(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283679
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ベア・チップ・ダイをボンディングする方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-541717(P2015-541717)
(86)(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公表番号】特表2015-534285(P2015-534285A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】NL2013050800
(87)【国際公開番号】WO2014073963
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】12192091.2
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515124288
【氏名又は名称】ネーデルランツ オルガニサティー フォール トゥーゲパスト‐ナトゥールヴェテンシャッペリーク オンデルズーク テーエンオー
(73)【特許権者】
【識別番号】512072773
【氏名又は名称】イメック フェーゼットヴェー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ,エズガー コンスタント ピーテル
(72)【発明者】
【氏名】ペリンシェリー,サンデープ メノン
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ブラント,ヨーレン
(72)【発明者】
【氏名】マンダムパラムビル,ラジェッシュ
(72)【発明者】
【氏名】スクー,ハルマンヌス フランシスカス マリア
【審査官】
堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−129649(JP,A)
【文献】
特開平10−070151(JP,A)
【文献】
特開2001−237279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の電気接続パッドを有するマイクロ電子部品(10)を、それぞれ一つ以上の接続パッドを介して前記マイクロ電子部品に相互接続するように配置された接続パッド構造体(40)を基板表面に有する基板(20)上にボンディングする方法であって、前記方法は、
− 硬化型導電性接着剤またはフラックス基剤ソルダー・ペーストのボンディング材料層(151)、および前記ボンディング材料層に隣接する犠牲動的放出層(152)を含むドナー・フィルムを準備するステップと、
− レーザ・システムのレーザ・ビームを整列させ、前記基板表面から距離を保って前記ドナー・フィルムを導くステップと、
− 前記動的放出層が活性化されて、前記ボンディング材料層から転写されたボンディング物質(50)によって前記接続パッドまたは前記接続パッド構造体の選択された部分が覆われるように、前記動的放出層上に前記レーザ・ビームを作用させるステップと、
− 前記マイクロ電子部品(10)のパッドおよび前記パッド構造体の一方または両方上の前記ボンディング物質が、前記パッド構造体とそれぞれのパッドとの間の電気接続を形成するように、前記マイクロ電子部品(10)の前記パッドを前記パッド構造体に宛がうステップと、
− 前記ボンディング物質の前記導電性接着剤を硬化または前記ソルダー・ペーストをリフローさせることによって、1Mpaを上回るせん断強度で前記マイクロ電子部品をボンディングするステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ボンディング物質が、作業温度域で熱可塑性であり、前記作業温度域から高められた温度の硬化温度域で熱硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作業温度域が、摂氏10度〜摂氏180度の範囲にわたる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板が、少なくとも1cmの曲率半径を有するフレキシブル基板(20)である、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記マイクロ電子部品の表面への前記距離が1〜200ミクロンの範囲内に保たれる、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ボンディング材料層が、10〜50ミクロンの間の範囲内の厚さを有する、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ドナー・フィルムが、事前加工されたパターニングを備えて準備される、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
