特許第6283892号(P6283892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6283892
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】洗浄処理装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20180215BHJP
   B09C 1/02 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   B09B5/00 ZZAB
   B09C1/02
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-160619(P2017-160619)
(22)【出願日】2017年8月4日
【審査請求日】2017年9月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501098061
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(72)【発明者】
【氏名】東 利保
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3396684(JP,B1)
【文献】 特開2007−269623(JP,A)
【文献】 特開2001−129426(JP,A)
【文献】 特開2017−064688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03B1/00−13/06
B03D1/00−3/06
B08B3/00−3/14
B09B1/00−5/00
B09C1/00−1/10
C02F11/00−11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物残渣等の有機固形物および汚砂を含む汚水を一定水位になるのを限度として受け入れ該槽下部のコーン部に沈砂等を沈降させる一方沈降物上に汚水を分離させるようにする処理槽が設けられ、該処理槽には、内周に複数の分離促進用突部を有する上下貫通状で縦パイプ式に設けられた浮上用パイプと、前記コーン部に洗浄水を導入可能な下部給水機構と、前記浮上用パイプの下端吸込口に上端口が臨むようにして前記コーン部内に縦パイプ式に設けられその下端口が下部給水機構からの供給水を吸込み可能に臨むように配置されている浮上促進用パイプと、浮上用パイプおよび/または浮上促進用パイプに接続されたエアーパイプと、処理槽内に連通して接続されて内部の分離水を適宜排出可能な中間排水機構と、槽内水面に浮かぶ浮遊物を槽外に排除する浮遊物除去装置と、コーン部に設けた排出口に開閉制御可能に設けた沈降物排出機構とが設けられた洗浄処理装置において、前記浮上用パイプは、内向き突出状の分離促進用突部を各複数配備してなるものを一つの単位としその外周りの外周パイプ受材の内部に上下複数積み重ね式に装備して外周パイプ受材とともに槽に対し装脱可能に装備されていることを特徴とする洗浄処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗浄処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食物残渣などの有機固形物や汚砂等を含む汚水を導入してそれら有機固形物や汚砂をエアーや給水などにより撹拌洗浄して取り出すようにした洗浄処理装置の一つとして、特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3396684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗浄処理装置は、流入汚水が導入される処理槽を備え、この処理槽内には、流入汚水を下向きに導く導入路と、多数個の分離促進ピースが滞留可能で前記導入路からの流入汚水中の有機固形物類を分離処理する接触処理部と、浮上するスカムを排除する手段と、処理後の汚水および砂泥を同時あるいは個別に排除する手段とを備えるものである。処理槽内には、内部を接触浮上路とする上下貫通状の浮上パイプを縦向き状に備え、その接触浮上路の下部内にエアーを導入することで上昇流を発生させて、下端開口から分離促進ピースとともに汚水を吸込み上端開口から導出するようにしてあり、その間、接触浮上路内において分離促進ピースの多数個との相互接触によって有機固形物類が分離し得るようにしたものである。さらに、有機固形物類の分離を促進させるため、浮上パイプ内面には、複数の突起を配備しておくことで、接触浮上路内を浮上してゆく汚水のうち砂泥や有機固形物などがこれら突起に当たって有機固形物類を分離させるようにする。
