(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該切断部は、作業者が操作することで該モータのオン・オフを切り替えるトリガを有する作業用ハンドルと、運搬用ハンドルとをさらに有し、該作業用ハンドルと該運搬用ハンドルは該切断刃の側面と平行な方向に並んで配置され、該電池パック着脱部は、該切断刃の側面と平行な方向において該運搬用ハンドルと該作業用ハンドルとの間に設けられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の切断機。
該切断部を該接触面と平行な摺動方向に摺動可能に支持する摺動支持機構をさらに備え、該一対のレール部は、該切断部が該下死点に位置する場合に、該摺動方向と直交する方向に延びることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の切断機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電動機は、メイン電池(電池パック)の着脱方向が丸鋸刃の側面と平行であったため、メイン電池の着脱の際に切断部がベース部に対して揺動又は平行移動(スライド)することがあり、電池の着脱作業が行い難いものであった。また、メイン電池の着脱が、ベース部に被加工材が載置された状態で行われると、切断部がベース部に対して揺動又は平行移動することにより、被加工材と丸鋸刃とが接触して被加工材が損傷する虞があった。
【0005】
本発明の目的は、電池パック着脱時に切断部が移動することを抑制する切断機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、モータと、該モータを収容するモータハウジングと、該モータの回転により回転し切断刃を着脱可能な出力軸と、該モータの動力源となる電池パックと、該電池パックが着脱可能に係合する一対のレール部を有する電池パック着脱部と、を備える切断部を有し、被加工材を載置可能な接触面を有するベースと、該ベースと該切断部とに接続され、該出力軸と平行な揺動軸を備え、該切断部を上死点と下死点との間で該揺動軸を中心として該切断刃の側面と平行な方向に揺動可能に支持する揺動支持機構と、を有する切断機であって、該一対のレール部は該切断刃の側面と交差する方向に延びることを特徴とする切断機を提供する。
【0007】
上記構成によれば、電池パックの着脱方向は揺動方向と交差する方向であるため、電池パック着脱時において切断部が移動(揺動)し難く、電池パックの着脱作業を行い易くすることができる。また、ベース上に載置した被加工材の損傷を抑制することができる。
【0008】
また、該電池パック着脱部は、該モータハウジングに設けられることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、電池パック着脱部をモータハウジングに設けることで、部品点数の削減及び切断部の小型化を図ることができる。そのため、簡易な構成によって電池パック着脱部を製作及び組立できる。また、電池パック着脱部からモータまでリード線等を配線する際、他ハウジングを介せずに配線できるので構造を簡単にすることができ、組み立ても容易である。
【0010】
また、該モータハウジングは、該モータの回転軸の軸方向に平行な合わせ面によって分割可能な少なくとも2つの分割片から構成され、該一対のレール部の一方と他方はそれぞれ、該少なくとも2つの分割片のうち互いに異なる分割片に設けられることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、電池パックの着脱方向においてレール部を分断せずに製作することが可能である。そのため、レール部の精度が確保され、電池パックの滑らかな着脱が可能となる。
【0012】
また、該電池パック着脱部に設けられ該モータに電気的に接続する接続端子と、をさらに有し、該接続端子は、該少なくとも2つの分割片に挟持されることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、接続端子が少なくとも2つの分割片に挟持されるように組み立てられるため、接続端子をモータハウジングに取付けるための金具等が不要である。これにより、接続端子を確実に保持しつつモータハウジングを容易に組立てることができる。
【0014】
また、該電池パックの残量を表示する電池残量表示部が該少なくとも2つの分割片に挟持されることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、電池残量表示部が少なくとも2つの分割片に挟持されるように組み立てられるため、電池残量表示部をモータハウジングに取付けるための金具等が不要である。これにより、電池残量表示部を確実に保持しつつモータハウジングを容易に組立てることができる。
【0016】
また、該モータは、該モータハウジング内に固定されるステータを有するブラシレスモータであり、該ステータ及び該モータ
