特許第6283837号(P6283837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283837
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   A63F5/04 512D
【請求項の数】1
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-243117(P2016-243117)
(22)【出願日】2016年12月15日
(62)【分割の表示】特願2014-26693(P2014-26693)の分割
【原出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2017-51689(P2017-51689A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2016年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】501016847
【氏名又は名称】KPE株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】花岡 沙織
(72)【発明者】
【氏名】田村 明則
(72)【発明者】
【氏名】藤原 幸太
(72)【発明者】
【氏名】黒木 泰幸
【審査官】 鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−085648(JP,A)
【文献】 特開2013−208282(JP,A)
【文献】 特開2006−075432(JP,A)
【文献】 特開2007−260163(JP,A)
【文献】 特開2013−081614(JP,A)
【文献】 特開2012−183400(JP,A)
【文献】 特開2003−000809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも演出画面を表示する表示部と、
複数のゲームにわたって前記表示部に表示させる演出画面を進行させる複数のシナリオを管理するシナリオ管理部と、
前記シナリオ管理部により管理された複数のシナリオからいずれか1つを選択し、選択されたシナリオに沿って複数のゲームにわたって前記表示部に表示する演出画面を制御する表示制御部とを有し、
複数種類の役のいずれかを含む複数の抽選対象のいずれかを内部抽選し、内部抽選された抽選結果及び遊技者による図柄の停止操作の操作態様に基づいて複数の図柄組合せのいずれかを入賞ラインに停止させ、前記入賞ラインに停止した図柄組合せが前記複数種類の役のうちいずれかの役に対応した図柄組合せと一致した場合に、当該役に応じた特典を付与する遊技機であって、
第1のシナリオに沿って演出画面が前記表示部に表示されている状態で、所定の乗換条件が満たされたならば、前記シナリオ管理部に管理された第2のシナリオを選択することでシナリオの乗換を行うシナリオ乗換部を備え、
前記複数のシナリオの各々は、前記表示部に表示する順序が定められた複数のシナリオ要素を含むことにより、順序が1番目であるシナリオ要素から最終のシナリオ要素までで一連の演出画面を構成し、
各シナリオ要素には、第1の演出要素および当該第1の演出要素に対応する第1の識別情報と、当該第1の演出要素の後の演出要素である第2の演出要素および当該第2の演出要素に対応する第2の識別情報とが含まれ、
前記シナリオ乗換部は、前記第1のシナリオのシナリオ要素のうち前記表示部に表示中のシナリオ要素を乗換元シナリオ要素として、当該乗換元シナリオ要素における前記第2の識別情報と共通する第2の識別情報を含むシナリオ要素である乗換先シナリオ要素を含むシナリオを前記第2のシナリオとして前記複数のシナリオから選択し、
前記表示制御部は、前記シナリオ乗換部により前記第2のシナリオが選択された場合に、前記乗換元シナリオ要素から前記乗換先シナリオ要素に表示を移行させ、当該乗換先シナリオ要素から当該第2のシナリオに沿って演出画面を表示制御する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の役のいずれかを含む複数の抽選対象のいずれかを内部抽選し、内部抽選された抽選結果及び遊技者による図柄の停止操作の操作態様に基づいて複数の図柄組合せのいずれかを入賞ラインに停止させ、入賞ラインに停止した図柄組合せが役に対応した図柄組合せと一致した場合に、当該役に応じた特典を付与する遊技機が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
この種の遊技機は、機種ごとの差別化を図るために筐体に液晶パネル等の表示部を設け、この表示部を用いてその機種特有の演出を表示することが多い。具体的には、ある基本パターンの演出を表示部に表示しておき、何らかの役が成立した場合や何らかのモードに移行した場合に表示部の表示態様を変化させるのが一般的であるが、ストーリー仕立てで表示部の表示態様を変化させる機種も存在する。例えば、麻雀を題材とした機種では、内部抽選で所定の役が当選するごとに表示部に表示する手牌を変化させ、麻雀ゲームをストーリー仕立てで進行させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−229730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、ゲームを進行するためのシナリオが予め複数準備されていたとしても、シナリオが決定されてからのゲームの進行は固定的であるため、遊技者にとって想定外のシナリオ展開をもたらすことができず、遊技者に当該機種が飽きられてしまうという問題がある。
【0006】
シナリオの展開が予測できないほど多くのシナリオを事前に準備すれば、それだけ保持すべきデータ量が多くなり、また作成にも労力を要する。このため、より少ないデータで展開のバリエーションを増やすことが求められる。
【0007】
例えば、麻雀ゲームを対象とした機種において、配牌からの手牌の変化が常に特定のシナリオに基づいて変化するだけである場合には、遊技者がその後のシナリオの展開を予測できるため、興趣性に欠ける結果となる。
【0008】
しかし、配牌からの多様な手牌の変化をそれぞれ個別のシナリオとして用意しようとすると、シナリオの数が膨大となり、それだけデータ量も多くなってしまう。手牌ごとにデータを持ち、手牌のデータを切替えることで配牌からの手牌の変化を表現することも考えられるが、実際の麻雀ゲームでは無作為に手牌を変えるわけではないので、単純な手牌データの切替では手牌の変化が不自然になる。
【0009】
これらのことから、ストーリー仕立ての演出を遊技機で行う場合に、いかにして自然で豊富なシナリオ展開を効率よく実現するかが重要な課題となっている。
【0010】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、ストーリー仕立ての演出を遊技機で行う場合に、自然で豊富なシナリオ展開を効率よく実現することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明について説明する。なお、発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号等を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が表示の形態に限定されるものではない。
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、少なくとも演出画面を表示する表示部(30)と、複数のゲームにわたって前記表示部に表示させる演出画面を進行させる複数のシナリオを管理するシナリオ管理部(221a)と、前記シナリオ管理部により管理された複数のシナリオからいずれか1つを選択し、選択されたシナリオに沿って複数のゲームにわたって前記表示部に表示する演出画面を制御する表示制御部(221b)とを有し、複数種類の役のいずれかを含む複数の抽選対象のいずれかを内部抽選(212)し、内部抽選された抽選結果及び遊技者による図柄の停止操作の操作態様に基づいて複数の図柄組合せのいずれかを入賞ラインに停止させ、前記入賞ラインに停止した図柄組合せが前記複数種類の役のうちいずれかの役に対応した図柄組合せと一致した場合に、当該役に応じた特典を付与する遊技機(1)であって、第1のシナリオに沿って演出画面が前記表示部に表示されている状態で、所定の乗換条件が満たされたならば、前記シナリオ管理部に管理された第2のシナリオを選択することでシナリオの乗換を行うシナリオ乗換部(221c)を備え、前記複数のシナリオの各々は、前記表示部に表示する順序が定められた複数のシナリオ要素を含むことにより、順序が1番目であるシナリオ要素から最終のシナリオ要素までで一連の演出画面を構成し、各シナリオ要素には、第1の演出要素および当該第1の演出要素に対応する第1の識別情報と、当該第1の演出要素の後の演出要素である第2の演出要素および当該第2の演出要素に対応する第2の識別情報とが含まれ、前記シナリオ乗換部は、前記第1のシナリオのシナリオ要素のうち前記表示部に表示中のシナリオ要素を乗換元シナリオ要素として、当該乗換元シナリオ要素における前記第2の識別情報と共通する第2の識別情報を含むシナリオ要素である乗換先シナリオ要素を含むシナリオを前記第2のシナリオとして前記複数のシナリオから選択し、前記表示制御部は、前記シナリオ乗換部により前記第2のシナリオが選択された場合に、前記乗換元シナリオ要素から前記乗換先シナリオ要素に表示を移行させ、当該乗換先シナリオ要素から当該第2のシナリオに沿って演出画面を表示制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記表示制御部は、シナリオの進行に対応付けられた役が前記抽選結果に含まれる場合に、選択中のシナリオにおいて前記表示部に表示中のシナリオ要素の次の順序に定められたシナリオ要素を表示制御し、前記シナリオ乗換部は、シナリオの乗換に対応付けられた役が前記抽選結果に含まれることを前記乗換条件としてシナリオの乗換を行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記表示制御部により選択中のシナリオにおける最終のシナリオ要素が表示された場合に、前記役に応じた特典とは異なる特別特典を付与する特別特典付与部(221d)をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記シナリオ管理部は、前記複数のシナリオに対して対応する特別特典を対応付けて管理し、前記特別特典付与部は、前記選択中のシナリオに対応した特別特典を付与することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記シナリオ乗換部は、前記第1のシナリオよりも遊技者にとって有利な特別特典が対応付けられたシナリオから前記第2のシナリオを選択することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記シナリオ乗換部は、最終のシナリオ要素までの残要素数が、前記第1のシナリオにおける残要素数よりも1増加するシナリオから前記第2のシナリオを選択し、前記表示制御部は、前記残要素数が1増加するシナリオから前記第2のシナリオが選択された場合に、前記乗換先シナリオ要素を表示制御することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記シナリオ乗換部は、最終のシナリオ要素までの残要素数が、前記第1のシナリオにおける残要素数と同一のシナリオから前記第2のシナリオを選択し、前記表示制御部は、前記残要素数が同一のシナリオから前記第2のシナリオが選択された場合には、次にシナリオの進行が発生するまで前記乗換元シナリオ要素を表示制御し、次にシナリオの進行が発生した場合に前記乗換先シナリオ要素を表示制御することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記シナリオ乗換部は、前記第2のシナリオとして選択可能なシナリオが存在しない場合に前記シナリオの乗換を予約し、シナリオの進行が発生して前記第1のシナリオにおける次の順序のシナリオ要素が前記表示部に表示制御されたならば、当該シナリオ要素を乗換元シナリオ要素として前記第2のシナリオを選択することを特徴とする。
