特許第6284078号(P6284078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284078
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】レドックス装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20180215BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20180215BHJP
   H01M 8/0245 20160101ALI20180215BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20180215BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20180215BHJP
   C25B 1/04 20060101ALI20180215BHJP
   C25B 9/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H01M8/04 J
   B01J23/42 M
   H01M8/0245
   H01M8/00 Z
   H01M8/0606
   C25B1/04
   C25B9/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-28486(P2014-28486)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-165176(P2014-165176A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】13156999.8
(32)【優先日】2013年2月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512202923
【氏名又は名称】エアバス デーエス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ジェーレ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリガート ラーチェン
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン マルクグラーフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ルカス
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−282768(JP,A)
【文献】 特開2008−198402(JP,A)
【文献】 特表2008−524780(JP,A)
【文献】 特開2009−140677(JP,A)
【文献】 特表2004−521447(JP,A)
【文献】 特開2007−109428(JP,A)
【文献】 特開2009−110675(JP,A)
【文献】 特開2005−276529(JP,A)
【文献】 特開2005−005087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/02495
C25B 1/04
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスである第1のガス及び/又は酸素ガスである第2のガスを消費及び/又は生成しながら少なくとも1つのレドックス反応を実施するために設けられている少なくとも1つのレドックスユニット(12〜f、14e〜f)を備える水素−酸素レドックス装置であるレドックス装置であって
前記第1のガスを浄化して前記第2のガスによる汚染を取り除く、及び/又は前記第2のガスを浄化して前記第1のガスによる汚染を取り除く少なくとも1つのガス浄化ユニット(20〜f)を有し、
前記少なくとも1つのガス浄化ユニット(20e〜f)が、 少なくとも1つの触媒ユニット(22e〜f、24e〜f)を備えており、
前記少なくとも1つの触媒ユニット(22e〜f、24e〜f)が、 少なくとも1つの触媒エレメント(26e〜f、28e〜f、30e〜f、32e〜f)を有しており、
前記少なくとも1つの触媒エレメント(26e、28e、30e、32e)が、前記少なくとも1つのレドックスユニット(12e;14e)の少なくとも1つの電極(42e、44e、46e、48e)の、反応ゾーン(50e、51e、52e、53e)に向き合わない電極側面に取り付けられている触媒層として形成されており、
少なくとも1つの別のレドックスユニット(14e〜f)が、前記少なくとも1つのレドックスユニット(12e〜f)と物質的に連結されており、
前記少なくとも1つのレドックスユニット(12e〜f)及び前記少なくとも1つの別のレドックスユニット(14e〜f)が、燃料電池−電解槽ペアとして形成されていることを特徴とするレドックス装置。
【請求項2】
前記燃料電池(16a;16c;16e〜f)が、アルカリ燃料電池(16a;16c;16e〜f)として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のレドックス装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの触媒ユニット(22a〜f、24e〜f)が、酸素ガスと水素ガスから水を生成する反応を触媒するための触媒ユニット(22a〜f、24e〜f)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレドックス装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの触媒エレメント(26e〜f、28e〜f、30e〜f、32e〜f)が、少なくとも部分的に白金族金属から成ることを特徴とする、請求項3に記載のレドックス装