特許第6283867号(P6283867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6283867ICカード用リーダライタ、及びICカード取扱装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283867
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】ICカード用リーダライタ、及びICカード取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20180215BHJP
   G07F 7/08 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   G06K7/10 164
   G06K7/10 264
   G07F7/08 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-106473(P2014-106473)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-222495(P2015-222495A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010386
【氏名又は名称】NECマグナスコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】阿部 英高
(72)【発明者】
【氏名】大光 昌寛
【審査官】 梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−140943(JP,A)
【文献】 特開2007−65815(JP,A)
【文献】 特開2013−214202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G07F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードライト回路、及び該リードライト回路とICカードとの間での電波の授受を行うアンテナを内蔵したケーシングと、該ケーシングの前部に配置されたICカードホルダと、該ケーシングの背面に配置された取付け部と、を備え、
前記取付け部は、前記ケーシングの背面から後方へ向けて突設された複数の突起を有し、該各突起にはネジ固定用の穴が形成されていることを特徴とするICカード用リーダライタ。
【請求項2】
請求項1に記載のICカード用リーダライタを配置する樹脂製パネルと、該樹脂製パネルの背面側に配置される金属部材と、を備えたICカード取扱装置であって、
前記樹脂製パネルには、前記各突起を前記金属部材側へ貫通させる開口が形成されており、
前記金属部材には、前記各突起のネジ固定用の穴と夫々対応する位置に取付け穴が形成されており、
前記各取付け穴から挿入したネジを前記ネジ固定用の穴に固定することにより、前記ICカードホルダを前記金属部材に固定したことを特徴とするICカード取扱装置。
【請求項3】
請求項1に記載のICカード用リーダライタを配置する樹脂製パネルと、該樹脂製パネルの背面側に配置される金属部材と、を備えたICカード取扱装置であって、
前記樹脂製パネルには、前記各突起を前記金属部材側へ貫通させる開口が形成されており、
前記金属部材には、少なくとも前記通信回路及び前記アンテナと対向する面積範囲に亘って開口部が設けられており、
前記ケーシングの各突起と前記金属部材とを連結し、且つ前記金属部材の開口部と連通する開放部を有した金属製の中継枠体を備えていることを特徴とするICカード取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子マネー用カードとしてのICカードを利用した物品やサービスの提供を可能とする自動販売機等に装備されるICカード用リーダライタと、ICカード取扱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種物品を提供する自動販売機は、筐体前面に設けた前面パネルが操作パネルとなっており、この操作パネル面上に表示部、操作スイッチ、金銭投入部、及び物品提供部を備えている。表示部は提供する物品(商品、券類、サービス等)のメニュー、価格等の情報を表示する手段であり、操作スイッチは利用者が購入を希望する物品を選択する手段であり、金銭投入部は硬貨投入部、紙幣投入部からなり、物品提供部は利用者との間で成立した取引内容に見合った物品を排出する手段である。
【0003】
ところで、近年、非接触式の記録媒体、即ちRFID(Radio Frequency Identification)としてのICカードが、乗車カード、電子マネー用カード、認証用カード等々、種々な用途に使用されている。
ICカードはID情報の他に、用途に応じて種々の情報を記憶しており、電磁界や電波等を用いた無線通信によってリーダライタとの間で情報のやりとりを行うことにより、情報の読取り、書込み、書換えを非接触で行うことができる。リーダライタは、カード読取り面にICカードの一面を近接させることにより、リードライト回路がICカードに対する記録情報の読み書きを非接触式で行う。