事前加工されたパターニングが、レーザ・スポット・サイズと等しいかまたはそれより小さいグリッド・サイズを有するグリッドを形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記パターニングが、40〜80ミクロンの範囲にあるグリッド・ピッチを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記接続パッドが80マイクロメートルより小さい、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ボンディング物質が、作業温度域では粘性の熱硬化樹脂であって、その粘度が1〜160Pa.sの間の範囲にある、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
転写されたボンディング物質が、硬化可能に保たれるか、または10%を上回る容積パーセントのソルダー・フラックスから成るように、前記レーザ・ビームのタイミングおよびエネルギが制限される、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
一つ以上の電気接続パッドを有するマイクロ電子部品(10)を、それぞれ一つ以上の接続パッドを介して前記マイクロ電子部品に相互接続するように配置された接続パッド構造体(40)を基板表面に有する基板(20)上にボンディングする方法であって、前記方法は、
− 硬化型導電性接着剤(151)、および犠牲動的放出層(152)を含むドナー・フィルムを準備するステップと、
− レーザ・システムのレーザ・ビームを整列させ、前記基板表面から距離を保って前記ドナー・フィルムを導くステップと、
− 前記動的放出層が活性化されて、前記ドナー・フィルムから転写された接着剤(50)によって前記接続パッドまたは前記接続パッド構造体の選択された部分が覆われるように、前記動的放出層上に前記レーザ・ビームを作用させるステップであって、前記レーザ・ビームは、前記転写される接着剤が硬化性を保つように、タイミングおよびエネルギを制限される、前記作用させるステップと、
− 前記マイクロ電子部品(10)のパッドおよび前記パッド構造体の一方または両方上の前記ボンディング物質が、前記パッド構造体とそれぞれのパッドとの間の電気接続を形成するように、前記マイクロ電子部品(10)の前記パッドを前記パッド構造体に宛がうステップと、
− 前記パッドと前記パッド構造体との間の前記導電性接着剤を硬化させ、1Mpaを上回るせん断強度で前記マイクロ電子部品をボンディングするステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
一つ以上の電気接続パッドを有するマイクロ電子部品(10)を、それぞれ一つ以上の接続パッドを介して前記マイクロ電子部品に相互接続するように配置された接続パッド構造体(40)を基板表面に有する基板(20)上にボンディングする方法であって、前記方法は、
− ソルダー・ペースト(151)、および犠牲動的放出層(152)を含むドナー・フィルムを準備するステップと、
− レーザ・システムのレーザ・ビームを整列させ、前記基板表面から距離を保って前記ドナー・フィルムを導くステップと、
− 前記動的放出層が活性化されて、前記ドナー・フィルムから転写されたソルダー・ペースト(50)によって前記接続パッドまたは前記接続パッド構造体の選択された部分が覆われるように、前記動的放出層上に前記レーザ・ビームを作用させるステップであって、前記レーザ・ビームは、前記転写されるソルダー・ペーストが10%を上回る容積パーセントのフラックスから成るフラックスを含むように、タイミングおよびエネルギを制限される、前記作用させるステップと、
− 前記マイクロ電子部品(10)のパッドおよび前記パッド構造体の一方または両方上の前記ソルダー・ペーストが、前記パッド構造体とそれぞれのパッドとの間の電気接続を形成するように、前記マイクロ電子部品(10)の前記パッドを前記パッド構造体に宛がうステップと、