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの触媒エレメント(26c〜d;26f、28c〜d;28f、30f、32f)が、中空構造を有していることを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のレドックス装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの触媒エレメント(26a〜f、28a〜f、30e〜f、32e〜f)が、前記少なくとも1つのレドックスユニット(12a〜f、14e〜f)のガススペース(54a〜f、56a〜f、58e〜f、60e〜f)に接して配置されており、前記ガススペースは前記少なくとも1つのレドックスユニット(12a〜f、14e〜f)の少なくとも1つの電極(42a〜f、44a〜f、46e〜f、48e〜f)に隣接していることを特徴とする、請求項5に記載のレドックス装置。
【請求項7】
前記レドックス装置(10e〜f)が、閉じられた状態で作動することを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のレドックス装置(10e〜f)の作動方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのレドックスユニット(12e)から前記少なくとも1つの別のレドックスユニット(14e)へ流れる、又は前記少なくとも1つの別のレドックスユニット(14e)から前記少なくとも1つのレドックスユニット(12e)へ流れる少なくとも1つのガス流(70e、72e、74e、76e)が、前記少なくとも1つのレドックスユニット(12e)又は前記少なくとも1つの別のレドックスユニット(14e)を離れる前に、前記少なくとも1つのガス浄化ユニット(20e)によって浄化されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのレドックスユニット(12f)から前記少なくとも1つの別のレドックスユニット(14f)へ流れる、又は前記少なくとも1つの別のレドックスユニット(14f)から前記少なくとも1つのレドックスユニット(12f)へ流れる少なくとも1つのガス流(70f、72f、74f、76f)が、前記少なくとも1つのレドックスユニット(12f)又は前記少なくとも1つの別のレドックスユニット(14f)を離れる際に、前記少なくとも1つのガス浄化ユニット(20f)によって浄化されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づく、少なくとも1つのレドックスユニットを備えるレドックス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池又は電解槽として形成されているレドックスユニットを少なくとも1つ備える、従来技術に基づくレドックス装置は、作動停止後に不活性のパージガス(ほとんどの場合は窒素が用いられる)によって清浄されるが、これは、停止後にレドックスユニットのガススペース内に残っている水素及び酸素などの使用済みの残留ガスが拡散によって互いに接触し、レドックスユニット内で爆発可能な混合気、例えば爆鳴気などを形成して、特にレドックスユニットを再稼働させた場合のエネルギー入力によりこの爆鳴気が爆発を引き起こし、これによってレドックスユニットが損傷しないようにするためである。特に燃料電池として形成されているレドックスユニット及び電解槽として形成されているレドックスユニットを備える現在開発中のレドックス装置の場合は、これらのユニットを、いわゆる「再生型燃料電池システム」として、閉じられた状態で作動させなければならないため、爆鳴気発生を防止するための前述の方法は、不活性のパージガスによる清浄のためにシステムの開口部が必要であることから、使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、特に、爆鳴気の危険に対して高い安全性を提供するレドックス装置を準備することにあり、この場合、爆鳴気の危険は、水素ガスによる酸素ガスの汚染又は酸素ガスによる水素ガスの汚染によって発生する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明に基づき、請求項1の特徴によって解決され、本発明の有利な実施形態及び発展形態は従属請求項に示されている。
【0005】
本発明は、特に水素ガスである第1のガス及び/又は特に酸素ガスである第2のガスを消費及び/又は生成しながら少なくとも1つのレドックス反応を実施するために設けられている少なくとも1つのレドックスユニット、特に水素−酸素レドックスユニットを備えるレドックス装置、特に水素−酸素レドックス装置を前提としている。このレドックス装置は、水素ガスを浄化して酸素ガスによる汚染を取り除く及び/又は酸素ガスを浄化して水素ガスによる汚染を取り除くための少なくとも1つのガス浄化ユニットを有することが提案される。
【0006】
「レドックス装置」とは、特に、少なくとも1つのレドックスユニットを備える装置を意味するものとする。「レドックスユニット」とは、1つが水素電極として形成され、1つが酸素電極として形成されている少なくとも2つの電極、これらの2つの電極を接続している電気回路、少なくともこれらの2つの電極の間に配置されている少なくとも1つの電解液及び/又は少なくともこれらの2つの電極の間に配置されている少なくとも1つの電解液充填膜又はイオン伝導性膜を備えるユニットを意味するものとし、このユニットによってレドックス反応が実施され、その場合、電流回路によって送り出される電力の形でエネルギーを発生しながら第1のガスが酸化され、第2のガスが還元され、1つの反応の中で第1のガスと第2のガスは好ましくは水である生成物に変換され、この生成物は周辺環境又は貯蔵タンクに送り出されるか、もしくは電力という形のエネルギーを消費しながら、好ましくは水である抽出物が、好ましくは分子水素である第1のガス及び好ましくは分子酸素である第2のガスを生成するために分解され、この第1のガス及び第2のガスが周辺環境又は貯蔵タンクに排出される。