特許第6283784号(P6283784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6283784VRレゾルバの抵抗溶接部構造及びその溶接方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283784
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】VRレゾルバの抵抗溶接部構造及びその溶接方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 24/00 20060101AFI20180215BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H02K24/00
   G01D5/20 110X
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-92333(P2014-92333)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2015-211571(P2015-211571A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雅宏
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−109658(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0036315(US,A1)
【文献】 特開2013−219851(JP,A)
【文献】 特開平08−090246(JP,A)
【文献】 特開2008−268065(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0258585(US,A1)
【文献】 特開2004−120873(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0119350(US,A1)
【文献】 特開2009−027841(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0057245(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 24/00
G01D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の磁極(1A)を有する輪状ステータ(1)と、前記各磁極(1A)に絶縁カバー(2)を介して巻回されたステータ巻線(3)と、前記輪状ステータ(1)の内側に回転自在に設けられ前記内側との間にギャップパーミアンスの変化を形成するように形成されたロータ(1B)と、前記絶縁カバー(2)に一体に形成され端子ピン(5)を有する端子ピン保持部(4)と、前記端子ピン保持部(4)に形成された空洞部(10)と、前記空洞部(10)内に露出して位置し前記端子ピン(5)の内端(5A)に抵抗溶接されたリード線(6)と、よりなり、
前記端子ピン(5)と、リード線(6)との抵抗溶接部(9)の抵抗溶接は、前記空洞部(10)内でL字形の第1抵抗溶接プローブ(8A)を介して行われる構成としたことを特徴とするVRレゾルバの抵抗溶接部構造。
【請求項2】
前記端子ピン保持部(4)の前記輪状ステータ(1)の軸方向(P)に沿う第1厚さ(T1)は、前記輪状ステータ(1)の前記ステータ巻線(3)の前記軸方向(P)に沿う第2厚さ(T2)と同等であることを特徴とする請求項1記載のVRレゾルバの抵抗溶接部構造。
【請求項3】
所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の磁極(1A)を有する輪状ステータ(1)と、前記各磁極(1A)に絶縁カバー(2)を介して巻回されたステータ巻線(3)と、前記輪状ステータ(1)の内側に回転自在に設けられ前記内側との間にギャップパーミアンスの変化を形成するように形成されたロータ(1B)と、前記絶縁カバー(2)に一体に形成され端子ピン(5)を有する端子ピン保持部(4)と、前記端子ピン保持部(4)に形成された空洞部(10)と、前記空洞部(10)内に露出して位置し前記端子ピン(5)の内端(5A)に抵抗溶接されたリード線(6)と、を用い、
前記端子ピン(5)と、リード線(6)との抵抗溶接部(9)の抵抗溶接は、前記空洞部(10)内でL字形の第1抵抗溶接プローブ(8A)を介して行われることを特徴とするVRレゾルバの抵抗溶接部の溶接方法。
【請求項4】
前記端子ピン保持部(4)の前記輪状ステータ(1)の軸方向(P)に沿う第1厚さ(T1)は、前記輪状ステータ(1)の前記ステータ巻線(3)の前記軸方向(P)に沿う第2厚さ(T2)と同等であることを特徴とする請求項3記載のVRレゾルバの抵抗溶接部の溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VRレゾルバの抵抗溶接部構造及びその溶接方法に関し、特に、L字形の抵抗溶接プローブを用いて端子ピンとリード線を溶接することにより、端子ピン保持部の構造の形状を小形化するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のVRレゾルバの端子ピンとリード線とを抵抗溶接する構造としては、例えば、特許文献1及び2に開示されているが、実際には代表的な構成としては、本出願人が製造販売していた図2の構成を挙げることができる。
