(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284051
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】光ファイバ温度分布測定システムおよび光ファイバ温度分布測定方法
(51)【国際特許分類】
G01K 11/32 20060101AFI20180215BHJP
G08B 17/06 20060101ALI20180215BHJP
B65G 43/02 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
G01K11/32 B
G08B17/06 H
B65G43/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-34472(P2016-34472)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-150987(P2017-150987A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】志田 秀夫
【審査官】
平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−268533(JP,A)
【文献】
特開平07−296274(JP,A)
【文献】
特開昭63−115660(JP,A)
【文献】
特開平08−004499(JP,A)
【文献】
特開2006−257458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
G08B 17/02−17/12
B65G 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバに光パルスを入射し、戻り光に基づいて空間分解能区間単位の温度分布を測定する光ファイバ温度分布測定システムであって、
ローラ列に沿って敷設される第1光ファイバ部からの戻り光で得られる第1温度分布と、前記第1光ファイバ部よりも前記ローラ列の遠方に前記第1光ファイバ部と並べて敷設される第2光ファイバ部からの戻り光で得られる第2温度分布とに基づいて、対応する空間分解能区間同士の温度差分を算出する温度差分算出部と、
各空間分解能区間について、その空間分解能区間の温度差分と、隣接する空間分解能区間の温度差分との和である評価用温度差分を算出し、算出された評価用温度差分が基準値を超える場合に、その空間分解能区間付近のローラに異常が発生したと判定する異常検出部と
を備えたことを特徴とする光ファイバ温度分布測定システム。
【請求項2】
光ファイバに光パルスを入射し、戻り光に基づいて空間分解能区間単位の温度分布を測定する光ファイバ温度分布測定システムであって、
ローラ列に沿って敷設される光ファイバからの戻り光で得られる第1温度分布と、前記第1温度分布における隣接する空間分解能区間以外の空間分解能区間の温度から算出される第2温度分布とに基づいて、対応する空間分解能区間同士の温度差分を算出する温度差分算出部と、
各空間分解能区間について、その空間分解能区間の温度差分と、隣接する空間分解能区間の温度差分との和である評価用温度差分を算出し、算出された評価用温度差分が基準値を超える場合に、その空間分解能区間に含まれるローラに異常が発生したと判定する異常検出部と
を備えたことを特徴とする光ファイバ温度分布測定システム。
【請求項3】
光ファイバに光パルスを入射し、戻り光に基づいて空間分解能区間単位の温度分布を測定する光ファイバ温度分布測定システムであって、
ローラ列に沿って敷設される第1光ファイバ部からの戻り光で得られる第1温度の温度分布と、前記第1光ファイバ部よりも前記ローラ列の遠方に前記第1光ファイバ部と並べて敷設される第2光ファイバ部からの戻り光で得られる第2温度の温度分布とを算出し、
各空間分解能区間について、その空間分解能区間の第1温度と隣接する空間分解能区間の第1温度との和と、その空間分解能区間の第2温度と隣接する空間分解能区間の第2温度との和との差分である評価用温度差分を算出し、算出された評価用温度差分が基準値を超える場合に、その空間分解能区間付近のローラに異常が発生したと判定するデータ処理部を備えたことを特徴とする光ファイバ温度分布測定システム。
【請求項4】
前記ローラ列は、ベルトコンベアのローラ列であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ温度分布測定システム。
【請求項5】
光ファイバに光パルスを入射し、戻り光に基づいて空間分解能区間単位の温度分布を測定する光ファイバ温度分布測定方法であって、
ローラ列に沿って敷設される第1光ファイバ部からの戻り光で得られる第1温度分布と、前記第1光ファイバ部よりも前記ローラ列の遠方に前記第1光ファイバ部と並べて敷設される第2光ファイバ部からの戻り光で得られる第2温度分布とに基づいて、対応する空間分解能区間同士の温度差分を算出する温度差分算出ステップと、
各空間分解能区間について、その空間分解能区間の第1温度と隣接する空間分解能区間の第1温度との和と、その空間分解能区間の第2温度と隣接する空間分解能区間の第2温度との和との差分である評価用温度差分を算出し、算出された評価用温度差分が基準値を超える場合に、その空間分解能区間付近のローラに異常が発生したと判定する異常検出ステップと