ところが、この装置の突起は、実機では分離促進ピースを含む浮上物による繰り返し接触を受けてよく損耗を受けていたが、従来は、これら突起が、槽内に固定設置した浮上パイプの内面に固定配備された形式であったため、損耗した突起を浮上パイプを抜き去ることにより修理・交換しさらに補修を終えた浮上パイプを元の処理槽内に再設置するといったメンテナンス作業をするのが困難でできたとしても非常に作業費用が高くつくものとなった。そうなると、他部材部品は正常なままであっても突起が損耗してしまえば装置全体を廃棄するしかなく、装置を設置された施設側にあっては装置の稼働を停止し新規装置の設置まで処理を待つ必要があるなど多くの点で問題をもつものであった。また実機でもある特許文献1に示された洗浄処理装置は、汚水とともに分離促進ピースを多数浮上させて有機固形物類を分離除去するようにしてあるが、分離促進ピースを浮上パイプ内を浮上通過させる分離促進方法であれば、そこに対向する突起に更に深い接触損耗を与えることになって前記問題はより深刻化するものとなる。
【0005】
この発明は、こうした問題を解決しようとするものであり、浮上用パイプを上下分割式にして槽に対して装脱可能にすることで、内周の分離促進用突部が損耗した場合にも簡単かつ迅速に取外して補修あるいは新規交換などし得るようにするとともに新たな突部付き浮上用パイプとして槽内に再組み込みすることができるようにし、水処理施設での稼働休止などの損害が発生しないようにするとともに、特に、分離促進ピースの循環方式をなくすことで突部の損耗自体を極力少なく抑えるようにして、浮上用パイプの補修・交換頻度が少なくなるようにした洗浄処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、食物残渣等の有機固形物および汚砂を含む汚水を一定水位になるのを限度として受け入れ該槽下部のコーン部に沈砂等を沈降させる一方沈降物上に汚水を分離させるようにする処理槽が設けられ、該処理槽には、内周に複数の分離促進用突部を有する上下貫通状で縦パイプ式に設けられた浮上用パイプと、前記コーン部に洗浄水を導入可能な下部給水機構と、前記浮上用パイプの下端吸込口に上端口が臨むようにして前記コーン部内に縦パイプ式に設けられその下端口が下部給水機構からの供給水を吸込み可能に臨むように配置されている浮上促進用パイプと、浮上用パイプおよび/または浮上促進用パイプに接続されたエアーパイプと、処理槽内に連通して接続されて内部の分離水を適宜排出可能な中間排水機構と、槽内水面に浮かぶ浮遊物を槽外に排除する浮遊物除去装置と、コーン部に設けた排出口に開閉制御可能に設けた沈降物排出機構とが設けられた洗浄処理装置において、前記浮上用パイプは、内向き突出状の分離促進用突部を各複数配備してなるものを一つの単位としその外周りの外周パイプ受材の内部に上下複数積み重ね式に装備して外周パイプ受材とともに槽に対し装脱可能に装備されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述したように請求項1に記載の発明は、食物残渣等の有機固形物および汚砂を含む汚水を一定水位になるのを限度として受け入れ該槽下部のコーン部に沈砂等を沈降させる一方沈降物上に汚水を分離させるようにする処理槽が設けられ、該処理槽には、内周に複数の分離促進用突部を有する上下貫通状で縦パイプ式に設けられた浮上用パイプと、前記コーン部に洗浄水を導入可能な下部給水機構と、前記浮上用パイプの下端吸込口に上端口が臨むようにして前記コーン部内に縦パイプ式に設けられその下端口が下部給水機構からの供給水を吸込み可能に臨むように配置されている浮上促進用パイプと、浮上用パイプおよび/または浮上促進用パイプに接続されたエアーパイプと、処理槽内に連通して接続されて内部の分離水を適宜排出可能な中間排水機構と、槽内水面に浮かぶ浮遊物を槽外に排除する浮遊物除去装置と、コーン部に設けた排出口に開閉制御可能に設けた沈降物排出機構とが設けられた洗浄処理装置において、前記浮上用パイプは、内向き突出状の分離促進用突部を各複数配備してなるものを一つの単位としその外周りの外周パイプ受材の内部に上下複数積み重ね式に装備して外周パイプ受材とともに槽に対し装脱可能に装備されていることを特徴とするので、浮上用パイプを上下分割式にして槽に対して装脱可能にすることで、内周の分離促進用突部が損耗した場合にも簡単かつ迅速に取外して補修あるいは新規交換などし得るようにするとともに新たな突部付き浮上用パイプとして槽内に再組み込みすることができるようにし、水処理施設での稼働休止などの損害が発生しないようにするとともに、特に、分離促進ピースの循環方式をなくすことで突部の損耗自体を極力少なく抑えるようにして、浮上用パイプの補修・交換頻度が少なくなるようにした洗浄処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】 この発明の洗浄処理装置の一実施形態を示す縦断面図。
図2】 分離促進用突部を有する浮上用パイプと外周パイプ受材との組み合わせ状態を示す拡大断面図。
図3図2のIII−III線断面図。
図4】 突部付き浮上用パイプと外周パイプ受材の分解状態を示す正面図。
図5】 分離促進用突部が縦列に並んだ様子を示す作用説明図。
図6】 分離促進用突部が縦列に不整合に配置された様子を示す作用説明図。
図7】 他の実施形態を示す縦断面図。
図8図7のVIII−VIII線断面図。
図9】 他の実施形態を示す図10のIX方向矢視図。
図10図9のX−X線断面図。
図11】 突部の他の実施形態を示す断面図。
図12】 突部の他の実施形態を示す断面図。
図13】 突部の他の実施形態を示す断面図。
図14】 外周パイプ受材の他の実施形態を示す分解斜視図。
図15】 突部の作用図を示す縦断面図。
図16】 突部の作用図を示す縦断面図。
図17】 突部の他の実施形態を示す斜視図。
図18】 突部の他の実施形態を示す展開図。
図19】 突部の他の実施形態を示す展開図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明である洗浄処理装置の一実施形態を図1ないし図4に基づいて説明する。
洗浄処理装置は、SUS製の処理槽1を備え、この処理槽1は、上部の角形直胴部2と下部のコーン部3および最も下部のストレート筒状排出口部4とを備えて、図1の下側に設定した設置基盤(図示省略)上に立設した複数本の支柱5の上梁6上に受ブラケット7を介して縦筒状をなして固定設置されている。直胴部2は図1の左右幅とそれに直交する奥行が共に1000mm程度とされている。
【0010】
10は上蓋で完全脱着式に開閉可能な上からみてコの字形板とされ、図1における左側部分が板部分でその一側部には、流入口11を有する流入パイプ12が挿通固定されて汚水流入手段13を構成している。上蓋10の前記コの字の溝奥に相当する部分は槽内支持梁15で支持されてこのコの字板である上蓋10は図示しない止着具により脱着自在になっている。17は側蓋で、上蓋10とは別途開閉可能になっている。この側蓋(内部点検蓋)17は、浮遊物除去装置20の蓋体として設けられており、浮遊物除去装置20は、トラフ21と水面22を境に定期的に上下運動する堰板23とこの堰板23を昇降させる電動シリンダ24およびサポート25からなり、水面22の浮遊物を呑み込み浮遊物を水とともに排出する浮遊物排出口部26を自動弁とともに備えている。
【0011】
28は突胴部で、上蓋10の槽中央に相当する部分に四角筒状をなして突設され、そのフランジ29を介して矩形板状の取付蓋30が脱着可能に取り付けられている。取付蓋30の上面複数個所にはUフック型の吊掛アンカー31が設けられていて図示しない天井クレーンや地上走行型リフターなどの昇降装置に備えたスリング33先のフック34が係脱可能とされている。
【0012】
