、該出口を通じて前記貯槽から放出され、
前記カプセルディスペンサは、前記カプセルを放出可能に収容し、あるスケジュールに従って使用者に前記カプセルを投薬するように構成され、
前記カプセルディスペンサの前記カプセルアクティベータは、前記使用者への投与に先立ち、投薬されるカプセルを活性化する、
システム。
【請求項2】
前記出口を通じて前記医薬を放出するためのアクチュエータを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カプセルは、電源を更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記カプセルアクティベータは、前記電源を充電するための充電器を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記カプセルは、前記使用者における状態を感知するためのセンサを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記カプセルディスペンサ及び前記カプセルアクティベータは、単一のユニットに統合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記カプセルアクティベータは、投薬されるカプセルを受け入れるように位置付けられ且つ前記カプセルを活性化するように構成される活性化ポートを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記カプセルディスペンサは、ある投薬スケジュールに従ってカプセルを投薬するようにプログラムされるコントローラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記アクチュエータは、バネを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記バネは、トリガ事象まで圧縮状態において維持され、前記トリガ事象の後に拡張位置まで移動して前記医薬を放出する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記トリガ事象に先立ち前記バネを前記圧縮状態において維持する破壊可能なフィラメントを更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記トリガ事象は、前記カプセルでの感知される状態及び所定の時間期間の満了のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記アクチュエータはトリガ事象まで前記出口の上に配置される移動可能な覆いであり、そのときに、前記覆いは前記出口から取り外される、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
情報を外部ユニットに送信するために、前記カプセル中に送信器を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記送信される情報は、前記カプセルでセンサによって測定される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記カプセルディスペンサ及びカプセルアクティベータは、単一のユニットに統合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記アクチュエータを活性化するためのスイッチを更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項18】
前記スイッチは、固定的な電極と、該固定的な電極に対して移動可能な可撓な電極とを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記アクチュエータは、トリガ事象の後に、前記出口を通じて前記医薬を放出する、請求項2に記載のシステム。
【請求項20】
前記トリガ事象は、前記カプセルで感知される状態、前記カプセルの状態の変化、所定の時間期間の満了、及びスイッチの活性化のうちの少なくとも1つである、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は「Drug Delivery Capsules With External Intelligence」という名称の2012年10月9日に出願された係属中の米国仮特許出願第61/711,627号の優先権を主張し、その全文をここに参照として援用する。
【0002】
この発明は医薬の投与に関する。より具体的には、本発明は薬物又は他の材料を使用者に投与するためのスマートカプセルシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
