特許第6283744号(P6283744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6283744防振パッド及びこれを含む丸鋸、金属板切断装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283744
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】防振パッド及びこれを含む丸鋸、金属板切断装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/00 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   B23D47/00 E
【請求項の数】21
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-527238(P2016-527238)
(86)(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公表番号】特表2016-539012(P2016-539012A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】KR2014010357
(87)【国際公開番号】WO2015065099
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年6月9日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0132462
(32)【優先日】2013年11月1日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0132463
(32)【優先日】2013年11月1日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0135311
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(73)【特許権者】
【識別番号】516079213
【氏名又は名称】シンジン エスエム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ムン、 チャン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 カン−ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】リム、 スン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ソン−ジン
(72)【発明者】
【氏名】ナム、 ヨン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ウォン−ソ
(72)【発明者】
【氏名】カン、 ジュン−ムン
(72)【発明者】
【氏名】シン、 ゴン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ビョン−ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ミ−ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ボン−ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 チョル−ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ウン−ジン
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−113719(JP,U)
【文献】 実公昭51−005833(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3042646(JP,U)
【文献】 特表2005−512834(JP,A)
【文献】 特開昭59−179308(JP,A)
【文献】 特開2004−338081(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01123768(EP,A2)
【文献】 特開平05−111820(JP,A)
【文献】 特開平02−311260(JP,A)
【文献】 特開平06−155159(JP,A)
【文献】 特開平10−158022(JP,A)
【文献】 特開2003−137576(JP,A)
【文献】 実開昭48−014682(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/00−47/12,
B28D 1/00−7/04,
H01L 21/78−21/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を切断する円形の鋸刃部の一側面に面接触して振動を制御する複数個のパッドと、
前記鋸刃部の中心から隣接した位置に形成され、前記複数個のパッドを固定するパッド固定部と、
を含み、
前記パッドは、
前記鋸刃部に均一な弾性支持力を配分する複数個の弾性部材と、
前記弾性部材の一側を固定する多数個の固定溝と、を含むことを特徴とする、防振パッド。
【請求項2】
前記複数個のパッドを前記パッド固定部にそれぞれ固定させる固定部材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の防振パッド。
【請求項3】
前記パッド固定部は、
前記パッドの弾性部材を収容する多数個の収容溝を含むことを特徴とする、請求項1に記載の防振パッド。
【請求項4】
前記収容溝は、
防振パッドの円周方向及び半径方向に多数の列及び行で形成されることを特徴とする、請求項に記載の防振パッド。
【請求項5】
前記固定部材は、
一側が前記パッドの中心部に形成された貫通孔と貫通され、他側が前記パッド固定部に形成された締結溝に絞まりばめされることを特徴とする、請求項2に記載の防振パッド。
【請求項6】
第1の平面に沿って回転する丸鋸刃と、
前記丸鋸刃の回転軸から遠ざかる第1の方向に前記回転軸から第1の距離に前記丸鋸刃と平行に置かれた状態で前記丸鋸刃の振動を抑制する第1の内側防振パッドと、
前記第1の方向に前記回転軸から前記第1の距離より遠い第2の距離に前記丸鋸刃と平行に置かれた状態で前記丸鋸刃の振動を抑制する第1の外側防振パッドと、
を含み、
前記第1の内側防振パッド及び第1の外側防振パッドのうち少なくとも一つは請求項1から5のいずれか一項に記載の防振パッドであることを特徴とする、丸鋸。
【請求項7】
前記第1の外側防振パッドは前記第1の内側防振パッドから前記第1の方向に離隔していることを特徴とする、請求項に記載の丸鋸。
【請求項8】
前記第1の内側防振パッドは前記丸鋸刃の内周縁に隣接して設置され、前記第1の外側防振パッドは前記丸鋸刃の外周縁に隣接して設置されることを特徴とする、請求項に記載の丸鋸。
【請求項9】
前記第1の内側防振パッド及び第1の外側防振パッドは、前記回転軸から遠ざかるにつれて前記第1の平面方向への幅が増加することを特徴とする、請求項に記載の丸鋸。
【請求項10】
前記第1の外側防振パッドの前記第1の平面方向への幅は、前記第1の内側防振パッドの前記第1の平面方向への幅以上であることを特徴とする、請求項に記載の丸鋸。
【請求項11】
