(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記黒色塗装皮膜が、黒色塗装皮膜100重量%に対する黒色化成分が2〜25重量%未満であり、該黒色化成分はカーボンブラックと黒色染料よりなり、摩擦係数調整成分であるポリオキシエチレン脂肪酸エステルが6〜18重量%、変性オルガノポリシロキサンであるポリプロピレングリコール変性シリコーンが92〜47重量%を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用黒色締結部材。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の車両用黒色締結部材は、亜鉛めっきが施された金属基体表面に、3価クロム黒色化成皮膜と、該3価クロム黒色化成皮膜上に黒色塗装皮膜とを備えてなる。
上記車両用黒色締結部材としては、ボルト、ねじ、ナット、座金などの他にジョイントパイプ部材やホースバンドなどが挙げられる。
上記車両用黒色締結部材の明度L値は、28以下であり、好ましくは26以下であり、より好ましくは25以下である。明度L値をこのような範囲とすることで、優れた黒色外観を達成する事ができる。
上記金属基体としては、鉄、鉄合金が挙げられる。
【0007】
上記金属基体は、常法により亜鉛めっきが施される。基体上に亜鉛めっきを析出させるには、硫酸浴、ホウフッ化浴、塩化カリウム浴、塩化ナトリウム浴、塩化アンモニウム折衷浴等の酸性・中性浴、シアン浴、ジンケート浴、ピロリン酸浴等のアルカリ性浴のいずれでも良く、特に挙げるとすれば、ジンケート浴が好ましい。また、基体上に析出する亜鉛めっきの厚みは任意とすることができるが、1μm以上、好ましくは5〜25μm厚とするのがよい。
本発明では、このようにして基体上に亜鉛めっきを析出させた後、必要に応じて適宜、前処理、例えば水洗、又は水洗後、硝酸活性処理してから、3価クロム黒色化成皮膜を形成するための化成処理液を用いて、例えば浸漬処理等の方法で化成処理を行う。
【0008】
上記3価クロム黒色化成皮膜は、Znイオン濃度が20g/L以下の6価クロムフリー3価クロム黒色化成処理液を用いて形成される。
上記3価クロム黒色化成皮膜の明度L値は、33以下であればよい。その上に黒色化成分を2%〜25重量%未満含む黒色塗装皮膜を0.8μm以上の膜厚で形成することで締結部材の明度L値を28以下とすることができる。
上記3価クロム黒色化成皮膜のクロムイオン付着量は0.2〜3.0mg/dm
2であり、好ましくは0.5〜1.5mg/dm
2である。クロムイオン付着量をこのような範囲とすることで、黒色外観に優れた高耐食性のものとすることができる。
また上記黒色塗装皮膜の厚さは、0.8〜5μmの範囲であり、好ましくは1.0〜3.0μmである。厚みをこのような範囲とすることで、黒色外観に優れた高耐食性のものとすることができ、また液だまりやシミの発生、並びに寸法精度の低下を防止することができる。
【0009】
上記6価クロムフリー3価クロム黒色化成処理液としては、特に制限はなく、得られる3価クロム黒色化成皮膜の明度L値が33以下となるものであれば良く、公知の6価クロムフリー3価クロム黒色化成処理液を用いることができる。このような3価クロム黒色化成処理液としては、例えば、特開2003−268562号公報、特開2007−100206号公報、WO2007/094496号公報、WO2007/100135号公報などに記載された化成処理液等が挙げられる。具体的には、例えば上記3価クロム黒色化成処理液に含まれる3価クロムイオンの供給源としては、3価クロムイオンを含むいずれのクロム化合物も使用することができるが、好ましくは塩化クロム、硫酸クロム、硝酸クロム、燐酸クロム、酢酸クロムなどの3価クロム塩を使用することができる。処理液中の3価クロムイオンの濃度は、好ましくは0.5〜20g/Lの範囲であり、より好ましくは1〜10g/Lの範囲である。本発明においては、このような範囲の3価クロムイオン濃度とすることにより、排水処理の観点で、また経済的にも有利である。なお、上記3価クロム黒色化成処理液は、一般に6価クロムフリー3価クロム黒色化成皮膜と呼ばれる皮膜を形成させるための3価クロム黒色化成処理液である。
【0010】
上記3価クロム黒色化成処理液はキレート剤を含まなくてもよい。キレート剤を含む場合は、キレート剤としては、キレート形成能のあるシュウ酸、マロン酸、コハク酸などの有機カルボン酸及びその塩などが挙げられる。処理液中のキレート剤の濃度は、好ましくは1〜40g/Lの範囲であり、より好ましくは5〜35g/Lの範囲である。
上記3価クロム黒色化成処理液は、さらに3価クロムイオン以外の他の金属イオンを含有させてもよい。このような金属イオンとしてはCo、V、Ti、W、Zr、Mn、Mo、Ta、Ce、Sr、Fe及びAlからなる群より選ばれる金属イオンを含んでいてもよい。処理液中の金属イオンの濃度は、好ましくは0.1〜50g/Lの範囲であり、より好ましくは0.5〜20g/Lの範囲である。
上記の他に、亜リン酸、次亜リン酸及びそれらのアルカリ塩、またはリン酸アルキルエステル、亜リン酸アルキルエステルのようなリン酸エステル、亜リン酸エステルから選ばれた1種以上を添加してもよい。この場合、処理液中の濃度は、好ましくは0.1〜50g/Lであり、より好ましくは0.5〜20g/Lである。
