【実施例】
【0011】
制御システムは電気制御部分23と機械部分とを含む。電気制御部分23は、LIN送受信モジュール25、中心処理モジュール26、ステップ駆動制御モジュール27、及び駆動モジュール28を含む。電気制御部分23は、LIN線によってLINバス24に接続されている。なお、ステップ駆動制御モジュール27は駆動モジュール28におけるスイッチ管を規則的にオフやオンにするように制御して、電流が既定の法則に従ってEXVのA相のコイル29とB相のコイル39に流れるようにし、電子膨張弁の動作に対する制御駆動を実現するとともに、ステップ駆動制御モジュール27はさらに、A相の電流値とB相の電流値の情報を受信する。
【0012】
LIN送受信モジュール25は、LIN線によってLINバスにおけるフレーム(frame)を受信し、フレームを構築するデジタル信号を電圧レベル変換した後で中心処理モジュール26に送信し、中心処理モジュール26から送信してきた信号に対して、受信と、変換と、伝送とを行う。中心処理モジュール26はフレームの意味を解析し、解析した電子膨張弁への制御信号をステップ駆動制御モジュール27に伝送し、ステップ駆動制御モジュール27から伝送されて戻ったフィードバック信号を受信して伝送し、電子膨張弁の現在の開度情報を記録又は記憶する。本実施例では、中心処理モジュール26は、まずフレームヘッダ(frame header)におけるフレーム識別子(frame identifier)を判断してもよく、判断結果がそのフレーム情報がEXVのコマンドフレームへ指示するものである場合には、中心処理モジュール26はさらにフレームレスポンスセグメント(frame response)を受信しそれにおける信号(signal)を解析し、或いは、既に受信したフレーム情報のフレームレスポンスセグメントの信号を解析する。もし解析結果が、電子膨張弁に現在の開度から新しい開度に調整することを要求するものである場合、中心処理モジュール26は現在の開度と新しい開度の情報によって、ステップ量値とモータの駆動方向(即ち、回転方向)の情報を算出し、前記ステップ量情報とモータ駆動方向情報をステップ駆動制御モジュール27に提供する。ステップ駆動制御モジュール27は、前記ステップ量情報とモータ駆動方向情報を受信した後、前記駆動モジュール28を制御することで、A相のコイルとB相のコイルに流れる電流の変化が、前記ステップ量値とモータ駆動方向の要求を満たすようにする。ステップ駆動制御モジュール27が駆動モジュール28におけるスイッチ管をスイッチ制御することを実現するように、電流がA相のコイルとB相のコイルに流れている間に、A相のコイルとB相のコイルの電流はステップ駆動制御モジュール27にリアルタイムにフィードバックされ、コイルの中の電流値を監視するために用いられる。前記中心処理モジュール26はタイマー(TIMER)モジュールを含む。中心処理モジュールは、タイマーのタイミング値を算出して設定し、タイミング値に達した後、中心処理モジュールはレベルの信号を出力し、ステップ駆動制御モジュール27に提供し、ステップモータの動作速度の制御が実現される。また、中心処理モジュール26の算出は、シミュレーション又は実験により中心処理モジュールに組み込まれており、相関信号を受信した後、演算又は直接組み込まれたテーブルによって相応する値を得る等のことにより行われてもよい。
【0013】
図1のような実施例では、電気制御部分であるステップ駆動制御モジュール27と、駆動モジュール28は一つの集積回路(IC)に集積することができ、即ち、駆動モジュール28が個別に設置されず、例えば、オン・セミコンダクター(Onsemi)会社製のNCV70501チップやAllegro会社製のA4980チップや他の集積ステップモータ駆動集積チップを採用し、LIN送受信モジュール25と中心処理モジュール26はそれぞれ一つの独立した集積回路であってもよく、例えば、LIN送受信モジュールはNXPセミコンダクターズ(NXP)会社製の1028集積チップであってもよく、中心処理モジュールは8ビットのマイクロコントローラであってもよく、例えば、フリースケール・セミコンダクタ(freescale)会社製のHCS08シリーズのマイクロコントローラである。また、上記の四つのモジュールは一つの集積回路に集積してもよく、例えば、エルモス(Elmos)会社製のE523集積チップ等である。これらの制御システムは空調システムに設置してもよく、電子膨張弁或いは電子膨張弁に近接する位置に固定して設置してもよい。
【0014】
以上で説明した第1実施例では、電気制御部分23はLIN線によってLINバスに通信したが、他の実施例において、他の方式で信号接続することができる。
図2に示すように、
図2は本発明に係る他の実施例による信号接続の概略図である。自動車空調制御装置30は全体の自動車空調制御のセンターであって、EXV制御に対する電気制御部分36の他に、他の自動車空調制御を実施することに関する各種モジュールを含み、ここで、本発明に関する部分のみを模式的に説明する。本実施例では、自動車空調制御装置30は、入力プロセッサ31と、自動車空調中心処理モジュール32と、ドライバー34と、通信インタフェース38とを、さらに含む。ここで、自動車空調中心処理モジュール32は、即ち冷媒サイクルシステムの中心処理モジュールとされている。
