(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態としての粘着剤付き化粧シート(以下、本明細書において、化粧シートという。)は、化粧板層と、粘着剤層とを備える。化粧板層は、化粧層と、結合水を有する珪酸マグネシウム混抄紙を含む混抄紙層とを含む。
粘着剤層は、樹脂成分を含むため、粘着剤層は本質的には高温下で燃焼又は溶融しやすい。しかし、本実施形態の化粧シートは、珪酸マグネシウム混抄紙を有する混抄紙層を備えている。珪酸マグネシウム混抄紙は、自己消火性を有し、炎が広がることを抑える。このため、本実施形態の化粧シートが高温に晒されても、化粧シートが燃えにくく、樹脂成分の溶融を抑えることができ、形状保持性が良い。
【0010】
(A)化粧層
本実施形態において、化粧層としては、熱硬化性樹脂を化粧紙に含浸し乾燥した樹脂含浸化粧紙が用いられる。化粧層に用いられる化粧紙は、例えば、意匠性を有するとよい。化粧層に用いられる熱硬化性樹脂は、例えば、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、或いはこれらの混合樹脂等であってもよい。化粧層に用いられる化粧紙の単位面積当たりの質量は、30〜140g/m
2であるとよい。熱硬化性樹脂は、式1で示される含浸率が80〜300%となるように化粧紙に含浸されることが好ましい。
【数1】
【0011】
(B)コア層
コア層には、繊維質基材を含むプリプレグを1枚又は2枚以上用いる。各プリプレグは、繊維質基材に、バインダー成分を含むスラリーを、含浸、乾燥されていることがよい。更に、各プリプレグは、繊維質基材に、バインダー成分及び吸熱性金属水酸化物を含むスラリーが、含浸、乾燥されて形成されているとよい。
【0012】
プリプレグに用いられる繊維質基材としては、有機繊維基材、無機繊維基材等が挙げられる。有機繊維基材としては、有機成分を含む有機繊維からなる不織布、織物が挙げられる。有機繊維に含まれる有機成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等、又は、これらの変成物;エチレン−酢酸ビニル共重合体等に代表される各種共重合体;或いはこれらの混合物が挙げられる。
無機繊維基材としては、例えば、無機成分を含む無機繊維からなる不織布、織布等が挙げられる。無機繊維に含まれる無機成分としては、例えば、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維等が挙げられる。
【0013】
無機繊維基材を用いた場合は、有機繊維基材を用いた場合よりも、化粧板の不燃性が一層向上する。無機繊維基材の中でも、特に、ガラス繊維を含む不織布を用いた場合は、繊維方向がなく仕上がった化粧板の反りが抑制され、耐熱性、耐炎性、スラリーの含浸性が一層向上する。
【0014】
コア層に用いられている各プリプレグにおいて、無機繊維基材の坪量は、10〜200g/m
2の範囲が好ましい。
コア層を構成する各プリプレグは、繊維質基材に加えて、更に、バインダー成分を含むことがよい。バインダー成分は、例えば、熱可塑性樹脂からなる。
【0015】
バインダー成分は、結着剤としての役割を担う。バインダー成分は、各プリプレグを構成する材料同士、各プリプレグ間、及びプリプレグにより構成されるコア層とコア層に隣接する層とを結着する。
【0016】
バインダー成分は、例えば、熱可塑性樹脂を用いるとよい。コア層のプリプレグは、アクリル樹脂エマルジョンを含むと良い。バインダー成分としての熱可塑性樹脂にはアクリル樹脂エマルジョンが好適に用いられる。特に、ガラス転移温度(Tg)が―20℃以上のアクリル樹脂エマルジョンを用いると、コア層の密着性や成形性が向上するため、より好ましい。その中でも、平均粒子径が150〜300nmのアクリル樹脂エマルジョンを用いると、コア層の結着力、及び化粧板の曲げ加工性や平滑性を一層向上させることができるため、さらに好ましい。平滑性が向上する理由は、アクリル樹脂エマルジョンが微粒子であるためであると推測できる。アクリル樹脂エマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルを主モノマーとして水中で乳化重合または懸濁重合して得られるものであって、使用するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヒドロキシエチルなどのエステルが挙げられる。これらのモノマーに加えて、他の共重合可能なモノマーや多官能モノマーを共重合させてもよい。
【0017】
尚、平均粒子径は、レーザー光回折・散乱式粒子径測定装置(大塚電子株式会社製ELS−8000)を使用し、レーザーの照射時に検出された散乱光に基づいて計算した値である。
【0018】
プリプレグにおいて繊維質基材に含浸されているスラリー中での熱可塑性樹脂の配合割合は、固形分で3〜17質量%とするのが望ましい。熱可塑性樹脂の配合割合が上限以下であることにより、化粧シートの不燃性が一層向上するとともに、化粧シートの熱圧成形時にプリプレグから合成樹脂が染み出したりすることが起こりにくくなる。また、熱可塑性樹脂の配合割合が下限以上であることにより、プリプレグ同士の密着性が一層向上するとともに、繊維質基材へのスラリーの含浸量のコントロールが一層容易になる。
【0019】
コア層中の熱可塑性樹脂の量が単位面積のコア層中の熱可塑性樹脂の重量を算出した値であるとき、コア層中の熱可塑性樹脂の量は、10〜100g/m
2であることがよい。熱可塑性樹脂の量が100g/m
2以下であることにより、化粧板の不燃性が一層向上する。また、熱可塑性樹脂の量が100g/m