【0020】
ここで、本明細書で用いる用語について説明する。まず、「リール」とは、周面に複数の図柄を配置した表示列のことをいう。複数のリールが遊技機に備えられている。「リール窓」とは、遊技機の前面に設置されリール上に配置された複数の図柄の一部を遊技者に視認可能とするものをいう。「停止図柄」とは、停止したリール上に配置された複数の図柄のうち、リール窓を透して遊技者に視認可能な図柄のことをいう。
【0021】
「遊技媒体」とは、遊技機に使用されるメダル又は遊技球のことをいう。「クレジット」とは、遊技機に電気的又は磁気的に記憶された遊技媒体の数を示す情報のことをいい、その数をクレジット数という。「ベット」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定することをいう。ベットされた遊技媒体はゲームの開始とともに消費される。「ベット数」とはゲームを開始するために設定された遊技媒体の数のことをいう。
【0022】
「ゲーム」とは、リールの回転を開始したときから入賞の判定の結果に基づく処理が終了するまでの一連の処理のことをいう。「1ゲーム」、「1回のゲーム」とは、当該一連の処理の1回分のことをいう。「スタートレバー」とは、ゲームの開始を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
【0023】
「役」とは、当選の対象となる最小単位のことをいう。役の入賞に応じて付与される特典の種別によってボーナス役、小役、再遊技役に大別される。
【0024】
「押順小役」とは、内部抽選により同時に当選する複数の小役の組合せであって、押順によって入賞する小役が定まるものをいう。押順小役に含まれる複数の小役のうち、遊技者にとって有利な小役を「押順正解小役」、遊技者にとって不利な小役を「押順不正解小役」という。また、押順小役に含まれる複数の小役が同時に当選することを「押順小役の当選」という。
【0025】
「押順再遊技役」とは、内部抽選により同時に当選する複数の再遊技役の組合せであって、押順によって入賞する再遊技役が定まるものをいう。押順再遊技役に含まれる複数の再遊技役のうち、遊技者にとって有利な再遊技役を「押順正解再遊技役」、遊技者にとって不利な再遊技役を「押順不正解再遊技役」という。また、押順再遊技役に含まれる複数の再遊技役が同時に当選することを「押順再遊技役の当選」という。
【0026】
押順小役及び押順再遊技役を「押順役」という。押順正解小役及び押順正解再遊技役を「押順正解役」という。押順不正解小役及び押順不正解再遊技役を「押順不正解役」という。「正解押順」とは、押順役において、押順正解役が入賞する押順のことをいう。「不正解押順」とは、押順役において、押順不正解役が入賞する押順のことをいう。
【0027】
「内部抽選」とは、スタートレバーの操作を契機として、1若しくは複数の役の当選又はハズレを決定することをいう。「当選」とは、内部抽選の結果として、役が決定されることをいう。「ハズレ」とは、内部抽選の結果として、いずれの役も決定されない状態のことをいう。「ストップボタン」とは、回転するリールの停止を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。複数のリールにそれぞれ対応する複数のストップボタンが遊技機に備えられている。
【0028】
「入賞」とは、有効化された入賞ライン上の停止図柄の組合せが役に対応する図柄の組合せと一致することをいう。「非入賞」とは、有効化された入賞ライン上の停止図柄の組合せが役に対応する図柄の組合せと一致しないことをいう。非入賞には、内部抽選によりいずれかの役が当選したにも関わらず、ストップボタンの操作によって役に対応する図柄の組合せが有効化された入賞ライン上に揃わなかった場合と、内部抽選でハズレとなったために有効化された入賞ライン上の停止図柄の組合せが役に対応する図柄の組合せと一致しない場合とがある。また、前者の場合を、「取りこぼし」という。
【0029】
「当選フラグ」とは、内部抽選により当選した役を記憶するデータをいう。内部抽選の結果に基づいてセットされた当選フラグは、原則として1ゲーム終了時にクリアされる。
【0030】
「入賞ライン」とは、入賞を判定する対象である所定の図柄位置の組合せのことをいう。ベットに応じて入賞の判定が無効の状態から有効な状態に変化する。「有効化された入賞ライン上」とは、有効な状態に変化した入賞ラインに係る図柄位置のことをいう。
【0031】
「払出し数」とは、入賞した役に対応して払い出される遊技媒体数のことをいい、複数の入賞ラインによって複数の役が入賞した場合には、各役に付与される配当を合計した数となる。ただし、払出し数には上限値「15(枚)」が定められており、各役に付与される配当を合計した枚数が15枚を超える場合には、上限値である15枚が払出し数となる。
【0032】
「出玉率」とは、ベット数に対する払出し数の割合(払出し数/ベット数)をいい、出玉率が1(100%)のときは、ベット数と払出し数とが同一値であることを意味する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、遊技機は、複数のゲームにわたって進行する演出のシナリオを複数管理し、複数のシナリオから選択したシナリオに沿って表示制御を行うとともに、所定の乗換条件が満たされたならば、表示中のシナリオ要素である乗換元シナリオ要素と少なくとも演出画面の画像の一部が共通する乗換先シナリオ要素を含むシナリオに乗り換え、乗換先シナリオ要素から乗換先のシナリオに沿って表示制御するので、ストーリー仕立ての演出を遊技機で行う場合に、自然で豊富なシナリオ展開を効率よく実現することができる。
【0034】
また、本発明によれば、シナリオの進行に対応付けられた役が抽選結果に含まれる場合に、表示中のシナリオ要素の次の順序に定められたシナリオ要素を表示制御し、シナリオの乗換に対応付けられた役が抽選結果に含まれる場合にシナリオの乗換を行うので、スロットゲームの結果と連動してシナリオの進行と乗換を制御することができる。
【0035】
また、本発明によれば、選択中のシナリオにおける最終のシナリオ要素が表示された場合に、役に応じた特典とは異なる特別特典を付与するので、シナリオを進行させる動機付けを行うことができる。
【0036】
また、本発明によれば、複数のシナリオに対して対応する特別特典を対応付けて管理し、選択中のシナリオに対応した特別特典を付与するように構成したので、シナリオの乗換による興趣性をさらに高めることができる。
【0037】
また、本発明によれば、シナリオの乗換を行う際に、遊技者にとって有利な特別特典が対応付けられたシナリオから乗換先のシナリオを選択するよう構成したので、シナリオの乗換に伴って遊技者の期待感が累増するよう演出を行うことができる。
【0038】
また、本発明によれば、乗換先シナリオ要素から当該シナリオの最終のシナリオ要素までの残要素数が乗換前の残要素数よりも1増加するシナリオが乗換先として選択された場合に、乗換先シナリオ要素を表示制御するので、乗換を行っても残要素数を維持することができる。
【0039】
また、本発明によれば、乗換先シナリオ要素から当該シナリオの最終のシナリオ要素までの残要素数が乗換前の残要素数と同一のシナリオが乗換先として選択された場合には、次にシナリオの進行が発生するまで乗換元シナリオ要素を表示制御し、次にシナリオの進行が発生した場合に乗換先シナリオ要素を表示制御するので、乗換を行っても残要素数を維持することができる。
【0040】
また、本発明によれば、乗換先のシナリオとして選択可能なシナリオが存在しない場合にはシナリオの乗換を予約し、シナリオの進行が発生して選択中のシナリオにおける次の順序のシナリオ要素が表示制御されたならば、当該シナリオ要素を乗換元シナリオ要素として乗換先のシナリオを選択するので、シナリオの乗換を柔軟かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、実施例にかかる遊技機の外観を示す斜視図である。
図2図2は、遊技機のリール可変表示装置の構造を示す説明図である。
図3図3は、遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
図4図4は、遊技機の機能的な構成を説明するための機能ブロック図である。
図5図5は、遊技機における1ゲームの流れの内容を示すフローチャートである。
図6図6は、メイン制御基板のゲーム状態について説明するための説明図である。
図7図7は、サブ制御基板の状態について説明するための説明図である。
図8図8は、シナリオとゲームの関係について説明するための説明図である。
図9図9は、シナリオの進行の具体例を説明するための説明図である。
図10図10は、残要素数が1増加するシナリオの検索について説明するための説明図である。
図11図11は、残要素数が同数のシナリオの検索について説明するための説明図である。
図12図12は、サブ制御基板の処理動作を示すフローチャートである。
図13図13は、図12に示したシナリオ処理の詳細について説明するためのフローチャートである。
図14図14は、図13に示したシナリオ制御処理の詳細について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る遊技機の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0043】
[1.遊技機の外観構成]
図1は、本実施例にかかる遊技機1(スロットマシン)の外観を示す斜視図である。遊技機1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置した前面扉3から構成されている。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により固定され開閉できるようになっている。前面扉3は、遊技者による操作を受け付けるためのボタン類が配置された操作部OP、リール可変表示装置RLの図柄を視認させるためのリール窓20やゲームを進行するための情報が表示される表示器類が配置されたパネル表示部DP、ゲームを進行するための情報が表示される表示器類や電飾装置が配置された演出表示部TP及びメダルを貯留する受皿部BPから構成されている。
【0044】
操作部OPには、メダル投入口10、ベットボタン11、スタートレバー12、左ストップボタン13a、中ストップボタン13b、右ストップボタン13c及び精算ボタン14が設けられている。操作部OPの上面右側にはメダル投入口10が配置され、上面左側にはベットボタン11が配置されている。
【0045】
遊技機1は、ベットによって入賞ラインが有効な状態となった後、スタートレバー12が操作されると、リールR1〜R3の回転を開始する。ベットは、メダルの投入、ベットボタン11の操作又は再遊技役の入賞によって行われる。スタートレバー12は、ベットボタン11の下部位置の前面側に配置されている。
【0046】
リールR1は、遊技者から見て左側に設けられたリールである。リールR2は、遊技者から見て中央に設けられたリールである。リールR3は、遊技者から見て右側に設けられたリールである。
【0047】
スターレバー12の右側にはリールR1の回転を停止させるための左ストップボタン13a、リールR2の回転を停止させるための中ストップボタン13b及びリールR3の回転を停止させるための右ストップボタン13cが配置される。
【0048】
また、リールR1〜R3が回転を開始した後、ストップボタン13a〜13cのうち最初に行われる操作を第1停止操作、次に行われる操作を第2停止操作、最後に行われる操作を第3停止操作というものとする。また、ストップボタン13a〜13cのうち最初に押下されるボタンを第1停止ボタン、次に押下されるボタンを第2停止ボタン、最後に押下されるボタンを第3停止ボタンというものとする。
【0049】
スタートレバー12の左側には、クレジットを精算してメダル受皿40にメダルを払い出すための精算ボタン14が配置されている。クレジットは、メダル投入口10へのメダル投入や小役の入賞により加算され、ベットにより減算されるのであるが、精算ボタン14が操作された場合には残りのクレジット分のメダルが払い出される。このように、精算ボタン14は遊技者が遊技機1の利用をやめる場合に使用されるものであり、操作の頻度が低いことや遊技機1の利用中に誤って操作しないよう、上記一連の操作の流れから外れる位置に配置してある。
【0050】
パネル表示部DPには、リール窓20、ガイド表示器22及び情報表示部23が設けられている。リール窓20は、1つのリールにつき、3個の連続した図柄をのぞむ透明アクリル板からなり、遊技者はリール窓20を通して3つのリールで9個分の図柄を目視することができる。
【0051】
本実施例における遊技機1は、いわゆる1ライン機であり、リール窓20の中段表示位置に水平の入賞ラインE1を有している。すなわち、リールR1における上段表示位置をU1とし、中段表示位置をM1とし、下段表示位置をD1とし、リールR2における上段表示位置をU2とし、中段表示位置をM2とし、下段表示位置をD2とし、リールR3における上段表示位置をU3とし、中段表示位置をM3とし、下段表示位置をD3とした場合に、入賞ラインE1は、各リールR1〜R3における中段表示位置M1−M2−M3に対応している。
【0052】
また、リール窓20の右側には、入賞した役に応じて点灯する表示部やゲーム状態に応じて点灯する複数のLEDが配置されたガイド表示器22が設けられている。さらにリール窓20の下側には、クレジット数を表示するクレジット数表示器23a、入賞した役により得られるメダルの数を配当数として表示する配当数表示器23c並びに所定のゲーム状態において付与された配当数を累積して獲得枚数の表示を行う獲得枚数表示器23bから構成される情報表示部23が設けられている。
【0053】
演出表示部TPには、ゲームの進行状態を画像で表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示器30、ゲーム状態に応じて色彩や点灯パターンを変化させてゲーム状態を表示する電飾LED31及びゲーム状態に応じて変化させるBGMやボタン操作に応じた操作音、ガイド音声を出力するスピーカ32が設けられている。
【0054】
受皿部BPには、メダル払出装置が駆動されてメダル払出口40aから排出されたメダルを貯めるメダル受皿40が設けられており、メダル受皿40の左側には灰皿41が設けられている。
【0055】
[2.リール可変表示装置の構成]
図2は、遊技機1のリール可変表示装置RLの構造を示す説明図である。図2(a)は、リール可変表示装置RL全体の構造を示し、リール可変表示装置RLの内部を表すためにリールR3が取り外された状態を示したものである。図2(b)は、リールR3の詳細な構造を示したものである。
【0056】
リールR3は、軸部から放射線状に延びた複数のスポーク部と環状の枠を有する透明なABS樹脂等からなるリール枠56cの周囲に、21個の各種の図柄(図柄番号PN=1〜21)が印刷されているリール帯58cが貼り付けられて構成される。ここでは、リールR3の構造について説明したが、リールR1及びリールR2についても同様の構成となり、リールR1のリール枠56aにリール帯58aが貼り付けられており、リールR2のリール枠56bにリール帯58bが貼り付けられる。なお、リール枠56a、56b及びリール帯58a、58bは図示省略している。
【0057】
リールR1〜R3はリール可変表示装置RLのケース体50の上下に設けられた、それぞれのリールに対応したガイドレール51a〜51cに沿って挿入され、ケース体50内に収容される。
【0058】
リールR3は、ステッピングモータ54cに固定され回転するようになっている。リールR3の回転には、504ステップのパルスの供給で1回転するステッピングモータ54cを使用し、所定ステップ数のパルスを供給することで所定の図柄をリール窓20に表示させることができる。さらにLED(図示せず)を設置したバックライト装置53cを設け、リール帯58cの内側から光を照射できるようになっている。このように、リール帯58cの内側からバックライト装置53cによって光を照射することで、遊技者にリール帯58c上の図柄を目立たせることができる。
【0059】
またスポーク部の一つに検知板57cを取り付け、リール位置検出センサ55cによって、リールR3が1回転するごとに1パルスの後述するリール位置検出信号155cを出力できるようになっている。このリール位置検出信号155cを検知してから12ステップ進めたときに、図柄番号PN=1の図柄がリール窓20の中央の入賞ラインE1上に位置するように検知板57cとリール帯58cとの位置が設定してある。
【0060】
リールR3、リールR3が固定されたステッピングモータ54c、バックライト装置53c及びリール位置検出センサ55cをベース板52cに固定することで一つのユニット構成としている。このユニットは、ベース板52cをガイドレール51cに沿って挿入してケース体50内に収容するようになっている。
【0061】
ステッピングモータ54c、バックライト装置53c、検知板57c、リール位置検出センサ55c及びリール位置検出信号155cは、図示していないが、リールR1では、ステッピングモータ54a、バックライト装置53a、検知板57a、リール位置検出センサ55a及びリール位置検出信号155aにそれぞれ対応し、リールR2では、ステッピングモータ54b、バックライト装置53b、検知板57b、リール位置検出センサ55b及びリール位置検出信号155bにそれぞれ対応する。
【0062】
[3.遊技機の電気的構成]
図3は、遊技機1の電気的構成を示すブロック図である。遊技機1は、主たる制御を行うメイン制御基板100Aと、表示器30に対して表示制御を行い画像表示するサブ制御基板100Bとを備えている。
【0063】
メイン制御基板100Aは、CPU(central processing unit)101、クロック発生回路102、クロック発生回路103、ROM(read-only memory)104、RAM(random-access memory)105、データ送出回路106及び入出力ポート107を有す。なお、CPU101としてROMやRAMを内蔵しているものを採用してもよい。その場合には、外付けのROM104、RAM105は不要となる。
【0064】
CPU101は、ROM104に格納されたプログラムを、クロック発生回路102で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU101は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路102の周期とは異なるクロック発生回路103で発生したINTR信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR信号の間隔は、例えば、約1.5ミリ秒である。CPU101はプログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタ等の情報をRAM105に保存する。CPU101は、入出力ポート107を介して各種ボタン及びセンサの状態を読み取ったり、ランプやモータ等の各種装置を駆動したりする。
【0065】
ベット操作指示信号111a〜111c、開始操作指示信号112、停止操作指示信号113a〜113c及び精算操作指示信号114は、それぞれ操作部OPに設けられたベットボタン11、スタートレバー12、ストップボタン13a〜13c及び精算ボタン14が遊技者に操作されたことに応じて検知される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。
【0066】
表示制御信号123a〜123cは、それぞれパネル表示部DPに設けられたクレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b及び配当数表示器23cに表示するための表示信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より出力される。リール位置検出信号155a〜155cはそれぞれリール可変表示装置RLのそれぞれのリールに対応し、リールが1回転するたびに1回検出する信号であり入出力ポート107を介してCPU101に入力される。
【0067】
リール駆動信号154a〜154cは、それぞれリール可変表示装置RLのそれぞれのリールR1〜R3を駆動するステッピングモータ駆動信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より出力される。
【0068】
メダル投入信号160は、メダル投入口10から通ずる前面扉3の内部に設けられたメダル検出装置に設けられたメダル投入センサ59aが、投入されたメダルを検知した際に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。また、メダルブロック信号161は、メダル検出装置に設けられたメダルブロックソレノイド59bを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101から出力される。メダル払出信号162は、メダル払出装置のメダル放出部に設けられたメダル払出センサ59cがメダルを検知した際に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。また、メダル払出駆動信号163は、メダル払出装置に設けられたメダル払出駆動モータ59dを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101から出力される。
【0069】
CPU101は、データ送出回路106を介してサブ制御基板100Bへ各種コマンドを送信する。サブ制御基板100Bは、CPU(central processing unit)191、クロック発生回路192、クロック発生回路193、ROM(read-only memory)194、RAM(random-access memory)195、データ入力回路196及びグラフィックLSIとその周辺回路からなる表示回路197を備えている。
【0070】
このCPU191は、ROM194に格納されたプログラムを、クロック発生回路192で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU191は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路192の周期とは異なるクロック発生回路193で発生したINTR1信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR1信号の間隔は、例えば、2ミリ秒とする。