を制御する制御回路は、該モータの回転軸の軸方向において該電池パックの全長内に収まるように配置されることが好ましい。
また、該制御回路には、該モータの出力を制御するインバータ回路が設けられることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、各部品が電池パックの全長内に収まるように配置されるため、全幅を抑えた小型の切断機とすることができる。
【0018】
また、該切断部は、作業者が操作することで該モータのオン・オフを切り替えるトリガを有する作業用ハンドルと、運搬用ハンドルとをさらに有し、該作業用ハンドルと該運搬用ハンドルは該切断刃の側面と平行な方向に並んで配置され、該電池パック着脱部は、該切断刃の側面と平行な方向において該運搬用ハンドルと該作業用ハンドルとの間に設けられることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、電池パック着脱部が運搬用ハンドルと作業用ハンドルとの間に設けられることで電池パック着脱部から両ハンドルへの距離が短くなるため、電池パック着脱時においてどちらかのハンドルを握って切断部を安定させることが容易となる。
【0020】
また、該切断部が該下死点に位置するとき、装着された該電池パックは該運搬用ハンドルより下方に位置することが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、切断部を下死点位置に固定した状態(運搬時)において電池パックが運搬用ハンドルより下方に位置するため、運搬時において全高を抑えた小型の切断機とすることができる。
【0022】
また、該切断部を該接触面と平行な摺動方向に摺動可能に支持する摺動支持機構をさらに備え、該一対のレール部は、該切断部が該下死点に位置する場合に、該摺動方向と直交する方向に延びることが好ましい。
【0023】
また、該摺動支持機構は、スライドパイプを有し、該スライドパイプは該切断部を摺動可能に支持することが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、電池パックの着脱方向と摺動方向とが相違する。そのため、電池パック着脱時に切断部が移動(摺動)し難く、電池パックの着脱作業を行い易くすることができる。また、ベース上に載置した被加工材の損傷を抑制することができる。
【0025】
また、該モータと該電池パック着脱部はそれぞれ、該出力軸に対し該出力軸の直交方向上に配置されることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、出力軸の軸方向の寸法を抑えた小型の切断機とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の切断機によれば、電池パック着脱時に切断部が移動することを抑制する切断機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1の実施の形態> 以下、本発明の実施の形態に係る卓上切断機について、
図1乃至
図9に基づいて説明する。
図1に示される切断機の一例である卓上切断機1は、ベース部2と、ベース部2と接続する支持部3と、支持部3に支持される切断部4と、により主に構成されている。切断部4は、ハウジング5と、モータ出力軸61(
図7)を備えるモータ6と、モータ6により駆動される出力軸7と、出力軸7に着脱可能に装着される切断刃8と、電池パック9が着脱可能に装着される電池パック着脱部10(
図2)と、を備えている。支持部3は、本発明の揺動支持機構の一例である。モータ出力軸61は、本発明の回転軸の一例である。
【0030】
図1において、ベース部2に対して切断部4が設けられている側を上方向と定義して、逆を下方向と定義する。
図1における紙面右側を前方と定義し、逆を後方と定義する。
図2に示すように、前方から見た左右方向をそれぞれ右方向、左方向と定義する。以下の説明において、上方向等の方向を言う場合には、完全な上方向のみではなく、略上方向についても含むものとする。
【0031】
切断部4は、ベース部2に対して出力軸7と平行な後述の揺動軸35A(左右方向に延びる軸)を中心に(軸として)揺動可能である。詳細には、切断部4は、
図1に示す切断刃8とベース部2とが最も離間した離間位置と、
図6に示す切断刃8が最も下方に位置する近接位置との間を揺動可能である。離間位置は本発明の上死点の一例であり、近接位置は本発明の下死点の一例である。
【0032】
切断部4は、出力軸7に直交する後述の傾動軸部27A(前後方向に延びる軸)を中心にベース部2に対して傾動可能である。
図2に示すように、前方から見て切断部4は、ベース部2に対して後述の時計回り方向R及び半時計回り方向Lに傾動可能である。
図1に示すように、切断部4は、ベース部2に対してスライド方向S(前後方向)に移動可能である。詳細な構成は後述する。
【0033】