【0015】
入力プロセッサ31は、空調制御パネル(図示せず)から入力された各種スイッチ制御信号を受信するために用いられ、さらに、空調システム導管に配置されている各センサーにより検出された信号、例えば、各温度センサーにより検出された冷媒又は空気温度値、また、例えば、各圧力センサーにより検出された冷媒的圧力値等を受信するために用いられる。入力プロセッサ31は入力された各種スイッチ信号とセンサー信号を処理あるいは変換し、例えば、フィルタリング又はレベル変換を行い、処理あるいは変換して得た信号を自動車空調中心処理モジュール32に出力する。通信インタフェース38は、車両における他のモジュールからの信号、例えば、エンジン回転数信号、ファン回転数信号、高速遮断EXV信号、高速全開EXV信号等を受信するために用いられ、このインタフェースはコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network,CAN)インタフェースであってもよい。
【0016】
自動車空調中心処理モジュール32は、入力プロセッサ31により処理された後に入力されたスイッチ制御信号とセンサー信号、及び通信インタフェース38を介して入力された信号に基づいて、自身のメモリに記憶された制御プログラム及び情報を組み合わせて演算して、制御信号を取得し、制御自動車用空調システムにおける各被制御ユニットに使用される。例えば、EXVの電気制御部分36、駆動ファン、空気弁等のモジュールのドライバー34等に使用する。電気制御部分36はステップ駆動制御モジュール27と、駆動モジュール28とを含む。ステップ駆動制御モジュール27は、自動車空調中心処理モジュール32から発信した制御電子膨張弁のステップ量情報及びモータ駆動方向情報を受信した後、電子膨張弁のA相のコイル29とB相のコイル39に流れる電流の変化を前記ステップ量値及びモータ駆動方向の要求を満たすように、前記駆動モジュール28を制御し、同様に、A相のコイル29とB相のコイル39の電流値がステップ駆動制御モジュール27を介して自動車空調中心処理モジュール32に転送され、自動車空調中心処理モジュールは中心処理モジュール内のタイマーのタイミング値を算出して設定し、タイミング値に達した後、中心処理モジュールはレベルの信号を出力しステップ駆動制御モジュール27に提供し、ステップモータの動作速度の制御が実現される。
【0017】
本実施例の、
図1に示した実施例に対する相違点は、EXVを制御する電気制御部分を全部自動車空調制御装置30に集積してその装置の一部を構成することにあるので、一方では、LIN送受信モジュールを必要とせず、他方では、EXVのために特別に一つの独立した中心処理モジュールを配置する必要がなく、他のモジュールとともに自動車空調制御装置30における自動車空調中心処理モジュール32を共用することができる。
【0018】
自動車空調中心処理モジュール32は、入力プロセッサ31により処理された後に入力されたスイッチ制御信号とセンサー信号、及び通信インタフェース38を介して入力された信号に基づいて、自身のメモリに記憶されたEXVの現在の開度情報を組み合わせて、ステップ駆動制御モジュール27に提供すべきステップ量情報及びモータの駆動方向(即ち、回転方向)情報を算出して得て、前記ステップ量情報及びモータ駆動方向情報をステップ駆動制御モジュール27に提供する。ステップ駆動制御モジュール27はこのステップ量値及びモータ駆動方向の情報を受信した後、駆動モジュール28への制御は上述の実施例と同じである。電気制御部分36は一つの集積回路に集積してもよく、例えば、Onsemi会社製のNCV70501チップや、Allegro会社製のA4980チップや、他のステップモータ駆動集積チップであり、自動車空調中心処理モジュールは16ビットのマイクロコントローラであってもよく、例えば、freescale会社製のMC9S12Gシリーズのマイクロコントローラである。
【0019】
図3は第1実施例において相関信号を中心処理モジュール26に送信する場合の、LINコマンドフレームレスポンスセグメントの一種の配置の様子の概略図である。なお、LINコマンドフレームにおける1番目のバイトのbit0は高速遮断信号である。車両に衝突等の緊急事態が発生した場合、或いは、必要とみなされる場合には、EXVのマスターノードを制御しこの信号を有効にし、LINバスによって制御システムに送信することにより、EXVを制御して高速遮断動作を実施し、また、LIN送受信モジュールがLINバスによって信号を読み取ってもよい。1番目のバイトのbit1は高速全開信号であり、空調システムが異常な高圧を検出した場合、或いは、必要とみなされる場合には、この信号が有効になるようにEXVのマスターノードを制御しし、LINバスによって制御システムに送信することにより、EXVを高速全開動作を実施するように制御し、また、LIN送受信モジュールがLINバスによって信号を読み取ってもよい。