【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、抵抗RとコイルLとコンデンサCの直列共振回路において、周波数が変化すると、リアクタンス分が変化する原理を用いた。周波数の変化に伴うリアクタンスXの変化は次の通りである。
直列共振回路において、共振周波数f
0からΔfに変化すると、
となり、
電源電圧E
mときの電流I
mは(1)式となる。
する。本発明は、この知見に基づいてなされている。
【0012】
ると
図2の直列共振回路におけるE
LmとEsmは電源電圧Emより昇圧する。
すなわち、(2)式より、PVDF圧電素子両端電圧Esmとコイル両端電圧E
Lmは電源電圧E
mと選択度Qの積となり電源電圧より昇圧するので、検出感度がQで任意に得られる。
【0013】
上述の如き知見に基づき、十分な感度を有するとともに、圧電素子の物性に起因する焦電効果に対する改善も実現し得る本発明の第1の態様は、
圧電材料を2枚の電極で挟んで形成した圧電素子を、複数個積層して形成するとともに、前記各圧電素子間のインピーダンス変化に基づき前記複数個の圧電素子に作用する荷重負荷を検出する荷重検出部と、
前記圧電素子をそれぞれ含み、交流電源により所定の共振周波数で駆動される複数の共振回路とを有するとともに、
前記共振回路は、共振周波数特性が、一つの共振回路の共振周波数特性の高周波側で、かつ他の共振回路の共振周波数特性の低周波側に交点を持ち、該交点が前記荷重負荷の基準点になるように形成したことを特徴とする。
本態様によれば、
図4に基づき、後に詳細に説明するが、圧電素子に荷重負荷が作用することにより一方の共振周波数特性においては基準点(荷重負荷=0)にあった電圧が低下するとともに、他方の共振周波数特性においては基準点(荷重負荷=0)にあった電圧が上昇する。この結果、両者の相対的な差として検出される荷重負荷の検出値の感度を上昇させ、荷重負荷の検出値を高精度なものとすることができる。
本発明の第2の態様は、
第1の態様に記載する荷重測定装置において、
積層方向において隣接する2つの圧電素子のうち、前記積層方向で相対向する一方の前記電極間に絶縁層を挟んで形成した静電容量を前記共振回路の回路素子とすることを特徴とする。
本態様によれば、
図3に基づき後に詳述するように、圧電素子の電極間の絶縁層を利用して共振回路の回路素子である静電容量を形成することができる。
本発明の第3の態様は、
第2の態様に記載する荷重測定装置において、
複数個の圧電素子は、絶縁層の上面に一方の電極、該電極の上面に前記圧電材料、該圧電材料の上面に他方の電極、該他方の電極の上面に他の絶縁層を順次積層して形成した同構成のものを複数個積層して形成したことを特徴とする。
本態様によれば、
図3に基づき後に詳述するように、絶縁層、一方の電極、圧電材料、他方の電極、他の絶縁層をこの順序で積層したものを一ユニットとして、当該ユニットを順次積層するだけで第2の態様に記載する構造を形成することができる。
本発明の第4の態様は、
第1の態様に記載する荷重測定装置の2組を組合わせ、荷重負荷が作用する一方の荷重測定装置の電極の間のインピーダンスに基づく電圧と、前記荷重負荷の影響を受けることなく圧電素子の周囲温度に基づき他方の荷重測定装置の電極の間のインピーダンスに基づく電圧との差分に基づき前記荷重負荷の測定値の温度補正を行うようにしたことを特徴とする。
本態様によれば、
図8に基づき後に詳述する、圧電材料の焦電効果による影響をキャンセルすることができ
る。
本発明において、荷重検出は
図3(a)に示すように、二つのPVDF圧電素子1とPVDF圧電素子2を上下に重ね合わせた一対とした。同図(b)は荷重測定センサの構成を略図で示した。絶縁膜ポリエステル薄膜コーティング面(8)をCs1とし、もう一方のポリエステル薄膜コーティング面(9)をCs2とすると電極(4)と電極(5)間の誘電体となる。その結果、合成静電量Cs1+Cs2=Csとなり、一対化することでPVDF圧電素子1に容量Csが付加された形となる。
【0014】
電圧の共振特性を合わせたPVDF圧電素子に上記の容量C
SをPVDF圧電素子1に付加したときの、一対の共振周波数特性を調べた結果を
図4に示した。正弦波発生電源E
mの周波数をわずか変化させながら、かつ一定振幅の電流をPVDF圧電素子1(1)とPVDF圧電素子2(2)に別途に与え、両端子間電圧Esmプロットした。図示したようにPVDF圧電素子1の方は僅かに共振点が低い方に移動した。
【0015】
上記の、PVDF圧電素子1(1)とPVDF圧電素子2(2)を重ね合わせた一対で構成した荷重測定センサであり、それぞれの出力電圧はPVDF圧電素子1(1)の電極間電圧E
Sm1とVDF圧電素子2(2)の電極間電圧E
Sm2とする。
【0016】
図4のf
S0で示す点は、一対のPVDF圧電素子の電極間電圧(E
Sm1=E
Sm2)が同じ電圧になるように、正弦波発生電源(13)の周波数を固定して設定した。
【0017】
図面より、一対のPVDF圧電素子1(1)とPVDF圧電素子2(2)に、外力が加わると素子の電圧の周波数はわずかにfso+△fに移動する。PVDF圧電素子1(1)の端子間電圧Esm1は、周波数をfsoのときより低い値となる。同様に、PVDF圧電素子2(2)の端子間電圧Esm2は、周波数fs0のときより高い値となり差動出力電圧が得られ
る。