自動販売機にも電子マネー用カードとしてのICカードを利用するためのICカード用リーダライタを装備したものがあり、通常はICカードを正しくセットするためのホルダを備えたリーダライタを前面パネルに配置し、利用者がICカードをホルダ内にセットすることによりICカードを読取り面に対して正しく位置決めすることができ、この状態でリーダライタによる正常な読み書きが行われる(特許文献1)。
【0004】
次に、図6(a)及び(b)は従来の自動券売機の正面図、及び右側面図であり、図7はICカードホルダの正面側斜視図、及び背面図である。また、図8は従来のICカード用リーダライタの取付け構造を示す縦断面図である。
【0005】
この自動券売機100は、最下部に位置する装置本体101と、装置本体101上にオプションとして配置されるオプション部110と、オプション部110上に配置される表示部(タッチパネル式操作部)120と、から該略構成されている。
装置本体101の前面は操作パネル102となっており、この操作パネル面上に金銭投入部、金銭払出し部、物品提供部(利用者との間で成立した取引内容に見合った物品を排出する手段)等を備えている。
表示部120は、提供する物品(商品、券類、サービス)のメニュー、価格等の情報を表示する手段であり、そこに表示されるタッチ式の操作スイッチは利用者が購入を希望する物品を選択する手段である。
オプション部110には、ユーザーの希望に応じた各種ユニットが配置され、この例ではICカード用リーダライタ112が前面パネル111に配置されている。ICカード用リーダライタ112は、内部にリードライト回路、及び該リードライト回路とICカードとの間での電波の授受を行うアンテナから成る基板114を内蔵したケーシング113と、ケーシングの前部に配置されたICカードホルダ117と、ケーシングの背面に配置された取付け部118と、を備える。
ICカードホルダ117は、図7(a)に示すようにケーシング113との間にポケット状の空間Sを形成しており、この空間内に上方からICカードをセットすることができる。
【0006】
ところで、図6(b)に示すように表示部120の表示面は操作のしやすさを考慮して斜め上向きに傾斜しており、且つ下端部121が前方に突出している。
一方、オプション部110の前面パネル111にICカード用リーダライタ112を配置するとすれば、表示部下端の突出部121がICカードホルダ117の直上にオーバーハングした状態となり、ICカードをICカードホルダの上部開口から着脱する操作の障害となっている。
このような不具合を解消するためには、ケーシング113の厚さTを増大させてICカードホルダ117の空間S内にICカードを着脱する経路に表示部下部の突出部が干渉しないようにすればよい。
一方、従来のオプション部110の前面パネル111は樹脂板から構成されており、ICカードリーダライタ112の背面に設けたネジ穴118aを樹脂製の前面パネルに直接ネジ止め固定していた。
【0007】
しかし、ケーシングの厚さを増大させると、ICカードを上記空間内に着脱する操作時にホルダに加わる下向きの荷重によって前面パネルとの接合部への負荷が増大して前面パネルにひび割れ等が発生し、ICカードリーダライタ112ががたつき易くなる。
そこで、図8に示したように樹脂製の前面パネル111の背面に補強用の金属板119を配置して金属板とICカードリーダライタ112のネジ穴118aとをネジ止めする改善策が採られている。
しかし、ケーシング内に配置された基板114を構成しているリードライト回路及びアンテナの後方を覆うように金属板119を配置すると、アンテナとICカードとの間で授受される電波の一部が金属板により乱反射してリードライト回路による読取り性能が不安定化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】意匠登録第1456164号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
自動販売機の樹脂製の前面パネルに、ホルダを前面に有したICカードリーダライタを配置した場合に、ICカードリーダライタの厚さ寸法を増大させようとすると、前面パネルを補強するための金属板を前面パネルの背面に配置する必要がある。しかし、金属板はリードライト回路及びアンテナとの間で電波の乱反射を惹起させて読取り、書込み精度を低下させる要因となるため、改善が求められていた。