(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283742
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】粒子フィルタを監視するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/18 20060101AFI20180208BHJP
F01N 3/023 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
F01N3/18 C
F01N3/023 K
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-523262(P2016-523262)
(86)(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公表番号】特表2016-535831(P2016-535831A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2014072368
(87)【国際公開番号】WO2015059060
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年4月14日
(31)【優先権主張番号】102013221598.3
(32)【優先日】2013年10月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリモフスキ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】バールス,エンノ
(72)【発明者】
【氏名】ハンドラー,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンクラー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ツァイン,トーマス
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−171994(JP,A)
【文献】
実開昭62−179318(JP,U)
【文献】
特開2006−002736(JP,A)
【文献】
特開2005−140069(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0012694(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0000193(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリンで運転される内燃機関(10)の排ガス通路(14)内の粒子フィルタ(16)を監視するための方法において、
前記粒子フィルタ(16)の前で第1の排ガス温度を決定し、前記粒子フィルタ(16)の後ろで第2の排ガス温度を決定し、前記内燃機関(10)の冷間始動後に、前記第2の排ガス温度の経時変化が、前記第1の排ガス温度の経時変化に対して所定の時間的遅延よりも大きい時間的遅延を有し、前記第1の排ガス温度は、最大値を過ぎた後、前記最大値よりも低い運転温度となり、前記第2の排ガス温度は、前記時間的遅延後に前記運転温度まで上昇するときに、前記粒子フィルタ(16)の正しい機能を推定することを特徴とする、粒子フィルタを監視するための方法。
【請求項2】
前記第1の排ガス温度のモデルを前記内燃機関(10)の運転パラメータから作成し、前記第2の排ガス温度を第2の温度センサ(17)によって、または温度機能を有する排ガスセンサによって決定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の排ガス温度の経時変化が、大きくとも予め設定可能な1ファクターだけ、前記第1の排ガス温度の経時変化よりも小さい振幅を有するときに、前記粒子フィルタ(16)が正しく組み込まれていることが推定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ガソリンで運転される内燃機関(10)の排ガス通路(14)内の粒子フィルタ(16)を監視するための装置であって、前記内燃機関(10)に制御ユニット(12)が対応配設されている形式の装置において、
前記排ガス通路(14)内で前記粒子フィルタ(16)の前に第1の温度センサ(15)、前記粒子フィルタ(16)の後ろに第2の温度センサ(17)が配置されており、前記制御ユニット(12)内に、前記粒子フィルタ(16)を監視するためのプログラムシーケンスまたは回路が設けられており、前記プログラムシーケンスまたは回路は、前記内燃機関(10)の冷間始動後に、前記第2の排ガス温度の経時変化が、前記第1の排ガス温度の経時変化に対して所定の時間的遅延よりも大きい時間的遅延を有し、前記第1の排ガス温度は、最大値を過ぎた後、前記最大値よりも低い運転温度となり、前記第2の排ガス温度は、前記時間的遅延後に前記運転温度まで上昇するときに、前記粒子フィルタ(16)の正しい機能を推定することを特徴とする、粒子フィルタを監視するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンで運転される内燃機関の排ガス通路内の粒子フィルタを監視するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はさらに、ガソリンで運転される内燃機関の排ガス通路内の粒子フィルタを監視するための装置で、前記内燃機関に制御ユニットが対応配設されている形式の装置に関する。
