特許第6283791号(P6283791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6283791シンクロ信号のデジタル変換方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283791
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】シンクロ信号のデジタル変換方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   G01D5/20 110Q
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-260209(P2013-260209)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2015-117963(P2015-117963A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】丸山 裕史
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03878535(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01D 5/39−5/62
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクロ(10)から出力される互いに120°の位相差を有する3相の第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)を、シンクロ/デジタル変換器(3)を用いてデジタル角度出力信号(φ)に変換するようにしたシンクロ信号のデジタル変換方法において、
前記第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)は、スコットトランスを用いることなく前記シンクロ/デジタル変換器(3)に入力され、前記シンクロ/デジタル変換器(3)からのデジタル角度出力信号(φ)に基づくフィードバックループ(22)により前記第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)を前記デジタル角度出力信号(φ)に変換することを特徴とし、
前記フィードバックループ(22)に用いられるフィードバック信号は、前記デジタル角度出力信号(φ)を基準にした120°の角度位相差を有する正弦波状の第1〜第3位相差フィードバック信号(F1〜F3)よりなることを特徴とするシンクロ信号のデジタル変換方法。
【請求項2】
前記第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)をマルチプライヤ(30)に入力して前記第1〜第3位相差フィードバック信号(F1〜F3)と相互演算して第1出力信号(16)を得た後、前記第1出力信号(16)を同期検波し励磁成分を除去して第2出力信号(18a)を制御偏差(ε)として求めることを特徴とする請求項記載のシンクロ信号のデジタル変換方法。
【請求項3】
前記第1〜第3シンクロ信号(S1〜S3)を同期検波又はサンプリングすることによって励磁成分(f(t))を除去した後、マルチプライヤ(30)に入力し、前記デジタル角度出力信号(φ)より得られる第1〜第3位相差フィードバック信号(F1〜F3)を相互演算して第2出力信号(18a)を制御偏差(ε)として求めることを特徴とする請求項記載のシンクロ信号のデジタル変換方法。
【請求項4】
前記シンクロ/デジタル変換器(3)は、前記第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)が直接又は間接的に入力され、前記フィードバックループ(22)に用いる第1〜第3位相差フィードバック信号(F1〜F3)と相互演算されるマルチプライヤ(30)と、前記マルチプライヤ(30)に接続され前記デジタル角度出力信号(φ)を出力するための信号処理部(21)と、からなることを特徴とする請求項1ないしの何れかに記載のシンクロ信号のデジタル変換方法。
【請求項5】
前記信号処理部(21)は、同期検波器(17)、補償器(18)、電圧制御発振器(19)及びカウンタ(20)からなることを特徴とする請求項記載のシンクロ信号のデジタル変換方法。
【請求項6】
シンクロ(10)から出力される互いに120°の位相差を有する3相の第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)を、シンクロ/デジタル変換器(3)を用いてデジタル角度出力信号(φ)に変換するようにしたシンクロ信号のデジタル変換装置において、
