(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[取付体の概要]
本実施の形態に係る取り外し方法は、壁等の被取付体に取り付けられたフック等の取付体を被取付体から容易に取り外す方法であり、本実施形態に係る取付体は、本実施形態に係る取り外し方法に用いることに適した取付体である。
【0018】
取付体としては、被取付体への取り付けが容易であり、取り付け後は十分な強度を有する一方で、取り外し時には容易に取り外すことができることが望まれる。従来の取付体は、被取付体の被取付面(取付体が取り付けられる表面)の法線方向に沿って被取付面から離れる方向に力を加えることや、取付体の外周の一部分を支点として捲り剥がす力を加えることが要求されたり、取付体と被取付面との間の接着部材をカッター等で切り離す必要があった。本発明者は、カッター等の道具を用いずとも、取付体を被取付面から容易に取り外す方法を研究した結果、被取付面に対して取付体を揺動若しくは回転させることが有効であることを見出した。なお、本実施の形態において「揺動」とは、正逆の双方向に揺動(スイングさせる)することを指し、揺動角度が90°を超えない場合をいう。また、「回転」の方向は、正逆いずれの方向であってもよい。「回転」は、正逆いずれか一方向に回転させることを含み、また、正逆の双方向又は一方向に90°以上動かすこと(いわゆる「回動」)も含むものとする。
【0019】
すなわち、本発明者は、取付体と被取付面とが接着部材を介して取り付けられている場合において、被取付面に略平行面上において揺動若しくは回転する力を取付体に加え、当該力が取付体を介して接着部材に伝達されることで、被取付体の被取付面から離れる方向に力を加えなくても取付体を容易に取り外すことができるという知見を得、この知見に基づいて本実施形態に係る取り外し方法、及び取付体を創出した。また、本発明者は、所定の特性を有する接着部材を用いると、本実施形態に係る取り外し方法を更に効果的に用いることができることも見出した。本実施形態に係る取り外し方法によれば、被取付体から取付体を取り外す場合に、被取付体に対して剥離する応力(換言すれば、被取付面の法線方向に沿った力、つまり、捲り剥がす力)が加わることを大幅に低減できる。以下、図面を参照し、本実施形態に係る取付体、及び取り外し方法の詳細を説明する。
【0020】
[取付体1及び取り外し方法の詳細]
図1は、本実施形態に係る取付体の概要の一例を示す。具体的に、
図1(a)は取付体1の正面を示し、
図1(b)は
図1(a)のA−A’断面を示し、
図1(c)は取付体1の裏面を示し、
図1(d)は取付体1の斜視図を示す。また、
図2は、本実施形態に係る取付体、接着部材、及び被取付体の概要の一例、及び取り外し方法の一例を示す。具体的に、
図2(a)は取付体に接着部材を設けた場合の一部断面の概要の一例を示し、
図2(b)は取付体を被取付体に貼り付けた場合の断面の概要の一例を示し、
図2(c)は取付体を被取付体から取り外す方法の一例を示す。
【0021】
取付体1は、壁等の被取付体40の表面40aに取り付けられる。そして、被取付体40に取り付けられる取付体1は、本体10と、本体10に設けられ、取り外しトルクである力が伝達される力伝達部と、本体10の一の面としての裏面10bの少なくとも一部に設けられ、力伝達部を介して本体10から力が伝達される接着部材30が設けられる領域12aとを備える。取付体1は、領域12aと被取付体40の表面40aとが接着部材30を介して貼り合わせられることで被取付体40に取り付けられる(
図2(b)参照。)。
【0022】
なお、取付体1を被取付体40に取り付ける際には、接着部材30の取り外し時の剥離性が良好になることから、接着部材30が一定の厚さを有するように取り付けることが好ましい。接着部材30の厚さは取付体1の種類や用途によって適宜設定すればよいが、剥離性に優れる点から、0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり、0.5mm以上とすることが特に好ましい。また、耐久性の観点から、接着部材30の厚さは3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることが特に好ましい。
【0023】
取付体1は、接着部材30を予め備えることも、別に用意した接着部材30を本体10に取り付けることもできる。また、被取付体40に接着部材30を取り付けた後、接着部材30に取付体1を取り付けてもよい。取付体1が接着部材30によって、被取付体40に取り付けられている場合、本体10を揺動若しくは回転させると、本体10から接着部材30に揺動若しくは回転に基づく力が伝達される。すなわち、接着部材30の重心を支点とし、取付体1の少なくとも一部を力点とし、当該支点を中心として当該力点を揺動若しくは回転させることで、接着部材30の外周の少なくとも一部に揺動若しくは回転による力が作用する。これにより、接着部材30の外周に歪が生じ、当該外周部分において接着部材30の取付体1及び/又は被取付体40からの剥がれが発生し、被取付体40から取付体1が取り外される。ここで、力伝達部は、本体10の外周の少なくとも一部、外周に取り付けられるフック部、及び本体10の平面方向内側に取り付けられるフック部からなる群から選択される少なくとも1つである。そして、取付体1の外周の少なくとも一部、若しくはフック部の少なくとも一部が力点になる。
【0024】
具体的に、
図1(a)に示す取付体1は、本体10と、本体10の表面10aであって本体10の外周より内側に設けられるフック部20とを備える。また、
図1(b)、
図1(c)、及び
図1(d)に示すように、本体10の裏面10bには、少なくともその一部に接着部材30が設けられる領域12aと、複数の突起部12と、表示部14と、複数の支持突起部16とが設けられていてもよい。
【0025】
(本体10)
本体10は、一例として、平板状に形成され、平面視にて略長方形状であり、一方の短辺が所定の曲率を有する円弧状を有して構成される。なお、本体10の平面視における形状は
図1の例に限られず、三角形、四角形、n角形(nは5以上の整数)等の多角形や、円形や楕円形等、又は多角形と円形若しくは楕円形等とを組み合わせた形状にすることもでき、多角形の場合、その外周の一部を面取りすることもできる。また、変形例においては、本体10の表面10aに凹凸を設けてもよい。
【0026】
また、本体10の外周の一部に、表面10aから裏面10b側に向けて角度を有して形成されるテーパー部(図示しない)を設けてもよい。なお、本体10の領域12aに対応する領域に、表面10aから裏面10bを貫通する通気孔(図示しない)を設けてもよい。
【0027】
そして、本体10の表面10aにフック部20が設けられ、裏面10bに複数の突起部12と、表示部14と、複数の支持突起部16とが設けられる。表面10aが被取付体40の被取付面である表面40aに背向する側の面であり、裏面10bが取付体1を取り付ける対象である被取付体40に対向する面に対応する。
【0028】
(領域12a)
図1(c)に示すように、領域12aは、複数の突起部12によって裏面10bの少なくとも一部として規定された領域であり、接着部材30である接着剤組成物が充填されるか、又は接着部材30である両面テープ等が貼付される領域である。更に、取付体1が、複数の突起部12、及び/又は表示部14を備えている場合、領域12aの範囲内に適量の接着剤組成物を充填しやすくなる。つまり、接着部材30として接着剤組成物を用いる場合、表示部14内に接着剤組成物を塗布することで、接着剤組成物を秤量せずに適切な接着強度を得ることができる量の接着剤組成物を領域12aに充填できる(
図2(a)参照。)。
【0029】
なお、接着部材30として接着剤組成物を用いる場合、接着剤組成物を充填する量によっては、領域12aの範囲外に接着剤組成物がはみ出す場合もあるものの、複数の突起部12を本体10は備えているので、複数の突起部12によって接着剤組成物のはみ出し量を低減できる。
【0030】
