(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の間隔を開けて対向する一対の直線部(12a,12b)と前記一対の直線部(12a,12b)のそれぞれの端縁を連結する一対の連結線部(12c,12d)とを有する平形コイル(12)を成形するコイル成形装置において、
断面円形の芯棒(16)と、
前記芯棒(16)の外周に一方の直線部(12a)を軸方向に沿わせる軸方向沿わせ手段(21)と、
前記芯棒(16)の外周に前記一対の連結線部(12c,12d)を周方向に沿わせる周方向沿わせ手段(31)と
を備えるコイル成形装置。
軸方向沿わせ手段(21)は、芯棒(16)の外周に2以上の平形コイル(12)におけるそれぞれの一方の直線部(12a)を周方向に所定の間隔を開けて軸方向に沿わせるように構成され、
周方向沿わせ手段(31)は、前記芯棒(16)の外周に2以上の前記平形コイル(12)におけるそれぞれの連結線部(12c,12d)を周方向に所定の間隔を開けて周方向に沿わせるように構成された請求項1記載のコイル成形装置。
軸方向沿わせ手段(21)は、芯棒(16)の外周に一方の直線部(12a)を押しつけ可能な2以上の軸方向押しつけ具(24)と、2以上の前記軸方向押しつけ具(24)を前記芯棒(16)の外周に前記一方の直線部(12a)を押しつける押しつけ位置と前記芯棒16の外周から離間する離間位置との間で移動させる軸方向押しつけ具移動手段(23)を備え、
周方向沿わせ手段(31)は、前記芯棒(16)の外周に押しつけられた前記一方の直線部(12a)の両端に連続する一対の連結線部(12c,12d)の一端を前記芯棒(16)に押しつけ可能な2以上の周方向押しつけ具(34)と、2以上の前記周方向押しつけ具(34)を前記芯棒(16)の外周に押しつける押しつけ位置と前記芯棒(16)の外周から離間する離間位置との間で移動させる周方向押しつけ具移動手段(32)と、2以上の前記周方向押しつけ具(34)を前記芯棒(16)の周囲に回転させる回転手段(41)とを備えた
ことを特徴とする請求項2記載のコイル成形装置。
請求項3記載のコイル成形装置(10)を用い、所定の間隔を開けて対向する一対の直線部(12a,12b)と前記一対の直線部(12a,12b)のそれぞれの端縁を連結する一対の連結線部(12c,12d)とを有する複数の平形コイル(12)を同時に成形するコイル成形方法であって、
軸方向沿わせ手段(21)により複数の前記平形コイル(12)のそれぞれの一方の直線部(12a)を芯棒(16)の外周に周方向に所定の間隔を開けて軸方向に沿わせて支持させ、
周方向沿わせ手段(31)における周方向押しつけ具(34)を前記芯棒(16)の周囲から前記一方の直線部(12a)の両端に連続する前記一対の連結線部(12c,12d)のそれぞれの一端に押しつけ、
押しつけられた前記周方向押しつけ具(34)を前記芯棒(16)の周囲に回転させて前記一対の連結線部(12c,12d)を前記芯棒(16)の周囲に順次沿わせる
ことを特徴とするコイル成形方法。
複数の平形コイル(12)のそれぞれの一方の直線部(12a)を支持する芯棒(16)の周方向距離よりも一対の連結線部(12c,12d)の長さを長くして、前記芯棒(16)の周囲に順次沿わせる前記一対の連結線部(12c,12d)の他端を隣接する平形コイルの一対の連結線部(12c,12d)に外側から重ねる請求項4記載のコイル成形方法。
複数の平形コイル(12)は外周表面に融着層が形成された線材(11)を断面が方形を成す巻芯に巻回して得られ、得られた前記複数の平形コイル(12)の前記有着層を溶融又は軟化させた状態で成形し、硬化させた後に芯棒(16)から取り外す請求項4又は5記載のコイル成形方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、プレス金型を利用したプレス成形では、プレス成形される平形コイルが、所定の間隔を開けて対向する一対の直線部と、その一対の直線部のそれぞれの端縁を連結する一対の連結線部とを有する。
【0007】
そして、平形コイルの直線部と連結線部が一時に同時に成形されるために、そのプレス成形時に線材の一部に引っ張り応力が生じて、局部的に断線が生じるおそれがあった。
【0008】
特に、小型のコアレスモータに用いられるコイルにあっては、使用される線材が比較的細いことから、プレス成形により鞍形等を成す非平板状コイルを得ようとすると、そのプレス成形時に断線が比較的生じやすい傾向にある。
【0009】
また、このような鞍型を成す非平板状コイルを使用するモータが、ロータを3相駆動する3相同期モータであるような場合には、U相、V相、W相からなる3相の各相毎の鞍形コイルを周方向において一部が重複するように隣り合って設けられる。
【0010】
このため、このような3相同期モータに使用される鞍形コイルが別々に成形されるとなると、1つのモータを製造するに際して3箇のコイルが必要となり、コイル製造時間が増加する不具合があった。
【0011】
更に、そのような3相同期モータに使用される3箇の鞍形コイルは、