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、樹脂製の前面パネルの後方に配置した金属板に固定することにより、前面パネルの前面にホルダ付きのICカードリーダライタを配置するように構成した場合に、金属板がリードライト回路及びアンテナとの間で電波の乱反射を惹起させて読取り不良等の不具合をもたらすことを防止することができるICカード用リーダライタ、及びこれを備えたICカード取扱装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るICカード用リーダライタは、リードライト回路、及び該リードライト回路とICカードとの間での電波の授受を行うアンテナを内蔵したケーシングと、該ケーシングの前部に配置されたICカードホルダと、該ケーシングの背面に配置された取付け部と、を備え、取付け部は、ケーシングの背面から後方へ向けて突設された複数の突起を有し、該各突起にはネジ固定用の穴が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のICカード用リーダライタによれば、背面に金属板を配置した樹脂製の前面パネルにホルダ付きのICカードリーダライタを組み付けた場合に、金属板がリードライト回路及びアンテナとの間で電波の乱反射、干渉を惹起させて読取り不良、書込み不良等の不具合をもたらすことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係るICカード用リーダライタの構成を示す前方からの斜視図、及び背面からの斜視図である。
図2】同ICカード用リーダライタの取付け状態を示す縦断面図である。
図3】(a)(b)及び(c)は突起に金属部材等をネジ止めする場合の構成例を示す要部断面図である。
図4】(a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係るICカード用リーダライタの構成を示す背面側斜視図である。
図5】本実施形態を適用したオプション部の分解斜視図である。
図6】(a)及び(b)は従来の自動券売機の正面図、及び右側面図である。
図7】(a)及び(b)は従来のICカードホルダの正面側斜視図、及び背面図である。
図8】従来のICカード用リーダライタの取付け構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係るICカード用リーダライタの構成を示す前方からの斜視図、及び背面からの斜視図であり、図2はこのICカード用リーダライタの取付け状態を示す縦断面図である。なお、図6に示した自動販売機(ICカード取扱装置)100を併せて参照しつつ説明する。
【0014】
ICカード用リーダライタ(以下、リーダライタ、という)1は、いずれも樹脂によって形成された略箱形の本体2と、本体の前面下部から前方にアーチ状に張り出されたICカードホルダ(以下、ホルダ、という)20と、から概略構成されている。
本体2の背面を、図6に示した自動販売機等の金銭取扱い装置(ICカード取扱装置)100の前面に対してネジ止め等により固定される構成を有する。
本体2は、ケーシング3と、ケーシング3内部に配置されてICカードCに対する記録情報の読み書きを非接触式で行うリードライト回路、及びアンテナを備えたプリント基板4と、本体の前面に設けられたリードライト面10と、を有する。リードライト面10とホルダ20との間に形成される空間S内にICカードCを差し込んでリードライト面10に近接させることによりリードライト回路がICカードに対する記録情報の読み書き動作を行うことができる。
【0015】
ICカードCは、非接触式の記録媒体(RFID)であり、乗車カード、電子マネー用カード、認証用カード等々、種々な用途に使用される。
ICカードCはID情報の他に、用途に応じて種々の情報を記憶しており、電磁界や電波等を用いた無線通信によってICカード用リーダライタ1との間で情報のやりとりを行うことにより、情報の読取り、書込み、書換えを受けることができる。
プリント基板4には、リードライト回路を含んで電磁波の送受信、及びポーリング制御を行なうICと、電磁波の送受信を仲介するループアンテナが搭載されている。基板に実装されたループアンテナからは常時、電磁波を送信しており、リードライト面10の外側に近接配置されたICカードのアンテナがその電磁波を受信することにより、電磁波のエネルギーを電源として駆動し、リーダライタとICカードとの間で情報の授受を行なう。
本例に係るホルダ20は略Y字状であり、リードライト面に対向して離間配置されてリードライト面との間にICカード差し込み用の空間Sを形成する。
【0016】
本実施形態に係るリーダライタ1は、リードライト回路、及びリードライト回路とICカードとの間での電波の授受を行うアンテナを内蔵したケーシング3と、ケーシングの前部に配置されたICカードホルダ20と、ケーシングの背面に配置された取付け部25と、を備える。更に、取付け部25は、ケーシング3の背面から後方へ向けて突設された複数の突起26を有し、各突起にはネジの固定用穴26aが形成されている。
図6に示したように自動販売機100のオプション部110の前面パネル(樹脂製パネル)111は樹脂板から構成されている。本実施形態では、図2に示すように前面パネル111の後方に所定距離Lだけ離間して補強用の金属板(金属部材)60を配置している。
【0017】