領域12aが、裏面10bの全面積に対して占める割合は、取付体1の大きさや形状等により適宜設定できる。例えば、領域12aの裏面10bの全面積に対して占める割合は、裏面10bの全面積の1%以上99%以下の範囲内の面積を占有してもよく、取付体1の取り外し性の観点からは、15%以上70%以下の範囲内の面積を占有することが好ましく、25%以上50%以下の範囲内の面積を占有することがより好ましい。
【0031】
領域12aが占有する面積を上記の範囲内にすることで適切な強度で取付体1を被取付体40に取り付けることができる。また、上記の範囲内であれば、接着部材30を用いて取付体1を被取付体40に取り付けた状態において、取付体1を介し、揺動若しくは回転に基づく力を接着部材30に加えることが容易にできる。
【0032】
領域12aが設けられる位置は裏面10bであれば特に限定されない。
図1の例においては、本体10の円弧状を示す短辺の対辺側に偏った位置に領域12aが設けられる。また、本体10からの力を伝達する観点からは、領域12aの形状は平面視にて略円形状であることが好ましいが、形状は略円形状に限られない。例えば、領域12aの平面視における形状は多角形や楕円形等の形状であってもよい。
【0033】
本実施形態で領域12aは、点線で表される線形状を有しているが、図形状(換言すれば、面状)に形成することもできる。領域12aは、使用者による認識のしやすさの観点から、図形状に形成することが好ましい。図形状としては、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、又は星型多角形状等にすることができ、円形状又は多角形状であることが好ましい。領域12aを図形状に規定することにより、使用者が接着部材30を塗布又は貼りつける範囲として認識しやすくなる。また、取付体1において、領域12aを複数の突起部12を裏面10bに配置することにより規定されていない場合、使用者が領域12aを知覚できるように、実線、点線、及び/又は破線等の線分を用いて規定することもできる。なお、
図1(c)において領域12aは点線で表されているが、複数の突起部12により領域12aを規定している限り、実際の取付体1には当該点線及び/又は図形状の領域12aを表示しなくてもよい。
【0034】
(突起部12)
本発明において、接着部材30として接着剤を用いる場合、取付体1が突起部12を有することが好ましい(接着部材30が両面テープ等のテープ状の場合、取付体1は、突起部12を有さなくてもよい。)。複数の突起部12は、裏面10bの予め定められた領域であって、接着部材30が設けられる領域である領域12aを取り囲む位置に所定の間隔で配列される。複数の突起部12の全て若しくは一部は、被取付体40の表面40a(被取付面に該当)に接触してもよい。複数の突起部12の全て若しくは一部が表面40aに接触する場合、本体10の裏面10bと被取付体40の表面40aとの間の距離が突起部12の高さにより規定されるので、領域12aに設けられる接着部材30の厚さを突起部12の高さを規定することで調整できる。よって、接着部材30として接着剤組成物を用いる場合、本体10に複数の突起部12を設けることが好ましい。また、本体に複数の突起部12が設けられている場合、領域12aよりも外側に向かって接着剤組成物が漏れ拡がることを低減できる。
【0035】
また、
図1(c)に示す取付体1は8つの突起部12を備えているが、裏面10bに設けられる突起部12の数は8つに限られず、被取付体40に取付体1が取り付けられる場合に突起部12と被取付体40の表面40aとを略平行に保つことができる数であればよい。したがって、突起部12は、少なくとも2つ以上設けることが好ましく、3つ以上設けることがより好ましい。
【0036】
複数の突起部12の形状は、特に限定されないが、領域12aの中心点(
図1(c)の例では領域12aは平面視にて略円形であるので、当該円の中心が中心点である)に向かって平面を向ける平板状の形状を有し、当該平面に対する側面部分はアール形状を有していることが好ましい。これにより、取付体1を被取付体40に取り付けた場合、及び取付体1を取り外す場合に領域12aを起点として取付体1を回転させた場合において、突起部12が被取付体40に傷を付けることを防止できる。なお、裏面10bに設ける突起部12が2つの場合、突起部12の上記平面に対する側面部分を平坦にすることが好ましい。
【0037】
複数の突起部12の裏面10bから複数の突起部12それぞれの頂部までの高さは、接着部材30の種類等により適宜設定できるが、接着部材30の厚さが所期の厚さになるような高さに設定することが好ましい。複数の突起部12の高さをこの高さにすることで、接着部材30の厚さが薄くなりすぎること、及び厚くなりすぎることを防止でき、接着部材30の接着強度を一定に保持できる。接着部材30が接着剤組成物である場合、突起部12の高さを上記範囲内にすることがより好ましい。
【0038】
また、複数の突起部12は、互いに離間して領域12aを包囲する位置に設けられているので、複数の突起部12それぞれの間から、領域12a内に湿気を導入できる。よって、例えば、接着部材30として湿気硬化型の接着剤組成物を用いた場合、複数の突起部12の間から領域12aに湿気が伝搬されるので、接着部材30を効果的に硬化させることができる。ここで、複数の突起部12は、領域12aの形状に合わせ、領域12aの外周に沿って所定の間隔を空けて設けられる。複数の突起部12の間隔は一定の間隔でもよいし、ランダムな間隔でもよいが、取付体1にかかる力のバランスの観点からは、略等間隔であることが好ましい。
【0039】
なお、本実施の形態において、突起部12を有する場合、突起部12と表示部14とは別々に形成してもよく、また、突起部12は、表示部14の機能を有する突起部12として形成してもよい。
【0040】
(表示部14)
表示部14は、裏面10bに設けられ、接着部材30の塗布又は貼り付け位置、及び接着部材30が接着剤組成物の場合、当該接着剤組成物の充填量の目安を使用者に知覚させる。接着部材30として接着剤組成物を用いる場合、充填量の目安が分かり易いことから、表示部14を裏面10bに設けることが好ましい。表示部14は、接着部材30の塗布若しくは貼付位置を使用者が知覚できる限り、様々な手法で設けることができる。例えば、表示部14は、裏面10bに凸状部や凹状部を形成すること、又は印刷等によって表示することで形成できる。凸状部や凹状部によって表示部14を形成する場合、領域12aの内側を凸状部や凹状部とすることや、表示部14が設けられる領域を包囲する多角形状、楕円状、若しくはリング状の部材を設けることで形成できる。なお、表示部14の形状はこれらに限られず、様々な形状にすることができる。接着部材30として接着剤組成物を用いる場合、取付体1の使用者は、表示部14を指標にして接着剤組成物を充填できることから、接着剤組成物を秤量する手間を省くことができる。なお、使用者が、リング状として表示部14を認識できるように表示部14を設ける場合、表示部14は、1つの溝部又は畝部によって形成されたリングであってもよく、複数の凸状部、又は凹状部によって形成された断続的な形状であってもよい。
【0041】
本発明において突起部12を有する取付体を用いる場合であって、
図1(b)及び
図1(d)に示すように表示部14を凸状部として形成する場合、裏面10bから表示部14の頂部までの高さは、複数の突起部12の高さより低くすることが好ましい。表示部14の高さが、複数の突起部12の高さより低い場合、取付体1を被取付体40に取り付けた場合に、接着部材30を複数の突起部12の近傍にまで伸び拡げることができる。係る効果は接着部材30が接着剤組成物である場合により効果を発揮する。また、表示部14の高さが複数の突起部12の高さより低い場合、表示部14の領域内に外部の湿気が導入されやすくなるので、接着部材30として湿気硬化型の接着剤組成物を用いた場合に接着剤組成物を硬化させやすくなる。
【0042】
また、表示部14を構成する凸状部の外径W
2は、複数の突起部12が包囲して規定される領域12aの直径W
1に応じて適宜設計できる。例えば、複数の突起部12が包囲する領域12aの直径W
1に対し、30%以上60%以下の範囲にすることができ、40%以上60%以下の範囲にすることが好ましい。複数の突起部12が包囲する領域12aの直径に対し、表示部14の外径W