投薬装置及び方法が提案されており、薬物は密封された摂取可能な又は挿入可能なカプセル内に収容される。アクチュエータ及び制御装置がカプセル内に配置されて、ある特定の時間に或いは特定の事象の後にカプセルから薬物を投薬する。今日まで、消化管に沿う特定の位置で薬物又は他の医薬を放出するのに効果的であり得る機械的な又は電子的な投薬及び感知構成部品を備える光学的なカプセルが提案され且つ研究されている。これらの制御されて放出されるカプセルは数多くの方法において提案されているが、全ては極めて複雑でありがちであるという点において類似する。その複雑性は極めて高価な製造及び組立コストを招き、使用は今日まで研究開発に概ね限定されている。しかしながら、これらのカプセルの制御された放出は、消化管の疾病を治療するための、より一層広義には、体腔内で、例えば、消化管に沿う所望の位置で任意の種類の医薬を投薬するための、日常の使用において極めて有益である。しかしながら、上述のように、複雑性に関連するコストはこれを非実用的にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、当該技術分野には、ある所定の時間に又は間隔で取ることが意図される薬物を投薬するために用い得る低コストの電子カプセルの必要がある。
【0005】
従来的な薬物給送システムと関連する他の欠点は、使用者が適当と思う間隔において使用者が望むだけの服用量を投与し得ることである。これはたとえ自己投与される投与量が推奨される量と一致しなくても当て嵌まる。これは非効果的な治療を招き得るし、ある極端な例においては、過剰投与又は意図されない依存状態を招き得る。
【0006】
よって、当該技術分野には、薬物の投薬が記録され且つ特定の時にのみ許容される医薬給送システムの必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、日常的な概ね低コストの薬物給送を含む如何なる数の用途においても使用可能な、低コストで制御可能なカプセルを含む医薬給送システム及び方法を提供することによって、当該技術分野の上述の必要に取り組む。
【0008】
本発明の1つの特徴では、医薬を投与するためのシステムが、複数のカプセルと、カプセルディスペンサと、カプセルアクティベータとを含む。各カプセルは、医薬を収容する貯槽と、貯槽と連絡する出口とを含み、医薬は出口を通じてカプセルから出る。カプセルディスペンサは、摂取可能なカプセルを放出可能に収容し、所定のスケジュールに従ってカプセルを使用者に投薬(ディスペンス)するように構成される。カプセルアクティベータは、使用者への投与に先立ち、投薬されるカプセルを活性化する。
【0009】
本発明の他の特徴では、医薬を使用者に投与する方法が、貯蔵ユニット内に複数のカプセルを貯蔵すること、カプセルのうちの少なくとも1つを貯蔵ユニットから使用者に投薬すること、使用者への投与に先立ちカプセルを活性化すること、及び使用者へのカプセルの投与後に貯槽から医薬を放出することを含む。
【0010】
本発明のこれらの及び他の機能、特徴、及び実施態様は、本発明の好適な実施態様を示し且つ記載する添付の図面の図及び本発明の以下の詳細な記載を参照して、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施態様に従った医薬投与システムを示す概略図である。
【0012】
図2図1に示すシステムにおいて用いるカプセルを示す断面図である。
【0013】
図3図1に示すシステムにおいて用いる外部ユニットを示す平面図である。
【0014】
図4】本発明の実施態様に従った医薬給送方法を示すフローチャートである。
【0015】
図5図1に示すシステムにおいて用いるカプセルの他の実施態様を示す断面図である。
【0016】
図6図5のカプセル内に示すトリガの概略図である。
【0017】
図7図5のカプセル内に示すトリガの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述のように、本開示は医薬給送に関し、より具体的には、医薬を患者に投与するシステム及び方法に関する。医薬という用語を、ここでは、カプセルを介して使用者に投与し得る如何なる物体をも意味するものとして用いる。医薬は、薬学的に活性な化合物、薬物、染料、放射標識付きマーカ、ワクチン、生理学的マーカ、及び診断剤を含むが、これらに限定されない。
【0019】