を有することを特徴とする光ファイバ温度分布測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアのローラ異常を検出する光ファイバ温度分布測定システムおよび光ファイバ温度分布測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ温度分布測定器(DTS:Distributed Temperature Sensor)を利用してベルトコンベアの近傍の温度を測定し、ベルトコンベアの火災を検知するシステムが提案されている。
【0003】
ベルトコンベア近傍の温度を測定し、ベルトコンベアの火災を検知することは、初期消火に繋がり非常に有益であるが、ベルトコンベア近傍の温度によって得られる情報は火災発生に限られない。
【0004】
例えば、ベルトコンベアのローラが、不具合や経年劣化等により円滑な回転ができなくなると、摩擦により回転部分の温度が上昇する。このため、ベルトコンベア近傍の温度を測定することでローラの異常を検出することも可能である。ローラの異常は、ベルトコンベアの負荷を増加させることに加え、摩擦による温度上昇が発火要因ともなりかねないため、早期に検出することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−83297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ローラの異常により上昇する温度は、火災発生時に比べて非常に低く、また局所的である。このため、ノイズに埋もれたり、光ファイバ温度分布測定器の空間分解能の制限から測定値に十分表われないおそれがある。
【0007】
ローラ付近で、光ファイバをコイル状に周回させて、ローラ付近に配置される光ファイバの長さを確保したり、ローラを支える金属部分に光ファイバを密着させることで微妙な温度変化を検出することも考えられるが、ローラ毎に対応しなければならないことから、光ファイバ敷設工事の手間がかかり、コストの上昇を招くことになる。
【0008】
そこで、本発明は、簡易な光ファイバ敷設工事でベルトコンベアのローラ異常を簡易に検出可能な光ファイバ温度分布測定システムおよび光ファイバ温度分布測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である光ファイバ温度分布測定システムは、
光ファイバに光パルスを入射し、戻り光に基づいて空間分解能区間単位の温度分布を測定する光ファイバ温度分布測定システムであって、
ローラ列に沿って敷設される第1光ファイバ部からの戻り光で得られる第1温度分布と、前記第1光ファイバ部よりも前記ローラ列の遠方に前記第1光ファイバ部と並べて敷設される第2光ファイバ部からの戻り光で得られる第2温度分布とに基づいて、対応する空間分解能区間同士の温度差分を算出する温度差分算出部と、
各空間分解能区間について、その空間分解能区間の温度差分と、隣接する空間分解能区間の温度差分との和である評価用温度差分を算出し、算出された評価用温度差分が基準値を超える場合に、その空間分解能区間付近のローラに異常が発生したと判定する異常検出部とを備えたことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である光ファイバ温度分布測定システムは、光ファイバに光パルスを入射し、戻り光に基づいて空間分解能区間単位の温度分布を測定する光ファイバ温度分布測定システムであって、
ローラ列に沿って敷設される光ファイバからの戻り光で得られる第1温度分布と、前記第1温度分布における隣接する空間分解能区間以外の空間分解能区間の温度から算出される第2温度分布とに基づいて、対応する空間分解能区間同士の温度差分を算出する温度差分算出部と、
各空間分解能区間について、その空間分解能区間の温度差分と、隣接する空間分解能区間の温度差分との和である評価用温度差分を算出し、算出された評価用温度差分が基準値を超える場合に、その空間分解能区間に含まれるローラに異常が発生したと判定する異常検出部とを備えたことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様である光ファイバ温度分布測定システムは光ファイバに光パルスを入射し、戻り光に基づいて空間分解能区間単位の温度分布を測定する光ファイバ温度分布測定システムであって、ローラ列に沿って敷設される第1光ファイバ部からの戻り光で得られる第1温度の温度分布と、前記第1光ファイバ部よりも前記ローラ列の遠方に前記第1光ファイバ部と並べて敷設される第2光ファイバ部からの戻り光で得られる第2温度の温度分布とを算出し、各空間分解能区間について、その空間分解能区間の第1温度と隣接する空間分解能区間の第1温度との和と、その空間分解能区間の第2温度と隣接する空間分解能区間の第2温度との和との差分である評価用温度差分を算出し、算出された評価用温度差分が基準値を超える場合に、その空間分解能区間付近のローラに異常が発生したと判定するデータ処理部を備えたことを特徴とする。
いずれの態様であっても、前記ローラ列は、ベルトコンベアのローラ列とすることができる。
