特許第6283774号(P6283774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6283774-新規ジフェニルメタン保護剤 図000039
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6283774
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】新規ジフェニルメタン保護剤
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20180208BHJP
   C07K 1/06 20060101ALI20180208BHJP
   C07B 51/00 20060101ALN20180208BHJP
【FI】
   C07F7/18 WCSP
   C07F7/18 E
   C07F7/18 F
   C07F7/18 H
   C07F7/18 M
   C07F7/18 N
   C07F7/18 P
   C07K1/06
   !C07B51/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2017-557216(P2017-557216)
(86)(22)【出願日】2017年6月19日
(86)【国際出願番号】JP2017022525
【審査請求日】2017年11月2日
(31)【優先権主張番号】特願2016-121986(P2016-121986)
(32)【優先日】2016年6月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-219631(P2016-219631)
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 真也
(72)【発明者】
【氏名】窪田 秀樹
【審査官】 斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−500740(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01510522(EP,A1)
【文献】 特開昭61−091193(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/038650(WO,A1)
【文献】 REGISTRY(STN) [online],2008年6月10日,(検索日:2017年11月26日),CAS登録番号:1027024-00-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F7/18
C07B51/00
C07K1/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、Yは−OR19(ここでR19は水素原子、活性エステル型カルボニル基又は活性エステル型スルホニル基を示す)、−NHR20(ここで、R20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、アジド、ハロゲン原子、=N−OH、又は=Oを示し(ここで、Yが−OR19、−NHR20、アジド又はハロゲン原子の時、Yが結合する原子団は−CH−を示す)、R1〜R10のうちの少なくとも1個は式(2)
【化2】
で表される基を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し;
11は炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し;
XはO又はCONR21(ここでR21は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し;
Aは式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)
【化3】
(ここで、R12、R13及びR14は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R15は単結合又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R16、R17及びR18はそれぞれ、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す)で表される基を示す(ただし、Yが=Oであり、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R9及びR10が水素原子であり、R3及びR8が3−t−ブチルジメチルシリルオキシプロポキシ基である場合を除く))
で表されるジフェニルメタン化合物。
【請求項2】
Yが−OR19(ここでR19は水素原子を示す)、−NHR20(ここでR20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、アジド、ハロゲン原子、=N−OH、又は=Oである請求項1記載のジフェニルメタン化合物。
【請求項3】
Yが−OR19(ここでR19は水素原子又は活性エステル型保護基を示す)、−NHR20(ここでR20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、アジド、ハロゲン原子、又は=N−OHである請求項1記載のジフェニルメタン化合物。
【請求項4】
Yが−OR19(ここでR19は水素原子を示す)、−NHR20(ここでR20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、アジド、ハロゲン原子、又は=N−OHである請求項1記載のジフェニルメタン化合物。
【請求項5】
1〜R5のうち少なくとも1個及びR6〜R10のうち少なくとも1個が式(2)で表される基であり、残余が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である請求項1〜4のいずれか1項記載のジフェニルメタン化合物。
【請求項6】
11が炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である請求項1〜5のいずれか1項記載のジフェニルメタン化合物。
【請求項7】
11が炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である請求項1〜6のいずれか1項記載のジフェニルメタン化合物。
【請求項8】
15が単結合又はメチレン基であり、R16、R17及びR18がメチレン基である請求項1〜7のいずれか1項記載のジフェニルメタン化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載のジフェニルメタン化合物からなるカルボキシ基、水酸基、ジオール基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基の保護剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシ基、水酸基、ジオール基、アミノ基、アミド基、メルカプト基等の保護剤として有用な新規ジフェニルメタン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチド合成や種々の化合物の合成において、カルボキシ基、水酸基、ジオール基、アミノ基、アミド基やメルカプト基等の官能基を保護して反応させる必要が生じることがある。そのような保護基としては、簡便な方法により保護ができ、かつ穏和な条件で脱離できるものが望まれる。例えば、カルボキシ基の保護基としては、ベンジルエステル(Bn)、tert−ブチルエステル等が知られている。また、最近、ベンジルアルコール系化合物やジフェニルメタン系化合物が保護基として有用であることが報告されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/029794号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2010/113939号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の保護基で官能基を保護した化合物は、析出しやすい欠点があった。特にペプチド合成においては有機溶媒にも不溶になってしまうため、反応後の化合物の分離、精製が困難になることがしばしばであった。この分離、精製の困難性は、縮合反応が連続して行なわれるペプチド合成においては大きな問題であった。
【0005】
従って、本発明の課題は、官能基を保護した化合物を固体化又は不溶化させずに有機溶媒に溶解させることにより、反応後の分離、精製を容易ならしめる保護剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、ジフェニルメタン化合物の置換基について種々検討した結果、ジフェニルメタン化合物のベンゼン環にオキシアルキレン基を介し末端にトリアルキルシリルオキシ基が置換した化合物を開発した。本ジフェニルメタン化合物を用いて官能基を保護した化合物が有機溶媒中で析出しにくく、液−液相分離の操作により分離精製が容易であり、当該化合物が保護剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔9〕を提供するものである。
【0008】
〔1〕一般式(1)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Yは−OR19(ここでR19は水素原子又は活性エステル型保護基を示す)、−NHR20(ここで、R20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、アジド、ハロゲン原子、メチレン基と一体となったオキシム、又はメチレン基と一体となったカルボニル基を示し、R1〜R10のうちの少なくとも1個は式(2)
【0011】
【化2】
【0012】
で表される基を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し;
11は炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し;
XはO又はCONR21(ここでR21は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し;
Aは式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)
【0013】
【化3】
【0014】
(ここで、R12、R13及びR14は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し;R15は単結合又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R16、R17及びR18はそれぞれ、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す)で表される基を示す)
で表されるジフェニルメタン化合物。
〔2〕Yが−OR19(ここでR19は水素原子を示す)、−NHR20(ここでR20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、アジド、ハロゲン原子、メチレン基と一体となったオキシム又はメチレン基と一体となったカルボニル基である〔1〕記載のジフェニルメタン化合物。
〔3〕Yが−OR19(ここでR19は水素原子又は活性エステル型保護基を示す)、−NHR20(ここでR20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、アジド、ハロゲン原子、又はメチレン基と一体となったオキシムである〔1〕記載のジフェニルメタン化合物。
〔4〕Yが−OR19(ここでR19は水素原子を示す)、−NHR20(ここでR20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、アジド、ハロゲン原子、又はメチレン基と一体となったオキシムである〔1〕記載のジフェニルメタン化合物。
〔5〕R1〜R5のうち少なくとも1個及びR6〜R10のうち少なくとも1個が式(2)で表される基であり、残余が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のジフェニルメタン化合物。
〔6〕R11が炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のジフェニルメタン化合物。
〔7〕R11が炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のジフェニルメタン化合物。
〔8〕R15が単結合又はメチレン基であり、R16、R17及びR18がメチレン基である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のジフェニルメタン化合物。
〔9〕〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のジフェニルメタン化合物からなるカルボキシ基、水酸基、ジオール基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基の保護剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明のジフェニルメタン化合物(1)を用いて官能基を保護した化合物は、液状になりやすく、また溶媒への溶解性が向上するため、縮合反応後の分離、精製が容易である。
医薬、農薬等様々な化学物質の製造工程において、原料や中間体の不溶化、固化が支障となっている場合、原料や中間体化合物に本発明のジフェニルメタン化合物(1)を結合させることで、これらの液状性、溶解性を向上させ、これらの問題点を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】シクロペンチルメチルエーテル(CPME)に対する溶解度測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般式(1)で表される本発明のジフェニルメタン化合物は、R1〜R10の少なくとも1個が式(2)の構造を有する点に特徴がある。かかる構造を有することにより、このジフェニルメタン化合物(1)を用いて保護した化合物が液状になりやすく、また溶媒への溶解性が顕著に向上する。
【0018】