2以下であることにより、化粧シートを熱圧成形により製造する場合、熱可塑性樹脂が染み出したりすることが起こりにくくなる。
【0020】
また、コア層中の熱可塑性樹脂の量が10g/m
2以上であることにより、コア層を構成するプリプレグ同士の密着性が一層向上する。また、熱可塑性樹脂の量が10g/m
2以上であることにより、繊維質基材へスラリーを含浸させてコア層を製造する場合、スラリーの含浸量を一層容易にコントロールできる。
【0021】
コア層を構成するプリプレグは、繊維質基材に、上記のバインダー成分に加えて、更に、吸熱性金属水酸化物を含むことがよい。
吸熱性金属水酸化物とは、吸熱反応を生じさせ得る金属水酸化物をいう。吸熱性金属水酸化物は、結晶水を含むものが多い。吸熱性金属水酸化物は、高温時に分解し、水を放出する。吸熱性金属水酸化物の反応は吸熱反応であるため、吸熱性金属水酸化物は燃焼時に温度上昇を抑制する効果がある。コア層が吸熱性金属水酸化物を含むことにより本実施形態の化粧シートの不燃性を向上させる。
【0022】
吸熱性金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、特に水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムが好適に用いられる。繊維質基材に含浸されるスラリーの固形分を100質量%としたとき、スラリー中の吸熱性金属水酸化物の配合割合は、20〜95質量%とすると密着性も良く不燃性能を有する化粧板になる。
【0023】
吸熱性金属水酸化物の平均粒子径は、例えば、1〜50μmの範囲内とすることができる。この平均粒子径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)により検出された粒度分布(体積分布)から算出された算術平均径である。吸熱性金属水酸化物の平均粒子径が上記の範囲内であることにより、スラリー中での吸熱性金属水酸化物の分散性が向上し、スラリーの繊維質基材への含浸性が向上する。また、化粧板の表面が平滑な仕上がりとなる。
【0024】
コア層中の吸熱性金属水酸化物の量が単位面積のコア層中の吸熱性水酸化物の重量を算出した値であるとき、コア層中の吸熱性金属水酸化物の量は、50〜600g/m
2の範囲内が好ましい。この範囲内であることにより、コア層を構成するプリプレグ同士の密着性を高め、また、化粧シートの不燃性を向上させることができる。
【0025】
前記のコア層用のスラリーには、他に、吸熱性金属水酸化物以外の無機充填材、シランカップリング剤、難燃剤などを含んでもよい。
吸熱性金属水酸化物以外の無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、シリカ、タルク、フライアッシュ等が挙げられる。無機充填材の平均粒子径がレーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)により検出された粒度分布(体積分布)から算出された算術平均径で算出された値であるとき、無機充填材の平均粒子径は、例えば、0.05〜20μmの範囲内とすることができる。この場合、スラリーの繊維質基材への含浸性が一層向上する。
【0026】
無機充填材の中でも、特に、炭酸塩、例えば炭酸カルシウムを選択することがよい。この場合、化粧シートの製造工程における作業性、切削性が一層向上する。炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム(沈降性炭酸カルシウム)等を用いることができる。炭酸カルシウムの平均粒子径は、例えば、0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmとすることができる。炭酸カルシウムの平均粒子径を0.05μm以上とすることにより、スラリー中で炭酸カルシウムの凝集が生じにくくなり、スラリーの繊維質基材への含浸性が向上する。また、炭酸カルシウムの平均粒子径を10μm以下とすることにより、化粧板の表面が一層平滑となり、外観が向上する。
【0027】
軽質炭酸カルシウムとは石灰石を焼成し化学的に製造される炭酸カルシウムを意味する。重質炭酸カルシウムとは白色結晶質石灰石を乾式又は湿式粉砕して造った微粉炭酸カルシウムを意味する。
【0028】
コア層を構成するプリプレグに含まれる全無機充填材中に占める吸熱性金属水酸化物の配合割合は30〜100質量%とすることができる。この範囲内の場合、粘着剤層を設ける前の化粧板、及び化粧シートの不燃性及び切削性が一層向上する。
【0029】
本実施形態の化粧シートにおいて、コア層を構成するプリプレグを製造するために繊維質基材に含浸されるスラリーはシランカップリング剤を含むことができる。この場合、スラリーがシランカップリング剤を含む場合には、シランカップリング剤を含まない場合よりも、日本工業規格JIS K−6902「熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法」の耐煮沸性において、プリプレグの重量増加率が一層小さくなり、また、プリプレグと混抄紙層との密着性が一層向上する。コア層を構成するプリプレグにおけるシランカップリング剤の配合割合は、固形分換算でスラリー全成分中の0.1〜10質量%の範囲にする。
【0030】
シランカップリング剤としては、例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン等が挙げられる。特に、エポキシ基含有シランやアミノ基含有シランを用いると、プリプレグにおける架橋密度が一層向上する。