とりわけレドックスユニットは、電流生成によってエネルギーを供給しながら、好ましくは水素ガスの形での分子水素と好ましくは酸素ガスの形での分子酸素とが反応して水を生成する燃料電池として、及び/又は電流によってエネルギーを吸収しながら、水が分子酸素と分子水素とに分解される水素と酸素の電解槽として形成されている。基本的に、生成物又は抽出物としては、水の代わりに水素原子及び酸素原子を含むその他の化学物質を適用することもできる。例えば、レドックスユニットは、水素−酸素レドックスユニットの代わりに、この水素−酸素レドックスユニットのレドックス反応に類似したレドックス反応において別の物質を変換する別の物質のレドックスユニットとしても形成することができ、例えば一酸化炭素−酸素レドックスユニットとして形成される場合、このユニットは一酸化炭素と酸素ガスを二酸化炭素に変換するか、又は二酸化炭素を一酸化炭素と酸素ガスに分解する。「レドックス反応」とは、特に、少なくとも2つの化学物質が互いに反応し、このとき少なくとも1つの化学物質が電子を発生し、それによって酸化され、また少なくとも1つの化学物質が電子を吸収し、それによって還元される反応を意味するものとする。「水素ガス」とは、特に、分子の形で気体として存在している水素を意味するものとする。「酸素ガス」とは、特に、分子の形で気体として存在している酸素を意味するものとする。
【0007】
とりわけ、このレドックス装置はいわゆる再生型燃料電池システムとして形成することができ、このシステムは少なくとも1つの燃料電池、及び少なくとも1つの燃料電池に連結されている少なくとも1つの水素−酸素電解槽を有しており、このとき、再生型燃料電池システムにおいてエネルギーを貯蔵するための充電プロセスでは、外部から電流を加えることによって、少なくとも1つの水素−酸素電解槽が貯蔵されている水を分子水素と分子酸素に分解し、この分子水素と分子酸素はそれぞれリザーバタンク内に送られ、電流によってエネルギーを供給するための放電プロセスにおいて分子水素と分子酸素は少なくとも1つの燃料電池の中で反応して水を生成する。従って、この再生型燃料電池システムは蓄電池の機能を満たしている。特に、この再生型燃料電池システムは閉じられた作動のために形成することができる。「閉じられた作動」とは、特に、再生型燃料電池システムが、周辺環境との物質交換なしに多数の充電−放電サイクルによって作動することを意味するものとする。「周辺環境との物質交換のない作動」とは、特に再生型燃料電池システムがリザーバタンクに水及び/又は分子酸素及び/又は分子水素の初期貯蔵を装備していることを意味するものとし、このとき、水及び/又は分子酸素及び/又は分子水素の初期貯蔵だけが多数の充電−放電サイクルによって変換され、初期貯蔵の補充は行われない。特に、周辺環境との物質交換のない作動ではリザーバタンクの取外しは設定されていない。「電解液」とは、特に、好ましくはアルカリ溶液などの溶液の形のイオン伝導性物質を意味するものとする。「ガス浄化ユニット」とは、特に固形物又は外部ガスによる汚染を、例えばフィルターによって又は外部ガスを液体又は固体の形に変換することによって(このとき変換には化学反応を用いることができる)取り除き、ガスを浄化するユニットを意味するものとする。好ましくは、水素ガスを浄化して酸素ガスによる汚染を取り除くため及び/又は酸素ガスを浄化して水素ガスによる汚染を取り除くためのガス浄化ユニットは、少なくとも部分的にレドックスユニットのガススペースに接して、及び/又はガススペース内に配置されており、特に好ましくはセルの壁によって取り囲まれているレドックスユニットの内側部分の範囲内に配置されている。特に、高い作動安全性を備え、作動経費が軽減されるレドックス装置は、不活性パージガスの貯蔵及び不活性パージガスの処理を節約することによって実現することができる。
【0008】
さらに、少なくとも1つのレドックスユニットは、燃料電池として形成されることが提案される。特に、高い作動安全性を備え、作動経費が軽減される燃料電池は、不活性パージガスの貯蔵及び不活性パージガスの処理を節約することによって実現することができる。
【0009】
さらに、この燃料電池は、アルカリ燃料電池として形成されていることが提案される。「アルカリ燃料電池」とは、特に、電解液としてアルカリ溶液、とりわけ水酸化カリウム溶液を使用する燃料電池を意味するものとする。電解液としては、例えばヒドラジンなどその他のアルカリ溶液の使用も同様に可能である。好ましいのは、水素電極及び酸素電極が、少なくとも部分的にニッケルから成ることである。特に、高い作動安全性を備え、作動経費が軽減されるアルカリ燃料電池は、不活性パージガスの貯蔵及び不活性パージガスの処理を節約することによって実現することができる。
【0010】
さらに、少なくとも1つのレドックスユニットは、水素ガス及び/又は酸素ガスを生成する電解槽として形成されていることが提案される。特に、この電解槽は、電解液としてアルカリ溶液、とりわけ水酸化カリウム溶液を使用するアルカリ電解槽として形成されている。特に、高い作動安全性を備え、装置に係る経費が軽減される水素ガス及び/又は酸素ガスを生成する電解槽は、不活性パージガスの貯蔵及び不活性パージガスの処理を節約することによって実現することができる。
【0011】
さらに、少なくとも1つのガス浄化ユニットが、酸素ガスと水素ガスから水を生成する再結合のための少なくとも1つの再結合触媒ユニットを備えていることが提案される。「再結合触媒ユニット」とは、特に、所定の箇所で水素と酸素の再結合を触媒するために設けられているユニットを意味するものとする。特に、この再結合触媒ユニットは、分子水素と分子酸素が反応して水を生成することが可能な少なくとも1つの平面を提供する。特に、この再結合触媒ユニットは、少なくとも部分的にレドックスユニットのガススペースに接して、及び/又はこのガススペースの中に配置されており、詳細には、特に好ましくは壁によって取り囲まれているレドックスユニットの内側部分の範囲内に配置されている。特に、この再結合触媒ユニットは、少なくとも部分的にレドックスユニットのガスリザーバから反応ゾーンへのガス流の範囲内に、及び/又はレドックスユニットの範囲内に配置され、好ましくは壁によって取り囲まれているレドックスユニットの内側部分の範囲内に配置されている。「反応ゾーン」とは、特に、水素電極と電解液及び/又は膜との間、又は酸素電極と電解液及び/又は膜との間の接触部分を意味するものとし、この反応ゾーンで水が水素及び/又は酸素に分解されるか、もしくは水素と酸素が水に合成される。特に、装置に係る経費が少ないガス浄化ユニットを実現することができる。