2が30%以上60%以下の範囲内であれば、表示部14を目安にして表示部14に充填された接着部材30の取付体1及び/又は被取付体40に対する接着強度の不足を防止でき、かつ、領域12aの周辺への接着剤組成物の漏出を抑制できる。
【0043】
以上より、表示部14を裏面10bに設けることで、被取付体40に取付体1を取り付ける場合に、使用者が接着剤組成物の量を正確に秤量しなくても、取付体1による物品の保持に十分な取付強度を得ることができると共に、被取付体40から取り外す場合に取付強度が過度に高くなりすぎることを抑制できる。また、突起部12により包囲されて規定される領域12aを中心に接着部材30を塗布又は貼り付けることができるので、領域12aに塗布又は貼り付けた接着部材30の厚さ方向に垂直な方向に沿って、ねじるような応力を加えることができる。
【0044】
(支持突起部16)
支持突起部16は、複数の突起部12とは異なる突起部であって、裏面10bの所定の位置に設けることができる。支持突起部16は、裏面10bの領域12aよりも本体10の外縁に近い位置に設けることができる。支持突起部16は、被取付面である被取付体40の表面40aに取付体1を取り付けた場合に、被取付面に対して取付体1が平行にならない場合に設けることで、領域12aと接着部材30との界面、及び接着部材と被取付体40(具体的には、表面40a)との界面に加わる力を安定させることができる。裏面10bから支持突起部16の頂点までの高さは特に限定されず、取り付けた取付体1の裏面10bを被取付面である表面40aに対して略平行に維持することができる高さに調整すればよい。
【0045】
図1(c)において、支持突起部16は、裏面10bの外周縁部分、及び表面10aに設けられたフック部20の付け根部分が設けられている箇所に対応する裏面10bの一部分、若しくは当該一部分の近傍に設けることができる。なお、平面視の鉛直方向において領域12aが上側、フック部20が下側に配置される位置に取付体1を配置した場合に、支持突起部16は、裏面10bにおいて、フック部20の表面10aにおける重心点よりも下側に設けることがより好ましい。裏面10bにおいて支持突起部16を係る位置に設けることで、例えば、取付体1のフック部20に物品を保持した場合に、取付体1の撓みを防止できる。
【0046】
つまり、裏面10bにおいて支持突起部16を配置する場所としては、被取付体40に取り付けた取付体1のフック部20が物品を保持する場合に、接着部材30の厚さと支持突起部16とによって、裏面10bが被取付面としての表面40aに対して略平行になる位置に配置することがより好ましい。
【0047】
これにより、物品を保持することで取付体1に荷重が加わった場合、裏面10bに設けられた接着部材30の位置と、裏面10bの接着部材30が設けられていない位置とで高さが異なることに起因して取付体1が傾くことを防止できる。その結果、接着部材30と、取付体1又は表面40aとの界面に剥離するような応力が加わることを抑制できる。これにより、取付体1を被取付体40に取り付けて、長期間物品を保持することができる。
【0048】
また、
図1(b)等に示すように、支持突起部16は丸頭状の形状を有することが好ましい。また、支持突起部16の他の形状としては、例えば、アール形状を挙げることができる。これらの形状であることにより、支持突起部16によって被取付体40に傷がつくことを防止できる。
【0049】
(フック部20)
フック部20は、荷物等の物品を保持する部材である。フック部20の形状は、保持する対象として想定される物品の大きさや重量等に応じて適宜設計できる。また、フック部20の表面10aにおける位置は特に限定されず、適宜設計できる。例えば、フック部20は、本体10の外周、又は本体10の内側に設けることができる。なお、取付体1は、取付体1が用いられる状況(例えば、装飾用に取付体1を用いる場合等)によっては、フック部20を備えていなくてもよい。
【0050】
図1の例においては、フック部20の表面10aにおける重心点が、裏面10bの領域12aに対して垂直な軸線上であり、かつ、領域12a内を通過する軸線から離間する位置に設けられる。換言すれば、フック部20は、表面10aにおける重心点が裏面10bの平面に対する平行方向において、領域12aから離間する位置になるように表面10aに形成される。また、
図1に示す取付体1においては、フック部20の先端、フック部20の表面10aにおける重心点、及び領域12aの中心点が、裏面10bに対して垂直な一平面(不図示。フック部20の断面を通る平面。)上に配置されている。これにより、取付体1は、被取付体40に対して領域12aを上側、フック部20を下側に位置する配置で取り付けた場合に、フック部20に物品を掛止めすることができる。
【0051】
また、フック部20は、取付体1を被取付体40から取り外す場合に、力伝達部としての取付体1を掴む立体形状として用いることもできる。これにより、取付体1の使用者は、フック部20を掴んで取付体1を揺動若しくは回転させることで、領域12aに充填された接着部材30に対して揺動若しくは回転に基づく力を効率的に伝達することができる。
【0052】
(取付体1を構成する材料)
取付体1を構成する本体10、突起部12、表示部14、支持突起部16、及びフック部20を構成する材料は特に限定されないが、樹脂材料、金属材料で形成することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、6−ナイロン(登録商標)、及び6,6−ナイロン(登録商標)等のナイロン(登録商標)、並びにポリアセタール(ポリオキシメチレン(POM))、スチレン樹脂、ABS樹脂、及び塩化ビニル樹脂等を用いることができ、これらの樹脂材料の中でも、樹脂材料の成形性、コスト、及び接着剤組成物の離型性の観点から、ポリオレフィン、スチレン樹脂、ABS樹脂を用いることがより好ましい。金属材料としては、例えば、ステンレス、アルミ、及び鉄等を用いることができる。また、取付体1は、例えば、陶器等のセラミックスを用いて形成されていてもよい。取付体1は、樹脂材料、金属材料、及びセラミックス等の材料から選択される互いに異なる2種以上の材料を用いて構成することもできる。
【0053】
特に、取付体1の成形に用いる材料は、塑性変形を起こし難い材料であることが好ましい。すなわち、取付体1を構成する材料として樹脂材料を用いる場合は、剛性を有する樹脂材料(例えば、室温におけるヤング率が0.4GPa以上の樹脂材料)を用いることがより好ましい。剛性を有する樹脂材料を用いる場合、剛性を有さない樹脂材料(軟質塩化ビニル樹脂、中・低密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー(TPE)、ゴム類等)を用いる場合よりも、取付体1のフック部20により保持する物品の重量を増加させることができ、長期間の使用に耐えることができる。なお、樹脂材料を用いて取付体1を形成する場合、一体成型により取付体1を形成することができる。
【0054】
(接着部材30)
接着部材30としては、取付体1を被取付体40に取り付けることが容易であり、取付後、被取付体40から取付体1を容易に取り外すことができ、また、取付体1の取り外し後、取付体1及び被取付体40の双方から容易にきれいに取り除くことができる材料を用いることが好ましい。例えば、接着部材30としては、接着剤(粘着剤を含む)、両面テープ等が好ましい。接着部材30としては、例えば、両面テープや粘着剤等の再剥離性を有する接着剤であることがより好ましい。なお、本実施形態においては、接着部材30が接着剤である場合、接着部材30は、接着剤の硬化物を指す場合もある。本実施形態において、両面テープの基材としては、発泡、非発泡のどちらを用いてもよい。
【0055】
本実施形態においては、取付体1に取り外しトルクである力(回転力)を加え、取付体1から接着部材30に当該力を伝達して取付体1を被取付体40から取り外しやすくする観点から、接着部材30は、50%モジュラス(伸び率が50%である時の引張応力)が5N/mm
2以下であることが好ましく、3N/mm
2以下であることがより好ましい。なお、50%モジュラスが低すぎると接着部材30の耐久力が不足する可能性があるため、50%モジュラスは0.01N/mm
2以上であることが好ましい。
【0056】
