特許第6283780号(P6283780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283780
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】製品の取付け具
(51)【国際特許分類】
   F16B 47/00 20060101AFI20180208BHJP
   B60J 3/00 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   F16B47/00 H
   B60J3/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-206156(P2015-206156)
(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-78450(P2017-78450A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】594018658
【氏名又は名称】佐合 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100101627
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 宜延
(72)【発明者】
【氏名】佐合 則夫
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3067074(JP,U)
【文献】 実開昭49−077361(JP,U)
【文献】 特開2007−045379(JP,A)
【文献】 実開昭49−037674(JP,U)
【文献】 特開2014−149078(JP,A)
【文献】 実開昭55−038931(JP,U)
【文献】 実開昭62−192604(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 45/00−47/00
B60J 3/00
H01F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性体の板片又は強磁性体入りテープ片からなる磁石吸引片の一方の面に、粘着剤層と剥離材とが積層付与され、該剥離材を剥がして製品に貼着される粘着剤層付き磁石吸引片と、
一端側にマグネット体を配する一方、他端側に係止部を配して、両者を、密着巻きされた樹脂製引張コイルばねのばね部で形成された、屈曲自在の棒状頸部で連結してなるマグネット体付き係止部材と、を具備し、
製品に貼着された前記粘着剤付き磁石吸引片の該磁石吸引片に、被係止対象物に前記係止部を係止させた前記マグネット体付き係止部材の該マグネット体が、前記頸部の首を曲げさらに伸長して近づき吸着できるようにし、前記粘着剤層付き磁石吸引片及び前記マグネット体付き係止部材を介在させて、該被係止対象物に該製品を取付けることを特徴とする製品の取付け具。
【請求項2】
前記製品がサンシェードである請求項1記載の製品の取付け具。
【請求項3】
前記マグネット体の磁力吸着用頂面に端面を合わせ且つ該頂面周りの側壁を囲って環状部を形成し、さらに該側壁から該環状部の外周面までの環状幅が、前記磁石吸引片の厚みよりも大きくした請求項1又は2に記載の製品の取付け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンシェード等の製品を車両フロントウインドなどの被係止対象物に取付けるのに用いられる製品の取付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
炎天下で直射日光に晒されると、ハンドルやシフトノブが触れられないほど熱くなる場合があり、サンシェードが有効活用されている。
