(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283950
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
F24F1/00 401E
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-230931(P2014-230931)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-95075(P2016-95075A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】上田 満雄
【審査官】
石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0160744(US,A1)
【文献】
特開平10−290077(JP,A)
【文献】
特開平11−230569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 1/00
H05K 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吹出口を有する前面板と空気吸込口を有する背面板と左側面板と右側面板と天面板と底面板を有する筐体と、前記筐体内の前記空気吸込口と前記空気吹出口を結ぶ空気通路内に配置された熱交換器およびファン装置と、前記左側面板または前記右側面板のいずれか一方の外面に取り付けられた直方体形状の電装品箱とを備えた空気調和機において、
前記電装品箱は電装品箱本体と電装品箱蓋を有し、
前記電装品箱本体は、前記電装品箱の底面となる底板と前記底板の向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設された前記電装品箱の対向する一方の一対の側面となる一対の本体側板を有し、
前記電装品箱蓋は、前記電装品箱の天面となる天板と前記天板の向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設され前記電装品箱の対向する他方の一対の側面となる一対の蓋側板を有し、
前記天板の前記一対の蓋側板が立設されない向かい合う二辺には前記一対の本体側板のそれぞれを外側からガイドするための一対のガイドフランジが設けられ、
前記一対のガイドフランジの先端には前記ガイドフランジを外側に開く方向に折り曲げて形成された傾斜先端部がそれぞれ設けられ、
前記一対の本体側板のいずれか一方の先端部にはケーブルを挿通するためのケーブル挿通部が設けられ、
前記一対のガイドフランジの一方は、前記電装品箱蓋を前記電装品箱本体に取り付けたとき前記ガイドフランジが前記ケーブル挿通部に被さる部分を切除した切除部が設けられていることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
空気吹出口を有する前面板と空気吸込口を有する背面板と左側面板と右側面板と天面板と底面板を有する筐体と、前記筐体内の前記空気吸込口と前記空気吹出口を結ぶ空気通路内に配置された熱交換器およびファン装置と、前記左側面板または前記右側面板のいずれか一方の外面に取り付けられた直方体形状の電装品箱とを備えた空気調和機において、
前記電装品箱は電装品箱本体と電装品箱蓋を有し、
前記電装品箱本体は、前記電装品箱の底面となる底板と前記底板の向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設された前記電装品箱の対向する一方の一対の側面となる一対の本体側板を有し、
前記電装品箱蓋は、前記電装品箱の天面となる天板と前記天板の向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設され前記電装品箱の対向する他方の一対の側面となる一対の蓋側板を有し、
前記天板の前記一対の蓋側板が立設されない向かい合う二辺には前記一対の本体側板のそれぞれを外側からガイドするための一対のガイドフランジが設けられ、
前記一対のガイドフランジの先端には前記ガイドフランジを外側に開く方向に折り曲げて形成された傾斜先端部がそれぞれ設けられ、
前記一対の本体側板のいずれか一方の先端部にはケーブルを挿通するためのケーブル挿通部が設けられ、
前記一対のガイドフランジは、前記電装品箱蓋を前記電装品箱本体に取り付けたとき前記ガイドフランジが前記ケーブル挿通部に被さる部分を切除した切除部が点対称の位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、