さらに上記の他に、硫黄化合物を含んでいても良い。硫黄化合物としては、無機硫黄化合物、有機硫黄化合物が挙げられ、これらのうち有機硫黄化合物が好ましい。特にチオ尿素、チオ酢酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオマレイン酸、ジチオグリコール酸、ジチオジグリコール酸及びそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩が好ましく、処理液中の濃度は、好ましくは0.1〜10g/Lである。
上記3価クロム黒色化成処理液は、化成処理に伴い亜鉛イオン濃度は増加するが、使用中の処理浴の亜鉛イオン濃度としては、20g/L以下であり、好ましくは亜鉛イオン濃度は0.1g/L〜20g/Lの範囲である。処理浴中の亜鉛イオン濃度が高すぎると耐食性や黒味が低下し、好ましくない。
【0011】
上記3価クロム黒色化成処理液は、さらに亜リン酸、次亜リン酸及びそのアルカリ塩、或いはリン酸アルキルエステル、亜リン酸アルキルエステル以外の、リンの酸素酸イオン、塩素イオン、硝酸イオン及び硫酸イオンなどの群から選ばれる1種以上の無機酸イオンを含んでいても良い。処理液中の無機酸イオンの濃度は合計で、好ましくは1〜80g/Lの範囲であり、より好ましくは2〜20g/Lの範囲である。
上記3価クロム黒色化成処理液のpHは、好ましくは0.5〜5であり、より好ましくは1〜4である。pHの調整には、上記無機酸を用いてもよく、また水酸化アルカリ、アンモニア水などのアルカリ剤を用いてもよい。上記3価クロム黒色化成処理液における上記成分の残分は水である。
本発明において、金属基体表面の3価クロム黒色化成処理皮膜は、亜鉛めっきが施された金属基体表面を上記3価クロム黒色化成処理液に接触させることにより、例えば亜鉛めっき上に3価クロム黒色化成処理皮膜を形成することができる。亜鉛めっきが施された金属基体表面を上記3価クロム黒色化成処理液に接触させる方法としては、上記3価クロム黒色化成処理液に、例えば亜鉛めっきが施された金属基体を浸漬するのが一般的である。例えば、10〜40℃の液温で5〜600秒浸漬するのが好ましく、より好ましくは15〜120秒浸漬する。なお、亜鉛めっきでは3価クロム化成処理皮膜の光沢を増すために、通常3価クロム黒色化成処理前に被処理物を稀硝酸溶液に浸漬させることが行われるが、本発明ではこのような前処理を用いてもよいし、用いなくてもよい。上記以外の条件や処理操作は、従来のクロメート処理方法に準じて行うことができる。
【0012】
上記黒色塗装皮膜は、黒色化成分、変性オルガノポリシロキサン及び摩擦係数調整成分を含む黒色塗装液を用いて形成される。
黒色塗装液中の黒色化成分としては、好ましくはカーボンブラック顔料及び黒色染料から選ばれる1種以上であり、より好ましくはカーボンブラック顔料及び黒色染料の組み合わせである。カーボンブラック顔料としては塗料用に用いられる既知の顔料であれば特に制限はなく、このようなカーボンブラック顔料は市販品として容易に入手できる。黒色染料としては、塗料用に用いられる有機溶剤及び水等の溶剤に溶解する既知の溶剤可溶性黒色染料であれば特に制限はなく、このような黒色染料は市販品として容易に入手できる。
黒色塗装液中の黒色化成分の濃度は、塗装液100重量%に対し、好ましくは2〜25重量%未満の範囲である。また、黒色化成分としてカーボンブラック顔料と黒色染料を組み合わせる場合、カーボンブラック顔料と黒色染料の割合はカーボンブラック顔料/黒色染料:10/90〜90/10重量部の範囲である。
亜鉛めっきが施された金属基体表面上に、明度L値で33以下の3価クロム黒色化成皮膜と、該化成皮膜上に更に上記のような黒色塗装皮膜を重ね合わせることにより、本発明に係る車両用締結部材の塗膜の黒色外観は、明度L値28以下の均一で、安定した優れたものとなる。
上記摩擦係数調整成分は、好ましくはポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。このようなポリオキシエチレン脂肪酸エステルは市販品として容易に入手できる。黒色塗装液中のポリオキシエチレン脂肪酸エステルの濃度は、塗装液100重量%に対し、好ましくは6〜18重量%の範囲である。
また、変性オルガノポリシロキサンとしては、好ましくはポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサンである。このような変性オルガノポリシロキサンは市販品のポリプロピレングリコール変性シリコーンとして容易に入手できる。黒色塗装液中の変性オルガノポリシロキサンの濃度は、塗装液100重量%に対し、好ましくは92〜47重量%の範囲である。
また、黒色塗装液には、上記成分以外に、必要に応じて、塗装液性能の向上のために公知の変色防止剤、分散剤、消泡剤、防腐剤等の塗料添加剤を本発明に係る黒色塗装皮膜の性能を阻害しない範囲において使用しても良い。