【0012】
さらに、この再結合触媒ユニットは、少なくとも部分的に白金族金属から成る少なくとも1つの触媒エレメントを有していることが提案される。特に、少なくとも1つの触媒エレメントは、少なくとも1つの表面に少なくとも部分的に白金族金属のコーティングを有している。基本的に、少なくとも1つの触媒エレメントは、完全に1種類の白金族金属及び/又は複数の白金族金属から成ることができる。「白金族金属」とは、特に、白金又は化学的に白金と似た性質を有する、特にルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムであるその他の貴金属を意味するものとする。特に、いわゆる白金族元素としてのニッケルとダームスタチウムは白金族金属とは区別されている。特に、高い触媒性能を備える耐薬品性の触媒エレメントを実現することができる。
【0013】
さらに、少なくとも1つの触媒エレメントは、少なくとも1つのレドックスユニットの少なくとも1つの電極の、反応ゾーンに向き合わない電極側面に取り付けられている触媒層として形成されていることが提案される。「反応ゾーン」とは、特に、水素と酸素から水分子への変換及び/又は水分子の水素と酸素への電気分解が行われる少なくとも1つの電極の部分を意味するものとする。特に、少なくとも1つのレドックスユニットの少なくとも1つの電極の、反応ゾーンに向き合わない電極側面に取り付けられている触媒層は、少なくとも1つのレドックスユニットのレドックス反応を触媒する、少なくとも1つの電極の触媒層とは区別されている。特に、少なくとも1つの電極の、反応ゾーンに向き合わない電極側面に触媒層を取り付けることは、反応ゾーンから漏れ出る酸素ガス(この酸素ガスは反応ゾーンとは切り離されている水素ガスのガススペース内に侵入し、そこで爆鳴気となる危険が生じる)及び/又は水素ガス(この水素ガスは反応ゾーンとは切り離されている酸素ガスのガススペース内に侵入し、そこで爆鳴気となる危険が生じる)を、ガススペース内に入る際及び/又は滞留している際に、触媒作用による水への再結合によって取り除くために特別に設けられており、このことは、反応ゾーン内の触媒層によっては達成することができない。特に、有利には水素ガス又は酸素ガスの発生ゾーンに近い配置及び/又は反応部分内への入口ゾーンに近い配置を有し、レドックス装置の高い作動安全性が達成されているガス浄化ユニットを実現することができる。
【0014】
本発明の発展形態においては、少なくとも1つの触媒エレメントが中空構造を有していることが提案される。「中空構造」とは、特に、少なくとも1つの中空部、好ましくは多数の中空部を有している構造を意味するものとし、この中空部又はこれらの中空部によってガスが構造の一方の側面から構造の他方の側面へと拡散する、及び/又は流れることができる。特に、多数の中空部が細孔によって形成されている。中空構造を有する触媒エレメントは、基本的に、チャンネルとして形成されている中空部及び/又は格子網構造を有することもできる。特に好ましいのは、中空部の内側表面が、白金族金属から成る触媒層を備えていることである。特に、触媒作用のある表面の割合が大きく、それによって高い浄化能力を備えている触媒エレメントを実現することができる。
【0015】
さらに、少なくとも1つの触媒エレメントが、少なくとも1つのレドックスユニットのガススペースに配置されており、このガススペースは少なくとも1つのレドックスユニットの少なくとも1つの電極に隣接していることが提案される。「レドックスユニットのガススペース」とは、特に、レドックスユニットの外壁、生成物及び/又は抽出物、特に水素ガス及び/又は酸素ガスを供給又は排出するために外壁内に設けられた開口部、及び水素電極又は酸素電極によって境界されているレドックスユニットのスペースを意味するものとする。特に、反応ゾーンに対して、及び発生するガス及び/又は反応ゾーンの中に入り込むガスに対して有利に近い、少なくとも1つの触媒エレメントの配置を実現することができる。
【0016】
さらに、レドックス装置が、少なくとも1つの別のレドックスユニットを有し、この別のレドックスユニットは少なくとも1つのレドックスユニットと物質的に連結されていることが提案される。「連結されている」とは、特に、少なくとも1つのレドックスユニットの生成物が、少なくとも1つの別のレドックスユニットの抽出物として利用され、この少なくとも1つの別のレドックスユニットの生成物が他方のレドックスユニットの抽出物として利用されること、及び/又は少なくとも1つのレドックスユニット及び少なくとも1つの別のレドックスユニットが、共通の抽出物ストック及び/又は生成物ストックを有し、同じように形成された複数のレドックスユニットの中に抽出物が流れ込むことを意味するものとする。特に、完全には変換されない抽出物の利用が実現可能であるか、もしくは再生型燃料電池システムを提供することが可能である。
【0017】
さらに、少なくとも1つのレドックスユニット及び少なくとも1つの別のレドックスユニットが、燃料電池−電解槽ペアとして形成されていることが提案される。特に、これにより、少なくとも1つのレドックスユニット及び少なくとも1つの別のレドックスユニットが再生型燃料電池システムを形成する。特に、レドックス装置の蓄電池機能が実現可能である。
【0018】
