特許第6283787号(P6283787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6283787-レゾルバステータ構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283787
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】レゾルバステータ構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20180215BHJP
   H02K 24/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H02K3/52 E
   H02K24/00
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-155921(P2014-155921)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-34184(P2016-34184A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】豊竹 克年
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−312088(JP,A)
【文献】 特開平4−210747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/52
H02K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の突出磁極(2)を有する輪状ステータ(1)と、前記輪状ステータ(1)の両面に一体又は別体で設けられた輪状絶縁カバー(3)と、前記各突出磁極(2)に前記輪状絶縁カバー(3)を介して巻回されたステータ巻線(4)と、前記輪状絶縁カバー(3)の一部に形成され外方へ突出すると共に前記ステータ巻線(4)の端線(4a)をからげるための複数の端子ピン(5)を有する端子ピン保持部(6)と、前記端子ピン保持部(6)に形成され、たるみピン(9)を挿入するためのたるみピン挿入穴(7)と、を備え、
前記たるみピン(9)が前記たるみピン挿入穴(7)に挿入された状態で前記端線(4a)が前記端子ピン(5)にからげられた後に前記たるみピンが除去されることにより、前記端線(4a)にたるみ(4aA)が形成されるようにしたレゾルバステータ構造において、
前記端子ピン(5)と前記たるみピン挿入穴(7)との間に設けられた突起部(20)の先端面(20a)に前記端線(4a)が接触し、前記端子ピン(5)の端線(4a)にワニス(10)を塗布した際の前記ワニス(10)が前記端線(4a)を伝って前記たるみピン挿入穴(7)に入ることを防止する構成としたことを特徴とするレゾルバステータ構造。
【請求項2】
前記突起部(20)は、長手直線状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のレゾルバステータ構造。
【請求項3】
前記突起部(20)は、複数の突部(20A)から構成されていることを特徴とする請求項1記載のレゾルバステータ構造。
【請求項4】
前記突起部(20)の前記先端面(20a)は、断面でみて、半円状、弧状、曲線状のうちの何れかの形状で構成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のレゾルバステータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバステータ構造に関し、特に、端子ピンに塗布するワニスがステータ巻線の端線を経て、たるみピン挿入穴内に入り反対側に垂れることを防止するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のレゾルバステータ構造としては、例えば、特許文献1に開示された構成を挙げることができるが、その構造を図4及び図5に示すことができる。
すなわち、図4において符号1で示されるものは輪状ステータであり、この輪状ステータ1の内側には、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の突出磁極2が形成されている。
【0003】
前記輪状ステータ1の両面には、一体又は別体にて形成され前記突出磁極2も同時に覆うように形成された輪状絶縁カバー3が設けられ、前記各突出磁極2の外周には、前記輪状絶縁カバー3を介してステータ巻線4が巻回されている。
前記輪状絶縁カバー3の一部には、外方に向けて突出すると共に複数の端子ピン5を有する端子ピン保持部6が一体に形成されている。
【0004】
前記端子ピン保持部6の前記端子ピンと前記突出磁極2との間には、複数のたるみピン挿入穴7が形成され、前記各たるみピン挿入穴7の周辺には、前記端子ピン保持部6の表面6aから所定の高さだけ肉厚が厚く形成された肉厚部8が形成されている。
【0005】
前記各突出磁極2の外周に巻回された前記ステータ巻線4の端線4aは、前記たるみピン挿入穴7内に挿入されたたるみピン9の外周に接して曲折された後に前記各端子ピン5の外周にからげられて巻回されている。