− 前記パッドと前記パッド構造体との間の前記ソルダー・ペーストをリフローさせて、1Mpaを上回るせん断強度で前記マイクロ電子部品をボンディングするステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上、特にフレキシブル基板上でのベア・ダイ・チップ部品の相互接続および固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上の個別ベア・チップ部品またはマイクロ電子部品(チップ)の相互接続は、チップ部品が配置位置に取り付けられる際に、基板への全ての電気的接続および固定ができるように、細密な電気的または他の種類の相互接続を可能にするため、十分な精度による正確な材料の被着(deposition)を必要とするプロセスである。一般に、ベア・ダイを下向きにして、すなわち、回路基板電極に向いたチップまたはパッケージの底面の電極を用い、等方性導電性接着剤またはソルダー・ペーストを使ってボンディングすることによってこのプロセスを実施することが予見される。導電性接着剤の一例に、銀粒子を含有させた温度またはUV硬化型樹脂がある。ソルダー・ペーストは、通常、ソルダー粒子とフラックスとを含む。このようなソルダー・ペーストは、粒子上の酸化層を除去しリフロー過程での濡れ性を向上するため、フラックスを必要とする。両種の相互接続、すなわち、導電性接着剤とソルダー・ペーストとは、熱衝撃に敏感で、チップの装着前はこれを回避する必要がある。フラックスは120〜150℃を超える温度で活性化され、また、導電性接着剤に対しては、熱衝撃は当該接着剤の接着性を劣化させることになる。近年、フレキシブル基板上に、ベア・シリコンまたはLEDチップ、インターポーザまたはボール・グリッド・アレイをボンディングするため、導電性接着剤およびソルダー・ペーストを印刷するいくつかの方法が知られている。最新の方法には、スクリーン印刷および孔版印刷が含まれる。現在の技法は効率的である。しかしながら、これらにはいくつか固有の欠点がある。
a)スクリーンおよび孔版印刷は高速な技法ではあるが、これらは必要な分解能を持たない(約100um)。接触モードおよび基板のウェブの動きにより、位置ずれが起こり易くなる。これらは接触モードのプロセスなので、脆弱な基板への損傷が生じる可能性があり、チップの装着の前に材料の単一層を被着できるだけである。該技法は、非平坦な表面を取り扱えず、特にフォイル・ベースのロール・ツー・ロールのプロセスに対してウェブの変形を補償することができない。さらに、スクリーンの作製が高価で、フレキシブルとはとても言えず、これらは、スクリーン印刷については10,000〜100,000回の稼働後に、孔版印刷については200,000回の稼働後に取り替えなければならない。最後に、適切な結果を得るためには定期的な清掃およびメンテナンスが欠かせない。
b)分注およびジェット方式は非接触工法であり、孔版またはマスクを必要としない。しかしながら、これら方式の分解能は250umまでに限定され、これはほとんどのベア・ダイSiチップおよび小型受動部品に対して不十分である。さらに、これらは、通常秒あたり10ドットのスループットを有する比較的に低速なプロセスである。
c)ピン転写は有力候補となる方法であるが、転写(transfer)される層の粘度範囲および厚さに制限があり、転写される形状がフレキシブルでない。
【0003】
ピケ(Pique)ら著「銀ナノ・ペーストのレーザ直接描写による、相互接続の三次元印刷(Three− Dimensional Printing of Interconnects by Laser Direct− Write of Silver Nanopastes)」、アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)、2010年10月25日、第22巻、第40号、4462〜4466頁、には、ベア・ダイLEDに対する電気配線ボンディング相互接続の別の工法を提供するため、ソルベント・ベースの乾燥ナノシルバ・ペーストを基板に転写するレーザ直接描画法が説明されている。しかしながら、この方法は、裏向けボンディング工法でなく、チップ上と基板上との電気接続が同じ方向を向いており、これは基板への接着によるいかなる固定も提供しない。これは、ベア・ダイをポリイミド基板上のポケット中に配置した後、電気接続だけを提供し、構造的な接着は提供しないので不適切である。さらに、この方法は、レーザ・パルスの使用によって接着剤がボンディングに適さない状態に硬化または劣化されることになるので、熱硬化型導電性接着剤などほとんどの相互接続材料には適さない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術のアセンブリは、十分なフレキシビリティおよび信頼性を備えた、フレキシブル基板上への微細ピッチのベア・ダイの高分解能ボンディングのための適切な方法を提供できていない。本発明は、この課題に対するソリューションを探求する。この目的のため、一つ以上の電気接続パッドを有するマイクロ電子部品、特にベア・ダイ部品を、それぞれ一つ以上の接続パッドを介してマイクロ電子部品に相互接続するように配置された接続パッド構造体を基板表面に有する基板上にボンディングする方法の提供を提案し、本方法は、
− 硬化型導電性接着剤またはフラックス基剤ソルダー・ペーストのボンディング材料、および該ボンディング材料層に隣接する動的放出層を含むドナー・フィルムを準備するステップと、
− レーザ・システムのレーザ・ビームを整列させ、基板表面から距離を保ってドナー・フィルムを導くステップと、
