【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の接合体の製造方法は、第1の金属材料からなる第1金属部材と、第2の金属材料からなる第2金属部材と、前記第1の金属材料及び前記第2の金属材料のいずれよりも縦弾性係数及び硬度が低い第3の金属材料からなる第3金属部材とを準備する金属部材準備工程と、前記第1金属部材と前記第2金属部材との間に前記第3金属部材を介在させた状態で前記第1金属部材、前記第2金属部材及び前記第3金属部材を接合して接合体を形成する接合体形成工程とをこの順序で含み、前記接合体形成工程は、前記第1金属部材と前記第2金属部材との間に前記第3金属部材を介在させた状態で前記第1金属部材、前記第2金属部材及び前記第3金属部材が溶融しない温度条件下で前記第1金属部材、前記第2金属部材及び前記第3金属部材を固相接合する固相接合工程と、前記第1金属部材と前記第3金属部材との接合面の近傍に前記第1金属部材と前記第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って前記第1金属部材から前記第3金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第1硬度遷移領域が形成され、かつ、前記第2金属部材と前記第3金属部材との接合面の近傍に前記第2金属部材と前記第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って前記第2金属部材から前記第3金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第2硬度遷移領域が形成される温度条件下で熱処理を施す硬度遷移領域形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の接合体の製造方法により製造される接合体においては、第1金属部材と第2金属部材との間には、第1の金属材料及び第2の金属材料のいずれよりも縦弾性係数(ヤング率ともいう。)及び硬度が低い第3の金属材料からなる第3金属部材が存在するようになるため、第1金属部材と第2金属部材との間に大きな温度差が発生する条件でこれを使用した場合に、第3金属部材が、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力を分散させる緩衝材として働くようになる。
【0010】
また、本発明の接合体の製造方法により製造される接合体においては、第1金属部材と第3金属部材との間及び第2金属部材と第3金属部材との間には、上記した第1硬度遷移領域及び第2硬度遷移領域がそれぞれ存在するようになるため、第1金属部材と第2金属部材との間に大きな温度差が発生する条件で接合体を使用した場合に、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力により第1金属部材と第3金属部材との間及び第2金属部材と第3金属部材との間に発生する応力もが、第1硬度遷移領域及び第2硬度遷移領域において分散されることとなる。
【0011】
その結果、本発明の接合体の製造方法によれば、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力が、これら第1硬度遷移領域、第3金属部材及び第2硬度遷移領域の応力を分散するという働きにより効果的に分散されるようになるため、第1金属部材と第2金属部材との間に大きな温度差が発生する条件で接合体を使用した場合においても破損し難い接合体を製造することが可能となる。
【0012】
また、本発明の接合体の製造方法によれば、接合体形成工程中に硬度遷移領域形成工程を実施する中で金属部材の接合面に存在する空隙や不動態層を消散させることが可能となるため、従来の接合体の製造方法の場合と同様に、接合力が高い接合体を製造することが可能となる。
【0013】
また、本発明の接合体の製造方法によれば、接合する金属部材のうち少なくとも1つの金属部材として、接合予定面に凹部が形成された金属部材を用いることにより、従来の接合体の製造方法の場合と同様に、複雑な形状の内部空間を有する接合体を比較的容易に製造することが可能となる。
【0014】
なお、本発明の接合体の製造方法は、4層以上の金属部材が接合された構造の接合体を製造する場合にも適用することが可能である。この場合、4層以上の層のうち本発明の条件を満たす3層に着目すれば、本発明の接合体の製造方法を実施することになる。
【0015】