その後、各たるみピン挿入穴7内の各たるみピン9を除去すると、前記各端線4aにたるみ4aAが形成される。次に、各端子ピン5の外周に端線4aを端子ピン5に固定するために塗布されたワニス10の一部は、端線4aを伝わってたるみピン挿入穴7内に流れると共に、前記表面6a上にも溜るが、肉厚部8が形成されているため、これを超えて前記たるみピン挿入穴7内に流れ込むことのないように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−312088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のレゾルバステータ構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の図4及び図5の構成の場合、図5の断面図で示されるように、前記端子ピン5の外周6aに塗布されたワニス10のうち、下方に流れたワニス10は前記表面6aに溜まるが、一部のワニス10は端線4aの下方へ傾斜して張設されたたるみ4aAの下面に水滴のような状態で流れ、前記たるみピン挿入穴7内へ流れ込み、輪状ステータ1の図4で示す裏面側にワニスが垂れることになり、外見の低下と、輪状ステータ1の相手方への取付け時の障害となることもあった。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、端子ピンに塗布するワニスが端線を経て、たるみピン挿入穴内に入ることを防止するようにしたレゾルバステータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるレゾルバステータ構造は、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の突出磁極を有する輪状ステータと、前記輪状ステータの両面に一体又は別体で設けられた輪状絶縁カバーと、前記各突出磁極に前記輪状絶縁カバーを介して巻回されたステータ巻線と、前記輪状絶縁カバーの一部に形成され外方へ突出すると共に前記ステータ巻線の端線をからげるための複数の端子ピンを有する端子ピン保持部と、前記端子ピン保持部に形成され、たるみピンを挿入するためのたるみピン挿入穴と、を備え、前記たるみピンが前記たるみピン挿入穴に挿入された状態で前記端線が前記端子ピンにからげられた後に前記たるみピンが除去されることにより、前記端線にたるみが形成されるようにしたレゾルバステータ構造において、前記端子ピンと前記たるみピン挿入穴との間に設けられた突起部の先端面に前記端線が接触し、前記端子ピンの端線にワニスを塗布した際の前記ワニスが前記端線を伝って前記たるみピン挿入穴に入ることを防止する構成であり、また、前記突起部は、長手直線状に形成されている構成であり、また、前記突起部は、複数の突部から構成されている構成であり、また、前記突起部の前記先端面は、断面でみて、半円状、弧状、曲線状のうちの何れかの形状からなる構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるレゾルバステータ構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の突出磁極を有する輪状ステータと、前記輪状ステータの両面に一体又は別体で設けられた輪状絶縁カバーと、前記各突出磁極に前記輪状絶縁カバーを介して巻回されたステータ巻線と、前記輪状絶縁カバーの一部に形成され外方へ突出すると共に前記ステータ巻線の端線をからげるための複数の端子ピンを有する端子ピン保持部と、前記端子ピン保持部に形成され、たるみピンを挿入するためのたるみピン挿入穴と、を備え、前記たるみピンが前記たるみピン挿入穴に挿入された状態で前記端線が前記端子ピンにからげられた後に前記たるみピンが除去されることにより、前記端線にたるみが形成されるようにしたレゾルバステータ構造において、前記端子ピンと前記たるみピン挿入穴との間に設けられた突起部の先端面に前記端線が接触し、前記端子ピンの端線にワニスを塗布した際の前記ワニスが前記端線を伝って前記たるみピン挿入穴に入ることを防止する構成としたことにより、端線を流下してくる一部のワニスは、端線と突起部の接触部位で流れが止められ、端子ピンの表面上に落下し、たるみピン挿入穴へのワニスの浸入を防止できる。
また、前記突起部は、長手直線状に形成されていることにより、全ての端線に接触させることができる。
また、前記突起部は、複数の突部から構成されていることにより、各突部間をワニスが流れ、ワニスが溜まる量を増やすことができる。
また、前記突起部の前記先端面は、断面でみて、半円状、弧状、曲線状のうちの何れかの形状で構成されていることにより、端線が突起部の先端面に接触した場合における端線の損傷や断線等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明によるレゾルバステータ構造を示す平面図である。
図2図1の他の形態を示す平面図である。
図3図2の要部の拡大断面図である。
図4】従来のレゾルバステータ構造を示す平面図である。
図5図4の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるレゾルバステータ構造は、端子ピンに塗布するワニスがステータ巻線の端線を経て、たるみピン挿入穴内に入ることを防止することである。
【実施例】
【0013】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバステータ構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号1で示されるものは、輪状ステータであり、この輪状ステータ1の内側には、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の突出磁極2が形成されている。