前記第1の内側防振パッド及び第1の外側防振パッドのうち少なくとも一つは、前記丸鋸刃の円周に沿って平行な2つの曲面で囲まれる扇台形形状に形成されることを特徴とする、請求項に記載の丸鋸。
【請求項12】
前記第1の内側防振パッドの前記曲面がなす円の一部は前記丸鋸刃と同心円の一部であることを特徴とする、請求項11に記載の丸鋸。
【請求項13】
前記第1の外側防振パッドの前記曲面がなす円の一部は前記丸鋸刃と同心円の一部であることを特徴とする、請求項11に記載の丸鋸。
【請求項14】
前記第1の内側防振パッド及び第1の外側防振パッドは前記丸鋸刃の円周に沿って台形形状に形成され、
前記第1の内側防振パッドの前記曲面が前記回転軸となす扇形の中心角の大きさは、前記第1の外側防振パッドの前記曲面が前記回転軸となす扇形の中心角の大きさに等しいことを特徴とする、請求項11に記載の丸鋸。
【請求項15】
前記中心角の大きさは35〜40°であることを特徴とする、請求項14に記載の丸鋸。
【請求項16】
前記回転軸から遠ざかる第2の方向に前記第1の距離に前記丸鋸刃と平行に置かれた状態で前記丸鋸刃の振動を抑制する第2の内側防振パッドをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の丸鋸。
【請求項17】
前記第2の方向に前記第2の距離に前記丸鋸刃と平行に置かれた状態で前記丸鋸刃の振動を抑制する第2の外側防振パッドをさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載の丸鋸。
【請求項18】
前記第1の方向と第2の方向は反対方向であることを特徴とする、請求項16に記載の丸鋸。
【請求項19】
前記丸鋸刃には、多数のホールが前記丸鋸刃の円周に沿って形成されることを特徴とする、請求項に記載の丸鋸。
【請求項20】
前記多数のホールは前記第1の内側防振パッドと第1の外側防振パッドの間に位置することを特徴とする、請求項19に記載の丸鋸。
【請求項21】
前記多数のホールの大きさは2種類以上の大きさを有することを特徴とする、請求項19に記載の丸鋸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振パッド、丸鋸及び金属板切断装置に関し、より詳細には、金属板の切断時に発生する振動を低減して金属板の切断面の品質を向上させることができる防振パッドと、これを含み、丸鋸の構造から発生する振動を防止し、丸鋸の寿命を増加させ、切削面の品質を向上させることができる丸鋸と、金属板切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1aは従来の丸鋸刃10を示し、図1bは従来の丸鋸刃を利用した機械式切断装置を示す。
【0004】
一般に、丸鋸は、棒材や薄い板材の切断に主に用いられるため、振動に弱くなく、これにより、振動を低減するための追加の装置も必要としない。
【0005】
しかしながら、厚い金属板材を切断するときには、丸鋸の構造から発生する振動及び騒音が発生し、これは、丸鋸刃の支持軸受の寿命を短縮させる原因にもなる。
【0006】
このような丸鋸の振動及び騒音を低減させるために、韓国公開特許第2009−0116256号(発明の名称:丸鋸刃密着ガイド及びこれを採用した丸鋸切断装置)は、図1に示されたように、防振パッド20を開示する。
【0007】
しかしながら、上記の公開特許によっても、切削角度が変更される場合には、面振動量の低減効果が減るという短所があり、固有振動数の増加に限界があり、高速切断が不可能であるという問題点がある。
【0011】
上記のような極厚物金属板材に対する機械式切断の問題点を回避するためにガスを用いる切断方法も広く利用されてはいるが、ガス切断の場合、金属板材の切断面から流れる溶鋼によって切断屑が必然的に発生し、切断ノズルを用いる溶融方式の特性上、切断速度が遅く、切断面も均一でなく、切断面の品質低下を伴ってしまう。
【0012】
上記のような問題点は、金属板材の厚さが増加するほど、より顕著に発生し、切断の歩留まりが下落し、追加の工程を必要とするという短所をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明では、鋸刃部の振動を制御する複数個のパッドを提供し、具体的には、鋸刃部に均一な弾性支持力を配分して振動を制御する構造を提供することを提案する。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、複数個のパッドをパッド固定部にそれぞれ締結する締結部材を提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、鋸刃部とパッドの摩擦によって発生した熱を放出させることができる構造を提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、鋸刃部の外周縁方向に行くほど面積が広くなる扇形の板状に形成されたパッド固定部を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、エッジ部がラウンド処理されたパッドを提供することである。
【0018】
また、本発明では、丸鋸の構造から発生する振動を防止し、丸鋸の寿命を増加させ、切削面の品質を向上させることができる丸鋸を提案する。
【0019】
なお、本発明の他の目的は、下記の実施例から当業者によって導出されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の実施例による防振パッドは、金属板を切断する鋸刃部の一側面に面接触して振動を制御する複数個のパッドと、上記鋸刃部の中心から隣接した位置に形成され、上記複数個のパッドを固定するパッド固定部と、を含む。
【0021】
また、上記複数個のパッドを上記パッド固定部にそれぞれ締結する締結部材を含むことができる。
【0022】
ここで、上記パッドは、上記鋸刃部に均一な弾性支持力を配分する複数個の弾性部材と、上記弾性部材の一側を固定する多数個の固定溝と、を含むことができる。
【0023】
また、上記パッドのエッジ部はラウンド処理されることができる。
【0024】
一方、上記パッド固定部は、上記パッドの弾性部材を収容する多数個の収容溝を含むことができる。
【0025】
また、上記パッド固定部は、上記鋸刃部の中心部に隣接して接触する一地点から外周縁方向に行くほど面積が広くなる扇形の板状に形成され、上記外周縁に隣接した部分は、外周縁に沿って直角に折れ曲がるように形成されることができる。
【0026】
また、上記収容溝は、防振パッドの円周方向及び半径方向に多数の列及び行で形成されることができる。
【0027】
また、上記収容溝の大きさは、上記パッドの大きさより小さければよい。
【0028】
ここで、上記締結部材は、一側が上記パッドの中心部に形成された貫通孔と締結され、他側が上記パッド固定部に形成された締結溝に締結されることができる。
【0029】
本発明は、第1の平面に沿って回転する丸鋸刃を備える丸鋸であって、上記丸鋸刃の回転軸から遠ざかる第1の方向に上記回転軸から第1の距離に上記丸鋸刃と平行に置かれた状態で上記丸鋸刃の振動を抑制する第1の内側防振パッドと、上記第1の方向に上記回転軸から上記第1の距離より遠い第2の距離に上記丸鋸刃と平行に置かれた状態で上記丸鋸刃の振動を抑制する第1の外側防振パッドと、を含む丸鋸を提供することができる。
【0030】
上記第1の外側防振パッドは上記第1の内側防振パッドから上記第1の方向に所定の間隔離隔していることができる。
