特許第6283894号(P6283894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283894
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 9/02 20060101AFI20180215BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20180215BHJP
【FI】
   F21S9/02 110
   F21Y103:00
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-208703(P2014-208703)
(22)【出願日】2014年10月10日
(65)【公開番号】特開2016-81588(P2016-81588A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001074
【氏名又は名称】クロイ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷井 武彦
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 幸浩
【審査官】 丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−069804(JP,U)
【文献】 実開昭56−014403(JP,U)
【文献】 特開2000−276915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 9/00 − 9/04
F21S 8/00
F21V 17/00 − 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
光性樹脂板を素材として前記光源の前面に所定の間隔を設けて対向する第1面及び前記光源の上面に対向する第2面を備えた断面がL字状のカバーと、
前記光源と前記第2面との間に配置される不燃部材と、を備え、
前記不燃部材は遮光性板材である照明装置。
【請求項2】
光源と、
透光性樹脂板を素材として前記光源の前面に所定の間隔を設けて対向する第1面及び前記光源の上面に対向する第2面を備えた断面がL字状のカバーと、
前記光源と前記第2面との間に配置される不燃部材と、を備え、
前記不燃部材はガラス板である照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁面に取り付けられる非常灯や誘導灯等の照明装置であって、光源の光を外部の最大3方向に配光する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非常灯/誘導灯等の照明装置は、非常用光源として例えば直管形ランプを備え、光源の光を少なくとも外部の前方に配光するように構成されており、さらに外部の上方又は/及び下方に配光するものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
非常灯では非常用光源の周囲の50mm以内の範囲における可燃材の使用が禁止されている。このため、全体を小型に構成したうえで光源の光を外部の前方及び下方だけでなく上方にも配光する場合には、光源を被覆するカバーの上面に透光性を有するガラスを保持するための枠部を形成する必要がある。一方、光源の光を外部の前方及び下方のみに配光する場合には、カバーの上面は全面を遮光性の金属等で構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−289613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の照明装置では、光源の光を上方に配光するか否かに応じて、光源を被覆するカバーの上面の形状が異なり、外観の異なる2種類のデザインを準備する必要があるため、製造コストが高騰する。また、上方への配光状態の異なる2種類の照明装置を併用する場所にデザイン上の統一感を与えることができない。
【0006】
この発明の目的は、単一の外観で光源の光を上方に配光する場合と上方に配光しない場合との両方に対応することができ、製造コストの低廉化を実現できるとともに、上方への配光状態の異なる2種類の照明装置を併用する場所にデザイン上の統一感を与えることができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の照明器具は、光源、カバー、第1及び第2の不燃部材を備える。カバーは、透光性樹脂板を素材として光源の前面に所定の間隔を設けて対向する第1面及び光源の上面に対向する第2面を備えている。第1の不燃部材は、遮光性板材である。第2の不燃部材は、ガラス板である。第1及び第2の不燃部材は、光源とカバーの第2面との間に択一的に配置される。
【0008】
上方に光源の光を配光するか否かに関わらず、装置の外観における前面及び上面がカバーによって構成される。外観を構成するカバーの内部に光源が位置し、光源の光はカバーの第1面を介して外部の前方に配光される。第1の不燃部材を用いた場合、光源の上方への光は第1の不燃部材に遮光されてカバーの第2面から外部に配光されない。第2の不燃部材を用いた場合、光源の上方への光は第2の不燃部材及びカバーの第2面を介して外部の上方に配光される。この構成を非常灯に使用する場合、カバーの第1面と光源との間の所定の間隔を非常灯技術基準JIL5501に定められた間隔とする必要はあるが、カバーの第2面と光源との間には第1又は第2の不燃部材が位置するため両者の間隔は制限されない。
【0009】
この構成において、第1及び第2の不燃部材は、カバーの第2面に接合されることが好ましい。上下方向の大きさを最小にできる。
【0010】
また、光源及びカバーの側面を被覆する側板を設け、側板を介してカバーと第1又は第2の不燃部材とを固定することが好ましい。構造を簡略化できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、単一の外観デザインで光源の光を上方に配光する場合と上方に配光しない場合との両方に対応することができ、製造コストの低廉化を実現できるとともに、上方への配光状態の異なる2種類の照明装置を併用する場所にデザイン上の統一感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る照明装置の組立図である。