【0071】
CPU191は、プログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタ等の情報をRAM195に保存する。また、メイン制御基板100Aのデータ送出回路106からのデータ送出タイミングに同期して送出されるストローブ信号に基づいてINTR2信号を発生させ、このINTR2信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。
【0072】
サブ制御基板100Bは、メイン制御基板100Aより各種コマンドを受信して、ゲームに伴う演出画像を表示器30に表示させる指示情報を表示回路197に出力する。また、サブ制御基板100Bは、ガイド表示器22、電飾LED31による電飾装置の点灯制御や、リール可変表示装置RLに設けられたバックライト装置53a、53b及び53cの点灯制御、及びBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する音制御を行う。
【0073】
[4.遊技機によるゲーム]
本実施例に係る遊技機1は、リール窓20の中段表示位置に水平の入賞ラインE1を有している。また、遊技機1のメイン制御基板100Aは、通常のゲーム状態に比して再遊技役が高確率で当選するゲーム状態であるリプレイタイム状態(以下、「RT状態」と言う)を含む複数のゲーム状態の移行を制御する機能を有する。また、遊技機1のサブ制御基板100Bは、画像や音の制御によって遊技者にとって有利となるストップボタンの押順を報知するAT状態と、かかる押順の報知を行わない非AT状態とを切替える機能を有する。
【0074】
また、遊技機1では、非AT状態においてストップボタン13a〜13cを操作するべき基準となる押順(以下、「基準押順」という)として、リールR1を第1停止操作により停止する押順が推奨されている。そして後述するように、再遊技役が高確率で当選するRT状態への移行の契機となる図柄の組合せは、基準押順以外の押順(以下、「変則押順」という)が入力された場合に入賞ラインE1上に停止するようになっているため、押順の報知が行われない非AT状態では、RT状態以外のゲーム状態に滞在するようになっている。
【0075】
サブ制御基板100Bは、メイン制御基板100Aにおける内部抽選の結果に応じて、シナリオの選択と進行を制御する。このシナリオは、麻雀の配牌からアガリまでの手牌の変化を示すものである。シナリオが進行し、シナリオが最後まで到達したならば、サブ制御基板100BはART状態に移行する権利を付与する。ART状態は、サブ制御基板100BがAT状態であり、かつメイン制御基板100AがRT状態である状態をいう。また、サブ制御基板100BがAT状態となったが、メイン制御基板100AがRT状態に移行していない状態をART準備状態という。ART状態に移行する権利を付与したならば、サブ制御基板100BはAT状態となる。この時点ではメイン制御基板100AはRT状態ではないため、ART準備状態である。
【0076】
AT状態において押順小役が当選したならば、サブ制御基板100Bは、押順正解小役の正解押順を報知する。押順正解小役は、当選した押順小役に含まれる小役の中で最も配当が大きい小役である。
【0077】
また、ART準備状態において押順再遊技役が当選したならば、サブ制御基板100Bは、押順正解再遊技役の正解押順を報知する。押順正解再遊技役は、当選した押順再遊技役に含まれる再遊技役のうち、RT状態への移行の契機となる図柄の組合せが入賞ラインE1上に揃う再遊技役である。
【0078】
[4−1.図柄の配置]
リール帯58a〜58cには、「ベル」、「リプレイ1」等の図柄が印刷される。リールR1には、21個の図柄が等間隔で配置されるようリール帯58aが貼り付けられ、リールR2には、21個の図柄が等間隔で配置されるようリール帯58bが貼り付けられ、リールR3には、21個の図柄が等間隔で配置されるようリール帯58cが貼り付けられている。この21個の図柄のリール上の位置は、図柄番号により管理する。図柄番号は図柄番号PN=1から図柄番号PN=21までである。同一の図柄が、同一リール上の複数の図柄番号に対応する位置に配置されてもよい。
【0079】
リールR1〜R3の回転には、504ステップのパルスの供給で1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用しているので、21個の図柄を配置すると、図柄同士の間隔は24ステップとなる。
【0080】
また、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから12ステップ進めたときに、図柄番号PN=1の図柄がリール窓20の中段の入賞ラインE1上に位置するようにしているため、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから36ステップ進めれば図柄番号PN=2の図柄がリール窓の中段に位置し、60ステップ進めれば図柄番号PN=3の図柄がリール窓の中段に位置し、492ステップ進めれば図柄番号PN=21の図柄がリール窓の中段に位置することになる。504ステップより先に進めると、再びリール位置検出信号155a〜155cが検知される。これによりリール位置検出信号155a〜155cが検知されたタイミングを基点にして、ステッピングモータ54a〜54cに供給するパルス数を制御することで所定の図柄をリール窓の中段に位置させることができる。
【0081】
[4−2.機能構成]
次に、遊技機1の機能的な構成について説明する。図4は、遊技機1の機能的な構成を説明するための機能ブロック図である。図4に示すように、メイン制御基板100Aの機能には、操作受付部201、ゲーム処理部202、払出制御部203及びゲーム状態設定部204が含まれる。メイン制御基板100AのCPU101は、ROM104にあらかじめ記憶されているメインプログラムや割込プログラムを実行することにより、操作受付部201、ゲーム処理部202、払出制御部203及びゲーム状態設定部204の機能を実現させる。
【0082】
操作受付部201は、操作部OPに設けられた各操作部(メダル投入口10、ベットボタン11、スタートレバー12、左ストップボタン13a、中ストップボタン13b、右ストップボタン13c及び精算ボタン14)に対する遊技者の操作情報を受け付ける処理部である。操作受付部201は、受け付けた操作をゲーム処理部202及びサブ制御基板100Bに出力する。
【0083】
ゲーム処理部202は、ベット制御部211、内部抽選部212、リール制御部213及び入賞判定処理部214を有する。ベット制御部211は、操作受付部201がメダルの投入に係る操作情報を受け付けた場合、ベットボタン11の操作情報を受け付けた場合、又は再遊技役が入賞した場合にベットを行って、入賞ラインE1を有効化する。さらに、ベット制御部211は、操作受付部201がスタートレバー12の操作を受け付けてから、1ゲームが終了するまで、ベットを禁止する制御を行う。
【0084】
内部抽選部212は、乱数を発生させるための乱数発生器を含んで構成され、開始操作指示信号112を検知したタイミングで、一定の範囲の数値、例えば、0〜65535の範囲で1つの乱数値を発生する。また、内部抽選部212は、現在のゲーム状態に応じた抽選テーブルを選択する。
【0085】
内部抽選部212は、乱数発生器で発生した乱数値を選択された抽選テーブルに照らし合せることにより、1若しくは複数の役の当選又はハズレを決定し、内部抽選の結果を示す情報をリール制御部213及びサブ制御基板100Bに出力する。
【0086】
リール制御部213は、リールの回転と停止を制御する処理部である。リール制御部213は、内部抽選の結果と、押順と、ストップボタン13a〜13cが押下されるタイミングとに基づいてリールR1〜R3を停止制御する。なお、第2停止操作以降では、停止済のリールの停止位置を示す情報も停止制御に用いられる。
【0087】
入賞判定処理部214は、リールR1〜R3が全て停止制御された後、有効化された入賞ラインE1上に停止制御された停止図柄の組合せに基づいて役の入賞を判定する処理部である。入賞判定処理部214は、払出制御部203、ゲーム状態設定部204及びサブ制御基板100Bに対して判定結果を出力する。
【0088】
払出制御部203は、入賞判定処理部214による判定の結果、小役が入賞していた場合に、該小役に応じたメダルの払出し数をクレジット数に加算する。そして、クレジット数が上限である「50」を超える場合には、超過分のメダルを払い出すようメダル払出駆動モータ59dを制御する。
【0089】
ゲーム状態設定部204は、遊技機1のゲーム状態を設定する処理部である。遊技機1のゲーム状態には、再遊技役が高確率で当選するRT状態に対応するゲーム状態と、再遊技役の当選確率がRT状態よりも低いゲーム状態とが含まれる。ゲーム状態設定部204は、特定の図柄の組合せが入賞ラインE1上に停止したことを条件に、ゲーム状態を変更する。
【0090】
サブ制御基板100Bは、メイン制御基板100Aの下位に属する制御基板である。サブ制御基板100BのCPU191は、メイン制御基板100Aから情報が入力されるものの、サブ制御基板100BのCPU191からメイン制御基板100Aには情報を出力することができないようになっている。サブ制御基板100Bの機能には、AT処理部221及び演出制御部222が含まれる。サブ制御基板100BのCPU191は、ROM194にあらかじめ記憶されているメインプログラムや割込プログラムを実行することにより、AT処理部221及び演出制御部222の機能を実現させる。
【0091】
AT処理部221は、シナリオ管理部221a、シナリオ表示制御部221b、シナリオ乗換部221c及びART付与部221dを有する。シナリオ管理部221aは、複数のシナリオを管理している。
【0092】
複数のシナリオの各々は、麻雀の配牌からアガリまでの手牌の変化を示している。1つのシナリオは、表示器30に表示する順序が定められた複数のシナリオ要素を含む。順序が最初のシナリオ要素は、麻雀の1局の始まりに対応し、配牌を表示制御するシナリオ要素である。順序が2番目移行のシナリオ要素は、ツモ等により手牌が変更される演出を表示制御するシナリオ要素である。そして、順序が最後のシナリオ要素は、アガリ牌により麻雀役が成立した演出を表示制御するシナリオ要素である。
【0093】
シナリオ表示制御部221bは、シナリオ管理部221aにより管理された複数のシナリオからいずれか1つを選択し、選択されたシナリオに沿って複数のゲームにわたって表示器30に表示する演出画面を制御する。
【0094】
シナリオ乗換部221cは、シナリオの乗換を行う処理部である。シナリオ表示制御部221bは、シナリオ乗換部221cにより乗換先のシナリオが選択されたならば、以降は乗換先のシナリオに沿って演出画面を制御する。
【0095】
具体的には、メイン制御基板100Aの内部抽選により再遊技役が当選した場合には、シナリオ表示制御部221bは、選択中のシナリオにおいて表示中のシナリオ要素の次の順序に定められたシナリオ要素を表示制御することで、シナリオを進行させる。これにより、手牌が変化してアガリに1手近づく演出が行われることになる。
【0096】