前記ケーブル挿通部は、ケーブル挿通孔と前記ケーブル挿通孔にケーブルを挿通しないとき前記ケーブル挿通孔を塞ぐ閉塞部材を有することを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の空気調和機において、
前記天板の前記一対の蓋側板が設けられている二辺の長さは、対応する前記底板の二辺の長さより前記一対の本体側板のそれぞれの板厚を合計した長さだけ短く形成されていることを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装品箱を有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に従来の空気調和機の室内機を示す。この室内機は、空気吹出口(図示せず)を有する前面板10、空気吸込口21を有する背面板20、左側面板30、右側面板40、天面板(図示せず)、および底面板50で室内機の筐体100が形成され、前面板10の空気吹出口と背面板20の空気吸込口21の間の空気通路内にはファン装置60と熱交換器70が配置されている。詳しくは、前面板10の空気吹出口の内側にはファン装置60が配置され、背面板20の空気吸込口21の内側には熱交換器70が配置されている。そして、左側面板30の外面に直方体形状の電装品箱80Aが取り付けられている。
【0003】
この電装品箱80Aは、左側面板30に面する底部に電子部品を搭載した基板90が取り付けられる金属製の電装品箱箱本体81と、その電装品箱本体81の開口部分を閉じて直方体を形成する金属製の電装品箱蓋83とで構成されている。
【0004】
図7に電装品箱80Aの詳細を示す。電装品箱本体81は、電装品箱80Aの底面となり電気部品が搭載された基板90(
図6で図示)が取り付けられる四角形状の底板81aと、底板81aの向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設された、電装品箱80Aの対向する一方の一対の側面となる一対の本体側板81b,81cを備える。また、その一対の本体側板81b,81cの折り曲げ部の一方の端の相互間と他方の端の相互間には、電装品箱蓋82を取り付けるための一対の取付フランジ81d,81eが設けられている。
【0005】
電装品箱蓋83は、電装品箱80Aの天面となる四角形状の天板83aと、その天板83aの向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設され電装品箱83の対向する他方の一対の側面となる一対の蓋側板83b、83cを有する。また、天板83aの蓋側板83b,83cが形成されていない向かい合う2辺から蓋側板83b,83cと同じ方向に本体側板81b、81cの先端部81b1、81c1の板厚分のスペースS2が形成されるように直角に折り曲げられて形成されたガイドフランジ83d,83eと、蓋側板83bの先端部分を外側に折り曲げて形成した取付フランジ83fと、蓋側板83cの先端部分を外側に折り曲げて形成した取付フランジ83gを備える。
【0006】
そして、電装品箱本体81の一方の本体側板81bには、取付フランジ81dに寄った側に、電装品箱80Aの内部にケーブルを引き込むためのケーブル挿通プレート84が設けられている。また、電装品箱蓋83の一方のガイドフランジ83dには、その電装品箱蓋83を電装品箱本体81に被せる際にそのケーブル挿通プレート83を避けるために切除した切除部83d1が設けられている。なお、電装品箱蓋83の他方のガイドフランジ83eには切除部は形成されず、蓋側板83bから蓋側板83cにわたって設けられている。
【0007】
さて、電装品箱蓋83と電装品箱本体81により直方体形状の電装品箱80Aを組み立てるには、電装品箱本体81の底板81aと本体側板81b,81cにより電装品箱80Aの3面が形成され、電装品箱蓋83の天板83aと蓋側板83b,83cにより電装品箱80Aの残りの3面が形成され、全体で6面の直方体形状となるように、
図8に示すように、電装品箱本体81に電装品箱蓋83を被せる。
【0008】
これにより、
図9に示すように、電装品箱蓋83のガイドフランジ83dの内側に電装品箱本体81の本体側板81bの前端部81b1がはまり込み、電装品箱蓋83のガイドフランジ83eの内側に電装品箱本体81の本体側板81cの前端部81c1がはまり込む。なお、電装品箱蓋83の蓋側板83cの切除部83d1はケーブル挿通プレート84がある部位に位置する。