なお、モジュラスの測定は、伸び率が50%である時の引張応力を従来公知の方法で適宜測定することができるが、接着部材30が接着剤の場合には、JISK6251に準拠し、3号ダンベル試験片を作製し測定できる。接着部材30が両面テープの場合には、十分に大きい試験片が得られる場合は接着剤の場合と同様に測定すればよく、接着剤の場合と同様に測定することが困難な場合には、少なくとも幅10mm及び標線間距離10mmを確保した試験片を用意し、標線間距離を50%伸張させることで測定することができる。なお、この場合試験片は剥離ライナーを含まない。
【0057】
接着部材30としては、接着部材30の形状が限定されないという観点から、接着剤を用いることが好ましい。また、接着部材30を取り外す際の取り外しやすさの観点から硬化物を手で引っ張った場合に切断されずに伸長する性能を有していることがより好ましい。
【0058】
接着部材30として接着剤(接着剤組成物)を用いる場合、1液硬化型接着剤と2液混合型接着剤とのいずれも用いることができるが、取扱いが容易である観点から1液硬化型接着剤を用いることがより好ましい。1液硬化型の接着剤としては、例えば、湿気硬化型の接着剤組成物が挙げられる。湿気硬化型の接着剤組成物は、取扱いが容易であるという観点からより好ましい。
【0059】
接着剤としては、様々な接着剤組成物を用いることができるが、再剥離性の観点から、例えば、変成シリコーン系接着剤組成物、ウレタン系接着剤組成物、シリコーン系接着剤組成物等を用いることが好ましい。
【0060】
また、接着部材30として接着剤を用いる場合には、接着剤が一定の厚みを保持するように、ガラスビーズ等のスペーサーとなる材料を含有する接着剤を用いたり、接着剤の塗布後にスペーサーを取り付けて用いてもよい。
【0061】
両面テープの基材として用いる発泡体としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、ポリオレフィン系発泡体や、ウレタン系発泡体、アクリル発泡体、ゴム系発泡体等を用いることができる。
【0062】
(被取付体40)
被取付体40としては、壁紙が貼り付けられた壁面、壁紙が貼り付けられていない壁面等、様々な種類の面を挙げることができる。例えば、被取付体40は、エンボス処理が施された塩化ビニル製の壁紙が貼り付けられている壁材が挙げられる。この壁紙は、水性接着剤等によって壁材に貼り付けられている。また、被取付体40としては、硬質な下地材であってもよく、例えば、モルタルや塗装鋼板、硬質プラスチック板、木材等の様々な被取付体が挙げられる。更に、被取付体40としては、コンクリート、ガラス、金属、及び塗装面等により構成される壁面、窓、若しくはディスプレイ、パソコン等の筐体、又は家具等の資材であってもよい。また、被取付体40の被取付面である表面40aには、例えば、凹凸によって模様が設けられていてもよい。
【0063】
(取付体1の取付方法)
本実施形態に係る取付方法は、取付体1の領域12aに接着部材30を塗布又は貼り付け、接着部材30を被取付体40の被取付面としての表面40aに接触させることで、取付体1を被取付体40に取り付ける方法である。以下、一例として、接着部材30として湿気硬化型の接着剤組成物を用いた例を説明する。なお、被取付体40には、エンボス処理が施された塩化ビニル製の壁紙が貼り付けられている例を説明する。
【0064】
まず、取付体1の表示部14の範囲内に、湿気硬化型の接着剤組成物(接着剤組成物)を塗布する(塗布工程。
図2(a)参照。)。次に、取付体1の裏面10b側を被取付体40の表面40aに接触させる(接触工程)。これにより、表示部14に塗布された湿気硬化型の接着剤組成物が押し拡げられ、領域12a内に湿気硬化型の接着剤組成物が充填される。この結果、取付体1が被取付体40に取り付けられる(取付工程。
図2(b)参照。)。なお、接触工程において押し拡げられた接着剤組成物が、領域12aの外側にはみ出すことを妨げるものではない。
【0065】
接着剤組成物を用いて取付体1を被取付体40に取り付けた後、接着剤組成物が十分に硬化する前に、被取付体40から取付体1がズレ落ちることを防止する観点から、接着剤組成物の粘度及び揺変性は高いことが好ましい。なお、接着剤組成物が湿気硬化型である場合、領域12a内に接着剤組成物を十分に拡げる観点から、接着剤組成物の表面に皮膜が形成される前に取付体1を被取付体40へ取り付けることが好ましい。
【0066】
取付体1の領域12aと被取付体40との間に位置する湿気硬化型の接着剤組成物は、湿気によって硬化する。湿気硬化型の接着剤組成物の場合、夏季であれば、半日から1日程度放置すれば硬化させることができ、冬季であっても、1日から2日程度放置すれば硬化させることができる(硬化工程)。接着剤組成物が硬化することで、取付体1は被取付体40に強固に固定される。
【0067】
硬化工程後、取付体1のフック部20に物品を吊るす、引っ掛ける、載せる、挟む等の様々な方法で物品を保持できる。物品としては取付体1が保持できる大きさや重量であれば特に限定されない。例えば、物品としては、カレンダー、鍵、キーホルダー、及び/又は靴べら等の日用品や、台所用品等が挙げられる。
【0068】
(取付体1の取り外し方法)
本実施形態に係る取り外し方法は、取付体1を被取付体40から取り外す取り外し方法であって、被取付体40は、取付体1が取り付けられている被取付面としての表面40aを有し、取付体1は、取付体1の一の面としての裏面10bの少なくとも一部と表面40aとが接着部材30を介して取り付けられている。そして、この場合において取付体1に取り外しトルクである力を取付体1若しくはフック部等の力伝達部を揺動若しくは回転させることで加え、取付体1から接着部材30に当該力を伝達させることで取付体1を被取付体40から取り外す。つまり、接着部材30の重心を支点とし、取付体1の少なくとも一部を力点とし、支点を中心として力点を揺動若しくは回転させることで、接着部材30の外周の少なくとも一部に揺動若しくは回転による力を作用させる。この場合において、支点から接着部材30の外周までの距離、若しくは支点を原点とする極座標系における接着部材の半径が、支点から力点までの距離より短いことが好ましい。例えば、支点から接着部材30の外周までの距離をr
0(なお、接着部材30の正面視における形状が不定形の場合、重心から外周までの距離のうち、最長の距離をr
0としてもよい。)、若しくは支点を原点とする極座標系における接着部材の半径をr
1とし、支点から力点までの距離をRとした場合に、r
0<R若しくはr
1<Rの関係を満たすことが好ましい。これにより、領域12aに充填された接着部材30に対して当該揺動若しくは回転による力を作用させることができるので、取付体1を被取付体40から容易に取り外すことができる。
【0069】
この力は、具体的には以下のように加えることができる。すなわち、取付体1の外周に力を加えることで取付体1全体が揺動若しくは回転する力を加えること(つまり、取付体1が揺動若しくは回転する力であって、被取付面としての表面40aの平行面上で取付体1が揺動若しくは回転する力を、外周の少なくとも一部を力点として加えること)、又は被取付面である表面40aに対して垂直方向(法線方向)であり取付体1、又は接着部材30の中心、若しくは接着部材30の重心を中心軸として取付体1が揺動若しくは回転する力を取付体1に直接若しくは間接的に加えることで、取付体1から接着部材30に力を伝達する。
【0070】
例えば、
図2(c)に示すように、被取付面である表面40a及び/又は領域12aに対して表面40aの法線方向に沿った軸線(図示しない)であって、領域12aを通過する軸線を中心として取付体1を揺動若しくは回転させることにより接着部材30に揺動若しくは回転に基づく力が伝達される。これにより、接着部材30に応力が加わり、被取付体40から取付体1を取り外すことができる。なお、当該軸線は、仮想軸線である。
【0071】
図3は、本実施形態に係る取り外し方法の剥離に要する力に関するパラメータの説明の概要を示す。また、
図4は、せん断歪、及びせん断応力とトルクとの関係を説明する概要図である。すなわち、
図4(a)はせん断歪の説明図であり、
図4(b)はせん断応力とトルクとの関係を示す図である。
【0072】