また、メイン制御基板100Aの内部抽選により所定の小役が当選した場合には、シナリオ乗換部221cは、翻数加算抽選を行う。この翻数加算抽選により、翻数の加算が当選すると、目標翻数が加算される。そして、目標翻数と現在選択中のシナリオに設定されたシナリオ翻数とが不一致となったならば、シナリオ乗換部221cは、乗換先のシナリオを選択する。このとき、シナリオ翻数が目標翻数と一致するシナリオから乗換先のシナリオを選択することになる。さらに、シナリオ乗換部221cは、シナリオ表示制御部221bが選択中のシナリオを選択元シナリオとし、選択元シナリオのシナリオ要素のうち、表示器30に表示中のシナリオ要素を乗換元シナリオ要素とする。そして、乗換元シナリオ要素と少なくとも演出画面の画像の一部が共通する乗換先シナリオ要素を含むシナリオを乗換先シナリオとして選択する。すなわち、乗換元シナリオ要素の最終的な手牌と、乗換先シナリオ要素の最初の手牌とが一致する乗換先シナリオを選択するのである。なお、乗換先シナリオは、乗換先シナリオ要素の順序が2番目以降であるシナリオから選択する。
【0097】
このようにシナリオの乗換を行うことにより、シナリオ管理部221aが管理するシナリオを有効に利用し、多様な展開を演出することができる。また、乗換元シナリオ要素の最終的な手牌と、乗換先シナリオ要素の最初の手牌とが一致するよう乗換先シナリオを選択するので、遊技者に察知されることなく、自然なシナリオの乗換を実現することができる。
【0098】
シナリオが進行し、順序が最後のシナリオ要素が表示制御されたならば、ART付与部221dは、ART状態に移行する権利を付与し、サブ制御基板100BのAT状態を開始する。なお、順序が最後のシナリオ要素の表示制御では、アガリ牌により麻雀役が成立した演出が行われる。
【0099】
詳細については後述するが、AT状態の開始後には、まず、ART準備状態となる。ART準備状態では、押順小役又は押順再遊技役が当選した場合に、ART付与部221dは、正解押順を報知する。押順再遊技役が当選し、正解押順で操作が行われると、RT状態への移行の契機となる図柄の組合せを入賞ラインE1上に揃えることができる。
【0100】
RT状態への移行の契機となる図柄の組合せが入賞ラインE1に揃ったならば、メイン制御基板100Aのゲーム状態はRT状態となる。また、ART付与部221dは、メイン制御基板100AがRT状態であると認識し、サブ制御基板100BをART状態とする。なお、メイン制御基板100Aのゲーム状態は、メイン制御基板100Aからサブ制御基板100Bへの一方向通信によって、サブ制御基板100Bに通知されている。そのため、ART付与部221dは、メイン制御基板100Aのゲーム状態を知ることができる。
【0101】
サブ制御基板100BがART状態となったならば、ART付与部221dは、押順小役が当選した場合に、正解押順を報知する。このART状態は、所定のゲーム数で終了する。ART状態の終了を判定した後は、ART付与部221dは、サブ制御基板100Bを非AT状態とする。
【0102】
演出制御部222は、表示器30に押順を示す情報を表示する制御を行う。また、演出制御部222は、メイン制御基板100Aより各種コマンドを受信して、ゲームに伴う演出画像の表示器30への表示制御、電飾LED31による電飾装置の点灯制御、リール可変表示装置RLに設けられたバックライト装置53a、53b及び53cの点灯制御、並びにBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する音制御を行う。
【0103】
[4−3.1ゲームの流れ]
図5は、遊技機1における1ゲームの流れの内容を示すフローチャートである。まずベット制御部211は、前のゲームにおいて自動ベット処理が行われたか否かを判定する(ステップS101)。前のゲームにおいて自動ベット処理が行われていれば(ステップS101;Yes)、ステップS103に移行する。
【0104】
前のゲームにおいて自動ベット処理が行われていなければ(ステップS101;No)、ベット制御部211は、メダル投入信号160又はベット操作指示信号111a〜111cに基づいて、メダル投入又はベットボタン11の押下によるベットの操作が行われたか否かを判定する(ステップS102)。いずれの信号も検知されなければ(ステップS102;No)、ベット制御部211はいずれかの信号を検出するまで待機する(ステップS102)。
【0105】
ベット制御部211は、いずれかの信号を検知した場合(ステップS102;Yes)、若しくは前のゲームにおいて自動ベット処理が行われていた場合(ステップS101;Yes)、開始操作指示信号112に基づいてスタートレバー12の操作が行われたか否かを判定する(ステップS103)。開始操作指示信号112を検知していなければ(ステップS103;No)、ベット制御部211は開始操作指示信号112を検知するまで待機する(ステップS103)。ベット制御部211は、開始操作指示信号112を検出した場合は(ステップS103;Yes)、ベットを禁止する(ステップS104)。
【0106】
次に内部抽選部212は、0〜65535の範囲で1つの乱数値を発生する(ステップS105)。次に内部抽選部212は、ゲーム状態に応じた抽選テーブルを選択する(ステップS106)。そして、内部抽選部212は、発生した乱数値を選択された抽選テーブルに照らし合せることにより、役グループを決定し、役グループに含まれる役の当選フラグをセットする(ステップS107)。
【0107】
遊技機1では、遊技者が短時間に多くのメダルを消費することを防ぐために、1ゲームに要する経過時間を計測している。この実施例では1ゲームの最小消費時間を4.1秒とし、1分間に15ゲーム以上実行できないようにしている。そのため、ステップS103でスタートレバー12が操作されても、前のゲームのリールの回転の開始から4.1秒経過していない場合には(ステップS108;No)、リールR1〜R3は回転させないで待機状態になり、待機状態になったことをランプや音で遊技者に知らせる。そして、前のゲームのリールの回転の開始から4.1秒経過したならば(ステップS108;Yes)、リール制御部213は、リール駆動信号154a〜154cにパルスを供給して、ステッピングモータを順次又は同時に駆動して、3つのリールを回転させる(ステップS109)。
【0108】
リール制御部213は、所定の加速期間を経て3つのリールR1〜R3を全て一定回転速度に移行させる。3つのリールR1〜R3が一定回転速度に到達したことを検出し、この検出時点を基準時点とし、この基準時点から自動停止時間が経過するまでの残り時間の計測を開始するとともにストップボタン13a〜13cの受け付けができることを知らせるためにストップボタンに内蔵したLEDを点灯させる。
【0109】
そして、リール制御部213は、3つのリールR1〜R3を停止させるリール停止処理を行う(ステップS110)。リール停止処理では、遊技者によるストップボタン13a〜13cの入力がされて停止操作指示信号113a〜113cが検出された場合には、ステップS107で決定した役テーブルと、ストップボタンの操作タイミングで得られた対応するリール上の図柄位置とに基づいて、当該リールの停止位置を決定し、ステッピングモータ54a〜54cの巻線相を全相励磁してブレーキ力を与えて、対象のリールを停止させる。このとき、対象のリールは全相励磁を開始してから6ステップ相当分の慣性で回転して停止する。なお、基準時点から自動停止時間が経過した場合(残り時間がなくなる場合)には、停止操作指示信号113a〜113cが検出されていなくとも、当該リールの停止位置を決定し、ステッピングモータ54a〜54cの巻線相を全相励磁してブレーキ力を与えて、対象のリールを停止させる。
【0110】
全てのリールが停止すると、入賞判定処理部214は、入賞ラインE1上の停止図柄の組合せが役に対応する図柄の組合せと一致するか否かにより、役の入賞を判定し(ステップS111)、入賞した場合には役ごとに設定した特典を付与する。また、このステップS111の処理においては、ゲーム状態設定部204によるゲーム状態の設定も行われる。具体的には、全リールの停止後、入賞ラインE1上に特定の図柄の組合せが表示されているならば、該図柄の組合せに対応するゲーム状態(RT状態やボーナスゲーム状態など)に設定する。次に、入賞判定処理部214は、当選フラグクリア処理を行う(ステップS112)。ステップS112では、入賞したか、非入賞となって取りこぼしたかにかかわらず小役の当選フラグをクリアする。
【0111】
次に入賞判定処理部214は、再遊技役に入賞したかを判定し(ステップS113)、入賞したと判定した場合は(ステップS113;Yes)、自動ベット処理を行い(ステップS115)、次のゲームの開始に備えるため、ステップS101へ戻る。入賞していないと判定した場合は(ステップS113;No)、ステップS104で行ったベットの禁止を解除し(ステップS114)、メダルの投入又はベットボタン11の入力の受け付けを行えるようにし、次のゲームの開始に備えるため、処理を終了してステップS101へ戻る。
【0112】
[4−4.メイン制御基板のゲーム状態]
次に、メイン制御基板100Aのゲーム状態について説明する。図6は、メイン制御基板100Aのゲーム状態について説明するための説明図である。図6(a)は、遊技機1が使用する役の抜粋である。
【0113】
図6(a)は、「8枚小役」、「1枚小役1」、「1枚小役2」、「再遊技1」及び「特リプ1」の5つの役を示している。「8枚小役」には、図柄の組合せ「ベル−ベル−ベル」が対応付けられている。同様に、「1枚小役1」には、図柄の組合せ「A−A−X」が対応付けられ、「1枚小役2」には、図柄の組合せ「A−B−X」が対応付けられている。なお、図柄の組合せにおける「A」「B」及び「X」は、それぞれ特定の図柄に対応するものである。
【0114】
「再遊技1」には、図柄の組合せ「A−リプレイ1−A」が対応付けられている。また、「特リプ1」には、図柄の組合せ「B−リプレイ2−B」が対応付けられている。再遊技1と特リプ1はともに再遊技役であるが、再遊技1はゲーム状態の移行の契機として使用せず、特リプ1はゲーム状態の移行の契機として使用する。
【0115】
以降の説明では、1枚小役1に対応付けられた図柄の組合せを図柄組合せFc1とし、特リプ1に対応付けられた図柄の組合せを図柄組合せFc2とする。
【0116】
図6(b)は、メイン制御基板100Aのゲーム状態の移行について説明する説明図である。図6(b)に示すように、メイン制御基板100Aのゲーム状態には、遊技機1におけるゲームの基準となる通常ゲーム状態であるゲーム状態G1と、ゲーム状態G1よりも再遊技役が高確率で当選するRT状態であるゲーム状態G2とがある。
【0117】
ゲーム状態G2へは、図柄組合せFc2が入賞ラインE1上に停止した場合に移行する。また、ゲーム状態G1へは、図柄組合せFc1が入賞ラインE1上に停止した場合に移行する。
【0118】
図柄組合せFc2は、所定の変則押順が入力された場合に入賞ラインE1上に揃うようになっている。具体的には、内部抽選部212による内部抽選の対象として、特リプ1のようにゲーム状態の移行の契機として使用する再遊技役と、再遊技役1のようにゲーム状態の移行の契機として使用しない再遊技役とが同時当選する押順再遊技役を設ける。そして、ゲーム状態の移行の契機として使用する再遊技役を押順正解再遊技役とし、ゲーム状態の移行の契機として使用しない再遊技役を押順不正解再遊技役として、基準押順を不正解押順、所定の変則押順を正解押順とする。
【0119】
このようにして、正解押順である所定の変則押順が入力された場合にのみ図柄組合せFc2が入賞ラインE1上に揃うようにすれば、サブ制御基板100Bが非AT状態である場合には正解押順が報知されないため、メイン制御基板100Aはゲーム状態G1に滞在する。そして、サブ制御基板100BがART準備状態である場合に押順再遊技役が当選すれば、正解押順が報知されるので、メイン制御基板100Aがゲーム状態G2(RT状態)に移行することとなる。