一般式(1)中、Yは−OR19(ここでR19は水素原子又は活性エステル型保護基を示す)、−NHR20(ここで、R20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、アジド、ハロゲン原子、メチレン基と一体となったオキシム、又はメチレン基と一体となったカルボニル基を示す。ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子が挙げられる。また、メチレン基と一体となったカルボニル基は、アミノ基の保護基として有用である。
活性エステル型保護基としては、活性エステル型カルボニル基、活性エステル型スルホニル基が挙げられる。活性エステル型カルボニル基としては、カルボニルオキシコハク酸イミド、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等が挙げられ、より好ましくはカルボニルオキシコハク酸イミド等が挙げられる。
活性エステル型スルホニル基としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられ、より好ましくはC1−C6アルキルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等が挙げられる。
【0019】
Yとしては、−OR19(ここでR19は水素原子を示す)、−NHR20(ここでR20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、又はハロゲン原子が好ましい。
【0020】
本発明のジフェニルメタン化合物は、R1〜R10のうち、少なくとも1個が式(2)で示される基を示すが、このうち1〜4個が式(2)で示される基であることが、さらにこのうち2〜4個が式(2)で示される基であることが、さらにこのうち2〜3個が式(2)で示される基であることが、保護基導入化合物の溶解性、また保護基の脱離性の点で好ましい。また、R1〜R5のうち少なくとも1個及びR6〜R10のうち少なくとも1個が式(2)で表される基である場合がより好ましい。
【0021】
残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。ここで、R1〜R10で示される残余のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、このうち塩素原子が好ましい。残余の炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基等が挙げられ、このうち、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、このうちメチル基、エチル基がより好ましい。
【0022】
11は炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。当該アルキレン基のうち、炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基がより好ましく、炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基がさらに好ましく、炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基がよりさらに好ましい。当該アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ナノメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基等が挙げられる。
【0023】
XはO又はCONR21を示す。
ここでR21は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、水素原子が好ましい。
【0024】
Aは、式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)又は(13)で示される基を示す。R12、R13及びR14は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。ここで炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。このうち、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、tert−ブチル、イソプロピル基がさらに好ましい。
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、具体的には炭素数1〜3のアルキル基が置換してもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。このうち、フェニル基がさらに好ましい。
【0025】
15は、単結合又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基が挙げられるが、このうち単結合が特に好ましい。
【0026】
16、R17及びR18は、それぞれ炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基が挙げられるが、メチレン基が特に好ましい。
【0027】
一般式(1)において、Yが−OR19(ここでR19は水素原子を示す)、−NHR20(ここでR20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、又はハロゲン原子であり;R1〜R5のうち少なくとも1個、好ましくは1〜3個が式(2)で示される基であり、R6〜R10のうち少なくとも1個、好ましくは1〜3個が式(2)で示される基であり、残余が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり;R11が炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり;R15が単結合又はメチレン基であり;R16、R17及びR18がメチレン基である化合物がより好ましい。
また、一般式(1)において、R11が炭素数6〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり;XはO又はCONHであり;Aは、式(3)又は(13)で示される基であり;R12、R13及びR14は、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基であり;R15は単結合であり;R16、R17及びR18はメチレン基である化合物がより好ましい。
【0028】
ここで、式(2)で示される基が結合した状態の好ましい具体例を次に示す。
【0029】
【化4】
【0030】
(式中、R3b及びR8bは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、Y、A、X及びR11は前記と同じ)
【0031】
本発明のジフェニルメタン化合物(1)の具体例を挙げれば、次の(a)〜(e)が挙げられる。(a)〜(e)中、Yは−OR19(ここでR19は水素原子を示す)、−NHR20(ここでR20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、又はハロゲン原子を示す。
【0032】
(a)TIPS2型−PP保護剤
【0033】
【化5】
【0034】
(式中、Raは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
【0035】
(b)TIPS2型−OO保護剤
【0036】
【化6】
【0037】
(式中、Raは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
【0038】
(c)TIPS3型−OPP保護剤
【0039】
【化7】
【0040】
(式中、Raは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す)
【0041】
(c)TIPS4型−PP保護剤
【0042】
【化8】
【0043】
(式中、Raは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す)
(d)TIPS6型−PP保護剤
【0044】
【化9】
【0045】
(式中、Raは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す)
【0046】
(e)TIPS9型−OPP保護剤
【0047】
【化10】
【0048】
(式中、Raは水素原子、炭素数1〜14のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す)
【0049】
(e)TBDPS2型−PP保護剤
【0050】
【化11】
【0051】
(式中、Raは水素原子、炭素数1〜14のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す)
【0052】
本発明のジフェニルメタン化合物(1)は、例えば次の反応式に従って製造することができる。
【0053】
【化12】
【0054】
(式中、Halはハロゲン原子を示し、R1a〜R10aのうち少なくとも1個は水酸基を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、Bはメルカプト基を有するアミノ酸、又はメルカプト基を有するアミノ酸誘導体を示し、Zは−CONH−基を有する化合物を示し、R1〜R10、R20、X及びAは前記と同じ)
【0055】
シリルオキシ化アルキルハライド(14)とジフェニルケトン類(15)とを反応させて、シリルオキシ化ジフェニルケトン類(16)を得、次いでケトン基をヒドロキシ基に変換し、次いでアジド化しアジド化合物(18)を得、当該アジド基をシュタウディンガー反応に付すことによりジフェニルメタン化合物(1b)が得られる。また、ヒドロキシ基を有するジフェニルメタン化合物(1a)を−CONH2基を有する化合物と反応させて、化合物(17)が得られる。また、ヒドロキシ基を有するジフェニルメタン化合物(1a)をハロゲン化することにより、ハロゲン原子を有するジフェニルメタン化合物(1c)を得、次いでR20−NH2で表わされるアミンと反応させることにより、化合物(1f)が得られる。また、ヒドロキシ基を有するジフェニルメタン化合物(1a)をメルカプト基を有するアミノ酸又はメルカプト基を有するアミノ酸誘導体と反応させることにより、化合物(1d)が得られる。また、ケトン化合物(16)をオキシム化することにより、オキシム化合物(1e)が得られる。
【0056】
原料であるシリルオキシ化アルキルハライド(14)は、例えばハロゲン化アルコールとシリル化剤とを塩基の存在下に反応させることにより製造することができる。式(14)中のハロゲン原子としては、臭素原子等が挙げられる。
【0057】
上記反応に用いられるシリル化剤としては、塩化トリイソプロピルシリル(TIPSCl)、臭化トリイソプロピルシリル、ヨウ化トリイソプロピルシリル、メタンスルホニルトリイソプロピルシリル、トリフルオロメタンスルホニルイソプロピルシリル、p−トルエンスルホニルトリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルクロロシラン(TBDPSCl)、tert−ブチルジメチルクロロシラン(TBSCl)等が挙げられる。
塩基としては、TEA、DIPEA、DBU、ジアザビシクロノネン(DBN)、DABCO、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N、N−ジメチルアニリン、ピリジン、2,6−ルチジン、DMAP、LDA、NaOAc、MeONa、MeOK、リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)等の有機塩基、Na2CO3、NaHCO3、NaH、NaNH2、K2CO3、Cs2CO3等の無機塩基が挙げられる。
溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、N−メチルピロリドン等のラクタム類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。
反応は、例えば0℃〜100℃で1時間〜24時間行えばよい。
【0058】
シリルオキシ化アルキルハライド(14)とジフェニルケトン類(15)との反応は、塩基の存在下に行うのが好ましい。
【0059】
上記反応に用いられる塩基としては、TEA、DIPEA、DBU、DBN、DABCO、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N、N−ジメチルアニリン、ピリジン、2、6−ルチジン、DMAP、LDA、NaOAc、MeONa、MeOK、リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)等の有機塩基、Na2CO3、NaHCO3、NaH、K2CO3、Cs2CO3等の無機塩基が挙げられる。
溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、DMF、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、N−メチルピロリドン等のラクタム類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。
反応は、例えば40℃〜150℃で1時間〜24時間行えばよい。
【0060】
式(16)の化合物のケトン基をヒドロキシ基に変換する方法としては、還元剤を用いて還元する手段が挙げられる。
還元剤としては、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムが挙げられる。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば0℃〜90℃で1時間〜24時間行うのが好ましい。
【0061】
また、式(1a)中のヒドロキシ基をアジド化する方法としては、塩基存在下でジフェニルリン酸アジドやビス(p−ニトロフェニル)リン酸アジドと反応させる方法が好ましい。
塩基としてはDBU、DBN、TEA、DIPEA、DABCO等の有機塩基が挙げられる。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば0℃〜100℃で0.5時間〜144時間行えばよい。
【0062】
アジド化合物(18)をアミン化合物(1b)に還元する方法としては、水存在下でトリフェニルホスフィンと反応させるシュタウディンガー反応か、接触還元が挙げられるが、シュタウディンガー反応が好ましい。