樹脂製パネル111には、各突起26を金属板60側へ貫通させる開口111aが形成されており、金属板60には、各突起26のネジ穴26aと夫々対応する位置に取付け穴61が形成されている。開口111aは図示のように全ての突起を貫通させる広い開口面積としてもよいし、個々の突起を貫通させる小穴としてもよい。
取付け穴61から挿入したネジ63をネジ穴26aに螺着(固定)することにより、リーダライタ1を金属板60に固定することができる。このため、リーダライタ1に対してICカードCを着脱する際に加わる負荷によってリーダライタの取付け強度が低下することがなくなる。また、ケーシング内のプリント基板4と金属板60との距離を突起26の突出長分だけ離間させることができるので、プリント基板4から発せられた電磁波が金属板によって反射することにより発生する読み書き精度の低下を防止できる。
【0018】
次に、図3(a)(b)及び(c)は突起に金属部材等をネジ止めする場合の構成例を示す要部断面図である。
図3(a)は突起26に設けるネジの固定用穴26aを内面が滑らかな筒状穴としたものであり、この筒状穴にタッピングビス63aを螺着する(ネジを切り込む)ことにより、金属板(金属部材)60を固定した場合を示している。この場合、突起26は樹脂製とする。
図3(b)は突起26に設けるネジの固定用穴26aを内壁に雌螺子を有したネジ穴としたものであり、このネジ穴にビス63bを螺着することにより金属板60を固定した場合を示している。この場合の突起は樹脂製であっても良いし、金属製であってもよい。
図3(c)は突起26に設けるネジの固定用穴(段付き穴)26aの内部(大径部)に別部材のナット26bを固定することにより雌螺子状態としたものである。このナット26bの雌螺子部にビス63bを螺着することにより、金属板60を固定した場合を示している。ナットは強度を考慮すれば金属製であることが好ましいが、強度の高い樹脂であっても良い。
このようにネジ固定用穴26aは、ネジを固定することができればどのような構成であってもよい。
【0019】
次に、図4(a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係るICカード用リーダライタの構成を示す背面側斜視図であり、図5は本実施形態を適用したオプション部の分解斜視図である。尚、図6の構成を併せて参照しつつ説明する。
図6に示した自動販売機(ICカード取扱装置)100におけるオプション部110の前面に対して、本発明に係るICカード用リーダライタ1を組み付ける場合の他の構成例について以下に説明する。
【0020】
このICカード取扱装置100は、図1に示した実施形態に係るICカード用リーダライタ1を支持する樹脂製の前面パネル(樹脂製パネル)111と、前面パネルの背面側に配置される金属部材70と、を備えている。前面パネル111には、リーダライタ1の各突起26を金属部材70側へ貫通させる開口111aが形成されている。金属部材70には、少なくともケーシング3内のプリント基板4(通信回路及びアンテナ)と対向する面積範囲に亘って開口部(電波干渉回避用開口部)75が設けられている。更にケーシングの各突起26と金属部材70とを連結し、且つ金属部材の開口部75と連通する開放部85を有した金属製の中継枠体80を備えている。
【0021】
本実施形態では、プリント基板の後方に電波の干渉を引き起こす原因となる金属製部材を配置しないことにより、読み書き精度の低下を防止するものである。なお、プリント基板の後方とは、プリント基板の外周輪郭線を後方に延長した範囲のみならず、リードライト回路やアンテナの位置との関係で電波干渉が発生し易い範囲を広く含むものである。
まず、金属部材70はオプション部110を構成しており、水平枠体71の前端縁からは垂直に四角い取付け枠体72が上方へ突出している。取付け枠体72は横長の開口部72aを有しており、この開口部72a内には個々のオプションユニットを取り付けるための個別金属枠体73が着脱自在に配置される。本例では、リーダライタ1をオプションユニットとして取り付けるため、そのサイズに見合った個別金属枠体73が開口部72a内の対応する位置にネジ止め固定される。個別金属枠体73はリーダライタ内のプリント基板4との間での電波干渉を回避するための開口部75を有している。
中継枠体80は金属製であり、リーダライタ側のプリント基板4の後方に相当する部分な開放部85となっている。中継枠体80は、ケーシング背面の下側の2つの突起26の各ネジ穴26aとネジ止めされる下部部材82と、上側の2つの突起26の各ネジ穴26aとネジ止めされる上部部材84と、から構成されている。
下部部材82、及び上部部材84に設けた取付け穴を各ネジ穴26aと連通させた状態でネジ90により締結することにより、中継枠体80をケーシング(突起26)に固定することができる。
【0022】
また、下部部材82には、取付け枠体72、即ち個別金属枠体73の取付け穴73aと対応する取付け穴(長穴)82aが設けられており、両取付け穴73a、82a同志を連通させた状態でネジ止めすることにより、中継枠体80を介してリーダライタ1を金属部材70に固定することが可能となる。
取付け穴82a(又は/及び、取付け穴73a)を前後方向へ延びる長穴とすることにより、個別金属枠体73とリーダライタとの間の距離を調整することが可能となる。