36は外周パイプ受材で、長さ1m前後の薄い円筒SUS製(あるいは樹脂製)で、本体は上下が貫通状をしたものであり、上端には受フランジ37が下端にはドーナツ板型をしたパイプ受フランジ38が溶接一体化されている。外周パイプ受材36は、基部上端が取付蓋30側に固着されて垂設された周方向に2本(あるいは3本)のパイプステー39によって縦筒式に取り付け支持されているとともに、その受材36上端は水面22より50ないし70mm程度下がった高さにくるようにまた下端はコーン部3の下部寄りである排出口部4より20〜30cm上側にくるようにして固定支持されている。
【0013】
この外周パイプ受材36内には、樹脂一体成形体である高さ25cm前後の4本の浮上用パイプ40…が上下に積み重ね式に装填され、これら浮上用パイプ40…は、その下端がパイプ受フランジ38で受け留められる一方、上端は、外周パイプ受材36上に止着具41で脱着自在に取り付けたドーナツ板型抜け止めフランジ42によって上方への抜け止めがなされるようになっている。浮上用パイプ40は上のものが40I、中間上側が40II、中間下側が40III、そして下のものが40IVと略示してある。これら積み重ね数は2本、3本、5本などであってもよい。
【0014】
浮上用パイプ40は、基本的に共通の構成とされ、外径は外周パイプ受材36内に少しの隙間をもって緩目に挿通されて昇降も回転も自在になるようになっているとともに、その内部には、半切り卵殻形(あるいは半球殻形)をその長手が上下に向くようにした分離促進用突部44…が樹脂一体成形で設けられている。これら分離促進用突部44…はここで上中下の合計3個設けられ、その配置は、図3のように周方向に120度ずつ位相をずらせたものになっている。例えば、図2図3のように最も下位のものが手前正面であるとした場合、その上の中段のものは一定の上位に離れた高さで周方向に120度回った位置にあるようにされ、最も上位のものは同じく一定の上位に離れた高さで周方向にさらに120度回った位置にあるようにされている。分離促進用突部44…は、最も高く突出した点である突出端をつないでゆくときその線は螺旋となるものである。分離促進用突部44…は一つの浮上用パイプ40に対して3個であったが、2個以上であればよい。浮上用パイプ40はSUS製など金属製でもよい。
【0015】
最も下段に入れた浮上用パイプ40Iには内エアー通孔46が開けられていてその孔を通じて浮上撹拌洗浄路45内に浮上用のエアーA2が導入されるようになっている。外周パイプ受材36の内エアー通孔46に対応する個所には、外エアー通孔48が形成されており、この通孔48に通じる個所に受筒49が設けられ、この受筒49の外端に脱着自在に備えたフランジ50を通じて主エアーパイプ51の先端部が挿通固定されている。この主エアーパイプ51は垂直に伸びるもので、上側基部は、図1のように取付蓋30に挿通されて取り付けられている。52は自動弁、53は撹拌ブロア(あるいはコンプレッサー)である。
【0016】
後述する下部エアーパイプは省略して主エアーパイプ51のみでエアーパイプを構成することもあり、また主エアーパイプ51は省略し下部エアーパイプのみでエアーパイプを構成することもある。さらに、本実施形態のように主エアーパイプ51と下部エアーパイプの双方の組み合わせで構成することもある。
【0017】
浮上用パイプ40の上部内周にはフック34を引っ掛けるための係合フック55…を設けておけば、浮上用パイプ40付き外周パイプ受材36を抜き出してメンテナンスを行う場合浮上用パイプ40…を簡単に抜き出し・再セットすることができる。この場合、図1のように取付蓋30に装脱のための脱着蓋56を備えておけばその開口を通じてメンテナンス作業を容易に行えるようになる。
浮上用パイプ40の下端は、下端吸込口58とされ、一方上端は上端吐出口59とされる。上端吐出口59は、図1の左欄のように水面22よりも数cm高くなるように設定してもよい。
【0018】
図2に示すように、浮上用パイプ40には内エアー通孔46を形成してエアーを噴出させるようにしたが、同図右上欄のように最下段その他の浮上用パイプ40には、全周に亘るようなエアー溝61を樹脂一体成形あるいは必要なパイプ40にのみ周切削加工するなどで形成してその数か所に内エアー通孔62…を形成してエアーを導通するようにしてもよいし、同図の下欄のように、樹脂成形される浮上用パイプ40の外周に半円弧状をした凹溝状エアー溝64を一体形成してそこに内エアー通孔65…を形成することでエアーを導通するようにすることもできる。