【0031】
コア層が含むシランカップリング剤の量が、単位面積のコア層が含むシランカップリング剤の重量を算出した値であるときに、シランカップリング剤の量は、1〜20g/m
2の範囲内が好ましい。この範囲内であることにより、上述したシランカップリング剤による効果が一層顕著になる。
【0032】
コア層は、難燃剤を含むことがよい。難燃剤は、プリプレグを形成するためのスラリーに含めて用いられる。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、リン・窒素系難燃剤が好適に用いられる。リン系難燃剤としては、リン酸エステル、含リンポリオール、含リンアミン、窒素系難燃剤としてはメラミンシアヌレート、トリアジン化合物、グアニジン化合物、リン・窒素系難燃剤としてリン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素が挙げられる。リン・窒素系難燃剤はリン系難燃剤と窒素系難燃剤との機能を併せ持つ化合物で、一分子中にリン原子と窒素原子とを共に有し、高温に曝されるとリンは強い脱水作用で酸素を遮断し、窒素はアンモニアガス等を発生し、酸素の遮断が行えるために、断熱・難燃効果が向上してプリプレグを燃えにくいものにする。難燃剤における全窒素含有割合が1〜50質量%のものが好ましい。難燃剤の配合割合は、固形分換算でスラリー全成分中0.1〜15質量%の範囲にする。化粧層中の熱硬化性樹脂がアミノ−ホルムアルデヒド樹脂とりわけメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である場合、コア層に含まれることがある難燃剤は、窒素系難燃剤がよい。コア層と化粧層との接着強度が向上するからである。
【0033】
コア層中の難燃剤の量が、単位面積のコア層中の難燃剤の重量を算出した値であるとき、難燃剤の量は、1〜100g/m
2の範囲内が好ましい。この範囲内であることにより、上述した難燃剤による効果が一層顕著になる。
コア層において、繊維質基材にスラリーを含浸する際は、式1で示される方法で算出された含浸率が500〜1200%の範囲になるように含浸し、乾燥するとよい。含浸率が1200%以下であることにより、プリプレグからのスラリー固形分の脱落を防ぎ、プリプレグを取り扱い易くなる。含浸率が500%以上であることにより、プリプレグの層間剥離が生じにくくなる。
【0034】
(C)混抄紙層
本実施形態において、混抄紙層は、結合水を有する珪酸マグネシウム混抄紙を有する。結合水を有する珪酸マグネシウム混抄紙とは、結合水を有する珪酸マグネシウム化合物を含む混抄紙をいう。珪酸マグネシウム混抄紙としては、例えば、結合水を有する珪酸マグネシウム化合物とパルプとを混合して抄くことで形成された混抄紙がある。
【0035】
結合水を有する珪酸マグネシウム化合物としては、含水珪酸マグネシウム[Mg
8Si
12O
30(OH
2)
4(OH)
4 6〜8H
2O](セピオライト)、含水珪酸マグネシウム[Mg
3Si
4O
10(OH)
2](タルク)、含水珪酸マグネシウムアルミニウム[Mg
5Si
8O
20(OH)
2(H
2O)
4・4H
2O](アタパルジャイト)、含水珪酸マグネシウムアルミニウム[(Mg,Fe,Al)
3(Al,Si)
4O
10(OH)
2・4H
2O](バーミキュライト)などが挙げられる。特にセピオライトが不燃性、耐水性に優れ好ましい。
【0036】
珪酸マグネシウム混抄紙を100質量%としたとき、珪酸マグネシウム化合物の含有量が40〜95質量%のものが好ましく、55〜85質量%のものがより好ましい。珪酸マグネシウム化合物の含有量が40質量%未満では珪酸マグネシウム混抄紙の不燃性能が低下しやすく、95質量%を超えると珪酸マグネシウム混抄紙の引っ張り強度等の紙力が低下しやすくなるおそれがある。
【0037】
本実施形態において、混抄紙層は、珪酸マグネシウム混抄紙を基材として有しているとよい。混抄紙層は、珪酸マグネシウム混抄紙に熱硬化性樹脂を有する樹脂液を含浸し、乾燥して形成した熱硬化性樹脂含浸紙を用いるとよく、または、珪酸マグネシウム混抄紙に難燃剤を含浸し、乾燥して形成した難燃剤含浸紙を用いることがよい。熱硬化性樹脂含浸紙又は難燃剤含浸紙を用いることによりバランスに富み、しかも仕上がった化粧板の反りを抑制することができる。熱硬化性樹脂含浸紙又は難燃剤含浸紙に用いられる繊維質基材は、耐熱性を有することがよい。
【0038】
熱硬化性樹脂含浸紙に用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−アルデヒド樹脂、ビニルエステル樹脂がよい。
アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は、メラミン、尿素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合によって得ることができる。
【0039】
フェノール−アルデヒド樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、フェノール性水酸基1モルに対してアルデヒド類1〜1.3モルの割合で、塩基性触媒下にて反応させて得られるものである。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等が挙げられる。
【0040】
また、アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキザール等が挙げられる。