前記第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)は、スコットトランスを用いることなく前記シンクロ/デジタル変換器(3)に入力され、前記シンクロ/デジタル変換器(3)からのデジタル角度出力信号(φ)に基づくフィードバックループ(22)により前記第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)を前記デジタル角度出力信号(φ)に変換することを特徴とし、
前記フィードバックループ(22)に用いられるフィードバック信号は、前記デジタル角度出力信号(φ)を基準にした互いに120°の角度位相差を有する正弦波状の第1〜第3位相差フィードバック信号(F1〜F3)よりなることを特徴とするシンクロ信号のデジタル変換装置。
【請求項7】
前記第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)をマルチプライヤ(30)に入力して前記第1〜第3位相差フィードバック信号(F1〜F3)と相互演算して第1出力信号(16)を得た後、前記第1出力信号(16)を同期検波し励磁成分(f(t))を除去して第2出力信号(18a)を制御偏差(ε)として求めることを特徴とする請求項記載のシンクロ信号のデジタル変換装置。
【請求項8】
前記第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)を同期検波又はサンプリングすることによって励磁成分(f(t))を除去した後、マルチプライヤ(30)に入力し、前記デジタル角度出力信号(φ)より得られる第1〜第3位相差フィードバック信号(F1〜F3)と相互演算して第2出力信号(18a)を制御偏差(ε)として求めることを特徴とする請求項記載のシンクロ信号のデジタル変換装置。
【請求項9】
前記シンクロ/デジタル変換器(3)は、前記第1〜第3相シンクロ信号(S1〜S3)が直接又は間接的に入力され、前記フィードバックループ(22)に用いる第1〜第3位相差フィードバック信号(F1〜F3)と相互演算されるマルチプライヤ(30)と、前記マルチプライヤ(30)に接続され前記デジタル角度出力信号(φ)を出力するための信号処理部(21)と、からなることを特徴とする請求項6ないし8の何れかに記載のシンクロ信号のデジタル変換装置。
【請求項10】
前記信号処理部(21)は、同期検波器(17)、補償器(18)、電圧制御発振器(19)及びカウンタ(20)からなることを特徴とする請求項記載のシンクロ信号のデジタル変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクロ信号のデジタル変換方法及び装置に関し、特に、スコットトランスを用いることなく、3相のシンクロ信号をフィードバックループ構成のシンクロ/デジタル変換器を介してデジタル角度出力信号を得るための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のシンクロ信号のデジタル変換器としては、例えば、特許文献1に示される構成を挙げることができる。
すなわち、図2において1はスコットランス、2はリファレンストランス、3はレゾルバ/デジタル変換器、4はリファレンス異常検出回路、5はバッファ回路であり、これらは従来技術と同様であり6A,6Bの位相検波回路はスコットトランス1の出力であるSIN,COS信号を入力しリファレンストランス2から出力されるリファレンス信号で位相検波し、その出力を7A,7Bの2乗回路によってSINθ,COSθの信号を出力する。さらに2乗回路7A,7Bから出力された信号を8の加算器によって加算し、加算器8の出力を9の電圧比較回路のスレショルド値と比較し、スレショルド値以上の値が入力された場合は、異常信号としてデジタルデータを5のバッファ回路に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−280890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシンクロ信号のデジタル変換器は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、シンクロから出力される3相のシンクロ信号S1、S2及びS3はスコットトランスに入力された後に、2相の第1、第2レゾルバ信号としてレゾルバデジタル変換器に入力されて処理しなければならず、さらに、レファレンス信号もリファレンストランスを用いて、リファレンス信号としてとしてレゾルバデジタル変換器に入力されなければならず、何れも、スコットトランスとリファレンストランスを用いるか、又は、各トランスに相当するアナログ信号処理が必要となるため、回路が大型化し、かつ、各トランス又はアナログ信号処理回路のばらつきによって、最終のシンクロデータの精度劣化を招くことになっていた。