1番目のバイトのbit2は初期化信号である。2番目のバイト全体のバイトと3番目のバイトの最初の2ビットから、共に目標開度信号を構築し、合計で10bitビットであってもよい。この目標開度信号における値はEXV目標スッテプ数位置であってもよく、EXV目標開度位置の最大開度位置に対するパーセンテージの方式で示してもよく、例えば1023(10ビットがすべて「1」)は100パーセントの開度を示す。電子膨張弁の速度信号もシステムによって提供された場合には、3番目のバイトの上位6ビットのbitは速度レベル信号であってもよい。例えば、6ビットを利用して速度レベル信号を表すと、最大64個の速度レベルを代表できる。
【0020】
本実施例では、「高速遮断信号」と「高速全開信号」を定義しないことも当然可能であり、「目標開度信号」と「速度信号」との組み合わせで示してもよい。例えば、受信された「目標開度信号」がゼロであり、「速度信号」が最大値であれば、EXVは高速全閉動作を実行し、受信された「目標開度信号」は100パーセントであり、「速度信号」が最大値であれば、EXVは高速全開動作を実行する。
【0021】
別の実施例について、自動車空調中心処理モジュールはLIN信号の送受信にかかわらず、高速遮断信号や高速全開信号は、通信インタフェース38によってCAN信号として入力されてもよい。初期化信号と、目標開度信号と、速度信号とは、自動車空調中心処理モジュール32が入力プロセッサ31と通信インタフェース38の入力信号に基づいて、組み込んで設置されたプログラムを実行することで算出されるので、特にこの三つの信号を定義する必要はない。
【0022】
第1実施例では、以上のように、信号フレームにおいて速度レベル信号を定義せず、中心処理モジュール26によって、保存された現在のEXV開度情報と、受信されたEXV目標開度情報に基づいて演算してもよく、例えば、演算結果によって異なるモータ運転速度が確定される。
【0023】
図4は中心処理モジュール(或いは、自動車空調中心処理モジュール)とステップ駆動制御モジュール27との相関ピンの一接続方式の概略図である。ステップ駆動制御モジュール27が中心処理モジュールと互いに接続されたピン(Pin)は、ステップ(STEP)ピンと方向(DIR)ピンを含み、なお、ステップ(STEP)ピンは中心処理モジュールのピンPA0に接続され、方向(DIR)ピンは中心処理モジュールのピンPA1に連通して、ステップ(STEP)ピンによってステップ量情報を受信し、方向(DIR)ピンによって電子膨張弁の動作方向信号を受信する。中心処理モジュールはピンPA0とピンPA1によってそれぞれSTEPピンとDIRピンに電圧信号を出力する。ピンPA0ポートからSTEPピンに出力された電圧が切り替えられた場合、例えば、ローレベルからハイレベルに切り替えられた場合、ステップ駆動制御モジュールは、コイルに流れる電流を変化させるように駆動モジュールを制御することにより、電子膨張弁のモータ動作を制御する。変化する度に、モータは一つのシングルステップ量を回転する。本明細書では、シングルステップ量とは、モータが一回動作する時に動くステップ量を意味し、最大で一つのフルステップを超えない。つまり、STEP信号を使用してモータ動作の方式を駆動する場合には、STEP信号が効果的に変化する度に、モータはシングルステップ量値の動作をする。
【0024】
モータ回転方向はDIRピンの入力信号によって制御され、例えば、DIRピンの入力信号がハイレベルである場合、対応するモータは正回転する。ここで、各シングルステップ量値は設置及び調節可能で、必ずしもモータ本体の構造による一つのフルステップではなく、例えば、フルステップの1/2、フルステップの1/4、フルステップの1/8、フルステップの1/16等のマイクロステップ値でもよい。システムに微調整の必要がある場合には、シングルステップ量値は小さいマイクロステップ値又はフルステップ値を採用してもよく、高速動作の必要がある場合には、シングルステップ量値は大きいマイクロステップ値又は一つのフルステップを採用してもよい。電子膨張弁のモータ回転のシングルステップ量のサイズは、チップにシングルステップ量を設置し、ステップ駆動モジュールによって二つの相のコイルに対する電流値位相関係を出力することによって実現される。シングルステップ量は一つのフルステップでもよく、マイクロステップ方式でもよい。つまり、シングルステップ量のサイズはステップ駆動制御モジュールに設定されたモータ運転マイクロステップ値に左右される。例えば、マイクロステップモード値は中心処理モジュールによりSPIを介してステップ駆動制御モジュールのレジスタ(例えば、コンフィギュレーションレジスタ0)に書き込んで確定される。当該方式では、モータはSTEPピンにおける電圧が切り替えられるとともに方向が有効である場合のみに回転するため、STEPピンにおける電圧の切替え周期を制御して、モータが一つのシングルステップ量を移動する時間を制御することにより、動作速度を制御する。切替え周期が長いと、モータの回転速度は低くなり、切替え周期が短いと、モータ回転速度は高くなる。例えば、中心処理モジュールにおけるタイマーによって切替え周期の長さを制御できる。タイマーに設定されたタイミング時間に達すると、割り込みがトリガーされて、割り込みプログラムにおいてピンPA0からSTEPピンに出力した電圧を切り替える。このように、タイミング時間を変更することによって、モータ速度を制御できる。例えば、中心処理モジュールに組み込まれたプログラムテーブルや、演算公式に基づいて、中心処理モジュールによって演算して得られ、その後、タイマーの仕事を制御する。