図13に示すように、各鞍形コイル13の一方の直線部13aが他のコイル13の下側に成り、各鞍形コイル13の他方の直線部13bが他のコイル13の上側に成るように一部が重複して、周方向に隣り合って設けられる。このため、各相毎の鞍形コイル13が別々に製造されるとなると、各鞍形コイルの一方の直線部13aが他のコイル13の下側に成る様に組み立てる必要が生じ、それらの組み立ての自動化が困難となる不具合もあった。
【0012】
本発明の目的は、平形コイルを断線させること無く成形し得るコイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、複数の平形コイルを同時に成形して複数の非平板状コイルを同時に得ることによりコイル成形時間を短縮し得るコイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法を提供することにある。
【0014】
本発明の更に別の目的は、複数の非平板状コイルを周方向に一部重複するように組み合わされた状態で得ることができるコイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のコイル成形装置は、所定の間隔を開けて対向する一対の直線部と一対の直線部のそれぞれの端縁を連結する一対の連結線部とを有する平形コイルを成形するものである。
【0016】
その特徴ある構成は、断面円形の芯棒と、芯棒の外周に一方の直線部を軸方向に沿わせる軸方向沿わせ手段と、芯棒の外周に一対の連結線部を周方向に沿わせる周方向沿わせ手段とを備えたところにある。
【0017】
そして、軸方向沿わせ手段は、芯棒の外周に2以上の平形コイルにおけるそれぞれの一方の直線部を周方向に所定の間隔を開けて軸方向に沿わせるように構成され、周方向沿わせ手段は、芯棒の外周に2以上の平形コイルにおけるそれぞれの連結線部を周方向に所定の間隔を開けて周方向に沿わせるように構成されることが好ましい。
【0018】
この場合、軸方向沿わせ手段は、芯棒の外周に一方の直線部を押しつけ可能な2以上の軸方向押しつけ具と、2以上の軸方向押しつけ具を芯棒の外周に一方の直線部を押しつける押しつけ位置と芯棒の外周から離間する離間位置との間で移動させる軸方向押しつけ具移動手段とを備え、周方向沿わせ手段は、芯棒の外周に押しつけられた一方の直線部の両端に連続する一対の連結線部の一端を芯棒に押しつけ可能な2以上の周方向押しつけ具と、2以上の周方向押しつけ具を芯棒の外周に押しつける押しつけ位置と芯棒の外周から離間する離間位置との間で移動させる周方向押しつけ具移動手段と、2以上の押しつけ具を芯棒の周囲に回転させる回転手段とを備えることができる。
【0019】
一方、本発明のコイル成形方法は、上記コイル成形装置を用い、所定の間隔を開けて対向する一対の直線部と一対の直線部のそれぞれの端縁を連結する一対の連結線部とを有する複数の平形コイルを同時に成形するものである。
【0020】
その特徴ある点は、軸方向沿わせ手段により複数の平形コイルのそれぞれの一方の直線部を芯棒の外周に周方向に所定の間隔を開けて軸方向に沿わせて支持させ、周方向沿わせ手段における周方向押しつけ具を芯棒の周囲から一方の直線部の両端に連続する一対の連結線部のそれぞれの一端に押しつけ、押しつけられた周方向押しつけ具を芯棒の周囲に回転させて一対の連結線部を芯棒の周囲に順次沿わせることを特徴とする。
【0021】
この場合、複数の平形コイルのそれぞれの一方の直線部を支持する芯棒の周方向距離よりも一対の連結線部の長さを長くして、芯棒の周囲に順次沿わせる一対の連結線部の他端を隣接する平形コイルの一対の連結線部に外側から重ねることが好ましい。
【0022】
また、この方法における複数の平形コイルは外周表面に融着層が形成された線材を巻芯に巻回して得られ、得られた複数の平形コイルの有着層を溶融又は軟化させた状態で成形し、硬化させた後に芯棒から取り外すことが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明のコイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法では、平形コイルの直線部の心棒への押付けと、連結線部の成形が別に行われ、その連結線部の成形は、芯棒の外周に順次沿わせることにより行われる。このため、これらを同時に成形するプレス成形と異なり、線材の一部に引っ張り応力を生じさせずに成形することが可能になり、平形コイルを断線させること無く成形することができる。
【0024】
そして、軸方向沿わせ手段及び周方向沿わせ手段が芯棒の周囲に複数の平形コイルを沿わせるように構成すれば、複数の平形コイルを同時に成形して複数の非平板状コイルを同時に得ることが可能になり、単一のコイル成形に係る時間を従来より短縮させることができる。
【0025】
この場合、複数の平形コイルのそれぞれの一方の直線部を支持する芯棒の周方向距離よりも一対の連結線部の長さを長くすれば、芯棒の周囲に順次沿わせる一対の連結線部の他端は隣接する平形コイルの一対の連結線部に外側から重なることになり、複数の非平板状コイルを周方向に一部重複するように組み合わされた状態に成形することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1及び