【0003】
ガソリンで運転される内燃機関の排ガス通路内の粒子フィルタは、内燃機関から排出される粒子を減少させるために用いられる。ディーゼル燃料で運転される内燃機関のための粒子フィルタにおいてもそうであるように、ガソリンで運転される内燃機関においては、粒子を燃焼させることによって、粒子フィルタを必要に応じて再生させなければならない。この再生は監視する必要がある。さらに、粒子フィルタの存在および正しい機能が運転中に診断機能によって監視される処置が行われる。ディーゼルエンジンのための粒子フィルタの監視は、粒子フィルタの前後の圧力差を決定することによって、並びに排ガス通路内で粒子フィルタに後置接続された粒子センサを介して行われる。
【0004】
特許文献1には、粒子フィルタを再生するための方法が記載されており、この方法によれば、
内燃機関の下流で粒子フィルタの上流に酸化触媒コンバータが設けられ、
酸化触媒コンバータの上流に第1の酸素センサが設けられ、
酸化触媒コンバータの下流に第2の酸素センサが設けられ、
酸化触媒コンバータから放出される、目標温度を有する排ガス流を提供し、かつ追加的な閉ループ制御回路周辺のオプション的な温度検出を行うために、酸化触媒コンバータを介して、酸素濃度の所望の変化を選択された継続時間だけ長く維持および選択するためのプロセッサが設けられ、
酸化触媒コンバータから放出される排ガス流を、粒子フィルタを通してガイドすることによって粒子フィルタが再生されるようになっており、この場合、粒子フィルタを通過する排ガス流の温度および選択された継続時間は、粒子フィルタを再生するために十分である。
【0005】
特許文献2には、排気装置を備えた外部点火式内燃機関の粒子フィルタの再生を実施するための方法について記載されており、前記排気装置は、粒子フィルタと、この粒子フィルタの上流に位置決めされた有害物質制限装置と、このために設計された、粒子フィルタの温度を有する温度センサと、粒子フィルタの下流に位置決めされた下流側に位置する酸素センサとを有している。この発明によれば、粒子フィルタの再生中に粒子フィルタの温度を上昇させ、その反作用として、粒子フィルタの温度が温度閾値よりも高くなり、下流側に位置する酸素センサのラムダが過濃負荷される時間が時間閾値よりも大きくなるようにし、二次空気を有害物質制限装置の下流で粒子フィルタの上流の箇所に導入し、その反作用として、粒子フィルタの温度が前記温度閾値よりも高くなり、下流側に位置する酸素センサのラムダが過濃負荷される時間が前記時間閾値よりも大きくならないようにし、さらに、粒子フィルタ劣化条件が設定されている。
【0006】
排ガスの空燃比のハンチングの変化に関して、粒子フィルタの下流の空燃比を監視することによって、粒子フィルタ再生に関する適切な条件を規定することができる。特に、ハンチングの減少は、粒子フィルタ内のカーボンの酸化を示す。粒子フィルタの後ろの排ガスの空燃比の増大したハンチングにより、カーボン負荷が酸化されたことを示すと、再生は終了されてよい。請求項に記載した方法では、ラムダセンサが必要とされる。このような構成では、粒子フィルタに後置接続された温度センサは使用されない。
【0007】
特許文献3には、エンジンの排ガスを浄化するフィルタを再生するための方法について記載されており、この方法は、
フィルタ内のカーボン捕集の決定と、
前記カーボン捕集と第1のカーボン捕集閾値との比較と、
フィルタ内で再生を開始させるために、前記カーボン収集と前記第1のカーボン収集閾値との比較に応じて排ガス内の酸化レベルの選択的な上昇とを有している。
特許文献3の
図1に示した装置は、粒子フィルタに後置接続された温度センサ180−3を有している。しかしながら
図3に示した方法の説明では、粒子量の制御しか行われず、温度センサ180−3の温度の制御は行われない。温度は、再生の開始のために適した温度を保証するためにだけ決定される。
【0008】
特許文献4では、内燃機関の排ガス領域内に配置された構成要素を監視するための方法について提案されており、この方法においては、構成要素の熱容量によって決定された低域フィルタ特性が、監視しようとする構成要素の手前で発生する第1の排気温度(TvK)の尺度を評価し、かつ監視しようとする構成要素の後方の第2の温度センサ(TH)によって測定される第2の排気温度(TnK)の尺度を評価することによって検査される。この発明による方法は、例えば許容できない操作時に発生し得る変化に関する構成要素の監視を可能にする。極端な場合、監視しようとする構成要素、例えば触媒および/または粒子フィルタは完全に取り除かれてよい。この明細書によれば、排ガス通路内の構成要素の熱容量に基づく、構成要素を貫流する排気の温度の特性から、構成要素の操作を推定することが分かる。しかしながら粒子フィルタは具体的に挙げられていない。