【0014】
前記輪状ステータ1の両面には、一体又は別体にて形成され前記突出磁極2も同時に覆うように形成された輪状絶縁カバー3が設けられ、前記各突出磁極2の外周には、前記輪状絶縁カバー3を介してステータ巻線4が巻回されている。
前記輪状絶縁カバー3の一部には、外方に向けて突出すると共に複数の端子ピン5を有する端子ピン保持部6が一体に形成されている。
【0015】
前記端子ピン保持部6の前記端子ピン5と前記突出磁極2との間には、複数のたるみピン挿入穴7が形成され、前記各たるみピン挿入穴7と前記端子ピン5との間には、長手板形状の突起部20が前記端子ピン保持部6と一体又は別体にて設けられている。
尚、図1における肉厚部8については、従来例の構成であるため、ここではその説明は省略する。
【0016】
前記突起部20の長手方向Aは、前記各端子ピン5の配列方向B及び前記各たるみピン9の配列方向Cに対して平行な関係に設定されており、前記突起部20の長手方向Aに沿う両端部20b,20cは、前記端子ピン保持部6の周縁に立設して形成されている壁6bに当接又は一体に接続されている。
前記突起部20の上部である先端面20aは、図3の先端面20aと同様に、断面でみて半円状、弧状、曲線状のうちの何れかの形状で形成されている。
【0017】
前記各突出磁極2の外周に巻回された前記ステータ巻線4の端線4aは、前記たるみピン挿入穴7内に挿入されたたるみピン9の外周に接して曲折された後に前記各端子ピン5の外周にからげられて巻回されている。
その後、各たるみピン挿入穴7内の各たるみピン9を除去すると、前記各端線4aにたるみ4aAが形成され、各端子ピン5の外周には、この端線4aを固定するためのワニス10が図3のように塗布されている。
【0018】
前記各端子ピン5の外周にからげられた前記端線4aを保護ならびに端子ピン5に固定するための前記ワニス10は、端子ピン5の外周の塗布された後に、前記端子ピン保持部6の表面6aに流れ落ちると共に、その一部のワニス10は端子ピン5と突出磁極2間に傾斜して張設された端線4aに沿って流れるが、図3のように、突起部20と端線4aとが接触する接触部位21で前記ワニス10の流れが止められて前記突起部20を伝って前記表面6a上に流下し、前記たるみピン挿入穴7内への流入を防止することができる。
【0019】
前記突起部20は、図1のように一枚の長手直線状に構成されているが、図1のより長手板状の構成に限ることなく、図2に示されるように、前記長手方向Aに沿って複数の突部20Aを所定の間隔で、前記表面6a上にこれと一体又は別体にて形成した場合も、各端線4aが各突部20Aの先端面20aに接触し、前述の突起部20と同様の作用効果を得ることができる。尚、図2における前記肉厚部8は前述の図1及び図4図5の構成と同一であるため、同一符号を付し、その説明は省略する。
【0020】
前述の本発明によるレゾルバステータ構造の要旨とするところは、以下の通りである。
すなわち、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の突出磁極2を有する輪状ステータ1と、前記輪状ステータ1の両面に一体又は別体で設けられた輪状絶縁カバー3と、前記各突出磁極2に前記輪状絶縁カバー3を介して巻回されたステータ巻線4と、前記輪状絶縁カバー3の一部に形成され外方へ突出すると共に前記ステータ巻線4の端線4aをからげるための複数の端子ピン5を有する端子ピン保持部6と、前記端子ピン保持部6に形成され、たるみピン9を挿入するためのたるみピン挿入穴7と、を備え、前記たるみピン9が前記たるみピン挿入穴7に挿入された状態で前記端線4aが前記端子ピン5にからげられた後に前記たるみピンが除去されることにより、前記端線4aにたるみ4aAが形成されるようにしたレゾルバステータ構造において、前記端子ピン5と前記たるみピン挿入穴7との間に設けられた突起部20の先端面20aに前記端線4aが接触し、前記端子ピン5の端線4aにワニス10を塗布した際の前記ワニス10が前記端線4aを伝って前記たるみピン挿入穴7に入ることを防止する構成としたことを特徴とするレゾルバステータ構造であり、また、前記突起部20は、長手直線状に形成されていることを特徴とするレゾルバステータ構造であり、また、前記突起部20は、複数の突部20Aから構成されていることを特徴とするレゾルバステータ構造であり、また、前記突起部20の前記先端面20aは、断面でみて、半円状、弧状、曲線状のうちの何れかの形状で構成されていることを特徴とするレゾルバステータ構造である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によるレゾルバステータ構造は、端子ピンに塗布するワニスがステータ巻線の端線を経て、たるみピン挿入穴内に入ることを防止することにより、完成後のステータ構造の外見を向上させ、相手方への取付けを確実とすることができる。
【符号の説明】
【0022】
1輪状ステータ
2 突出磁極
3 輪状絶縁カバー
4 ステータ巻線
4a 端線
4aA たるみ
5 端子ピン
6 端子ピン保持部
6a 表面
6b 壁
7 たるみピン挿入穴
8 肉厚部
9 たるみピン
20 突起部
20a 先端面
20b,20c 端部
20A 突部
21 接触部位
図1
図2
図3
図4
図5