【0025】
図5は中心処理モジュール(或いは、自動車空調中心処理モジュール)とステップ駆動制御モジュール27との相関ピンの別の接続方式の概略図である。ステップ駆動制御モジュール27と中心処理モジュールはSPIインタフェースを介して互いに接続され、ピン(Pin)はSDI(デバイスからデータ入力)ピン、SDO(デバイスからデータ出力)ピン、SCK(クロック)ピン、STRn(チップセレクト)ピンを含み、それぞれ中心処理モジュールのピンPB2、PB3、PB1、PB0に接続される。モータが動くシングルステップ量値は設定されたマイクロステップと「今回のマイクロステップ数セグメント」との積であり、最大で一つのフルステップを超えない。マイクロステップ方式は1/Nのフルステップに設定され、今回のマイクロステップ数セグメントがnである場合、モータが動くシングルステップ量値は、n/Nに等しい。ただし、nとNは整数であり、1≦n≦Nである。このように、電子膨張弁のシングルステップ量値を制御することにより、前記電子膨張弁の動作速度に対する調節が実現される。例えば、シングルステップ量の動作周波数又はシングルステップ量値を制御することによって、電子膨張弁の動作速度に対する調節を実現できる。例えば、マイクロステップ方式をフルステップの1/16に設定し、今回のマイクロステップ数セグメントをnに設定した場合、モータが回転するシングルステップ量値はn/16に等しく、なお、1≦n≦16である。ステップ駆動制御モジュール27はSPIポートを介してマイクロステップ値設定データセグメントと今回のマイクロステップ数セグメントを受信し、ステップ駆動制御中心270に送信し、ステップ駆動制御中心270は、コイルに提供する電流の波形をマイクロステップ値設定データセグメントと今回のマイクロステップ数セグメントの要求に応じて変化させるように、駆動モジュール28を制御する。マイクロステップ値設定データセグメントによって、モータのシングルステップ量の最小値が確定される。例えば、1/4のマイクロステップを選択すると、モータのシングルステップ量の最小値はフルステップの1/4になる。ステップ駆動制御モジュールにおいて設定されたモータ運転マイクロステップ値を変更して制御することによって、前記電子膨張弁の動作速度に対する調節を実現してもよい。微調整する必要がある場合に、小さいマイクロステップ設定値を採用し、高速動作の必要がある場合に、大きいマイクロステップ設定値を採用する。今回のマイクロステップ数セグメントによって、モータの今回動作はいくつのマイクロステップを移動するかを確定し、マイクロステップ値設定データセグメントとともに、モータのシングルステップ量を確定する。例えば、マイクロステップ値設定データセグメントによって、Nを1/8のマイクロステップに指定し、今回のマイクロステップ数セグメントnを4に指定すると、モータのシングルステップ量はフルステップの1/2になる。
【0026】
図12のように、
図12はマイクロステップ値設定データセグメントを1/4のマイクロステップに設定した場合の、A相、B相のコイル内の電流波形の概略図である。なお、モータはStep(n)からStep(n+1)までを一つのフルステップで動く。
【0027】
図6、
図7のように、
図6は中心処理モジュールの一実施形態の概略ブロック図であり、
図7はステップ駆動制御モジュールと駆動モジュールとの一実施形態の接続の概略ブロック図である。中心処理モジュール26は、シリアル通信インタフェース(serial communication interface,SCI)262と、タイマー(TIMER)モジュール261と、中心プロセッサ(central processing unit、CPU)260と、読取り専用メモリ(Read only Memory、ROM)266と、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)267と、PAポート263と、PBポート264と、SPIポート265とを含む。PAポート263と、PBポート264とはユニバーサル入出力ポート(I/O)であり、それぞれ複数のユニバーサルI/Oピンを含む。SPIポート265はユニバーサル・ペリフェラル・インターフェースであり、本発明では、ステップ駆動制御モジュールのSPIインタフェースと通信できる。