そして、このサンシェードをフロントガラスに係止する取付け具が種々存在し、マグネットを用いた発明も提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−45379公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1は、その請求項2に記載のごとく「フロントガラス上部の左右2カ所に両面テープまたは吸着材を用いて基部を固定する。サンシェードの縁左右2ヶ所に金属の板を取り付ける。基部の背面には磁石が付いており、サンシェードを使用する際は基部背面の磁石にサンシェードに取り付けた金属板をくっつけることを特徴とするサンシェード保持具。」でしかない。サンシェードP1は折畳まれて折りぐせがついているのが通常である。ジグザグ状になったサンシェードP1の本体P10を広げてこれに固着する金属板Nを、基部K上の磁石Zにくっつけようとすると、くっついても折りぐせの折り目P19が残っているため、図6のごとく磁石Zの一部としかくっつかない。そのため、少しの外力が加わるとサンシェードP1が外れてしまう虞がある。
その一方で、面倒を我慢して助手席側に座り、サンシェードP1の金属板Nと磁石Zとの面同士を合わせきちんとくっつけると、今度はそのくっついた状態から外すのが困難になる。運転手が用事を済ませた後、車両に戻り、サンシェードP1を取り外そうとすると、金属板Nと磁石Zとが面同士で吸着接合していることから、磁力に抗して引き離すのに結構な力を要した。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、サンシェードを含めた製品の取付けを確実にする一方、取り外す際は楽に手前に引き寄せるだけで外すことができる製品の取付け具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、強磁性体の板片又は強磁性体入りテープ片からなる磁石吸引片の一方の面に、粘着剤層と剥離材とが積層付与され、該剥離材を剥がして製品に貼着される粘着剤層付き磁石吸引片と、一端側にマグネット体を配する一方、他端側に係止部を配して、両者を、密着巻きされた樹脂製引張コイルばねのばね部で形成された、屈曲自在の棒状頸部で連結してなるマグネット体付き係止部材と、を具備し、製品に貼着された前記粘着剤付き磁石吸引片の該磁石吸引片に、被係止対象物に前記係止部を係止させた前記マグネット体付き係止部材の該マグネット体が、前記頸部の首を曲げさらに伸長して近づき吸着できるようにし、前記粘着剤層付き磁石吸引片及び前記マグネット体付き係止部材を介在させて、該被係止対象物に該製品を取付けることを特徴とする製品の取付け具にある。
請求項2の発明たる製品の取付け具は、請求項1で、製品がサンシェードであることを特徴とする。請求項3の発明たる製品の取付け具は、請求項1又は2で、マグネット体の磁力吸着用頂面に端面を合わせ且つ該頂面周りの側壁を囲って環状部を形成し、さらに該側壁から該環状部の外周面までの環状幅が、前記磁石吸引片の厚みよりも大きくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製品の取付け具は、マグネット体による磁力吸着による取付けが、該マグネット体を支える棒状頸部が首を曲げて被係止対象物へ近づくことができるので、製品に例えばサンシェードに用いた場合、運転席側からでも取付けがスムーズで、さらに環状部を設けることによって、取外しも円滑に行うことが可能になるなど優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1で、製品をサンシェードとし、被係止対象物をフロントウインドに適用した製品の取付け具の斜視図である。
図2図1を別角度からみた要部斜視図である。
図3】(イ)が金属板片を磁石に近づけた説明断面図、(ロ)が(イ)の状態から頸部を曲げて磁石が近づく説明断面図、(ハ)が金属板片の板面に磁石が磁力吸着した説明断面図、(ニ)は剥離材を有する粘着剤層付き金属板片の側面図である。