ベース部2は、ベース21と、ベース21上に配置されたターンテーブル22と、ベース21に設けられたフェンス23と、木材Wを固定するためのバイス装置26と、を有する。ベース21及びターンテーブル22の上面は、木材Wを載置する接触面25をなす。ベース21は、
図2に示すように、一対の左ベース21Aと右ベース21Bと、により構成される。
【0034】
図1及び
図2に示すように、ターンテーブル22は、ベース21に対して上下方向に延びる図示せぬ回動軸を中心に回転可能であって、右ベース21Bと左ベース21Aとの間に配置されている。ターンテーブル22は、略円台状のターンテーブル本体部22Aと、ターンテーブル本体部22Aから前方に突出する突出部24と、支持部3を支持するハウジング支持部27と、により構成されている。ターンテーブル22の上面には、図示せぬ溝部が形成されている。図示せぬ溝部は、側面視において切断刃8が下方に揺動してターンテーブル22と交わった際の交線位置と同一位置にあり、切断刃8の刃先が収容されて通過する。
【0035】
突出部24には、ターンテーブル22のベース21に対する回動を規制する規制操作部28が設けられている。規制操作部28は突出部24に支持されるとともに、作業者が把持可能であって突出部24から前方へと延出する把持部28Aと、把持部28Aの回転操作により螺進退して突出部24内において前後方向に移動可能で、ベース21に当接・離間可能な後端面を備えた規制部28Bと、を有する。規制部28Bの後端面がベース21に押圧されることで、ターンテーブル22がベース21に対して固定され、ターンテーブル22のベース21に対する回動が抑制される。
【0036】
バイス装置26は、上下方向に延びるバイスシャフト26Aと、スクリュホルダ26Bと、ノブ26Cとを備えている。バイスシャフト26Aには、スクリュホルダ26Bが上下方向に移動可能に設けられていて、木材Wのサイズに応じて接触面25からの距離を調整可能である。ノブ26Cを操作することにより、バイス装置26で木材Wを固定することができる。
【0037】
図1に示すように、ハウジング支持部27は、ターンテーブル22の図示せぬ回動軸に関して突出部24の反対位置(図示せぬ回動軸回りに180°回転した位置)に配置されている。即ち、ターンテーブル22の後方に配置されている。ハウジング支持部27は、ターンテーブル22の図示せぬ溝部の延長線上に位置し前後方向に延びる傾動軸部27Aと、最後端部から上方へ向けて直立する傾動支持部27Bとを有している。ハウジング支持部27は、本発明の傾斜角調整機構の一例である。
【0038】
図2に示すように、傾動支持部27Bには、前後方向に貫通し傾動軸部27Aを中心とした円弧状の長孔27bが形成されている。長孔27b内には、後述のクランプ31Aが挿入されている。傾動支持部27Bには、直角時の位置決め部材となるセットピン29が前後方向に引出可能に装着されている。切断部4は、セットピン29が挿入されている状態では反時計回り方向Lにのみ傾動可能であり、セットピン29が引出された状態では時計回り方向R及び反時計回り方向Lに傾動可能である。傾動軸部27Aは、本発明の傾斜軸の一例である。
【0039】
フェンス23は、ベース21上であって、ターンテーブル22の上方位置に設けられている。フェンス23は、
図2に示すように、左ベース21A及び右ベース21Bに対応して左フェンス23A及び右フェンス23Bを有し、左フェンス23A及び右フェンス23Bの前面は、互いに同一平面上に位置するように配置されて、木材W(
図1)を位置決めしている。
【0040】
図1及び
図2に示すように、支持部3は、ホルダ31と、スライド支持部33と、揺動支持部35と、スライド部36と、を有する。ホルダ31は、傾動軸部27Aを介してハウジング支持部27に支持されている。ホルダ31には、クランプ31Aが螺合しており、クランプ31Aは、傾動支持部27Bの長孔27b(
図2)に挿入されている。クランプ31Aを締めることにより、ホルダ31が傾動支持部27Bに固定される。つまり、切断部4が、
図2に示す反時計回り方向L及び時計回り方向Rに傾動不能となる。クランプ31Aを緩めることによりホルダ31が傾動軸部27Aを中心に傾動可能になる。つまり、切断部4が、
図2に示す反時計回り方向L及び時計回り方向Rに傾動可能になる。クランプ31Aが長孔27bに挿入されているため、ホルダ31が傾動支持部27Bに対して傾動可能な角度は、クランプ31Aが長孔27b内で移動可能な範囲に限定される。
【0041】
スライド支持部33は、二本のガイドバー33A、33Bを有する。ガイドバー33A、33Bは、いずれも略同形のパイプ状を成し、上下方向に並列してベース部2の上面(接触面25)と平行かつそれぞれの軸方向が前後方向と一致するように、ホルダ31に固定されている。具体的には、これらガイドバー33A、33Bはそれぞれホルダ31に螺合した図示せぬボルトにより、ホルダ31に脱着不能に固定されている。スライド支持部33は、本発明の摺動支持機構の一例である。ガイドバー33A、33Bは、スライドパイプの一例である。
【0042】