【0009】
特許文献5によれば、センサユニットによってセンサ温度が直接的または間接的に決定され、直接的または間接的に決定されたセンサ温度と、別のセンサユニットによって決定された排気温度および/またはモデル値および/または決定された閾値との比較から、センサユニットの取り外しおよび/またはセンサユニットの機能的に正しくない取り付けの検知を推定することによって、センサユニットの存在を監視するようになっている。発熱反応によって得られる温度上昇が基準値として用いられることによって、粒子フィルタを監視することは予定されていない。
【0010】
特許文献6では、粒子フィルタが差圧測定を介して診断されるようになっているが、粒子フィルタの前後での温度の評価は予定されていない。
【0011】
特許文献7には、内燃機関の排ガス領域内に配置された触媒の機能正常性を監視する方法について記載されている。監視は、排ガスの放熱交換により発生される触媒内の温度上昇を用いて行われる。2つの温度信号が求められ、この場合、第1の温度信号は触媒の後ろの温度の測定に基づいていて、第2の温度信号はモデルを用いて算出される。この明細書によれば、粒子フィルタではなく、触媒において、規定通りの機能を有する構成部分の発熱反応から、およびひいては構成部分より生ぜしめられる排ガス温度の上昇から、構成部分の正しい機能を推定することが分かる。取り外された構成部分の診断については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ヨーロッパ特許明細書の翻訳文DE112008003421T5
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102010046747号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102012207717号明細書
【特許文献4】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10358195号明細書
【特許文献5】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102009003091号明細書
【特許文献6】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102010002691号明細書
【特許文献7】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4426020号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明の課題は、ガソリンで運転される内燃機関のための、粒子フィルタを監視するための、特に粒子フィルタの取り外しに対して監視するための方法を提供することである。
【0014】
さらに、本発明の課題は、前記方法を実施するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の方法に関する課題は、粒子フィルタの前で第1の排ガス温度を決定し、粒子フィルタの後ろで第2の排ガス温度を決定し、前記第1の排ガス温度と前記第2の排ガス温度との差から、または前記第1の排ガス温度および前記第2の排ガス温度の異なる経時変化から、粒子フィルタの存在および/または粒子フィルタの正しい機能を推定するようにしたことによって、解決される。この方法は、粒子フィルタの熱質量の効果の検出、または粒子フィルタ内に堆積したカーボン粒子の燃焼時における排ガスの温度への影響に基づいている。これによって、粒子フィルタの前後の温度変化は、独特な差異を示す。このような差異が生じなければ、粒子フィルタは取り除かれていて、熱質量が粒子フィルタの熱質量よりも著しく小さい例えば管材によって置き換えられている。
【0016】
この方法の1実施態様によれば、第1の排ガス温度のモデルが内燃機関の運転パラメータから作成され、第2の排ガス温度が第2の温度センサによって、または温度機能を有する排ガスセンサによって決定されるようになっている。粒子フィルタの前の第1の排ガス温度のモデルが内燃機関の運転パラメータから作成されるようになっていれば、この箇所における第1の温度センサは省くことができる。従ってこの解決策は安価である。これに対して、粒子フィルタの後ろの第2の排ガス温度は、粒子フィルタの状態に依存する温度変化を検出し、かつ監視に導入できるようにするために、第2の温度センサによって決定されなければならない。
【0017】