【0031】
上記第1の内側防振パッドは上記丸鋸刃の内周縁に最も隣接して設置され、上記第1の外側防振パッドは上記丸鋸刃の外周縁に最も隣接して設置されることができる。
【0032】
上記第1の内側防振パッド及び第1の外側防振パッドは、上記回転軸から遠ざかるにつれて上記第1の平面方向への幅が増加することができる。
【0033】
上記第1の外側防振パッドの上記第1の平面方向への幅は、上記第1の内側防振パッドの上記第1の平面方向への幅以上であり得る。
【0034】
上記第1の内側防振パッド及び第1の外側防振パッドのうち少なくとも一つは、上記丸鋸刃の円周に沿って折れ曲がった台形形状に形成されることができる。
【0035】
上記第1の内側防振パッドの折れ曲がった面がなす円は上記丸鋸刃と同心円であり得る。
【0036】
上記第1の外側防振パッドの折れ曲がった面がなす円は上記丸鋸刃と同心円であり得る。
【0037】
上記第1の内側防振パッドの折れ曲がった面が上記回転軸となす扇形の中心角の大きさは、上記第1の外側防振パッドの折れ曲がった面が上記回転軸となす扇形の中心角の大きさに相応することができる。
【0038】
上記中心角の大きさは35〜40°であり得る。
【0039】
上記回転軸から遠ざかる第2の方向に上記第1の距離に上記丸鋸刃と平行に置かれた状態で上記丸鋸刃の振動を抑制する第2の内側防振パッドをさらに含むことができる。
【0040】
上記第2の方向に上記第2の距離に上記丸鋸刃と平行に置かれた状態で上記丸鋸刃の振動を抑制する第2の外側防振パッドをさらに含むことができる。
【0041】
上記第1の方向と第2の方向は反対方向であり得る。
【0042】
上記丸鋸刃には、多数のホールが上記丸鋸刃の円周に沿って形成されることができる。
【0043】
上記多数のホールは上記所定の間隔内に形成されることができる。
【0044】
上記多数のホールの大きさは2種類以上の大きさを有することができる。
【0045】
本発明において、上記パッドは、上記パッドにおいて上記丸鋸刃の反対面に付着される第1の磁石と、上記第1の磁石に対応して斥力を発生させて上記パッドにクランプ力を加えるように上記第1の磁石から離隔して配置される第2の磁石と、を含むことができる。
【0046】
このとき、上記パッドの第1及び第2の磁石はリング状に形成され、上記パッドは、リング状の第1及び第2の磁石に連結され、上記第1及び第2の磁石の移動を案内するガイド部材をさらに含むことができる。
【0047】
上記パッドは、上記第2の磁石に固定され、回転して上記第2の磁石を移動させ、上記第1及び第2の磁石の間の距離を調整する調整ねじをさらに含むことができる。
【0048】
上記パッド固定部は、上記パッド、第1の磁石及び第2の磁石をカバーし、上記調整ねじと結合されるねじ穴を備えることができる。
【0049】
上記第1の磁石の内周の直径は上記第2の磁石の内周の直径より小さく、上記第1の磁石の外周の直径は上記第2の磁石の外周の直径より大きければよい。
【0050】
上記ガイド部材は、上記鋸刃部の表面に垂直であり、上記第1の磁石の内周面及び外周面に固定される第1及び第2のガイドリングと、上記鋸刃部の表面に垂直であり、上記第2の磁石の内周面及び外周面に固定される第3及び第4のガイドリングと、を含むことができる。
【0051】
上記第1のガイドリングの直径は上記第3のガイドリングの直径より小さく、上記第2のガイドリングの直径は上記第4のガイドリングの直径より大きければよい。
【0052】
本発明の一実施例において、上記パッドには、振動防止パッド及び上記丸鋸刃の間の摩擦力を減少させる切削油を供給する切削油供給部が形成されることができる。
【0053】
本発明は、上面に金属板が位置する受け部と、上記受け部の上面に支持されるフレーム部と、上記フレーム部に沿って移動可能であり、回転軸が上記金属板より上部に位置するように回転して上記金属板を切断する鋸刃部を備える切断部と、を含み、上記鋸刃部は、多数の鋸歯を有する丸鋸刃、及び上記丸鋸刃に付着される防振パッドを含み、上記防振パッドは上述の防振パッドである金属板切断装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、丸鋸の構造から発生する振動を防止し、丸鋸の寿命を増加させ、切削面の品質を向上させることができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】(a)は従来の丸鋸刃を示した図であり、(b)は従来の丸鋸刃の一側に防振パッドが備えられた機械式切断装置を示した図である。
図2】丸鋸クランプ部の非対称締結による円板の歪みを示した図である。
図3a】本発明による防振パッドが鋸刃部に装着された状態を示した状態図である。
図3b】本発明による防振パッドが鋸刃部に装着された状態の正面図である。
図4】本発明の防振パッドの分解斜視図である。
図5】本発明の防振パッドの部分分解図である。
図6】本発明の防振パッドの部分分解図である。
図7】本発明の防振パッドの作動状態を示した図である。
図8】本発明による防振パッドが備えられた鋸刃部を、強度400MPa、幅1200mm及び厚さ200mmを有する極厚物金属板材に適用したときの切断速度を従来技術であるガス切断と比較して示した図である。
図9】本発明の他の実施例による丸鋸の正面図である。
図10】本発明の一実施例による丸鋸を構成する構成要素の位置関係をより詳細に示す図である。
図11】本発明の一実施例による丸鋸の斜視図である。
図12】丸鋸刃の回転時に発生する振動波であって、丸鋸刃の円周方向に沿って発生する振動波を示す図である。
図13】丸鋸刃の回転時に発生する振動波であって、丸鋸刃の半径方向に沿って発生する振動波を示す図である。
図14】丸鋸刃が作動するときの被切削材及び他の部品との関係を模式的に示す図である。
図15】本発明の一実施例による丸鋸刃に形成される多孔形状をより詳細に示す図である。
図16】本発明の一実施例による丸鋸の適用による固有振動数の増加を従来技術と比較して示す図である。
図17】本発明の一実施例による丸鋸の適用による振動量を従来技術と比較して示す図である。
図18】本発明による金属板切断装置の一実施例の斜視図である。
図19図18に示した金属板切断装置の概略的な断面図である。
図20図18に示された鋸刃部を説明するための概略的な断面図である。
図21図18に示された鋸刃部を説明するための概略的な断面図である。
図22】丸鋸刃の振動量によるクランプ力の変化を説明するためのグラフである。
図23】本発明による金属板切断装置の他の実施例の鋸刃部を説明するための概略的な断面図である。
図24図23に示された鋸刃部を説明するための概略的な平面図である。
図25図24のA領域の拡大図である。
図26】本発明による金属板切断装置のさらに他の実施例の鋸刃部を説明するための概略的な断面図である。
図27】本発明による金属板切断装置のさらに他の実施例の鋸刃部を説明するための概略的な断面図である。
図28】本発明のさらに他の実施例を示す斜視図である。
図29】本発明のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明は多様な変更が可能であり、様々な実施例を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、発明の詳細な説明で詳細に説明する。
【0057】
しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものである。なお、各図面を説明するにあたり、類似した構成要素には類似した参照符号を用いた。