図4】(イ)が図3(ハ)の状態から金属板片を矢印方向に動かす説明断面図、(ロ)が(イ)の移動状態が進んだ説明断面図、(ハ)が(ロ)の移動状態が進んでマグネット体が傾いた説明断面図、(ニ)が(ハ)の要部拡大図である。
図5参考形態2で、(イ)が図3(イ)に対応する説明断面図で、(ロ)がマグネット体付き係止部材の説明断面図、(ハ)が粘着剤層付き磁石吸引片の説明断面図である。
図6】従来技術の説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る製品の取付け具について詳述する。
(1)実施形態1
図1図4は本発明の製品の取付け具の一形態で、図1は製品をサンシェードとし、被係止対象物をフロントウインドに適用した本製品の取付け具の斜視図、図2図1を別角度からみた要部斜視図、図3は製品を取付ける説明図で、(イ)が金属板片を磁石に近づけた場面の説明断面図、(ロ)が(イ)の状態から頸部を曲げて磁石が近づく説明断面図、(ハ)が金属板片の板面に磁石が磁力吸着した説明断面図、(ニ)は剥離材を有する粘着剤層付き金属板片の側面図、図4は製品を取外す説明図で、(イ)が図3(ハ)の状態から金属板片を矢印方向に移動させる説明断面図、(ロ)が(イ)の移動状態が進んだ説明断面図、(ハ)が(ロ)の移動状態が進んでマグネット体が傾いた説明断面図、(ニ)が(ハ)の要部拡大図を示す。尚、各図は図面を判り易くするため粘着剤層,剥離材等の各構成要素の厚みを強調して大きく描く。脱落防止具9は図1にのみ図示する。
【0010】
製品の取付け具は、粘着剤層付き磁石吸引片Aとマグネット体付き係止部材Bとを具備する。本実施形態はサンシェードP1たる製品PをフロントウインドF1たる被係止対象物Fへ取付ける製品の取付け具に適用する。
【0011】
粘着剤層付き磁石吸引片Aは、図3(ニ)のごとく磁石吸引片たる金属板片1と粘着剤層3と剥離材4とを備える。粘着剤層付き磁石吸引片Aは、強磁性体の板片からなる磁石吸引片の一方の面に、粘着剤層3と剥離材4とが積層付与され、該剥離材4を剥がして製品Pに貼着される。「強磁性体の板片からなる磁石吸引片」に係る強磁性体とは鉄,ニッケル,コバルト及びその合金などのように磁石に強く引き付けられる物質をいう。本実施形態の粘着剤層付き磁石吸引片Aに係る磁石吸引片は、鉄製の薄板を図1のごとく円形板片にカットした金属板片1を用いる。両面テープの一方の面を該金属板片1に貼着し、他方の面を製品PたるサンシェードP1に貼着して、粘着剤層付き磁石吸引片Aが該サンシェードP1に一体化される。粘着剤層付き磁石吸引片Aは金属板片1の一方の面全体に粘着剤層3が付与され、金属板片1と同じ大きさの剥離材4が該粘着剤層3を覆って積層付与されている。製品の取付け具として粘着剤層付き磁石吸引片Aを機能発揮させる場合は、剥離材4を剥がして、製品Pに粘着剤層3側を対向させて粘着剤層付き磁石吸引片Aを貼着する。本発明でいう剥離材4は剥離紙や剥離フィルムを指す。粘着剤層付き磁石吸引片Aは、サンシェード本体P10の折り目P19以外の箇所に取付けられる。
尚、金属板片1は矩形でもよいが、図1のように円形状にすることによって角部がなくなるので、怪我防止につながりより好ましくなる。また金属板片1の厚みは環状部8(詳細後述)の環状幅8Wよりも薄くするのがより好ましい。粘着剤層付き磁石吸引片Aからのマグネット体付き係止部材Bの取外しが容易になるからである(詳細後述)。
【0012】
マグネット体付き係止部材Bは、マグネット体5と係止部6と棒状頸部7とを備える。一端側にマグネット体5を配する一方、他端側に係止部6を配して、両者が屈曲自在の棒状頸部7で連結一体化されたマグネット体付き係止部材Bになっている。
【0013】
マグネット体5は永久磁石で、ここでは外観形状を円柱状とする。マグネット体5を構成する磁石は固体磁石(又は可撓性磁石)で、磁石は磁力が強力なNd,Sm等のレアアースを含む希土類磁石や希土類鉄磁石が好ましく、本実施形態もこれらの固体磁石を採用する。
【0014】