【0009】
以上により、電装品箱蓋83のガイドフランジ83d,83eのスペースS2内に電装品箱本体81の前端部81b1,81c1が挿入されるので、電装品箱蓋83は電装品箱本体81に仮止めされる。
【0010】
この後は、ねじA1(
図6参照)によって電装品箱蓋83の取付フランジ83fを電装品箱本体81の取付フランジ81dに固着し、ねじA2(
図6参照)によって電装品箱蓋83の取付フランジ83gを電装品箱本体81の取付フランジ81eに固着すれば、電装品箱蓋83で電装品箱本体81の開口部分を覆う取り付けが完了する。
【0011】
以上のようにして電装品箱本体に電装品箱蓋を取り付ける構造については、特許文献1の
図12に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−230569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、以上説明した電装品箱80Aでは、電装品箱蓋83のガイドフランジ83d,83eを電装品箱本体81の本体側板81b、81cに対して正確に位置合わせをしなくてはならないので、電装品箱蓋83を電装品箱本体81に取り付ける作業が困難であった。このため、
図10に示すように、電装品箱蓋83のガイドフランジ83dが電装品箱本体81の本体側板81bの内側に位置したり、
図11に示すように、電装品箱蓋83のガイドフランジ83eが電装品箱本体81の本体側板81cの内側に位置することがあった。
【0014】
これらの場合は、電装品箱本体81に対する電装品箱蓋83の取り付けが不良となり、ねじA1,A2による締め付けができなくなる。また、たとえ、ねじA1,A2による締め付けが可能になるときでも、電装品箱本体81と電装品箱蓋83との間には隙間ができるので、電装品箱80内で電子部品が発火した際に電装品箱の周囲への類焼の恐れが生じる。
【0015】
ところで、電装品箱蓋83は、電装品箱本体81に対して、
図7の姿勢で取り付けるほかに、その姿勢を左右反転させた状態でも取り付け可能にした方が、取付作業がし易くなる。しかし、ケーブル挿通プレート84が電装品箱本体81の本体側板81bに取り付けられている場合には、ガイドフランジ83eが邪魔となり、電装品箱蓋83を
図7の姿勢から左右反転させた姿勢で電装品箱本体81に取り付けることができない。
【0016】
本発明は上記した点にかんがみてなされたもので、その目的は、電装品箱蓋のガイドフランジを電装品箱本体の本体側板に位置合わせする際にこれを正確・簡単に行うことができるようにした電装品箱を備えた空気調和機を提供すること、また、電装品箱蓋を第1の姿勢であるいはその第1の姿勢から左右反転した第2の姿勢でも電装品箱本体に取り付けることができるようにした電装品箱を備えた空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、空気吹出口を有する前面板と空気吸込口を有する背面板と左側面板と右側面板と天面板と底面板を有する筐体と、前記筐体内の前記空気吸込口と前記空気吹出口を結ぶ空気通路内に配置された熱交換器およびファン装置と、前記左側面板または前記右側面板のいずれか一方の外面に取り付けられた直方体形状の電装品箱とを備えた空気調和機において、前記電装品箱は電装品箱本体と電装品箱蓋を有し、前記電装品箱本体は、前記電装品箱の底面となる底板と前記底板の向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設された前記電装品箱の対向する一方の一対の側面となる一対の本体側板を有し、前記電装品箱蓋は、前記電装品箱の天面となる天板と前記天板の向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設され前記電装品箱の対向する他方の一対の側面となる一対の蓋側板を有し、前記天板の前記一対の蓋側板が立設されない向かい合う二辺には前記一対の本体側板のそれぞれを外側からガイドするための一対のガイドフランジが設けられ、前記一対のガイドフランジの先端には前記ガイドフランジを外側に開く方向に折り曲げて形成された傾斜先端部がそれぞれ設けられ