【0003】
すなわち、図2及び図3で示されるように、図2において符号1で示されるものは、所定角度間隔毎に内方へ向けて突出する磁極1Aを有する輪状ステータであり、この輪状ステータ1の各スロット(図示せず)には、一体又は別体で形成された絶縁カバー2を介してステータ巻線3が巻回されている。
【0004】
前記絶縁カバー2の一部に一体成形された端子ピン保持部4には、複数の端子ピン5がインサート成形され、この端子ピン5とリード線6とは、前記端子ピン保持部4の外側において、一対の抵抗溶接用プローブ7,8によって抵抗溶接部9が形成されて一体接続される。また、前記輪状ステータ1の内側には、巻線を有することなく、かつ、磁極1Aに対して変化するギャップパーミアンスを有するように形成されたロータ1Bが設けられている。
【0005】
前述の場合、前記抵抗溶接部9は前記端子ピン保持部4の完全に外側に位置しているため、前記抵抗溶接部9を直線形の一対の抵抗溶接プローブ7,8で挟持するようにして抵抗溶接を行うために、直線状の抵抗溶接プローブ7,8が採用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4,491,544号公報
【特許文献2】特開2008−125306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のVRレゾルバの抵抗溶接部構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、端子ピン保持部4の形状のうち、輪状ステータ1の軸方向Pに沿う第1厚さTが、前記輪状ステータ1のステータ巻線3の前記軸方向Pに沿う第2厚さTよりも大であるため、本来レゾルバとしての厚さである第2厚さTよりも前記端子ピン保持部4の第1厚さTが大幅に大きくなり、レゾルバとして装置等に取り付ける際に、この端子ピン保持部4の第1厚さTが障害となり、余分なスペースを必要とし、装置全体の構成にも影響していた。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、L字形の抵抗溶接プローブを用いて端子ピンとリード線を溶接することにより、端子ピン保持部の構造の形状を小形化するようにしたVRレゾルバの抵抗溶接部構造及びその溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるVRレゾルバの抵抗溶接部構造は、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の磁極を有する輪状ステータと、前記各磁極に絶縁カバーを介して巻回されたステータ巻線と、前記輪状ステータの内側に回転自在に設けられ前記内側との間にギャップパーミアンスの変化を形成するように形成されたロータと、前記絶縁カバーに一体に形成され端子ピンを有する端子ピン保持部と、前記端子ピン保持部に形成された空洞部と、前記空洞部内に露出して位置し前記端子ピンの内端に抵抗溶接されたリード線と、よりなり、前記端子ピンと、リード線との抵抗溶接部の抵抗溶接は、前記空洞部内でL字形の第1抵抗溶接プローブを介して行われる構成であり、また、前記端子ピン保持部の前記輪状ステータの軸方向に沿う第1厚さは、前記輪状ステータの前記ステータ巻線の前記軸方向に沿う第2厚さと同等である構成であり、また、本発明によるVRレゾルバの抵抗溶接部の溶接方法は、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の磁極を有する輪状ステータと、前記各磁極に絶縁カバーを介して巻回されたステータ巻線と、前記輪状ステータの内側に回転自在に設けられ前記内側との間にギャップパーミアンスの変化を形成するように形成されたロータと、前記絶縁カバーに一体に形成され端子ピンを有する端子ピン保持部と、前記端子ピン保持部に形成された空洞部と、前記空洞部内に露出して位置し前記端子ピンの内端に抵抗溶接されたリード線と、を用い、前記端子ピンと、リード線との抵抗溶接部の抵抗溶接は、前記空洞部内でL字形の第1抵抗溶接プローブを介して行われる方法であり、また、前記端子ピン保持部の前記輪状ステータの軸方向に沿う第1厚さは、前記輪状ステータの前記ステータ巻線の前記軸方向に沿う第2厚さと同等である方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるVRレゾルバの抵抗溶接部構造及びその溶接方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の磁極を有する輪状ステータと、前記各磁極に絶縁カバーを介して巻回されたステータ巻線と、前記輪状ステータの内側に回転自在に設けられ前記内側との間にギャップパーミアンスの変化を形成するように形成されたロータと、前記絶縁カバーに一体に形成され端子ピンを有する端子ピン保持部と、前記端子ピン保持部に形成された空洞部と、前記空洞部内に露出して位置し前記端子ピンの内端に抵抗溶接されたリード線と、よりなり、前記端子ピンと、リード線との抵抗溶接部の抵抗溶接は、前記空洞部内でL字形の第1抵抗溶接プローブを介して行われる構成としたことにより、レゾルバの厚さを従来より大幅に薄くでき、レゾルバ取付けの自由度を大きく向上できる。