本開示のシステム及び方法は、工学的な薬物給送カプセルを利用する既存のシステムよりも経済的である且つ頑強であると同時に、既存のカプセルによってもたらされる柔軟性、報告機能性、及び制御を依然としてもたらすのが好ましい。本発明の好適実施態様は、外部知能を備える薬物給送カプセルを概ね提供する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施態様を示しており、電子カプセル20と外部装置50とを有する、医薬給送システム10を含む。外部装置50をそのように呼ぶのは、カプセル20とは異なり、それが例えば摂取又は挿入による使用者への投与を意図しないからに過ぎない。カプセル20及び外部装置50の多くの特徴及び機能性を以下により詳細に記載する。
【0021】
カプセル20の実施態様を図2に例示する。カプセル20は使用者による摂取又は使用者への挿入に適った大きさとされる。カプセル20は、好ましくは、使用者に投与されるべき医薬(図示せず)を貯蔵する貯槽22と、貯槽からの医薬を投薬(ディスペンス)する出口24と、医薬の投薬を助けるアクチュエータ26と、制御装置28とを含む。貯槽22は初期的に閉塞され、一部の実施態様では、例えば、医薬を環境から分離するために出口24を覆う、キャップ25によって封止される。その一部を以下に議論する代替的な実施態様では、追加的な特徴及び構成部品をカプセルに含め得るが、それらを包むことはカプセルのコストを増大させるように働き得る。上記のように、本発明の一部の実施態様において、カプセルのコストは可能な限り低く保たれる。何故ならば、カプセル20はシステム10内の使い捨て品であり、カプセルのコストを低く抑えることはシステムがより広い範囲の投薬用途において用いられることを可能にするからである。
【0022】
貯槽22及び出口24は従来的な方法において配置され、貯槽22の内容物に対して圧力を加えるアクチュエータ26が医薬24を出口24を通じて投薬させるのが好ましい。より具体的には、アクチュエータ26によって医薬がキャップ25に対して押圧されると、キャップ25はキャップ25がカプセル20から吐き出されるのに十分な力に晒され、よって、医薬が出口24を通じて出ることを可能にする。制御装置28は多くの形態を取り得るし、異なる複雑さにあり得るが、アクチュエータが医薬を投薬するのを制御するように配置されるのが好ましい。それらの一部を以下により詳細に記載する、それらの様々な形態において、制御装置28は、電池のような、電源と、誘導コイル、又はコンデンサと、アクチュエータを制御して医薬を投薬する指令を受信する受信器と、医薬が給送されたという表示又はカプセルの状態についての情報のような、情報を送信するための送信器とを含み得る。
【0023】
カプセルは如何なる数の及び方法のセンサ(図示せず)をも含み得る。例えば、カプセルは、湿分、pH、及び温度のような、環境条件を検出するセンサを有し得る。そのような環境的なセンサは、それらが監視するよう設計される条件に関する報告を継続的に行う点において活性であり得るが、よる好ましくは、それらは何らかの条件変化の後に状態を変更する「二進」センサ(「バイナリ」センサ)として設計される。例えば、センサは、増大したpHのような、特定の条件の存在において摩滅するポリマを含み得る。この摩滅は検出可能な短絡を引き起こし、カプセル内の電子機器を作動させるためにその検出を用い得る。この種類のセンサを用いることは上述の活性センサに対するエネルギを節約する。センサをカプセル内に又は上に含め得る。それは医薬がカプセル内に存在する且つ/或いはカプセルから放出されたことを確認する。
【0024】
図2において、貯槽22は、カプセル20の側壁21と、キャップ25と、移動可能なプランジャ32とによって定められる。出口24はカプセル20の開放端である。他の実施態様において、貯槽22はカプセル20内に配置される袋又は内張りであり得る。その上、出口24はより小さい孔又は複数の孔であり得る。出口24はカプセル20を通じることに加えて或いは代えて側壁21を通じて開口し得る。
【0025】
この実施態様において、アクチュエータ26は、(図2中にコイル状に示される)バネ30と、フィラメント34とを含む。カプセル20から医薬を投薬する前に、バネ30は図2中に実線で示す位置である収縮位置において保持される。プランジャ32は、バネ30と貯槽22との間で、バネ30に接触して配置される。フィラメント34は、プランジャ及びカプセル20の本体に固定される。この配置によれば、フィラメント34はカプセル20に沿って長手方向にプランジャ32の位置を固定し、プランジャ32はバネ30の力に抗して作用してバネを圧縮位置において保持する。
【0026】