接着部材30は、取付体1の領域12a及び被取付体40の表面40aに接着している。この状態において取付体1を介して接着部材30に取付体1の揺動若しくは回転に基づく力を加えると、接着部材30の被取付体40に接着している界面と、領域12aに接着している界面との間でねじれが生じる。また、取付体1の回転角度が小さくても、接着部材30の外周部分と外周より内側の部分とでは回転に伴う移動の距離が異なるので、この距離の相違によっても接着部材30内にねじれが生じ得る。その結果、接着部材30内や領域12aと接着部材30との界面、及び/又は接着部材30と表面40aとの界面に生じる応力によって、取付体1を揺動若しくは回転させるだけで、被取付体40から取付体1を容易に取り外すことができると考えられる。
【0073】
具体的に、
図3(a)には、取付体1の長手方向における一方の端(すなわち、取付体1若しくは本体10の下部付近)を力点とし、取付体1を揺動若しくは回転させた場合の例を示す。
図3(a)に示すように、接着部材30の重心が支点80となり、支点80を中心として取付体1が揺動若しくは回転すると、力点の軌跡は円弧若しくは円(以下、「力点円」と称する。
図3(a)の力点円100は、本体10の下部付近を力点とした場合の例である。)を描く。そして、接着部材30に揺動若しくは回転に基づく力が作用すると、せん断歪みは半径に比例して大きくなることから、揺動若しくは回転に伴う移動距離が最も長い部分である接着部材30の外周部分に最大の歪みが発生し、当該外周部分から剥がれが始まる。
【0074】
ここで、取付体1を揺動若しくは回転させた場合における取付体1の被取付体40からの取り外し易さは、r
1/R、G、及び/又はhに応じて判断できる。ただし、G:剛性率(横弾性係数)、h:接着部材の厚さ、r
1:接着部材の拡張半径(ただし、接着部材の正面視における形状が円形以外の他の形状である場合を含む。接着部材の形状が円形以外の他の形状における半径を「拡張半径」と称する。)、R:重心(支点)から力点までの距離(力点円100の半径)である。なお、r
0を、接着部材の正面視における形状が円形の場合の接着部材の半径とする。
【0075】
これらのパラメータによって取付体1の取り外し易さを判定できる理由は以下のとおりである。まず、
図3(d)に概念的に示すように、取付体1を揺動若しくは回転させると、接着部材30には、取付体1の揺動若しくは回転に基づいて発生する力(以下、「ねじりモーメント」と称する。)T
0が作用する。すなわち、被取付体40に取り付けられた取付体1を揺動若しくは回転させた場合に、接着部材30の重心76を中心として、当該中心の軸(被取付体40の表面の法線方向に沿った軸)の周りにねじりモーメントT
0が作用する。ここで、
図3(d)においては、接着部材30を円筒形状としている。
【0076】
この場合において、接着部材30の被取付体40に接する側の反対側のB点がC点に変位したとする。接着部材30にねじりモーメントT
0が作用すると、揺動若しくは回転に伴う移動距離が最も長い部分である接着部材30の外周部分に最大の歪みが発生し、当該外周部分から剥がれが始まるので、接着部材30の半径r
0が大きい場合は、ねじれ角が小さくても剥がれが発生し始める。剥がれが発生し始めた場合、接着部材30の接着している領域の半径は徐々に減少するので、同一の力のままでも連続して剥がれが発生し続ける(ただし、ねじれ角は徐々に増大する。)。なお、剥がれが発生し始めるねじれ角(揺動角度若しくは回転角度)をΦとする。
【0077】
そして、剥がれが発生し始める時の接着部材30の外周部のせん断歪みをγ
rとすると、せん断歪みは以下の式(1)で算出できる。
【0078】
γ
r=BC/AB
=r
0Φ/h
=r
0θ ・・・(1)
【0079】
ただし、r
0:接着部材の半径、h:接着部材の厚さ、θ(=Φ/h):比ねじれ角である。また、
図3(d)に示すように、Aは接着部材30の被取付体40に接している側の外周の1点であり、BはAを通る被取付体40の表面の法線と接着部材30の被取付体40に接している側の反対側の外周との交点であり、Cは接着部材30にねじりモーメントT
0が作用してBが変位した後の位置である。
【0080】
ここで、
図4(a)を参照する。円柱の断面において、中心からrの位置では、せん断変位はB’C’=rψであるから、せん断歪みはγ=B’C’/h=rΦ/h=rθとなる。
【0081】
そして、
図4(b)を参照する。フックの法則より、せん断応力(τ)は、Gを剛性率(横弾性係数)とすると、τ=Gγなので、以下の式(2)で表される。
【0082】
τ=Gγ=G(rΦ/h)=Grθ ・・・(2)
【0083】
なお、剥がれ始め時(ねじれ角がΦの時)の接着部材の外周におけるせん断応力(τ
0)は、以下の式(3)で表される。なお、τ
0は、剥がれ始め時のせん断応力である。
【0084】
τ
0=G
r0θ=Φ
r0(G/h) ・・・(3)
【0085】
次に、断面に働くモーメントを考える。断面において、半径rからr+dr、及び角度φからφ+dφの間にある微小要素の面積をdAとすると、周方向にτdAの力が作用する。この力による微小トルクは、dT=τdA×r=τrdAである。τ=Grθであるから、この微小トルクはdT=Gθr
2dAであり、全断面積について足し合わせて、トルクはT=∫
AdT=Gθ∫
Ar
2dAとなる。この時、断面二次極モーメントをI
p=∫
Ar
2dAで定義する。なお、極座標ではdA=rdrdφより、I
pは以下の式(4)となる。
【0087】
トルクと比ねじれ角との関係はT=GθI
pで与えられる。一方、せん断応力は、τ=Gθr
0で与えられるから、せん断応力とトルクとの関係は以下の式(5)になる。
【0089】
断面が円の場合には断面二次極モーメントはI
p=πR
4/2であるから、トルクTは以下の式(6)で算出される。
【0091】
ここで、取付体1に加えた揺動若しくは回転に基づく力による接着部材30への作用は、トルク(T)であり、取付体1に加える力をfとすると、トルク(T)は、以下の式(7)で算出される。
【0093】
そして、上記式(3)、式(6)、及び式(7)から、以下の式(8)が導き出される。
【0094】
f=Kr
03/R ・・・(8)
ただし、K=τ
0π/2
【0095】
以上より、取付体1を被取付体40から取り外す場合に関与するパラメータとしては、式(8)からr
03/Rが抽出され、式(3)からG及びhが抽出される。ここで、道具等を用いずに取付体1を取り外す観点、及び取付体1のフック部20に物品をかけた場合に取付体1に荷重が加わる観点から、r
03/Rはr
0/Rに置き換えることができる。また、r
0/Rは1未満であることが好ましい観点からも、r
03/Rをr
0/Rに置き換えることができる。すなわち、本実施形態においては、r
0/R、G、及び/又はhを、取付体1の取り外し易さの目安を示すパラメータとして用いることとする。
【0096】
よって、接着部材30の正面視における形状が略円形の場合、接着部材30の半径をr
0とし、力点円の半径をRとすると、r
0/R(以下、「剥離モーメント比」と称する場合がある。)が小さいほど、接着部材30と本体10及び/又は被取付体40の表面40aとの界面において剥がれが生じやすくなる。したがって、r
0<Rの関係を満たすことが好ましい。特に、取付体1を取り外す際に、より力をかけずに取付体1を取り外すことができる観点から、r
0/Rは0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.7以下であることが更に好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。
【0097】
また、本実施形態では、接着部材30として柔軟性を有する硬化物を用いる場合、剛性率Gはヤング率やモジュラス等で代用することもできる。つまり、本実施形態においては、取付体1の取り外し易さの観点からは、接着部材30は、上述したモジュラス、及び/又は厚さを有することが好ましい。
【0098】
図3(b)には、取付体1のフック部20の下部付近を力点とし、取付体1を揺動若しくは回転させた場合の例を示す。
図3(b)の例では、力点円102の半径R
1が、
図3(a)の例に比べて小さい点を除き、
図3(a)の場合と同様である。半径R