− 動的放出層が活性化されて、ボンディング材料層から転写されたボンディング物質によって接続パッドまたは接続パッド構造体の選択された部分が覆われるように、動的放出層上にレーザ・ビームを作用させるステップと、
− マイクロ電子部品のパッドおよび基板パッド構造体の一方または両方上のボンディング物質が、パッド構造体とそれぞれのパッドとの間の電気接続を形成するように、マイクロ電子部品のパッドを該パッド構造体に宛がうステップと、
− ボンディング物質の導電性接着剤を硬化させる、またはソルダー・ペーストをリフローさせることによって、1Mpaを上回るせん断強度でマイクロ電子部品をボンディングするステップと、
を含む。
【0005】
上記に応じ、別のボンディング方法が提供され、本方法では、ボンディング物質を所望の分解能サイズで転写でき、同時に、ボンディング物質が転写プロセス中に過剰な熱曝露によって無効化するのを防止することができる。このボンディング物質は、熱硬化型もしくは熱可塑性接着剤、またはソルダー・ペーストを包含するフラックスによって形成することができ、ソルダー・ペーストを包含するフラックスの、ダイ・ボンディング材料から基板表面への転写において、レーザ・ビームは、転写されるボンディング物質内のフラックスが元の状態を保つように、タイミングおよびエネルギを制限される。当然のことながら、ボンディング材料がそのボンディング特性を保っていれば、ボンディング物質をボンディング材料層からマイクロ電子部品のパッドまたはパッド構造体に転写した後も、そのボンディング物質は元の状態を保つ。つまり、ボンディング物質は、固定化ステップ、すなわち熱硬化材料の硬化またはソルダー・ペーストのリフローによるボンディングに、適した状態を保つ。このように、効率的なボンディング方法が提供され、該方法においては、具体的には、フレキシブル基板上に配置されたマイクロ・フィーチャを基準としてマイクロ電子部品を位置決めすることによって、従来型のパッド・サイズよりも相当に小さい分解能のスポット・サイズで、マイクロ電子部品のパッドをボンディングし電気的に相互接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】マイクロ電子部品の概略的アセンブリ方法を示す。
【
図2A】接着剤またはソルダー物質を転写するためのセットアップの概略的実施形態を示す。
【
図2B】接着剤またはソルダー物質を転写するためのセットアップの概略的実施形態を示す。
【
図3A】ボンディング方法を実装するための、テープ・ベースの供給システムを示す。
【
図3B】ボンディング方法を実装するための、テープ・ベースの供給システムを示す。
【
図4】チップ・アセンブリのためのロール・ツー・ロール供給システムを示す。
【
図5】ボール・グリッド・アレイ型構造体を基板に相互接続するための概略的実施形態を示す。
【
図6】フォイル上の受動部品またはベア・ダイの相互接続のための概略的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一態様において、個別チップ部品を基板上にダイ・ボンディングする材料の高速の位置決めのための直接描画法が提供され、これは、リール・ツー・リール製造方式で稼働することができる。具体的には、本方法は、高粘度の材料の高分解能被着(deposition)のために用いることができる。本開示の方法およびシステムで達成可能な分解能によって、転写されたボンディング材料が50ミクロンより小さなスポット直径を有する、被転写ダイ・ボンディング材料の分解能スポット・サイズを得ることが可能である。
【0008】
図1は、ベア・ダイ・チップ部品(チップ)10の個別パッド30を、フレキシブル基板20のパッド構造体40上にボンディングするための方法のいくつかの実施形態(A、B、C)を概略的に示す。後記でさらに説明するように、本方法は、フレキシブル基板20のウェブの変形を補正するのに十分な精度を有する。本記載で使われる用語「フレキシブル基板」とは、具体的には、リール・ツー・リール・プロセスで使用するのに十分な曲げ性のある基板を言う。言い換えれば、本記載で用いるフレキシブル基板とは、基板が基本的な機能性を失わずに、ある特定の曲率、例えば(リールの直径の如何にもよるが)、1〜100センチメートルの曲率半径を超えた屈曲を可能とするのに十分にフレキシブルな基板である。チップ・ボンディング材料物質50の供給は、パッド構造体40上(
図1のA)または、例えば
図1のBに示されるように、チップのパッド30上に配置することができる。次いで、チップ10を、基板20のウェブのパッド構造体40に直接ボンディングすればよい。上記に加えまたは上記に換えて、導電性ダイ・ボンディング物質と構造用接着剤60との合成パターンを設けることもできる(
図1のC)。また、これらに換えて、本方法は、積層フレキシブル基板上に配置された相互接続パッド構造体に対しても提供することが可能である。
【0009】
