(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283907
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】耳装着装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20180215BHJP
G04F 5/02 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
H05K5/02 E
G04F5/02 C
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-191257(P2013-191257)
(22)【出願日】2013年9月16日
(65)【公開番号】特開2015-57754(P2015-57754A)
(43)【公開日】2015年3月26日
【審査請求日】2016年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】592161291
【氏名又は名称】株式会社リック
(74)【代理人】
【識別番号】100184310
【弁理士】
【氏名又は名称】横本 幸昌
(72)【発明者】
【氏名】坂本 義明
【審査官】
梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−109943(JP,A)
【文献】
特開2003−029744(JP,A)
【文献】
特開2004−086140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00 − 5/06
G04F 1/00 − 5/16
G10G 1/00 − 7/02
G10H 1/00 − 7/12
H04R 1/10
H01H 1/06 − 1/66
H01H 13/00 − 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳の孔の入口に保持される頭部を有し、前記頭部と反対側にクリップが設けられ、前記クリップとの間に耳を挟み込むことにより耳面上に保持される筐体と、
前記筐体に収容された回路基板と、
前記回路基板に固定して前記回路基板の基板面を横断するように配置され、当該横断する方向の両端がスイッチの電極として機能する共通電極と、
前記回路基板に固定して前記両端の一方に対して接離可能に配置された第1のスイッチ電極と、
前記回路基板に固定して前記両端の他方に対して接離可能に配置された第2のスイッチ電極と、を備えることを特徴とする耳装着装置。
【請求項2】
前記横断する方向は、前記クリップと前記頭部とを結ぶ方向と略直交する方向であることを特徴とする請求項1に記載の耳装着装置。
【請求項3】
前記共通電極は、前記横断する方向の複数位置で前記回路基板に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の耳装着装置。
【請求項4】
前記共通電極は、前記回路基板の基板面から直立していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耳装着装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のスイッチ電極は、前記横断する方向の外側から内側へ向かうスイッチ操作により前記両端に対向する部分が前記横断する方向に移動して前記両端に接触することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耳装着装置。
【請求項6】
前記両端に対応させて前記回路基板に前記横断する方向の凹所が形成され、
前記共通電極は、前記共通電極の両端を前記凹所に位置させていることを特徴とする請求項5に記載の耳装着装置。
【請求項7】
前記回路基板は、毎分拍数を可変のリズム信号を発生するマイコン回路を有し、
前記頭部は、前記マイコン回路に電力を供給する電池を収容していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の耳装着装置。
【請求項8】
前記第1及び第2のスイッチ電極は、前記マイコン回路に対する毎分拍数の設定に用いられ、
前記回路基板は、前記マイコン回路に設定された毎分拍数の数値を表示可能な液晶表示ユニットを有し、