ガイドバー33A,33Bの前端部には、連結部材33Cが設けられている。連結部材33Cによってガイドバー33A、33Bが互いに接続されている。具体的には、連結部材33Cには前後方向に延びる二つの孔が形成されており、この孔内にガイドバー33A、33Bの前端部がそれぞれ挿入、固定される。
【0043】
揺動支持部35は、左右方向に延びる揺動軸35Aと、背面視において上下方向に延びる一対の揺動壁部35Bを有し、スライド部36と一体移動するように構成されている。揺動軸35Aは、一対の揺動壁部35Bの間に架設されて切断部4を揺動可能に軸支している。揺動支持部35には図示せぬバネが装着されており、切断部4を近接位置から離間位置に向かう方向に付勢している。
【0044】
図2に示すように、スライド部36には、前後方向に平行に延びる二つの貫通孔が形成され、この貫通孔内にガイドバー33A、33Bがそれぞれ挿入されている。このスライド部36がガイドバー33A、33Bに対してスライドすることにより、揺動支持部35がスライド方向S(前後方向)に移動可能になる。つまり、切断部4がガイドバー33A、33Bに沿ってスライド方向Sに移動可能になる。スライド部36には、螺進してスライド部36内に突出可能な操作ノブ36Aが螺合している。操作ノブ36Aを螺進させ、ガイドバー33Aをスライド部36に押圧させることにより、ガイドバー33A、33Bに対してスライド部36を固定可能である。
【0045】
図1及び
図2に示すように、ハウジング5は、モータハウジング50と、作業用ハンドル53と、運搬用ハンドル54と、ギヤ収容部55と、ソーカバー56と、を有する。モータハウジング50は、モータ6(
図7)を内部に収容するとともに、電池パック着脱部10と、表示部57と、電池パック9と電気的に接続される接続端子58と、が設けられている。表示部57には、卓上切断機1の駆動音を抑えると共に、電池パック9の消費を抑えるために、モータ6の回転数を低速回転で制御するサイレントモードへの切替スイッチ57Aと、電池パック9の電池残量を表示する電池残量表示スイッチ57Bと、が設けられている。表示部57は、モータハウジング50の左端面に配置されている。
図3、
図4、
図7、
図8、
図10、及び
図12においては、切替スイッチ57Aと電池残量表示スイッチ57Bの表示を省略している。
図7及び
図8においては、接続端子58の表示を省略している。
【0046】
図7に示すように、モータハウジング50は、第1モータハウジング51と第2モータハウジング52とから構成される分割式(2つ割り)ハウジングである。第1モータハウジング51及び第2モータハウジング52は、本発明の分割片の一例である。
【0047】
第1モータハウジング51は、第2モータハウジング52と当接する第1合わせ面51Aと、電池パック9と係合可能な第1レール部51Bと、複数の第1ビス穴部51Cと、を備えている。第1モータハウジング51には、第1電極溝51aと、第1表示溝51bと、が形成されている。第1レール部51Bは、モータ出力軸61と平行に延びていて、第2モータハウジング52に向けて突出している。第1電極溝51a及び第1表示溝51bは、モータ出力軸61と直交する方向に窪むように形成されている。複数の第1ビス穴部51Cは、第1合わせ面51Aから突出したボス形状をなすとともに雌ネジが形成され、モータ出力軸61と直交する方向に形成されている。
【0048】
第2モータハウジング52は、第1合わせ面51Aと当接する第2合わせ面52Aと、電池パック9と係合可能な第2レール部52Bと、壁部52Cとを備えている。第2モータハウジング52には、第2電極溝52aと、第2表示溝52bと、複数の第2ビス穴52cと、が形成されている。第1合わせ面51Aと第2合わせ面52Aとは、モータ出力軸61と平行に延びる平面上で当接される構造をしている。つまり、モータ出力軸61に直交する方向から見て、第1合わせ面51A、第2合わせ面52Aとモータ出力軸61とは平行である。実施の形態の構造では、第1合わせ面51Aと第2合わせ面52Aとを含む平面上に、モータ出力軸61が位置される構造をしている。第2レール部52Bは、モータ出力軸61と平行に延び、第1モータハウジング51に向けて突出している。第1合わせ面51A及び第2合わせ面52Aは、本発明の合わせ面の一例である。第1レール部51B及び第2レール部52Bは、本発明のレール部の一例である。
【0049】
壁部52Cは、モータ出力軸61を回転可能に支承している。第1モータハウジング51にも図示せぬ壁部が設けられており、図示せぬ壁部と壁部52Cとが当接することにより、モータ6が収容される空間が区画される。第2電極溝52a及び第2表示溝52bは、モータ出力軸61と直交する方向に窪むように形成される。モータ6と、表示部57と、接続端子58と、を内部に配置した状態で第1モータハウジング51と第2モータハウジング52とを結合すると、第1電極溝51a及び第2電極溝52aによって接続端子58が挟持され、第1表示溝51b及び第2表示溝52bによって表示部57が挟持される。複数の第2ビス穴52cは、第1ビス穴部51Cのボスを受入可能に構成され、第2モータハウジング52をモータ出力軸61と直交する方向に貫通している。