図2Aおよび2Bは、本明細書で請求される方法のため、ダイ・ボンディング物質1511を、基板20(
図2A)上のパッド構造体40に、またはベア・ダイ10(
図2B)のパッド30に転写するための例示的な転写セットアップを示す。或る実施形態において、一つ以上の電気接続パッドを有するマイクロ電子部品、特にベア・ダイ部品10を、それぞれ一つ以上の接続パッドを介してマイクロ電子部品に相互接続するように配置された接続パッド構造体40を基板表面上に有する基板20上にボンディングする方法が提供され、本方法は、
− 硬化型導電性接着剤151、および動的放出層152を含むドナー・フィルムを準備するステップと、
− レーザ・システムのレーザ・ビームを整列させ、基板表面から距離を保ってドナー・フィルムを導くステップと、
− 動的放出層が活性化されて、ドナー・フィルムから転写される接着剤50によって接続パッドまたは接続パッド構造体の選択された部分が覆われるように、動的放出層上にレーザ・ビームを作用させるステップであって、レーザ・ビームは、転写される接着剤が硬化性を保つようにタイミングおよびエネルギを制限される、該作用させるステップと、
− マイクロ電子部品10のパッドおよびパッド構造体の一方または両方上のボンディング物質が、パッド構造体とそれぞれのパッドとの間の電気接続を形成するように、マイクロ電子部品10のパッドを該パッド構造体に宛がうステップと、
− 該パッドと該パッド構造体との間の導電性接着剤を硬化させ、1Mpaを上回るせん断強度でマイクロ電子部品をボンディングするステップと、
を含む。
【0010】
或る実施形態において、一つ以上の電気接続パッドを有するマイクロ電子部品、特にベア・ダイ部品10を、それぞれ一つ以上の接続パッドを介してマイクロ電子部品に相互接続するように配置された接続パッド構造体40を基板表面上に有する基板20上にボンディングする方法が提供され、本方法は、
− ソルダー・ペースト151、および動的放出層152を含むドナー・フィルムを準備するステップと、
− レーザ・システムのレーザ・ビームを整列させ、基板表面から距離を保ってドナー・フィルムを導くステップと、
− 動的放出層が活性化されて、ドナー・フィルムから転写されたソルダー・ペースト50によって接続パッドまたは接続パッド構造体の選択された部分が覆われるように、動的放出層上にレーザ・ビームを作用させるステップであって、レーザ・ビームは、転写されるソルダー・ペーストが10%を上回る容積パーセントのフラックスから成るフラックスを含むように、タイミングおよびエネルギを制限される、該作用させるステップと、
− マイクロ電子部品10のパッドおよびパッド構造体の一方または両方上のソルダー・ペーストが、パッド構造体とそれぞれのパッドとの間の電気接続を形成するように、マイクロ電子部品10のパッドを該パッド構造体に宛がうステップと、
− パッドとパッド構造体との間のソルダー・ペーストをリフローさせて、1Mpaを上回るせん断強度でマイクロ電子部品をボンディングするステップと、
を含む。
【0011】
従来技術の方法と対照的に、これらの実施形態は、マイクロ電子部品のパッドを基板のそれぞれのパッド構造体に配置した後、それら部品の高速で高分解能のボンディングを提供する、という共通の概念を有する。転写される接着剤またはソルダー・ペーストは、それぞれ元の状態を保つので、具体的には、転写の過程ですなわち配置の前において硬化可能またはリフロー可能な状態を保つので、ボンディング特性は最適であり、部品10をパッド構造体上に配置した後、ボンディング物質、具体的には接着剤またソルダー・ペーストをそれぞれ硬化またはリフローすることができ、1Mpaを上回るボンディング強度を有し得る電気接続性のあるロバストなボンディングが提供される。これは、大量生産工業用途のため非常に効率的でコスト効果的となり得る方法である。
【0012】
このセットアップでは、約20〜200ミクロンのスポット・サイズDで形成されたレーザ・スポット、具体的には、20〜300mJ/cm
2、さらに具体的には40〜150mJ/cm
2のフルエンスを有するNd:YAGまたはエクシマ・レーザのスポットが用いられる。
【0013】
このスポットは、透明なキャリア基板70、この例では、248nmKrFエクシマおよびPET用の石英ガラス、または355nmNd:YAGレーザ用のソーダ石灰ガラス上に照準される。基板70上に導電性ダイ付着ダイ・ボンディング材料15が設けられ、これは、該導電性熱硬化材料またはフラックス基剤ソルダー・ペーストのダイ・ボンディング材料層151と、導電性熱硬化またはフラックス基剤ソルダー材料のダイ・ボンディング材料層151に隣接する動的放出層152とを含む。動的放出層は、当該技術分野で周知のものであり、通常、層中に形成された、局部的に照射されたとき局部的に急激にガス状物質に変形する組成物を含み、このガス状物質の推進作用によって動的放出が提供される。この例において、動的放出層152は、約100nm厚さのトリアジン層で形成されており、該層は、犠牲動的放出層(DRL:dynamic release layer)として機能し、光活性化されたとき窒素と他の有機揮発ガス1521とに分解するポリマーを含む。動的放出、すなわち、動的放出層152から接続パッド構造体40の選択された部分への硬化型導電性接着剤またはフラックス基剤ソルダー・ペーストのボンディング材料の動的放出を提供できるならば、他の組成の物質を動的放出層152に備えることも同様に適切である。典型的なピーク吸収は290〜330nmに在ることが分かっており、308〜248nmでのアブレーション閾値は、22〜32mJ/cm