さらに、少なくとも1つのレドックスユニットから少なくとも1つの別のレドックスユニットへ流れる、又は少なくとも1つの別のレドックスユニットから少なくとも1つのレドックスユニットへ流れる少なくとも1つのガス流が、少なくとも1つのレドックスユニット又は少なくとも1つの別のレドックスユニットを離れる前に、少なくとも1つのガス浄化ユニットによって浄化されることが提案される。「レドックスユニットを離れる」とは、特に、ガススペース、好ましくはレドックスユニットのセルフレームによって囲まれているガススペースから、好ましくはリザーバタンクへ通じるライン内に流出すること、又は反応しなかった余分の抽出ガスが再び入口ラインに流れてガススペース内に戻ることを意味するものとする。「レドックスユニットを離れる前の浄化」とは、特に、外部ガス及び残留ガスによる汚染がレドックスユニットのガススペースの範囲内で、好ましくはガススペース内への入口で、ガス浄化ユニットによって除去されることを意味するものとする。特に、高い作動安全性を実現することができる。
【0019】
さらに、少なくとも1つのレドックスユニットから少なくとも1つの別のレドックスユニットへ流れる、又は少なくとも1つの別のレドックスユニットから少なくとも1つのレドックスユニットへ流れる少なくとも1つのガス流が、少なくとも1つのレドックスユニット又は少なくとも1つの別のレドックスユニットを離れる際に、少なくとも1つのガス浄化ユニットによって浄化されることが提案される。「レドックスユニットを離れる際の浄化」とは、特に、ガス浄化ユニットの少なくとも1つのエレメントが、ガススペースからリザーバタンクへ通じるラインへの移行部分に配置されていることを意味するものとする。特に、高い作動安全性を実現することができる。
【0020】
その他の利点は、以下の図から説明される。図には、本発明の6通りの実施例が示されている。これらの図、説明及び請求項には、組合せの形で多数の特徴が含まれている。当業者は、これらの特徴を個々においても有利なものとみなし、その他の有効な組合せにまとめるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】アルカリ燃料電池として形成されているレドックスユニット及びガス浄化ユニットを備える本発明に基づくレドックス装置であり、ガス浄化ユニットは、反応ゾーンに向き合わない電極側面に取り付けられている触媒層として形成されている触媒エレメントを備える再結合触媒ユニットを有している。
図2】電解槽として形成されているレドックスユニット及び前述の実施例で実施されているガス浄化ユニットを備える代替のレドックス装置である。
図3】アルカリ燃料電池として形成されているレドックスユニット及びガス浄化ユニットを備える本発明に基づくもう1つのレドックス装置であり、ガス浄化ユニットは、ガススペースのドレンに配置されている触媒エレメントを備える再結合触媒ユニットを有している。
図4】電解槽として形成されているレドックスユニット及び前述の実施例で実施されているガス浄化ユニットを備える本発明に基づくもう1つのレドックス装置である。
図5】アルカリ燃料電池として形成されているレドックスユニット、アルカリ燃料電池と物質的に連結されている、電解槽として形成されているレドックスユニット、及び図1図2で実施されているガス浄化ユニットを備える本発明に基づくレドックス装置である。
図6】アルカリ燃料電池として形成されているレドックスユニット、アルカリ燃料電池と物質的に連結されている、電解槽として形成されているレドックスユニット、及び図3図4で実施されているガス浄化ユニットを備える本発明に基づくもう1つのレドックス装置である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、水素−酸素レドックス装置として形成されている本発明に基づくレドックス装置10aを示し、この装置は、第1のガスである水素ガスと第2のガスである酸素ガスを消費しながら少なくとも1つのレドックス反応を実施するために設けられた、水素−酸素レドックスユニットとして形成されているレドックスユニット12aを備えており、また図1は、水素電極として形成されている電極42a、酸素電極として形成されている電極44a、及びそれらの間に配置されている電解液充填膜38aを含んでいる。電極42a、44aは、ニッケル電極として実施されている。レドックスユニット12aは燃料電池16aとして、特にアルカリ燃料電池16aとして実施されており、この中では電解液が水酸化カリウム溶液によって形成され、この電解液によって膜38aが満たされている。燃料電池16aの中では、電極42a、44aでのレドックス反応によって水素ガスと酸素ガスが反応して水を生成し、このときエネルギーが電流の形で放出され、この電流は電極42a、44aの間にある電流回路内に配置されている電気負荷34aを介して流れる。この電流回路のクローズは、電解液充填膜38aを介する電荷輸送によって実現される。燃料電池16aは、作動温度摂氏80度〜200度の温度範囲で作動する。燃料電池16aを作動温度まで加熱するため、燃料電池16aはヒータユニット78aを有しており、この中を熱輸送のための液体が流れている。さらにこのヒータユニット78aによって、燃料電池16aの作動時に発生する反応熱も放出されるため、燃料電池16aの過熱を防ぐことができる。
【0023】