中心処理モジュール26のSCIインタフェース262はLIN送受信モジュール25との通信のために用いられることができる。タイマーモジュール261はタイミングの設定のために用いられる。タイミング時間に達すると、割り込み信号を生成し中心プロセッサ260に送信する。ROMメモリ266と、RAMメモリ267とは、プログラムとデータを記憶するために用いられる。中心プロセッサ260はROMとRAMに記憶されたプログラムとデータに基づいて、算術論理演算を実行し、上記の各モジュールを制御する。速度制御の必要がある場合には、例えば、中心処理モジュール26はSCIインタフェース262を介して初期化信号を受信した後、プログラム算出によって相応するモータ速度を得て、この速度に基づいてタイマーモジュール261に相応するタイミング値を付与し、タイマーが運転してから、付与されたタイミング値の時間に達すると、割り込み信号を生成し、プログラムは相応する割り込みプログラムに進行して運転する。
【0028】
ステップ駆動制御モジュール27は、ステップ駆動制御中心270、STEPポートとDIRポート272、及びSPIポート271を含む。駆動モジュール28は4つのスイッチ管からなる二つのHブリッジ281を含み、この二つのHブリッジ281はそれぞれ電子膨張弁のA相のコイル29と、B相のコイル39を駆動する。ステップ駆動制御モジュール27は、電流サンプリング抵抗Rsa、Rsbによって、電流サンプリング抵抗Rsa、Rsbの両端の電圧を計測して、コイルに流れる電流を得る。ステップ駆動制御モジュール27におけるステップ駆動制御中心270は、STEPポートとDIRポート272、或いは、SPIポート271を介して、中心処理モジュールからのステップ制御に関する制御信号を受信した後、A相のコイルとB相のコイルに流れる電流の変化が前記ステップ量値とモータ駆動方向の要求を満たすように、駆動モジュール28を制御する。ステップ駆動制御モジュール27は駆動モジュール28におけるスイッチ管に対するスイッチ制御を実現するように、電流がコイルに流れている間、A相とB相の電流はそれぞれステップ駆動制御モジュール27にリアルタイムにフィードバックされて、コイルにおける電流値を監視するために用いられる。
【0029】
以下、本発明の制御システムにおける制御運転プロセスについて説明する。
図8乃至
図10を参照すれば、
図8は、本発明の第1実施例における制御システムがLIN信号を受信した後のフローチャート概略図であり、
図9は、
図8のうちステップS90の一実施形態のフローチャート概略図であり、STEPピンの電圧の切替え周期の長さを変更する方法が模式的に図示され、
図10は、
図8のうちステップS80の一実施形態のフローチャート概略図である。電子膨張弁の運転は、高速遮断、高速全開、初期化運転及び流量調節運転を含むことが可能で、制御システムが高速遮断信号を受信し有効と解析すると、最高の運転速度で電子膨張弁を、遮断を実行するように制御し、制御システムが高速全開運転信号を受信し有効と解析すると、最高の運転速度で電子膨張弁を全開を実行するように制御し、空調システムが運転をオンやオフにした直後であれば、初期化運転を実行する。電子膨張弁の初期化運転とは、それが全開度の確認を行うプロセスであり、例えば、現在の開度から、まず開度が100パーセントになるまで運転し、また、開度が0になるまで運転し、最後に、デフォルト開度位置に運転する。
【0030】
自動車用空調システムは、イグニッションスイッチオン(Ignition on)やイグニッションスイッチオフ(Ignition off)や空調システムオン又はオフ(A/C off)の時に、初期化を実行するように、EXVを制御してもよく、自動車用空調システムがEXVにこのコマンドを実行させる必要があるとみなした(例えば、EXVが障害の可能性がある)時に、初期化を実行するようにEXVを制御してもよい。初期化運転の目的は、全体の開度範囲を使用可能であることの確認のための、セルフチェックを行うことにあり、流量調節にかかわらないため、流量調節と異なる運転速度を採用してもよい。初期化プロセスは長いため、流量調節時の速度より高い速度で運転すると、初期化プロセスを加速化することができる。制御システムにおけるプロセッサは、例えば、中心処理モジュールが初期化信号を受信しこのビットを有効と解析すると、相応する速度を選択し、EXVを、初期化動作を行うように制御する。初期化動作の速度は中心処理モジュールに予め設定されてもよく、中心処理モジュールが信号を受信してから演算して得てもよい。初期化信号が定義されていない場合、目標開度信号における値の範囲によって初期化を必要とするかどうかを判断してもよい。例えば、流量調節を選択した場合に、目標開度信号値の範囲は10パーセントから90パーセントまでの間であり、EXVが、値が0又は100パーセントの開度である信号を受信すると、初期化速度で動作する。
【0031】
EXVの流量調節は、目標開度信号の要求に応じて、指定された目標開度位置に運転することである。流量調節段階で、EXVは目標開度信号と速度信号に対する解析に基づいて、対応する速度を選択し、ステップモータを動作するように制御する。