シュタウディンガー反応の溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば20℃〜100℃で1時間〜24時間行えばよい。
【0063】
式(1a)の化合物と−CONH2基を有する化合物との反応は、酸触媒下で、−CONH2基を有する化合物と反応させる方法が好ましい。
−CONH2基や−OCONH2基を有する化合物としては、Fmoc−NH2、エチルカルバメート、イソプロピルカルバメート、AcNH2、HCONH2、Cbz−NH2、CF3CONH2、Fmoc−アミノ酸−NH2等が挙げられる。酸触媒としてはトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、塩酸、硫酸等の酸が挙げられる。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば20℃〜150℃で0.5時間〜48時間行えばよい。
【0064】
式(1a)から(1c)を得るには、例えばハロゲン化剤を塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。式(1c)中のハロゲン原子としては、塩素原子等が挙げられる。
ハロゲン化剤としては、塩化チオニル、塩化アセチル、臭化アセチル、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素等が挙げられる。
塩基としては、ピリジン、TEA、DBU、DBN、DIPEA、DABCO等の有機塩基が挙げられる。
溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば0℃〜100℃で0.5時間〜24時間行えばよい。
【0065】
式(1a)とメルカプト基を有するアミノ酸誘導体の反応は、酸触媒下で、メルカプト基を有するアミノ酸又はメルカプト基を有するアミノ酸誘導体と反応させる方法が好ましい。
メルカプト基を有するアミノ酸としては、Cysteine、homocysteine、mercaptonorvaline、mercaptonorleucine等が挙げられる。メルカプト基を有するアミノ酸誘導体としては、これらのアミノ酸のN末端がN−メチル化された化合物、及びこれらのアミノ酸のN末端がベンジルオキシカルボニル(Cbz又はZ)基、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、アセチル(Ac)基、ベンジル基、アリル基、アリルオキシカルボニル(Aloc)基、2−ニトロベンゼンスルホニル(Ns)基、2、4−ジニトロベンゼンスルホニル(DNs)基、4−ニトロベンゼンスルホニル(Nos)基等で保護された化合物、及びアミノ酸C末端がアミド基、メチルエステル基、エチルエステル基、tert−ブチルエステル基、ベンジルエステル基、アリルエステル基等で保護された化合物、及びこれらの保護基でN末端とC末端の両方が保護された化合物、及びこれらに対応するD−アミノ酸化合物等が挙げられる。
酸触媒としてはトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、塩酸、硫酸等の酸が挙げられる。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば20℃〜150℃で0.5時間〜24時間行えばよい。
【0066】
式(1c)から(1f)を得るには、例えば塩基の存在下、R20−NH2で表わされるアミンと反応させることにより製造することができる。
塩基としては、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン等が挙げられる。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、CPME、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば0℃〜100℃で0.5時間〜24時間行えばよい。
【0067】
式(16)から式(1e)を得るには、塩基存在下、式(16)中のケトン基とヒドロキシルアミンの酸付加塩を反応させることにより製造することができる。ヒドロキシルアミンの塩付加体としては、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等が挙げられる。
塩基としては、TEA、ピリジン、DIPEA、N、N−ジメチルアニリン、DBU、DBN、DABCO等の有機塩基、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基が挙げられる。
溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応は、例えば20℃〜120℃で1時間〜96時間行えばよい。
【0068】
本発明のジフェニルメタン化合物(1)は、カルボキシ基、水酸基、ジオール基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基等の官能基の保護剤として使用できる。本発明のジフェニルメタン化合物(1)でカルボキシ基、水酸基、ジオール基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基を保護された化合物は、液状性、溶媒に対する溶解性が高いという特徴を有する。従って、本発明のジフェニルメタン化合物(1)を保護剤として用いて官能基を保護した化合物は、液状となり、液−液相分離等の操作により分離精製可能である。また、本発明化合物を使用して得られた保護基は、酸や接触還元等により容易に脱離することができる。
【0069】
本発明のジフェニルメタン化合物(1)で保護できる化合物としては、カルボキシ基、水酸基、ジオール基、アミノ基、アミド基又はメルカプト基を有する化合物であればよく、例えばアミノ酸、ペプチド、糖化合物、タンパク質、核酸化合物、その他種々の医薬品化合物、農薬化合物、その他、種々のポリマー、デンドリマー化合物等が挙げられる。
【0070】
本発明のジフェニルメタン化合物(1)を保護剤として用いるペプチドの合成法は、例えば次の工程(1)〜(4)を含む製法である。
(1)本発明のジフェニルメタン化合物(1)を、可溶性溶媒中、N−保護アミノ酸又はN−保護ペプチドのC末端カルボキシル基と縮合させて、本発明のジフェニルメタン化合物(1)でC末端が保護されたN−保護C保護アミノ酸又はN−保護C−保護ペプチドを得る。若しくは、本発明のジフェニルメタン化合物(1)を、可溶性溶媒中、N−保護アミノ酸又はN−保護ペプチドのC末端アミド基と反応させて、本発明のジフェニルメタン化合物(1)でC末端が保護されたN−保護C保護アミノ酸又はN−保護C−保護ペプチドを得る。
(2)得られたN−保護C保護アミノ酸又はN−保護C−保護ペプチドのN末端の保護基を除去して、C−保護アミノ酸又はC−保護ペプチドを得る。
(3)得られたC−保護アミノ酸又はC−保護ペプチドのN末端に、N保護アミノ酸又はN−保護ペプチドを縮合させて、N−保護C−保護ペプチドを得る。
(4)得られたN−保護C−保護ペプチドのN末端の保護基及びC末端の保護基を除去して、目的のペプチドを得る。
【実施例】
【0071】
次に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0072】
実施例1
TIPS2−Dpm−NH2の合成
【0073】
【化13】
【0074】
(以下、Br−(CH211−OTIPS、TIPS2−Dpm−C=O、TIPS2−Dpm−OH、TIPS2−Dpm−N3、TIPS2−Dpm−NH2は式中の構造を示すこととする。)
【0075】
(1)Br−(CH211−OTIPS 9.81g(24.1mmol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン2.29g(10.7mmol)、炭酸カリウム5.33g(38.5mmol)をDMF3.2mLに懸濁し、85℃に加熱し、2時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン150mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン71mLを加え、DMF71mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層に、ヘプタン71mLを加え、1N塩酸71mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液71mLで1回、水71mLで1回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン71mLを加え、DMF71mLで1回、アセトニトリル71mLで1回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、TIPS2−Dpm−C=O 10.7gを得た。
【0076】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,42H),1.20−1.39(m,24H),1.41−1.49(m,4H),1.49−1.57(m,4H),1.71−1.85(m,4H),3.67(t,4H),4.03(t,4H),6.94(d,4H),7.77(d,4H)
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ12.2(6C),18.2(12C),26.0(2C),26.2(2C),29.2−29.8(12C),33.2(2C),63.7(2C),68.4(2C),114.0(4C),130.7(2C),132.4(4C),162.6(2C),194.6
ESIMS MNa+ 889.8
【0077】
(2)TIPS2−Dpm−C=O 0.81g(0.93mmol)をTHF(無水)7.1mL、メタノール0.36mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム42mg(1.12mmol)を添加し、1.5時間撹拌した。反応溶液に1N塩酸0.89mLを加え反応を停止し、CPMEを20.3mL加え、1N塩酸6.1mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液6.1mLで1回、水6.1mLで1回洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をヘプタン20.0mLに溶解し、DMF10.0mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン10.0mLを加え、アセトニトリル10.0mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、TIPS2−Dpm−OH 0.81gを得た。
【0078】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.12−1.16(m,42H),1.23−1.54(m,32H),1.57−1.71(m,4H),1.79(s,1H),3.68(t,8H),5.61(s,1H),6.84−6.89(m,4H),7.27−7.33(m,4H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.8(6C),18.7(12C),26.7(2C),26.8(2C),30.2−30.5(12C),33.9(2C),64.1(2C),68.3(2C),75.9,114.9(4C),128.6(4C),137.8(2C),159.4(2C)
【0079】
(3)TIPS2−Dpm−OH 0.81g(0.93mmol)をTHF18.7mLに溶解し、ジフェニルリン酸アジド0.60mL(2.80mmol)、DBU0.42mL(2.80mmol)を添加し、室温で4日撹拌した。反応溶液をCPME54.2mLで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液18.4mLで2回、20%食塩水18.4mLで4回、分液洗浄した。有機層を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン18.7mLに溶解させ、DMF9.3mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに3回行った後、水9.3mLで一回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタンを10.7mL加え、アセトニトリル10.7mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、TIPS2−Dpm−N3 0.59gを得た。
【0080】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,42H),1.20−1.39(m,24H),1.41−1.49(m,4H),1.49−1.57(m,4H),1.71−1.81(m,4H),3.67(t,4H),3.94(t,4H),5.62(s,1H),6.86(d,4H),7.19(d,4H)
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ12.2(6C),18.2(12C),26.0(2C),26.2(2C),29.2−29.8(12C),33.2(2C),63.7(2C),67.9,68.2(2C),114.7(4C),128.7(4C),131.9(2C),159.0(2C)
【0081】
(4)THF2.8mLにTIPS2−Dpm−N30.38g(0.43mmol)を溶解させ、トリフェニルホスフィン0.34g(1.23mmol)と水0.31mL(17.0mmol)を添加し、60℃で6時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン4.2mLに溶解させ、DMF4.2mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに2回行った後、ヘプタン層にヘプタンを4.2mL加え、50%含水アセトニトリル4.2mLで分液洗浄した。前記のへプタンと50%含水アセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層にヘプタン4.2mLを加え、アセトニトリル4.2mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=17:1→酢酸エチル)で精製し、TIPS2−Dpm−NH20.30gを得た。