加熱要素36も、フィラメント34に近接して、図2のカプセル内に設けられる。フィラメント34は、十分な時間に亘って十分な温度で要素を加熱することによって暖められた後に溶融(melt)する、溶融可能なフィラメントである。フィラメント34によってもたらされる接続がないならば、プランジャ32はバネ30を圧縮位置においてもはや保持し得ないので、バネは伸びて、プランジャ32を(図2には示されていない)伸長位置に押しやる。作動させられるプランジャは、貯槽22内の医薬をキャップ25に抗して押圧してキャップ25を吐き出し、それにより、出口24を通じて医薬を搾り出すのに十分な力を有する。加熱要素36は如何なる従来的なヒータであってもよいが、好適な加熱要素はカプセル内に配置される制御装置内に組み込まれる抵抗ヒータである。ヒータはカプセル内に搭載された電源によって電力供給されるのが好ましく、電源も制御装置内に組み込まれる。他の実施態様では、溶融以外の手段によってフィラメントを破壊し得る。例えば、切断、溶解(dissolving)、化学反応、又は任意の他の手段によって、フィラメントを破壊し得る。本発明は例示のフィラメントに限定されない。バネを圧縮位置において保持し得る如何なるラッチ又はストッパを用いてもよい。バネを解放するために、ラッチ又はストッパを引き続き移動させ、除去し、或いは破壊し得る。
【0027】
図5には、図2に例示するものと実質的に同じカプセルが提供されている。しかしながら、図2と異なることは、図5がスイッチ40も図式的に例示していることである。スイッチ40はヒータ36を作動させるために設けられている。その最も単純な形態において、スイッチは回路を完成してヒータ36への電力を許容する。
【0028】
図6及び7はスイッチ40の2つの実施態様を例示している。各々のスイッチ40は、可撓(フレキシブル)な電極42と、静止的な電極44とを含む。2つの電極が接触するようになると、回路が完了させられて、ヒータ36に電力をもたらし、よって、ヒータ36を作動させる。
【0029】
図6では、可撓な電極42と静止的な電極44との間に溶解可能な材料43が設けられて、可撓な電極42を静止的な電極44から離れる方向に付勢する。材料43は、本体内の特定の環境条件、例えば、特定のpHの流体と相互作用するように選択される。この相互作用は材料を溶かし、可撓な電極42は非付勢位置に戻り、静止的な電極44と接触する。
【0030】
図7では、カプセルの壁21と可撓な電極42との間に膨張可能な材料45が設けられている。例えば、水又は他の体液の吸収の故に、材料45が膨張するか或いは膨れると、可撓な電極42は静止的な電極44に向かって付勢され、最終的には、2つは接触するに至る。
【0031】
当業者が理解するであろうように、ここにおいて記載するカプセルは、所望の時に医薬を投薬するのに効果的な比較的安価なカプセルの1つの実施例に過ぎない。開示の精神及び範囲から逸脱せずに、他のカプセルもこの開示のシステムにおいて用い得る。1つの代替的な実施例において、カプセルはバネを全く含まなくてもよいが、その代わり、キャップ又は類似の覆いが所定の環境において溶解させられる。覆いが溶解させられるや否や、医薬は抑制されずに放散し或いは他の方法でカプセルから出る。他の実施態様では、圧縮バネのようなアクチュエータが弁を開き、環境からの流体がカプセル内に勢いよく流れ込むのを可能にする。その勢いよい流れ込みの結果、二次的なより強力なアクチュエータが作動させられて、医薬をカプセルから押し出す。更に他の実施態様において、アクチュエータは、医薬をカプセルから押すように作用する気体形成又は浸透圧エンジンを含み得る。その上、機械的トリガが図6及び7に例示されているが、ヒータの活性化を引き起こすために、代わりにタイマを用い得る。
【0032】
上記のように、カプセル20は投薬システム10の一部として用いられ、投薬システムは外部装置50も含む。好適な実施態様において、カプセル20の構造及び動作は簡単であり、よって、より安価であるが、システム10は極めて包括的である。従って、外部装置50は、実際の投薬以外に、システムの機能性の大部分を達成するように構成される。
【0033】
図3の概略的な頂面図において例示するように、外部装置50は、複数のカプセル20を貯蔵するような大きさ及び構成とされる容器52を含む。容器52内への即座の挿入のために、カプセル20を、カートリッジのような、特異なパッケージにおいて提供し得るが、容器内にカプセル20を保持する方法は制約されない。外部装置50はアクセス開口54も含み、使用者はアクセス開口54を通じて外部装置50内に格納されるカプセル20にアクセスする。アクセス開口54は、好ましくは、使用者がカプセル20の全て未満にアクセスすることを可能にし、より好ましくは、所与の時に投与されるべきカプセル又は複数のカプセルにのみアクセスするのを可能にする。よって、外部装置50は、従来的な自動販売機と同様に、カプセル20のディスペンサ(投薬器)としても作用する。例示していないが、この投薬特徴を達成するために、適切な機械的な及び電子的な構成部品を含め得るし且つ/或いは必要とさせ得る。そのような特徴は、PHILIPS(R) Medication Dispensing Serviceのような、従来的な丸薬投薬特徴において見出されるものに類似し得る。