第3の金属材料は、第1金属部材及び第2金属部材の硬度を高くするための熱処理(例えば、焼入れ処理)によっては硬度が高くなりにくい金属材料からなることが好ましい。この場合、接合体全体の硬度を高くするための熱処理を施して硬度を高くした場合であっても、第3金属部材が存在する部分についてはそれ程硬度が高くならない(つまり、縦弾性係数が高くなりすぎない)ようにすることが可能となり、その結果、第3金属部材を緩衝材として十分に働かせることが可能となる。
【0016】
[2]本発明の接合体の製造方法においては、前記第1硬度遷移領域は、前記第1金属部材と前記第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って50μm以上の厚さを有し、前記第2硬度遷移領域は、前記第2金属部材と前記第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って50μm以上の厚さを有することが好ましい。
【0017】
このような方法とすることにより、第1硬度遷移領域及び第2硬度遷移領域の厚さを十分に確保し、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力により第1金属部材と第3金属部材との間及び第2金属部材と第3金属部材との間に発生する応力を、第1硬度遷移領域及び第2硬度遷移領域において十分に分散することが可能となる。
【0018】
なお、上記の観点からは、第1硬度遷移領域が第1金属部材と第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って100μm以上の厚さを有し、第2硬度遷移領域が第2金属部材と第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って100μm以上の厚さを有することが一層好ましく、第1硬度遷移領域が第1金属部材と第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って200μm以上の厚さを有し、第2硬度遷移領域が第2金属部材と第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って200μm以上の厚さを有することがより一層好ましい。
また、接合体全体の機械的強度を一層高くするという観点からは、第1硬度遷移領域が第1金属部材と第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って5mm以下の厚さを有し、第2硬度遷移領域が第2金属部材と第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って5mm以下の厚さを有することが好ましい。
【0019】
[3]本発明の接合体の製造方法においては、前記硬度遷移領域形成工程においては、前記第3金属部材内であって前記第1硬度遷移領域と前記第2硬度遷移領域との間に、前記第1硬度遷移領域から前記第2硬度遷移領域に向かう方向に沿って硬度が定常状態となる硬度定常領域が残る条件で熱処理を施すことが好ましい。
【0020】
このような方法とすることにより、縦弾性係数が比較的低い領域(第3金属部材そのままの領域)が残るため、第3金属部材に緩衝材としての働きを十分に発揮させることが可能となる。
【0021】
[4]本発明の接合体の製造方法においては、前記硬度定常領域は、前記第1硬度遷移領域から前記第2硬度遷移領域に向かう方向に沿って30μm以上の厚さを有することが好ましい。
【0022】
このような方法とすることにより、縦弾性係数が比較的低い領域(第3金属部材そのままの領域)が十分に残るため、第3金属部材に緩衝材としての働きを一層十分に発揮させることが可能となる。
【0023】
なお、上記の観点からは、硬度定常領域が第1硬度遷移領域から第2硬度遷移領域に向かう方向に沿って60μm以上の厚さを有することが一層好ましく、100μm以上の厚さを有することがより一層好ましい。
また、接合体全体の機械的強度を一層高くするという観点からは、硬度定常領域が第1硬度遷移領域から第2硬度遷移領域に向かう方向に沿って3mm以下の厚さを有することが好ましい。
【0024】
[5]本発明の接合体の製造方法においては、前記第3金属部材の厚さは、0.3mm〜10.0mmの範囲内にあることが好ましい。
【0025】
このような方法とすることにより、第3金属部材の厚みを緩衝材として十分なものとすることが可能となり、かつ、全体としての形態安定性が十分に高い接合体を製造することが可能となる。
【0026】