【0058】
本発明は、極厚物(例えば、厚さ100mm以上)金属板材を切断する大口径の丸鋸刃を備える機械式切断機において高速切断が可能であるようにする丸鋸の振動低減装置に関するものである。
【0059】
このために、丸鋸刃の内側と外側に防振パッドを同時に設置することにより、丸鋸刃の歪みによって発生する振動と丸鋸を支持する軸受によって発生する振動を同時に低減する。
【0060】
また、丸鋸の摩擦熱によって温度が上がることを防止しながらも固有振動数の変動がないように円周方向に多数のホールを設計し、直径が互いに異なるホールを交差して配置することにより空隙率を高めて放熱性能を増加させる。
【0061】
また、防振パッドとの干渉を防止するために、丸鋸の内側防振パッドと外側防振パッドの間に多数のホールを配置して防振パッドと同時に適用可能であるようにする。
【0062】
よって、丸鋸の振動で発生する構造に起因する騒音を未然に防止し、丸鋸の寿命を増加させ、切削面の品質を向上させる。以下では、本発明による防振パッド、これを含む丸鋸を説明する。
【0063】
図2は、丸鋸クランプ部の非対称締結による円板の歪みを示した図であり、図3a、図3bは、本発明による防振パッド100が鋸刃部1に装着された状態を示した状態図であり、図4は、本発明の防振パッド100の分解斜視図であり、図5及び図6は、本発明の防振パッド100の部分分解斜視図である。
【0064】
一般に、鋸刃部1は、中央のクランプ部の非対称締結により、図2に示されたように、円板が歪み、これにより、回転時に振動を起こす。したがって、鋸刃部1の振動を低減するために、本発明による防振パッド100は、鋸刃部1の一側面に面接触して振動を制御する複数個のパッド10と、上記鋸刃部1の中心から隣接した位置に形成され、上記複数個のパッド10を固定するパッド固定部20と、を含んで構成される。
【0065】
上記鋸刃部1は、金属板を直接切断する部材であり、多数の鋸刃を有する円形板状に形成され、回転しながら金属板を切断する。図3では、鋸刃部1が円形板状であるが、これに限定されるものではなく、回転しながら金属板を切断することができる範囲内で楕円形などの他の形状に変形可能である。
【0066】
上記パッド10は、図4から図6に示されたように、鋸刃部1との摩擦によって発生する騒音が低減し、表面の引っかきが防止されるように多数個形成され、パッド10のエッジ部はラウンド18処理されることができる。上記のようにエッジ部がラウンド18処理されることにより、鋸刃部1との接触で発生する不完全接触を未然に防止することができるため、摩擦熱及び摩耗の発生を遮断し、振動低減性能を向上させることができる。また、パッド10及び鋸刃部1の局所部位のみが摩耗する現象が防止され、パッド10及び鋸刃部1の使用寿命を延長させることができる。
【0067】
一方、上記パッド10には、鋸刃部1に均一な弾性支持力を配分する複数個の弾性部材12、及び上記弾性部材12の一側を固定する多数個の固定溝14が形成されることができる。
【0068】
上記弾性部材12は、コイルスプリングで形成され、弾性エネルギーを吸収して防振作用をする。より詳細には、鋸刃部1に面接触するパッド10が均一な弾性支持力を有するようにパッド10の各コーナーに形成され、鋸刃部1の接触によって発生する振動はスプリングの復元力によって低減される。コイルスプリングではない磁石の反力を利用して振動を低減することもでき、これについては、あとで詳細に説明する。
【0069】
上記固定溝14は、上記パッド10の一面、より詳細には、各コーナーに、弾性部材12の一側に対応する大きさ及び形状に形成される。よって、上記弾性部材12の一側は、固定溝14に締まりばめによって固定されることができる。また、固定溝14の個数は弾性部材12の個数に対応するように形成されることが好ましい。
【0070】
本発明のパッド固定部20は、図3及び図4に示されたように、上記鋸刃部1の中心部に隣接して接触する一地点から外周縁方向に行くほど面積が広くなる扇形の板状に形成され、上記外周縁に隣接した部分は、外周縁に沿って直角に折れ曲がるように形成される。ここで、パッド固定部20の特定部位が摩耗することを防止するために、パッド固定部20のエッジ部は面取りされることができる。上記のように、パッド固定部20が外周縁方向に行くほど面積が広くなる扇形の板状に形成されることにより、鋸刃部1を利用して金属板を切断時、円周方向に進行する振動波の発生によって鋸刃部1の内側が他の部位より先に摩耗することを防止することができる。また、点接触又は摩擦面積が少ないことによりスキール騒音を低減することができる。
【0071】
そして、上記パッド固定部20の一面には、弾性部材12を収容する多数個の収容溝22が防振パッド100の円周方向及び半径方向に多数の列及び行で形成される。図3a及び3bでは、収容溝22が2行4列で形成された構造を示しているが、これに限定されるものではない。
【0072】
上記収容溝22の大きさは上記パッド10の大きさより小さく、収容溝22の個数はパッド10の個数に対応するように形成されることが好ましい。
【0073】
また、上記収容溝22は、金属板の切断時に鋸刃部1の移動によるパッド10との摩擦で発生する摩擦熱の放出が容易であるように一定間隔離隔して形成される。
【0074】
また、本発明の防振パッド100は、複数個のパッド10をパッド固定部20にそれぞれ締結する締結部材30を含むことができる。
【0075】
上記締結部材30の一側は上記パッド10の中心部に形成された貫通孔16と締結され、他側は上記パッド固定部20に形成された締結溝24に締結され、且つ締結部材30は貫通孔16に貫通されることができるように貫通孔16の円周より小さく形成され、締結溝24に締まりばめされることができるように締結溝の形状及び大きさに対応して形成される。上記締結部材30との緊密な締結のためにボルティング作業をさらに行ってもよい。
【0076】
図7は、本発明の防振パッドの作動状態を示した図である。
【0077】
図7に示されたように、金属板材の切断時に鋸刃部1が振動すると、鋸刃部1の側面に面接触して加圧する防振パッド100の弾性部材12の予圧によって振動が低減される。よって、円板が歪む現象が防止され、金属板の切断面の品質を向上させることができる。
【0078】
図8は、本発明による防振パッドが備えられた鋸刃部を、強度400MPa、幅1200mm及び厚さ200mmを有する極厚物金属板材に適用したときの切断速度を従来技術であるガス切断と比較して示した図である。以下、これを参照して、本発明による防振パッド100についてより具体的に説明する。
【0079】
図8は、強度400MPa、切断長さ1200mm、厚さ200mmを有する金属板に対して実際のテストをした結果を示したものであり、ガス切断を利用した場合は切断速度が約150mm/minに過ぎないが、本発明による防振パッド100が備えられた鋸刃部を利用した場合は切断速度が約350mm/minであり、ガス切断を利用した場合に比べて2.3倍以上速いことが確認できる。
【0080】
上記のように、本発明の防振パッド100を用いることにより、鋸刃部の切断速度を増加させることができるため、作業の効率性が向上する。
【0081】
図9は、本発明の一実施例による丸鋸の正面図である。
【0082】
図10は、本発明の一実施例による丸鋸を構成する構成要素の位置関係をより詳細に示す図である。
【0083】
また、図11は、本発明の一実施例による丸鋸の斜視図を示す。
【0084】