【0034】
外部装置50は、好ましくは、カプセルアクティベータ56も含む。カプセルアクティベータ56は、各カプセルが医薬を投薬するのを可能にし得る。即ち、外部装置50内への挿入の時に、各カプセルはある量の医薬を含むが、受動的であり、よって、医薬を投薬し得ない。別の言い方をすると、受動的なカプセルは医薬を内側に施錠(ロック)し、それが解錠(アンロック)されるまで、普通には医薬を投薬しない。よって、容器52内に配置された後、カプセルは受動的な非投薬状態にある。カプセルアクティベータ56はカプセルを活性な非投薬状態に変える。1つの現時点で好適な実施態様において、カプセルアクティベータは、カプセル上の電源を充電する充電器(チャージャ)である。例えば、カプセルアクティベータ56は、誘導コイル又は誘導バンクを誘導的に充電し、或いはカプセル内に収容されるコンデンサを充電する。他の実施態様において、カプセルアクティベータ56は、例えば、カプセル上のスイッチを活性化することによって、カプセルの電源及び/又は電子機器を「起動」し或いは「電源オン」し得る。更に他の実施態様において、カプセルアクティベータ56は、例えば、バネを予荷重することによって、アクチュエータを充電する。カプセルを活性化する他の手段も想起し得る。理解されるであろうように、この開示の活性化特徴は他の利益も有する。例えば、使用者が活性化されていないカプセルを取るならば、それはその内容物を投薬しない。何故ならば、それらの内容物は内側に施錠されるからである。制御された活性化は偶発的な過剰投与を防止し、麻薬乱用を抑制するのを助け得る。
【0035】
1つの実施態様において、カプセルアクティベータ56は、外部ユニットの投薬機能と統合される。例えば、カプセルが使用者にアクセス可能であるときにカプセルが活性化されるように、カプセルアクティベータ56はアクセス開口54に近接して配置される。カプセルアクティベータ56をポート又はクレードルの形態において設け得る。投薬されるべき丸薬が活性化のためにポート又はクレードル内に配置され、このポート又はクレードルはアクセス開口54に配置され得る。他の実施態様において、活性化ポートはアクセス開口54の上流にある。例えば、カプセルアクティベータ56としての機能を果たす活性化ポートが外部装置50の内側にあり得る。その場合、それは丸薬がアクセス開口54で使用者に提示されるに先立ちカプセルを活性化する。
【0036】
本発明の更に他の実施態様において、カプセルアクティベータ56は、投薬機能と別個に作動し得る。例えば、アクセス開口54を介してカプセルを使用者に投与してよく、その時に、使用者はカプセルをカプセルアクティベータ56内に配置する。この実施態様では、カプセルが活性化されたことを使用者に警報するために、カプセルアクティベータ56と関連して視覚的な印、可聴的な印、又は他の印を設け得る。
【0037】
外部ユニット50はカプセルの制御された投薬及び活性化を可能にする。この目的を達成するために、外部ユニット50は、医薬投与プロファイルを記憶させるためのプログラム可能なメモリ58を含むのが好ましい。このプロファイルは、カプセルがいつ活性化され且つ/或いは投薬されるかを示すスケジュールを提供する。薬物、使用者の特徴、又は2つの組み合わせに基づき、プロファイルを決定し得る。好適な実施態様において、医薬投与プロファイルは、例えば、コンピュータインターフェース、使用者、医薬投与者、処方する医者、薬剤師、又は薬物製造業者/包装業者によって、外部ユニットにアップロードされる。インターフェースが提供されるときには、処方又は条件が変更するに応じてプロファイルを更新し得る。他の実施態様では、ディスペンサに投与プロファイルを事前プログラムし得るし、使用者によって変更不能であり得る。
【0038】
外部ユニットは、好ましくは、時計60も含む。大部分の医薬投与プロファイルは、医薬投与の頻度を含む。投与プロファイルに基づき投薬及び/又は活性化のタイミングを図るために、時計60を用いる。医薬のための放出時間を構築するためにも時計を用い得る。例えば、活性化後の又は摂取後の経過時間を決定するために時計60を用い得る。その経過時間を事前決定し得るし、例えば、図2のカプセルのヒータを活性化することによって、活性化されるカプセルからの医薬の放出を指示するために、その経過時間を用い得る。