【0050】
第1モータハウジング51と第2モータハウジング52とを結合すると、第1レール部51B及び第2レール部52Bがそれぞれモータ出力軸61と平行に延び、電池パック着脱部10がモータハウジング50に形成される。第1モータハウジング51と第2モータハウジング52とは、図示せぬビスが対応する第2ビス穴52cを貫通して第1ビス穴部51Cの雌ネジと螺合することにより互いに固定されている。図示せぬビスは、第2モータハウジング52側から第1モータハウジング51側に向けて挿入される。これによって、第1ビス穴部51C及び第2ビス穴52cは略下方に向かって開口するため、それぞれの穴に粉塵等が堆積することを防止できる。
【0051】
電池パック着脱部10及びモータ6は、出力軸7に対して出力軸7と直交する方向に配置されている。換言すると、
図3及び
図4に示すように、電池パック9と、電池パック着脱部10と、モータ6とは、切断刃8の半径方向外方に位置している。電池パック9は、第1レール部51B及び第2レール部52Bが延びる方向(着脱方向D)に沿って、電池パック着脱部10に対して着脱可能である。
図2に示すように、第1レール部51B及び第2レール部52Bの延出方向、つまり着脱方向Dは左右方向である。換言すると、着脱方向Dは、正面視において切断部4のスライド方向Sに直交している。電池パック9を装着する際には、正面視において右方向に差し込む。セットピン29によって切断部4の傾動が反時計回り方向Lにのみ許容されている場合には、電池パック9の装着方向(右方向)は切断部4の傾動方向と略反対方向になる。
図2の状態で電池パック9を着脱方向Dに沿って装着する場合は、時計回り方向Rへの傾動が規制されているため、電池パック9の装着によって切断部4が時計回り方向Rに傾動することを防止できる。
【0052】
電池パック着脱部10は、
図6に示すように、切断部4が近接位置にあるときには、モータハウジング50の前部に位置している。
図3及び
図4、
図5に示すように、モータハウジング50の左端部は、電池パック着脱部10に装着された電池パック9の左端部よりも右側に位置している。換言すると、電池パック9の長手方向の長さは、モータ6及びモータハウジング50の長手方向の長さよりも長い。電池パック9が電池パック着脱部10に装着されることにより、電池パック9の電力が接続端子58を介して卓上切断機1に供給可能となる。
【0053】
図1に示すように、作業用ハンドル53は、電池パック着脱部10及びモータハウジング50の前方に設けられ、切断部4が離間位置にあるときには切断刃8の上方に位置している。作業用ハンドル53は側面視略D字形状をなし、モータ6のオン・オフを制御するスイッチトリガ53Aが設けられている。作業者は作業用ハンドル53を把持して、切断部4を離間位置から近接位置に移動させることができる。
【0054】
運搬用ハンドル54は、作業用ハンドル53の後方かつモータハウジング50の後方に設けられている。作業用ハンドル53と運搬用ハンドル54とは、側面視において切断刃8の側面と平行な方向(略前後方向)に並んで配置される。作業用ハンドル53と運搬用ハンドル54との間には、モータ6と、電池パック着脱部10と、電池パック9とが配置されている。「作業用ハンドル53と運搬用ハンドル54との間」とは、側面視において作業用ハンドル53と運搬用ハンドル54とを帯状に結んだ場合、当該帯と少なくとも一部が重複することをいう。
図6に示すように、運搬用ハンドル54は切断部4が近接位置にあるときには略水平となり、図示せぬロックピンにより切断部4を近接位置に固定した状態で卓上切断機1を運搬する際に作業者が把持しやすくなる。
【0055】
運搬用ハンドル54は、作業者が卓上切断機1を運搬する時に把持する運搬把持部54Aを備えている。
図6の2点鎖線で示すように、運搬把持部54Aの上端部は、電池パック着脱部10に装着された電池パック9よりも上方に位置している。これによって、運搬時においては上下方向の寸法が抑えられ、コンパクトな状態での運搬が可能となる。運搬用ハンドル54には、把持穴54aが形成されていて、切断部4が近接位置にあるときには把持穴54aは略前後方向に延びている。
【0056】
図3に示すように、ギヤ収容部55は、モータハウジング50の右側に位置している。
図1に示すように、ギヤ収容部55は、側面視においてモータハウジング50と重複する位置であって、作業用ハンドル53と運搬用ハンドル54との間に位置している。ギヤ収容部55には、複数のギヤから構成され、モータ6から切断刃8に駆動力を伝達する図示せぬ駆動力伝達機構が収容されている。
図1及び
図2に示すように、ギヤ収容部55には、前方に延びフレキシブル支持部55Bに支持される照明用のLED55Aが設けられている。作業者は、フレキシブル支持部55Bの操作により、LED55Aを所望の場所に照射することができる。