2と極めて低く、ドナー・ダイ付着フィルム層またはソルダー・ペーストには熱負荷がかからず、転写後も元の状態で、ダイ・ボンディング物質1511は熱硬化可能状態を保つ。例えば、レーザ・ビームは、動的放出層152からの動的放出によって、接続パッドまたは接続パッド構造体40の選択された部分に転写されたボンディング物質が、硬化可能状態を保ち、あるいは10%を上回る容積パーセントのソルダー・フラックスから成るように、タイミングおよびエネルギを制限され得る。しかして、ダイ・ボンディング材料層15の導電性熱硬化型材料に隣接する動的放出層152上にレーザ・ビームを作用させることによる、動的放出層152からパッド構造体への転写の間も、望ましい材料特性を保つことができ、これにより、動的放出層152が活性化されて導電性ダイ付着ダイ・ボンディング物質1511が移動され、基板20の選択された部分が転写された導電性ダイ・ボンディング材料で覆われる。
【0014】
選択された部分を導電性ダイ・ボンディング材料で覆うことは、いうまでもなく、パッド構造体と導電性ダイとの間に適切な電気接続を備える機能を有することである。
図2Aおよび2
Bに見ることができるように、この例では、HenkelからCE3103WLVとして市販されているような、例えば典型的には4〜10E−4オーム.cmの体積抵抗率を持つCuコートの基板または銀トラック上の電気導電性と、10〜3分の典型的な硬化温度120〜150℃と、15〜25Pa.sの粘度とを有する、熱硬化型等方性導電性接着剤材料151が転写される。本方法の一般的適用性を例証するために、160〜180Pa.sの粘度を有する高粘度の導電性接着剤からなる、Henkelからの別の実験導電性接着剤が転写され、これは150℃で約10分間硬化される。導電性接着剤151は、動的放出層152上に設けられ、20〜30ミクロン、具体的には25ミクロンの厚さの均質層として設けられる。この厚さは、約25umまたは50umに制御されるが、理論的には任意の厚さとすることができよう。ドナー・ボンディング材料は、シム80によって基板から約13〜150ミクロン離れた距離に保持される。
【0015】
さらに、導電性接着剤をフラックス基剤のSn96.5Ag3Cu0.5の型5のソルダー・ペーストに置き換えることも可能である。フラックスを有するソルダーの適切な転写を達成することができ、機能性はリフローによって確かにすることができる。また、非導電性構造用接着剤または圧力感受性接着剤もうまく転写することが可能である。該接着剤は1.2Pa.sの粘度とすればよい。
【0016】
或る実施形態において、ダイ・ボンディング材料層は、約7E−4オーム.cmの高導電性と、175〜200℃で約1.5時間の硬化条件とを有する、15〜30ミクロン厚さの固体熱可塑性層とすることができる。
【0017】
図3Aおよび3Bには、リール185上に巻かれリール180に戻ることになるテープ70から、導電性熱硬化型接着剤またはソルダー・ペーストを転写するための転写システムが示されている。本明細書に開示するボンディング方法は、整列検出システムと組み合わせて、ウェブの完全性が通常保証されていないようなフレキシブル・フォイルへの配置に対して本方法を適したものにする正確で柔軟な補正に適応できこれを可能にする。
図3Aにおいて、テープ70は、PETフォイルから作成することができ、ドナー供給システム75を通って、レーザ195のビームの下に整列され、受け側基板20のパッド構造体40に転写される。基板は、レーザ195に対し基板20を整列させる整列制御手段に従って動かすことが可能な電動式ステージ190によって移動させることができる。
図3Bは別の例を示し、この例では、ドナー・フィルム15は、基板20の上でX−Y方式でフィルムを導くための各ガイド210および215を有する電動式ステージ220によって移動される。基板は、ステージ220によって、移動の方向Pに移動させることが可能である。レーザ195は、ボンディング物質1511の転写が基板20に対し整列できるように、機械的にまたは光学的に動かすことができる。
【0018】