前記共通電極は、前記回路基板上に前記液晶表示ユニットの前記横断する方向の側面に沿って配置されていることを特徴とする請求項7に記載の耳装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を電池保持部材に保持させて機器の筐体へ挿入する電池収納構造、詳しくは電池の一方の面に配置された電極面から回路基板へ電力を取り出す電極端子の構造に関する。
また、本発明は、耳に装着して使用される耳装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池又は二次電池から電力供給を受ける機器は、電池本体を電池保持部材に保持させて筐体へ挿入する電池収納構造を有する場合がある(特許文献1、2)。電池収納構造は、電池本体の表面に配置されたプラスとマイナスの電極にそれぞれ電極端子を接触させて回路基板へ電力を取り出している(特許文献2)。
【0003】
特許文献2の電池収納構造は、電池保持部材に保持したボタン電池の周側面のプラス電極に対してはコイルスプリング状の電極端子をほぼ垂直に突き当てて接触させている。一方、プラス電極の内側に配置された上面のマイナス電極に対しては、ばね性を有する薄板をU字型に折り返した電極端子をほぼ平行に摩擦して接触させている。薄板をV字に折り返して発生させたばね力が、ボタン電池のマイナス電極に電極端子の平坦な電極面を押し当てて接触させている。
また、特許文献2には、耳に装着して使用される耳装着装置が示される。図1に示すように、耳装着装置は、耳の孔の入口に保持される頭部4と反対側にクリップ3を設け、筐体4とクリップ3との間に耳を挟み込むことで耳に装着されている場合がある。そして、図2に示すように、回路基板13の基板面を横断する方向に対向する胴部2の側面に一対のスイッチ(23、24)が設けられている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−129413号公報
【特許文献2】特開2004−14419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献2に示されるように、電池の交換に伴って電池の電極面をほぼ平行に摩擦する電極端子を有する電池収納構造は、長年の使用によって酸化や油分付着やごみ付着が進んだ状態で電池交換を行うと電極端子が接触不良を引き起こす場合がある。
【0006】
本発明は、長年の使用によって酸化や油分付着やごみ付着が進んだ状態で電池交換が行われても接触不良を引き起こし難い電池収納構造、及びリズム発生装置を提供することを目的としている。
また、別の本発明は、回路基板の基板面を横断する方向に対向する胴部の側面に一対のスイッチが設けられている場合に好適なスイッチ構造を有する耳装着装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池収納構造は、筐体と、一方の面に電極面を有する電池を保持して前記一方の面に沿って移動して前記筐体へ収納される電池保持部材と、前記電池の電力で作動する回路を有して前記筐体に付設された回路基板と、前記回路基板に一端側が固定され、前記筐体に収納された前記電池保持部材に保持された前記電池の前記電極面に他端側が当接する端子部材と、を備えるものである。そして、前記端子部材は、前記一端側を起点として前記一方の面に沿った所定方向から当該所定方向の反対方向へ折り返した後に前記他端側がばね力を伴って前記電極面に曲面で当接するように曲線断面の金属弾性線材を曲げて形成される。
また、別の本発明の耳装着装置は、耳の孔の入口に保持される頭部を有し、前記頭部と反対側にクリップが設けられ、前記クリップとの間に耳を挟み込むことにより耳面上に保持される筐体と、前記筐体に収容された回路基板と、前記回路基板に固定して前記回路基板の基板面を横断するように配置され、当該横断する方向の両端がスイッチの電極として機能する共通電極と、前記回路基板に固定して前記両端の一方に対して接離可能に配置された第1のスイッチ電極と、前記回路基板に固定して前記両端の他方に対して接離可能に配置された第2のスイッチ電極と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電池収納構造は、電池保持部材が移動して端子部材の他端側が電池の電極面に摺擦する際に他端側が曲面で電極面に接触するため、弾性変形した弾性金属線材のばね力が小さくても、接触部に比較的大きな圧力が発生する。そのため、局所的に大きな加圧力で電極面と他端部とが密着して電気的な接触が良好に確保される。