、前記一対の本体側板のいずれか一方の先端部にはケーブルを挿通するためのケーブル挿通部が設けられ、前記一対のガイドフランジの一方は、前記電装品箱蓋を前記電装品箱本体に取り付けたとき前記ガイドフランジが前記ケーブル挿通部に被さる部分を切除した切除部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項2にかかる発明は、空気吹出口を有する前面板と空気吸込口を有する背面板と左側面板と右側面板と天面板と底面板を有する筐体と、前記筐体内の前記空気吸込口と前記空気吹出口を結ぶ空気通路内に配置された熱交換器およびファン装置と、前記左側面板または前記右側面板のいずれか一方の外面に取り付けられた直方体形状の電装品箱とを備えた空気調和機において、前記電装品箱は電装品箱本体と電装品箱蓋を有し、前記電装品箱本体は、前記電装品箱の底面となる底板と前記底板の向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設された前記電装品箱の対向する一方の一対の側面となる一対の本体側板を有し、前記電装品箱蓋は、前記電装品箱の天面となる天板と前記天板の向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設され前記電装品箱の対向する他方の一対の側面となる一対の蓋側板を有し、前記天板の前記一対の蓋側板が立設されない向かい合う二辺には前記一対の本体側板のそれぞれを外側からガイドするための一対のガイドフランジが設けられ、前記一対のガイドフランジの先端には前記ガイドフランジを外側に開く方向に折り曲げて形成された傾斜先端部がそれぞれ設けられ、前記一対の本体側板のいずれか一方の先端部にはケーブルを挿通するためのケーブル挿通部が設けられ、前記一対のガイドフランジは、前記電装品箱蓋を前記電装品箱本体に取り付けたとき前記ガイドフランジが前記ケーブル挿通部に被さる部分を切除した切除部が点対称の位置にそれ
ぞれ設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項3にかかる発明は、請求項1
または請求項2に記載の空気調和機において、前記
ケーブル挿通部は、ケーブル挿通孔と前記ケーブル挿通孔にケーブルを挿通しないとき前記ケーブル挿通孔を塞ぐ閉塞部材を有することを特徴とする。
【0020】
請求項4にかかる発明は、
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の空気調和機において、前記
天板の前記一対の蓋側板が設けられている二辺の長さは、対応する前記底板の二辺の長さより前記一対の本体側板のそれぞれの板厚を合計した長さだけ短く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電装品箱蓋に設けるガイドフランジが傾斜先端部を有するようにしたので、電装品箱本体の側板の先端部に対するそのガイドフランジのガイド可能範囲が広くなり、電装品箱本体に電装品箱蓋を被せる際の作業を正確・簡単に行うことができる。
【0023】
また、電装品箱本体に電装品箱蓋が正しく被せられないときは、ガイドフランジの傾斜先端部によって、電装品箱本体に対して電装品箱蓋が大幅にずれて被さることになるので、電装品箱本体を電装品箱蓋で閉じることは不可能になり、電装品箱蓋を被せる作業が誤っていることを容易に判別することができる。
【0024】
また、第1および第2のガイドフランジは、電装品箱本体のケーブル挿通部に位置する部分を切除した部分を設けることで、電装品箱蓋を電装品箱本体に対して第1の姿勢で取り付けても、あるいはその第1の姿勢から左右反転した第2の姿勢で取り付けても、そのケーブル挿通部を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例の空気調和機の電装品箱の分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施例の空気調和機の電装品箱の分解平面図である。
【
図3】本発明の実施例の空気調和機の電装品箱の電装品箱本体と電装品箱蓋の正常な結合部分の断面図である。
【
図4】本発明の実施例の空気調和機の電装品箱の電装品箱本体と電装品箱蓋の不良な結合部分の断面図である。
【
図5】本発明の別の実施例の空気調和機の電装品箱の電装品箱本体と電装品箱蓋の結合部分の断面図である。
【
図9】従来の電装品箱の電装品箱本体と電装品箱蓋の正常な結合部分の断面図である。
【
図10】従来の電装品箱の電装品箱本体と電装品箱蓋の不良な結合部分の断面図である。
【
図11】従来の電装品箱の電装品箱本体と電装品箱蓋の不良な結合部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を空気調和機の室内機を例にして説明するが、電装品箱以外については従来構成と同じであるので、ここではその説明は省略する。