粒子フィルタの再生時に、カーボン粒子は排ガス中の酸素と共に規定通りに燃焼される。粒子フィルタ内に堆積したカーボン量は運転パラメータに基づくモデルを介して見積もられるか、または粒子フィルタの前に取り付けられた粒子センサによって決定され得る。再生開始時に、十分に高い温度を有する希薄な排ガスが粒子フィルタ内に導入される。再生は発熱反応であり、従って排ガスを追加的に加熱する。粒子フィルタ内に堆積したカーボン量から、解放される熱量および温度上昇が決定され得る。粒子フィルタの前の適切な温度および排ガス組成は、コーティングされていない粒子フィルタまたは触媒効果を有するコーティングが使用されるかどうかに依存している。従って本発明によれば、粒子フィルタの再生中に、予め設定可能な時間間隔に亘って第1の排ガス温度が第2の排ガス温度よりも低いときに、粒子フィルタが正しく組み込まれかつ/または正しく機能することが推定されるようになっている。この場合、予め設定可能な時間間隔とは、その時間間隔内で発熱反応が見込まれる時間間隔である。
【0018】
粒子フィルタは、同じ長さおよび同じ横断面を有する管材と比較して著しく高い熱容量を有している。従って、冷たい粒子フィルタ内に侵入する熱い排ガスは、まず熱を放出し、粒子フィルタが十分に加熱されるまで、冷却されて粒子フィルタを通過し、粒子フィルタの出口における温度が上昇する。同様に、熱い粒子フィルタ内に侵入する冷たい排ガスは、まず熱を吸収し、粒子フィルタが十分に冷却されるまで加熱されて粒子フィルタを通過し、粒子フィルタの出口における温度が低下する。従って、粒子フィルタを監視するために、第2の排ガス温度の経時変化が、第1の排ガス温度の経時変化に対して第1の所定の時間的遅延よりも大きい時間的遅延を有するときに、粒子フィルタが正しく組み込まれていると推定することが適切である。
【0019】
特に明らかに、粒子フィルタの遅延効果は内燃機関の冷間始動時に発生する。従って、本発明による方法は、内燃機関の冷間始動後に第2の排ガス温度の経時変化が、第1の排ガス温度の経時変化に対して第2の所定の時間的遅延よりも大きい時間的遅延を有するときに、粒子フィルタが正しく組み込まれていると推定するために適している。
【0020】
粒子フィルタの熱容量は、温度変化に影響する遅延作用の他に、温度変動の振幅を減少させる作用も有している。この減少は、変動の継続時間に依存している。本発明によれば、第2の排ガス温度の経時変化が、大きくとも予め設定可能な1ファクターだけ、第1の排ガス温度の経時変化よりも小さい振幅を有するときに、粒子フィルタが正しく組み込まれていることが推定されるようになっている。粒子フィルタが取り外されると、接続管は僅かな熱質量を有していて、温度変動の振幅はほんの少しだけ縮小する。
【0021】
本発明の装置に関する課題は、排ガス通路内で粒子フィルタの後ろに第2の温度センサが配置されており、制御ユニット内に、粒子フィルタの前の第1の排ガス温度を決定するための、および第2の温度センサによって第2の温度を検出するための、並びに第1および第2の排ガス温度の経時変化および/または高さを評価することによって粒子フィルタを監視するためのプログラムシーケンスまたは回路が設けられていることによって解決される。粒子フィルタの前の温度および温度変化は、内燃機関の運転パラメータから成るモデルによってまたは第1の温度センサによって決定され得る。粒子フィルタの後ろの温度および温度変化は、第2の温度センサによって決定される。この第2の温度センサは、温度機能を有する排ガスセンサとして構成されていてもよい。例えば、ラムダセンサが使用されてよく、このラムダセンサの温度は、ラムダセンサのヒータの電気抵抗により、またはラムダセンサ内に組み込まれた温度センサによって決定される。このような組み合わせセンサは、冷間始動時に露点終了の前で、温度を決定するためにおよび粒子フィルタを診断するために使用され、露点終了に達すると直ちにラムダセンサとして使用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明が使用され得る技術的な環境を示す図である。
【
図2】内燃機関の排ガス通路内における温度の第1の経時変化を示す図である。
【
図3】内燃機関の冷間始動時における温度の第2の経時変化を示す図である。
【
図4】内燃機関の排ガス通路内の温度の第3の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を以下に、図面に示した実施例を用いて具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明が使用され得る技術的な環境を示す。ガソリンで駆動される内燃機関10に、吸気管11を介して燃焼空気が供給され、排ガスが排ガス通路14を介して放出される。排ガス通路14内で内燃機関10の後ろに三元触媒13が配置されており、排ガスの流れ方向で見て前記三元触媒13の後ろに粒子フィルタ16が配置されている。排ガスの温度は、粒子フィルタ16の前では第1の温度センサ15によって決定され、粒子フィルタ16の後ろでは第2の温度センサ17によって決定される。第1の温度センサ15および第2の温度センサ17は制御ユニット12に接続されており、この制御ユニット12内で、前記温度センサ15,17の信号が評価され、その結果から、粒子フィルタ16の存在およびその機能が監視される。別の実施態様では、粒子フィルタ16の前の排ガスの温度は、内燃機関10の運転パラメータおよび所属のモデルから決定され、従って第1の温度センサ15は省かれる。