【0082】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,42H),1.20−1.39(m,24H),1.41−1.49(m,4H),1.49−1.57(m,4H),1.71−1.81(m,4H),1.98(s,2H),3.67(t,4H),3.91(t,4H),5.12(s,1H)6.80−6.84(m,4H),7.22−7.26(m,4H)
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ12.2(6C),18.2(12C),26.0(2C),26.2(2C),29.5−29.8(12C),33.2(2C),58.6,63.7(2C),68.1(2C),114.5(4C),128.0(4C),137.9(2C),158.2(2C)
【0083】
実施例2
TIPS2−Dpm−Clの合成
【0084】
【化14】
【0085】
(以下、TIPS2−Dpm−Clは式中の構造を示すこととする。)
【0086】
(1)TIPS2−Dpm−C=O 0.24g(0.24mmol)をTHF(無水)1.8mL、メタノール90μLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム11mg(0.28mmol)を添加し、3時間撹拌した。反応溶液に1N塩酸0.2mLを加え反応を停止し、CPMEを5.1mL加え、1N塩酸1.5mLで2回、20%食塩水1.5mLで1回洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウム0.20gを加え、充分撹拌した後濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、TIPS2−Dpm−OHを含む混合物を得た。
【0087】
(2)前工程で得た混合物をクロロホルム3.7mLに溶解し、DMF3.6μL(0.05mmol)、ピリジン98μL(1.22mmol)を添加し、5℃に冷却した後、塩化チオニル81μL(1.11mmol)を添加し、室温に昇温し、1時間撹拌した。反応溶液にヘプタン12.2mLを加え、アセトニトリル12.2mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン2.0mL、CPME0.6mLを加え、アセトニトリル12.2mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン2.0mLを加え、アセトニトリル12.2mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、TIPS2−Dpm−Cl 81mgを得た。
【0088】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.12−1.16(m,42H),1.23−1.38(m,28H),1.39−1.48(m,4H),1.56−1.66(m,4H),3.63(t,4H),3.68(t,4H),6.02(s,1H),6.76−6.82(m,4H),7.27−7.32(m,4H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.8(6C),18.7(12C),26.7(2C),26.8(2C),29.8−30.5(12C),33.9(2C),64.1(2C),65.1,68.4(2C),115.0(4C),129.9(4C),134.4(2C),159.8(2C)
【0089】
実施例3
TIPS2−Dpm−OH(C8)の合成
【0090】
【化15】
【0091】
(以下、Br−(CH28−OTIPS、TIPS2−Dpm−C=O(C8)、TIPS2−Dpm−OH(C8)は式中の構造を示すこととする。)
【0092】
(1)Br−(CH28−OTIPS 1.51g(4.13mmol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン0.39g(1.83mmol)、炭酸カリウム0.91g(6.60mmol)をDMF12.2mLに懸濁し、85℃に加熱し、2時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン25.7mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン12.2mLを加え、DMF12.2mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層に、ヘプタン12.2mLを加え、1N塩酸12.2mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液12.2mLで1回、水12.2mLで1回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン12.2mLを加え、アセトニトリル12.2mLで2回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=80:1→酢酸エチル)で精製し、TIPS2−Dpm−C=O(C8) 1.11gを得た。
【0093】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,42H),1.33−1.43(m,12H),1.43−1.64(m,8H),1.82(quin.,4H),3.68(t,4H),4.03(t,4H),6.94(d,4H),7.77(d,4H)
ESIMS MH+ 783.5
【0094】
(2)TIPS2−Dpm−C=O(C8) 0.66g(0.85mmol)をTHF(無水)6.4mL、メタノール0.32mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム38mg(1.01mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。反応溶液に1N塩酸0.80mLを加え反応を停止し、CPMEを16.6mL加え、1N塩酸5.0mLで2回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液5.0mLで1回、水5.0mLで1回洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウム0.66gを加え、充分撹拌した後濾過し、濾物をヘプタン3.3mLで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、TIPS2−Dpm−OH(C8)0.63gを得た。
【0095】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.11−1.16(m,42H),1.22−1.31(m,12H),1.31−1.43(m,4H),1.52−1.66(m,9H),3.66(t,8H),5.59(s,1H),6.83−6.89(m,4H),7.26−7.32(m,4H)
ESIMS MNa+ 807.6
【0096】
実施例4
TIPS2−Dpm−OH(C14)の合成
【0097】
【化16】
【0098】
(以下、Br−(CH214−OTIPS、TIPS2−Dpm−C=O(C14)、TIPS2−Dpm−OH(C14)は式中の構造を示すこととする。)
【0099】
(1)前記のTIPS2−Dpm−C=O(C8)と同様の方法で、TIPS2−Dpm−C=O(C14)を得た。
【0100】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.03−1.07(m,42H),1.20−1.40(m,36H),1.40−1.58(m,8H),1.74−1.86(m,4H),3.67(t,4H),4.03(t,4H),6.91−6.96(m,4H),7.73−7.79(m,4H)
ESIMS MH+ 951.8
【0101】
(2)前記のTIPS2−Dpm−OH(C8)と同様の方法で、TIPS2−Dpm−OH(C14)を得た。
【0102】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.12−1.16(m,42H),1.23−1.40(m,36H),1.40−1.49(m,4H),1.55−1.69(m,9H),3.68(t,8H),5.60(s,1H),6.85−6.90(m,4H),7.28−7.33(m,4H)
ESIMS MNa+ 975.7
【0103】
実施例5
TIPS2−Dpm−OH(C8OC2)の合成
【0104】
【化17】
【0105】
(以下、Br−(CH28−O−(CH22−OTIPS、TIPS2−Dpm−C=O(C8OC2)、TIPS2−Dpm−OH(C8OC2)は式中の構造を示すこととする。)
【0106】
(1)Br−(CH28−O−(CH22−OTIPS 0.62g(1.50mmol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン0.14g(0.67mmol)、炭酸カリウム0.37g(2.67mmol)をDMF4.5mLに懸濁し、85℃に加熱し、2時間30分撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン9.3mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン4.5mLを加え、DMF4.5mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層に、ヘプタン4.5mLを加え、1N塩酸4.5mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液4.5mLで1回、水4.5mLで1回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン4.5mLを加え、アセトニトリル4.5mLで分液洗浄した。前記のヘプタンとアセトニトリルによる分液洗浄をさらに一回行った。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=40:1→酢酸エチル)で精製し、TIPS2−Dpm−C=O(C8OC2) 0.14gを得た。
【0107】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.09(m,42H),1.30−1.41(m,12H),1.41−1.52(m,4H),1.52−1.63(m,4H),1.74−1.86(m,4H),3.48(t,4H),3.53(t,4H),3.83(t,4H),4.03(t,4H),6.91−6.97(m,4H),7.74−7.80(m,4H)
ESIMS MH+ 871.6
【0108】
(2)前記のTIPS2−Dpm−OH(C8)と同様の方法で、TIPS2−Dpm−OH(C8OC2)を得た。
【0109】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.11−1.15(m,42H),1.20−1.28(m,8H),1.28−1.40(m,8H),1.53−1.69(m,9H),3.38(t,4H),3.49(t,4H),3.67(t,4H),3.83(t,4H),5.60(s,1H),6.85−6.90(m,4H),7.27−7.33(m,4H)
ESIMS MNa+ 895.7
【0110】
実施例6
TBDPS2−Dpm−OHの合成
【0111】
【化18】
【0112】
(以下、Br−(CH211−OTBDPS、TBDPS2−Dpm−C=O、TBDPS2−Dpm−OHは式中の構造を示すこととする。)
【0113】
(1)Br−(CH211−OTBDPS 1.26g(2.56mmol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン0.24g(1.14mmol)、炭酸カリウム0.57g(4.10mmol)をDMF7.6mLに懸濁し、85℃に加熱し、3時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン15.9mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン7.6mLを加え、アセトニトリル7.6mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層に、ヘプタン7.6mLを加え、1N塩酸7.6mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液7.6mLで1回、水7.6mLで1回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン7.6mLを加え、アセトニトリル7.6mLで2回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=80:1→酢酸エチル)で精製し、TBDPS2−Dpm−C=O 0.76gを得た。
【0114】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.05(s,18H),1.23−1.42(m,24H),1.42−1.61(m,8H),1.77−1.86(m,4H),3.66(t,4H),4.03(t,4H),6.92−6.97(m,4H),7.35−7.45(m,12H),7.65−7.70(m,8H),7.75−7.80(m,4H)
ESIMS MNa+ 1053.5
【0115】
(2)前記のTIPS2−Dpm−OH(C8)と同様の方法で、TBDPS2−Dpm−OHを得た。
【0116】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.20(s,18H),1.22−1.32(m,24H),1.32−1.43(m,4H),1.56−1.68(m,9H),3.68(t,4H),3.71(t,4H),5.59(s,1H),6.86−6.90(m,4H),7.22−7.27(m,12H),7.28−7.33(m,4H),7.79−7.84(m,8H)
ESIMS MNa+ 1055.6
【0117】
実施例7
TIPS2−Dpm−OH(C10−CONH−C2)の合成
【0118】
【化19】
【0119】
(以下、Br−(CH210−CONH−(CH22−OTIPS、TIPS2−Dpm−C=O(C10−CONH−C2)、TIPS2−Dpm−OH(C10−CONH−C2)は式中の構造を示すこととする。)