上記課題を解決するため、本発明の第4の態様である光ファイバ温度分布測定方法は、光ファイバに光パルスを入射し、戻り光に基づいて空間分解能区間単位の温度分布を測定する光ファイバ温度分布測定方法であって、ローラ列に沿って敷設される第1光ファイバ部からの戻り光で得られる第1温度分布と、前記第1光ファイバ部よりも前記ローラ列の遠方に前記第1光ファイバ部と並べて敷設される第2光ファイバ部からの戻り光で得られる第2温度分布とに基づいて、対応する空間分解能区間同士の温度差分を算出する温度差分算出ステップと、各空間分解能区間について、その空間分解能区間の第1温度と隣接する空間分解能区間の第1温度との和と、その空間分解能区間の第2温度と隣接する空間分解能区間の第2温度との和との差分である評価用温度差分を算出し、算出された評価用温度差分が基準値を超える場合に、その空間分解能区間付近のローラに異常が発生したと判定する異常検出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な光ファイバ敷設工事でベルトコンベアのローラ異常を簡易に検出可能な光ファイバ温度分布測定システムおよび光ファイバ温度分布測定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る光ファイバ温度分布測定システムを用いて構成したベルトコンベアのローラ異常検出システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】温度差分と評価用温度差分の算出を説明する図である。
【
図3】隣接する空間分解能区間の足し合わせを説明する図である。
【
図4】光ファイバ温度分布測定システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図5】ローラ異常検出システムの別構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る光ファイバ温度分布測定システム100を用いて構成したベルトコンベアのローラ異常検出システム10の構成を示すブロック図である。
【0013】
本図に示すように、ベルトコンベア310のローラ320の異常を検出する光ファイバ温度分布測定システム100は、光ファイバ温度分布測定部110とデータ処理部120とを備えている。なお、光ファイバ温度分布測定システム100は、ベルトコンベア310のローラ320の異常検出に特に好適であるが、他の用途のローラ列の異常検出に適用することもできる。
【0014】
ここで、ローラ320は、ローラ金属支柱321に保持されており、ベルトコンベア310の搬送方向に、例えば、1m間隔で多数設置され、ローラ列を形成している。回転に異常が生じたローラ320は、ベアリング部やベルトコンベア310との接触部分等が摩擦により温度上昇する。
【0015】
光ファイバ温度分布測定部110は、例えば、光ファイバ温度分布測定器(DTS:Distributed Temperature Sensor)を用いて構成することができる。光ファイバ温度分布測定部110は、仕様として温度検出の長さに関する単位である空間分解能が定められている。空間分解能は、通常1m程度であり、光路長に応じて変化する場合もある。
【0016】
データ処理部120は、温度分布演算部121、温度差分算出部122、異常検出部123を備えており、例えば、光ファイバ温度分布測定器用ツールとして開発されたアプリケーションソフトウェアをインストールしたPC等の情報処理装置を用いて構成することができる。
【0017】
光ファイバ温度分布測定システム100は、光ファイバにパルス光を入射したときに発生する後方散乱光のうち、温度依存性が高いラマン散乱光を用いて温度分布を測定する。ラマン散乱光には、光パルスの波長に対して短い波長側に発生するアンチストークス光と、長い波長側に発生するストークス光があり、その強度比が温度変化に比例して変化する。
【0018】
光ファイバ温度分布測定システム100において、光ファイバ温度分布測定部110とデータ処理部120の温度分布演算部121は、従来と同様の動作を行なう。
【0019】
すなわち、光ファイバ温度分布測定部110は、測定対象物に沿って敷設した光ファイバにパルス光を繰り返し入射し、パルス光に対するストークス光とアンチストークス光の強度の時間変化を測定する。ストークス光とアンチストークス光の強度の時間変化は、光ファイバ経路における後方散乱光発生位置に対応するため、光ファイバ温度分布測定部110の測定結果に基づいて、温度分布演算部121が、測定対象物の温度分布を算出する。
【0020】
本実施形態では、測定対象物であるローラ列に沿って光ファイバ210を敷設するが、
図1に示すように、ローラ列に近い第1光ファイバ部211と、第1光ファイバ部211よりもローラ列から遠い第2光ファイバ部212とが形成されるようにループ状に敷設する。第1光ファイバ部211は、ローラ320の温度を測定し、第2光ファイバ部212は、ローラ320付近の環境温度を測定する機能を担う。第1光ファイバ部211と第2光ファイバ部212とは、各ローラ320からの距離が不均一にならないように、ローラ列と平行に真っ直ぐ敷設する。
【0021】
光ファイバ210は、第1光ファイバ部211がローラ320の温度上昇を検出可能なローラ金属支柱321付近であって、第2光ファイバ部212がローラ320の温度上昇の影響を受けない程度の距離(例えば、20〜30cm)を確保できれば足り、コイル状に周回させたり、ローラ金属支柱321に密着させる必要はない。このため、光ファイバ210を簡易に敷設することができ、敷設工事の手間やコスト上昇を抑えることができる。
【0022】
データ処理部120の温度差分算出部122は、第1光ファイバ部211からの戻り光で得られる第1温度分布と、第2光ファイバ部212からの戻り光で得られる第2温度分布とに基づいて、対応する空間分解能区間同士の温度差分を算出する。
【0023】