【0019】
主エアーパイプ51は、図2に示すように、浮上用パイプ40の周部に臨むように設けてあったが、同図の浮上用パイプ40Iの下端近くから浮上撹拌洗浄路45の下端域内に臨むように配置してもよい。
外周パイプ受材36は、円筒状のものであったが、図2の右下欄に示すように、正格子状・斜格子状のものにしたり丸あるいは角孔式などのパンチングメタル式のものにしてもよい。
【0020】
外周パイプ受材36と浮上用パイプ40は、共に円筒状であったが、図3の右欄に示すように、外周パイプ受材36を角型とし浮上用パイプ40を円筒型とすることもある。この場合、例えば、浮上用パイプ40に引っ掛け受部(孔やフックなど)を設けておくことで浮上用パイプ40を出し入れしやすくなる。
前記係合フック55によるものは、図2の左欄に示すように、リンクチェーンによる係合手段67とし、同手段67にフック34を引っ掛けて浮上用パイプ40の抜脱作業を確実至便化するようにしてもよい。
【0021】
70は浮上促進用パイプで、前記浮上用パイプ40の下端吸込口58に上端口71が臨むようにして前記コーン部3内に縦パイプ式に設けられている。浮上促進パイプ70は、その下端口72が排出口部4の上端口内に位置するようにされ、この下端口72は、下部給水機構74の下部給水パイプ75からの撹拌給水を吸込み可能に臨むように配置されている。77は下部エアーパイプで、浮上促進用パイプ70の中程に連通状に接続されて矢印A1のように浮上促進用パイプから浮上用パイプ40内に浮上エアーを送り込むようにする。下部エアーパイプ77には、自動弁52を介してブロア53が接続されている。下部給水機構74は、排出口部4に直角に挿し込むのでなく斜め向きに挿し込むことにより、沈降物を螺旋状に回しながら給水をし水面22にくるまで旋回流を発生させ洗浄効果を上げるように水嵩アップを図るようにすることができる。
【0022】
排出口部4の排出口には、沈降物排出機構の一つである沈降物排出弁80を介してコンテナである沈降物運搬車81を待機させてある。振動篩83にかけて残渣と砂とに分けるようにしてもよい。
【0023】
85は中間排水機構で、外周パイプ受材45の下端より少し上に高いレベルに開口位置する中間排水パイプ86と排水バルブ87とを有する。88はフィルターである。図1の仮想線Hは沈降物上レベルで、外周パイプ受材45の下端よりは少し上のレベルとなっている。90は(最終)槽内洗浄給水手段で、洗浄パイプ91を備え、繰り返し洗浄行程を経たのち最終的に槽内洗浄をするためのものとして設けられている。
【0024】
食物残渣などの有機固形物や汚砂を含む沈砂池からの汚水は、図1の矢印のように、流入パイプ12を通じて処理槽1へ導入され、空状態であった処理槽1内には図1の水面22まで達する程に汚水が溜められる。一定時間が経過すると有機固形物や汚砂などからなる沈降物がH程度に溜まりその上に汚水が分離した状態となり、その分離状態を得たのち、中間排水機構85を開いて分離汚水を抜く。そのあと、下部給水機構74を通じて給水がなされ、これにより、沈降物は撹拌洗浄を受けながら水面22まで増水してゆく。
【0025】
水面22まで増水すると、下部エアーパイプ77を通じて浮上促進用パイプ70内にエアーが噴出されるとともに主エアーパイプ51を通じて浮上用パイプ40…内にエアーが噴出される。これにより、浮上促進用パイプ70内には浮上流が発生してその下端からはB1の下部吸込み流が発生するとともに上端からは浮上用パイプ40内への浮上流が発生して中間吸込み流B2が発生し、さらに浮上用パイプ40内での浮上流により下方から吸い込まれた沈降物が撹拌洗浄を受けつつ上昇し、上端から上吐出流Dとして吐出したあと下降流を発生する。
【0026】
こうした洗浄を伴う循環流が繰り返し行なわれることで有機固形物および汚砂の洗浄作用が効果的になされ、特に、浮上作用中の沈降物はその外周に設けた分離促進用突部44…に従う変曲流となって接触分離を受けることにより洗浄がより効果的になされる。