また、フェノール−アルデヒド樹脂は、必要に応じて、パラスルフォンアミド、桐油、リン酸エステル類、グリコール類等の、可塑化を促す変性剤で変性された変性フェノール−アルデヒド樹脂であってもよい。
【0041】
塩基性触媒としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物が挙げられる。また、他の塩基性触媒として、例えば、及びトリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、アンモニア等が挙げられる。
【0042】
ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とをエステル化触媒を用いて反応して得られ、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールAとエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0043】
不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、ソルビン酸あるいはモノ(2−エチルヘキシル)マレートなどが挙げられ、多塩基酸を併用しても良い。不飽和一塩基酸と併用される多塩基酸としては、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,12−ドデカン二酸の他ダイマー酸などが挙げられる。
【0044】
エステル化触媒としては、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリブチルアミン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;塩化リチウム、塩化クロム等の無機塩;2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;テトラメチルホスフォニウムクロライド、ジエチルフェニルプロピルホスフォニウムクロライド、トリエチルフェニルホスフォニウムクロライド、ベンジルトリエチルフェニルホスフォニウムクロライド、ジベンジルエチルメチルホスフォニウムクロライド、ベンジルメチルジフェニルホスフォニウムクロライド、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド等のホスフォニウム塩;第二級アミン類;テトラブチル尿素;トリフェニルホスフィン;トリトリールホスフィン;トリフェニルスチビン等が挙げられる。
【0045】
混抄紙層を形成するにあたって珪酸マグネシウム混抄紙に難燃剤を含浸する際は、前記コア層に用いる難燃剤と同様の難燃剤を用いることができる。混抄紙層は難燃剤を含むとよく、特に、窒素系難燃剤、又はリン・窒素系難燃剤がよい。
【0046】
窒素系難燃剤としてはメラミンシアヌレート、トリアジン化合物、グアニジン化合物、リン・窒素系難燃剤としてリン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素が挙げられる。リン・窒素系難燃剤はリン系難燃剤と窒素系難燃剤との機能を併せ持つ化合物で、一分子中にリン原子と窒素原子とを共に有し、高温に曝されるとリンは強い脱水作用で酸素を遮断し、窒素はアンモニアガス等を発生し、酸素の遮断が行えるために、断熱・難燃効果が向上してプリプレグを燃えにくいものにする。難燃剤における全窒素含有割合が1〜50質量%のものが好ましい。難燃剤の配合割合は、固形分換算でスラリー全成分中0.1〜15質量%の範囲にする。化粧層中の熱硬化性樹脂がアミノ−ホルムアルデヒド樹脂とりわけメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である場合、
混抄紙層に含まれることがある難燃剤は、窒素系難燃剤がよい。
混抄紙層と化粧層との接着強度が向上するからである。
【0047】
混抄紙層中の熱硬化性樹脂或いは窒素系難燃剤、又はリン・窒素系難燃剤の含有量が、単位面積の混抄紙層が含む熱硬化性樹脂或いは窒素系難燃剤、熱硬化性樹脂の重量を算出した値であるとき、熱硬化性樹脂或いは窒素系難燃剤、又はリン・窒素系難燃剤の含有量は9〜90g/m
2とするとよい。この範囲であれば化粧シートの反りを抑制でき、化粧シートの可撓性に優れる。前記熱硬化性樹脂の中でもビニルエステル樹脂が曲げ加工性に優れることから好ましい。尚、含有量は固形分値である。
【0048】
珪酸マグネシウム混抄紙としては、パルプと、結合水を有する珪酸マグネシウム化合物を有するスラリーを抄紙し脱水、乾燥することで製造される。例えば、珪酸マグネシウム混抄紙の製造に用いられたスラリーは、凝集バインダー、薬剤、有機繊維、無機繊維、定着剤などが添加されていてもよい。スラリーを抄紙にするためには、スラリーを丸網抄紙機、長網多筒型抄紙機、長網−円網コンビネーション抄紙機、傾斜抄紙機などを用いるとよい。珪酸マグネシウム混抄紙の坪量は、60〜400g/m
2であるとよい。このようにして得られた珪酸マグネシウム混抄紙は、自己消火性を有し、炎が広がることを抑えることができる。パルプは木材パルプ、木綿パルプ、植物繊維パルプ等の天然パルプが挙げられるが、特に広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプなどの繊維長が短い木材パルプを化学的に処理したケミカルパルプを用いると紙力強度があり、含浸性に優れ好ましい。広葉樹晒クラフトパルプと針葉樹クラフトパルプは併用してもよく、また、晒、未晒のいずれでもよい。
【0049】