【0009】
また、端子部材の他端側は、電池が収納されると電池未収納時の位置から変位し、その変位に相当する弾性力が発生して、他端側と電極面との接触圧力を発生して電気的接触抵抗を減少させる。このため、電池未収納時と電池収納時とにおける端子部材の他端側の位置が同じ位置であり続ければ、電池の電極面に対する接触圧力は一定に再現されて、電気的接触抵抗は問題となりにくい。そして、本発明では、「一端側を起点として所定方向から当該所定方向の反対方向へ折り返した後に他端側がばね力を伴って電極面に当接するように金属弾性線材を曲げて形成している」ので、弾性的な形状回復力が薄板材料を用いて同一の形状に曲げて成形したものよりも大きい。
【0010】
したがって、長年の使用によって酸化や油分付着やごみ付着が進んだ状態で電池交換が行われても接触不良を引き起こし難い電池収納構造、及びリズム発生装置を提供できる。
また、別の本発明の耳装着装置によれば、回路基板の基板面を横断する方向に対向する胴部の側面に一対のスイッチが設けられている場合に好適なスイッチ構造を有する耳装着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】リズム発生装置の組み立て構造の説明図である。
【
図3】ボタン電池の電極に接触する一対の電極端子の説明図である。
【
図4】一対の電極端子とボタン電池の接触状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
(リズム発生装置)
図1は実施例1のリズム発生装置の斜視図である。
図1に示すように、リズム発生装置1は、クリップ3で耳殻(外耳)を挟み込んで、リズム音を発生する円筒状の頭部4を耳の孔の入り口の窪みに沈み込ませるようにして、耳に装着される。頭部4とクリップ3の間を連絡する胴部2にリズム発生回路及び液晶表示ユニット25が収納されている。
図1に示すように、頭部4は、耳の孔の入口に保持される。
【0014】
リズム発生装置1の胴部2のクリップ側背面にスタート/ストップスイッチ21が配置される。リズム発生装置1の胴部2のクリップ側端面に音量切り替えスイッチ22が配置される。リズム発生装置1の胴部2のクリップ側の対向する両側面に一対のリズム設定スイッチ23、24が配置される。
【0015】
リズム発生装置1は、スタートストップスイッチ21を1回押すごとにリズム音を発生する状態とリズム音を発生しない状態とに切り替わる。音量切り替えスイッチ22をスライドさせて、リズム音の音量を二段階に切り替え可能である。
【0016】
リズム発生装置1は、スタートストップスイッチ21を長押しすると、液晶表示ユニット25に現在設定されているリズムの毎分拍数が表示される。液晶表示ユニット25にリズムの毎分拍数が表示された状態でリズム設定スイッチ24を押すと、1回押すごとに表示された毎分拍数が1刻みで増加する。また、リズム設定スイッチ23を押すと、1回押すごとに表示された毎分拍数が1刻みで減少する。このようにして、リズム発生装置1に所望の毎分拍数を設定する。
【0017】
液晶表示ユニット25にリズムの拍子の種類が表示された状態でリズム設定スイッチ24を押すと、1回押すごとに表示されたリズムの種類が一拍子、二拍子、三拍子、四拍子、五拍子、六拍子の順に切り替わる。また、リズム設定スイッチ23を押すと、1回押すごとに表示された毎分拍数が六拍子、五拍子、三拍子、二拍子、一拍子1の順に切り替わる。
マイコン回路として図2に示すマイコン素子26は、毎分拍数を可変のリズム信号を発生する。スイッチ電極23b、24bは、マイコン素子26に対する毎分拍数の設定に用いられる。液晶表示ユニット25は、マイコン素子26に設定された毎分拍数の数値を表示可能である。
【0018】
(内部構造)
図2はリズム発生装置の組み立て構造の説明図である。
図2に示すように、クリップ3は、ピン3pによって下筐体12に回動可能に取り付けられている。クリップ3に設けたばね構造3bによって、クリップ3は、下筐体12との間に耳殻を挟み込む。
クリップ3は、胴部2における頭部4と反対側に設けられている。筐体としての胴部2は、クリップ3との間に耳を挟み込むことにより耳面上に保持される。