1が半径Rより小さいことから、
図3(b)では
図3(a)に比べて取付体1を揺動若しくは回転させる力がより大きくなる。なお、力点円は接着部材30の重心を円の中心とし、力点に外接する外接円である。
【0099】
また、
図3(c)には、取付体1の長手方向における他方の端(すなわち、取付体1若しくは本体10の上部付近)と、取付体1若しくは本体10の下部付近とをそれぞれ力点とし(取付体1若しくは本体10の下部付近の力点を第1の力点、取付体1若しくは本体10の上部付近の力点を第2の力点とする)、取付体1を揺動若しくは回転させた場合の例を示す。
図3(c)の例においては、第1の力点による第1の力点円104の半径をR
2とし、第2の力点による第2の力点円106の半径をR
3とする。この場合において、判定式(1)のRは、以下の式(9)により近似できる点を除き、
図3(a)及び
図3(b)の場合と同様である。なお、取付体1の外周や、フック部の2か所以上の異なる箇所を力点とする場合、一例として、各力点の力点外接円の半径の算術平均値をRとすればよい。
【0100】
R=(R
2+R
3)/2 ・・・(9)
【0101】
接着部材30の被取付体40から遠い側(取付体1に接着している側)において、ねじりモーメントTが接着部材30に作用すると、
図3(d)に示すように、接着部材30のB点がC点に変位する。このねじりモーメントTが大きいほど、取付体1は被取付体40から取り外しやすくなる。
【0102】
これにより、接着部材30と、取付体1及び/又は被取付体40の表面40aとの界面に対して剥離する力が加わることを抑制しつつ、接着部材30にねじるようにせん断応力を加えることができる。このため、取付体1を被取付体40から取り外す場合に、被取付体40に与える影響を小さく抑えることができる。その結果、例えば、被取付体40である壁材に壁紙が貼り付けられていたとしても、取付体1を取付け、その後、取付体1を取り外す場合に、壁材から壁紙が剥離することや壁紙に損傷を与えることを防止できる。よって、被取付体40において、壁紙が浮き上がり、表面40aの外観が損なわれることを防止できる。また、カッター等の道具を用いなくても、取付体1又は被取付体40と、接着部材30との界面にせん断応力を加えることができるので、壁紙の有無に関わらず、様々な壁面に対して強固に取付体1を取り付けた場合であっても、取付体1を容易に取り外すことができる。
【0103】
また、取付体1は、被取付体40の材質によらず、取付体1の外周側面の少なくとも一部、又は取付体1のフック部20を把持し、
図2(c)に示すように、取付体1を被取付体40の表面40aに対して略水平方向に左右に揺動若しくは回転させることによって、取付体1を被取付体40から容易に取り外すことができる。この場合において、取付体1は領域12aを充填する接着部材30を介して被取付体40に取り付けられているので、領域12aを中心として取付体1を左右に揺動若しくは回転させることができる。つまり、取付体1は、裏面10bの領域12aに接着部材30が塗布又は貼り付けられているので、領域12aに位置する接着部材30に対して、領域12aの外側から容易に揺動若しくは回転に基づく力を加えることができ、取付体1を容易に取り外すことができる。
【0104】
[取付体の変形例]
図5は、本実施形態に係る取付体の変形例の概要を示す。具体的に、
図5(a)及び(b)は、取付体1の変形例に係る取付体1aを示し、
図5(c)及び(d)は、取付体1の他の変形例に係る取付体1bを示す。取付体1a及び取付体1bはそれぞれ、取付体1と略同様の機能及び構成を備えているので、相違点を除き、詳細な説明は省略する。なお、
図5の取付体1a及び取付体1bにおいては、表示部14の図示を省略しているが、取付体1a及び取付体1bは表示部14を備えていてもよい。
【0105】
図5(a)及び(b)に示すように、取付体1aは、フック部20が本体10の外周に接続される。フック部20は、本体10の外縁から本体10の外側に向けて延びて構成される。取付体1aにおいては、本体10の表面10aがフック部20に隠されないので、シール等の貼付やメモの記入等に表面10aを活用することができる。取付体1aにおいては、フック部20及び/又は本体10の外周を把持することで、領域12aの中心点を中心として取付体1dを揺動若しくは回転させ、揺動若しくは回転に基づく力を接着部材30に伝達することができる。このため、取付体1aを被取付体40から取り外す場合に剥離する力が被取付体40に加わることを抑制しつつ、取付体1aを壁面から取り外すことができる。
【0106】
図5(c)及び(d)に示すように、取付体1bは、平面視にて略長方形状であり、四隅にアール形状が設けられている本体11とフック部20とを備える。本体11の表面11aの所定の位置にフック部20が設けられ、裏面11bの所定の位置に複数の突起部12及び複数の突起部12により規定される領域12aが設けられる。具体的に、取付体1bは、裏面11bの領域12aに対して垂直であり、領域12aの中心点を通過する軸上に、表面11a上におけるフック部20の重心点(フック部20の付け根部分)が配置されて形成される。
【0107】
取付体1bによれば、使用者は、フック部20、又は取付体1bの端部の側面を把持し、フック部20の付け根部分を中心として取付体1を揺動若しくは回転させることにより、領域12aの中心点を中心として、接着部材30に効率的に力を加えることができる。よって、取付体1bによれば、被取付体40に対して剥離する力が加わることを抑制しつつ、取付体1bを被取付体40から取り外すことができる。
【0108】
なお、
図5(c)及び(d)において、支持突起部16は、裏面11bの複数個所に設けられる。すなわち、支持突起部16は、本体11のアール形状を有する計4箇所の隅それぞれの近傍に配置される。また、
図5(c)及び(d)において、裏面11bの複数の支持突起部16は、複数の突起部12を包囲する位置に設けられる。これにより、領域12aの接着部材30と取付体1又は被取付体40との界面に加わる物品の荷重によって発生する応力を均等化できる。したがって、取付体1bによれば、裏面11bに支持突起部16を備えているので、複数の突起部12により規定されている領域12aの裏面11b内の配置によらず、長期に渡って物品を保持することができる。
【0109】
図5(c)及び(d)に示すように、取付体1bについて、裏面11bの領域12aに対して垂直であり、領域12aの中心点を通過する軸上に、フック部20の付け根部分を配置した場合、取付体1bの重心線(重心点を通過する軸線)が鉛直線上からずれた状態で取付体1bを被取付体40に取り付けた場合であっても、安定した保持力を有し、フックが剥落することを抑制できるため好ましい。
【0110】
[取付体の他の変形例]
図6は、本実施形態に係る取付体の他の変形例の概要を示す。具体的に、
図6(a)及び(b)は、取付体1の変形例に係る取付体1cを示し、
図6(c)及び(d)は、取付体1の他の変形例に係る取付体1dを示し、
図6(e)は、取付体1の更に他の変形例に係る取付体1eを示す。取付体1c〜取付体1eはそれぞれ、取付体1と略同様の機能及び構成を備えているので、相違点を除き、詳細な説明は省略する。なお、
図6の取付体1c〜取付体1eにおいては、表示部14の図示を省略しているが、取付体1c〜取付体1eは表示部14を備えていてもよい。
【0111】
図6(a)及び(b)に示すように、取付体1cは、平面視にて略長方形状であり、四隅にアール形状が設けられている本体13とフック部20とを備える。本体13の表面の所定の位置にフック部20が設けられ、裏面の所定の位置に複数の突起部12及び複数の突起部12により規定される領域12aが設けられる。具体的に、取付体1cは、裏面の領域12aに対して垂直であり、領域12aの中心点を通過する軸から離れた位置(好ましくは、本体13の平面視にて、裏面に設けられている領域12aに対応する本体13の表面の領域から離れた位置)に、本体13の表面上におけるフック部20の重心点(フック部20の付け根部分)が配置されて形成される。例えば、取付体1cが被取付体40に取り付けられた場合において、領域12aの中心点に対してフック部20の本体13の表面における付け根部分が鉛直方向において上側に配置されていてもよい。この場合においても、フック部20又は取付体1cの端部の側面を把持することで、領域12aの中心点を中心として取付体1cを揺動若しくは回転させ、揺動若しくは回転に基づく力を接着部材30に伝達することができる。このため、取付体1cを被取付体40から取り外す場合に剥離する力が被取付体40に加わることを抑制しつつ、取付体1cを壁面から取り外すことができる。