【0120】
[4−5.サブ制御基板の状態]
次に、サブ制御基板100Bの状態について説明する。図7は、サブ制御基板100Bの状態について説明するための説明図である。図7に示すように、サブ制御基板100Bの状態には、非AT状態とAT状態とがある。非AT状態は、シナリオに沿った演出を行うシナリオ演出状態である。このシナリオ演出状態では、シナリオ表示制御部221bは、シナリオ管理部221aにより管理された複数のシナリオからいずれか1つを選択し、選択されたシナリオに沿って複数のゲームにわたって表示器30に表示する演出画面を制御する。
【0121】
そして、メイン制御基板100Aの内部抽選により再遊技役が当選した場合には、シナリオ表示制御部221bは、選択中のシナリオにおいて表示中のシナリオ要素の次の順序に定められたシナリオ要素を表示制御することで、シナリオを進行させる。
【0122】
また、メイン制御基板100Aの内部抽選により所定の小役が当選した場合には、シナリオ乗換部221cは、翻数加算抽選を行い、翻数の加算が当選したならば、目標翻数を加算する。
【0123】
シナリオ乗換部221cは、目標翻数と現在選択中のシナリオに設定されたシナリオ翻数とが不一致となったならば、乗換先のシナリオを検索し、検索結果として得られたシナリオを乗換先のシナリオとして選択する。シナリオ表示制御部221bは、シナリオ乗換部221cにより乗換先のシナリオが選択されたならば、以降は乗換先のシナリオに沿って演出画面を制御する。
【0124】
シナリオ表示制御部221bは、シナリオの最初の(順序=1の)シナリオ要素の表示制御からのゲーム数を計数している。そして、シナリオ別に定められている所定ゲーム数以内に、順序が最後のシナリオ要素が表示制御されなければ、すなわち、麻雀役が成立する演出をおこなうことなく所定ゲーム数が消化されたならば、流局の演出を行って当該シナリオを終了する。すなわち、シナリオの途中で転落することとなる。流局の次のゲームでは、シナリオ表示制御部221bは、シナリオ管理部221aにより管理された複数のシナリオからいずれか1つを新たに選択し、選択されたシナリオの最初のシナリオ要素を表示制御する。
【0125】
一方、所定ゲーム数以内に順序が最後のシナリオ要素が表示制御された場合には、ART付与部221dは、ART状態に移行する権利を付与し、サブ制御基板100BのAT状態を開始する。このAT状態には、ART準備状態と、ART状態とがある。
【0126】
順序が最後のシナリオ要素が表示制御されたならば、まず、ART準備状態に移行する。ART準備状態では、押順再遊技役の正解押順が報知されるため、入賞ラインE1に図柄組合せFc2を揃えることが可能である。メイン制御基板100Aは、入賞ラインE1に図柄組合せFc2が揃ったならば、ゲーム状態G2に移行する。サブ制御基板100Bは、メイン制御基板100Aがゲーム状態G2に移行したことを示す通知を受けてART状態に移行する。サブ制御基板100BのART状態は、所定のゲーム数で終了し、シナリオ演出状態となる。このとき、シナリオ表示制御部221bは、シナリオ管理部221aにより管理された複数のシナリオからいずれか1つを新たに選択し、選択されたシナリオの最初のシナリオ要素を表示制御する。
【0127】
[5.シナリオ演出]
次に、シナリオ演出について説明する。既に説明したように、シナリオは複数のシナリオ要素を含み、メイン制御基板100Aの内部抽選の結果に応じて進行と乗換とが行われる。
【0128】
[5−1.シナリオの進行]
図8は、シナリオとゲームの関係について説明するための説明図である。図8に示すように、メイン制御基板100Aでは、ゲームが繰り返されており、各ゲームで内部抽選や入賞判定が行われている。
【0129】
シナリオ要素には、要素初期画面と要素終了画面とを含む。1つのシナリオ要素では、ツモ等による手牌の入替の演出が行われる。入れ替え前の手牌を示すのが要素初期画面であり、入替後の手牌を示すのが要素終了画面である。
【0130】
メイン制御基板100Aによる内部抽選により再遊技役が当選した場合には、順序が次のシナリオ要素が表示制御されるのであるが、このとき、前のシナリオ要素の要素終了画面と次のシナリオ要素の要素初期画面とで画像の一部、具体的には手牌が同一となっている。従って、シナリオが進行した場合には、前のシナリオ要素から手牌を引き継くように演出が可能である。
【0131】
詳細については後述するが、シナリオの乗換を行う場合にも、前のシナリオ要素の要素終了画面と次のシナリオ要素の要素初期画面とで画像の一部(手牌)が同一となるように乗換先を選択する。なお、シナリオの進行も乗換も発生しなかった場合には、ツモ切りの演出を行い、手牌の入替は発生しない。
【0132】
図9は、シナリオの進行の具体例を説明するための説明図である。図9に示したシナリオJ101は、シナリオ要素J101a〜J101eの5つのシナリオ要素を有する。このうち、シナリオ要素J101aは順序が1番目で最初のシナリオ要素であり、シナリオ要素J101bは順序が2番目のシナリオ要素である。シナリオ要素J101cは順序が3番目のシナリオ要素であり、シナリオ要素J101dは順序が4番目のシナリオ要素である。そして、シナリオ要素J101eは順序が5番目で最後のシナリオ要素である。
【0133】
シナリオ表示制御部221bがこのシナリオJ101を新規のシナリオとして選択した場合には、まず順序が1番目のシナリオ要素J101aが表示制御される。シナリオ要素J101aの要素初期画面JP01が配牌であり、シナリオ要素J101aの要素終了画面JP02は配牌から入れ替えた手牌である。
【0134】
次のゲームでメイン制御基板100Aによる内部抽選により再遊技役が当選すると、順序が2番目のシナリオ要素J101bが表示制御される。このシナリオ要素J101bの要素初期画面JP02は、シナリオ要素J101aの要素終了画面JP02と同一であり、手牌が入れ替って要素終了画面JP03となる。
【0135】
さらに次のゲームでメイン制御基板100Aによる内部抽選により再遊技役が当選すると、順序が3番目のシナリオ要素J101cが表示制御される。このシナリオ要素J101cの要素初期画面JP03は、シナリオ要素J101bの要素終了画面JP03と同一であり、手牌が入れ替って要素終了画面JP04となる。
【0136】
このように、順序が2番目以降のシナリオ要素では、その要素初期画面は1つ前のシナリオ要素の要素終了画面と同一であり、1つ前のシナリオ要素の要素終了画面からの手牌の変化が演出されることになる。
【0137】
シナリオが進行し、最後のシナリオ要素J101eが表示制御されると、麻雀役が成立したアガリに対応する要素終了画面JP06を表示する演出が行われ、AT状態が開始される。
【0138】
[5−2.シナリオの乗換]
次に、シナリオの乗換について説明する。メイン制御基板100Aの内部抽選により所定の小役が当選した場合には、シナリオ乗換部221cは、翻数加算抽選を行う。この翻数加算抽選により、翻数の加算が当選すると、目標翻数が加算される。そして、目標翻数と現在選択中のシナリオに設定されたシナリオ翻数とが不一致となったならば、シナリオ乗換部221cは、乗換先のシナリオを選択する。
【0139】
このとき、シナリオ乗換部221cは、次の乗換条件1〜3を全て満たすシナリオから乗換先のシナリオを選択する。
【0140】
乗換条件1は、乗換元シナリオ要素の最終的な手牌(入替後の手牌)と、乗換先シナリオ要素の最初の手牌(入替前の手牌)とが一致することを求める条件である。この条件により、乗換の場合であってもシナリオ進行の場合と同様に、1つ前のシナリオ要素の要素終了画面からの手牌の変化が演出されることになる。
【0141】
乗換条件2は、乗換を行った場合に、乗換先のシナリオの配牌からやり直すのではなく、乗換先のシナリオの途中から以降の進行を行えるようにするための条件である。この条件により、遊技者に察知されることなく、自然なシナリオの乗換を実現することができる。
【0142】
乗換条件3は、シナリオ翻数が目標翻数と一致するシナリオから乗換先のシナリオを選択することを求める条件である。この条件により、目標翻数が加算された場合には、目標翻数に応じたシナリオに乗り換えられることになる。シナリオ管理部221aが管理する複数のシナリオには、シナリオ翻数と当該シナリオが有する全要素数とが対応づけられている。そして、シナリオが最後のシナリオ要素まで進行したならば、シナリオ翻数に応じたゲーム数のART状態が付与される。従って、目標翻数が大きくなり、それに合わせてシナリオの乗換が発生すると、最後のシナリオ要素まで進行した場合に得られるART状態をより長く継続することができるのである。
【0143】
シナリオ乗換部221cは、翻数加算抽選により目標翻数が加算され、シナリオ翻数とが不一致となったならば、まず、乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が1増加するシナリオを検索する。残要素数とは、当該シナリオにおける最終のシナリオ要素までの数である。乗換元のシナリオでは、全要素数から乗換元シナリオ要素の順序を減算した値が残要素数となる。また、乗換先のシナリオでは、全要素数から乗換先シナリオ要素の順序を減算し、1を加算した値が残要素数となる。
【0144】
乗換先のシナリオで1を加算するのは、乗換先シナリオ要素は表示制御されておらず、手牌の入替前であるからである。この点について説明する。乗換先のシナリオにおいて、乗換先シナリオ要素よりも順序が1つ前のシナリオ要素は、入替後の手牌が乗換元シナリオ要素の入替後の手牌と同一である。すなわち、乗換先のシナリオでは、本来1つ前のシナリオ要素から手牌を引き継いで乗換先シナリオ要素に進行するのであるが、その代わりに乗換元シナリオ要素から乗換元シナリオ要素に進行することになる。従って、残要素数を計算する場合に、乗換元シナリオ要素に対応するのは、乗換先シナリオ要素の1つ前のシナリオ要素となるのである。そのため、乗換先のシナリオでは、全要素数から乗換先シナリオ要素の順序を減算し、1を加算することで残要素数が求められる。
【0145】
残要素数は、アガリまでに何回のシナリオ進行(再遊技役の当選)が必要であるかを示すものであり、向聴数+1と同値である。
【0146】
乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が1増加するシナリオが存在するならば、シナリオ乗換部221cは、残要素数が1増加するシナリオから乗換先シナリオを選択する。このとき、シナリオ表示制御部221bは、乗換先シナリオ要素を表示制御する。乗換先のシナリオ要素で手牌の入替が発生するため、乗換の前後で残要素数は維持されることになる。
【0147】
乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が1増加するシナリオが存在しなければ、シナリオ乗換部221cは、乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が同数のシナリオを検索する。乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が同数のシナリオが存在するならば、シナリオ乗換部221cは、残要素数が同数のシナリオから乗換先シナリオを選択する。このとき、シナリオ表示制御部221bは、ツモ切り演出を行い、次にシナリオの進行が発生したときに乗換先シナリオ要素を表示制御する。この場合にも、乗換の前後で残要素数は維持されることになる。