【0039】
外部ユニット50は受信器62や送信器64も含み得る。受信器62は有線又は無線の受信器を含む従来的な構成であり得るが、それらに限定されない。1つの実施態様において、受信器62は医薬投与プロファイルを受信するように構成される。受信器62は、カプセルの位置に関する情報、カプセルがその医薬を投薬したことの確認、及びカプセルが摂取されたという情報を含む、活性化されたカプセルからの情報も受信し得るが、それらに限定されない。受信器によって受信される情報を、例えば、メモリ(図示せず)内に、外部ユニット50によって記憶させ得る。
【0040】
活性化されたカプセルに指令を送信して格納された医薬を放出するために送信器64を用い得る。診断目的のために格納された情報を検討し得るよう、外部ユニットに格納されるあらゆる情報を、例えば、介護者又は技術者に移転するために、送信器64を用い得る。
【0041】
外部ユニット50は、好ましくは、ある数のユーザーインターフェース及び/又はユーザーインジケータも含む。例示の実施態様において、外部ユニット50は可視的なインジケータ(表示器)としての光源66を含む。光源66は医薬がいつ投与されるべきかを表示する。よって、解放プロファイルが、時計と共に、医薬が投与されるべきであることを決定すると、光源66は明るくなる。デジタルディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ等のような、他の視覚的なインジケータも用い得るし或いは代替的に用い得る。その上、インジケータは視覚的なインジケータに限定されない。可聴的なアラームも外部ユニット50内に含め得るし或いは代替的に含め得る。
【0042】
本発明は、使用者が医薬を投与すべきという表示を受け取るときに、カプセルを投薬し且つ/或いは活性化し得ることを想起するが、一部の実施態様では、使用者は、表示が投与されたことを先ず認める。この目的を達成するために、投薬ボタン68が外部ディスプレイに設けられる。使用者は医薬を投与する時間であることを示す表示を受信後に投薬ボタン68を押し、ユニットはカプセルを投薬する。上述のように、活性化は投薬の時にも起こり得る。
【0043】
このように、本開示に従った好適なシステムは、2つの構成部品、即ち、カプセル及び外部ユニットを含む。本開示はこの構成に限定されない。外部ユニットを1つよりも多くの構成部品で構成し得る。例えば、カプセルが送信器及び受信器のうちの1つ又はそれよりも多くを有するとき、使用者は通信を許容するよう外部ユニットに近接近したままであることが求められ得る。よって、使用者は1つの場所に繋ぎ止められず、使用者は着用可能なモジュールを備え得る。着用可能なモジュールは、幾つかある機能の中でもとりわけ、カプセルとの通信を容易化する。投薬及び活性化のような上述の外部ユニットの他の機能を遂行するために、別個の静止的なモジュールを設け得る。外部ユニットの特徴及び機能は設計が支配するような任意の数のモジュールの中でパース(parsed)され得る。
【0044】
図4のフローチャートを特に参照して、上述のシステム10を用いて医薬を投与する方法を次に記載する。
【0045】
ステップ110において、外部ユニットはカプセルを投与する時間であることを決定する。これは前述した既述の投薬プロファイルからの情報を用いて行われる。この決定は時計又は他の源からの入力も含む可能性が高い。
【0046】
ステップ120において、使用者は医薬を投与する時間であるという事実を警報される。上記で議論した実施態様において、使用者は外部ユニット50の光源が作動させられるときを知らされる。代替的に、可聴的なインジケータによって使用者に通知し得る。更に他の実施態様において、外部装置はテキスト又はeメールメッセージのようなメッセージを使用者によって着用される装置に送信することによって使用者に通知し得る。
【0047】
ステップ130において、カプセルは活性化のために準備される。例えば、上述のカプセルアクティベータとして作用する或いは上述のカプセルアクティベータとの関係において作動するポート又はクレードル内にカプセルを配置し得る。好適な実施態様において、カプセルは自動的に、即ち、外部ユニット内の機構によって、ポート又はクレードル内に配置される。他の実施態様において、ステップ130は、受動的なカプセルを使用者に提示することを含み得る。使用者は、カプセルをカプセルアクティベータに手作業で移転し、或いは使用者は、例えば、カプセル上のスイッチ活性化することによって、カプセルを手作業で活性化する。
【0048】
