(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のクリアファイルは、クリアファイル側にスリットを設けただけなので、クリアファイルとしての形状や寸法は既存のものと変わらず、既存のものと同様に使うことができる。
しかしながら、バインダーに綴じ込む際には、別体の突出片が必要となるので、特に、営業職のように日常的に外出する人にとっては、突出片を携行し忘れたり、不足したりした場合に、出先でクリアファイルをバインダーに綴じ込もうとしてもできない。
【0006】
本発明は上記従来の問題に着目して為されたものであり、綴込み部をクリアファイル側に完成形でもたせ、その綴込み部は非使用時にはシート片の一部を成して邪魔にならずに既存のクリアファイルと同様に書類を収容でき、その一方で綴込み使用時には綴込み可能状態に簡単に変えられるクリアファイルの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、一枚の矩形のシートの二つ折りによりできた二枚のシート片を重ね合わせ、その折り返し辺と直交する一辺どうしをシールしてなるファイル本体に、前記折り返し辺に両端が接続し、中間では一方のシート片側に膨らむ分離線と、前記折り返し辺と前記分離線の分離縁とで囲む領域内に設けられた綴じ孔とを備え、前記分離線の分離により、前記領域が前記折り返し辺で前記ファイル本体側と連設する綴込み用フラップとなる綴込み部を備えたクリアファイルにおいて、前記分離線は、中間の凸状に内方に突出する切込み線と、その両側の易破断線とで構成され、前記の連設した折り返し辺側の押え付けにより、前記切込み線の切込み縁に面した凸状部分を前記シート片側から浮き上がらせ、その浮き上がり部分を前記易破断線の引裂きによる分離作業用の掴み代として利用する
ものであり、前記分離線が前記折り返し辺から間隔をあけて略直交に内方に向けて同じだけ延びる二つの直交部分と、前記直交部分の内方端側から互いに近づく方向に一直線状に前記折り返し辺と略平行に延びる二つの平行部分と、前記平行部分のそれぞれの接近端側から延びて前記凸状に内方に突出する部分とでなり、前記二つの平行部分にはそれぞれ易破断線が形成されていることを特徴とするクリアファイルである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した綴込み部付きクリアファイルにおいて、易破断線が凹溝線で構成されていることを特徴とするクリアファイルである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した綴込み部付きクリアファイルにおいて、綴込み部は裏面となるシート片側に設けられていることを特徴とするクリアファイルである。
【0011】
請求項
4の発明は、請求項
1から3のいずれかに記載した綴込み部付きクリアファイルにおいて、綴じ孔が複数間隔をあけて設けられていることを特徴とするクリアファイルである。
【0012】
請求項
5の発明は、請求項
1から4のいずれかに記載した綴込み部付きクリアファイルにおいて、分離線は二つの平行部分に各別に設けた易破断線以外は切込み線になっており、前記切込み線と前記易破断線は、打ち抜き孔を介して連なっていることを特徴とするクリアファイルである。
【0013】
請求項
6の発明は、請求項
5に記載した綴込み部付きクリアファイルにおいて、打ち抜き孔は一直線方向に長くなった長孔であることを特徴とするクリアファイルである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のクリアファイルによれば、クリアファイル側に完成形の綴込み部が備えられているので、別体のものを使用せずに済む。また、綴込み部を利用しないときには、ファイルのシート片の一部となり、突っかかったりしないので、既存のクリアファイルと同様にスムーズに書類を収容できる。
さらに、綴込み部を作るシート片を選べるので、書類の裏面に当たるシート片側に作れば、美観も損なわない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態に係るクリアファイル1を図面にしたがって説明する。
