(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の「遊技機」としてのパチンコ遊技機10に係る一実施形態を、
図1〜
図4に基づいて説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前面扉95(本発明の「前面カバー」に相当する)に備えたガラス窓95W(本発明の「窓部」に相当する)を通して遊技板11の遊技領域R1が視認可能になっている。前面扉95のうちガラス窓95Wの下方には、遊技球を貯留可能な上皿26と下皿27とが設けられている。また、下皿27の右側には操作ノブ28が備えられていて、この操作ノブ28(本発明の「ハンドル」に相当する)を回動操作すると、上皿26内の遊技球が遊技領域R1に打ち込まれる。
【0016】
遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、表示窓11Aが貫通形成されていて、その表示窓11Aの後方には、液晶表示装置32(TFT−LCDモジュール。本発明の「演出実行手段」に相当する)が備えられている。また、表示窓11Aには、前側から表示装飾枠23が嵌め込まれ、その表示装飾枠23の上辺部分及び両側辺部分が遊技板11の前面から前方に突出して、液晶表示装置32の前方を遊技球が流下することを禁止している。
【0017】
遊技領域R1における表示装飾枠23の下方のうち左右方向の中央には、第1始動入賞口14A、第2始動入賞口14B、大入賞口15、アウト口16が上から順番に設けられ、左右両側部には、複数の一般入賞口20が設けられている。また、表示装飾枠23の左方には、始動ゲート18が設けられている。
【0018】
始動ゲート18は、遊技球が内側を通過可能な構造をなし、一般入賞口20及び第1始動入賞口14Aは、上方に向かって常時開口している。第2始動入賞口14Bは、上方に向かって開口し、その開口の左右両側に可動翼片14C,14Cが備えられている。両可動翼片14C,14Cは、常には起立状態になっていて、第2始動入賞口14Bは、常には、起立した両可動翼片14C,14Cと第1始動入賞口14Aを構成する部材とに囲まれて、遊技球が入らないようになっている。そして、始動ゲート18を遊技球が通過する度に行われる当否判定(以下、「普図判定」という)で当りになると、可動翼片14C,14Cが所定期間にわたって横に倒されて、可動翼片14Cを案内にして遊技球が第2始動入賞口14Bに入賞可能になる。
【0019】
大入賞口15は、遊技板11の前面に横長の長方形をなして開口し、扉15Tによって通常は閉塞されている。そして、第1及び第2の始動入賞口14A,14Bへ遊技球が入賞することにより行われる特別図柄による当否判定(以下、適宜、「特図判定」という)で当りとなると、大入賞口15の扉15Tが前方に倒れるように開き、その扉15Tを案内にして大入賞口15が遊技球を受け入れ可能となる(所謂、大当り遊技が実行される)。なお、一般入賞口20、第1及び第2の始動入賞口14A,14B及び大入賞口15に遊技球が入賞する度に、所定複数の遊技球が上皿26に払い出される。また、特図判定で当りとなることを、適宜、「大当り」という。
【0020】
液晶表示装置32のディスプレイ32Eには、通常、3つの左、中、右の特別図柄32A,32B,32Cが横並びに停止表示されていて、これらの特別図柄32A,32B,32Cにより上述した特図判定の結果が報知される。具体的には、第1又は第2の始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄32A,32B,32Cが変動表示(上下方向にスクロール表示)後、例えば、左、右、中の順に停止表示されて、例えば、ゾロ目となったか否かにより前記した特別図柄当否判定の判定結果が報知される。
【0021】
また、ディスプレイ32Eには、上記した特別図柄32A,32B,32C以外にも種々の映像が表示され、遊技を演出する。本実施形態のパチンコ遊技機10では、例えば、特別図柄32A,32B,32Cの変動表示中にディスプレイ32Eにおいて「変動演出」が行われる。
【0022】
さて、本実施形態のパチンコ遊技機10には、変動演出において遊技者が操作可能な演出操作部36(
図4参照)が備えられている。この演出操作部36は、遊技者がガラス窓95Wに手をかざすことで操作される構成になっている。以下、演出操作部36の詳細について説明する。
【0023】
演出操作部36は、遊技板11の4隅にそれぞれ配された測距センサ36S(
図1参照。本発明の「検出センサ」に相当する)を備えてなる。測距センサ36Sは、例えば、光を照射し、対象物により反射された光を受けて、その対象物までの距離を演算する構成となっていて、ガラス窓95Wの前方に設定された検出範囲内に対象物があるか否かを検出して作動する。演出操作部36は、4つの測距センサ36Sのうち何れの測距センサ36Sが作動したかを操作情報として送信する。なお、測距センサ36Sは、遊技板11のうち、ガラス窓95Wから視認可能な位置に配されている。
【0024】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、
図2に示すように、各測距センサ36Sの検出範囲が配置場所によって異なるように構成されている。具体的には、上側の測距センサ36S,36Sの検出範囲(
図2中の符号X)が、ガラス窓95Wの前面から10cm以内であるのに対し、下側の測距センサ36S,36Sの検出範囲(
図2中の符号Y)は、ガラス窓95Wの前面から5cm以内となっていて、下側の測距センサ36S,36Sの検出範囲が上側の測距センサ36S,36Sの検出範囲よりも狭くなっている。つまり、下側の測距センサ36S,36Sを作動させるには、上側の測距センサ36S,36Sを作動させるときよりも、対象物をガラス窓95Wに近づけることが必要となる。