粘着剤層は粘着剤を有する。粘着剤層は、粘着剤だけでなく離型紙も有していてもよい。粘着剤の表面は離型紙により被覆されていてもよい。粘着剤としては、例えば、アクリル重合体と粘着付与剤とを含有するアクリル系粘着剤;スチレン−ブタジエンを含有する溶剤ゴム系の粘着剤が挙げられる。ここで、アクリル系粘着剤のアクリル重合体を構成する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。ここに、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。また、粘着付与剤としては、ロジン系、テルペン系、フェノール系、クマロン系などの粘着付与剤が挙げられる。離型紙にはシリコーン離型剤を塗布加工した公知の離型紙が用いられる。粘着剤層は、厚みが50〜180μmであれば粘着力を発揮する。
【0050】
本実施形態の化粧シートは、化粧板層と、化粧板層の裏面に設けた粘着剤層とを備える。化粧板層は、化粧層と、混抄紙層とを有する。化粧板層は、化粧層と、混抄紙層とのみから構成されていてもよい。混抄紙層は、化粧層の裏面側に設けられるとよい。
【0051】
本実施形態において、化粧板層は、(A)化粧層と、(B)繊維質基材を含むプリプレグからなるコア層と、(C)混抄紙層とを含むとよい。この場合、(C)混抄紙層は、バランス層であるとよい。バランス層は、化粧板層の平滑性を高め、反りを抑制する。化粧層は比較的硬く、コア層は比較的柔らかい材質であることが多い。バランス層は、化粧層とコア層の中間の硬さをもつことがよい。この場合には、化粧シートの反りを抑えることができる。混抄紙層は、紙を基材として用いているため、コア層の繊維質基材がガラス繊維である場合には、混抄紙層を化粧シートに設けることにより化粧シートの表面平滑性を向上させることができる。このようなバランス層による化粧シートの表面平滑性及び反り抑制効果は、化粧板層が、(A)化粧層と(C)バランス層から構成されている場合、(A)化粧層、(B)コア層、(C)バランス層の積層順の場合、(A)化粧層、(C)バランス層、(B)コア層の積層順の場合のいずれの場合にも、発揮され得る。
【0052】
化粧層の厚みは、0.05mmから0.15mmがよい。化粧層の厚みが0.05mmから0.15mmの場合には、化粧板層の化粧層以外の層の厚み、即ち混抄紙層、及び必要に応じてコア層の合計厚みは、0.15mmよりも大きく1.8mm以下がよく、さらには0.2mm以上1.3mm以下であることが好ましい。化粧層は比較的硬い熱硬化性樹脂を含む。熱や湿気などにより化粧層が収縮応力などの変形力が働いたときに、混抄紙層、及び必要に応じてコア層はこれら自身の厚みによって、化粧層の変形を抑えるように働き、化粧シートの反りなどの変形を抑制できる。
【0053】
上記の化粧シートは、化粧層と、混抄紙層と、コア層とを積層して、平板プレス、連続プレス等のプレス機で熱圧成形して得られるとよい。
化粧板層の裏面に粘着剤層を設けるにあたっては、化粧板層を製造した後、化粧板層の裏面に、粘着剤層を圧着、ラミネートするとよい。
【0054】
図1に示すように、本実施形態の化粧シート7は、化粧板層6と、化粧板層6の裏面に設けられた粘着剤層5とを備える。化粧板層6は、下から順に、(B)コア層3、(C)バランス層2、及び(A)化粧層1が積層されて形成されていることが好ましい。化粧板層6がこのような積層構造である場合には、(B)コア層3の素材の色が化粧板層6の表面に現れにくい、すなわち平滑性に優れるという利点がある。
【0055】
図2に示すように、化粧板層6は、下から順に、(C)バランス層2、(B)コア層3、(C)バランス層2、及び(A)化粧層1が積層されて形成されていることが好ましい。この場合には、化粧シート8の厚みが厚くなる分曲げ加工性がやや劣るものの、化粧シート8のハンドリング性が向上し、化粧シート8が取扱時に破損しにくくなる。
【0056】
図3に示すように、化粧板層6は、下から順に、(C)バランス層2、(B)コア層3、(A)化粧層1が積層されて形成されていても良い。
本実施形態の化粧シートの厚みは0.2〜2.0mmであることが好ましい。この範囲内である場合、化粧シートの反りを一層抑制することができる。特に化粧シートの厚みが0.2〜0.8mmである場合、常温での曲げ加工性にも優れる。
【0057】
以下、本開示について実施例、比較例を挙げて詳細に説明する。
【実施例1】
【0058】
(A)化粧層(メラミン樹脂含浸
化粧紙)
坪量100g/m
2の木目柄の印刷を施した化粧紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を、数1で定義される算出方法で含浸率が130%となるように含浸し、乾燥してメラミン樹脂含浸
化粧紙を製造した。
【0059】
(B)コア層
ガラス繊維布基材プリプレグの製造(質量部は固形分換算値である)
バインダーとして、ガラス転移温度(Tg)が60℃で、2−エチルヘキシルアクリレートとメチルメタアクリレートを主モノマーとする平均粒子径が200nmのアクリル樹脂エマルジョン(品番RAX−208、アイカ工業株式会社製)を32質量部、
吸熱性金属水酸化物として、平均粒子径8μmの水酸化アルミニウムを300質量部、
シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを2.7質量部、及び
難燃剤として、リン酸グアニジン(アピノン303、三和ケミカル株式会社製、全窒素含有量39%)を29質量部
混合した。この混合物に水を加えてスラリーを得た。繊維質基材として、坪量40g/m
2のガラス繊維不織布を用いて式1で定義される算出方法で含浸率が850%となるようにスラリーを含浸し、乾燥してガラス繊維布基材プリプレグを製造した。