図4、及び図5から明らかなように、中継枠体80を介して金属部材70に対してリーダライタ1を組み付けた場合には、ケーシング3は前面パネル111には固定されず、中継枠体80を介して金属部材70に対して固定されることとなる。このため、充分な取付け強度、耐久性を確保できる。
また、プリント基板4の後方には開放部85と開口部75が位置しており、金属材料が存在しないため、電波干渉による読み書き精度の低下を防止することが可能となる。
【0023】
[本発明の構成、作用、効果のまとめ]
第1の本発明に係るICカード用リーダライタは、リードライト回路、及び該リードライト回路とICカードとの間での電波の授受を行うアンテナを内蔵したケーシング3と、ケーシングの前部に配置されたICカードホルダ20と、ケーシングの背面に配置された取付け部25と、を備え、取付け部25は、ケーシングの背面から後方へ向けて突設された複数の突起26を有し、各突起にはネジ固定用の穴26aが形成されていることを特徴とする。
リードライト回路、及びアンテナをケーシング内に配置し、ケーシング前面側にICカードホルダを配置したICカード用リーダライタを自動販売機等のICカード取扱装置の前面パネルに取り付けた場合、ICカード取扱装置側の金属部材とリードライト回路及びアンテナとの間の距離が近いことに起因した電波干渉が問題となる。本発明では、突起26(ネジ固定用の穴26a)を設けたため、突起を金属部材と直接ネジ固定することが可能となり、突起の長さ分だけ金属部材とリードライト回路、及びアンテナとの間の距離を大きく確保することが可能となる。
このため、電波干渉による読取り不良、書込み不良等のリーダライタの作動不要を防止することができる。
【0024】
第2の本発明に係るICカード取扱装置は、請求項1に記載のICカード用リーダライタを配置する樹脂製パネル111と、該樹脂製パネルの背面側に配置される金属部材60と、を備えた、樹脂製パネルには、各突起26を金属部材側へ貫通させる開口111aが形成されており、金属部材60には各突起のネジ固定用の穴26aと夫々対応する位置に取付け穴61が形成されており、各取付け穴から挿入したネジ63をネジ固定用の穴に固定することにより、ICカードホルダ20を金属部材に固定したことを特徴とする。
ICカード取扱装置とは、ICカードを電子マネー用カードとして利用可能な自動販売機などの機器である。
樹脂製パネル111にリーダライタ1を直接固定した場合にはICカードをホルダに着脱する際に加わる負荷によって取付け部が損傷してホルダがガタついたり外れる虞がある。そこで、樹脂製パネルの背面よりも離間した位置に金属部材を配置し、この金属部材に対してリーダライタ1の背面から突出した突起26を固定するようにした。このため、突起の長さ分だけ金属部材とリードライト回路、及びアンテナとの間の距離を大きく確保することが可能となり、電波干渉による読取り不良、書込み不良等のリーダライタの作動不良を防止することができる。
【0025】
第3の本発明に係るICカード取扱装置は、ICカード用リーダライタ1を配置する樹脂製パネル111と、該樹脂製パネルの背面側に配置される金属部材70と、を備え、樹脂製パネルには、各突起26を金属部材側へ貫通させる開口111aが形成されており、金属部材には、少なくとも通信回路及び前記アンテナと対向する面積範囲に亘って開口部75が設けられており、ケーシングの各突起と金属部材とを連結し、且つ金属部材の開口部と連通する開放部85を有した金属製の中継枠体80を備えていることを特徴とする。
中継枠体80を介して金属部材70に対してリーダライタ1を組み付けた場合には、ケーシング3は金属製の中継枠体80を介して金属部材70に対して固定されることとなる。このため、充分な取付け強度、耐久性を確保できる。
また、プリント基板4の後方には開放部85と開口部75が位置しており、電波干渉等の原因となる金属が存在しないため、電波干渉による読み書き精度の低下を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1…ICカード用リーダライタ、2…本体、3…ケーシング、4…プリント基板、10…リードライト面、20…ICカードホルダ、25…取付け部、26…突起、26a…ネジ固定用の穴、26b…ナット、60…金属板(金属部材)、61…取付け穴、63…ネジ、70…金属部材、71…水平枠体、72…枠体、72a…開口部、73…個別金属枠体、73a…取付け穴、75…開口部、80…中継枠体、82…下部部材、82a…取付け穴、84…上部部材、85…開放部、90…ネジ、100…自動販売機(ICカード取扱装置)、101…装置本体、102…操作パネル、110…オプション部、111…樹脂製パネル(前面パネル)、111a…開口、112…ICカード用リーダライタ、113…ケーシング、114…基板、117…ICカードホルダ、118a…ネジ穴、119…金属板、120…表示部、121…下端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8