図1で符号3はシートを示し、このシート3は透明な合成樹脂で形成されている。シート3は矩形をなしており、中央部分で二つ折りされ、折り返し辺5を境に二枚の同形状のシート片7、9に分かれている。二枚のシート片7、9は重ね合わされており、折り返し辺5と直交する二辺のうち下側辺どうしがシールされてシール部11となっている。
【0017】
ファイル本体は、上記したように既存の綴込み部の無い基本形のクリアファイルと同様に作られている。
次に、綴込み部について説明する。
符号13は、綴込み用フラップ(F1)に変わるフラップ領域を示す。このフラップ領域13は、裏面となるシート片7側に、折り返し辺5に沿って間隔をあけて二つ配置されている。従って、一つを代表して説明する。
図2に示すように、シート片7に一本の分離線15が設けられており、この分離線15の両端は折り返し辺5と間隔をあけて接続している。分離線15は線X−X(折り返し辺5に直交する線)で上下に線対称になっており、上下で分離線15(U、L)を分けて説明すると、上下側とも両端側から、折り返し辺5と直交する方向に線Y1−Y1(折り返し辺5に平行な線)まで延びた後、その上下の間隔を直径とする円弧を途中まで描き、さらに、その途中の線Y2−Y2上の部位(A)から内方では、曲率半径を小さくした円弧を描き、そのまま線X−X上で合流している。
【0018】
分離線15(U、L)のうち、両端から部位(A)に延びた部分はいずれも易破断線17で構成されている。この易破断線17は、シート片9との重ね合わせ面8側に凹溝19が形成されて厚みが50%に半減しており、易破断になっている。破断した後は、破断縁21、23ができる。
部位(A)から内方に向かう残りの円弧部分は、切込み線25で構成されている。従って、この切込み線25により、切込み縁27、29が既にできている。
なお、
図2では、縁を視認し易くするために、線巾が実際より太く描かれていることを理解されたい。
【0019】
上記した折り返し辺5と、破断縁21と切込み縁27と破断縁21とでなる一筆書き部分とで囲む領域が、フラップ領域13であり、綴込み用フラップ(F1)として使用する際には、破断縁21と切込み縁27と破断縁21とがフラップ縁となってシート片7からは分離し、シート片7とは折り返し辺5でのみ連設された状態となる。
上記した領域は全体として内方に凸状に膨らんでいるが、そのうち線Y2−Y2と切込み縁27とで囲む部分が狭くなりながら内方に凸状に延びており、その部分が掴み代(C)として利用される箇所となっている。
【0020】
符号31は綴じ孔を示し、この綴じ孔31は真円形となっている。綴じ孔31は上下に間隔を十分にあけた破断縁21、21の間で打ち抜きにより形成されている。中心は、Y1−Y1線上にあり、掴み代(C)からも十分な間隔が設けられている。従って、掴み代(C)を利用する際にも干渉せず、リングRが通されてバインダーに綴じ込まれたときにも十分な保持強度が確保される。
【0021】
フラップ領域13は、上記したように構成されており、破断する前には、シート片7の一部を略完全に成し、フラップ縁側が凹溝19の連続した易破断線17を介して安定的に連結されているので、書類が突っかかることは無い。しかも、シート3は、折り返し辺5が左辺にくるシート片9側を表面側として利用し、書類をシート片9側に表面がくるように収容するので、シート片7側に設けられたフラップ領域13は目につき難く、美観を損なわない。
【0022】
その一方で、
図2のポイントPにシート片7側は親指を、重ね合されたシート片9側からは人差し指を当てて挟み込んだ状態で押圧することで、
図3に示すように、シート片7のうちポイントP側が相対的にシート片9に向かって押し下げられ、切込み縁27に面した掴み代(C)側がその分だけ周囲のシート片7や重ね合せ側のシート片9から浮き上がる。掴み代(C)は曲率半径が小さくなっている関係で、その頂部側が掴み易い高さまで浮き上がるので、指で挟んで簡単に掴める。