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、スコットトランスを用いることなく、3相のシンクロ信号をフィードバックループ構成のシンクロ/デジタル変換器を介してデジタル角度出力信号を得るようにしたシンクロ信号のデジタル変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるシンクロ信号のデジタル変換方法は、シンクロから出力される互いに120°の位相差を有する3相の第1〜第3相シンクロ信号を、シンクロ/デジタル変換器を用いてデジタル角度出力信号に変換するようにしたシンクロ信号のデジタル変換方法において、
前記第1〜第3相シンクロ信号は、スコットトランスを用いることなく前記シンクロ/デジタル変換器に入力され、前記シンクロ/デジタル変換器からのデジタル角度出力信号に基づくフィードバックループにより前記第1〜第3相シンクロ信号を前記デジタル角度出力信号に変換する方法であり、また、前記フィードバックループに用いられるフィードバック信号は、前記デジタル角度出力信号を基準にした互いに120°の角度位相差を有する正弦波状の第1〜第3位相差フィードバック信号よりなる方法であり、また、前記第1〜第3相シンクロ信号をマルチプライヤに入力して前記第1〜第3位相差フィードバック信号と相互演算して第1出力信号を得た後、前記第1出力信号を同期検波し励磁成分を除去して第2出力信号を制御偏差として求める方法であり、また、前記第1〜第3相シンクロ信号を同期検波又はサンプリングすることによって励磁成分を除去した後、マルチプライヤに入力し、前記デジタル角度出力信号より得られる第1〜第3位相差フィードバック信号を相互演算して第2出力信号を制御偏差として求める方法であり、また、前記シンクロ/デジタル変換器は、前記第1〜第3相シンクロ信号が直接又は間接的に入力され、前記フィードバックループに用いる第1〜第3位相差フィードバック信号と相互演算されるマルチプライヤと、前記マルチプライヤに接続され前記デジタル角度出力信号を出力するための信号処理部と、からなる方法であり、また、前記信号処理部は、同期検波器、補償器、電圧制御発振器及びカウンタからなる方法であり、また、本発明によるシンクロ信号のデジタル変換装置は、シンクロから出力される互いに120°の位相差を有する3相の第1〜第3相シンクロ信号を、シンクロ/デジタル変換器を用いてデジタル角度出力信号に変換するようにしたシンクロ信号のデジタル変換方法において、
前記第1〜第3相シンクロ信号は、スコットランスを用いることなく前記シンクロ/デジタル変換器に入力され、前記シンクロ/デジタル変換器からのデジタル角度出力信号に基づくフィードバックループにより前記第1〜第3相シンクロ信号を前記デジタル角度出力信号に変換する構成であり、また、前記フィードバックループに用いられるフィードバック信号は、前記デジタル角度出力信号を基準にした互いに120°の角度位相差を有する正弦波状の第1〜第3位相差フィードバック信号よりなる構成であり、また、前記第1〜第3相シンクロ信号をマルチプライヤに入力して前記第1〜第3位相差フィードバック信号と相互演算して第1出力信号を得た後、前記第1出力信号を同期検波し励磁成分を除去して第2出力信号を制御偏差として求める構成であり、また、前記第1〜第3相シンクロ信号を同期検波又はサンプリングすることによって励磁成分を除去した後、マルチプライヤに入力し、前記デジタル角度出力信号より得られる第1〜第3位相差フィードバック信号と相互演算して第2出力信号を制御偏差として求める構成であり、また、前記シンクロ/デジタル変換器は、前記第1〜第3相シンクロ信号が直接又は間接的に入力され、前記フィードバックループに用いる第1〜第3位相差フィードバック信号と相互演算されるマルチプライヤと、前記マルチプライヤに接続され前記デジタル角度出力信号を出力するための信号処理部と、からなる構成であり、また、前記信号処理部は、同期検波器、補償器、電圧制御発振器及びカウンタからなる構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるシンクロ信号のデジタル変換方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、
シンクロから出力される互いに120°の位相差を有する3相の第1〜第3相シンクロ信号を、シンクロ/デジタル変換器を用いてデジタル角度出力信号に変換するようにしたシンクロ信号のデジタル変換方法において、