図9から図11に示されたように、本発明の一実施例による丸鋸200は、第1の平面に沿って回転する丸鋸刃210、第1の内側防振パッド220a、第1の外側防振パッド230a、第2の内側防振パッド220b、及び第2の外側防振パッド230bを含む。また、内側防振パッドと外側防振パッド220a、220b、230a、230bの設置のためのパッド固定部222a、222b、232a、232bをさらに含むことができる。このとき、内側防振パッドと外側防振パッドには、図3から7に示された防振パッドが適用されることもできる。
【0085】
第1及び第2の内側防振パッド220a、220bと第1及び第2の外側防振パッド230a、230bは左右対称構造を有するため、以下では、説明の便宜上、一側に位置する第1の内側防振パッド220aと第1の外側防振パッド230aを中心に説明する。
【0086】
本発明の一実施例による第1の内側防振パッド220aは、丸鋸刃210の回転軸から遠ざかる第1の方向D1に回転軸から第1の距離d1に上記丸鋸刃210と平行に置かれた状態で丸鋸刃210の振動を抑制する。
【0087】
また、第1の外側防振パッド230aは、丸鋸刃210の回転軸から遠ざかる第1の方向D1に回転軸から第2の距離d2に上記丸鋸刃210と平行に置かれた状態で丸鋸刃210の振動を抑制する。
【0088】
このとき、図から図11に示されたように、第1の内側防振パッド220aは丸鋸刃210の内周縁に最も隣接して設置され、第1の外側防振パッド230aは丸鋸刃210の外周縁に最も隣接して設置され、第1の外側防振パッド230aは第1の内側防振パッド220aから第1の方向D1に所定の間隔di離隔して設置される。
【0089】
第1の外側防振パッド220aと第1の内側防振パッド230aの間の所定の間隔diは、後述のように、多数のホール212を形成するための空間として活用される。
【0090】
また、図から図11に示されたように、第1の内側防振パッド220aと第1の外側防振パッド230aはそれぞれ丸鋸刃210の円周に沿って折れ曲がった台形形状に形成される。
【0091】
より詳細には、第1の内側防振パッド220a及び第1の外側防振パッド230aは回転軸から遠ざかるにつれて第1の平面方向への幅が増加し、第1の外側防振パッド230aの第1の平面方向への幅は第1の内側防振パッド220aの第1の平面方向への幅以上であるため、全体的に第1の内側防振パッド220aと第1の外側防振パッド230aは丸鋸刃210を構成する仮想の扇形に置かれるようになる。
【0092】
即ち、丸鋸刃を構成する仮想の扇形において内側に第1の内側防振パッド220aが置かれ、外側に第1の外側防振パッド230aが置かれるようになる。このとき、仮想の扇形の中心角の大きさは、後述のように35〜40°であることが好ましい。
【0093】
これにより、折れ曲がった台形形状の第1の内側防振パッド220aの折れ曲がった面がなす円は丸鋸刃210と同心円であり、折れ曲がった台形形状の第1の外側防振パッド230aの折れ曲がった面も丸鋸刃210と同心円であり、その結果、第1の内側防振パッドの折れ曲がった面がなす円と第1の外側防振パッドの折れ曲がった面がなす円も同心円に該当する。
【0094】
また、第1の内側防振パッドの折れ曲がった面が回転軸となす扇形の中心角の大きさは、第1の外側防振パッドの折れ曲がった面が回転軸となす扇形の中心角の大きさに相応する。
【0095】
第1の内側防振パッドと第1の外側防振パッドの他側に位置する第2の内側防振パッドと第2の外側防振パッドについて説明すると、次の通りである。
【0096】
即ち、第2の内側防振パッド220bは、丸鋸刃210の回転軸から遠ざかる第2の方向D2に第1の距離d1に丸鋸刃210と平行に置かれた状態で丸鋸刃210の振動を抑制する。
【0097】
また、第2の外側防振パッド230bは、第2の方向D2に第2の距離d2に丸鋸刃210と平行に置かれた状態で丸鋸刃210の振動を抑制する。
【0098】
このとき、第2の内側防振パッド及び第2の外側防振パッド220b、230bは第1の内側防振パッド及び第1の外側防振パッド220a、230aと左右対称構造を形成するようになるため、回転軸から第1の内側防振パッド220aと第2の内側防振パッド220bが形成される距離は第1の距離d1として互いに同一であり、回転軸から第1の外側防振パッド230aと第2の外側防振パッド230bが形成される距離も第2の距離d2として互いに同一であり、また、第2の内側防振パッド及び第2の外側防振パッド220b、230bが形成される第2の方向D2は第1の内側防振パッド及び第1の外側防振パッド220a、230aが形成される第1の方向D1と反対方向であることが好ましい。
【0099】
上記のような左右対称構造により、第1及び第2の内側防振パッド220a、220bは丸鋸刃の半径方向に沿って発生する振動を抑制することができ、第1及び第2の外側防振パッド230a、230bは丸鋸刃の円周方向に沿って発生する振動を抑制することができる。
【0100】
以下、図12から図14を参照して、本発明の一実施例による内側防振パッド220a、220bと外側防振パッド230a、230bによって丸鋸刃で発生する振動が抑制されるメカニズムをより詳細に説明する。
【0101】
図12は、丸鋸刃の回転時に発生する振動波であって、丸鋸刃の円周方向に沿って発生する振動波を示す図である。
【0102】
図13は、丸鋸刃の回転時に発生する振動波であって、丸鋸刃の半径方向に沿って発生する振動波を示す図である。
【0103】
また、図14は、丸鋸刃210が作動するときの被切削材140及び他の部品との関係を模式的に示す図である。
【0104】
図12から図14に示されたように、被切削材140と丸鋸刃210の周期的な接触と軸受130を含む回転軸系の振動は,丸鋸刃210が軸方向に振動するようにする。
【0105】
このような軸方向振動を抑制するために、内側防振パッド220a、220bと外側防振パッド230a、230bが設置される。
【0106】
即ち、図12に示されたような円周方向に沿って発生する振動波と、図13に示されたような半径方向に沿って発生する振動波を同時に抑制することができるように、内側防振パッド220a220bと外側防振パッド230a230bが設置される。
【0107】
一般に、円板が円周方向に振動する状態を見ると、多様な固有周波数に対して、図12に示されたように、振動しない節線が発生する。
【0108】
このような節線に防振パッドを設置すると、軸方向振動を低減することができなくなるため、本発明の一実施例による内側防振パッド220a220bと外側防振パッド230a230bは回転軸を基準に35〜40°の角度に設置される。
【0109】
このとき、図14に示されたように、下限線L2の下には被切削材140が通過するようになり、上限線L1上には丸鋸を構成する他の部品との干渉が発生するため、内側防振パッド220a、220bと外側防振パッド230a、230bは上限線L1と下限線L2の間に設置されることが好ましい。
【0110】
また、丸鋸刃の半径方向に沿って発生する振動波を見ると、高い周波数では、図13に示されたように、丸鋸刃の半径方向に沿って振動波が発生し、このとき、振動しない節円が発生する。
【0111】
このような節円に防振パッドを設置する場合にも、高速での軸方向振動を低減することができなくなるため、本発明の一実施例による内側防振パッド220a、220bと外側防振パッド230a、230bは所定の間隔di離隔して設置される。一例として、内側防振パッドと外側防振パッドは、丸鋸刃の内径と外径の間の距離の2/5〜4/5部分を避けて設置されることができる。