【0120】
(1)Br−(CH210−CONH−(CH22−OTIPS 1.44g(3.11mmol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン0.24g(1.11mmol)、炭酸カリウム0.61g(4.44mmol)をDMF7.4mLに懸濁し、115℃に加熱し、2時間20分撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン73.9mLで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣に水22mLを添加し、スラリー洗浄し、沈澱物を濾取した。前記の水によるスラリー洗浄、濾取をさらに一回行った。得られた沈澱物にアセトニトリル22mLを添加し、スラリー洗浄し、沈澱物を濾取した。前記のアセトニトリルによるスラリー洗浄、濾取をさらに一回行った。得られた沈澱物を減圧下で乾燥し、TIPS2−Dpm−C=O(C10−CONH−C2) 0.80gを得た。
【0121】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,42H),1.26−1.40(m,20H),1.46(quin.,4H),1.62(quin.,4H),1.81(quin.,4H),2.18(t,4H),3.40(q,4H),3.76(t,4H),4.02(t,4H),5.88(t,2H),6.91−6.96(m,4H),7.74−7.79(m,4H)
ESIMS MH+ 981.7
【0122】
(2)TIPS2−Dpm−C=O(C10−CONH−C2) 0.26g(0.26mmol)をTHF(無水)2.0mL、メタノール0.10mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム12mg(0.32mmol)を添加し、室温で3時間20分撹拌した。反応溶液に1N塩酸0.25mLを加え反応を停止し、CPMEを6.5mL加え、1N塩酸1.9mLで2回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液1.9mLで1回、水1.9mLで1回洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウム0.26gを加え、充分撹拌した後濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、TIPS2−Dpm−OH(C10−CONH−C2)0.21gを得た。
【0123】
ESIMS MNa+ 1005.7
【0124】
実施例8
TIPS4−Dpm−OH(C10−CONH−CH(CH22)の合成
【0125】
【化20】
【0126】
(以下、Br−(CH210−CONH−CH(CH2−OTIPS)2、TIPS4−Dpm−C=O(C10−CONH−CH(CH22)、TIPS4−Dpm−OH(C10−CONH−CH(CH22)は式中の構造を示すこととする。)
【0127】
(1)Br−(CH210−CONH−CH(CH2−OTIPS)2 2.04g(3.14mmol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン0.28g(1.31mmol)、炭酸カリウム0.69g(4.97mmol)をDMF8.7mLに懸濁し、115℃に加熱し、8時間30分撹拌した。さらにBr−(CH210−CONH−CH(CH2−OTIPS)2を0.34g(0.52mmol)を添加し、115℃で1時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン18.3mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン8.7mLを加え、DMF8.7mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン8.7mLを加え、1N塩酸8.7mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液8.7mLで1回、水8.7mLで1回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン8.7mLを加え、アセトニトリル8.7mLで分液洗浄した。前記のヘプタンとアセトニトリルによる分液洗浄をさらに一回行った。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、TIPS4−Dpm−C=O(C10−CONH−CH(CH22) 0.64gを得た。
【0128】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.03−1.08(m,84H),1.22−1.40(m,20H),1.40−1.51(m,4H),1.51−1.69(m,4H),1.70−1.85(m,4H),2.16(t,4H),3.62−3.70(m,4H),3.84−3.91(m,4H),3.94−4.05(m,6H),5.84(d,2H),6.90−6.96(m,4H),7.74−7.79(m,4H)
ESIMS MH+ 1353.9
【0129】
(2)TIPS4−Dpm−C=O(C10−CONH−CH(CH22)0.52g(0.38mmol)をTHF(無水)2.9mL、メタノール0.15mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム17mg(0.46mmol)を添加し、室温で3時間45分撹拌した。反応溶液に1N塩酸0.36mLを加え反応を停止し、酢酸エチルを12.9mL加え、1N塩酸3.9mLで2回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液3.9mLで1回、水3.9mLで1回洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウム0.52gを加え、充分撹拌した後濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、TIPS4−Dpm−OH(C10−CONH−CH(CH22)0.45gを得た。
【0130】
ESIMS MNa+ 1378.9
【0131】
実施例9
TIPS4−Dpm−NH(CH22CH3(C10−CONH−CH(CH22)の合成
【0132】
【化21】
【0133】
(以下、TIPS4−Dpm−Cl(C10−CONH−CH(CH22)、TIPS4−Dpm−NH(CH22CH3(C10−CONH−CH(CH22)は式中の構造を示すこととする。)
【0134】
(1)TIPS4−Dpm−OH(C10−CONH−CH(CH22)0.45g(0.33mmol)をクロロホルム5.3mLに溶解し、DMF5μL(0.07mmol)、ピリジン59μL(0.73mmol)を添加し、5℃に冷却した後、塩化チオニル48μL(0.66mmol)を添加し、室温に昇温し、1時間15分撹拌した。反応溶液にヘプタン27.6mL、CPME1.3mLを加え、アセトニトリル26.7mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン4.5mL、CPME1.3mLを加え、アセトニトリル26.7mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン4.5mLを加え、アセトニトリル26.7mLで分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、TIPS4−Dpm−Cl(C10−CONH−CH(CH22)を含む混合物を得た。
【0135】
(2)前工程で得られた混合物をクロロホルム2.5mLに溶解させ、プロピルアミン56μL(0.67mmol)、DIPEA0.12mL(0.68mmol)を添加し、室温で30分撹拌した。反応溶液にCPMEを10.0mL加え、0.5N塩酸6.0mLで2回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液6.0mLで1回、20%食塩水6.0mLで1回分液洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウム0.90gを加え、充分撹拌した後濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、TIPS4−Dpm−NH(CH22CH3(C10−CONH−CH(CH22)0.25gを得た。
【0136】
ESIMS MH+ 1396.9
【0137】
実施例10
TIPS2−Dpm−NOH(C14)の合成
【0138】
【化22】
【0139】
(以下、TIPS2−Dpm−NOH(C14)は式中の構造を示すこととする。)
【0140】
(1)TIPS2−Dpm−C=O(C14)0.19g(0.20mmol)をCPME 0.90mLに溶解し、ヒドロキルアミン塩酸塩41mg(0.59mmol)を添加し、5℃に冷却した。ピリジン184μL(1.78mmol)を添加し、90℃に加熱し、22時間15分撹拌した。さらにヒドロキルアミン塩酸塩41mg(0.59mmol)、ピリジン306μL(2.96mmol)を添加し、90℃で7時間30分撹拌した。さらにヒドロキルアミン塩酸塩124mg(1.78mmol)、ピリジン184μL(1.78mmol)を添加し、90℃で2時間撹拌した。さらにヒドロキルアミン塩酸塩247mg(3.55mmol)、ピリジン184μL(1.78mmol)を添加し、90℃で15時間撹拌した。さらにヒドロキルアミン塩酸塩247mg(3.55mmol)、ピリジン184μL(1.78mmol)を添加し、90℃で6時間30分撹拌した。さらにヒドロキルアミン塩酸塩247mg(3.55mmol)、ピリジン367μL(3.56mmol)、CPME 1.0mLを添加し、90℃で17時間15分撹拌した。反応溶液を5℃に冷却し、1N塩酸15mLで反応を停止し、ヘプタン25mLを添加し、1N塩酸15mLで3回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液15mLで3回、水15mLで1回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン15mLを加え、アセトニトリル15mLで分液洗浄した。前記のヘプタンとアセトニトリルによる分液洗浄をさらに一回行い、ヘプタン層を減圧下で濃縮して、TIPS2−Dpm−NOH(C14)0.14gを得た。
【0141】
ESIMS MH+ 966.9
【0142】
実施例11
TIPS2−Dpm(OMe)2−NH2の合成
【0143】
【化23】
【0144】
(以下、TIPS2−Dpm(OMe)2−C=O、TIPS2−Dpm(OMe)2−OH、TIPS2−Dpm(OMe)2−N3、TIPS2−Dpm(OMe)2−NH2は式中の構造を示すこととする。)
【0145】
(1)Br−(CH211−OTIPS 5.59g(13.7mmol)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン1.67g(6.09mmol)、炭酸カリウム3.03g(22.9mmol)をDMF41mLに懸濁し、85℃に加熱し、21時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン85mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン41mLを加え、DMF41mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層に、ヘプタン41mLを加え、1N塩酸41mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液41mLで1回、水41mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン41mLを加え、DMF41mLで1回、アセトニトリル41mLで2回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=45:1→20:1)で精製し、TIPS2−Dpm(OMe)2−C=O 2.03g(収率35.9%)を得た。
【0146】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.12−1.16(m,42H),1.23−1.38(m,28H),1.41−1.51(m,4H),1.57−1.67(m,4H),3.38(s,6H),3.51(t,4H),3.70(t,4H),6.33(dd,2H),6.41(d,2H),7.93(d,2H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.8(6C),18.7(12C),26.7(2C),26.8(2C),29.9−30.6(12C),33.9(2C),55.3(2C),64.1(2C),68.6(2C),99.8(2C),104.7(2C),126.6(2C),132.8(2C),160.4(2C),163.9(2C),192.7
【0147】
(2)TIPS2−Dpm(OMe)2−C=O 1.98g(2.14mmol)をTHF(無水)16.3mL、メタノール0.81mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム97mg(2.56mmol)を添加し、2時間撹拌した。反応溶液に1N塩酸2.0mLを加え反応を停止し、CPMEを50mL加え、1N塩酸15mLで1回、水15mLで2回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液15mLで1回、水15mLで2回洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をヘプタン50mLに溶解し、DMF25mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン25mLを加え、アセトニトリル25mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮してTIPS2−Dpm(OMe)2−OHを含む混合物を得た。
【0148】