なお、本発明において、第3金属部材の最小厚みを0.3mm〜10.0mmの範囲内としたのは、当該厚みが0.3mmより小さい場合には固相接合後に第3金属部材が第1金属部材及び第2金属部材に吸収されてしまい、第3金属部材の厚みを緩衝材として十分なものとすることが困難となる場合があるためであり、当該厚みが10.0mmより大きい場合には接合体全体としての形態安定性が十分に高い接合体を製造することが困難となる場合があるためである。この観点からは、第3金属部材の最小厚みが0.5mm〜5.0mmの範囲内にあることが一層好ましい。
【0027】
なお、上記[5]に記載した第3金属部材の厚みは、金属部材準備工程時のものである。
【0028】
[6]本発明の接合体の製造方法においては、前記接合体形成工程より後に、前記第3金属部材が前記接合体の表面に露出している部分(以下、露出部分という。)のうち少なくとも一部に対して、前記第1金属部材、前記第2金属部材及び前記第3金属部材が前記接合体の表面に露出している部分を溶融させた状態で、第4金属部材を溶融させながら被覆する被覆工程をさらに含み、前記被覆工程においては、前記第4金属部材と前記第3金属部材との境界面の近傍に、前記第4金属部材から前記第3金属部材に向かう方向に沿って前記第4金属部材から前記第3金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第3硬度遷移領域が形成され、前記第4金属部材と前記第1硬度遷移領域との境界面の近傍に、前記第4金属部材から前記第1硬度遷移領域に向かう方向に沿って前記第4金属部材から前記第1硬度遷移領域にかけて硬度が徐々に変化する第4硬度遷移領域が形成され、前記第4金属部材と前記第2硬度遷移領域との境界面の近傍に、前記第4金属部材から前記第2硬度遷移領域に向かう方向に沿って前記第4金属部材から前記第2硬度遷移領域にかけて硬度が徐々に変化する第5硬度遷移領域が形成される条件で前記第4金属部材を被覆することが好ましい。
【0029】
このような方法とすることにより、第4金属部材と第3金属部材との境界面の近傍に第3硬度遷移領域が形成される条件で第4金属部材を被覆するため、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力により第4金属部材と第3金属部材との間に発生する応力が、第3硬度遷移領域において分散されるようにすることが可能となる。
【0030】
また、上記[6]の方法によれば、被覆工程においては第4硬度遷移領域及び第5硬度遷移領域が形成される条件で第4金属部材を被覆するため、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力により第1金属部材と第3金属部材との間及び第2金属部材と第3金属部材との間に発生する応力が、第4硬度遷移領域及び第5硬度遷移領域においても分散されるようにすることが可能となる。
【0031】
なお、第1金属部材と第4金属部材とが異なる金属材料からなる場合には、第4金属部材から第1金属部材に向かう方向に沿って第4金属部材から第1金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第6硬度遷移領域が形成される条件で第4金属部材を被覆することが好ましい。また、第2金属部材と第4金属部材とが異なる金属材料からなる場合には、第4金属部材から第2金属部材に向かう方向に沿って第4金属部材から第2金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第7硬度遷移領域が形成される条件で第4金属部材を被覆することが好ましい。
【0032】
第1金属部材と第4金属部材とが同一の金属材料からなる場合には、第1金属部材と第4金属部材との間に明確な境界面が残らないような条件で第4金属部材を被覆することが好ましい。また、第2金属部材と第4金属部材とが同一の金属材料からなる場合には、第2金属部材と第4金属部材との間に明確な境界面が残らないような条件で第4金属部材を被覆することが好ましい。
【0033】
本発明の接合体の製造方法においては、被覆工程より後に、被覆工程で第4金属部材を被覆した部分を平滑化する平滑化工程をさらに含むことが好ましい。このような方法とすることにより、表面が平滑な接合体を製造することが可能となる。
【0034】
[7]本発明の接合体の製造方法においては、前記第4金属部材は、前記第3の金属材料よりも硬度が高い第4の金属材料からなることが好ましい。
【0035】
一般的に、縦弾性係数が低い金属材料は硬度も低くなる傾向にあり、製造した接合体において第3金属部材が露出していると、第3金属部材の部分が第1金属部材の部分及び第2金属部材の部分よりも早く損耗してしまうことが考えられる。