【0112】
一方、丸鋸200はそれ自体の特定振動数で振動量が増加する様々な固有振動数を有しているため、このような固有振動数の範囲を避けて回転速度を設定する必要がある。
【0113】
特に、大口径の丸鋸の場合には、外径が増加するにつれて固有振動数が飛躍的に減るようになるため、その結果、最大回転速度が制限され、容易に振動するようになる。
【0114】
上記防振パッド220a、220b、230a、230bの配列は、丸鋸200の固有振動数を増加させることはできるが、鋸刃210と被切削材140の間の摩擦熱による表面劣化や熱変形を伴う可能性が大きい。
【0115】
よって、本発明の一実施例による丸鋸刃210には、図9から図11に示されたように、多孔形状、即ち、多数のホール212を形成することにより、放熱性能を確保することができるようにする。
【0116】
一般に、固有振動数は、剛性が増加するほど高くなり、慣性に関する変数が増加するほど低くなる傾向を有する。したがって、丸鋸刃の半径方向に剛性に大きく影響を及ぼさない位置に多孔形状を設計すると、慣性を減らす効果を示すため、固有振動数は大きく影響を受けない。
【0117】
図15は、本発明の一実施例による丸鋸刃に形成される多孔形状をより詳細に示す図である。図15に示されたように、多孔形状のために丸鋸刃210には多数のホール212が形成されることができ、空隙を最小化できるように多様な直径を有するホールを配置することができる。
【0118】
このとき、防振パッド220a、220b、230a、230bと直接接触する部分は避けて位置させることが好ましく、ホール加工によって微細に突出する切削バリ(bur)は丸鋸と点接触し高周波騒音を発生するため、図15に示されたように面取り114されることができる。
【0119】
図16は、本発明の一実施例による丸鋸の適用による固有振動数の増加を従来技術と比較して示す。
【0120】
図16を参照すると、防振パッド220a、220b、230a、230bの設置により固有振動数が増加し、多孔形状212を設計する場合にも固有振動数が大きく落ちないことが確認できる。
【0121】
1次柔軟変形の固有振動数は防振パッドを装着することにより約17%増加し、発熱のための多孔形状を設計する場合にも固有振動数は約2%内外の固有振動数変化のみを有する。
【0122】
したがって、防振パッド220a、220b、230a、230b及び多孔形状212の設計から最大運転速度を約15%増加させることができる。
【0123】
図17は、本発明の一実施例による丸鋸の適用による振動量を従来技術と比較して示す。図17を参照すると、最大運転速度で防振パッド220a、220b、230a、230bを設置しなかった場合と対比して、防振パッド220a、220b、230a、230bを設置した場合は振動量が約70%減少することが確認できる。
【0124】
このように、本発明の一実施例によれば、極厚物金属板材の切断時に発生する振動量を効果的に減らし、摩擦熱の放出を円滑にすることにより大口径の丸鋸の回転速度を増加させることができ、これにより、切断速度を増加させることができる。また、低速回転時に脆い素材の破片が鋸刃端に圧着されて鋸刃の寿命を低減させ、切断面の品質を低下させる原因を除去することができる。
【0125】
また、丸鋸の構造に起因する騒音を低減して作業者の環境を改善することができる。これと共に、円板に鋸刃の固有振動数を増加させることにより丸鋸の回転制限速度を増加させ、切削効率を増加させ製品の歩留まりを向上させ、新たな製品市場の創出が可能であるという長所がある。
【0126】
図18は、本発明の一実施例による金属板切断装置の斜視図であり、図19は、図18に示した金属板切断装置の概略的な断面図である。
【0127】
図18及び図19に示したように、本実施例による金属板切断装置300は、受け部310、フレーム部340、及び切断部360を含むことができる。上記切断部360の鋸刃部361の回転軸365は、受け部310の上面に置かれた金属板400より上部にある。
【0128】
上記受け部310は、上面に金属板400を支持する部材であり、上記金属板切断装置300のベースになる部分である。上記受け部310は、平板状の本体部311、及び上記本体部311に設置されて上記金属板400を上記本体部311に支持する支持部312を含むことができる。ここで、上記支持部312は、上記金属板400の移動中に上記金属板400の表面に摩擦傷が生じることを防止するための部材であり、例えば、多数のボールキャスターに具現されることができる。上記ボールキャスターは、ボール313がハウジング314内で自由に回転可能である。また、上記ボールキャスターは、上記ボール313及び上記ハウジング314の間にスプリングが備えられ、上記金属板400の表面が均一でなくでこぼこしても上記金属板400の各地点と点接触して上記金属板400を安定して支持することができる。
【0129】
一方、上記金属板400は、上記受け部310上にローディング部320によってローディングされることができ、上記ローディング部320の駆動には、例えば、油圧装置などを用いることができる。また、上記ローディング部320は、上記金属板400が切断された後、上記金属板400を上記金属板切断装置300からアンローディングする機能を行うこともできる。また、上記受け部310の領域のうち上記金属板400が排出される出側にローラなどを備えることにより、上記金属板400の排出過程を容易にすることができる。
【0130】
また、上記受け部310には、上記金属板400を上記受け部310方向に加圧して上記金属板400の位置を固定する固定部330が備えられることができる。ここで、上記固定部330は、上記金属板400の上部から下降して上記金属板400の上面を加圧することができる。したがって、上記固定部330は、切断工程中に上記金属板400が流動することを防止することができる。上記固定部330は、支持台331、油圧部332、クランプ軸333、及びクランプ板334を含むことができる。上記固定部330は、上記支持台331に連結された上記油圧部332を作動させて上記クランプ軸333を伸長させ、これにより、上記クランプ板334が上記金属板400の上面に接触するようにして上記金属板400を加圧する。したがって、上記金属板400は固定されることができる。
【0131】
上記フレーム部340は、上記金属板400が位置した上記受け部310の上面に支持され、上記切断部360の移動を案内し支持する部材である。
【0132】
上記フレーム部340は、上記受け部310の上記本体部311の上面に支持されることができる。また、上記フレーム部340は、上記受け部310に連結された第1のフレーム部341、及び上記第1のフレーム部341から折れ曲がって上記受け部310の上面と平行に延びた第2のフレーム部342を含むことができる。ここで、上記第1のフレーム部341は一対で備えられ、上記第2のフレーム部342は一対の第1のフレーム部341を連結することができる。したがって、上記フレーム部340は全体的に「П」のような形状を有することができる。また、上記第1のフレーム部341は上記第2のフレーム部342を上記受け部310に支持し、上記第2のフレーム部342は上記切断部360が移動するレール又はガイドとしての機能を行うことができる。
【0133】
一方、第2のフレーム部342は、外面にねじ山が形成されたスクリュー部343を含むこともできる。上記スクリュー部343を回転させる第1の駆動部350が上記第2のフレーム部342に隣接するように設置されることができる。ここで、上記第1の駆動部350は回転モータであり得る。