【0025】
なお、検出距離の上限等の仕様が異なる測距センサを用いることで測距センサ36S毎の検出範囲を異ならせる構成であってもよいし、同じ仕様の測距センサを用い、対象物の距離が各々設定された検出範囲内にあるときだけ作動するように制御する構成であってもよい。
【0026】
次に、演出操作部36を使用する変動演出の一例を説明する。本実施形態のパチンコ遊技機10では、変動演出として、メインキャラクタが道を進みながら他のキャラクタやアイテム等と遭遇していく演出が行われる。詳細には、ディスプレイ32Eに、マップ上をメインキャラクタが移動していく映像が表示される。
【0027】
この変動演出では、例えば、演出開始時に、メインキャラクタが進む道を4つの選択肢の中から選択できるようになっており、この選択に上述した演出操作部36が用いられる。
図3に示すように、演出開始時には、ディスプレイ32Eに、十字路の真ん中にメインキャラクタMCが立っている映像が表示される。このとき、十字路から延びた各道の上には、4つの円を備えた操作指示
図Hが表示されている。
【0028】
この操作指示
図Hは、遊技者が手をかざす位置を示していて、
図3に示す例では、上の道にガラス窓95Wの左上に手をかざすことを示唆した操作指示
図H、下の道にガラス窓95Wの右上に手をかざすことを示唆した操作指示
図H、右の道にガラス窓95Wの左下に手をかざすことを示唆した操作指示
図H、左の道にガラス窓95Wの右下に手をかざすことを示唆した操作指示
図Hがそれぞれ表示されている。そして、遊技者が選択したい道に表示されている操作指示
図H通りに手をかざすと、その道が選択される。その後、選択された道によって、異なる演出が行われる。
【0029】
次に、
図4を参照しつつ、本実施形態のパチンコ遊技機10の電気的な構成について説明する。
図4に示す主制御基板50は、CPU50AとRAM50B及びROM50C、を有していて、遊技に関わる主制御を行う。サブ制御基板52は、主制御基板50と同様に、CPU52AとRAM52B及びROM52Cを有し、主制御基板50、液晶表示装置32や演出操作部36と接続されている。サブ制御基板52は、主に、主制御基板50からのコマンドを受けて演出の制御を行うほか、演出操作部36から受けた操作情報を演出に反映して液晶表示装置32の演出操作基板54へ出力する。このサブ制御基板52のうちのCPU52Aが本発明の「演出制御部」に相当する。
【0030】
本実施形態の構成は以上である。次に、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機10では、特別図柄32A,32B,32Cの変動表示中に、ディスプレイ32Eにおいて映像による演出が行われる。この演出においては、遊技者による演出操作部36の操作により演出の内容(メインキャラクタが進む道)を異ならせることができるので、遊技の趣向性を向上させることが可能となる。
【0031】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10における演出操作部36は、従来のパチンコ遊技機に一般的に用いられている十字キー等ではなく、ガラス窓95Wに手をかざすことで操作される斬新な構成となっていて、趣向性を向上させることが可能となる。
【0032】
ところで、演出操作部36を操作する際に、例えば、右上の測距センサ36Sに右手をかざそうとしたときに、右下の測距センサ36Sが反応してしまい、予期せぬ選択肢が選択されてしまうという事態が発生することが考えられる。
【0033】
これに対して、本実施形態のパチンコ遊技機10では、下側の測距センサ36S,36Sの検出範囲が上側の測距センサ36S,36Sの検出範囲よりも狭くなっていて、下側の測距センサ36S,36Sは、上側の測距センサ36S,36Sよりも、手をガラス窓95Wに近づけなければ反応しないように構成されているので、下側の測距センサ36S,36Sを誤って作動させてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0035】
(1)上記実施形態では、パチンコ遊技機10に本発明を適用していたが、遊技機であれば、スロットマシン等に適用してもよい。
【0036】
(2)上記実施形態では、検出範囲が比較的広い測距センサ36S,36Sと比較的狭い測距センサ36S,36Sとが、上下で分けられていたが、左右で分けられていてもよい。例えば、右側の測距センサ36S,36Sの検出範囲を左側の測距センサ36S,36Sの検出範囲よりも狭くした場合、演出操作部36の操作に右手を用い、右手を左側の測距センサ36S,36Sにかざそうとするときに、右側の測距センサ36S,36Sを作動させてしまうことが防がれる。この場合、例えば、左上、右上、左下、右下の順で検出範囲を狭くする等、全ての測距センサの検出範囲を異ならせる構成であってもよい。
【0037】
また、演出操作部36の操作を行うタイミングによっては、右手で操作ノブ28を回したまま、左手で演出操作部36を操作することも考えられる。この場合は、左側の測距センサ36S,36Sの検出範囲を右側の測距センサ36S,36Sの検出範囲よりも狭くすることが好ましい。
【0038】
(3)上記実施形態では、各測距センサ36Sが遊技板11の4隅に配された構成であったが、各測距センサ36Sが点在している構成であってもよい
【0039】
(4)上記実施形態では、1度の操作で1か所だけに手をかざす構成であったが、例えば、両手を用いて2か所に手をかざす構成であってもよい。
【0040】
(5)上記実施形態では、測距センサ36Sに対して手をかざす構成であったが、操作用の可動部材を別途用意し、その可動部材をかざす構成であってもよい。
【0041】
(6)本発明の「検出センサ」が、上記実施形態では測距センサ36Sであったが、例えば、感熱センサであってもよい。