そうした循環洗浄が一定時間のもと行われると、そのあと再び沈降分離がなされ、その沈降した汚水は中間排水機構85により排出されたあと、今度は下部給水機構74からの給水により撹拌を与えながら増水して水面22となるまでもってゆくことにより撹拌洗浄を伴うものとなる。そのあと自然沈降をさせることにより上に分離した汚水は中間排水機構85を通じて排除するようにする。
【0027】
こうした洗浄が繰り返し行われたのち最終沈降をした沈降物については、排出弁80を開くことで排出するようにする。浮遊物除去装置20は、前記循環洗浄を行うときに定期的にあるいは連続的に作動するようになっている。
浮上用パイプ40I〜IVは、展開図である図5に前者として示すように、外周パイプ受材36内に装填された状態において分離促進用突部44…の位相が全て同じ位置にくるように装填されるのでなく、実際には、図1図2および展開図である図6に後者として示すように、自由な位相関係をもって装填されるようになる。前者の場合は、図5に示すように、左右と中間に矢印表示するように洗浄を受けやすい流れとなるものとそれらの間に矢印表示するように全く洗浄作用を受けない流れとなるものとになり、洗浄作用が不均等偏寄的なものになって結局効果的な洗浄が得られないことになるのに対し、後者の場合は、図6に示すように、各列の分離促進用突部44…が位相ずれとなるので、全周くまなく均等分配的な洗浄作用を受け得るものとなる。
【0028】
浮上用パイプ40は、上下分割式で外周パイプ受材36内に積み重ね装備してあるとともに取付蓋30の取外しによって図4のように処理槽1外に抜脱可能であるので、浮上用パイプ40…は外周パイプ受材36からさらに抜き出して洗浄することで分離促進用突部44…の損耗状況をチェックすることができ、必要ならば損耗個所を補修をしたりパイプ40自体の新規交換も個別的に簡単かつ迅速に行うことができ、また本来の機能を持たせた突部44…付き浮上用パイプ40として槽内に再組み込みすることができて、水処理施設での稼働休止などの損害が全くなくなるとともに、特に、分離促進ピース(後述)の循環方式を敢えてなくすことで突部44…の損耗自体を極力少なく抑えることもできて、浮上用パイプ40…の補修・交換頻度を少なくすることができるものである。
尚、パイプステー39は、図4のように長くしてステーとして機能の他に主エアーパイプ51のようなエアー供給機能を兼ねるものにすることで構造の簡略化が図れるようにすることができる。
【0029】
また、特許第5712458号公報にも示すように、浮上用パイプ40の下方には制御スクリーン110を備えて沈降物の通過は許すが分離促進ピース99…は排出域側に落とし込まれないように通過規制をする構成とする必要があったが、本発明では分離促進ピース99…は使わなくして分離促進用突部44…で洗浄効果が上がるようにしたので、大幅に構造の簡略化が図れるようになっただけでなく制御スクリーン110の目詰まりにより沈降物通過機能を損なったりそのメンテナンスを要するなどの問題も解消されることになった。
分離促進用突部44…は、螺旋状配置にしたので、上昇してくる被洗浄物への洗浄機会が多く確保されることになって洗浄効果が上がることになる。
尚、他の洗浄運転の方法として、汚水流入手段13を通じて汚水を導入して沈降分離してのち中間排水機構85を通じて分離汚水を排出しそのあとの洗浄運転として、下部給水手段74を連続稼働することにより洗浄分離するようにすることもできる。
【0030】
他の実施形態を次に示す。
浮上促進用パイプ70の上端口71は、図1の左下欄に示すように、浮上用パイプ40内に挿入式に臨むようにすることができ、この場合、主エアーパイプ51は省略することもある。
【0031】
浮上促進用パイプ70内や浮上用パイプ40内、処理槽1内の広い水域中のいずれかには、図1に矢印Xで示すように、マイクロバブル(直径1〜100μm)やウルトラファインバブル(1μm以下)などの浮遊性気泡を導入して洗浄効果を上げるようにすることができる。Xのルートは、図1における主エアーパイプ51とかパイプステー39と同じあるいは並行するルートにしてもよい。
【0032】
次に、図7および図8に示すように、浮上用パイプ40の上端吐出口59の上方側には対向板93を設置してそれに突部94…を設けておくことで洗浄効果が上がるようにしてもよい。突部94は円錐形であったり丸凸形であったりしてもよい。
【0033】