【0134】
上記切断部360は、上記フレーム部340に沿って上記受け部310の上面に平行に移動しながら上記金属板400を切断する部材である。
【0135】
上記切断部360は、上記第2のフレーム部342に沿って移動することができる。したがって、上記切断部360は、上記金属板400の切断しようとする部位に対応して移動することができる。したがって、上記切断部360は、上記第2のフレーム部342と平行な方向に上記金属板400を切断することができる。ここで、上記切断部360を移動させる部材は上記第1の駆動部350であり得る。また、上記第1の駆動部350は、上記第2のフレーム部342の上記スクリュー部343を回転させる方式で、上記スクリュー部343とねじ連結された上記切断部360を移動させることができる。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、上記第1の駆動部350が油圧シリンダーに具現されて上記切断部360を直接移動させ、上記第2のフレーム部342は単に上記切断部360をガイドする役割をするように制限することもできる。また、上記第1の駆動部350が別の移送レール、例えば、コンベヤーベルトのような分割型移送レールを駆動させることもでき、このとき、移送レールに連結された切断部360が移動する構成も可能である。ここで、上記第1の駆動部350が上記移送レールを駆動して上記切断部360を移動させる構成は、上記金属板400の長さが相対的に長い場合に有用であり得る。
【0136】
一方、上記切断部360は、上記金属板400を直接切断する鋸刃部361、及び上記鋸刃部361を回転させる第2の駆動部367を備え、上記第2の駆動部367は、上記鋸刃部361に結合された回転軸365によって上記鋸刃部361に回転力を伝達することができる。したがって、上記鋸刃部361は回転して上記金属板400を切断することができる。ここで、上記第2の駆動部367は回転モータであり得る。
【0137】
上記鋸刃部361は、多数の鋸歯366を有する丸鋸刃362、及び上記丸鋸刃362に付着されたパッド部363を含むことができる。上記丸鋸刃362は、上記金属板400を切断する間に発生する熱を放出できる放熱ホール364を備えることができる。したがって、上記放熱ホール364は、上記鋸刃部361にかかる応力を減少させることができる。
【0138】
上記パッド部363は、上記鋸刃部361に付着され、上記鋸刃部361が上記金属板400を切断するときに上記鋸刃部361が左右に流動することを防止することができる。
【0139】
また、上記切断部360は、上記第2のフレーム部342に沿って水平に移動しながら上記鋸刃部361が回転して金属板400を切断するため、長さの長い上記金属板400も容易に切断することができる。
【0140】
また、上記鋸刃部361の上記回転軸365は、上記金属板400より上部、即ち、上記受け部310と反対の上記金属板400の面外側に位置することができる。
【0141】
上記鋸刃部361は時計方向又は反時計方向に回転することができる。
【0142】
図20及び図21は、図19に示された鋸刃部を説明するための概略的な断面図であり、図22は、丸鋸刃の振動量によるクランプ力の変化を説明するためのグラフである。
【0143】
図20から図22を参照すると、鋸刃部361は、多数の鋸歯366を有する丸鋸刃362、及び上記丸鋸刃362に付着されたパッド部363を含むことができる。
【0144】
上記パッド部363は、上記丸鋸刃362に付着され、上記丸鋸刃362が上記金属板400を切断するときに上記丸鋸刃362が上記丸鋸刃362の表面に垂直な方向に振動することを防止することができる。上記パッド部363は、振動防止パッド363a、上記振動防止パッド363aにクランプ力を加える第1及び第2の磁石363b、363c、上記第2の磁石363cの移動をガイドするガイド部材363d、上記第1及び第2の磁石363b、363cの間の距離を調整する調整ねじ363e、及び上記調整ねじ363eと結合するカバーケース363fを含むことができる。
【0145】
上記振動防止パッド363aは、上記丸鋸刃362の表面に密着されるように設置され、上記丸鋸刃362の振動を抑制することができる。
【0146】
上記第1の磁石363bは、上記振動防止パッド363aの上記丸鋸刃362に平行な面に付着される。また、上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cは同一の極性が向かい合うように配置される。したがって、上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cの間には斥力が発生し、上記斥力は上記振動防止パッド363aに加わるクランプ力であり得る。また、上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cは全てリング状であり、リングの中央は上記ガイド部材363dと結合する。
【0147】
上記ガイド部材363dはガイドピンであり、上記振動防止パッド363aに固定される。ここで、上記ガイド部材363dは上記丸鋸刃362の表面に垂直であり得る。したがって、上記ガイド部材363dは、上記第2の磁石363cが上記丸鋸刃362の表面に垂直な方向に移動することができるようにガイドすることができる。
【0148】
上記調整ねじ363eは、上記第2の磁石363cに固定され、上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cの間の距離を調整することができる。
【0149】
上記カバーケース363fは、上記調整ねじ363eと結合することができるねじ穴を備える。したがって、上記調整ねじ363eは、上記カバーケース363fと結合するが、回転して上記第2の磁石363cを移動させ、上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cの間の距離を調整することができる。
【0150】
また、上記パッド部363は、上記振動防止パッド363a及び上記丸鋸刃の間の摩擦を抑制するための切削油を供給する切削油供給ライン363gをさらに含むことができる。ここで、上記切削油供給ライン363gは上記振動防止パッド363aの内部に設置されることができる。
【0151】
一方、上記丸鋸刃362及び上記パッド部363を備える上記鋸刃部361は、上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cの間に発生する斥力によって上記振動防止パッド363aにクランプ力を加えることができる。また、上記クランプ力は、上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cの間の距離を調整して調節することができる。
【0152】
ここで、上記クランプ力の大きさは下記数学式1に従う。
【0153】
【数1】
【0154】
ここで、kはクーロン定数であり、m及びmは二つの磁極の強さであり、rは二つの磁石の間の距離である。
【0155】
したがって、上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cの間の距離が減少するほど、上記クランプ力は急激に増加するようになる。即ち、図4に示されたように、上記調整ねじ363eを回転させて上記第2の磁石363cを上記第1の磁石363b方向に移動させると、上記クランプ力は増加するようになる。上記クランプ力が増加すると、上記振動防止パッド363aは上記丸鋸刃362の表面により強く密着され、上記振動防止パッド363aは上記丸鋸刃362の回転軸に垂直な方向の振動を抑制するようになる。