【0032】
制御システムによる制御運転プロセスは、以下のステップを含む。
【0033】
ステップS10で、制御システムの中心処理モジュールはLIN信号のフレームヘッダを受信する。
【0034】
ステップS20で、制御システムは、受信したLIN信号のフレームヘッダがEXV制御に対するものであるかを判断し、YESであれば、ステップS30に移行し、NOであれば、ステップS
200に移行する。
【0035】
ステップS30で、制御システムの中心処理モジュールはLIN信号のデータセグメントを受信する。
【0036】
ステップS40で、受信した信号がEXVに高速遮断を実行させることを要求するかを判断し、YESであれば、ステップS80に移行し、NOであれば、ステップS50に移行する。
【0037】
ステップS50で、受信した信号がEXVに高速全開を実行させることを要求するかを判断し、YESであれば、ステップS90に移行し、NOであれば、ステップS60に移行する。
【0038】
ステップS60で、受信した信号が初期化を要求するかを判断し、YESであれば、ステップS100に移行し、NOであれば、ステップS70に移行する。
【0039】
ステップS70で、EXVの目標開度値が現在の開度値に等しいかを判断し、YESであれば、ステップS200に移行し、NOであれば、ステップS110に移行する。
【0040】
ステップS80では、EXVが高速遮断動作を実行するように制御する。
【0041】
ステップS90では、EXVが高速全開動作を実行するように制御する。
【0042】
ステップS100では、EXVが速い動作速度で初期化動作を実行するように制御する。
【0043】
ステップS110では、EXVが目標開度方向に動作するように制御する。
【0044】
ステップS200では、終了する。
【0045】
上記の制御のフローでは、LIN信号をまとめて受信してから、それ以降の判断を実行してもよい。
【0046】
また、上記のステップS80において、初期化の全開部分の動作は、
ステップS810で、中心処理モジュールのPA1からハイレベルを出力し、ステップS820に移行し、
ステップS820で、初期化コマンド用のタイマーのタイミング値を設定し、ステップS830に移行し、
ステップS830で、タイマーの割り込みをオンにし、タイマーは運転を開始し、ステップS840に移行し、
ステップS840で、タイマーのタイミング値に達して、割り込みプログラムを実行し、ステップS850に移行し、
ステップS850で、PA0からの出力はローレベルであるかどうかを判断し、YESであれば、ステップS860に移行し、NOであれば、ステップS845に移行し、
ステップS845で、PA0からローレベルを出力し、ステップS840に移行し、
ステップS860で、PA0からハイレベルを出力し、ステップS870に移行し、
ステップS870で、EXVの現在の開度情報を更新し、ステップS880に移行し、
ステップS880で、EXVは全開位置に達したかを判断し、YESであれば、ステップS890に移行し、NOであれば、ステップS840に移行し、
ステップS890で、タイマーの割り込みをオフにし、タイマーは運転を中止する、ステップを含む。
【0047】
また、ステップS80では、初期化の全閉部分の動作は、上記のサブステップを参照してもよく、こうする場合、単に動作方向の信号を逆にすればよい。また、初期化における、EXVを固定の開度に到達させる部分について、次の開度調節部分を参照してもよく、ここで詳細に説明しない。
【0048】
制御フローにおけるステップS90の動作は、以下:
【0049】
ステップS910で、速度要求に応じて相応するタイマーのタイミング値を設定し、ステップS920に移行する;
【0050】
ステップS920で、タイマーの割り込みをオンにし、タイマーは運転を開始し、ステップS9
30に移行する;
【0051】
ステップS930で、タイマーのタイミング値に達したら、割り込みプログラムを実行し、ステップS940に移行する;
【0052】
ステップS940で、PA0からの出力はローレベルであるかどうかを判断し、YESであれば、ステップS950に移行し、NOであれば、ステップS990に移行する;
【0053】
ステップS950で、PA0からハイレベルを出力し、ステップS960に移行する;
【0054】
ステップS960で、EXVの現在の開度情報を更新し、ステップS970に移行する;
【0055】
ステップS970で、EXVの目標開度値は現在の開度値に等しいかを判断し、YESであれば、ステップS980に移行し、NOであれば、ステップS930に移行する;
【0056】
ステップS980で、タイマーの割り込みをオフにし、タイマーは運転を中止する;
【0057】
ステップS990で、PA0からローレベルを出力し、ステップS930に移行する;
【0058】
のステップを含む。
【0059】