係止部6は製品Pを取付ける被係止対象物FたるフロントウインドF1に係止固定するための部材である。本実施形態の係止部6は図1のような透明の吸盤6aとする。この吸盤6aを被係止対象物Fたる車両フロントウインドF1に係止させたときに、該吸盤6aは平盤状になるようにしている(図2,図3)。屋外に置かれた車両にあって、吸盤6aを通過する太陽光が焦点をつくらないようにするためである。符号Cは吸盤6aを係止させた状態でできるキャビティを示す。尚、吸盤6aをフロントウインドF1に係止させた実際のキャビティCは、図示したものよりも小さい。吸盤6aは透明にすることによって、車両のフロントウインドF1に取付けても、運転手の視覚を遮ることがないので運転の支障にならない。
【0015】
頸部7はマグネット体5と係止部6とを連結する屈曲自在の棒状部材で、本実施形態の頸部7は、図1図4に示すような密着巻きされた樹脂製引張コイルばねのばね部7aで形成されている。コイル状のばね部7aは、初張力を有効利用して占有スペースを小さくするため、密着巻きとする。ばね部7aは、その基端部分が係止部6たる前記吸盤6aの外面中央に接着固定して起立する。そして、ばね部7aの先端部分にマグネット体5が挿入する形で接着固定されている。コイル状ばね部7aに係る先端部分の螺旋状中空部分にマグネット体5が挿着固定される格好である。先端部分の先端面80とマグネット体5の頂面50を合わせ、両者を略面一とする。
屈曲自在のこのコイル状ばね部7aの頸部7を有することから、フロントウインドF1に吸盤6aを係止させたマグネット体付き係止部材Bは、サンシェードP1に貼着された粘着剤層付き磁石吸引片Aの金属板片1に、マグネット体5が頸部7の首を曲げて近づき、さらに磁力吸引で吸着できる。
【0016】
詳しくは、助手席側フロントウインドF1の上部に係止固定した図1のマグネット体付き係止部材Bの場合、助手席側乗員がサンシェードP1に貼着した金属板片1を同図矢印のように両者を接合できればよいが、助手席側乗員がいない場合は、運転手が行うことになる。斯かるケースでは、運転席側から運転手がサンシェードP1を広げ、その基端部側を手に持って、サンシェード先端部に係止させた金属板片1が図3(イ)のようにマグネット体付き係止部材Bのマグネット体5に近づくような作業をする。
ここで、従来はサンシェードP1が折畳まれて折り目P19の折りぐせがついていることもあって、金属板片1の板面とマグネット体5の頂面50が平行に向かい合って接合することは難しく、マグネット体5に金属板片1がくっついても図6のように一部しかくっつかないケースが往々にしてあった。
しかるに、本製品の取付け具に係るマグネット体付き係止部材Bは、屈曲自在の頸部7を有して、マグネット体5の磁石吸引力が働く。したがって、マグネット体付き係止部材Bのマグネット体5に近づくと、該マグネット体付き係止部材Bの頭部が図2,図3(イ)の矢印方向に動く。マグネット体5の磁力吸着用頂面50と金属板片1の板面とが対向するように、頸部7が首を曲げる(図3のロ)。加えて、磁力吸引で金属板片1及びサンシェードP1を引き寄せたり、マグネット体5自らもばね部7aが密着巻き状態から伸びて金属板片1に近づこうとしたりする。そうして、マグネット体5は磁力吸引で金属板片1と面同士の吸着に至る。向かい合ったマグネット体5の頂面50と金属板片1の板面が磁力吸着で接合一体化する(図3のハ)。かくのごとく、屈曲自在の頸部7の存在で、マグネット体5の面と金属板片1の面との磁力吸着が円滑に進み、被係止対象物FたるフロントウインドF1に製品PたるサンシェードP1が強固且つ確実に取付けられるようになる。粘着剤層付き磁石吸引片A及びマグネット体付き係止部材Bを介在させて、被係止対象物Fに製品Pを簡便に取付けることができる。
【0017】
本実施形態の製品の取付け具は、さらに環状部8を具備する。マグネット体5の磁力吸着用頂面50に環状部8の端面80を合わせ且つ該頂面50周りの側壁51を囲う環状部8が形成される。該側壁51から環状部8の外周面81までの環状幅8Wが、前記磁石吸引片たる金属板片1の厚みtよりも大きく設定される(図4)。