レドックス装置10aは、アルカリ燃料電池16aとして形成されているレドックスユニット12aにライン62aを介して接続されている、水素ガスを貯蔵するガスリザーバ82a、及び燃料電池16aにライン64aを介して接続されている、酸素ガスを貯蔵するガスリザーバ84aを有している。純粋なガスとして、水素と酸素はガスリザーバ82a、84aの中に分子の形で存在している。水素ガスのガス流70aは、ライン62aによってガスリザーバ82aからレドックスユニット12aのセルフレーム90a及び水素電極として形成されている電極42aによって境界されているガススペース54aの中に送られ、そこからガス流は電極42aを通過して、膜38aと電極42aとの接触ゾーンによって形成されている反応ゾーン50aに達する。反応ゾーン50aでは、水素ガスの水素分子が水酸化イオンと反応して水が生成されるレドックス反応が起こり、このとき電子が放出され、これらの電子は電流の中で電気負荷34aを介して流れ、その際にエネルギーを供給する。余分な水素ガスは、ガス流74aでライン63aを介して排出され、このとき、この余分な水素ガスを新たに燃料電池16aに供給することができる。酸素ガスは、これに対応して、ガス流72aでライン64aを介してガススペース56aの中に送り込まれ、電極44aから膜38aと電極44aとの接触ゾーンによって形成されている反応ゾーン51aに達する。反応ゾーン51aでは、酸素ガスが、例えば水酸化カリウム溶液に由来するか、又はあらかじめ燃料電池16a内で生成された水と反応するレドックス反応において還元され、電子を受け取ることによって水酸化イオンに変換される。この場合、反応ゾーン50a、51aにおける反応全体では水が発生するが、これは、反応ゾーン51aにおいて酸素ガスと反応して水酸化イオンに変換される水分子よりも多くの水分子が反応ゾーン50aで生成されるからである。余分な酸素ガスは、ライン65aを介してガス流76aで排出される。発生する水は、反応生成物として水蒸気の形でガス流74a、76aを介して排出される。
【0024】
本発明に基づくレドックス装置10aは、第1のガスである水素ガスを浄化して第2のガスである酸素ガスによる汚染を取り除く、及び/又は第2のガスである酸素ガスを浄化して第1のガスである水素による汚染を取り除くガス浄化ユニット20aを有している。酸素ガスによる水素ガスの汚染および水素ガスによる酸素ガスの汚染は、特にレドックス装置10aのレドックスユニット12aが停止している間に、ガススペース54a、56a及び反応ゾーン50a、51aに残っている残留ガスがレドックスユニット12aの膜38aを介して放散することによって生じる可能性がある。ガス浄化ユニット20aは、酸素ガスと水素ガスから水を生成する反応を触媒するための触媒ユニット22aを備え、このユニットは、部分的に白金族金属から成る2つの触媒エレメント26a、28aを有している。触媒エレメント26a、28aはそれぞれ、アルカリ燃料電池16aとして形成されているレドックスユニット12aの電極42a、44aの、反応ゾーン50a、51aに向き合わない電極側面に取り付けられている触媒層として形成されている。この触媒層は白金層から成り、この層で水素と酸素が結合することにより、水素と酸素から水を生成する反応が触媒される。白金から成る触媒層の代わりに、例えばパラジウム、ルテニウム又はイリジウムなど、その他の白金族金属から成る触媒層も使用することができる。触媒エレメント26a、28aがそれぞれ、電極42a、44aの、反応ゾーン50a、51aに向き合わない電極側面に配置されていることにより、反応ゾーン50a、51aから発生してガススペース54a、56aの中に侵入する外部ガスによる汚染を浄化することができる。従って、爆鳴気形成による燃料電池16aの危険が回避される。さらに、水素と酸素の再結合によって放出される反応熱が電極42a、44aで直接放射され、レドックスユニット12aの加熱に利用されることにより、レドックスユニット12aを作動温度まで加熱するためのエネルギーコストを低減することができる。従って、レドックス装置10aの1つの作動方法においては、ガス流74a、76aが、ガススペース54a、56aを離れる前にガス浄化ユニット20aによって浄化される。
【0025】
図2〜6には、本発明のその他の5つの実施例が示されている。以下の説明および図は、主としてこれらの実施例間の違いに限定され、同一の名称で表される構成部品に関して、特に同じ符号を持つ構成部品に関しては、基本的に、その他の実施例の図及び/又は説明も参照することができ、特に図1の図及び/又は説明を参照することができる。実施例を区別するため、図1の実施例の符号には文字aが付けられている。図2〜6の実施例には、文字aの代わりに文字b〜fが用いられている。
【0026】
図2には、本発明に基づくレドックス装置10bの代替の実施形態が示され、この装置は、水素ガスによって形成される第1のガス及び酸素ガスによって形成される第2のガスを消費及び/又は生成しながらレドックス反応を実施するために設けられているレドックスユニット12b、及び水素ガスを浄化して酸素ガスによる汚染を取り除き、酸素ガスを浄化して水素ガスによる汚染を取り除くためのガス浄化ユニット20bを備えている。レドックスユニット12bは、水素ガス及び/又は酸素ガスを生成する電解槽18bとして形成されており、この電解槽はこの目的のために水を電気分解する。電解槽18bは、アルカリ電解槽18bとして形成されている。レドックスユニット12bの構造は、ほぼ前述の構造と同様である。水を分解するには電流の形でエネルギーが必要となるため、電流回路には直流電圧源として形成されている電源36bが配置されており、この電流を供給している。反応ゾーン50bにおいて電極42bと電解液充填膜38bとの接触部分に発生する水素ガスは、ガススペース54bの中に入り、ここからガス流70bでライン62bを経由してガスリザーバ82bに送られる。同様に、反応ゾーン51bにおいて電極44bと電解液充填膜38bとの接触部分に発生する酸素ガスは、ガススペース56b及びライン64bを介してガス流72bでガスリザーバ84bに送られる。電解液としては、同様に水酸化カリウム溶液が用いられる。レドックス装置10bのガス浄化ユニット20bは、同様に、酸素ガスと水素ガスから水を生成する反応を触媒するための触媒ユニット22bを備え、このユニットは、部分的に白金族金属から成る2つの触媒エレメント26b、28bを有している。触媒エレメント26b、28bはそれぞれ、上述の例と同様に、電解槽18bの電極42b、44bの、反応ゾーン50b、51bに向き合わない電極側面に取り付けられている白金触媒層として形成されている。従って、レドックス装置10bの1つの作動方法においては、ガス流70b、72bが、ガススペース54b、56bを離れる前にガス浄化ユニット20bによって浄化される。さらに、水素と酸素の再結合によって放出される反応熱がガススペース54b、56b内で放射され、レドックスユニット12bの加熱に利用されることにより、レドックスユニット12bを作動温度まで加熱するためのエネルギーコストを低減することができる。