図1は本発明の1つの実施例の空気調和機の室内機の電装品箱80を示す図である。この電装品箱80は、底部に電子部品を搭載した基板90(
図6参照)が取り付けられる金属製の電装品箱箱本体81と、その電装品箱本体81の開口部分を閉じる金属製の電装品箱蓋82とで構成されている。
【0027】
電装品箱本体81は、電装品箱80Aの底面となり電気部品が搭載された基板90(
図6で図示)が取り付けられる四角形状の底板81aと、底板81aの向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設された電装品箱80Aの対向する一方の一対の側面となる一対の本体側板81b,81cを備える。また、その一対の本体側板81b,81cの折り曲げ部の一方(
図1では上側)の端の相互間と他方(
図1では下側)の端の相互間には、電装品箱蓋82を取り付けるための第1および第2の取付フランジ81d,81eが設けられている。
【0028】
さらに、第1の本体側板81bの先端部81b1には、取付フランジ81dに寄った側に、電装品箱80の内部にケーブルを引き込むためのケーブル挿通部を構成するケーブル挿通プレート84が設けられている。
【0029】
このケーブル挿通プレート84はケーブル挿通孔84aを備え、そのケーブル挿通孔84aには、ケーブル挿通用の例えば+形状の切り込みが中央部に形成されたゴム製のケーブル閉塞部材84bが装着されている。そして、ケーブルが挿通されていないときは、そのケーブル閉塞部材84bによってそのケーブル挿通孔84aが閉じられ、電装品箱80の内部と外部が遮断されるようになっている。
【0030】
電装品箱蓋82は、電装品箱80の天面となる四角形状の天板82aと天板82aの向かい合う二辺から同じ向きに垂直に立設され電装品箱82の対向する他方の一対の側面となる一対の蓋側板82b、82cを有する。また、天板82aの蓋側板82b,82cが形成されていない向かい合う2辺から蓋側板82b,82cと同じ方向に折り曲げられて形成されたガイドフランジ82d,82eと、蓋側板82bの先端部分を外側に折り曲げて形成した取付フランジ82fと、蓋側板82cの先端部分を外側に折り曲げて形成した取付フランジ82gを備える。
【0031】
ガイドフランジ82dは、天板82aの端部82a3から、本体側板81b,81cの先端部81b1,81c1の板厚分のスペースS1が形成されるように直角に天板82aに連続して伸びる第1の底部82d1と、その第1の底部82d1の先端から第1および第2の蓋側板82b,82cと同じ方向に折り曲げられた立上り部82d2と、その立上り部82d2の先端を天板82aの側に対して外側に斜めに折り曲げて形成した傾斜先端部82d3とからなる。そして、ガイドフランジ82dの蓋側板82bに寄った側には、電装品箱蓋82を電装品箱本体81に第1の姿勢(
図1で示す姿勢)で被せる際にそのケーブル挿通プレート84を避けるために切除した切除部82d4が設けられている。この切除部82d4の長さは、ケーブル挿通プレート84の
図1における上下の長さに対応した長さである。
【0032】
ガイドフランジ82eは、天板82aの端部82a4から、本体側板81b,81cの先端部81b1,81c1の板厚分のスペースS1が形成されるように直角に天板82aに連続して伸びる第2の底部82e1と、その第2の底部82e1の先端から第1および第2の蓋側板82b,82cと同じ方向に折り曲げられた立上り部82e2と、その立上り部82e2の先端を天板82aの側に対して外側に斜めに折り曲げて形成した傾斜先端部82e3とからなる。そして、ガイドフランジ82eの蓋側板82cに寄った側には、電装品箱蓋82を電装品箱本体81に前記の第1の姿勢から左右反転させた第2の姿勢で取り付ける際にそのケーブル挿通プレート84を避けるために切除した切除部82e4が設けられている。この切除部82e4の長さは、ケーブル挿通プレート84の
図1における上下の長さに対応した長さである。また、この切除部82e4は、ガイドフランジ82dの切除部82d4とは点対称となった位置に設けられている。
【0033】
なお、電装品箱蓋82の天板82aの一対の蓋側板82b,82cが設けられている二辺のそれぞれの長さL2は、電装品箱本体81の底板81aの本体側板81b,81cが設けられている二辺のそれぞれの長L1さよりも、一対の本体側板81b,81cそれぞれの板厚を合計した長さだけ短く形成されている。