ここでの環状部8はコイルばねによる内側環状部8aと樹脂製外側環状部8bとを備える。既述のごとく、ばね部7aの先端部分にマグネット体5が挿入する形で接着固定される構成であり、該先端部分が内側環状部8aを形成し、該先端部分の側周面を樹脂製外側環状部8bが取り囲んで固着する。尚、マグネット体5が棒状頸部7に挿入固着し且つ樹脂製環状部8が固着するばね部7aの先端部分だけは、他のばね部7a主要部分と違って固定されており、弾性変形で曲がったり伸縮したりしない。
【0018】
環状部8が形成されることによって、図3(ハ)のフロントウインドF1へのサンシェードP1たる製品Pの取付け状態からの取外しが容易になる。図4(イ)で、運転席側からサンシェードP1の運転席側に在る端を手に持って、運転手が同図矢印方向の手前に引き寄せると、マグネット体5の頂面50に対しサンシェードP1を平行にずらす格好となり、簡単にずれる。マグネット体頂面50に対し垂直方向に引き剥がすのではなく、頂面50と金属板片1の板面との密着面をずらす動作なので、磁石の特性からさほど力を要しない。そのまま手前に引き寄せていくと、マグネット体5がずれて、金属板片1の端まで移動する(図4のロ)。さらに引き寄せると、同図(ハ)のごとく、マグネット体5が金属板片1との吸着を保とうとする。頸部7の首を曲げ、さらに弾性変形させて対応してきた頸部7の上方側に在る頭部分に相当する環状部8が傾く。と同時に、側壁51から環状部8の外周面81までの環状幅8Wが、前記磁石吸引片たる金属板片1の厚みt(厳密にはさらに粘着剤層3の厚みが加わる)よりも大きく設定されているので、マグネット体5と金属板片1との直接接触が途絶える(図4のニ)。これにより、金属板片1へのマグネット体5の磁力吸引力が急激に低下する。マグネット体5が付いたフロントウインドF1から、金属板片1付きサンシェードP1を楽に取り外すことができる。環状部8を設けることで、運転席側から乗員が座ったまま、サンシェードP1を引き寄せる簡単な動作で取り外せるようになる。
【0019】
本製品の取付け具にはさらに脱落防止具9が吸盤6aに取付けられている。図1のごとく、脱落防止具9は紐部90の基端部分を吸盤6aの外面に固着し、先端部分側が接続部91を介して密着巻きの樹脂製引張コイルばねのばね部92につながる。そして、該ばね部92が接続部93、リング環94を介して図示ごとくの挟着形クリップ95につながっている。クリップ95をサンバイザーに挟着係止させると、万一、吸盤6aがフロントウインドF1から外れることがあっても、脱落せずにサンバイザーに保持される。
図中、符号P11はサンシェードP1の縁取り、符号P12は折畳まれたサンシェードP1を保持するゴム環、符号Dはボディパネル、符号Mはフロントウインドモールを示す。
【0020】
(2)参考形態2
参考形態図5ごとくの製品の取付け具で、図5(イ)が図3(イ)に対応する説明断面図で、(ロ)がマグネット体付き係止部材の説明断面図、(ハ)が粘着剤層付き磁石吸引片の説明断面図である。
参考形態製品の取付け具は、粘着剤層付き磁石吸引片Aの磁石吸引片を強磁性体入りテープ片2とする。具体的には、鉄粉配合樹脂(又は鉄粉配合ゴム)で成形したフェライトテープ片2の一方の面に、粘着剤層3と剥離材4とが積層付与される。粘着剤層3と剥離材4とが積層された複合フェライトテープ片2から剥離材4を剥がし、該粘着剤層3を製品Pに対向,貼着して製品側取付け具として使用される(図5のハ)。剥離材4を剥がして、製品Pの面に貼着一体化できるようにした粘着剤層3付きフェライトテープ片2とすると、金属板片1に比べて軽量且つ使い勝手に優れ、サンシェードP1への粘着剤層付き磁石吸引片Aの一体化作業が楽になりより好ましくなる。鉄粉とは鉄粉末又は鉄化合物の粉末である。尚、参考形態2には脱落防止具9はない。
【0021】