(3)前工程で得た混合物をTHF42.7mLに溶解し、ビス(p−ニトロフェニル)リン酸アジド2.34g(6.41mmol)、DBU0.96mL(6.41mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。反応溶液をCPME124mLで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液42mLで6回分液洗浄した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン128mLに溶解させ、DMF43mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに2回行った後、アセトニトリル43mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=35:1)で精製し、TIPS2−Dpm(OMe)2−N3 0.74g(収率36.2%、2steps)を得た。
【0149】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.12−1.16(m,42H),1.23−1.38(m,28H),1.41−1.51(m,4H),1.57−1.67(m,4H),3.37(s,6H),3.61−3.73(m,8H),6.35(dd,2H),6.53(d,2H),6.78(s,1H),7.40(d,2H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.8(6C),18.7(12C),26.7(2C),26.8(2C),29.8−30.6(12C),33.9(2C),55.2(2C),58.0,64.1(2C),68.4(2C),100.1(2C),104.3(2C),121.8(2C),129.8(2C),158.2(2C),161.4(2C)
【0150】
(4)THF4.9mLにTIPS2−Dpm(OMe)2−N3 0.70g(0.73mmol)を溶解させ、トリフェニルホスフィン0.57g(2.18mmol)と水0.53mL(29.1mmol)を添加し、60℃で6時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン14.6mLに溶解させ、DMF7.3mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに2回行った後、ヘプタン層にヘプタンを7.3mL加え、50%含水アセトニトリル7.3mLで分液洗浄した。前記のへプタンと50%含水アセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層にヘプタン7.3mLを加え、アセトニトリル7.3mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=13:1→酢酸エチル)で精製し、TIPS2−Dpm(OMe)2−NH2 0.34g(収率50.3%)を得た。
【0151】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.12−1.16(m,42H),1.23−1.38(m,28H),1.41−1.51(m,4H),1.57−1.67(m,4H),1.71(s,2H),3.44(s,6H),3.63−3.73(m,8H),6.02(s,1H),6.44(dd,2H),6.58(d,2H),7.49(d,2H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.8(6C),18.7(12C),26.8(4C),29.8−30.6(12C),33.9(2C),48.9,55.3(2C),64.1(2C),68.2(2C),100.2(2C),104.1(2C),128.3(2C),129.1(2C),158.2(2C),160.5(2C)
【0152】
実施例12
TIPS3−Dpm−NH2の合成
【0153】
【化24】
【0154】
(以下、TIPS3−Dpm−C=O、TIPS3−Dpm−OH、TIPS3−Dpm−N3、TIPS3−Dpm−NH2は式中の構造を示すこととする。)
【0155】
(1)Br−(CH211−OTIPS 6.35g(15.59mmol)、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン1.04g(4.52mmol)、炭酸カリウム3.12g(22.59mmol)をDMF30mLに懸濁し、85℃に加熱し、15.5時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン63mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン30mLを加え、DMF30mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層に、ヘプタン30mLを加え、1N塩酸30mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液30mLで1回、水30mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン30mLを加え、DMF30mLで1回、アセトニトリル30mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層を減圧下で濃縮して、TIPS3−Dpm−C=O 5.96gを得た。
【0156】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,63H),1.20−1.57(m,50H),1.74−1.84(m,4H),3.64−3.69(m,6H),3.83(t,2H),3.99(t,4H),6.45(d,1H),6.52(dd,1H),6.83−6.87(m,2H),7.36(d,1H),7.70−7.76(m,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ12.2(9C),18.2(18C),25.9,26.0(3C),26.2(2C),29.1−29.8(18C),33.2(3C),63.7(3C),68.3,68.4,68.5,99.9,105.3,113.8(2C),122.4,131.7,132.0(3C),158.8,162.7,162.8,195.0
【0157】
(2)TIPS3−Dpm−C=O 0.92g(0.76mmol)をTHF(無水)5.8mL、メタノール0.29mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム34mg(0.91mmol)を添加し、3時間撹拌した。反応溶液に1N塩酸0.72mLを加え反応を停止し、CPMEを23.0mL加え、1N塩酸6.9mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液6.9mLで1回、水6.9mLで1回洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をヘプタン23.0mLに溶解し、DMF11.0mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン11.0mLを加え、アセトニトリル11.0mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮してTIPS3−Dpm−OHを含む混合物を得た。
【0158】
(3)前工程で得た混合物をTHF15.2mLに溶解し、ビス(p−ニトロフェニル)リン酸アジド0.83g(2.28mmol)、DBU0.34mL(2.28mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。反応溶液をCPME44.1mLで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液15.0mLで2回分液洗浄した。得られた有機層を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン30.0mLに溶解させ、アセトニトリル15.0mLで1回、水7.6mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン15.2mLを加え、DMF7.6mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに3回行った後、アセトニトリル7.6mLで3回分液洗浄し、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、TIPS3−Dpm−N3 0.63gを得た。
【0159】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.12−1.16(m,63H),1.20−1.51(m,50H),1.59−1.66(m,4H),3.64−3.75(m,12H),6.25(s,1H),6.45(dd,1H),6.57(d,1H),6.84−6.88(m,2H),7.33−7.37(m,2H)7.39(d,1H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.8(9C),18.7(18C),26.7(3C),26.8(2C),26.9,29.8−30.5(18C),33.9(3C),63.2,64.1(3C),68.3,68.4,68.5,100.7,105.3,115.0(2C),121.8,129.5(2C),129.8,132.8,158.1,159.6,161.2
【0160】
(4)THF2.9mLにTIPS3−Dpm−N30.53g(0.43mmol)を溶解させ、トリフェニルホスフィン0.34g(1.28mmol)と水0.31mL(17.1mmol)を添加し、60℃で6時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン8.6mLに溶解させ、DMF4.3mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに2回行った後、ヘプタン層にヘプタンを4.3mL加え、50%含水アセトニトリル4.3mLで分液洗浄した。前記のへプタンと50%含水アセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層にヘプタン4.3mLを加え、アセトニトリル4.3mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=17:1→酢酸エチル)で精製し、TIPS3−Dpm−NH20.25gを得た。
【0161】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.12−1.16(m,63H),1.20−1.51(m,50H),1.58−1.68(m,6H),3.56−3.75(m,10H),3.80(t,2H),5.60(s,1H),6.53(dd,1H),6.60(d,1H),6.92−6.98(m,2H),7.53(d,1H),7.54−7.59(m,2H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.8(9C),18.7(18C),26.7(2C),26.8(2C),26.9(2C),29.6−30.5(18C),33.9(3C),54.0,64.1(3C),68.2,68.3,68.4,100.8,105.1,114.8(2C),128.3,128.9,129.1(2C),138.9,158.0,158.9,160.2
【0162】
実施例13
TIPS6−Dpm−NH2の合成
【0163】
【化25】
【0164】
(以下、Br−(CH210−CONH−C(CH2OTIPS)3、TIPS6−Dpm−C=O、TIPS6−Dpm−OH、TIPS6−Dpm−N3、TIPS6−Dpm−NH2は式中の構造を示すこととする。)
【0165】
(1)Br−(CH210−CONH−C(CH2OTIPS)3 13.11g(15.66mmol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン1.36g(6.34mmol)、炭酸カリウム2.93g(21.17mmol)をDMF42mLに懸濁し、110℃に加熱し、3時間撹拌した後、120℃に加熱し、1時間攪拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン89mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン42mLを加え、DMF42mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層に、ヘプタン42mLを加え、1N塩酸42mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液42mLで1回、水42mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン85mLを加え、DMF42mLで1回、アセトニトリル42mLで2回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=25:1→15:1)で精製し、TIPS6−Dpm−C=O 5.36g(収率49.0%)を得た。
【0166】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.15−1.20(m,126H),1.23−1.38(m,24H),1.56−1.65(m,4H),1.71−1.82(m,4H),2.20(t,4H),3.61(t,4H),4.43(s,12H),5.90(s,2H),6.77−6.81(m,4H),7.89−7.95(m,4H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.7(18C),18.7(36C),26.6(2C),26.7(2C),29.8−30.3(12C),38.2(2C),62.3(6C),62.8(2C),68.5(2C),114.6(4C),131.9(2C),132.9(4C),163.0(2C),172.3(2C),193.8
【0167】