ここで、空間分解能区間は、空間分解能で区切られる温度測定区間である。すなわち、空間分解能区間毎に測定温度が得られることになる。また、対応する空間分解能区間とは、並んで敷設された第1光ファイバ部211と第2光ファイバ部212とで、ローラ列方向について同じ位置とみなせる空間分解能区間を意味する。測定結果の温度分布において、ローラ列の両端の位置は、容易に特定することが可能であるため、対応する空間分解能区間も容易に特定することができる。
【0024】
温度差分は、対応する空間分解能区間において、第1光ファイバ部211の測定温度が、第2光ファイバ部212の測定温度よりどの程度高いかを示す値である。対応する空間分解能区間においては、太陽光や風等の周辺環境の影響はほぼ同一であることが想定される。このため、温度差分はローラ320の温度上昇による輻射熱により生じると考えられ、様々な外乱の影響を排除することができる。
【0025】
しかしながら、異常によるローラ320の温度上昇は局所的であり、空間分解能区間で平均化される。このため、温度差分として表われる値は小さくなり、検出が難しい。さらに、設置箇所が空間分解能区間にまたがっているローラ320に異常が生じた場合には、温度上昇分が2つの空間分解能区間に分散されるため、一層温度差分が小さくなり、検出が難しくなる。
【0026】
そこで、異常検出部123は、
図2に示すように、各空間分解能区間について、その空間分解能区間の温度差分と、前後に隣接する空間分解能区間の温度差分との和である評価用温度差分を算出し、算出された評価用温度差分が基準値を超える場合に、その空間分解能区間付近のローラに異常が発生したと判定する。
【0027】
これは、
図3(a)に示すように、特定の空間分解能区間の温度上昇であっても、空間分解能の定義の関係上、その温度上昇分の一部が隣接する空間分解能区間の温度上昇としても現れることに着目したものである。隣接する空間分解能区間に現れる温度上昇は小さいものの、足し合わせることによって実際に温度が上昇した空間分解能区間の温度上昇が強調されることになる。これによって、異常なローラ320に起因する局所的で小さな温度上昇を精度よく検出することが可能となる。
【0028】
また、隣接する空間分解能区間の温度差分を足し合わせることで、
図3(b)に示すように、異常なローラ320が2つの空間分解能区間にまたがって、それぞれの空間分解能区間に温度上昇分が分散している場合にも、合計された温度上昇分で評価を行なうことができる。
【0029】
次に、本実施形態の光ファイバ温度分布測定システム100の動作について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
まず、温度分布演算部121が、第1光ファイバ部211の戻り光に基づいて第1温度分布を演算する(S101)とともに、第2光ファイバ部212の戻り光に基づいて第2温度分布を演算する(S102)。
【0031】
そして、温度差分算出部122が、第1温度分布と第2温度分布とに基づいて、対応する空間分解能区間同士の温度差分を算出する(S103)。
【0032】
温度差分が算出されると、異常検出部123が、各空間分解能区間について、その空間分解能区間の温度差分と、隣接する空間分解能区間の温度差分との和である評価用温度差分を算出する(S104)。
【0033】
そして、算出された評価用温度差分が所定の基準値を超える空間分解能区間があるかどうかを判定し(S105)、ある場合には、その空間分解能区間付近のローラ320に異常が発生したと判定する(S106)。
【0034】
以上の動作により、光ファイバ温度分布測定システム100は、ローラ320の異常を検出することができる。
【0035】
なお、上述の例では、第1光ファイバ部211と第2光ファイバ部212とを1本の光ファイバ210をループ状とすることで構成していた。これにより、第1温度分布と第2温度分布の測定タイミングが共通化され、外乱除去の効果を高めることができるとともに、双方向測定することで耐ノイズ性が向上するが、2本の独立した光ファイバで第1光ファイバ部211と第2光ファイバ部212とを構成してもよい。
【0036】
また、上述の例では、空間分解能区間毎の温度差分を算出して、隣接する空間分解能区間の温度差分を足し合わせて評価用温度差分を算出したが、隣接する空間分解能区間の測定温度を足した後に、空間分解能区間毎の温度差分を算出することで評価用温度差分を算出してもよい。
【0037】
また、周辺の環境温度が安定している場合には、
図5に示すように、第2光ファイバ部212を省いて、第1光ファイバ部211だけで光ファイバ210を構成してもよい。これにより、光ファイバの敷設作業を一層簡略化し、コストを削減することができる。
【0038】
この構成とした場合、空間分解能区間毎の第2温度分布は、隣接する空間分解能区間以外の空間分解能区間の第1温度分布を用いて推定する。例えば、
図6に示すように、前後の2区間離れた空間分解能区間の測定温度の平均値から第2温度分布を推定することができる。もちろん、隣接する空間分解能区間以外であれば、他の空間分解能区間の温度を用いて推定することができる。例えば、前後の一方の空間分解能区間としたり、より多くの空間分解能区間の平均値から第2温度分布を推定したりしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…ローラ異常検出システム、100…光ファイバ温度分布測定システム、110…光ファイバ温度分布測定部、120…データ処理部、121…温度分布演算部、122…温度差分算出部、123…異常検出部、210…光ファイバ、211…第1光ファイバ部、212…第2光ファイバ部、310…ベルトコンベア、320…ローラ、321…ローラ金属支柱