また、マグネット体付き係止部材Bに係る頸部7を、図5(イ)ごとくの中実用ゴム製(又は熱可塑性エラストマー)棒状体で形成する。頸部7の先端面中央には凹所が形成され、該凹所に、円柱状マグネット体5をその頂部が露出するようにして挿着固定される。そして、マグネット体5に係る該頂部の円柱側壁51を環状部8が囲う。ここでは、実施形態1に見られるコイルばねによる内側環状部8aはない。ただ、実施形態1と同様、マグネット体5の頂面50に端面80を合わせ且つ該頂面50周りの側壁51を囲った樹脂製環状部8が形成される。さらに側壁51から該環状部8の外周面81までの環状幅8Wが、磁石吸引片たる強磁性体入りテープ片2の厚みよりも大きく設定される。
【0022】
また、マグネット体付き係止部材Bに係る係止部6を、実施形態1の吸盤6aに代えて、図5(ロ)のような粘着剤層付き板片6bとする。粘着剤層付き板片6bに係る板片61はゴム製(又は樹脂製)とし、頸部7と一体成形で造られる。円形板片61の略中央に前記頸部7が起立するようにして一体成形される。頸部7と反対側のゴム製板片61の板面には、粘着剤層付き磁石吸引片Aと同じく、粘着剤層63と剥離材64とが積層付与される。該剥離材64を剥がして(図5のロ)、粘着剤層63付き板片61(粘着剤層付き板片6b)が被係止対象物FたるフロントウインドF1に係止固定される。
【0023】
そうして、製品Pに貼着された粘着剤層付き磁石吸引片Aの該磁石吸引片(粘着剤層3付きフェライトテープ片2)に、被係止対象物Fに係止部6を係止させたマグネット体付き係止部材Bの該マグネット体5が、頸部7の首を曲げて近づき吸着できるようにして、該被係止対象物Fに、本製品の取付け具を介して該製品Pを取付けることができるようになっている。
他の構成は実施形態1と同様で、詳細説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0024】
(3)効果
このように構成した製品の取付け具は、製品Pに貼着された粘着剤層付き磁石吸引片Aの該磁石吸引片(金属板片1又は強磁性体入りテープ片2)に、被係止対象物Fに係止部6を係止させたマグネット体付き係止部材Bの該マグネット体5が頸部7の首を曲げて近づき吸着できるようにする。すると、被係止対象物Fへの該製品Pの取付けで、磁石吸引片の面とマグネット体5の頂面50との向かい合わせが容易になるので、面全体で吸着接合できる。マグネット体5は、頸部7を設けることによって、金属板片1が近づけばこの方向に向き、該金属板片1を引き付ける。引き付けられた金属板片1の板面は、マグネット頂面50と平行に密着するため、磁力を100%利用できる。助手席側の吸盤6aが在る位置まで手が届かなくても、金属板片1が付いたサンシェード本体P10をその近くへもっていけば磁力吸着するので、サンシェードP1のフロントウインドF1への取付けが簡単になる。頸部7は、マグネット体5の吸着時に、金属板片1とマグネット体1の頂面50とが平行になって接合するようガイドし、両者が最も接合力を発揮する面同士の接合状態を作り出す。磁石の力は接触面に磁力線という引合う力が働くので、接触面が頂面50の面全体に広がることから、被係止対象物F(例えばフロントウインドF1)への製品P(サンシェードP1)の取付けを確実にして且つ強固にすることができる。
マグネット体5の吸着頂面50に端面80を合わせ且つ該吸着頂面50周りの側壁51を囲って環状部8を形成すると、頂面50の面全てが露出するので、該頂面50と垂直方向へ引き剥がすに必要な吸着力が大きくなって、被係止対象物Fへの製品Pの取付けが確実になる。
【0025】
一方、磁石吸引片の面とマグネット体5の頂面50とが面全体で吸着接合状態にある被係止対象物F(例えばフロントウインドF1)から製品P(サンシェードP1)を取外す場合は、磁力吸着であるので、運転席側から運転手が製品P(サンシェードP1)を、接触面に沿って滑らせるように引っ張ることによって製品Pを手元に楽に引き寄せることができる。ここで、金属板片1の面積を限定できるので、サンシェード本体P10を上下左右のいずれかの方向に移動させることによって簡単に磁力吸着を解除できる。磁力吸着性能はマグネット体5の容積と金属板片1の容積との組合せで変化するので、経済的な製品の取付け具を製造できる。