(2)TIPS6−Dpm−C=O 5.19g(3.01mmol)をTHF(無水)22.9mL、メタノール1.15mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム0.14g(3.61mmol)を添加し、2時間撹拌した。反応溶液に1N塩酸2.9mLを加え反応を停止し、CPMEを130mL加え、1N塩酸39mLで1回、水39mLで3回洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をヘプタン130mLに溶解し、DMF65mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン65mLを加え、アセトニトリル65mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮してTIPS6−Dpm−OHを含む混合物を得た。
【0168】
(3)前工程で得た混合物をTHF60mLに溶解し、ビス(p−ニトロフェニル)リン酸アジド3.29g(9.02mmol)、DBU1.35mL(9.02mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。反応溶液をCPME174mLで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液59mLで1回、水500mLで6回分液洗浄した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン120mLに溶解させ、DMF60mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層にヘプタン60mLを加え、アセトニトリル60mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=40:1→20:1)で精製し、TIPS6−Dpm−N3 1.36g(収率31.0%、2steps)を得た。
【0169】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.15−1.20(m,126H),1.23−1.38(m,24H),1.58−1.67(m,4H),1.70−1.79(m,4H),2.19(t,4H),3.64(t,4H),4.42(s,12H),5.36(s,1H),5.89(s,2H),6.80−6.85(m,4H),7.13−7.18(m,4H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.7(18C),18.7(36C),26.6(2C),26.8(2C),29.8−30.3(12C),38.2(2C),62.3(6C),62.8(2C),68.3(2C),68.4,115.2(4C),129.4(4C),132.8(2C),159.8(2C),172.3(2C)
【0170】
(4)THF4.72mLにTIPS6−Dpm−N31.24g(0.71mmol)を溶解させ、トリフェニルホスフィン0.56g(2.13mmol)と水0.51mL(28.33mmol)を添加し、60℃で6時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン14.2mLに溶解させ、DMF7.1mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに2回行った後、ヘプタン層にヘプタンを7.1mL加え、50%含水アセトニトリル7.1mLで分液洗浄した。前記のへプタンと50%含水アセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層にヘプタン7.1mLを加え、アセトニトリル7.1mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=15:1→酢酸エチル)で精製し、TIPS6−Dpm−NH21.13g(収率92.2%)を得た。
【0171】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.15−1.20(m,126H),1.23−1.38(m,24H),1.60−1.82(m,10H),2.19(t,4H),3.70(t,4H),4.43(s,12H),4.97(s,1H),5.90(s,2H),6.87−6.92(m,4H),7.32−7.37(m,4H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.7(18C),18.6(36C),26.6(2C),26.8(2C),29.8−30.3(12C),38.3(2C),59.4,62.3(6C),62.8(2C),68.3(2C),115.0(4C),128.7(4C),139.4(2C),159.0(2C),172.3(2C)
【0172】
実施例14
TIPS9−Dpm−NH2の合成
【0173】
【化26】
【0174】
(以下、TIPS9−Dpm−C=O、TIPS9−Dpm−OH、TIPS9−Dpm−N3、TIPS9−Dpm−NH2は式中の構造を示すこととする。)
【0175】
(1)Br−(CH210−CONH−C(CH2OTIPS)3 3.36g(4.02mmol)、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン0.25g(1.09mmol)、炭酸カリウム0.75g(5.43mmol)をDMF7.2mLに懸濁し、120℃に加熱し、5時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン15.2mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン7.2mLを加え、DMF7.2mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層に、ヘプタン7.2mLを加え、1N塩酸7.2mLで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液7.2mLで1回、水7.2mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン14.5mLを加え、DMF7.2mLで1回、アセトニトリル7.2mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=20:1→10:1)で精製し、TIPS9−Dpm−C=O 1.81g(収率66.7%)を得た。
【0176】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.15−1.20(m,189H),1.23−1.38(m,36H),1.50−1.82(m,12H),2.16−2.26(m,6H),3.58(t,2H),3.63(t,2H),3.73(t,2H),4.43(s,18H),5.91(s,3H),6.42(dd,1H),6.59(d,1H),6.78−6.83(m,2H),7.60(d,1H),8.03−8.08(m,2H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.7(27C),18.7(54C),26.5,26.6(3C),26.7,26.8,29.7−30.4(18C),38.2(3C),62.3(9C),62.8(3C),68.5(2C),68.8,101.0,105.7,114.4(2C),124.0,132.3,132.6(2C),133.2,159.4,163.1,163.3,172.3(3C),194.1
【0177】
(2)TIPS9−Dpm−C=O 1.69g(0.68mmol)をTHF(無水)5.1mL、メタノール0.26mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム31mg(0.81mmol)を添加し、2.5時間撹拌した。反応溶液に1N塩酸0.64mLを加え反応を停止し、CPMEを42mL加え、1N塩酸13mLで1回、水13mLで3回洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をヘプタン42mLに溶解し、DMF21mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン21mLを加え、アセトニトリル21mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮してTIPS9−Dpm−OHを含む混合物を得た。
【0178】
(3)前工程で得た混合物をTHF13.5mLに溶解し、ビス(p−ニトロフェニル)リン酸アジド0.74g(2.03mmol)、DBU0.30mL(2.03mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。反応溶液をCPME39mLで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液13mLで1回、水78mLで5回分液洗浄した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン27mLに溶解させ、DMF14mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン14mLを加え、アセトニトリル7mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=30:1→20:1)で精製し、TIPS9−Dpm−N3 0.42g(収率24.4%、2steps)を得た。
【0179】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.15−1.20(m,189H),1.23−1.38(m,36H),1.50−1.82(m,12H),2.16−2.26(m,6H),3.56−3.70(m,4H),3.73(t,2H),4.43(s,18H),5.90(s,3H),6.27(s,1H),6.45(dd,1H),6.57(d,1H),6.85−6.90(m,2H),7.33−7.40(m,3H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.7(27C),18.7(54C),26.6(3C),26.7,26.9(2C),29.8−30.4(18C),38.3(3C),62.3(9C),62.8(3C),63.1,68.3,68.4,68.5,100.6,105.4,115.0(2C),121.8,129.4(2C),129.9,132.8,158.2,159.6,161.2,172.3(3C)
【0180】
(4)THF0.91mLにTIPS9−Dpm−N30.35g(0.14mmol)を溶解させ、トリフェニルホスフィン0.11g(0.41mmol)と水0.10mL(5.50mmol)を添加し、60℃で6時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン2.8mLに溶解させ、DMF1.4mLで分液洗浄した。前記のへプタンとDMFによる分液洗浄を、さらに2回行った後、ヘプタン層にヘプタンを1.4mL加え、50%含水アセトニトリル1.4mLで分液洗浄した。前記のへプタンと50%含水アセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った。得られたヘプタン層にヘプタン1.4mLを加え、アセトニトリル1.4mLで分液洗浄した。前記のへプタンとアセトニトリルによる分液洗浄を、さらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=17:1→酢酸エチル)で精製し、TIPS9−Dpm−NH20.25g(収率94.6%)を得た。
【0181】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d6)δ1.15−1.20(m,189H),1.23−1.38(m,36H),1.50−1.82(m,14H),2.16−2.26(m,6H),3.58−3.68(m,2H),3.73(t,2H),3.79(t,2H),4.43(s,18H),5.62(s,1H),5.90(s,3H),6.53(dd,1H),6.60(d,1H),6.93−6.99(m,2H),7.52(d,1H),7.55−7.61(m,2H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d6)δ12.7(27C),18.7(54C),26.6(3C),26.8,26.9(2C),29.8−30.4(18C),38.3(3C),53.9,62.3(9C),62.8(3C),68.3(2C),68.4,100.7,105.1,114.7(2C),128.3,128.9,129.1(2C),139.0,158.0,158.9,160.2,172.3(3C)
【0182】
実施例15
Fmoc−D−Ala−NH−(TIPS2−Dpm)の合成
【0183】
【化27】
【0184】
(以下、Fmoc−D−Ala−NH−(TIPS2−Dpm)は式中の構造を示すこととする。)
【0185】
(1)TIPS2−Dpm−C=O 45.0g(51.9mmol)をTHF(無水)395mL、メタノール19.8mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム2.36g(62.3mmol)を添加し、3時間30分撹拌した。反応溶液に1N塩酸49.3mLを加え反応を停止し、CPMEを1125mL加え、1N塩酸340mLで2回、20%食塩水340mLで1回洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウム45.1gを加え、充分撹拌した後濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、TIPS2−Dpm−OHを含む混合物を得た。
【0186】
(2)前工程で得た混合物をトルエン695mLに溶解し、Fmoc−D−Ala−NH2 19.3g(62.3mmol)、メタンスルホン酸168μL(2.6mmol)を添加し、100℃で1時間撹拌した。反応溶液を27℃に冷却し、DIPEA474μL(2.7mmol)を添加し、反応を停止した。CPME68mLとヘプタン2250mLで希釈し、メタノール/水=8/2の混合液2250mLで1回分液洗浄した。得られた有機層にCPME 68mLを添加し、メタノール/水=8/2の混合液1125mLで1回分液洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をTHF 180mLに溶解させ、再度、減圧下で濃縮した。残渣をTHF113mLに溶解し、メタノール 2251mL添加し、スラリー洗浄し、沈澱物を濾取した。得られた沈澱物にメタノール2251mL添加し、スラリー洗浄し、沈澱物を濾取した。沈澱物を減圧下で乾燥させ、Fmoc−D−Ala−NH−(TIPS2−Dpm) 48.8g(収率81.0%、2steps)を得た。