【0057】
ソーカバー56は、ギヤ収容部55の左側面に設けられていて、切断刃8の上半分を覆っている。ソーカバー56内には、ソーカバー56から露出する切断刃8の下側の外周を覆う鋸カバー56Aが、出力軸7を中心に回動可能に設けられている。鋸カバー56Aは、
図1に示すように、切断部4が離間位置にあるときには、ソーカバー56から露出する切断刃8の外周を覆っている。鋸カバー56Aは、
図6に示すように、切断部4が近接位置にあるときには、図示しないリンク機構によって出力軸7を中心に回動してソーカバー56内に収納され、切断刃8の下半分をソーカバー56から露出させる。
【0058】
モータ6はブラシレスモータであって、
図7に示すように、モータ出力軸61と、モータ出力軸61に固定されたロータ62と、モータ出力軸61の径方向においてロータ62と対向するステータ63と、ステータ63の左端部に固定されたインバータ回路64と、モータ出力軸61に固定された冷却ファン65と、を備えている。
図2に示すように、モータ出力軸61は左右方向に延びている。モータ出力軸61の右端部はギヤ収容部55に収容された図示せぬ駆動力伝達機構と係合し、モータ出力軸61の左端部は壁部52Cに回転可能に支承されている。
【0059】
図9に示すように、ロータ62は2組の磁石から構成され、ステータ63は当該磁石と対向するコイルを備えている。インバータ回路64は、モータ6の駆動を制御するための6つのスイッチング素子64Aと、ステータ63の位置検出のための磁気センサ15と、を備えている。磁気センサ15は、例えばホール素子であり、ロータ62と左右方向において対向している。
図4に示すように、インバータ回路64は、ステータ63の左端部に設けられている。
図5に示すように、モータ出力軸61の軸方向において、ステータ63とインバータ回路64とは電池パック9の全長に収まるように配置されている。換言すると、モータ出力軸61に直交し電池パック着脱部10を通る方向から見て、電池パック9(電池パック着脱部10)とステータ63及びインバータ回路64とは互いに重なっている。
【0060】
切断部4には、制御部11(
図9)を有する図示せぬ制御回路基板が設けられている。制御部11は、インバータ回路64の駆動制御及びLED55Aの制御を行う。インバータ回路64は、モータ6と、制御部11と、電池パック9と、電気的に接続されている。モータ6の駆動電流の経路には、電流検出用の検出抵抗12と、電池パック9と並列に接続されたコンデンサ13と、が設けられている。
【0061】
制御部11は、制御電源回路14と、電流検出回路16と、スイッチ操作検出回路17と、電圧検出回路18と、回転位置検出回路19と、回転数検出回路20と、演算部41と、制御信号回路42と、を備えている。制御電源回路14は、電池パック9の電圧を制御部11の動作に適した電圧に変換して制御部11に供給する。電流検出回路16は、検出抵抗12の端子電圧によりモータ6の駆動電流を検出する。スイッチ操作検出回路17は、作業者によるスイッチトリガ53Aの操作量を検出する。電圧検出回路18は、コンデンサ13によりモータ6の駆動電圧を検出する。回転位置検出回路19は、磁気センサ15からの信号に基づいて、モータ6の回転位置を検出する。回転数検出回路20は、回転位置検出回路19からの信号に基づいて、モータ6の回転数を検出する。演算部41は、スイッチ操作検出回路17からの信号に基づいて、スイッチトリガ53Aの操作量に応じて、インバータ回路64の各スイッチング素子64Aに印加するPWM信号のデューティ比(以下、デューティ比と称す)を設定する。演算部41は、設定したデューティ比、及び回転位置検出回路19で検出したモータ6の回転位置に応じて、制御信号回路42を駆動し、インバータ回路64の各スイッチング素子64Aをスイッチング制御する。演算部41は、回転位置検出回路19の検出結果に基づいてモータ6の回転数を算出し、設定されたモータ6と切断刃8との減速比に基づいて回転位置検出回路19の検出結果から切断刃8の回転数を検出する。
【0062】
制御部11には、レーザ駆動回路43と照明LED駆動回路44とが接続されている。レーザ駆動回路43は、レーザ43Aと接続されており、レーザスイッチ43Bの操作に基づいて、レーザ43Aを照射する。作業者は、レーザ43Aにより照射されたレーザ光を基準として、木材Wを切断することができる。照明LED駆動回路44は、LED55Aと接続されており、LEDスイッチ44Aの操作に基づいて、照明用のLED55Aを点灯する。
【0063】
次に、卓上切断機1の切断作業について説明する。作業者は、電池パック9を着脱方向Dに沿って電池パック着脱部10に装着する。そして、スイッチトリガ53Aを引いてモータ6を駆動させて切断刃8を回転させ、作業用ハンドル53を下方に押下げることで、切断部4を下方へ移動させる。このとき、揺動支持部35を中心(軸)として切断部4が左側面視時計回り方向に揺動することにより、切断部4は下方へ移動する。切断刃8と木材Wとを接触させて切断を開始し、切断部4をスライド支持部33(ガイドバー33A、33B)に対してスライドさせて切断部4を後方へと移動させ、木材Wの切断を行う。