【0112】
なお、取付体1cの変形例においては、領域12aの中心点に対してフック部20の本体13の表面における付け根部分(つまり、フック部20の本体13の表面上における重心点を含む部分)が水平方向において右側又は左側に形成されていてもよい。つまり、取付体1cの表面におけるフック部20の配置は、本体13の裏面の領域12aに充填される接着部材30の位置に限定されない。
【0113】
次に、
図6(c)及び(d)に示すように、取付体1dは、平面視にて略円形状である本体13aと、本体13aに取付部材50によって取り付けられるフック部22とを備える。フック部22は、本体13aの中心を横切る軸線上に配置され、取付部材50によって本体13aに取り付けられる。取付体1dにおいては、フック部22及び/又は本体13aの外周を把持することで、領域12aの中心点を中心として取付体1dを揺動若しくは回転させ、揺動若しくは回転に基づく力を接着部材30に伝達することができる。このため、取付体1dを被取付体40から取り外す場合に剥離する力が被取付体40に加わることを抑制しつつ、取付体1dを壁面から取り外すことができる。
【0114】
図6(e)に示すように、取付体1eは、取付体1dの本体13aの外周の一部に、つまみ部60を備えて構成される。取付体1eにおいては、つまみ部60を把持することで、領域12aの中心点を中心として取付体1eを揺動若しくは回転させ、揺動若しくは回転に基づく力を接着部材30に伝達することができる。このため、取付体1eを被取付体40から取り外す場合に剥離する力が被取付体40に加わることを抑制しつつ、取付体1eを壁面から取り外すことができる。
【0115】
[領域の配置の変形例]
図7は、本実施形態に係る領域の配置の変形例を示す。なお、
図7においては、説明を簡略化するため、本体10と領域とを除き、他の部材の図示は省略する。また、
図7においては、接着部材30が設けられる領域が複数存在する点を除き、取付体1と略同様の機能及び構成を備えるので、相違点を除き、詳細な説明は省略する。
【0116】
本実施形態に係る本体10の変形例においては、複数の突起部12により規定される領域を複数設けることもできる。例えば、
図7(a)に示すように、本体10の裏面10bに2つの領域12bを設けることができる。この場合、一方の領域12bと他方の領域12bとの双方に接着部材30が充填される。そして、本体10を揺動若しくは回転させた場合、一方の領域12bの中心と他方の領域12bの中心との中間点を重心70(回転の中心、つまり支点)として本体10が揺動若しくは回転し、揺動若しくは回転に基づく力が一方の領域12bの接着部材30と他方の領域12bの接着部材30とに伝達される。この場合において、領域12bと領域12bとを含み、領域12bと領域12bとの双方に外接する円を想定した場合、当該円の半径がr
0となる。この場合においても
図3(a)の例と同様にr
0<Rであることが好ましい。
【0117】
図7(b)においては、本体10の裏面10bに3つの領域12cを設けることができる。この場合、3つの領域12cのそれぞれに接着部材30が充填される。そして、3つの領域12cの重心72が揺動若しくは回転の中心(支点)になる。本体10が揺動若しくは回転し、揺動若しくは回転に基づく力が各領域12cの接着部材30に伝達される。この場合において、各領域12cを含み、各領域12cの全て外接する円を想定した場合、当該円の半径がr
0となる。この場合においても
図3(a)の例と同様にr
0<Rであることが好ましい。
【0118】
図7(c)においては、本体10の裏面10bに4つの領域12dを設けることができる。この場合、4つの領域12dのそれぞれに接着部材30が充填される。そして、4つの領域12dの重心74が揺動若しくは回転の中心(支点)になる。本体10が揺動若しくは回転し、揺動若しくは回転に基づく力が各領域12dの接着部材30に伝達される。この場合において、各領域12dを含み、各領域12dの全て外接する円を想定した場合、当該円の半径がr
0となる。この場合においても
図3(a)の例と同様にr
0<Rであることが好ましい。
【0119】
すなわち、本体10の裏面に複数の領域を設け、各領域に接着部材30を充填した場合、複数の領域の重心を中心として本体10は揺動若しくは回転し、当該揺動若しくは回転に基づく力が複数の領域の接着部材30のそれぞれに伝達するので、取付体を被取付体40から取り外す場合に剥離する力が被取付体40に加わることを抑制しつつ、取付体を壁面から取り外すことができる。
【0120】
図8は、本実施形態に係る接着部材の形状の変形例を示す。なお、
図8においては、接着部材32の形状が異なる点を除き、取付体1が備える接着部材30と略同様の機能及び構成を備えるので、相違点を除き、詳細な説明は省略する。
【0121】
図8の例においては、接着部材32の正面視における形状は略長方形状である。この場合において接着部材32の半径を、本実施形態では極座標系における半径r
1(以下、「拡張半径r
1」と称する。r
1は仮想的な半径であり、支点を原点とする極座標系における接着部材32の半径に対応するものとする。)として定義する。すなわち、以下の式(10)で定義するものとする。この場合において、接着部材32の重心78(つまり、支点)を極座標系の原点とする。なお、式(10)のβは以下の式(11)で定義される。
【0124】
なお、f=Kr
13/Rであり、K=τ
1π/2であり、τ
1=Gr
1θ=φr
1(G/h)である。そして、式(11)は、上記式(4)よりβ
4=I
P(一般図形)/I
P(円)の式から導出される。I
p(一般図形)は、接着部材の形状が円を除く他の形状(一般図形)である場合の断面二次極モーメントであり、I
p(円)は、接着部材の形状が円である場合の断面二次極モーメントである。
【0125】
ただし、
図8、式(10)、及び式(11)において、r
1は拡張半径であり、接着部材32の形状が円形でない形状の場合における仮想半径である。そして、r
0は接着部材32の重心78を中心とした外接円の半径であり、(r,θ)は接着部材32の重心を原点とした極座標を示す。βは形状係数(接着部材の形状が円形でない形状の場合においても仮想の半径を半径として用いるための係数)である。
【0126】
拡張半径r
1を取付体の取り外し易さの判断基準の1つであるr
0/Rに代入することで、接着部材の正面視における形状が円形でない場合であっても、取付体の取り外し易さの目安を検討できる。この場合においてもr
1<Rの関係を満たすことで、取付体1は被取付体40から取り外しやすくなる。特に、取付体1を取り外す際に、より力をかけずに取付体1を取り外すことができる観点から、r
1/Rは0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.7以下であることが更に好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。
【0127】
[フック部の変形例]
また、更に別の変形例においては、取付体は、例えば、本体の表面から裏面までを貫通する開口(図示しない)を有しており、フック部は当該開口の内側に付け根部分を有し、当該フック部の先端部が本体の裏面から離れ、本体の表面より突出して形成されていてもよい。また、フック部は、取付体の裏面にその付け根部分を有し、当該フック部の先端部が、本体の裏面から離れ、かつ、本体の表面よりも突出するように形成されていてもよい。つまり、フック部は、その付け根部分が本体の表面及び裏面を除く面に取り付けられて形成されていてもよい。つまり、フック部は、必ずしも本体の表面に付け根部分が形成されていなくてもよい。
【0128】