【0036】
一方、上記[7]の方法によれば、第3の金属材料よりも硬度が高い第4の金属材料からなる第4金属部材で第3金属部材を覆うことになるため、第3金属部材の部分が第1金属部材の部分及び第2金属部材の部分よりも早く損耗してしまうのを防ぐことが可能な接合体を製造することが可能となる。
【0037】
[8]本発明の接合体の製造方法においては、前記接合体形成工程と前記被覆工程との間に、前記露出部分のうち少なくとも一部を含むように、前記接合体の表面を部分的に削り取る表面切削工程をさらに含み、前記被覆工程においては、前記表面切削工程で削り取った部分を前記第4金属部材で埋めるように前記第4金属部材を被覆することが好ましい。
【0038】
このような方法とすることにより、第3金属部材を含む表面が周りの面よりも低くなるため、被覆工程において第4金属部材を容易に被覆することが可能となる。
【0039】
また、上記[8]の方法によれば、内部の接合面よりも接合の強度が低い可能性がある表面の接合面を削り取り、製造する接合体全体としての機械的強度を向上させることが可能となる。
【0040】
なお、表面切削工程において表面を削り取る深さ寸法は、製造する接合体に応じて任意の寸法とすることができるが、第3金属部材の厚さ寸法よりも大きい寸法(例えば、第3金属部材の厚さ寸法の2倍〜6倍)とすることが好ましい。
【0041】
[9]本発明の接合体の製造方法においては、前記被覆工程より後に、前記接合体に蓄積されている応力を緩和するために前記接合体に熱処理を施す熱処理工程をさらに含むことが好ましい。
【0042】
このような方法とすることにより、接合体に蓄積されている応力を緩和し、接合体全体としての接合力を高めることが可能となる。
【0043】
また、上記[9]の方法によれば、上記熱処理により各硬度遷移領域の範囲を大きくし、各金属部材間に発生する応力がより一層分散されるようにすることが可能となる。
【0044】
なお、上記のような熱処理としては、焼きなましを含む熱処理を例示することができる。また、製造する接合体全体として高い硬度を得たい場合には、焼きなましの後に焼入れ等を行ってもよい。
【0045】
[10]本発明の接合体は、第1の金属材料からなる第1金属部材と、第2の金属材料からなる第2金属部材と、前記第1金属部材と前記第2金属部材との間に位置し、前記第1の金属材料及び前記第2の金属材料よりも縦弾性係数及び硬度が低い第3の金属材料からなる第3金属部材とを備え、前記第3金属部材が前記第1金属部材と前記第2金属部材とに固相接合された構造を有する接合体であって、前記第1金属部材と前記第3金属部材との接合面の近傍に前記第1金属部材と前記第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って前記第1金属部材から前記第3金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第1硬度遷移領域が存在し、かつ、前記第2金属部材と前記第3金属部材との接合面の近傍に前記第2金属部材と前記第3金属部材との接合面に垂直な方向に沿って前記第2金属部材から前記第3金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第2硬度遷移領域が存在することを特徴とする。
【0046】
本発明の接合体においては、第1金属部材と第2金属部材との間には、第1の金属材料及び第2の金属材料のいずれよりも縦弾性係数(ヤング率ともいう。)及び硬度が低い第3の金属材料からなる第3金属部材が存在するため、第1金属部材と第2金属部材との間に大きな温度差が発生する条件でこれを使用した場合に、第3金属部材が、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力を分散させる緩衝材として働くようになる。
【0047】
また、本発明の接合体においては、第1金属部材と第3金属部材との間及び第2金属部材と第3金属部材との間には、上記した第1硬度遷移領域及び第2硬度遷移領域がそれぞれ存在するため、第1金属部材と第2金属部材との間に大きな温度差が発生する条件で接合体を使用した場合に、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力により第1金属部材と第3金属部材との間及び第2金属部材と第3金属部材との間に発生する応力もが、第1硬度遷移領域及び第2硬度遷移領域において分散されることとなる。
【0048】