また、前記端子ピン保持部の前記輪状ステータの軸方向に沿う第1厚さは、前記輪状ステータの前記ステータ巻線の前記軸方向に沿う第2厚さと同等であることにより、端子ピン保持部の厚さが薄くでき、装置内への収容が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明によるVRレゾルバの抵抗溶接部構造及びその溶接方法を示す断面図である。
図2】従来構造を示す断面図である。
図3図2の要部を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、L字形の抵抗溶接プローブを用いて端子ピンとリード線を溶接することにより、端子ピン保持部の構造の形状を小形化することである。
【実施例】
【0013】
以下、図面と共に本発明によるVRレゾルバの抵抗溶接部構造及びその溶接方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図1において、符号1で示されるものは、所定角度間隔毎に内方へ向けて突出する磁極を有する輪状ステータであり、この輪状ステータ1の各スロット(図示せず)には、周知のように、一体又は別体で形成された絶縁カバー2を介してステータ巻線3が巻回されている。
【0014】
前記絶縁カバー2の一部に一体成形された端子ピン保持部4には、階段状に接続された複数の端子ピン5がインサート成形され、この端子ピン保持部4は、図1に示されているように、リード線6が前記端子ピン5の内端5Aと抵抗溶接される抵抗溶接部9の周辺に大きい空洞部10が形成されている。
前記空洞部10の大きさ、すなわち、容積は、図1の断面図で見た状態では、断面で本体(ハッチング部分)として残っている部分の約3倍近く、前記リード線が引出される方向に向けて開口するように形成されている。
【0015】
前記リード線6は、外部からL字形に曲折して前記空洞部10内に案内して露出した状態で挿入されており、このリード線6の内端6Aと前記端子ピン5の内端5Aとは互いに重合した状態とされている。
尚、端子ピン保持部4の輪状ステータ1の軸方向Pに沿う第1厚さTは、前記巻線3の軸方向Pに沿う第2厚さTと同等である。
前述の状態下で、前記空洞部10内に抵抗溶接プローブ8の全体形状がL字形に曲折された第1抵抗溶接プローブ8Aを挿入されると共に、前記空洞部10の反対側から直線状の第2抵抗溶接プローブ8Bが挿入されるように構成されている。
【0016】
前述の状態で、第1、第2抵抗溶接プローブ8A,8Bを前進させると、第1抵抗溶接プローブ8Aの曲折部11の第1先端8Aaと第2抵抗溶接プローブ8Bの第2先端8Baとは、前記抵抗溶接部9を介して互いに対向し、前記各先端8Aaと8Baを互いに前進させることにより、前記抵抗溶接部9は各プローブ8A,8Bによって挟持され、前記抵抗溶接部9が抵抗溶接されることにより、前記各内端5A,6A同士が一体化される。
【0017】
前述の場合、各抵抗溶接プローブ8Aと8Bのうち、一方の第1抵抗溶接プローブ8AがL字形に曲折しているために前記空洞部10内に挿入することができ抵抗溶接が可能となったものである。
【0018】
また、前記輪状ステータ1の内側には、巻線を有することなく、かつ、磁極1Aに対して変化するギャップパーミアンスを有するように形成されたロータ1Bが設けられている。
【0019】
尚、本発明によるVRレゾルバの抵抗溶接部構造及びその溶接方法の要旨とするところは、次の通りである。
すなわち、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の磁極1Aを有する輪状ステータ1と、前記各磁極1Aに絶縁カバー2を介して巻回されたステータ巻線3と、前記輪状ステータ1の内側に回転自在に設けられ前記内側との間にギャップパーミアンスの変化を形成するように形成されたロータ1Bと、前記絶縁カバー2に一体に形成され端子ピン5を有する端子ピン保持部4と、前記端子ピン保持部4に形成された空洞部10と、前記空洞部10内に露出して位置し前記端子ピン5の内端5Aに抵抗溶接されたリード線6と、よりなり、前記端子ピン5と、リード線6との抵抗溶接部9の抵抗溶接は、前記空洞部10内でL字形の第1抵抗溶接プローブ8Aを介して行われる構成と方法であり、また、前記端子ピン保持部4の前記輪状ステータ1の軸方向Pに沿う第1厚さTは、前記輪状ステータ1の前記ステータ巻線3の前記軸方向Pに沿う第2厚さTと同等である構成と方法である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明によるVRレゾルバの抵抗溶接部構造及びその溶接方法は、端子ピン保持部に空洞部を形成してL字形の溶接プローブを用いて溶接されているため、溶接の容易化と、レゾルバ等の小形化に寄与できる。
【符号の説明】
【0021】
1 輪状ステータ
1A 磁極
1B ロータ
2 絶縁カバー
3 ステータ巻線
4 端子ピン保持部
5 端子ピン
5A 内端
6 リード線
6A 内端
8 抵抗溶接プローブ
8A 第1抵抗溶接プローブ
8B 第2抵抗溶接プローブ
8Aa 第1先端
8Ba 第2先端
9 抵抗溶接部
10 空洞部
11 曲折部
図1
図2
図3