前記第1〜第3相シンクロ信号は、スコットトランスを用いることなく前記シンクロ/デジタル変換器に入力され、前記シンクロ/デジタル変換器からのデジタル角度出力信号に基づくフィードバックループにより前記第1〜第3相シンクロ信号を前記デジタル角度出力信号に変換することにより全体の回路構成が簡単になり、スコットトランス及びスコットトランスに相当するアナログ信号処理の回路のばらつきにより生じていた精度劣化を回避し、簡単回路構成で高精度のシンクロ信号を得ることができる。
また、前記フィードバックループに用いられるフィードバック信号は、前記デジタル角度出力信号を基準にした互いに120°の角度位相差を有する正弦波状の第1〜第3位相差フィードバック信号よりなることにより、位相角度を変えるだけで済むため、回路構成が従来より簡単となる。
また、前記第1〜第3相シンクロ信号をマルチプライヤに入力して前記第1〜第3位相差フィードバック信号と相互演算して第1出力信号を得た後、前記第1出力信号を同期検波し励磁成分を除去して第2出力信号を制御偏差として求めることにより、制御偏差を容易に求めることができる。
また、前記第1〜第3相シンクロ信号を同期検波又はサンプリングすることによって励磁成分を除去した後、マルチプライヤに入力し、前記デジタル角度出力信号より得られる第1〜第3位相差フィードバック信号を相互演算して第2出力信号を制御偏差として求めることにより、制御偏差を零に導きやすくなる。
また、前記シンクロ/デジタル変換器は、前記第1〜第3相シンクロ信号が直接又は間接的に入力され、前記フィードバックループに用いる第1〜第3位相差フィードバック信号と相互演算されるマルチプライヤと、前記マルチプライヤに接続され前記デジタル角度出力信号を出力するための信号処理部と、からなることで全体の回路構成が簡単化され、製造コストの低減化となる。
また、前記信号処理部は、同期検波器、補償器、電圧制御発振器及びカウンタからなることにより、一例ではあるが、既存回路の組み合わせとなり、信頼性の安定化とコスト低減化となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明によるシンクロ信号のデジタル変換方法及び装置を示すブロック図である。
図2】従来のシンクロ信号のデジタル変換方法及び装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明方法によるシンクロ信号のデジタル変換方法は、スコットランスを用いることなく、3相のシンクロ信号をフィードバックループ構成のシンクロ/デジタル変換器を介してデジタル角度出力信号を得ることである。
【実施例】
【0010】
以下、図面と共に本発明によるシンクロ信号のデジタル変換方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図1において、符号10で示されるものはシンクロであり、このシンクロ10には励磁電源11からの励磁信号f(t)が供給され、出力側からは第1相シンクロ信号K・sinθ・f(t)(以下、S1と称す)、第2相シンクロ信号K・sin(θ−120°)・f(t)(以下、S2と称す)及び第3相シンクロ信号K・sin(θ−240°)・f(t)(以下、S3と称す)が出力され、前記第1〜第3相シンクロ信号S1〜S3は、周知のトラッキング方式のシンクロ/デジタル変換器3のマルチプライヤ12を構成する第1乗算部13、第2乗算部14及び第3乗算部15に入力されている。
【0011】
前記各乗算部13、14及び15の出力は加算部8で加算された後に第1出力信号16として同期検波器17に入力され、前記同期検波器17からの検波出力17aは補償器18に入力され、前記補償器18からの出力である第2出力信号18aは電圧制御発振器19に入力され、前記電圧制御発振器19からの出力信号19aはカウンタ20に入力されてデジタル化されたデジタル角度出力信号φが得られるように構成されている。
【0012】
前述の同期検波器17、補償器18、電圧制御発振器19及びカウンタ20によって信号処理部21が構成され、前記デジタル角度出力信号φに基づく負帰還のフィードバックループ22が形成されている。
尚、前記信号処理部21の構成は、図1の構成に限ることなく、他の周知の構成とすることができる。
【0013】
前記フィードバックループ22に用いられるフィードバック信号は、前記デジタル角度出力信号φを基準にした120°の角度位相差を有する正弦波状の第1位相差フィードバック信号cos(φ)(以下、F1と称す)、第2位相差フィードバック信号cos(φ−120°)(以下、F2と称す)及び第3位相差フィードバック信号cos(φ−240°)(以下、F3と称す)よりなり、前記各位相差フィードバック信号F1〜F3は、前記各乗算部13〜15において前記デジタル角度出力信号φを基準として作成し、前記各シンクロ信号S1〜S3と各位相差フィードバック信号F1〜F3とが各乗算部13、14、15で演算されるように構成されている。