また、黒色塗装液は、塗料液希釈剤を用いて、例えば水とブチルセロソルブで適度の濃度に希釈して使用することができる。その黒色塗装希釈液中の前記黒色塗装液の濃度は、30−100wt%であり、好ましくは50−80wt%である。
【0013】
黒色塗装皮膜は、上記黒色塗装液、好ましくは黒色塗装希釈液に、部材表面に3価クロム黒色化成処理皮膜が形成された車両用黒色締結部材を浸漬するか、又は車両用黒色締結部材に上記黒色塗装液をスプレー塗布し、遠心で黒色塗装液を良く振り切った後、皮膜を十分に乾燥することで得られる。遠心振り切りは、200〜1000rpmが好ましい。また、振り切り時間は、2〜5分が好ましい。乾燥温度は、100〜220℃が好ましい。また、乾燥時間は、10〜60分が好ましい。この乾燥温度範囲よりも低いと黒味、耐食性が低下し、高いと耐食性が低下する。乾燥時間が10分より短いと黒味、耐食性が低下する。また、乾燥時間が長すぎると経済的でない。なお、ブレーキフルードに本皮膜が溶解しないようにするためには、皮膜表面の温度が200℃になるように乾燥温度を設定し、乾燥時間は20分以上必要である。
前記した処理条件、黒色塗装液によって形成される好ましい黒色塗装皮膜は、塗装皮膜100重量%に対し、2〜25重量%未満のカーボンブラック顔料と黒色染料よりなる黒色化成分、6〜18重量%のポリオキシエチレン脂肪酸エステルよりなる摩擦係数調整成分、及び92〜47重量%のポリプロピレングリコール変性シリコーンよりなる変性オルガノポリシロキサンを含んでなる皮膜である。黒色塗装皮膜中の黒色化成分と変性オルガノポリシロキサン及び摩擦係数調整成分以外の前記塗料添加剤等の他の成分の量は通常10重量%以下である。
次に、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0014】
皮膜の測定は以下の方法に従い行った。
(明度(L値)測定方法)
JIS Z8722に従う色の測定方法を行い、明度(L値)を測定した。
(クロム付着量測定方法)
3価クロム黒色化成皮膜までを形成させたM8×35mm六角ボルトの前記皮膜を500mL/Lの35%塩酸で溶解させ、原子吸光測定装置でCr濃度を測定し、表面積あたりのCr量を計算した。
(黒色塗装皮膜厚み測定方法)
ボルトの頭部二面幅中央を切断し、電子顕微鏡にて膜厚を測定した。
(仕上がり外観評価方法)
目視にて外観の色を判定した。
(耐食性試験方法)
JIS Z2371に従う塩水噴霧試験を行い、白錆発生までの時間を評価した。
(耐傷つき性評価方法)
トルクレンチで締付を行い、傷つき面積の割合を目視にて判定した。
(トルク係数測定方法)
JIS B1084に従う締付試験方法にてトルク係数を測定した。
【0015】
(実施例1)
M6のボルト(鉄)にジンケート亜鉛めっき(ディップソール(株)製 NZ−110浴を使用)を厚さ8μm施したものを用い、それぞれ亜鉛濃度が0、10、15、及び20g/L(No.1、2、3及び4)となるように硝酸亜鉛を添加した3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L及びZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、下記の黒色塗装液を用いて黒色塗装皮膜を形成し、遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、ボルトの表面温度が200℃になるように送風付きオーブンで20分間乾燥した。
得られた各ボルトについて、3価クロム黒色化成皮膜の明度L値及びクロム付着量、黒色塗装皮膜の厚さ、仕上がり外観、ボルト明度L値、耐食性、並びに耐傷つけ性及びトルク係数を測定した。
<黒色塗装液の組成>
カーボンブラック 5重量%
黒色染料 1重量%
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル 10重量%
ポリプロピレン変性シリコーン 84重量%
上記塗装液の700g/Lに2-ブトキシエタノール:150g/Lと水を添加し、希釈塗装液を作成した。
【0016】
【表1】
【0017】
(比較例1)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、亜鉛濃度が25g/Lとなるように硝酸亜鉛を添加した3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L及びZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、下記の黒色塗装液を用いて黒色塗装皮膜を形成し、遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、ボルトの表面温度が200℃になるように送風付きオーブンで20分間乾燥した。
得られた各ボルトについて、3価クロム黒色化成皮膜の明度L値及びクロム付着量、黒色塗装皮膜の厚さ、仕上がり外観、ボルト明度L値、耐食性、並びに耐傷つけ性及びトルク係数を測定した。
<黒色塗装液の組成>
カーボンブラック 6重量%
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル 10重量%
ポリプロピレン変性シリコーン 84重量%