図4は、上記で示されたように、転写セクション250においてチップ・ボンディングおよび相互接続用物質をLIFT工法によって転写することを含む、マイクロ電子部品10に対する概略的なアセンブリ・プロセスを示す。具体的には、ベア・チップ部品10を、導電性ダイ付着物質50および非導電性ダイ付着物質60を有するフレキシブル基板またはフォイル20上に相互接続およびボンディングするための、ベア・チップ部品相互接続方法を開示する。本方法は、コンタクト部40を有するフレキシブル基板20を準備するステップと、位置決め手段255によって事前定義された位置上に配置されることになる、コンタクト部30を備えたベア・チップ部品10を準備するステップとを含む。本方法は、フレキシブル基板である前記フォイルがリール270に巻き戻される前に、導電性熱硬化材280および随意的に熱硬化非導電性接着剤285を硬化するか、またはソルダー溶解物280をリフローすることによって、チップを恒久的に固定する熱曝露ステップ260を含む。
【0019】
開示された
図4のリール・ツー・リール工法において、基板20またはキャリア・ウェブは、第一リール265からほどき出され、ガイド・ローラ240のセットを介して、第二リール270に導かれ、巻き取られる。ほどかれた状態において、様々なサブ・プロセスを実行でき、具体的には、これらサブ・プロセスの一つとして、前の
図1および
図2で既に開示されたベア・チップ部品のボンディングが実行される。具体的に、これらサブ・プロセスには、
− 導電性および非導電性ダイ・ボンディング物質60を受け側に移動させるLIFT転写プロセスによって相互接続を生成すること250、
− ベア・チップ部品10、例えば、シリコン・ベースのベア・チップ部品またはLED10などを、ピック・アンド・プレース・ユニット255によって、基板20上のターゲット域の相互接続材料の上に供給し、その圧力を制御すること、
− 熱硬化ユニット260による、導電性および非導電性接着剤60の熱硬化および/またはソルダー・ペーストのリフローによって、ダイ・チップ部品10を固定すること、
を含めることができる。
【0020】
チップ10は、例えば、電気的導通性のダイ・ボンディング・ドナー材料中の熱硬化材料を活性化させるヒーターなどのボンディング・ツール260によって、基板の配置位置に恒久的に固定することができ、該ドナー材料は、260におけるLIFT作業の温度から高められた温度の硬化温度域において熱硬化し、これにより、部品は、熱硬化によって、またはチップを(フレキシブル)基板に取り付けるための任意の他の周知の方法によって固定される。
【0021】
図5に示された例示的な構成において、バンプ・アレイは、通常10〜500ミクロンの範囲の直径を有する、基板20上のバンプ40から成る。この密度は、望ましくは、配置対象のチップ10の下に十分な数のバンプ30が存在するような密度であり、例として、チップの辺長が1mmであれば、例えば200ミクロンの距離でも十分(チップの下に5バンプ×5バンプ)であろう。ソルダー・ペーストまたは熱硬化型接着剤50のバンプを、ボンディング・パッド上または基板のパッド上に配置することができ、次いで、チップ10上のバンプ・アレイ30を、例えばフリップ・チップ法によって基板上に配置しボンディングすることができる。上記に加えて、さらなる構造的ボンディングのため、構造用接着剤60を転写してもよい。
【0022】
図6の当例において、例えば、抵抗器、蓄電器、もしくはインダクタなどの受動部品310、またはベア・ダイLED410などさらなるマイクロ電子部品を、パターン済みのフォイル20上に配置することができ、導電性接着剤またはソルダー・ペースト50および非導電性接着剤60が、前述で説明した技法によって付着される。抵抗器310またはベア・ダイLED410の両方は、当例では、導電性バンプを介し基板フォイル20の導電トラック40に接続されることになる。特に、かかる回路は、例えばPENまたはPETフォイル上の銀または銅トラックが使用されるフレキシブル基板に有利に適用される。一般的なチップの高さは、例えば、0〜250マイクロメートルの間で変化し得る。ベア・ダイLED410は、約80×80ミクロンから小さいものでは約50×50ミクロンのアノード・バンプ425およびカソード・バンプ426と、約230×190ミクロンの接合域415(LEDの部分)とを有する。
【0023】
諸図面および前述の説明において本発明を詳細に提示し記述してきたが、かかる提示および記述は、説明用または例示的なものであり限定するものではないと見なすべきであって、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。具体的には、文脈から明確でない限り、個別に説明した様々な実施形態の中で取り扱われた各種実施形態の態様は、関連する物理的に可能な任意の組合せ変形に対しても開示されていると考えるであり、本発明の範囲はかかる組み合せにも及ぶ。さらに、導電性または非導電性接着剤のいずれについても、それを被着するステップは、チップ製造プロセスにおけるチップ・ダイのバンプの取り扱い方法の一実施形態として実行することができる。本方法は、導電性接着剤を用いて設けられた特定のバンプを有するウエハをクランプするステップと;ウエハの上面からの距離を保って、導電性ダイ付着ドナー・フィルムを供給するステップと;レーザ・システムのレーザ・ビームを整列させ、ウエハ上の特定のバンプに対応させて、導電性ダイ付着ドナー・フィルムを導くステップと;を含み、導電性ダイ付着ドナー・フィルムの、ウエハに面している側とは反対の側上にレーザ・ビームを作用させるステップと;導電性ダイ付着ドナー・フィルム物質の取扱い対象のバンプに向かって移動させるようなタイミング、エネルギ、および方向にレーザ・ビームが調整されるステップと;を含む。