【0019】
上筐体11と下筐体12の間にリズム発生装置1のリズム発生回路及び制御回路を構成するマイコン素子26を装備した回路基板13が配置される。回路基板13の上面にリズムの毎分拍数又はリズムの種類を表示するための液晶表示ユニット25が配置される。回路基板13の回路パターン上に、
図1のスタートストップスイッチ21の電極であるドーム接点21bが配置される。ドーム接点21bを押圧する押しボタン21aは、上筐体11に昇降可能に保持される。
【0020】
回路基板13の上面に、
図1のリズム設定スイッチ23、24の電極である共通電極27、及びスイッチ電極23b、24bが固定される。共通電極27の端部27a、27bに対向させてスイッチ電極23b、24bの可動部が配置される。スイッチ電極23b、24bの可動部を外側から押圧する押しボタン23a、24aは、上筐体11に胴部2を横断する方向へ移動可能に保持される。
図2に示すように、回路基板13は、胴部2に収容されている。共通電極27は、回路基板13に固定して回路基板13の基板面を横断するように配置される。共通電極27は、回路基板13の基板面を横断する方向の両端がスイッチの電極として機能する。第1のスイッチ電極としてのスイッチ電極23bは、回路基板13に固定して共通電極27の両端の一方に対して接離可能に配置されている。第2のスイッチ電極としてのスイッチ電極24bは、回路基板13に固定して共通電極27の両端の他方に対して接離可能に配置されている。共通電極27が回路基板13の基板面を横断する方向は、クリップ3と頭部4とを結ぶ方向と略直交する方向である。共通電極27は、回路基板13の基板面を横断する方向の複数位置で回路基板13に固定されている。共通電極27は、回路基板13の基板面から直立している。スイッチ電極23b、24bは、共通電極27が基板面を横断する方向の外側から内側へ向かう方向のリズム設定スイッチ23、34のスイッチ操作により、共通電極27の両端に対向する部分が基板面を横断する方向に移動して共通電極27の両端に接触する。共通電極27の両端に対応させて回路基板13に基板面を横断する方向の凹所が形成されている。共通電極27は、共通電極27の両端を凹所に位置させている。共通電極27は、回路基板13上に液晶表示ユニット25の基板面を横断する方向の側面に沿って配置されている。
【0021】
回路基板13は、胴部2に付設されてボタン電池15から電力供給を受ける。ボタン電池15は、一方の面にマイナス電極15aを有し、それ以外の面にプラス電極15bを有する。回路基板13の下面に電極端子30、40が固定されている。電極端子30は、電池ホルダ14に収容されたボタン電池15の一方の面に配置されたマイナス電極に接触する。電極端子40は、電池ホルダ14に収容されたボタン電池15の円周側面に配置されたプラス電極に接触する。
図2に示すように、頭部4は、マイコン素子26に電力を供給する電池としてのボタン電池15を収容している。
【0022】
ボタン電池の残量が無くなると液晶表示ユニット25の表示が薄くなる。リズム音も発生しなくなる。そのとき、ユーザーは、頭部4から電池ホルダ14を引き出した状態でボタン電池15を新品に交換して、電池ホルダ14を元通りに頭部4へ押し込む。これにより、リズム発生装置1は、ボタン電池15を新品交換されて、元のように使用できるようになる。
【0023】
(電池ホルダ)
図3はボタン電池の電極に接触する一対の電極端子の説明図である。
図4は一対の電極端子とボタン電池の接触状態の説明図である。
図3に示すように、電池保持部材の一例である電池ホルダ14は、ボタン電池15を保持してマイナス電極15aの面に沿った方向へ移動して、
図4に示すように頭部4へ収納される。
図2に示すように、電池ホルダ14は、上筐体11と下筐体12とを複数のネジで固定した状態で、頭部4に、ピン12pによって回動可能に取り付けられている。ピン12pを中心にして電池ホルダ14を外側へ回動させると、頭部4から電池ホルダ14を引き出すことができる。ボタン電池15を新品交換する際には、電池ホルダ14を頭部4の外側へ引き出してボタン電池15を取り出して新品に交換し、電池ホルダ14を元通りに頭部4へ押し込む。
【0024】
図3に示すように、電池ホルダ14に収容されたボタン電池15は、電池ホルダ14の回動に伴って矢印A方向に移動して電極端子30、40に接触する。