【0064】
木材Wを斜めに切断するときは、切断刃8の両側面を接触面25に対して傾斜させる。切断部4を
図2の時計回り方向Rに傾動させる場合には、セットピン29をホルダ31内から完全に退避させてクランプ31Aを緩める。または、クランプ31Aを緩めてからセットピン29をホルダ31内から退避させても良い。これにより、ベース部2に対して支持部3及び切断部4が反時計回り方向L及び時計回り方向Rに傾動可能になる。反時計回り方向L又は時計回り方向Rの何れかに傾いた切断部4は、ホルダ31が図示せぬストッパボルトに当接することにより、その最大傾斜角が定められている。最大傾斜角を45°とするには、ホルダ31が45°に傾いた状態でホルダ31に当接するように、図示せぬストッパボルトを調節する。
【0065】
以上、本発明の第1の実施の形態に係る卓上切断機について説明をしたが、このような構成によると、電池パック9の着脱方向D(
図2)は、切断部4の揺動方向、つまり、切断刃8の側面と交差(直交)する方向となり、電池パック9着脱操作によって切断部4が揺動し難く、着脱操作を容易に行うことができる。また、切断部4が意図せずに揺動することを抑制し、ベース21上に載置した木材Wの損傷を抑制することができる。
【0066】
また、このような構成によると、電池パック着脱部10をモータハウジング50に設けることができるため、電池パック着脱部10を構成するハウジングを別途用意する必要がなく、部品点数の削減及び切断部の小型化を図ることができる。そのため、簡易な構成によって電池パック着脱部10を製作及び組立できる。また、電池パック着脱部10からモータ6までリード線等を配線する際、他のハウジングを介せずに配線できるので構造を簡単にすることができ、組み立ても容易である。
【0067】
また、このような構成によると、第1レール部51Bは第1モータハウジング51に設けられていて、第2レール部52Bは第2モータハウジング52に設けられているため、レール部を長手方向、電池パックの着脱方向において分断せずに製作することが可能である。これにより、レール部の精度が確保され、電池パック9の滑らかな着脱が可能となる。
【0068】
また、このような構成によると、接続端子58が第1モータハウジング51及び第2モータハウジング52に挟持されるように組み立てられるため、接続端子58をモータハウジング50に取付けるための金具等が不要である。これにより、接続端子58を確実に保持しつつモータハウジング50を容易に組立てることができる。
【0069】
また、このような構成によると、表示部57が第1モータハウジング51及び第2モータハウジング52に挟持されるように組み立てられるため、これらの部品をモータハウジング50に取付けるための金具等が不要である。これにより、表示部57を確実に保持しつつモータハウジング50を容易に組立てることができる。
【0070】
また、このような構成によると、モータハウジング50の突出端部が電池パック9よりも内側に配置されるため、全幅を抑えた小型の卓上切断機1とすることができる。
【0071】
また、このような構成によると、電池パック着脱部10が運搬用ハンドル54と作業用ハンドル53との間に設けられることで電池パック着脱部10から両ハンドルへの距離が短くなるため、電池パック9の保持時においてどちらかのハンドルを握って切断部4を安定させることが容易となる。
【0072】
また、このような構成によると、切断部4を下死点位置に固定した状態(
図6)において電池パック9が運搬用ハンドル54より下方に位置するため、運搬時において全高を抑えた小型の卓上切断機1とすることができる
【0073】
また、このような構成によると、電池パック9の着脱方向Dが切断部4の摺動方向Sと直交する。そのため、電池パック9着脱操作によって切断部4が摺動し難く、電池パック9の着脱作業を行い易くできる。また、ベース21上に載置した木材Wの損傷を抑制することができる。
【0074】
また、電池パック9の長手方向(左右方向)の寸法内にモータ6、接続端子58、インバータ回路64、表示部57を収めた構成とすることで、切断部4の左右方向の寸法(全幅)を抑えた小型の卓上切断機1とすることができる。
【0075】
また、このような構成によると、電池パック9、インバータ回路64、表示部57などDC駆動の卓上切断機1特有の構成をモータハウジング50に集約しているため、モータハウジング50以外の構成をACで駆動する切断機と共通にすることができる。これにより、卓上切断機1の製造コストを削減することができる。
【0076】
上述の実施の形態では、電池パック9の着脱方向Dは切断刃8の側面と直交する方向であったが、着脱方向Dと切断刃8の側面とが交差する方向であってもよい。これにより、装着方向における鉛直方向の成分が少なくなるため、切断部4が揺動することを抑制することができる。以下、その変形例について説明する。