取付体1を壁掛け用に用いる場合、取付体1のフック部20の配置は様々な配置にすることができる。ここで、壁掛け用の取付体1の領域12aと、表面10aに形成されているフック部20の付け根部分、又は取付体1の端部の側面とは、互いに距離が離れていることが好ましい。これにより、フック部20又は取付体1の端部の側面を把持して、領域12aの接着部材30に加える力をより小さくすることができ、その結果、取付体1を被取付体40から容易に取り外すことができる。ここで、領域12aの中心点と、表面10a上のフック部20の付け根部分、又は取付体1の端部の側面(把持部)とは、例えば、縦40mm×横20mmの長方形型の取付体1の場合には、鉛直方向に20mm以上、好ましくは30mm以上離間していることが好ましい。これにより、壁掛けフックは、フック部20、又は取付体1の端部の側面を把持して、好適に領域12aにねじるような応力を加えることができる。
【0129】
更に、フック部20は、フック形状とは異なる形状にすることもできる。すなわち、フック部20は、使用者が掴むことができる形状であれば特に限定されない。つまり、フック部20は、取付体の本体の表面に、裏面から表面に向かう方向に突出して形成された凸状体であればよい。
【0130】
[取付体の変形例]
取付体としては、フック部を備える形態の他に、フック部のない形態にすることもできる。その場合、本体の外周が力伝達部となる。例えば、取付体としては、タイル、表札、パネル、及びプラスチック製品(CDケース、ペットトイレトレー、フィギュア等の玩具、デコ携帯、デコ手帳、つけ爪等)等であってもよい。
【0131】
<実施の形態の効果>
本実施形態に係る取り外し方法は、取付体に取り外しトルクである力を加え、取付体から接着部材に当該力を伝達することができるので、被取付体の被取付面から離れる方向に力を加えなくても、取付体を人の手で容易に取り外すことができる。また、本実施形態に係る取り外し方法は、接着部材に当該力を伝達することで取付体を被取付体から取り外すので、例えば被取付体が壁紙を有する壁材の場合、壁紙を剥離する方向に力が加わることを防止でき、壁紙が剥がれることによる浮きや破れが生じる可能性を低減できる。
【0132】
そして、本実施形態に係る取付体は、特定の構造を有し、特定の機能を有する接着部材を用いるので、上記取り外し方法に好適に用いることができる。
【実施例】
【0133】
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は例示であり、限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0134】
[実施例1]
(1)接着剤組成物の準備
接着剤組成物として、下記に示される(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体100質量部、(B)シリカとしてのヒュームドシリカ15質量部、及びその他の成分としての硬化触媒1質量部を含有する湿気硬化型の接着剤組成物を調製した。
(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体(製品名:サイリルSAX510、数平均分子量29,000、カネカ社製)
(B)ヒュームドシリカ
疎水シリカ(製品名:アエロジルRY200S、日本アエロジル社製)
(その他の成分)硬化触媒
ジオクチル錫塩と正ケイ酸エチルとの反応生成物(製品名:ネオスタンS−1、日東化成社製)
【0135】
準備した接着剤組成物について、厚さが2mmとなるように塗布し、23℃50%RH環境下で1週間養生し、硬化物を得た。得られた硬化物から3号ダンベル試験片を打ち抜き、JISK6251に準拠して、標線間距離が50%伸長するまで200mm/分で伸長させることで50%モジュラスを測定した。準備した接着剤組成物の硬化物の50%モジュラスは0.05N/mm
2であった。
【0136】
(2)被取付体40(評価板)の準備
被取付体として、縦200mm×横50mmの石膏ボードを準備し、当該石膏ボードにセメダイン木工用(セメダイン株式会社製)を用いて塩化ビニル製壁紙RE−7721(株式会社サンゲツ製)を貼り付け、1日間養生した後、実施例の評価用に用いた。なお、以下に示す、実施例1の評価において、壁面とは、石膏ボードにおける塩化ビニル製壁紙を貼り付けた面を指す。
【0137】
(3)取付体の取付け及び取り外し
取付体として、縦100mm×横25mm×厚さ3mmの各種素材((1)ポリプロピレン、(2)ナイロン66、(3)ABS樹脂、(4)塗装鉄、(5)ガラス、(6)EPDM)により成型された試験片を準備した。また、素材としてポリプロピレンについては、上述した取付体1として突起部12を有するフック(表面10a及び裏面10b共に縦40mm×横25mmの長方形型、突起部12の数:8個、領域12aの直径W
1:23mm、突起部12の高さ:0.8mm)を作製し、各種試験片と同様に試験した。
【0138】
上述した試験片については、当該試験片における裏面10bの長手方向に垂直な一方の端辺から25mmまでの部分において、直径23〜25mmの範囲を領域12aとして規定し、当該領域に拡がるように接着剤組成物を塗布し、壁面に取り付けた。また、ポリプロピレン製のフックについては、突起部12に包囲された領域12aに接着剤組成物を充填し、壁面に取り付けた。なお、壁面へは、指によって取付体の表面10a側から壁面に向かって領域12aに相当する箇所を均等に押圧して取り付けた。
【0139】
壁面に各種取付体を取り付けた後、23℃50%RH環境下で3日間養生した。その後、取付体の側面を掴み、領域12aに充填された接着剤組成物の硬化物を中心として、壁面に沿うようにして左右に揺動させることにより、壁面と接着剤組成物の硬化物との界面にせん断方向の力を加え、各種の取付体を壁面から取り外した。
【0140】
[評価]
実施例1について、取付体を取り外した後の壁面の状態を評価した。
【0141】
(取付体取り外し後の壁面の状態)
取付体を取り外した後の壁面の様子を観察したところ、いずれの取付体も、壁面からきれいに取り外すことができた。また、実施例1において、取付体取り外し後の壁面状態は良好であった。
【0142】
また、実施例1については、道具を用いることなく、フック自身を掴んで揺動若しくは回転させることで、特に力を加えることなく、容易に取付体を取り外すことができた。なお、取付体の取付けに用いた接着部材は、取付体、及び被取付体からきれいに取り除くことができることを確認した。
【0143】
[物品の掛止め性能の評価]
物品の掛止め性能を確認するため、実施例2として、被取付体として塗装鋼板を用いた以外は実施例1と同様の条件で被取付体にポリプロピレン製のフックを取り付け、カレンダー(228g)を16週間掛止めした。フックは被取付体から剥落せず、カレンダーを掛止めした状態を好適に維持することができた。取り付けたフックを実施例1と同様に左右に揺動させて取り外し、取り外した後の壁面についても確認をしたが、原状を維持していることを確認した。
【0144】
併せて、実施例3として、被取付体として、塩化ビニル製壁紙を貼り付けていない石膏ボードを用いた以外は実施例2と同様の評価をしたが、フックは被取付体から剥落せず、カレンダーを掛止めした状態を好適に維持することができた。取り付けたフックを実施例1と同様に左右に揺動させて取り外し、取り外した後の壁面についても確認をしたが、原状を維持していることを確認した。
【0145】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点、及び本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である点に留意すべきである。
【課題】被取付体に取り付けた場合は物品を吊り下げる十分な強度を有すると共に、道具を用いずに被取付体から容易に取り外し可能である取り外し方法、及び取付体を提供する。
【解決手段】取り外し方法は、被取付体40は、取付体1が取り付けられている被取付面を有し、取付体1は、取付体1の一の面の少なくとも一部と被取付面とが接着部材30を介して取り付けられており、接着部材30の重心を支点とし、取付体1の少なくとも一部を力点とし、支点を中心として力点を揺動若しくは回転させることで、接着部材30の外周の少なくとも一部に揺動若しくは回転による力を作用させ、取付体1を被取付体40から取り外す。