プログラムにおいて、EXVの動作速度は、自動車空調コントローラから送信して中心処理モジュールが受信してから実行するように制御してもよく、中心処理モジュールによって演算して得てもよい。
【0060】
第2実施例に係る制御フローについて、自動車空調の中心処理モジュールは入力プロセッサ31と通信インタフェース38からの入力信号に基づいて、自身のプログラムと組み合わせて、「EXVは高速遮断を実行する」、「EXVは高速全開を実行する」、「EXVは初期化を実行する」、「EXVを目標開度に動くように制御する」の中のどの動作を実行するかを決定する。制御フローに係るステップは上記のフローチャート概略図を参照してよい。例えば、中心処理モジュール32は、
図4に示すように、或いは、SPI通信方式のように、ステップ量情報と方向情報をステップ駆動制御モジュール27に送信する。
【0061】
図11は中心処理モジュール32とステップ駆動制御モジュール27との間のSPI通信の一方式の概略図である。チップセレクト信号と、クロック信号と、デバイスからのデータ入力信号とは、いずれも中心処理モジュール32からステップ駆動制御モジュールに出力されてよい。中心処理モジュール32のPB0から信号を出力することにより、チップセレクトピンをハイレベルからローレベルに変化させた時(t1、t3時刻)、ステップ駆動制御モジュール27は中心処理モジュール32に通信従デバイスとして選択され、一回の中心処理モジュール32とステップ駆動制御モジュール27との間のSPI通信を開始する。その後、中心処理モジュールはPB1を介してクロック信号をクロックピンに出力し、PB2を介して送信すべきデータをSDIピンに出力する。クロック(clock,CLK)信号の立ち上がりエッジである時に、ステップ駆動制御モジュールはこの時刻に対応するSDIピンにおけるデータを内部シフトレジスタに保存する。従って、CLK信号を連続して送信することによって、ステップ駆動制御モジュールはSDIピンにおけるデータを内部シフトレジスタに連続して保存できる。SDIピンにおけるデータの意味は、ステップ駆動制御モジュールによって確定されてもよい。
図11には、SDIピンデータの一様子を模式的に示しただけで、合計で16bitビット(中間の7ビットは図示されていない)がある。最初の二つのビットは目標レジスタアドレスフィールドであり、今回のデータの送信の目標アドレスを表明し、
図11における最初の二つのビットの「10」は、運転レジスタアドレスを示す。3番目のビットはイネーブルマーク(Enabling mark)であり、このビットが有効(例えば、1)である時だけ、ステップ駆動制御モジュールは駆動モジュールを制御できる。最後の6ビットは今回のマイクロステップ数セグメントであり、今回のマイクロステップ数セグメントについて、補数コードの方式で、正反の両方向のデータを示し、最大で16になる。マイクロステップ値設定データセグメントは、今回のSPI通信の前に、他の運転レジスタ、例えば、アドレスが「00」であるコンフィギュレーションレジスタ0に予め書き込む必要がある。
【0062】
チップセレクト信号はローレベルからハイレベルになったt2時刻に、内部シフトレジスタにおけるデータは運転レジスタに転送して保存されると同時に、ステップ駆動制御モジュールは運転レジスタにおける現在値に応じて駆動モジュールを制御することによって、コイルに流れる電流を変化させ、モータ動作を制御する。つまり、コイルに流れる電流はt2時刻に変化し、そのままt4時刻まで保持される。モータシングルステップ量は、マイクロステップ値設定データセグメントと今回のマイクロステップ数セグメントによって共に確定される。例えば、1/16のマイクロステップを設定して運転する時に、今回のマイクロステップ数セグメントは000100であり、今回のステップ量値は元の方向の4個の1/16のマイクロステップ、即ち、1/4フのルステップを示す。このように、期間Tstrn内に、今回のステップ量はフルステップの1/4である。また、1/16のマイクロステップを設定して運転する時に、今回のシングルステップ量セグメント数は000011であり、今回のステップ量値は元の方向の3個の1/16のマイクロステップ、即ち、フルステップの3/16を示す。
【0063】
従って、期間Tstrnの長さを制御すること、或いは、シングルステップ量値を変更することによって、モータの運転速度を制御できる。つまり、電子膨張弁の運転速度への制御は、電子膨張弁の動作周波数とシングルステップ量値の大きさを制御することによって行うことができる。以上で説明した第1実施例について、同様に、中心処理モジュールのタイマーを利用して期間Tstrnの長さを制御できる。
【0064】
第1実施例と第2実施例について、いずれも、それぞれ
図4又は
図5に示すような方式を採用してステップ駆動制御モジュールを制御してよい。
【0065】