【0077】
<第2の実施の形態> 本発明の変形例である第2の実施の形態について、
図10乃至
図12に基づいて説明する。第1の実施の形態と同一の構成は、同一の符号を付し説明を省略する。第2の実施の形態では、電池パック9の着脱方向Dが第1の実施の形態と異なっている。
【0078】
モータハウジング150は、第1モータハウジング151と、第2モータハウジング152とから構成されており、両者が互いに固定されると電池パック着脱部110が形成される。モータハウジング150には、接続端子158が設けられている。モータハウジング150は、
図11に示すように、正面視において斜め左上方向に延びている。また、
図10に示すように、切断部4が離間位置にあるときは、モータハウジング150は前後方向に傾斜するとともに、上下方向にも傾斜している。
図12に示すように、切断部4が近接位置にあるときには、上下方向に傾斜している。第1の実施の形態と同様に、モータハウジング150と、モータ出力軸61と、第1レール部51Bと、第2レール部52Bと、はいずれも同一方向に延びている。
【0079】
図11に示すように、電池パック9の着脱方向D2は、正面視において斜め左上方向である。着脱方向D2は、切断刃8の側面(上下方向に延びる垂直面)に交差する方向であり、切断部4が近接位置にあるとき(
図11の状態)には、正面視において斜め左上と斜め右下とを結ぶ方向である。
図10に示すように、切断部4が離間位置にあるときには、着脱方向Dはスライド方向Sと交差している。
図11、
図12に示すように、切断部4が近接位置にあるときには、着脱方向Dはスライド方向Sと直交している。つまり、切断部4が近接位置にあるときには、平面視において着脱方向Dとスライド方向Sとが略直交する。
【0080】
このような構成によると、切断部4が近接位置にあるときにおいて、意図せぬ切断部4の摺動を抑制することができると共に、切断部4を反時計回り方向Lに傾動させた場合に、モータハウジング150とベース部2との距離が離れるため、より多く反時計回り方向Lに傾動させることができる。さらに、切断部4を反時計回り方向Lに傾動させた状態で、切断部4とベース部2との間にスペースを確保することができるため、電池パック9が着脱し易くなるとともに、表示部の確認及び操作がし易くなる。さらに、表示部57が上方向を向くため、表示部の確認及び操作がし易くなる。
【0081】
本発明による切断機は、上述の実施の形態に限定されず、例えば特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本発明では切断機として卓上切断機1を用いたが、携帯用切断機に用いることもできる。
【0082】
上述の実施の形態では、モータハウジング50は、モータ出力軸61に直交する方向から見て、モータ6のモータ出力軸61の軸方向と平行にのびる第1合わせ面51A及び第2合わせ面52Aを有する2つ割りハウジングであったが、これに限定されない。例えば、一体成型されたモータハウジングであってもよく、モータ出力軸の軸方向に直交する合わせ面を有する分割式(2つ割り)ハウジングであってもよい。
【0083】
上述の実施の形態では、モータハウジング50は第1モータハウジング51と第2モータハウジング52の2つ割りハウジングで構成されたが、これに限定されない。3つ以上に分割されるハウジングで構成されていてもよい。その場合には、接続端子及び表示部は、3つ以上に分割されるハウジングのうちの少なくとも2つに挟持されていることが望ましい。
【0084】
上述の実施の形態では、電池パック着脱部10は、切断部4が近接位置にあるときには(
図6)、モータハウジング50の前方に設けられたが、これに限定されない。例えば、電池パック着脱部がモータハウジング50の後方に配置されていても良い。また、電池パック着脱部は、第1モータハウジング又は第2モータハウジングのいずれか一方側に配置されていても良い。
【0085】
上述の実施の形態では、モータ6はブラシレスモータを用いたが、ブラシ付きモータを用いてもよい。
【0086】
上述の実施の形態では、電池パック着脱部10をモータハウジング50に設けたが、これに限定されない。切断部4のハウジング5上であれば、電池パック9の着脱方向Dが切断刃8の側面と交差する方向であることを条件に、任意の位置に設けることができる。例えば、作業用ハンドル53や運搬用ハンドル54等に設けてもよく、ギヤ収容部55に設けてもよい。
【0087】
電池パック9の着脱方向は上述の実施の形態に限られず、切断刃8の側面と交差する方向であれば、他の方向であってもよい。
【0088】
上述の実施の形態ではスライド式、または傾斜可能な卓上切断機1を用いたが、これに限らずスライド機構を用いない、または傾斜しない切断機においても、本発明の適用は可能であり、スライド構造も切断部4がガイドバー33A、33B上を摺動する構造に限らず、切断部4とガイドバー33A、33Bと共に摺動する構造であってもよい。