【0014】
以上の構成において、前記第1〜第3相シンクロ信号S1〜S3は、前記マルチプライヤ30の各乗算部13〜15に入力されて各第1〜第3位相差フィードバック信号F1〜F3と相互演算して第1出力信号16を得た後、前記第1出力信号16を同期検波し励磁成分f(t)を除去し、第2出力信号18の制御偏差εとして求めることができる。
また、前記第2出力信号18aは速度31として得ることもできる。
【0015】
前述の各シンクロ信号S1〜S3を直接前記各乗算部13〜15に入力するのではなく、図示しない他の手段によって同期検波又はサンプリングすることによって励磁成分f(t)を除去した後、すなわち、間接的にマルチプライヤ30に入力し、前記デジタル角度出力信号φより得られる第1〜第3位相差フィードバック信号F1〜F3と相互演算して第2出力信号18aを制御偏差εとして求め、この制御偏差εを零にするように負帰還を働かせることもできる。
【0016】
また、前記制御偏差εは、第1〜第3シンクロ信号sinθ・f(t)、sin(θ−120°)・f(t)、sin(θ−240°)・f(t)にデジタル角度出力信号φより演算されるフィードバック信号cosφ、cos(φ−120°)、cos(φ−240°)をそれぞれ乗算した後に、加算することで制御偏差を得る。
式にて示すと下記のとおりとなる。
【0017】
【数1】
【0018】
尚、前述の本発明によるシンクロ信号のデジタル変換方法及び装置の要旨は、次の通りである。
すなわち、
シンクロ10から出力される互いに120°の位相差を有する3相の第1〜第3相シンクロ信号S1〜S3を、シンクロ/デジタル変換器3を用いてデジタル角度出力信号φに変換するようにしたシンクロ信号のデジタル変換方法において、
前記第1〜第3相シンクロ信号S1〜S3は、スコットトランスを用いることなく前記シンクロ/デジタル変換器3に入力され、前記シンクロ/デジタル変換器3からのデジタル角度出力信号φに基づくフィードバックループ22により前記第1〜第3相シンクロ信号S1〜S3を前記デジタル角度出力信号φに変換する方法と構成であり、また、前記フィードバックループ22に用いられるフィードバック信号は、前記デジタル角度出力信号φを基準にした120°の角度位相差を有する正弦波状の第1〜第3位相差フィードバック信号F1〜F3よりなる方法と構成であり、また、前記第1〜第3相シンクロ信号S1〜S3をマルチプライヤ30に入力して前記第1〜第3位相差フィードバック信号F1〜F3と相互演算して第1出力信号16を得た後、前記第1出力信号16を同期検波し励磁成分を除去して第2出力信号18aを制御偏差εとして求める方法と構成であり、また、前記第1〜第3相シンクロ信号S1〜S3を同期検波又はサンプリングすることによって励磁成分f(t)を除去した後、マルチプライヤ30に入力し、前記デジタル角度出力信号φより得られる第1〜第3位相差フィードバック信号F1〜F3を相互演算して第2出力信号18aを制御偏差εとして求める方法と構成であり、また、前記シンクロ/デジタル変換器3は、前記第1〜第3相シンクロ信号S1〜S3が直接又は間接的に入力され、前記フィードバックループ22に用いる第1〜第3位相差フィードバック信号F1〜F3と相互演算されるマルチプライヤ30と、前記マルチプライヤ30に接続され前記デジタル角度出力信号φを出力するための信号処理部21と、からなる方法と構成であり、また、前記信号処理部21は、同期検波器17、補償器18、電圧制御発振器19及びカウンタ20からなる方法と構成である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によるシンクロ信号のデジタル変換方法及び装置は、スコットトランスを用いることなくデジタル角度出力信号φを得ることができるため、シンクロの信号処理を簡単かつ小型化でき、高精度の角度出力を各回転分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0020】
3 シンクロ/デジタル変換器
8 加算部
F1〜F3 第1〜第3位相差フィードバック信号
S1〜S3 第1〜第3相シンクロ信号
φ デジタル角度出力信号
ε 制御偏差
10 シンクロ
11 励磁電源
13,14,15 第1〜第3乗算部
16 第1出力信号
17 同期検波器
18 補償器
18a 第2出力信号
19 電圧制御発振器
20 カウンタ
21 信号処理部
22 フィードバックループ
30 マルチプライヤ
図1
図2