さらに手元に引き寄せると、図4(ロ)のごとく金属板片1(又は強磁性体入りテープ片2)の端まで移動した後、頸部7の首が曲がることによって図4(ハ)のように環状部8が傾く。と同時に、マグネット体5の側壁51から環状部8の外周面81までの環状幅8Wが、金属板片1(磁石吸引片)の厚みtよりも大きく設定してあるので、マグネット体5が金属板片1から離れ、これにより、金属板片1へのマグネット体5の磁力吸引力が急激に弱まる。サンシェードP1に接する環状部外周面81の一部分が支点となる環状部8の傾倒により、マグネット体5からの金属板片1(金属板片1付きサンシェードP1)の離脱動作を容易にする。磁力吸引力の抵抗を殆ど受けずして、マグネット体5が付いたフロントウインドF1から、金属板片1付きサンシェードP1を難なく取り外すことができる。
【0026】
強磁性体の金属板片1又は強磁性体入りテープ片2からなる磁石吸引片の一方の面に、粘着剤層3と剥離材4とが積層付与された粘着剤層付き磁石吸引片Aであると、剥離材4を剥がして簡単に製品Pに取付けることができる。また、マグネット体付き係止部材Bは係止部6を利用して被係止対象物Fに簡便に係止固定できる。尚、実施形態はフロントウインドF1にマグネット体付き係止部材Bが係止固定されることから、乗員が携帯するモバイルやケータイ等の電子機器から遠く離れる結果となり、マグネット体5による磁場影響はない。
【0027】
また、磁石吸引片たる金属板片1が強磁性体の円形板片からなると、矩形と違って角部がないので、安全性向上につながる。
また、係止部6が透明の吸盤6aで形成されると、被係止対象物FたるフロントウインドF1に吸盤6aが取付けられても、透明体であることから運転の支障とならない。そして、該吸盤6aをフロントウインドF1に係止させた時に、該吸盤6aが平盤状になると、太陽光によって吸盤6aが焦点をつくらないので、火災等の原因を引き起こすこともない。
【0028】
また、頸部7が密着巻きされた樹脂製引張コイルばねのばね部7aで形成されると、被係止対象物Fに係止部6を係止させたマグネット体付き係止部材Bの該マグネット体5は、ばね部7aの有する弾性変形によって、頸部7の首を曲げさらに伸長して金属板片1(又は強磁性体入りテープ片2)に容易に近づき、金属板片1の板面と面同士の吸着がスムーズに進む。
また、被係止対象物FがフロントウインドF1で、製品PがサンシェードP1であると、運転席側からの苦労した従来のセット作業に比べ、手間取ることなく格段にたやすく且つ確実に取付けセットできる。
このように本製品の取付け具は、上述した数々の優れた効果を発揮し、極めて有益である。
【0029】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。粘着剤層付き磁石吸引片A,金属板片1,強磁性体入りテープ片2,粘着剤層3,マグネット体付き係止部材B,マグネット体5,係止部6,頸部7,環状部8,製品P,被係止対象物F等の形状,大きさ,個数,材料,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。実施形態は、製品PをサンシェードP1とし、被係止対象物FをフロントウインドF1として説明したが、これに限定されない。例えば、強磁性体でない部屋の壁などの被係止対象物Fにマグネット体付き係止部材Bを係止する一方、該壁に取付けたいスケジュール管理板等の製品Pに粘着剤層付き磁石吸引片Aを貼着して、本製品の取付け具を活用できる。
【符号の説明】
【0030】
A 吸着剤層付き磁石吸引片
1 金属板片(強磁性体の板片)
2 強磁性体入りテープ片
3 粘着剤層入りテープ片
4 剥離材
B マグネット体付き係止部材
5 マグネット体
50 頂面(吸着頂面)
51 側壁
6 係止部
6a 吸盤
7 頸部
7a ばね部
8 環状部
80 端面
81 側面
8W 環状幅
F 被係止対象物
P 製品
P1 サンシェード
図1
図2
図3
図4
図5
図6