【0187】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.04−1.08(m,42H),1.23−1.48(m,31H),1.49−1.59(m,4H),1.67−1.80(m,4H),3.67(t,4H),3.82(t,2H),3.89(t,2H),4.16(t,2H),4.30(t,1H),4.37−4.44(m,1H),5.39(d,1H),6.10(d,1H),6.65(d,1H),6.78(dd,4H),7.04−7.12(m,4H),7.25−7.32(m,2H),7.39(t,2H),7.55(t,2H),7.76(d,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ12.2(6C),18.2(13C),26.0(2C),26.2(2C),29.4−29.8(12C),33.2(2C),47.2,50.7,56.1,63.7(2C),67.3,68.1,68.2,114.7(4C),120.1(2C),125.2(2C),127.3(2C),127.9(2C),128.5(4C),133.4,133.5,141.4(2C),143.8,144.0,156.2,158.6(2C),171.1
【0188】
実施例16
Fmoc−Cys(TIPS2−Dpm)−NH2の合成と脱保護
【0189】
【化28】
【0190】
(以下、Fmoc−Cys(TIPS2−Dpm)−NH2は式中の構造を示すこととする。)
【0191】
(1)TIPS2−Dpm−C=O 0.35g(0.40mmol)をTHF(無水)3.1mL、メタノール0.15mLの混合溶液に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム18mg(0.48mmol)を添加し、3時間撹拌した。反応溶液に1N塩酸0.38mLを加え反応を停止し、CPMEを8.7mL加え、1N塩酸2.6mLで2回、20%食塩水2.6mLで1回洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウム0.35gを加え、充分撹拌した後濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、TIPS2−Dpm−OHを含む混合物を得た。
【0192】
(2)前工程で得た混合物をトルエン5.4mLに溶解し、Fmoc−L−Csy−NH2 0.14g(0.41mmol)、メタンスルホン酸1.3μL(0.02mmol)を添加し、100℃で30分撹拌した。反応溶液を5℃に冷却し、DIPEA3.7μL(0.02mmol)を添加し、反応を停止した。CPME0.5mLとヘプタン17.4mLで希釈し、メタノール/水=8/2の混合液17.4mLで1回分液洗浄した。得られた有機層にCPME 0.5mLを添加し、メタノール/水=8/2の混合液8.7mLで1回分液洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣をTHF 1.4mLに溶解させ、再度、減圧下で濃縮した。残渣にメタノール 17.5mL添加し、5℃に冷却後、デカンテーションにより溶媒と沈澱物を分離した。得られた沈澱物にメタノールを8.7mL添加し、5℃に冷却後、デカンテーションにより溶媒と沈澱物を分離した。沈澱物を減圧下で乾燥させ、Fmoc−Cys(TIPS2−Dpm)−NH2 0.48g(収率99.8%、2steps)を得た。
【0193】
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.03−1.09(m,42H),1.24−1.48(m,28H),1.51−1.59(m,4H),1.70−1.80(m,4H),2.77(d,2H),3.68(t,4H),3.85−3.94(m,4H),4.22(t,1H),4.26−4.34(m,1H),4.45(d,2H),5.17(s,1H),5.60(s,2H),6.12(s,1H),6.78−6.85(m,4H),7.26−7.34(m,6H),7.41(t,2H),7.56−7.64(m,2H),7.78(d,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ12.2(6C),18.2(12C),26.0(2C),26.2(2C),29.4−29.8(12C),33.2(2C),34.4,47.3,51.0,53.5,63.7(2C),67.3,68.1,68.2,114.6(2C),114.7(2C),120.2(2C),125.2(2C),127.3(2C),127.9(2C),129.4(2C),129.5(2C),133.0(2C),141.5(2C),143.8(2C),156.1,158.5(2C),172.6
【0194】
(3)Fmoc−Cys(TIPS2−Dpm)−NH2 0.40g(0.34mmol)をジクロロメタン 5.34mLに溶解し、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール 0.34mL(2.07mmol)、トリイソプロピルシラン0.34mL(1.56mmol)、トリフルオロ酢酸0.67mL(8.81mmol)を添加し、室温で20分撹拌した。Fmoc−Cys(TIPS2−Dpm)−NH2の消失を確認後、反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣を5℃に冷却したジイソプロピルエーテル27mLに滴下し、沈澱物を濾取した。このジイソプロピルエーテルによるスラリー洗浄、濾過をさらに3回行い、沈殿物を濾取した。沈澱物を減圧下で乾燥し、Fmoc−L−Cys−NH2 0.090gを得た。
【0195】
1H−NMR(400MHz,DMSO-d6)δ2.27(t,1H),2.60−2.90(m,2H),4.01−4.11(m,1H),4.18−4.38(m,3H),7.15(s,1H),7.33(t,2H),7.37−7.52(m,4H),7.74(dd,2H),7.89(d,2H)
13C−NMR(100MHz,DMSO-d6)δ26.2,46.7,57.1,65.7,120.1(2C),125.3(2C),127.1(2C),127.6(2C),140.7(2C),143.8,143.9,156.0,171.9
【0196】
実施例17
ペプチド化合物に対する溶解度向上性能の確認
本発明におけるジフェニルメタン保護剤で保護した化合物の溶解度を測定した結果を図1に示す。
モデルとして使用したペプチド:H−Gly−Gly−Gly−NH2
H−Gly−Gly−Gly−NH2、H−Gly−Gly−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)を合成し、25℃でCPME(シクロペンチルメチルエーテル)にそれぞれの化合物を飽和させ、その溶解度を測定した。
その結果、TIPS型保護剤の結合していないH−Gly−Gly−Gly−NH2がCPMEに対しわずか0.039mMしか溶解しないのに比べ、TIPS2−Dpm−NH2を結合した場合、426mMと約1万倍以上溶解度が向上した。その結果を図1に示す。この結果から、ジフェニルメタン保護剤で誘導体化することで、ペプチドの溶解度が著しく向上することが確認できた。なお、H−Gly−Gly−Gly−NH2とH−Gly−Gly−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)は下記の構造を示すこととする。
【0197】
【化29】
【0198】
実施例18
H−Gly−Gly−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)の合成
TIPS2−Dpm−NH2 0.44g(0.50mmol)をCPME3.3mLに溶解し、DMF0.8ml、DIPEA0.43mL(2.47mmol)、Fmoc−Gly−OH 0.27g(0.89mmol)、WSCI・HCl 0.16g(0.84mmol)を加え、室温で45分撹拌した。TIPS2−Dpm−NH2の消失を確認後、2−(2−アミノエトキシ)エタノール79μL(0.79mmol)を加え、室温で15分撹拌した。反応溶液にDMSO 1.6mLに溶解した3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム0.32g(1.78mmol)を添加し、DBU0.60mL(4.01mmol)を加え、30分撹拌した。Fmoc−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)の消失を確認後、5℃に冷却した後、4M CPME/HCl 1.59mL(5.93mmol)を滴下し、室温まで昇温し、CPME1.31mL、20%食塩水7.8mL、10%炭酸ナトリウム水溶液6.7mLを加え、分液洗浄した。得られた有機層に20%食塩水9.7mL、DMSO 0.26mL、DMF 0.26mLを加え、分液洗浄した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン17.5mLに溶解させ、90%含水アセトニトリル17.5mLで2回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、残渣を減圧下で乾燥し、H−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)を含む混合物を得た。なお、Fmoc−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)とH−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)は下記の構造を示すこととする。
【0199】
【化30】
【0200】
得られた混合液に対し、CPME 3.2mL、DMF0.8ml、DIPEA0.42mL(2.41mmol)、Fmoc−Gly−Gly−OH 0.22g(0.63mmol)、COMU 0.25g(0.58mmol)を加え、室温で1時間15分撹拌した。H−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)の消失を確認後、2−(2−アミノエトキシ)エタノール29μL(0.29mmol)を加え、室温で15分撹拌した。反応溶液にDMSO 1.2mLに溶解した3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム0.22g(1.26mmol)を添加し、DBU0.49mL(3.31mmol)を加え、30分撹拌した。Fmoc−Gly−Gly−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)の消失を確認後、5℃に冷却した後、4M CPME/HCl 1.23mL(4.85mmol)を滴下し、室温まで昇温し、CPME1.34mL、20%食塩水6.4mL、10%炭酸ナトリウム水溶液5.6mLを加え、分液洗浄した。得られた有機層に50%リン酸水素二カリウム水溶液4.2mL、DMSO 0.11mL、DMF 0.11mLを加え、分液洗浄した。得られた有機層に50%リン酸水素二カリウム水溶液4.2mL、DMSO 0.11mL、DMF 0.11mLを加え、分液洗浄した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン17.9mLに溶解させ、90%含水アセトニトリル17.9mLで2回、水17.9mLで1回、90%含水アセトニトリル17.9mLで1回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、残渣を減圧下で乾燥し、H−Gly−Gly−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)0.36gを得た。ESIMS MH+ 1039.9
なお、Fmoc−Gly−Gly−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)は下記の構造を示すこととする。
【0201】
【化31】
【0202】
実施例19
H−Gly−Gly−Gly−NH2の合成
H−Gly−Gly−Gly−NH−(TIPS2−Dpm) 51.0mg(0.049mmol)にトリフルオロ酢酸0.932mL(12.17mmol)、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール 25μL(0.151mmol)、トリイソプロピルシラン25μL(0.114mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。H−Gly−Gly−Gly−NH−(TIPS2−Dpm)の消失を確認後、反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣を5℃に冷却したジイソプロピルエーテル3.4mLに滴下し、沈澱物を濾取した。このジイソプロピルエーテルによるスラリー洗浄、濾過をさらに3回行い、沈殿物を濾取した。沈澱物を減圧下で乾燥し、H−Gly−Gly−Gly−NH2 14.8mgを得た。ESIMS MK+ 226.9
【0203】
以上の結果から、本発明のジフェニルメタン保護剤を用いて官能基を保護された化合物は、有機溶媒に対する溶解度が大幅に向上することがわかった。
【要約】
官能基を保護した化合物を固体化又は不溶化させず、反応後の分離、精製を容易ならしめる保護基を開発することにある。
一般式(1)
(式中、Yは−OR19(ここでR19は水素原子又は活性エステル型保護基を示す)、−NHR20(ここで、R20は水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す等を示し、R1〜R10のうちの少なく
とも1個は式(2)
で表される基を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示し;
11は炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し;
XはO又はCONR21(ここでR21は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し;
Aは式(3)等
で表される基を示す)
で表されるジフェニルメタン化合物。
図1