図9および図10は他の実施形態を示す。エアー噴出孔96を分離促進用突部44の外周上裾部あるいは突端部に形成したものである。下方からの水がエアーの流れによって強く吸上げられて洗浄効果が上がる。
図11は他の実施形態で、分離促進用突部44が樹脂製の中実状をしたものになっている。仮想線のように肉厚状の中空型をした分離促進用突部44であってもよい。
【0034】
図12は他の実施形態で、半球中実型の分離促進用突部44とし該突部44が浮上用パイプ40とは別体もので止着具98によって脱着可能になったものとしてもよい。突部44は金属でも樹脂でもよい。浮上用パイプ40も金属でも樹脂でもよい。
図13は他の実施形態で、分離促進用突部44が中空型で、浮上用パイプ40も分離促進用突部44も金属および/樹脂の組み合わせでもよい。
図12および図13に示す浮上用パイプ40は、網型あるいは多孔板型にして止着具98の配置変更が自在にできるように構成すれば最も好ましい洗浄作用を発揮する分離促進用突部44の配置を提供することができるようになる。
図14は他の実施形態を示す。前記では外周パイプ受材36が円筒型であったので浮上用パイプ40…を抜き出すのに手間取ったが、外周パイプ受材36を複数本の縦ロッド99の組み合わせからなるようにした。外周パイプ受材36は円周部分が開放状になって操作口となっているので、浮上用パイプ40…を出し入れするのが容易になる。
【0035】
尚、図1でも同様に言えることであるが、エアー供給を中央エアーパイプ101で行うようにしてもよく、この場合、パイプ101にも丸球型の分離促進用突部102…を配備したものにし洗浄効果が一層向上するようにしてもよい。また、中央エアーパイプ101の途中や分離促進用突部102にパイプ101と連通するように開けた噴出孔を通じてエアーを噴出するようにしてもよい。
図15は分離促進用突部44を示すが、浮上用パイプ40…が分割式で上下逆様にもすることができるようになっていると、図15のように分離促進用突部44の下半分が損耗部分となってしまっても浮上用パイプ40を逆様にして入れ替えるだけで上回りであった未損耗部分が図16のように下回りにきて補修や交換などをしなくても下回りは未損耗な新規部分になる。
【0036】
図17は他の実施形態で、分離促進用突部44の他の変形例をみるもので、角錐半切り状をしたものになっている。
図18は他の実施形態で、浮上用パイプ40を展開して示すもので、分離促進用突部44が部分円形板状をしており、またそれら分離促進用突部44…がジグザグ流を起こす配列となっている。図19は分離促進用突部44…が螺旋流を起こすように斜め1列に配列されている。分離促進用突部44は半球型にしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…処理槽 3…コーン部 4…排出口部 11…流入口 13…汚水流入手段 20…浮遊物除去装置 22…水面 30…取付蓋 36…外周パイプ受材 40…浮上用パイプ 44…分離促進用突部 51…主エアーパイプ 58…下端吸込口 59…上端吐出口 70…浮上促進用パイプ 74…下部給水機構 77…下部エアーパイプ 85…中間排水機構。
【要約】      (修正有)
【課題】汚水の洗浄処理装置の提供。
【解決手段】有機固形物および汚砂を含む汚水を受け入れ、沈砂等を沈降させるコーン部3と、沈降物上に汚水を分離させる処理槽1と、内周に分離促進用突部44を有する浮上用パイプ40I〜40IVと、コーン部3に洗浄水を導入可能な下部給水機構74と、コーン3部内に下部給水機構からの供給水を吸込み可能に臨むように配置した浮上促進用パイプ70と、浮上用パイプ40I〜40IV及び/又は浮上促進用パイプ70に接続されたエアーパイプ77と、処理槽1内に連通して接続された中間排水機構と、浮遊物除去装置20と、排出口4に設けた沈降物排出機構80とを有する洗浄処理装置において、浮上用パイプ40は、分離促進用突部44を各複数配備してなるものを一つの単位としその外周りの外周パイプ受材6の内部に上下複数積み重ね式に装備して外周パイプ受材6とともに槽1に対し装脱可能に装備する洗浄処理装置1。
【選択図】図1
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