【0060】
(C)バランス層(混抄紙層)
坪量180g/m
2の珪酸マグネシウム混抄紙(商品名:GP−18、タイガレックス株式会社製、含水珪酸マグネシウム(セピオライト)80質量%、パルプ10質量%、ガラス繊維5質量%、及び有機バインダー5質量%)を準備した。珪酸マグネシウム混抄紙に、難燃剤としてリン酸グアニジン(アピノン307、三和ケミカル株式会社製、全窒素含有量31%)を、式1で定義される算出方法で含浸率が20%(単位面積当たり36g/m
2)となるように含浸し、乾燥して、リン酸グアニジン含浸混抄紙を製造した。
【0061】
化粧シート(粘着剤付き)の製造
下から順に、(B)コア層としてのガラス繊維布基材プリプレグを1枚、(C)バランス層としてのリン酸グアニジン含浸混抄紙を1枚、(A)化粧層としてのメラミン樹脂含浸
化粧紙を1枚積層して、平板プレス機で、温度132℃、圧力70kgf/cm
2、時間64分で熱圧成形して厚み0.48mmの化粧板を得た。シリコーン離型紙の上にアクリル樹脂を主成分とするアクリル系粘着剤が塗布された厚み136μmの粘着シート(日栄化工株式会社製)を準備した。化粧板のコア層側(裏面)に粘着シートを貼着して化粧シートを得た。
【実施例2】
【0062】
実施例2の化粧シートは、バランス層において、実施例1で用いたリン酸グアニジン含浸混抄紙の代わりに、ビニルエステル樹脂を主成分とする樹脂液を含浸し、乾燥したビニルエステル樹脂含浸混抄紙を1枚用いた以外は、実施例1と同様に製造された。
【0063】
尚、ビニルエステル樹脂を主成分とする樹脂液の組成はビスフェノール系ビニルエステル61−65%、メタクリルモノマー13−17%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20%(希釈剤)、アクリル酸2%である。
【実施例3】
【0064】
実施例3の化粧シートは、粘着剤層に用いられるアクリル系粘着シート(日栄化工株式会社製)の厚みが80μmであること以外は、実施例1と同様である。
【実施例4】
【0065】
実施例4の化粧シートは、粘着剤層に用いられるアクリル系粘着シート(日栄化工株式会社製)の厚みが50μmであること以外は、実施例1と同様である。
【実施例5】
【0066】
実施例5の化粧シートは、粘着剤層において、実施例1で用いたアクリル系粘着剤が塗布された厚み136μmの粘着シートの代わりに、溶剤ゴム系粘着剤(スチレン−イソプレンブロック共重合体)が塗布された厚み140μmの粘着シート(日栄化工株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例6】
【0067】
実施例6の化粧シートは、バランス層において、実施例1で用いた180g/m
2の珪酸マグネシウム混抄紙の代わりに、120g/m
2の珪酸マグネシウム混抄紙(商品名:GP−12、タイガレックス株式会社製、含水珪酸マグネシウム(セピオライト)80質量%、パルプ10質量%、ガラス繊維5質量%、及び有機バインダー5質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様である。
【実施例7】
【0068】
実施例7の化粧シートは、バランス層において、実施例1で用いた180g/m
2の珪酸マグネシウム混抄紙の代わりに、350g/m
2の珪酸マグネシウム混抄紙(商品名:GP−35、タイガレックス株式会社製、含水珪酸マグネシウム(セピオライト)80質量%、パルプ10質量%、ガラス繊維5質量%、及び有機バインダー5質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様である。
【実施例8】
【0069】
実施例8の化粧シートは、化粧板層の積層構造が、下から順に、(C)バランス層、(B)コア層、及び(A)化粧層を積層した構造である点を除いて、実施例1と同様である。
【実施例9】
【0070】
実施例9の化粧シートは、化粧板層の積層構造が、下から順に、(C)バランス層、(B)コア層、(C)バランス層、及び(A)化粧層を積層した積層構造である点を除いて、実施例1と同様である。本実施例において2つの(C)バランス層は、いずれも実施例1で用いた(C)バランス層と同様である。
【実施例10】
【0071】
実施例10の化粧シートは、コア層用のスラリーのバインダー成分であるアクリル樹脂エマルジョン(品番RAX−208、アイカ工業株式会社製)の配合量を17質量部とした以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例11】
【0072】
実施例11の化粧シートは、コア層用のスラリーのバインダー成分であるアクリル樹脂エマルジョン(品番RAX−208、アイカ工業株式会社製)の配合量を58質量部とした以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例12】
【0073】
実施例12の化粧シートは、実施例1においてコア層用のスラリーのバインダー成分として用いられているアクリル樹脂エマルジョン(品番RAX−208、アイカ工業株式会社製)に代えて、ガラス転移温度(Tg)が―20℃で、ブチルアクリレートとメチルメタアクリレートを主モノマーとする平均粒子径が230nmのアクリル樹脂エマルジョン(品番CMX−43、アイカ工業株式会社製)を32質量部用いた以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例13】
【0074】