図4に示すように、電池ホルダ14が頭部4に収納された状態では、電極端子(V−接片)30は、ボタン電池15の上面に配置されたマイナス電極15aに接触する。電極端子(Vdd接片)40は、ボタン電池15の周面に配置されたプラス電極15bに当接する。
【0025】
電極端子40は、電池を側方から付き当てれば良いため、単純な形状でコイルばねを導入できる。コイルばねは、ボタン電池15に当接する作用点の広範な変位に対して弾性領域を確保でき(小さな荷重変化に対して大きな変位量が得られる)、降伏して塑性変形することがない。このような利点を電極端子30にも応用することが考えられるが、電極端子30は、ボタン電池15のマイナス電極15aを摺擦してスライドするため、単純な形状では実現できない。ボタン電池15の挿入過程でスムーズに電極端子30が乗り上げるためには、1)緩やかな傾斜を有した斜め部35が必要である。また、乗り上げた以降は、2)接触点として曲線部36が必要となる。また、電池を出す時のひっかかりを防止するために、3)逆スロープを有した先端部37が必要となる。そして、4)先端部37、曲線部36、斜め部35をコイル部32に繋げるために逆行部33、折り返し部34が必要となる。このようにして電極端子30の複雑な曲げ形状が誕生した次第である。
【0026】
端子部材の一例である電極端子30は、一端側が回路基板13に固定され、ボタン電池15を保持した電池ホルダ14が頭部4に収納された状態で他端側がマイナス電極15aに当接する。電極端子30は、曲線断面の金属弾性線材を曲げて形成される。
【0027】
コイル部32は、回路基板13に固定された一端側に連続してコイル状に形成される。コイル部32は、曲線部36にマイナス電極15aへ向かうばね力を付与するため、コイル部32をねじり変形させるばね力と、曲線部36の昇降ストロークが追加される。コイル部32は、回路基板13に固定された位置よりも逆行部33側に配置されて回路基板13面に当接して応力分担している。このため、回路基板13に固定された根元位置に応力集中が発生せず、根本部分が曲がって永久変形することがない。
【0028】
逆行部33は、コイル部32に連続して形成されて電池ホルダ14が頭部4へ収納される方向の反対方向へ回路基板13面に沿って配置される。逆行部33の長さを調整することで、回路基板13の任意の位置の上空で曲線部36をマイナス電極15aに当接できる。逆行部33は、その全長にわたって回路基板13面から離間している。このため、コイル部32のねじり変形が逆行部33を昇降させて、曲線部36のマイナス電極15aに対する加圧力を小さく保って曲線部36の昇降ストロークを大きく確保できる。
【0029】
折り返し部34は、逆行部33から電池ホルダ14が頭部4へ収納される方向へ折り返すように形成されて斜め部35に連続する。このため、逆行部33と斜め部35との交差角を変化させるばね力と、曲線部36の昇降ストロークが追加される。斜め部35は、電池ホルダ14が頭部4へ収納される過程で前記一方の面の縁に斜めに当接する。斜め部35は、電池ホルダ14が頭部4へ収納される過程でボタン電池15の端部に斜めに当接して、弾性変形を伴って乗り上げるため、電池ホルダ14の移動に伴う曲線部36のマイナス電極15aへの乗り上げが円滑で不必要な摩擦を生じない。
【0030】
曲線部36は、斜め部35に連続して形成されて電池ホルダ14が頭部4へ収納された状態でマイナス電極15aに当接する。斜め部35が変形してマイナス電極15aに対する姿勢、傾きが変化しても、曲面がマイナス電極15aに接触するので不必要な摩擦を生じない。
【0031】
コイル部32の曲率半径0.85mmよりも折り返し部34の曲率半径1mmが大きい。このため、逆行部33と斜め部35との間隔が柔軟に変化して、曲線部36に電極15aを傷つけるような過剰な圧力を生じない。金属弾性線材は、円形断面で直径0.3mmである。0.7mm以下であるため、小さな加圧力でも大きな面圧力を発生する。小さな面圧力でも円形断面と基板面の当接領域から外側へ異物を押し出す力が大きい。
【0032】
(比較例との対比)
特許文献2の
図2には、ボタン電池を電池ホルダに保持して筐体から引き出し可能に構成したリズム発生装置が示される。特許文献2のリズム発生装置において、ボタン電池の上面のマイナス電極に接触する電極端子を比較例として、
図3に示す実施例の電極端子30と比較する。
【0033】