【0148】
乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が同数のシナリオも存在しなければ、ツモ切り演出を行う。この場合には、シナリオ翻数と目標翻数とが不一致のままである。そして、以降シナリオの進行や目標翻数の加算が発生した場合には、シナリオ乗換部221cは乗換先シナリオを検索する。すなわち、シナリオ翻数と目標翻数とが不一致の状態は、乗換が予約された状態である。シナリオが進行し、乗換元シナリオ要素が変化すれば、検索対象となるシナリオが変わるため、乗換可能なシナリオが見つかることが期待できる。また、目標翻数が加算された場合にも、やはり検索対象となるシナリオが変わり、乗換可能なシナリオが見つかることが期待できる。
【0149】
なお、シナリオの進行に伴って乗換先のシナリオを検索する場合には、乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が同数のシナリオを検索する。乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が同数のシナリオが存在するならば、シナリオ乗換部221cは、残要素数が同数のシナリオから乗換先シナリオを選択する。
【0150】
図10は、残要素数が1増加するシナリオの検索について説明するための説明図である。図10に示すように、各シナリオには、シナリオを特定するためのシナリオIDと、シナリオ翻数と、全要素数と、シナリオ要素とが対応付けられている。また、シナリオ要素には、順序と、要素初期画面と、要素終了画面とが対応付けられている。なお、図10では、説明の便宜上、麻雀役をシナリオIDに対応付けて示している。麻雀役は、シナリオのデータ項目として存在するのではなく、最後のシナリオ要素の表示制御においてその成立が演出される役である。
【0151】
具体的には、シナリオJ101は、麻雀役「平和」のシナリオであり、シナリオ翻数「1」、全要素数「5」、シナリオ要素「J101a〜J101e」が対応付けられている。また、シナリオJ102〜J104も麻雀役「平和」のシナリオであり、シナリオ翻数「1」、全要素数「5」であるが、シナリオ要素が異なっている。
【0152】
シナリオJ131は、麻雀役「平和」のシナリオであり、シナリオ翻数「1」、全要素数「4」、シナリオ要素「J131a〜J131e」が対応付けられている。このシナリオJ131が選択され、順序が2番目のシナリオ要素J131bまで進行した状態で翻数加算抽選により翻数が1加算されたならば、シナリオ要素J131bが乗換元シナリオ要素となる。
【0153】
このとき、乗換元シナリオ要素J131bの要素終了画面は「P25」であり、シナリオ翻数は「1」、残要素数は4−2で「2」である。したがって、目標翻数が「2」となり、残要素数が1増加するシナリオを検索する場合には、シナリオ翻数が「2」であり、要素初期画面が「P25」のシナリオ要素を有し、このシナリオ要素における残要素数「3」であるシナリオを検索することとなる。
【0154】
図10において、これらの条件を満たすシナリオは、シナリオJ202とシナリオJ231である。シナリオJ202は、麻雀役「平和タンヤオ」のシナリオであり、シナリオ翻数「2」、全要素数「5」であり、順序が3番目のシナリオ要素J202cの要素初期画面が「P25」である。シナリオJ231は、麻雀役「平和タンヤオ」のシナリオであり、シナリオ翻数「2」、全要素数「4」であり、順序が2番目のシナリオ要素J231bの要素初期画面が「P25」である。このように、検索結果として複数のシナリオが得られた場合には、シナリオ乗換部221cは、検索結果からランダムに乗換先シナリオを選択する。
【0155】
図11は、残要素数が同数のシナリオの検索について説明するための説明図である。図11に示す各シナリオは、説明の便宜上、図10に示したシナリオと同一である。図10と同様に、シナリオJ131が選択され、順序が2番目のシナリオ要素J131bまで進行した状態で翻数加算抽選により翻数が1加算されたならば、シナリオ要素J131bが乗換元シナリオ要素となる。
【0156】
このとき、乗換元シナリオ要素J131bの要素終了画面は「P25」であり、シナリオ翻数は「1」、残要素数は4−2で「2」である。したがって、残要素数が同数のシナリオを検索する場合には、シナリオ翻数が「2」であり、要素初期画面が「P25」のシナリオ要素を有し、このシナリオ要素における残要素数「2」であるシナリオを検索することとなる。
【0157】
図11において、これらの条件を満たすシナリオは、シナリオJ204とシナリオJ232である。シナリオJ204は、麻雀役「平和タンヤオ」のシナリオであり、シナリオ翻数「2」、全要素数「5」であり、順序が4番目のシナリオ要素J204dの要素初期画面が「P25」である。シナリオJ232は、麻雀役「平和タンヤオ」のシナリオであり、シナリオ翻数「2」、全要素数「4」であり、順序が3番目のシナリオ要素J232cの要素初期画面が「P25」である。このように、検索結果として複数のシナリオが得られた場合には、シナリオ乗換部221cは、検索結果からランダムに乗換先シナリオを選択する。
【0158】
[5−3.AT状態の制御]
次に、サブ制御基板100Bの処理動作について説明する。図12図14は、サブ制御基板100Bの処理動作を示すフローチャートである。図12に示すように、サブ制御基板100BのAT処理部221は、まず、メイン制御基板100Aから送信された情報を受信し、受信した情報を処理する(ステップS201)。メイン制御基板100Aから送信される情報は、スタートレバー12が操作されたことを示す情報、第1停止ボタンが操作されたことを示す情報、第2停止ボタンが操作されたことを示す情報、第3停止ボタンが操作されたことを示す情報、当選した役の種類を示す情報又はハズレを示す情報、停止図柄の組合せ、入賞した役又は非入賞、メイン制御基板100Aのゲーム状態等である。スタートレバー12が操作されたことを示す情報により、ゲームの開始が判別できる。
【0159】
次に、シナリオ表示制御部221bは、サブ制御基板100Bの状態がシナリオ演出状態であるかどうかを判定する(ステップS202)。シナリオ演出状態であるならば(ステップS202;Yes)、シナリオ表示制御部221bがシナリオ処理を実行する(ステップS214)。このシナリオ処理の詳細については後述する。
【0160】
サブ制御基板100Bの状態がシナリオ演出状態でなければ(ステップS202;No)、ART付与部221dは、サブ制御基板100Bの状態がART準備状態であるか否かを判定する(ステップS203)。サブ制御基板100Bの状態がART準備状態であるならば(ステップS203;Yes)、ステップS210に移行する。
【0161】
ステップS210では、ART付与部221dは、メイン制御基板100Aの内部抽選において押順役(押順再遊技役又は押順小役)が当選したかを判定し、押順役が当選していれば(ステップS210;Yes)、当選した押順役の正解押順を報知する(ステップS211)。
【0162】
ステップS211の後、ART付与部221dは、入賞ラインE1に図柄組合せFc2が揃ったか否かを判定する(ステップS212)。入賞ラインE1に図柄組合せFc2が揃ったならば(ステップS212;Yes)、ART付与部221dは、AT状態のうち、ART状態にサブ制御基板100Bの状態を移行させる(ステップS213)。なお、メイン制御基板100Aにおいては、入賞ラインE1に図柄組合せFc2が揃ったことにより、ゲーム状態G2(RT状態)への移行が行われている。
【0163】
サブ制御基板100Bの状態がART準備状態ではなくART状態であるならば(ステップS203;No)、ART付与部221dは、1ゲームにつき1回ARTゲーム数の減算を行う(ステップS204)。ステップS204の後、ART付与部221dは、ARTゲーム数が0であるか否かを判定する(ステップS205)。ARTゲーム数が0であるならば(ステップS205;Yes)、ART付与部221dは、サブ制御基板100Bの状態をシナリオ演出状態に移行させる(ステップS206)。
【0164】
ステップS206の後、又はARTゲーム数が0でない場合(ステップS205;No)、ART付与部221dは、メイン制御基板100Aの内部抽選において押順小役が当選したかを判定し(ステップS207)、押順小役が当選していれば(ステップS207;Yes)、正解押順を報知する(ステップS208)。
【0165】
ステップS208の後、ART状態で押順小役が当選していない場合(ステップS207;No)、ART準備状態で押順役が当選していない場合(ステップS210;No)、入賞ラインE1に図柄組合せFc2が揃っていない場合(ステップS212;No)、ステップS213の終了後、又はステップS214の終了後、演出制御部222は、表示器30、電飾LED31、バックライト装置53a〜53c及びスピーカ32によりゲームに関する演出を行う(ステップS209)。この演出は、スタートレバー12の操作状態、ストップボタン13a〜13cに対する操作状態によって、その内容を変更することができる。ステップS209の後、サブ制御基板100Bは一連の処理を終了する。そして、次のゲームの開始時に、再びステップS201に移行する。
【0166】
次に、図12にS214として示したシナリオ処理について説明する。図13は、図12に示したシナリオ処理の詳細について説明するためのフローチャートである。シナリオ処理を開始すると、シナリオ表示制御部221bは、前のゲームでART状態が終了したか、又は流局の演出が行われたかを判定する(ステップS301)。
【0167】
前のゲームでART状態が終了した、又は流局の演出が行われたならば(ステップS301;Yes)。シナリオ表示制御部221bは、シナリオ管理部221aにより管理された複数のシナリオからいずれか1つを新規のシナリオとして選択する(ステップS302)。
【0168】
具体的には、シナリオ表示制御部221bは、まず目標翻数及び全要素数を決定し、決定した目標翻数及び全要素数に応じたシナリオを選択する。この目標翻数及び全要素数はランダムに決定してもよいし、以前のゲームやシナリオを考慮したものであってもよい。例えば、前回のシナリオでどれだけアガリに近づいたかによって、高、中、低の3種のテーブルからいずれかを選択し、選択したテーブル内で目標翻数及び全要素数を抽選する。ここで、「高」のテーブルでは大きい目標翻数や小さい全要素数が当選する確率を「中」のテーブルよりも高くし、「低」のテーブルでは大きい目標翻数や小さい全要素数が当選する確率を「中」のテーブルよりも低くする。
【0169】
ステップS302で新規のシナリオを選択すると、シナリオ表示制御部221bは、選択したシナリオのシナリオ要素のうち、順序が1番目のシナリオ要素を表示制御する(ステップS303)。そして、麻雀ゲーム数を1にセットして(ステップS304)、処理を終了する。麻雀ゲーム数は、ステップS302でシナリオを選択してからのゲーム数、即ち、シナリオの最初の(順序=1の)シナリオ要素の表示制御からのゲーム数を示す。
【0170】
前のゲームでART状態の終了も流局の演出も行われていなければ(ステップS301;No)。シナリオの進行や乗換に係る制御であるシナリオ制御処理を行う(ステップS305)。このシナリオ制御処理の詳細については後述する。
【0171】
ステップS305のシナリオ制御処理において、シナリオを進行させることが決定されたならば(ステップS306:Yes)、シナリオ表示制御部221bは、選択中のシナリオにおいて表示中のシナリオ要素の次の順序に定められたシナリオ要素を表示制御することで、シナリオを進行させる(ステップS307)。