【0027】
本発明に基づくレドックス装置10cのもう1つの実施形態では、この装置が、水素ガスによって形成される第1のガス及び酸素ガスによって形成される第2のガスを消費しながらレドックス反応を実施するために設けられているレドックスユニット12c、及び水素ガスを浄化して酸素ガスによる汚染を取り除き、酸素ガスを浄化して水素ガスによる汚染を取り除くためのガス浄化ユニット20cを備え、レドックスユニット12cは第1の実施例と同様に燃料電池16c、詳細にはアルカリ燃料電池16cとして形成されている(図3)。このレドックス装置10cは、ガス浄化ユニット20cの仕様が第1の実施例で示されている仕様とは異なっている。ガス浄化ユニット20cは、酸素ガスと水素ガスから水を生成する反応を触媒するための触媒ユニット22cを備え、このユニットは、部分的に白金族金属から成る2つの触媒エレメント26c、28cを有している。触媒エレメント26c、28cはそれぞれ、担体材料内の細孔構造として実施されている中空構造を有し、このとき、細孔構造の表面には白金又はその他の白金族金属から成る触媒層が施されている。ガスが触媒エレメント26c、28cの細孔構造を通過する場合、触媒作用を有する表面が大きくなるため、この細孔構造によって高い浄化効率が達成される。触媒エレメント26c、28cは、それぞれがライン63c、65cへのガススペース54c、56cの出口に配置されており、余分な水素ガス及び酸素ガスをガス流74c、76cでガススペース54c、56cから排出する。従って、レドックス装置10cの1つの作動方法においては、ガス流74c、76cが、ガススペース54c、56cを離れる際にガス浄化ユニット20cによって浄化される。ガス浄化ユニット20cの代替の実施形態では、例えば、中空構造をもつ触媒エレメント26c、28cをガススペース54c、56cの内部に配置することも考えられ、レドックス装置10cの1つの作動方法においては、ガス流74c、76cが、ガススペース54c、56cを離れる前にガス浄化ユニット20cによって浄化される。
【0028】
本発明に基づくレドックス装置10dのもう1つの実施形態では、この装置が、水素ガスによって形成される第1のガス及び酸素ガスによって形成される第2のガスを生成しながらレドックス反応を実施するために設けられているレドックスユニット12dを備え、このレドックスユニット12dは第2の実施例と同様に電解槽18dとして、詳細にはアルカリ電解槽18dとして、水素ガス及び/又は酸素ガスを生成するために形成されている(図4)。このレドックス装置10dは、水素ガスを浄化して酸素ガスによる汚染を取り除き、酸素ガスを浄化して水素ガスによる汚染を取り除くためのガス浄化ユニット20dを有し、このユニットは、酸素ガスと水素ガスから水を生成する反応を触媒するための触媒ユニット22dを備えている。この触媒ユニット22dは、部分的に白金族金属から成る2つの触媒エレメント26d、28dを有しており、前述の実施例と同様に、表面が白金で被覆されている中空構造として形成されている。触媒エレメント26d、28dは、ガスリザーバ82d、84dに通じるライン62d、64dへのガススペース54d、56dの出口にあるため、ガス流70d、72dはレドックスユニット12dを離れる際にガス浄化ユニット20dによって浄化される。
【0029】
本発明に基づくレドックス装置10eのもう1つの実施例では、この装置が、水素ガスによって形成される第1のガス及び酸素ガスによって形成される第2のガスを消費しながらレドックス反応を実施するために設けられているレドックスユニット12eを備え、このレドックス装置10eは別のレドックスユニット14eを有し、このレドックスユニット14eはレドックスユニット12eと物質的に連結されている(図5)。レドックスユニット12eと別のレドックスユニット14eは、燃料電池−電解槽ペアとして形成されており、このとき、レドックスユニット12eはアルカリ燃料電池16eとして形成され、レドックスユニット14eはアルカリ電解槽18eとして形成されている。従って、レドックス装置10eは再生型燃料電池システムとして実施されており、このシステムでは、電解槽18eの中でエネルギーを消費しながら生成される水素ガスと酸素ガスがガスリザーバ82e、84eに貯蔵され、一方の燃料電池16eの作動においては、エネルギーを発生しながら水素ガスと酸素ガスが反応して水が生成される。特に、本発明に基づくレドックス装置10eの1つの作動方法においては、レドックス装置10eが閉じられた状態で作動するため、水素ガス、酸素ガス及び水の初期ストックの補充は、ガスリザーバ82e、84e及び水リザーバ86e内においても、レドックスユニット12e及び別のレドックスユニット14eにおいても行われないように設定されている。電解槽18eとアルカリ燃料電池16eを交互に作動することにより、レドックス装置10eは蓄電池機能を引き受けることができる。
【0030】
アルカリ電解槽18eとして形成されている別のレドックスユニット14eには、ライン68eを介して水流94eが水リザーバ86eから水酸化カリウム溶液で満たされている膜40eへと供給される。膜40eと電極46e、48eが互いに隣接している反応ゾーン52e、53eでは、水素ガスと酸素ガスが生成される。反応ゾーン52eにおいて電極46eで生成された水素ガスは、電極46eから電解槽18eのガススペース58eに入り、ガス流74eでライン66eを介してガスリザーバ82eに排出される。反応ゾーン53eにおいて電極48eで生成された水素ガスは、電極46eからガススペース60eに入り、ガス流76eでライン67eを介してガスリザーバ84eに排出される。ライン62eを介して、水素ガスはガスリザーバ82eからガス流70eで、アルカリ燃料電池16eとして形成されているレドックスユニット12eのガススペース54eに送られ、同様に、酸素ガスはガス流72eでライン64eを介してガススペース56eに送られる。