実施例13の化粧シートは、実施例1においてコア層用のスラリーのバインダー成分として用いられているアクリル樹脂エマルジョン(品番RAX−208、アイカ工業株式会社製)に代えて、ガラス転移温度(Tg)が47℃で、エチルアクリレートとメチルメタアクリレートを主モノマーとする平均粒子径が225nmのアクリル樹脂エマルジョン(品番ANX−150、アイカ工業株式会社製)を32質量部用いた以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例14】
【0075】
実施例14の化粧シートは、コア層用のスラリー中の水酸化アルミニウムの配合量を600質量部とした以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例15】
【0076】
実施例15の化粧シートは、コア層用のスラリーの水酸化アルミニウムの配合量を100質量部とし、更に、コア層用のスラリーに吸熱性金属水酸化物以外の無機充填材として、平均粒子径1μmの重質炭酸カルシウムを100質量部配合した以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例16】
【0077】
実施例16の化粧シートは、コア層用のスラリーの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)の配合量を1.8質量部とした以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例17】
【0078】
実施例17の化粧シートは、コア層用のスラリーの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの配合量を18質量部とした以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例18】
【0079】
実施例18の化粧シートは、コア層用のスラリーのリン酸グアニジン(難燃剤)の配合量を3.5質量部とした以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例19】
【0080】
実施例19の化粧シートは、コア層用のスラリーのリン酸グアニジンの配合量を35質量部とした以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例20】
【0081】
実施例20の化粧シートは、実施例1において用いたコア層用のシランカップリング剤としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに代えて、3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いた以外は、実施例1と同様に製造された。実施例20のコア層用のプリプレグにおけるシランカップリング剤の配合量は、実施例1と同様である。
【実施例21】
【0082】
実施例21の化粧シートは、実施例1において用いたコア層用のリン・窒素系難燃剤としてのリン酸グアニジンに代えて、リン酸グアニル尿素を用いた以外は、実施例1と同様に製造された。リン酸グアニル尿素は、三和ケミカル株式会社製の商品名アピノン−405である。リン酸グアニル尿素は全窒素28%である。実施例21のコア層用のプリプレグ中のグアニル尿素系難燃剤の配合量は、実施例1と同様である。
【実施例22】
【0083】
実施例22の化粧シートは、バランス層のリン酸グアニジンの含浸率を5%とした以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例23】
【0084】
実施例23の化粧シートは、バランス層のリン酸グアニジンの含浸率を50%とした以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例24】
【0085】
実施例24の化粧シートは、実施例1において用いたバランス層用の含浸樹脂としてのリン酸グアニジンに代えて、メラミン樹脂を主成分とする含浸樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例25】
【0086】
実施例25の化粧シートは、実施例1において用いたバランス層用の含浸樹脂としてのリン酸グアニジンに代えて、フェノール樹脂を主成分とする含浸樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に製造された。
【実施例26】
【0087】
実施例26の化粧シートは、下から順に、(C)バランス層、(C)バランス層、及び(A)化粧層を積層した積層構造を有する点を除いて、実施例1と同様である。2層のバランス層は、いずれも同じであり、いずれも実施例1と同様のセピオライト混抄紙を用いた。
【実施例27】
【0088】
実施例26の化粧シートは、下から順に、(C)バランス層、及び(A)化粧層を積層した積層構造を有する点を除いて、実施例1と同様である。
比較例1
比較例1の化粧シートは、実施例2において用いたバランス層の繊維質基材として180g/m
2の珪酸マグネシウム混抄紙の代わりに、110g/m
2の水酸化アルミニウム混抄紙(商品名:サンウォール、三善製紙社製、水酸化アルミニウム混抄割合69質量%)を用いた以外は、実施例2と同様に製造された。
【0089】
比較例2
比較例2の化粧シートは、バランス層を用いなかった以外は、実施例1と同様に製造された。比較例2の化粧シートは、凸状の湾曲(カール)が激しかった。
【0090】
比較例3
比較例3においては、化粧層としてメラミン樹脂含浸