その結果、本発明の接合体によれば、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力がこれら第1硬度遷移領域、第3金属部材及び第2硬度遷移領域の応力を分散するという働きにより効果的に分散されるようになるため、第1金属部材と第2金属部材との間に大きな温度差が発生する条件で使用した場合においても破損し難くすることが可能となる。
【0049】
また、本発明の接合体によれば、接合する金属部材のうち少なくとも1つの金属部材として、接合予定面に凹部が形成された金属部材を用いることにより、複雑な形状の内部空間を有しても比較的容易に製造することが可能な接合体となる。
【0050】
なお、本発明の接合体は、4層以上の金属部材が接合された構造の接合体にも適用することが可能である。この場合、4層以上の層のうち本発明の条件を満たす3層に着目すれば、本発明の接合体であるということになる。
【0051】
第3の金属材料は、第1金属部材及び第2金属部材の硬度を高くするための熱処理によっては硬度が高くなりにくい金属材料からなることが好ましい。この場合、接合体全体の硬度を高くするための熱処理を施して硬度を高くした場合であっても、第3金属部材が存在する部分についてはそれ程硬度が高くならない(つまり、縦弾性係数が高くなりすぎない)ようにすることが可能となり、その結果、第3金属部材を緩衝材として十分に働かせることが可能となる。
【0052】
[11]本発明の接合体においては、前記第3の金属材料よりも硬度が高い第4の金属材料からなる第4金属部材をさらに備え、前記第4金属部材が、前記第3金属部材の少なくとも一部を被覆する構造を有し、前記第4金属部材と前記第3金属部材との境界面の近傍に、前記第4金属部材から前記第3金属部材に向かう方向に沿って前記第4金属部材から前記第3金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第3硬度遷移領域が存在し、前記第4金属部材と前記第1硬度遷移領域との境界面の近傍に、前記第4金属部材から前記第1硬度遷移領域に向かう方向に沿って前記第4金属部材から前記第1硬度遷移領域にかけて硬度が徐々に変化する第4硬度遷移領域が存在し、前記第4金属部材と前記第2硬度遷移領域との境界面の近傍に、前記第4金属部材から前記第2硬度遷移領域に向かう方向に沿って前記第4金属部材から前記第2硬度遷移領域にかけて硬度が徐々に変化する第5硬度遷移領域が存在することが好ましい。
【0053】
このような構成とすることにより、第4金属部材と第3金属部材との境界面の近傍に第3硬度遷移領域が存在するため、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力により第4金属部材と第3金属部材との間に発生する応力が、第3硬度遷移領域において分散されるようにすることが可能となる。
【0054】
また、上記[11]の構成によれば、上記したような第4硬度遷移領域及び第5硬度遷移領域が存在するため、第1金属部材と第2金属部材との間に発生する熱応力により第1金属部材と第3金属部材との間及び第2金属部材と第3金属部材との間に発生する応力が、第4硬度遷移領域及び第5硬度遷移領域においても分散されるようにすることが可能となる。
【0055】
なお、第1金属部材と第4金属部材とが異なる金属材料からなる場合には、第4金属部材から第1金属部材に向かう方向に沿って第4金属部材から第1金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第6硬度遷移領域が存在することが好ましい。また、第2金属部材と第4金属部材とが異なる金属材料からなる場合には、第4金属部材から第2金属部材に向かう方向に沿って第4金属部材から第2金属部材にかけて硬度が徐々に変化する第7硬度遷移領域が存在することが好ましい。
【0056】
第1金属部材と第4金属部材とが同一の金属材料からなる場合には、第1金属部材と第4金属部材との間に明確な境界面が残らないように接合されていることが好ましい。また、第2金属部材と第4金属部材とが同一の金属材料からなる場合には、第2金属部材と第4金属部材との間に明確な境界面が残らないように接合されていることが好ましい。
【0057】
[12]本発明の金属製品は、上記[10]又は[11]に記載の接合体を用いて製造されたものである。
【0058】
本発明の金属製品によれば、第1金属部材と第2金属部材との間に大きな温度差が発生する条件で使用した場合においても破損し難くすることが可能となる本発明の接合体を用いて製造されたため、大きな温度差が発生する条件で使用した場合においても破損し難い金属製品となる。