余分な水素ガスは、ガス流75eで燃料電池16eのライン63eを介して回路内に再び供給され、余分な酸素ガスは、ガス流88eで燃料電池16eのライン65eを介して回路内に再び供給される。ガスの送り込みと排出を制御するため、すべてのライン62e、63e、64e、65e、66e、67e、68eにはバルブが装備されている。ガスリザーバ82e及びライン62e、63e、66eを介して、ならびにガスリザーバ84e及びライン64e、65e、67eを介して、レドックスユニット12eと別のレドックスユニット14eとが接続されている。ガス流70e、74e及びガス流72e、76eは、別のレドックスユニット14eからレドックスユニット12eへ流れる。酸素ガス及び水素ガスは、燃料電池16eにおいて周知の方法で電極42eと膜38eに接する反応ゾーン50eで、及び電極44eと膜38eに接する反応ゾーン51eで反応して、電気負荷34eによって使用されるエネルギーを発生させながら水を生成する。レドックスユニット12eはヒータユニット80eを有し、別のレドックスユニット14eはセルフレーム92eを有している。
【0031】
本発明に基づくレドックス装置10eはガス浄化ユニット20eを有し、このユニットは、レドックスユニット12e内に配置されている触媒ユニット22eと別のレドックスユニット14e内に配置されている触媒ユニット24eを備えている。触媒ユニット22eは2つの触媒エレメント26e、28eを有しており、これらのエレメントは白金から成り、第1の実施例と同様に、電極42e、44eの、反応ゾーン50e、51eに向き合わない電極側面に取り付けられている触媒層として形成されている。触媒ユニット24eは2つの触媒エレメント30e、32eを有しており、これらのエレメントは白金から成り、第2の実施例と同様に、電極46e、48eの、反応ゾーン52e、53eに向き合わない電極側面に取り付けられている触媒層として形成されている。従って、本発明に基づくレドックス装置10eの1つの作動方法においては、すでに説明した方法で、電解槽18eとして形成されている別のレドックスユニット14eからレドックスユニット12eへ流れるガス流70e、72e、74e、76eが、別のレドックスユニット14eを離れる前にガス浄化ユニット20eによって浄化される。さらに、本発明に基づくレドックス装置10eの1つの作動方法においては、ガスリザーバ82e、84eへ流れるガス流75e、88eが、レドックスユニット12eを離れる前にガス浄化ユニット20eによって浄化される。
【0032】
図6には、本発明に基づくもう1つの代替のレドックス装置10fが示されており、この装置は、水素ガスによって形成される第1のガス及び酸素ガスによって形成される第2のガスを消費しながらレドックス反応を実施するために設けられているレドックスユニット12f、このレドックスユニット12fと物質的に連結されている別のレドックスユニット14f、及びレドックスユニット12f内に配置されている触媒ユニット22fと別のレドックスユニット14f内に配置されている触媒ユニット24fを備えているガス浄化ユニット20fを有している。レドックスユニット12fと別のレドックスユニット14fは、燃料電池−電解槽ペアとして形成されており、このとき、レドックスユニット12fはアルカリ燃料電池16fとして形成され、レドックスユニット14fは電解槽18fとして形成されている。示されている実施例は、触媒ユニット22f、24fの触媒エレメント26f、28f、30f、32fの仕様が前述の実施例とは異なっており、これらの触媒エレメントはそれぞれ、表面が白金で被覆されている中空構造を有している。触媒ユニット22fの触媒エレメント26f、28fは、ガススペース54f、56f、58f、60fからガスリザーバ82f、84fへ向かうライン63f、65f、66f、67fの出口に配置されている。従って、本発明に基づくレドックス装置10fの1つの作動方法においては、別のレドックスユニット14fからレドックスユニット12fへ流れるガス流70f、72f、74f、76fが、別のレドックスユニット14fを離れる際に少なくとも1つのガス浄化ユニット20fによって浄化される。さらに、本発明に基づくレドックス装置10fの1つの作動方法においては、ガス流75f、88fが、レドックスユニット12fを離れる際にガス浄化ユニット20fによって浄化され、そのとき、ガス流74f、75fのそれぞれの水素ガス、従ってガス流70fの水素ガスも酸素ガスによる汚染が取り除かれ、またガス流76f、88fの酸素ガス、従ってガス流72fの酸素ガスも水素ガスによる汚染が取り除かれる。基本的に、さらなる代替の実施形態において作動安全性をさらに高めるために、ライン62f、64fの中又はライン62f、64fのガススペース54f、56fへの入口にも触媒エレメント26f、28fを配置することができるか、又は電極42f、44f、46f、48fの、反応ゾーン50f、51f、52f、53fに向き合わない電極側面にも触媒層を塗布することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 レドックス装置
12 レドックスユニット
14 レドックスユニット
16 燃料電池
18 電解槽
20 ガス浄化ユニット
22 触媒ユニット
24 触媒ユニット
26 触媒エレメント
28 触媒エレメント
30 触媒エレメント
32 触媒エレメント
34 電気負荷
36 電源
38 膜
40 膜
42 電極
44 電極
46 電極
48 電極
50 反応ゾーン
51 反応ゾーン
52 反応ゾーン
53 反応ゾーン
54 ガススペース
56 ガススペース
58 ガススペース
60 ガススペース
62 ライン
63 ライン
64 ライン
65 ライン
66 ライン
67 ライン
68 ライン
70 ガス流
72 ガス流
74 ガス流
75 ガス流
76 ガス流
78 ヒータユニット
80 ヒータユニット
82 ガスリザーバ
84 ガスリザーバ
86 水リザーバ
88 ガス流
90 セルフレーム
92 セルフレーム
94 水流
図1
図2
図3
図4
図5
図6