【0156】
一方、上記丸鋸刃362の振動によって上記クランプ力は変化し得る。上記丸鋸刃362の振動量が大きくなると、上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cの間の距離は減少する。したがって、図22に示されたように、上記丸鋸刃362の振動量が大きくなると、上記クランプ力は増加することができる。即ち、本発明の金属板切断装置の鋸刃部361に発生したクランプ力R2は、一般的に金属板切断装置に求められるクランプ力R1に比べて大きいことが分かる。
【0157】
以下、図23から図27を参照して本発明の他の実施例を説明する。図23から図25において、図18から図22に示された構成要素と同一の構成要素には同一の参照番号を付し、それに関する具体的な説明は省略する。また、図23から図25では、重複する説明を避けるために図18から図22と異なる点を中心に説明する。
【0158】
図23は、本発明の他の実施例による金属板切断装置の鋸刃部を説明するための概略的な断面図であり、図24は、図23に示された鋸刃部を説明するための概略的な平面図であり、図25は、図24のA領域の拡大図である。
【0159】
図23から図25を参照すると、鋸刃部361は、多数の鋸歯366を有する丸鋸刃362、及び上記丸鋸刃362に付着されたパッド部363を含むことができる。
【0160】
上記パッド部363は、振動防止パッド363a、上記振動防止パッド363aにクランプ力を加える第1及び第2の磁石363b、363c、上記第2の磁石363cの移動をガイドするガイド部材363d、上記第1及び第2の磁石363b、363cの間の距離を調整する調整ねじ363e、上記振動防止パッド363aの流動を防止する第3及び第4の磁石363i、363j、上記調整ねじ363eと結合するカバーケース363f、及び上記カバーケース363fから上記丸鋸刃362方向に延びた振動防止パッドカバー363hを含むことができる。
【0161】
上記振動防止パッドカバー363hは上記第1の磁石363b及び上記第2の磁石363cをカバーすることができる。したがって、上記振動防止パッドカバー363hは、上記鋸刃部361が回転して金属板を切断する過程で発生する可能性がある異物が上記振動防止パッド363aと上記第1及び第2の磁石363b、363cを汚染させることを防止することができる。
【0162】
また、上記第3の磁石363iは上記振動防止パッド363aの側面、即ち、上記丸鋸刃362に垂直な面に配置され、上記第4の磁石363jは上記振動防止パッドカバー363hの内側面に配置されることができる。上記第3及び第4の磁石363i、363jは、上記第1及び第2の磁石363b、363cと同一の原理で、上記振動防止パッド363aが上記丸鋸刃362の表面で流動することを防止することができる。
【0163】
図26及び図27は、本発明のさらに他の実施例による金属板切断装置の鋸刃部を説明するための概略的な断面図である。
【0164】
図26及び図27を参照すると、鋸刃部361は、多数の鋸歯366を有する丸鋸刃362、及び上記丸鋸刃362に付着されたパッド部363を含むことができる。
【0165】
上記パッド部363は、振動防止パッド363a、上記振動防止パッド363aにクランプ力を加える第1及び第2の磁石363b、363c、上記第2の磁石363cの移動をガイドするガイド部材、上記第1及び第2の磁石363b、363cの間の距離を調整する調整ねじ363e、及び上記調整ねじ363eと結合するカバーケース363fを含むことができる。
【0166】
上記第1の磁石363bの内周の直径は上記第2の磁石363cの内周の直径より小さければよい。また、上記第1の磁石363bの外周の直径は上記第2の磁石363cの外周の直径より大きければよい。
【0167】
上記ガイド部材は、上記第1の磁石363bの内周面及び外周面に固定設置される第1及び第2のガイドリング363k、363l、及び上記第2の磁石363cの内周面及び外周面に固定設置される第3及び第4のガイドリング363m、363nを含むことができる。ここで、上記第1から第4のガイドリング363k、363l、363m、363nは上記丸鋸刃362の表面に垂直であり得る。また、上記第1のガイドリング363kの直径は上記第3のガイドリング363mの直径より小さければよい。また、上記第2のガイドリング363lの直径は上記第4のガイドリング363nの直径より大きければよい。したがって、上記第2の磁石363cは、上記第1から第4のガイドリング363k、363l、363m、363nの形状によって、上記丸鋸刃362の垂直な方向で移動することができる。
【0168】
一方、上記鋸刃部361は、金属板を切断する過程で上記丸鋸刃362の曲げ変形が発生する可能性がある。しかしながら、上記第1及び第2の磁石363b、363cによる斥力は上記丸鋸刃362を元の状態に復元させることができる。
【0169】
図28及び図29は、図20から22に示されたパッド部363が図3及び4の防振パッドに適用された様子を示すものであり、図28及び図29には、互いに異なる方式で上記磁石363b、363cが適用される様子が示されている。
【0170】
図28では、図3のパッド10(図3a参照)に図20及び図21の上記第1及び第2の磁石363b、363cが適用された様子が示されている。図28に示されているように、パッド固定部560には複数個のパッド部563が配置され、このパッド部563は、振動防止パッド563a、上記振動防止パッド563aにクランプ力を加える第1及び第2の磁石563b、563c、上記第2の磁石563cの移動をガイドするガイド部材563d、及び上記第1及び第2の磁石563b、563cの間の距離を調整する調整ねじ(図示せず)が配置される。
【0171】
図28の実施例において、防振パッドは、複数のパッド部563と上記パッド部563が固定されるパッド固定部560を含み、このとき、パッド固定部560は、上記図9から14の内側防振パッド又は外側防振パッドと同じ形状を有することができる。
【0172】
図29には図28とは異なる実施例が示されており、パッド固定部560に複数個のパッド部563が配置されるという点では同一であるが、一つのパッド部563の各コーナーにそれぞれ第1及び第2の磁石563b、563c及びガイド部材563dが配置されるという点で異なる。
【0173】
このように、パッド部563のコーナーにそれぞれ第1及び第2の磁石563b、563c及びガイド部材563dが配置される場合に、鋸刃部361(図20参照)の微細な変形に対しても対応が可能であるため、鋸刃部361の振動を抑制するのに有利である。
【0174】
以上のように、本発明では、具体的な構成要素などのような特定事項及び限定された実施例及び図面によって説明したが、これは、本発明のより全体的な理解のために提供されたものに過ぎない。本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明の思想は前述の実施例に限定されてはならず、後述の特許請求の範囲、及びこの特許請求の範囲と均等又は等価的な変形のある全てのものは本発明の思想の範囲に属する。
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29