高速遮断、高速全開及び初期化動作の他に、以下、いくつかのEXVの速度の変更を必要とする可能性がある状況を列挙する。空調システムが過熱度の急増を検知した場合、負荷が急激に増えており、電子膨張弁を迅速に開いて冷媒を提供する必要があることを表明する。例えば、車両は連続して加速する過程において、通常都市動作モードから高速動作モードに変換され、或いは、元のアイドリングや交通渋滞状態から安定都市動作モードに切り替えられる状況が該当する。空調システムが異常な高圧を検出した場合、負荷が急激に増えており、電子膨張弁を迅速に開いて、できるだけ早く正常範囲に圧力が漏れるようにする必要があることを表明する。過熱度が激減する時、負荷が急激に減っており、電子膨張弁を迅速に閉じて、冷媒を削減する必要があることを表明する。一方では、システム動作モードを迅速に安定させることができて、他方では、圧縮機に液体ハンマーが発生することが回避できる。以上のような状況において、制御システムは、高い速度で流量の調節を行うようにEXVを制御することが望ましい。また、他の、高い速度で流量の調節を行うようにEXVを制御することが望ましい状況は、冷凍と加熱の切り替え、起動プロセス、シャットダウンプロセスを含む。
【0066】
過熱度に発振が現れた場合、EXVの動作を比較的遅くすることが望ましい。発振は、普通、負荷の低い時、或いは、圧縮機の制御と膨張弁の制御とが互いへの影響を表す時に発生する。このような場合、制御システムは、低い速度で流量調節を行うようにEXVを制御することが望ましい。空調システムはEXVの現在の位置する開度位置に基づいて、EXVに異なる速度を採用することを指示してもよい。例えば、開度がある閾値より小さい時は、低い速度を採用し、開度がある閾値より高い時は、高い速度を採用する。これらは、システムの必要に応じて、設置して制御する。また、空調システムは、EXVの各ストロークの違いに基づいて、EXVに異なる速度を採用することを指示してもよい。例えば、あるストロークの範囲がある閾値より小さい時は、低い速度を採用し、ある閾値より高い時は、高い速度を採用する。
【0067】
上記の空調システムのEXVに対する異なる速度要求の指示は、第1実施例(
図3のように)について、中心処理モジュールによって速度信号をEXVに提供し、第2実施例について、EXVは入力プロセッサ31と通信インタフェース38からの入力に基づいて自身のプログラムと組み合わせて、速度信号を算出して得られるが、これらは必要に応じて調整できる。また、上記の実施例は2つの相を採用したステップモータを例にしたが、2相ステップモータ以外に、多相ステップモータを採用してもよい。
【0068】
本発明は、制御システムによる制御によれば、電子膨張弁のシングルステップ動作に対応する時間周期を調整可能にし、シングルステップに対応する今回のステップ量を調整可能にすることにより、電子膨張弁の動作速度を調整可能にし、且つ電子膨張弁の初期化時の運転速度を速くさせ、開度調節時の速度を高速でも低速でもよく、正常調節時の最大速度が初期化動作時の最大速度より小さいか等しくなるようにし、正常調節時の最小速度は初期化動作時の最小速度より小さくする。このようにして、高速起動、高速調節の要求を満たす。普通の空調システムにおける電子膨張弁の正常動作速度を1とすると、高速動作の時に、1−1.5倍又はさらには2倍以上にも達することが可能で、初期化動作の時に、電子膨張弁の動作速度は1.5倍以上に達し、正常調節の時に、速度は0.1−1.5倍の間に調整可能である。例えば、安定領域にある時に、速度は低速でもよく、調節はマイクロステップ方式で調節可能で、速度は正常動作速度の0.1−0.75倍の間になり、動作開度の大きい場合、動作速度を1−1.5倍程度にしてもよい。比較的に安定する必要がある時に、電子膨張弁の動作速度が遅く、また比較的に安定した調節を実現でき、システムを安定した運転に保持し、電子膨張弁が制御プロセスにおいて発振することを低減または回避することができて、最も省エネルギーの制御方式を実現する。また、初期化動作の速度も固定的なものでよい。このようにすると、正常調節時の最大速度は初期化動作時の速度より小さいか等しくても、初期化動作時の最大速度と最小速度は等しい。
【0069】
上記の実施例において、いずれも自動車用空調システムを例として説明したが、他の電子膨張弁を有する冷凍サイクルシステムにも、同様に本発明の調節制御方法を適用できる。また、上記の実施形態において、説明の便宜上、ステップ駆動制御モジュールと駆動モジュールを機能的に区分したが、両者は個別に設定されてもよく、一緒に設置すること、つまり、駆動モジュールの機能を一緒にステップ駆動制御モジュールの位置するチップにインストールすることにしてもよい。
【0070】
なお、以上の実施例は、単に本発明を説明するためのもので、本発明に記載された技術案を限定するものではない。本明細書は上記の実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当業者は、本発明を変更または等価交換することが可能で、全ての本発明の主旨と範囲を逸脱しない技術案及びその改善のいずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれることを理解すべきである。