【0034】
さて、
図1に示す第1の姿勢の電装品箱蓋82によって、電装品箱蓋82と電装品箱本体81により直方体形状の電装品箱80を組み立てるには、電装品箱本体81の底板81aと本体側板81b,81cで電装品箱80の3面が形成され、電装品箱蓋82の天板82aと蓋側板82b,82cで電装品箱80の残りの3面が形成されて6面の直方体形状となるように、
図2に示すように、電装品箱本体81に電装品箱蓋82を被せる。
【0035】
これにより、
図3に示すように、電装品箱蓋82のガイドフランジ82dの内側に電装品箱本体81の本体側板81bの先端部81b1がガイドされ、電装品箱蓋82のガイドフランジ82eの内側に電装品箱本体81の本体側板81cの先端部81c1がガイドされる。なお、電装品箱本体81のケーブル挿通プレート84は、ガイドフランジ82dの切除部82d4の部分に位置し、電装品箱本体81に対する電装品箱蓋82の取り付けの邪魔とはならない。
【0036】
このときの電装品箱本体81に電装品箱蓋82を押し込む作業では、電装品箱蓋82のガイドフランジ82d,82eの傾斜先端部82d3,82e3によって、電装品箱本体81の本体側板81b,81cの前端部81b1,81c1が、電装品箱蓋82の立上り部82d2、82e2の間にガイドされる。よって、電装品箱蓋82は、電装品箱本体81の本体側板81b,81cの前端部81b1,81c1に、ガイドフランジ82d,82eの傾斜先端部82d3,82e3が大まかに位置するように合わせてから押し込めばよい。
【0037】
つまり、ガイドフランジ82d,82eには、先端傾斜部82d3,82e3によって広いガイド範囲が形成されるので、従来の場合のようにガイドフランジ83d,83eの間に正確に電装品箱本体81の本体側板81b,81cの前端部81b1,81c1を差し込む必要はなくなり、その作業を正確・簡単に行うことができる。
【0038】
以上により、電装品箱蓋82のガイドフランジ82d,82eの立上り部82d2,82e2の内側に電装品箱本体81の本体側板81b,81cの前端部81b1,81c1が挿入されるので、電装品箱蓋82は電装品箱本体81に仮止めされ、この後は、ねじA1,A2によって電装品箱蓋82を電装品箱本体81に固着すればよい。
【0039】
なお、電装品箱蓋82のガイドフランジ82d,82eが電装品箱本体81の本体側板81c,81dの前端部81c1,81d1から外れて装着された場合は、
図4に示すように、電装品箱蓋82が電装品箱本体81から大幅に外れた場合であるので、電装品箱本体81を電装品箱蓋82で閉じることは不可能になり、電装品箱蓋82を被せる作業の誤りを作業員が判別することができる。
【0040】
また、本実施例の電装品箱蓋82は、ガイドフランジ82eの側についても切除部82e4が形成されているので、この電装品箱蓋82を
図1に示した第1の姿勢から左右反転させた第2の姿勢にした状態でも、ケーブル挿通プレート84の影響を受けることなく、同様に結合して電装品箱本体81を閉じることができる。
【0041】
図5は別の例のガイドフランジ82h,82iを示す図である。このガイドフランジ82h,82iは、天板82aから直接的に斜め外側に折り曲げて傾斜先端部を形成したものであり、前記したガイドフランジ82d,82eと同様に電装品箱本体81を閉じる作業が正確・簡単となる。
【0042】
ただ、この場合は、電装品箱蓋82の電装品箱本体81に対する仮止力が不十分となる場合があるので、このときは、ねじA1,A2によって電装品箱蓋82を電装品箱本体81に固着する際に、電装品箱蓋82を電装品箱本体81に対して手で押し付けておく必要がある。
【符号の説明】
【0043】
10:前面板、20:背面板、30:差側面板、40:右側面板、50:底面板、60:ファン装置、70:熱交換器、80,80A:電装品箱
81:電装品箱本体、81a:底板、81b,81c:本体側板、81b1,81c1:前端部、81d,81e:取付フランジ
82:電装品箱蓋、82a:天板、82b,82c:蓋側板、82d,82e:ガイドフランジ、82d1,82e1:底部、82d2,82e2:立上り部、82d3,92e3:傾斜先端部、82d4,82e4:切除部、82f,82g:取付フランジ、82h,82i:ガイドフランジ
83:電装品箱蓋、83a:天板、83b,83c:蓋側板、83d,83e:ガイドフランジ、83d1:切除部、83f,83g:取付フランジ
84:ケーブル挿通プレート、84a:ケーブル挿通孔、84b:閉塞部材