【0023】
フラップ領域13は、この掴み代(C)を利用することで、シート片7側から容易に引き裂いて取り出せる。
図4(A)に示すように、
図3の要領でクリアファイルを指で挟んで押圧して、掴み代(C)を浮き上がらせる。
次に、
図4(B)に示すように、その浮き上がった掴み代(C)を指で挟み込むことで掴み、上側に持ち上げつつ折り返し辺5側に引張っていくと、2本の易破断線17が引き裂かれて破断していき、フラップ縁の一部をなす破断縁21、21が現れてくる。
易破断線17、17を折り返し辺5まで完全に引き裂くと、
図5に示すように、破断縁21と切込み縁27と破断縁21とが連なったフラップ縁が完全に現れて、綴込み用フラップ(F1)が出来上がる。
【0024】
フラップ領域13の折り返し辺5を谷側が山側となるように折って、綴込み用フラップ(F1)を、折り返し辺5を介してシート片9側と平面状に連設されるように折り返し辺5から張り出させれば、リングバインダー(B)のリング金具(R)に通せる状態となる。綴込み用フラップ(F1)を二つ作り、
図6に示すように、リング金具(R)をそれぞれの綴じ孔31に通せば、リングバインダー(B)に綴込むことができる。
なお、リング金具(R)から外して、綴込み用フラップ(F1)をシート片7側に折り戻せば、浮き上がりは若干出るにしても、矩形のシート片7内に収めることができ、基本形のクリアファイルとして再び使用できる。また、浮き上がりが気になる場合には、邪魔になれば、連設する折り返し辺5を切断して切り取ってもよい。
【0025】
本発明の第2の実施の形態に係るクリアファイル33を図面にしたがって説明する。
クリアファイル33のファイル本体は、第1の実施の形態に係るクリアファイル1のものと同様の構成を有するので、同様の構成部分についてはクリアファイル1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
図7において、符号35は、綴込み用フラップ(F2)に変わるフラップ領域を示す。このフラップ領域35は一つだけ配置されている。フラップ領域35には、二つの綴じ孔31、31が設けられているが、この綴じ孔31、31は、第1の実施の形態に係る綴込み用フラップ(F1)と同じ形状で、折り返し辺5に対して同じ位置関係で設けられている。すなわち、第1の実施の形態では、一つの綴込み用フラップ(F1)に一つの綴じ孔31が設けられていたが、この第2の実施の形態では、一つの綴込み用フラップ(F2)に二つの綴じ孔31、31が設けられていることになる。
【0026】
図8(第1の実施の形態の
図2に対応)に示すように、シート片7に一本の分離線37が設けられており、この分離線37の両端は折り返し辺5と間隔をあけて接続している。分離線37は線X−X(折り返し辺5に直交する線)で上下に線対称になっており、上下で分離線37(U、L)を分けて説明すると、上下側とも両端側から、折り返し辺5と直交する方向に線Y3−Y3(折り返し辺5に平行な線)近傍まで延びた後、丸みのついた角部を描いて方向を変え、線Y3−Y3上を互いに近づく方向に部位(B)まで延びた後、内方に凸状に膨らんだ円弧を描き、そのまま線X−X上で合流している。
分離線37(U、L)のうち、両端から部位(B)に延びた部分はいずれも易破断線17で構成されており、破断した後は、破断縁21、23ができる。
部位(B)から内方に向かう残りの円弧部分は、切込み線25で構成されている。従って、この切込み線25により、切込み縁27、29が既にできている。
【0027】
上記した折り返し辺5と、破断縁21と切込み縁27と破断縁21とでなる一筆書き部分とで囲む領域が、フラップ領域35であり、綴込み用フラップ(F2)として使用する際には、破断縁21と切込み縁27と破断縁21とがフラップ縁となってシート片7からは分離し、シート片7とは折り返し辺5でのみ連設された状態となる。
上記したフラップ領域35は全体として内方に凸状に膨らんでいるが、そのうち線Y3−Y3と切込み縁27とで囲む部分が狭くなりながら内方に凸状に延びており、その部分が掴み代(C)として利用される箇所となっている。