化粧紙を1枚、コア層としてフェノール樹脂含浸コア紙を2枚積層して、実施例1と同様の熱圧成形条件で厚み0.56mmの化粧板を得た。コア層用のフェノール樹脂含浸コア紙は、クラフト紙にフェノール樹脂を含浸し、乾燥したものである。化粧板のコア層側には、実施例1と同様の粘着シートを貼着して、比較例3の化粧シートを得た。比較例3の化粧シートは、凸状の湾曲(カール)が激しかった。
【0091】
比較例4
比較例4の化粧シートは、実施例1において用いたバランス層用の180g/m
2の含水珪酸マグネシウム混抄紙の代わりに、110g/m
2の水酸化アルミニウム混抄紙(商品名:サンウォール、三善製紙社製、水酸化アルミニウム混抄割合69質量%)を用いた以外は、実施例1と同様に製造された。
【0092】
上記の実施例及び比較例のコア層用のスラリーの組成を表1に示す。
【0093】
【表1】
上記の実施例及び比較例のコア層用の各成分の配合量を表2に示す。
【0094】
【表2】
上記の実施例及び比較例のバランス層の内容を表3に示す。表3において、「基材」の欄には、バランス層に用いられた繊維質基材を示し、「坪量」の欄にはバランス層に用いられた繊維質基材の坪量を示し、「含浸樹脂」の欄にはバランス層に用いられる繊維質基材に含浸された難燃剤及び熱硬化性樹脂の成分名を示し、「含浸率」の欄にはバランス層に用いられた難燃剤及び熱硬化性樹脂について式1で定義された算出方法で算出した含浸率を示し、「含浸量」の欄にはバランス層に用いられた難燃剤及び熱硬化性樹脂の単位面積当たりの重量を示す。
【0095】
【表3】
上記の実施例及び比較例の化粧板の層構成を表4に示す。表4は、右側の欄から左側の欄に向けて、下側の層から順次上側に積層された積層順に各層を示す。
【0096】
【表4】
表4中Phコア紙とはフェノール樹脂含浸コア紙をいう。
【0097】
上記の実施例及び比較例の粘着剤層の構成を表5に示す。表5において、「種類」は粘着剤層に用いられた粘着剤の成分を示し、「粘着総厚」は離型紙に粘着剤が塗布されて形成された粘着シートのうち、粘着剤部分の厚みを示す。
【0098】
【表5】
上記の実施例及び比較例の化粧シートの評価結果を表6に示す。
【0099】
【表6】
上記の実施例及び比較例の化粧シートの評価方法は以下の通りとした。
【0100】
(1)厚み
粘着シートを貼着する前の化粧板の厚みをマイクロメーターで測定した。
不燃性
(2)総発熱量
粘着シートを貼着する前の化粧板、及び粘着シートを貼着した後の化粧シートを試験体として試験に供した。各試験体に対して、ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる20分試験の発熱性試験を行った。
(3)形状保持
各試験体について、ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる20分試験の発熱性試験を行った。各試験体について当該試験を行ったときの、各試験体の総発熱量が8MJ/m
2以下であり、各試験体の最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/m
2を超えず、試験後の試験体において裏面まで貫通する割れ、ひび等がない(形状が保持されている)場合を○とした。試験後の試験体に割れ、ひびが有る(形状が保持されていない)場合を×とし、化粧シート全体が燃焼して何も残らなかった場合を××とした。実施例1の試験後の化粧シートの写真を、
図4に示した。比較例4の試験後の化粧シートの写真を、
図5に示した。
【0101】
(4)化粧シートの粘着力
化粧シートから、300mm×150mmの大きさの断片を切り出した。断片からシリコーン離型紙を剥がして粘着剤層を露出させた。化粧シートの粘着剤層表面に厚さ2mmのアルミ板とを貼り合わせた。さらに、アルミ板の上で、重さ2kgのハンドローラーを2往復させた。以上の工程により生じたものを試験体とする。試験体のうち、化粧シートの化粧層側の面を、40mm×40mmの治具に、接着剤(シアノアクリレート)を用いて貼り合わせた。
温度23℃、相対湿度50%で1日養生後、建研式接着力試験機(オックスジャッキ株式会社製)を用いて、試験体に対し、アルミ板と粘着剤層とが離れる方向の力を加え、引張り強度を測定した。引張り強度の値を、粘着力の測定値とした。
【0102】
上記の試験結果から、すべての実施例及び比較例の化粧シートは、粘着シートを貼着する前の化粧板よりも、総発熱量が高くなった。しかし、実施例1〜27の化粧シートは、総発熱量が8MJ/m
2以下であり、現在の日本の建築基準法の不燃試験基準をクリアした。実施例1〜27の化粧シートは、発熱性試験後でも燃焼することなく、しかも、形状を保持した。
【0103】
一方、比較例1,2,4の化粧シートは、発熱性試験により形状が変形した。比較例1、4では、バランス層に水酸化アルミニウム混抄紙を用いており、実施例1から27のように珪酸マグネシウム(セピオライト)混抄紙を用いていなかったため試験により形状が変形したと考えられる。比較例2では、実施例1から27のように珪酸マグネシウム(セピオライト)混抄紙を有するバランス層を備えていなかったため、試験により形状が変形したと考えられる。
【0104】
比較例3の化粧シートでは、発熱性試験によりすべて燃焼した。比較例3の化粧シートは、総発熱量が8MJ/m
2を超えており、現在の日本の建築基準法の不燃試験基準をクリアするものではなかった。比較例3の化粧シートは、実施例1から27のように珪酸マグネシウム(セピオライト)混抄紙を有するバランス層を備えておらず、しかも、コア層にクラフト紙を使用した点、及びコア層に難燃剤を含んでいなかったため、試験により燃焼したと考えられる。