【0024】
さらなる実施形態はマルチショット・プロセスを含み、該プロセスでは、新しい導電性ダイ付着ドナー・フィルムが、バンプに対応するように導かれ、該導電性ダイ付着ドナー・フィルム上にレーザ・ビームを作用させ、導電性ダイ・ボンディング物質の粒子をバンプ上に移動させる、繰り返しのステップが提供される。
【0025】
秒あたり少なくとも1000〜3000バンプのレートでのコスト効果的な相互接続を達成するため、レーザの反復レートは、望ましくは少なくとも60〜600kHzである。導電性ダイ付着ドナー・フィルムをこのようなレートで補給するためには、高い補給レート能力を有する導電性ダイ付着ドナー・フィルム補給モジュール、例えば、バンプに対し、0.1m/sを上回る導電性ダイ付着ドナー・フィルムの補給速度を有するモジュールが極めて有利である。約60〜200の比較的多数のバンプと組み合わされたこの高いレーザ反復レートは、孔版またはスクリーン印刷に対して競争力があり、秒あたり約10バンプのジェット印刷によるアプリケーションの被着レートよりもはるかに優れた、このチップ・ボンディング・アプリケーションの効果的なオペレーション域を提供する。
【0026】
図7は、構造化されたドナー・フィルム70の例を示す。うまく区画されたボンディング物質の形成を増進するため、ドナー・フィルムは、事前加工された形、例えば、犠牲材料のマトリックス15中に設けられた犠牲層、パターン済み導電性ダイ・ボンディング材料層を含む形で供給することができる。均質層の適切な厚さは、50〜2000nmの間に分布でき、望ましくは50〜500nmの範囲、さらに望ましくは50〜250nmの範囲にある。
【0027】
上記に換えて、バンプの取り扱いについての或る実施形態は、ステッピング、すなわち非ロール・ツーロール・プロセスによって実施することも可能である。例えば、高速ビーム・モジュレータ(ガルバノ・ミラー、ポリゴン・ミラー、音響光学または電子光学モジュレータなど)は、レーザ・ビームの第一方向のスキャニング動作を提供する。このモジュレータは、フィード・フォワード・プロセスで制御することが可能で、該プロセスでは、バンプの座標が、チップ・ダイのレイアウト・データを備えた外部ソースから提供される。上記に換えて、該モジュレータは、プレスキャン段階でバンプの座標をマップするスキャニング・ユニットとして用いることもできる。あるいは、追加の光学的フィードバック・システムによって、バンプに対するレーザの位置合わせを提供することも可能である。随意的に、主ビームが約2〜20のサブ・ビームに分割され、この実施形態では、新しい導電性ダイ付着ダイ・ボンディング材料がバンプに対応するように導かれてドナー物質が生成される、繰り返しのステップが提供されるマルチショット・プロセスによって、各単一のバンプを処理してもよい。
【0028】
当業者は、本請求対象の発明を実践する中で、図面、開示内容、および添付された請求項の検討から、開示された実施形態の他の変形をも理解することができよう。特許請求の範囲において、用語「含む(comprising)」は他の要素またはステップを除外するものでなく、不定冠詞「或る(aまたはan)」は複数を除外するものでない。単一のユニットが、特許請求の範囲に述べられたいくつかの項目の機能を満たすことがある。特定の諸手段が相異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合せを有利に使用できないということを示すものではない。請求項中のいかなる引用符号も、範囲を限定していると解釈さるべきではない。開示されたレーザ転写プロセスの従来式印刷に対する利点は、孔版印刷技法(典型的には75μmの分解能スポット・サイズ)が一般に達成できず、ジェット印刷(典型的な分解能スポット・サイズ:200μm)ではなおさら達成できない、<50μmの分解能が意図されたフィーチャの領域に対する使用である。さらに、ドナー物質は、転写が可能な広範囲の粘度(1Pa.s〜160Pa.s(全網羅ではない))を有することができる。孔版印刷に対しての典型的粘度は>50Pa.sであり、インクジェット印刷に対しての典型的粘度は<0.1Pa.sである。孔版印刷およびスクリーン印刷と対照的に、本方法は、ウェブの変形に対し画像システムを使ったオンザフライ補正の可能性を有する、非接触型の直接描画法である。