上記塗装液の700g/Lに2-ブトキシエタノール:150g/Lと水を添加し、希釈塗装液を作成した。
【0018】
(比較例2)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、亜鉛濃度が15g/Lとなるように硝酸亜鉛を添加した3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L及びZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成した。次いで、3価クロムの仕上げ剤(ディップソール(株)製 ZTB−118タイプ、ZTB−118:150mL、処理条件45℃×10秒間)を行い、遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、ボルトの表面温度が80℃になるように送風付きオーブンで20分間乾燥した。
得られた各ボルトについて、3価クロム黒色化成皮膜の明度L値及びクロム付着量、黒色塗装皮膜の厚さ、仕上がり外観、ボルト明度L値、耐食性、並びに耐傷つけ性及びトルク係数を測定した。
【0019】
(比較例3)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、亜鉛濃度が15g/Lとなるように硝酸亜鉛を添加した3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L及びZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×10秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、下記の黒色塗装液を用いて黒色塗装皮膜を形成し、遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、ボルトの表面温度が200℃になるように送風付きオーブンで20分間乾燥した。
得られた各ボルトについて、3価クロム黒色化成皮膜の明度L値及びクロム付着量、黒色塗装皮膜の厚さ、仕上がり外観、ボルト明度L値、耐食性、並びに耐傷つけ性及びトルク係数を測定した。
<黒色塗装液の組成>
カーボンブラック 6重量%
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル 10重量%
ポリプロピレン変性シリコーン 84重量%
上記塗装液の700g/Lに2-ブトキシエタノール:150g/Lと水を添加し、希釈塗装液を作成した。
【0020】
【表2】
【0021】
(比較例4)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、亜鉛濃度が15g/Lとなるように硝酸亜鉛を添加した3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L及びZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、下記の黒色塗装液を用いて黒色塗装皮膜を形成し、遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、ボルトの表面温度が200℃になるように送風付きオーブンで20分間乾燥した。
得られた各ボルトについて、3価クロム黒色化成皮膜の明度L値及びクロム付着量、黒色塗装皮膜の厚さ、仕上がり外観、ボルト明度L値、耐食性、並びに耐傷つけ性及びトルク係数を測定した。
<黒色塗装液の組成>
カーボンブラック 6重量%
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル 10重量%
ポリプロピレン変性シリコーン 84重量%
上記塗装液の200g/Lに2-ブトキシエタノール:400g/Lと水を添加し、希釈塗装液を作成した。
【0022】
(比較例5)
実施例1で用いたものと同様の亜鉛めっきボルトに、亜鉛濃度が15g/Lである3価クロム黒色化成処理液(ディップソール(株)製 ZTB−447S123C3タイプ、ZTB−447S1:50mL/L、ZTB−447S2:20mL/L及びZTB−447S3:7mL/L、化成処理条件30℃×40秒間)を用いて3価クロム黒色化成皮膜を形成した。次いで、ボルトを遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、下記の黒色塗装液を用いて黒色塗装皮膜を形成し、遠心脱水機にかけた(700rpmで3分間)。その後、ボルトの表面温度が200℃になるように送風付きオーブンで20分間乾燥した。
得られた各ボルトについて、3価クロム黒色化成皮膜の明度L値及びクロム付着量、黒色塗装皮膜の厚さ、仕上がり外観、ボルト明度L値、耐食性、並びに耐傷つけ性及びトルク係数を測定した。
<黒色塗装液の組成>
カーボンブラック 6重量%
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル 0重量%
ポリプロピレン変性シリコーン 94重量%
上記塗装液の700g/Lに2-ブトキシエタノール:150g/Lと水を添加し、希釈塗装液を作成した。
【0023】
【表3】