【0172】
ステップS307の後、シナリオ表示制御部221bは、現在のシナリオ要素が、順序が最後のシナリオ要素であるか否か、すなわち残要素数が0であるか否かを判定する(ステップS308)。
【0173】
現在のシナリオ要素が、順序が最後のシナリオ要素であるならば(ステップS308;Yes)、ART付与部221dは、ART状態に移行する権利を付与し、サブ制御基板100Bの状態をART準備状態に移行する(ステップS309)。ART付与部221dは、ART状態に移行する権利を付与する際に、目標翻数に応じたARTゲーム数を設定する。その後、シナリオ表示制御部221bは、麻雀ゲーム数をリセットして(ステップS310)、シナリオ処理を終了する。
【0174】
ステップS305のシナリオ制御処理において、シナリオを進行させることが決定されていなければ(ステップS306:No)、シナリオ表示制御部221bは、ツモ切り演出を表示制御する(ステップS311)。
【0175】
ステップS311の後、若しくは現在のシナリオ要素の順序がではない場合(ステップS308;No)、シナリオ表示制御部221bは、麻雀ゲーム数を1加算する(ステップS312)。
【0176】
ステップS312の後、シナリオ表示制御部221bは、麻雀ゲーム数が規定値に到達したか否かを判定する(ステップS313)。麻雀ゲーム数が規定値に到達していなければ(ステップS313;No)、シナリオ表示制御部221bは、シナリオ処理を終了する。一方、麻雀ゲーム数が規定値に到達したならば(ステップS313;Yes)、シナリオ表示制御部221bは、流局の演出を行う(ステップS314)。ステップS314における流局の演出の後、シナリオ表示制御部221bは、麻雀ゲーム数をリセットして(ステップS315)、シナリオ処理を終了する。
【0177】
次に、図13にS305として示したシナリオ制御処理について説明する。図14は、図13に示したシナリオ制御処理の詳細について説明するためのフローチャートである。シナリオ制御処理を開始すると、まず、シナリオ表示制御部221bは、メイン制御基板100Aの内部抽選により再遊技役が当選したか否かを判定する(ステップS401)。
【0178】
再遊技役が当選していれば(ステップS401;Yes)、シナリオ表示制御部221bは、次の順序に定められたシナリオ要素を表示するシナリオ進行を決定する(ステップS402)。
【0179】
ステップS402の後、シナリオ乗換部221cは、選択中のシナリオのシナリオ翻数と目標翻数とが一致しているか否かを判定する(ステップS403)。シナリオ翻数と目標翻数とが一致していなければ(ステップS403;No)、ステップS410に移行する。シナリオ翻数と目標翻数とが一致しているならば(ステップS403;Yes)、シナリオ制御処理を終了する。
【0180】
再遊技役が当選していなければ(ステップS401;No)、シナリオ乗換部221cは、メイン制御基板100Aの内部抽選により所定の小役(例えば8枚小役)が当選したか否かを判定する(ステップS404)。所定の小役が当選していなければ(ステップS404;No)、シナリオ制御処理を終了する。
【0181】
所定の小役が当選していれば(ステップS404;Yes)、シナリオ乗換部221cは、翻数加算抽選を行う(ステップS405)。その結果、翻数の加算が当選しなければ(ステップS406;No)、シナリオ制御処理を終了する。翻数の加算が当選したならば(ステップS406;Yes)、シナリオ乗換部221cは、目標翻数を加算する(ステップS407)。この加算では、固定値(例えば1)を加算することとしてもよいし、加算する値を抽選により異ならせることとしてもよい。
【0182】
ステップS407により目標翻数が加算された後、シナリオ乗換部221cは、乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が1増加するシナリオを検索する(ステップS408)。
【0183】
乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が1増加するシナリオが存在するならば(ステップS409;Yes)、シナリオ乗換部221cは、残要素数が1増加するシナリオから乗換先シナリオを選択し、シナリオ表示制御部221bは、選択されたシナリオに乗り換える(ステップS413)。そして、乗換先のシナリオにおいて次の順序に定められたシナリオ要素を表示するシナリオ進行を決定し(ステップS414)、シナリオ制御処理を終了する。乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が1増加するシナリオが存在しなければ(ステップS409;No)、ステップS410に移行する。
【0184】
ステップS410では、シナリオ乗換部221cは、乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が同数のシナリオを検索する。乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が同数のシナリオが存在するならば(ステップS411;Yes)、シナリオ乗換部221cは、残要素数が同数のシナリオから乗換先シナリオを選択し、シナリオ表示制御部221bは、選択されたシナリオに乗り換える(ステップS412)。そして、シナリオ制御処理を終了する。また、乗換条件1〜3を全て満たし、かつ、残要素数が同数のシナリオが存在しなければ(ステップS411;No)、そのままシナリオ制御処理を終了する。
【0185】
上述してきたように、本実施例に係る遊技機は、複数のゲームにわたって進行する演出のシナリオを複数管理し、複数のシナリオから選択したシナリオに沿って表示制御を行うとともに、所定の乗換条件が満たされたならば、表示中のシナリオ要素である乗換元シナリオ要素と少なくとも演出画面の画像の一部が共通する乗換先シナリオ要素を含むシナリオに乗り換え、乗換先シナリオ要素から乗換先のシナリオに沿って表示制御するので、ストーリー仕立ての演出を遊技機で行う場合に、自然で豊富なシナリオ展開を効率よく実現することができる。
【0186】
また、シナリオの進行に対応付けられた役が抽選結果に含まれる場合に、表示中のシナリオ要素の次の順序に定められたシナリオ要素を表示制御し、シナリオの乗換に対応付けられた役が抽選結果に含まれる場合にシナリオの乗換を行うので、スロットゲームの結果と連動してシナリオの進行と乗換を制御することができる。
【0187】
また、選択中のシナリオにおける最終のシナリオ要素が表示された場合に、ART状態に移行する権利を付与するので、シナリオを進行させる動機付けを行うことができる。
【0188】
また、シナリオによってARTゲーム数を異ならせ、シナリオの乗換時にはARTゲーム数が増加するように構成したので、シナリオの乗換による興趣性をさらに高めることができる。
【0189】
また、乗換先シナリオ要素から当該シナリオの最終のシナリオ要素までの残要素数が乗換前の残要素数よりも1増加するシナリオが乗換先として選択された場合に、乗換先シナリオ要素を表示制御するので、乗換を行っても残要素数を維持することができる。
【0190】
また、乗換先シナリオ要素から当該シナリオの最終のシナリオ要素までの残要素数が乗換前の残要素数と同一のシナリオが乗換先として選択された場合には、次にシナリオの進行が発生するまで乗換元シナリオ要素を表示制御し、次にシナリオの進行が発生した場合に乗換先シナリオ要素を表示制御するので、乗換を行っても残要素数を維持することができる。
【0191】
また、乗換先のシナリオとして選択可能なシナリオが存在しない場合にはシナリオの乗換を予約し、シナリオの進行が発生して選択中のシナリオにおける次の順序のシナリオ要素が表示制御されたならば、当該シナリオ要素を乗換元シナリオ要素として乗換先のシナリオを選択するので、シナリオの乗換を柔軟かつ確実に行うことができる。
【0192】
なお、上記の実施例では、シナリオの乗換を行う際に、条件を満たすシナリオを全て検索し、検索結果として複数のシナリオが得られたならば、検索結果からランダムに乗換先シナリオを選択する構成を例に説明を行ったが、条件を満たすシナリオが見つかった時点でそのシナリオを乗換先として選択し、検索を終了してもよい。このとき、複数のシナリオのいずれから検索を開始するかをランダムに決定することで、乗換先のシナリオが固定化することを回避してもよい。
【0193】
また、上記の実施例では、目標翻数を管理し、抽選により目標翻数を加算するとともに、目標翻数に合わせてシナリオの乗換を行うことで、シナリオの乗換の発生時には常にシナリオ翻数が増加して遊技者に有利となる構成を説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、シナリオ翻数が同一のシナリオへの乗換や、シナリオ翻数が低下するシナリオへの乗換など、任意のシナリオ乗換に適用可能である。
【0194】
また、上記の実施例では、麻雀を題材としたシナリオを用いる場合を例示したが、カードゲームやボードゲーム等を題材にしてもよい。また、ゲームに限らず、ストーリー仕立ての演出に広く適用可能である。
【0195】
また、上記の実施例では、所定の小役の当選を乗換条件とする場合を例示したが、特定の図柄の組合せがリール窓20の所定位置に停止した場合等、任意の条件を用いることができる。ここで、所定位置とは、入賞ラインに限らず、任意の位置の組合せを用いることができる。また、シナリオの進行についても、再遊技役の当選に限らず、任意の条件を用いることができる。
【0196】
また、上記の実施例においては、入賞ラインがリール窓20の中央となる入賞ラインE1のみとされているが、複数の入賞ラインを備えた遊技機であっても本発明が適用されることはいうまでもない。また、リール窓20の中央以外の単数の入賞ラインを用いてもよい。また、本実施例においては、メイン制御基板100Aの状態がゲーム状態G1とG2のいずれかに設定されるようになっているが、さらに多くのゲーム状態を含むようにしてもよい。また、ゲーム状態には、ボーナスゲーム状態を含んでもよい。
【0197】
また、上記の実施例におけるAT状態では、遊技者にとって有利となる押順を報知する演出が実行されているが、例えば、遊技者にとって有利となる図柄の目押しを促すため、目押しすべき図柄の報知を行ってもよい。
【0198】
また、上記の実施例では、遊技媒体としてメダルを用いるスロットマシンを例に説明を行ったが、遊技媒体として遊技球を用いるパロット又はパチロットと呼ばれる回胴式遊技機に本発明を適用してもよい。
【0199】
本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0200】
以上のように、本発明に係る遊技機は、ストーリー仕立ての演出を遊技機で行う場合に、自然で豊富なシナリオ展開を効率よく実現することに適している。
【符号の説明】
【0201】
1 遊技機
12 スタートレバー
13a〜13c ストップボタン
30 表示器(表示部)
100A メイン制御基板
100B サブ制御基板
201 操作受付部
202 ゲーム処理部
203 払出制御部
204 ゲーム状態設定部
211 ベット制御部
212 内部抽選部
213 リール制御部
214 入賞判定処理部
221 AT処理部
221a シナリオ管理部
221b シナリオ表示制御部(表示制御部)
221c シナリオ乗換部
221d ART付与部(特別特典付与部)
222 演出制御部
R1〜R3 リール
図1
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