ステップ140において、カプセルは活性化される。理解されるであろうように、このステップに先立ち、カプセルは受動的又は休止的であるのが好ましい。即ち、カプセルを動作的に破壊する何らかの認められていない外力がないならば、カプセルは医薬を投薬しない。カプセルが活性化された後にのみ、このステップ140において、カプセルは意図されるような医薬を投薬するように準備される。一部の実施態様では、カプセルは、機能的な動作のためにカプセル内に貯蔵される源からのエネルギで、エネルギ源に結合させられることによって活性化させられ得る。例えば、電池又はその中に格納されるコンデンサを充電するために、カプセルを差し込み得るし、或いは電池又はコンデンサを個別に充電し得る。電気的又は機械的なスイッチを、例えば、「オフ」位置から「オン」位置に変えることによっても、活性化を行い得る。
【0049】
ステップ150において、カプセルは使用者に投薬される。好適な実施態様において、使用者はカプセルを摂取するが、肛門挿入又は膣挿入によるような、カプセルを投与する他の手段も想起される。
【0050】
ステップ160において、カプセルはトリガ事象が発生したという情報を受信する。トリガ事象は、カプセルの活性化(ステップ140)又はカプセルの投与(ステップ150)を非限定的に含む、如何なる数の事象であってもよい。カプセルが使用者の消化管のような比較的湿った環境に入るときを決定するよう、カプセル上の湿分検出センサを含めることによって、カプセルの投与を検出し得る。使用者は、例えば、外部ユニット上のボタンを押すことによって、使用者がカプセルを投与したことを手作業で確認し得る。他の実施態様において、カプセルはpHセンサを含み得る。特定の所定のpH値の検出はトリガ事象である。
【0051】
トリガ事象の検出後、ステップ170において、カプセルは、例えば、上記で議論したように、カプセルの貯槽を開放することによって、医薬を投薬する。投薬はトリガ事象の後に直ぐに起こり得るし、或いはそれはトリガ事象の後の幾らかの所定の時間に起こり得る。
【0052】
ステップ180において、カプセルは医薬が投薬されたことを報告する。カプセルは、例えば、RF送信によって、外部ユニットに信号を送信することによって、これを行い得る。他の実施態様では、医薬が放出されるときにカプセルの状態を変更させ得るし、使用者はカプセルが通過させられるときにこの状態の変更に気付き得る。医薬が投薬されたという表示は、二進表示(バイナリ表示)であり得るし、或いは、それは、カプセル及び外部ユニットの感知能力に依存して、より詳細であり得る。例えば、医薬が投与されたという表示は、投薬の場所、投薬の時間、及び/又は任意の他の関連する情報を含み得る。このステップ180は、一部の実施態様では、例えば、投与されるカプセルが適切に機能する十分な信頼があるならば、全く要求されなくてもよい。
【0053】
ステップ190において、外部ユニットは次の医薬の投与が行われるべきときを確立するタイマを始動させる。ステップ180において医薬の投与が決定されるときに、タイマを始動させ得る。他の実施態様では、カプセルが投薬されるときに、カプセルが活性化されるときに、カプセルが摂取されるときに、或いはステップ170においてトリガ事象が起こるときに、タイマを始動させ得る。
【0054】
いま記載したばかりの方法及びそれらの変形は、所定のスケジュールに従って使用者に医薬を投薬するのに効果的である。改良された方法は、医薬の不適切な投与を抑止する。その上、各々のステップは、好ましくは、外部ユニットのメモリ中に保存され、それにより、使用者又は介護者に医薬の投与を追跡し且つ確認する能力を許容する。この知識は使用者についての他の情報と結び付けられるときに特に貴重である。何故ならば、それは正確な診断及び治療計画の表示を可能にするからである。
【0055】
その上、現時点で好適な開示の実施態様は、必要とされないような、外部ユニット中のシステムの知能の大部分を有する。1つの代替的な実施態様において、カプセルが医薬を投薬するために外部ユニットからの指令を受信する必要がないように、カプセルは投与スケジュールを記憶するメモリを含み得る。同様に、カプセルがトリガ事象を検出し、そして、トリガ事象の直接的な結果として或いはカプセル内の時計によって計算される幾らかの休止時間の後に医薬を放出するように、各カプセル中に小型プロセッサを設け得る。
【0056】
本発明の前述の実施態様は、例示的な実施態様として提供され、本発明を実施するための現時点での最良態様(ベストモード)である。これらの実施態様の変形は当業者に直ちに明らかであろう。本発明は前述の実施態様によって限定されることは意図されず、その代わりに付属の請求項によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7