【0028】
この第2の実施の形態でも、各綴じ孔31は、近接する破断縁21との間に、第1の実施の形態と同様に十分な間隔が設けられている。
フラップ領域35は、上記したように構成されており、使用しない際には、第1の実施の形態のフラップ領域13と同様に、シート片7の一部を成している。
【0029】
図8のポイントPにシート片7側は親指を、重ね合されたシート片9側からは人差し指を当てて挟み込んだ状態で押圧することで、第1の実施の形態と同様に、掴み代(C)が周囲のシート片7や重ね合せ側のシート片9から浮き上がる。従って、フラップ領域35は、この掴み代(C)を利用することで、シート片7側から容易に引き裂いて取り出せる。
従って、第1の実施の形態と同じ要領で、
図9(A)に示すように、掴み代(C)を浮き上がらせ、
図9(B)に示すように、その浮き上がった掴み代(C)を指で挟み込むことで掴み、上側に持ち上げつつ折り返し辺5側に引張っていくと、2本の易破断線17が引き裂かれて破断していき、フラップ縁の一部となす破断縁21、21が出来ていき、易破断線17、17を折り返し辺5まで完全に引き裂くと、
図10に示すように、フラップ縁が完全に現れて、綴込み用フラップ(F2)が出来上がる。
【0030】
綴込み用フラップ(F2)を、折り返し辺5を介してシート片9側と平面状に連設されるように折り返し辺5から張り出させれば、リングバインダー(B)のリング金具(R)に通して綴込める。
この綴込み用フラップ(F2)は、引き裂きは一回で済む上に、二つの綴じ孔31、31を保持する関係で易破断線17が折り返し辺5と略平行な方向にも延びているので、掴み代(C)が不用意に何かに引っ掛って捲り上がり方向に引っ張られても、易破断線17が破断し難くなっている。
【0031】
本発明の第3の実施の形態に係るクリアファイル39を図面にしたがって説明する。
クリアファイル39のファイル本体は、第1の実施の形態に係るクリアファイル1のものと同様の構成を有するので、同様の構成部分についてはクリアファイル1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
図11において、符号41は綴込み用フラップ(F3)に変わるフラップ領域を示す。このフラップ領域41は、第2の実施の形態に係るフラップ領域35とほぼ同じ寸法及び形状になっており、二つの綴じ孔31、31が同様に設けられている。
【0032】
但し、フラップ領域41を画定する分離線43の中間の掴み代(C)用の切込み線25の両端部は線Y3−Y3上の長い長孔45(U)、45(L)になっており、線Y3−Y3上には、さらに同じ間隔をあけて、長孔47(U)、47(L)が設けられている。そして、易破断線17として、中間の切込み線25を挟んで、長孔45(U)と長孔47(U)を連通するものと、長孔45(L)と長孔47(L)を連通するものとが設けられている。長孔47(U)と折り返し辺5との接続までの間と、長孔47(L)と折り返し辺5との接続までの間は、切込み線27になっている。
【0033】
このフラップ領域41は、第2の実施の形態と同様に掴み代(C)を引張りながら易破断線17を引き裂くことで、シート片7から取り出すこともできるが、
図12に示すように、長孔47(L)にカッター(K)の先端を差し込み、長孔47(L)から長孔45(L)まで易破断線17を切り裂き、さらに、長孔45(U)から長孔47(U)まで易破断線17を同様に切り裂いて、フラップ領域41をシート片7側から取り出すことも可能である。カッターに代えてハサミでも可能である。
このように、道具を用いることも可能である。易破断線17の両端に長孔が設けられているので、ハサミなどの差込み側が無理なく広げられ、フラップ縁が折り曲がったりはしない。また、カッター等を当てたときにその刃先を長孔内に収まり、フラップ領域41に破断の原因となるような線状の切欠きを作ることは無い。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。