特許文献2のリズム発生装置は、回路基板に一端を固定して起立させた円形断面の金属弾性線材の電極端子をボタン電池の周面のプラス電極に接触させている。一方、回路基板に一端を固定してU字型に曲げて成形した金属薄板の電極端子をボタン電池の上面のマイナス電極に接触させている。
【0034】
実施例の電極端子30は、曲面をボタン電池のマイナス電極15aに接触させるから、比較例のように平面もしくは円筒面をボタン電池のマイナス電極に接触させる場合よりも小さな加圧力で接触部の当接圧力を高めることができる。実施例の電極端子30では、曲線部36とマイナス電極15aの接触面において接触の中心から周囲へ向かって低くなる圧力分布が形成されるため、接触面の油脂や異物は外へ押し出されて接触を妨げにくい。曲面と平面とが接触する実施例の接触面には、比較例における平板同士の接触面よりも浸透圧によって水や油脂が侵入しにくい。
【0035】
実施例の電極端子30は、比較例の電極端子よりもばね定数が小さく、慣性質量も小さいため、振動や衝撃を受けた際に接触が外れにくい。実施例の電極端子30は、比較例の電極端子よりもばねのストロークが大きいため、塑性変形しにくい。実施例の電極端子30は、円形断面なので体積/表面積が大きく耐久性がある。
【0036】
したがって、実施例のリズム発生装置1は、特許文献2のリズム発生装置よりもボタン電池の上面のマイナス電極と電極端子の接触が確実である。
【0037】
(実施例の効果)
携帯用電子機器の電池及び電極端子は、汗、外気、湿気、体温、塩分等に晒されて接触不良を引き起こし易い。電極がさびていたり、電極に油がついていたりする電池は、そのような携帯用電子機器で使用すると、接触不良で電力を取り出せない場合がある。特に、 高湿度、大気汚染の環境で製造され、保管された電池を使用すると接触不良を引き起こし易い。
【0038】
実施例のリズム発生装置は、このような過酷な使用環境で品質の良くないボタン電池の交換を繰り返した場合でも、電極端子30、40とボタン電池15との接触圧が高く維持されて接触不良を引き起こしにくい。
【0039】
電極面に電極端子を押し付ける形式の電池収納構造では、電極端子に加圧方向の大きな力が作用すると、電極端子が塑性変形してばね力が失われ、電極面に対する電極端子の接触圧が低下することがある。この場合、隙間に水分や油膜が侵入して接触不良を引き起こす場合がある。
【0040】
実施例のリズム発生装置は、ボタン電池15のマイナス電極15aに押されて斜め部35を後退させるように弾性変形した弾性金属線材のばね力が曲線部36の曲線断面をマイナス電極15aの電極面に押し当てる。そのため、局所的に大きな加圧力でマイナス電極15aと曲線部36とが密着して電気的な接触を保つことができる。また、曲面と平面とを接触させるため、電極端子30の摺擦に伴って界面に汚れや油脂を巻き込みにくく、高圧の接触部には水や油脂が侵入しにくい。
【0041】
また、電池ホルダ14の出し入れ、ボタン電池15の交換を繰り返しても塑性変形が発生せず、先端部37が同じ位置に復原する。このため、接触面の摩擦力が増大して電極端子30の塑性変形に至ったり、接触面の加圧力が減少して接触不良に至ったりしにくい。
【0042】
したがって、接触圧が高く維持されて接触不良を引き起こしにくい電池収納構造、及びリズム発生装置を提供できる。
【0043】
<その他の実施例>
本発明は、電池の電極に曲線断面の金属弾性線材を曲げてばね性を持たせて当接させる限りにおいて、実施形態の構成の一部を別の構成で置き換えた別の実施形態でも実施可能である。
【0044】
したがって、電池ホルダは、筐体から回動式に引き出す形態に限らず、スライド式に引き出す形態で実施してもよい。電池収納構造は、耳に装着するリズム装置には限らず、電池はボタン電池に限らない。したがって、本発明は、携帯電話に二次電池を収納する実施形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 リズム発生装置
2 胴部
3 クリップ
4 頭部
11 上筐体
12 下筐体
13 回路基板
14 電池ホルダ
15 ボタン電池
21 スタート/ストップスイッチ
22 音量切り替えスイッチ
23、24 リズム設定スイッチ
25 液晶表示ユニット
26 マイコン回路
27 共通電極
30、40 電極端子
32 コイル部
33 逆行部
34 折り返し部
35 斜め部
36 曲線部