【0025】
図2は、第1の温度線
図20で、粒子フィルタ16の再生時における温度変化を示す。温度は、第1の温度軸21および第1の時間軸25に沿ってグラフで示されている。第1の温度変化22は、粒子フィルタ16の前の温度の経時変化を示す。第1の段階26で、粒子フィルタ16が排ガスからカーボン粒子を捕集する。再生のために、第2の段階27で、排ガス温度を高めるための処理が開始され、排ガス内の酸素過剰率が調整され、それによって第1の温度変化22が上昇する。第3の段階28で、粒子フィルタ16の前の排ガス温度が例えば600℃の高いレベルに維持され、粒子フィルタが再生される。第3の段階28の後に再び通常運転が開始され、第1の温度変化22が低下する。規定通りに作業する粒子フィルタ16において、粒子フィルタ16の後ろで第3の温度変化24が生じる。第1の段階26では、第3の温度変化24が第1の温度変化22よりもやや低い。第2の段階27では、第3の温度変化24が、第1の温度変化22にやや遅れて上昇する。第3の段階28では、粒子フィルタ16内のカーボンが発熱反応で燃焼するので、第3の温度変化24は第1の温度変化22よりも高く上昇する。粒子フィルタ16内に堆積したカーボン粒子が燃焼すると、第3の温度変化24は再び低下する。第3の段階28における第1の温度変化22に対する第3の温度変化24のこの一時的な過度の上昇は、監視装置において、正しく作業する粒子フィルタ16のための兆候として用いられる。再生が予め設定された通りに行われないと、粒子フィルタ16の後ろで第2の温度変化23が得られる。第2の段階27で、第2および第3の温度変化23,24が一緒に上昇する。しかしながら、第3の段階28で、第2の温度変化23は、第1の温度変化22に対して過度に上昇することはない。従って、再生のための典型的な発熱反応は行われない。
【0026】
図3は、第2の温度線
図30で、内燃機関10の冷間始動後の粒子フィルタ16前後の温度変化を示す。温度は、第2の温度軸31および第2の時間軸35に沿ってグラフで示されている。第4の温度変化32は、粒子フィルタ16の前の温度の経時変化を示す。まず、排ガス通路内のガス混合気はほぼ周囲温度である。内燃機関10の始動に伴って、第4の温度変化32は上昇し、最大値を過ぎてから運転温度に調節される。第6の温度変化34は、正常な粒子フィルタ16の後ろの温度を示す。第6の温度変化34は、粒子フィルタ16の熱質量によって規定された遅延時間36後にはじめて運転温度に上昇する。粒子フィルタ16が排ガス通路14から取り除かれると、この遅延時間36は無くなり、第5の温度変化33が発生する。この第5の温度変化33は、ほんの少しだけ遅れて第4の温度変化32に追従して上昇しかつ増大する。冷間始動時におけるこのような特性は、故障状態の存在に関する監視のための明確な兆候である。
【0027】
図4は、第3の温度線
図40で、内燃機関10の変化する運転条件下における粒子フィルタ16の前後の温度変化を示す。変化する運転条件によって、粒子フィルタ16の前で第7の温度変化42が温度変動を示す。排ガス通路14内に存在する正常な粒子フィルタ16において、粒子フィルタ16の後に独特な遅延を伴って第9の温度変化44が続き、この第9の温度変化44は、粒子フィルタ16の熱容量に基づいて、粒子フィルタ16の前の第7の温度変化42よりも小さい、温度変動の振幅を有している。この粒子フィルタ16が排ガス通路14から取り除かれると、この独特な遅延および振幅の減少は無くなり、第8の温度変化43が発生する。この第8の温度変化43は、ほんの少しだけ遅れて第7の温度変化42に追従して上昇しかつ増大する。内燃機関10の変化する運転条件下におけるこのような特性は、故障状態の存在に関する監視のための明確な兆候である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
全体として、本発明によれば、粒子フィルタの前および後ろの温度の変化および高さを評価することによって、粒子フィルタの正確な再生を推定することができる。さらに、粒子フィルタの取り外しおよび接続管による置き換えは、検知され得る。
【符号の説明】
【0029】
10 内燃機関
11 吸気管
12 制御ユニット
13 三元触媒
14 排ガス通路
15 第1の温度センサ
16 粒子フィルタ
17 第2の温度センサ
20 第1の温度線図
21 第1の温度軸
22 第1の温度変化
23 第2の温度変化
24 第3の温度変化
25 第1の時間軸
26 第1の段階
27 第2の段階
28 第3の段階
30 第2の温度線図
31 第2の温度軸
32 第4の温度変化
33 第5の温度変化
34 第6の温度変化
35 第2の時間軸
36 遅延時間
40 第3の温度線図
42 第7の温度変化
43 第8の温度変化
44 第9の温度変化