図2】同照明装置のカバー3の組立図である。
図3】(A)及び(B)は、同照明装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、この発明の実施形態に係る照明装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る照明装置10は、非常用光源1、本体2、カバー3、側板4、センサ5を備え、非常灯として使用される。
【0015】
非常用光源1は、一例として直管形ランプであり、長手方向を水平にして本体2の前面側に保持されている。非常用光源1は、必ずしも直管形ランプである必要はなく、例えば長尺状のLEDランプ、又は複数の球状ランプで構成することもできる。本体2は、一例として金属製板材をプレス加工によって非常用光源1よりも長い帯状体に成形されており、両側端にネジ孔21Aが形成された取付部21を備えている。本体2は、前面にリフレクタ22を備え、リフレクタ22との間に図示しない回路部品を備えている。
【0016】
センサ5は、電波の放出等によって人体の近接を感知して検出信号を出力する。照明装置10は、センサ5から検出信号が出力された時に、非常用光源1を駆動する。センサ5は、本体2の下端部の中央部から前方に延出した取付具51の先端に固定されている。
【0017】
カバー3は、単一の透光性樹脂板を素材として、本体2に匹敵する長さにわたって一様のL字状断面に形成されている。カバー3は、単一の透光性樹脂板を折り曲げて構成されているが、複数枚の透光性樹脂板を接合して構成することもできる。カバー3は、一例として垂直面である第1面31及び一例として水平面である第2面32を備えている。第1面の下端部の中央部には、切欠き33が形成されている。
【0018】
側板4は、一例として金属製板材のプレス加工によってカバー3の側端部を外側から被覆する3面の筐体形状に成形されている。側板4には、取付部21のネジ孔21Aに対向する位置に、貫通孔41が形成されている。
【0019】
非常用光源1を本体2に保持させ、且つカバー3の両端部に側板4を取り付けた状態で、カバー3を上方から本体2に被せると、カバー3の第1面31が非常用光源1の前面側に対向し、カバー3の第2面32が非常用光源1の上面側に対向する。また、センサ5が、カバー3の切欠き33に嵌入する。
【0020】
カバー3を透光性樹脂板によって構成することで照明装置10の前面の任意の位置にセンサ5を配置するための任意の形状の切欠きを形成でき、ガラス板を用いる場合のように側板4にセンサを配置する必要がない。なお、センサ5は省略することもでき、この場合にはカバー3に切欠きを形成する必要はない。
【0021】
カバー3による本体2の被覆状態は、側板4の貫通孔41を貫通する固定ネジ7を本体2のネジ孔21Aに螺合させることで維持される。これによって、照明装置10の外観における前面側及び上面側が、カバー3によって一体的に構成される。照明装置10の底面は、開放している。
【0022】
なお、カバー3において、第1面31及び第2面32は、それぞれ非常用光源1の前面側及び上面側に対向することを条件に、必ずしも直交している必要はなく、何れも平面に限るものでもない。
【0023】
図2に示すように、カバー3の第2面32には、両端部にネジ孔32Aが形成されている。不燃部材6は、カバー3の第2面32と同一形状に形成されており、両端部にネジ孔61Aが形成されている。カバー3は、第2面32の内側面に不燃部材6を接合させた後、両端部に側板4が貫通孔42を介してネジ孔32A及びネジ孔61Aを介してネジ止めされる。不燃部材6は、カバー3及び不燃部材6は、側板4に一体的に固定される。不燃部材6は、第2面32との間に間隙を設けて配置することもできるが、第2面32の内側面に接合させることで、照明装置10の高さを最小することができ、構造を最も簡略化できる。
【0024】
なお、カバー3に対する側板4及び不燃部材6の固定は、ネジ止めに限るものではない。また、不燃部材6は、カバー3の内側面に接着剤等を介して貼着することもできる。
【0025】
図3(A)及び(B)に示すように、カバー3を本体2に被せた状態で、第1面31の内側面と非常用光源1との間に所定の間隔D1が形成される。間隔D1は、非常灯技術基準JIL5501に定められた50mmである。一方、第2面32と非常用光源1との間には不燃部材6が配置される。このため、第2面32の内側面と非常用光源1との間隔D2を50mm未満として照明装置10の全高を小さくしても、非常灯技術基準を満たすことができる。
【0026】
不燃部材6は、この発明の第1の不燃部材である遮光性板材6A又は同第2の不燃部材であるガラス板6Bの何れかが択一的に用いられる。
【0027】
図3(A)に示すように、遮光性板材6Aを用いた場合、非常用光源1の光は、照明装置10の下方、及びカバー3の第1面31を経由して照明装置10の前方に配光される。遮光性板材6Aは、例えば金属板である。
【0028】
図3(B)に示すように、ガラス板6Bを用いた場合、非常用光源1の光は、照明装置10の下方及び前方に加えて、ガラス板6B及び第2面32を経由して照明装置10の上方にも配光される。
【0029】
遮光性板材6A及びガラス板6Bは、何れもカバー3の第2面32の内側に配置されるため、照明装置10の外観に影響を与えることがない。また、照明装置10の上方に非常用光源1の光を配光する場合でも、外側面を構成する部材の上面にガラス板6Bを露出して備えるための枠体等の構成を備える必要がない。
【0030】
したがって、照明装置10は、上方に非常用光源1の光を配光するか否かに関わらず、単一の透光性樹脂板によって外観の上面及び前面を構成できるため、製造コストを低廉化できる。また、上方に非常用光源1の光を配光する照明装置10と上方に非常用光源1の光を配光しない照明装置10を同一場所に設置した場合でも、デザイン上の統一感を損なうことがない。
【符号の説明】
【0031】
1−非常用光源
2−本体
3−カバー
4−側板
6−不燃部材
6A−遮光性板材(第1の不燃部材)
6B−ガラス板(第2の不燃部材)
10−照明装置
図1
図2
図3