図2に、本発明におけるコイル成形装置10を示す。このコイル成形装置10は平形コイル12(
図12)を成形するものであって、
図12(a)に示すように、平形コイル12は、所定の間隔を開けて対向する一対の直線部12a,12bと、その一対の直線部12a,12bのそれぞれの端縁を連結する一対の連結線部12c,12dとを有するものである。
【0029】
この平形コイル12は、図示しないが、断面が方形の巻芯を回転させて、線材11をその巻芯の外周に巻回して径方向に複数層積層巻回することにより得ることができる。このような巻芯を回転させるような巻線機は市販されているので、そのような市販の巻線機を用いて、本発明において用いる平形コイル12を得ることができる。よって、この巻線機に関する詳細な説明は省略する。
【0030】
図12(b)には、この実施の形態のコイル成形装置10により得られる非平板状コイル13を示す。この非平板状コイル13は、所定の間隔を開けて対向する一対の直線部13a,13bと、その一対の直線部13a,13bの端縁を円弧状を成して連結する円弧部13b,13dとを有するいわゆる鞍形コイル13である。
【0031】
成形前の平形コイル12及び成形後の非平板状コイル13を構成する線材11は、断面が円形を成し、熱風又は溶剤により溶融又は軟化する融着層が外周表面に形成された自己融着性線材(いわゆるセメントワイヤー)が使用される。
【0032】
このため、成形前の平形コイル12及び成形後の非平板状コイル13を形成して隣接する各線材11は互いに接触するとともに、接触する各線材11が互いに融着層により固着されており、これによって成形前の平形コイル12及び成形後の非平板状コイル13の形状は維持されるものとする。
【0033】
平形コイル12を成形する本発明のコイル成形装置10は、平形コイル12の一対の直線部12a,12bをその幅方向に湾曲させ、その一対の連結線部12c,12dを長手方向に湾曲させるものである。
【0034】
このため、
図1及び
図2に示すように、本発明のコイル成形装置10は、断面円形の芯棒16と、その芯棒16の外周に一方の直線部12aを軸方向に沿わせる軸方向沿わせ手段21と、その芯棒16の外周に一対の連結線部12c,12dを周方向に沿わせる周方向沿わせ手段31とを備える。
【0035】
この実施の形態では、3相同期モータに用いられる3箇の鞍形コイル13(
図12)を同時に得るために、芯棒16の周囲に3箇の平形コイル12を同時に沿わせることが可能な軸方向沿わせ手段21及び周方向沿わせ手段31が設けられる場合を示す。
【0036】
図3及び
図4に示すように、軸方向沿わせ手段21は、芯棒16の外周に3個の平形コイル12のぞれぞれの一方の直線部12a(
図12)を押しつけるための3個の軸方向押しつけ具24と、その3個の軸方向押しつけ具24を芯棒16の外周に一方の直線部12aを押しつける押しつけ位置と、その芯棒16の外周から離間する離間位置との間で移動させる軸方向押しつけ具移動手段23とを備える。
【0037】
3箇の軸方向押しつけ具24を備えるこの実施の形態では、3個の軸方向押しつけ具24が放射状に設けられる場合を例示し、軸方向押しつけ具移動手段23は、その本体部23dが基台10a上に固定して設けられる(
図1及び
図2)。
【0038】
軸方向押しつけ具移動手段23は、流体圧により軸方向押しつけ具24を移動させる流体圧シリンダ23であって、その本体部23dの上部には水平なテーブル23cが設けられる。
【0039】
このテーブル23cの中央には、芯棒16の下端が取付けられる取付具23eが設けられ、この取付具23eを介して芯棒16が鉛直方向上方に延びてその取付具23eから離脱可能に立設される。
【0040】
この実施の形態における芯棒16は、上端から嵌入されたボビン14(
図7)の下端が当接する第1段部16a(
図4)と、そのボビン14の外周に一方の直線部12aが沿う平形コイル12の下縁が当接する第2段部16b(
図4)が形成されたものを例示する。
【0041】
軸方向押しつけ具移動手段23におけるテーブル23cの上面には、3本の支持レール23aが120度毎にテーブル23cの中央部分、即ち、芯棒16を中心として放射状に設けられる。
【0042】
この3本の支持レール23aには、流体圧により支持スライダ23bが移動可能にそれぞれ設けられ、これらの支持スライダ23bに軸方向押しつけ具24がそれぞれ取付けられる。
【0043】
3個の軸方向押しつけ具24は芯棒16に近づいて互いの間隔を狭めることにより芯棒16の外周に一方の直線部12aを押しつけるものであり、支持スライダ23bに載置される載置部24aと、その載置部24aに立設された立設部24cと、その立設部24cの芯棒16に臨む側に形成され互いの間隔を狭めた場合に芯棒16の外周に一方の直線部12aを実際に押しつける当接部24bとを備える。
【0044】
そして、この軸方向押しつけ具移動手段23は、本体部23dへの圧縮エアの供給によりスライダ23bを介してその3個の軸方向押しつけ具24を放射状に移動可能に構成され、放射状に移動することにより3個の軸方向押しつけ具24は、
図3の破線矢印で示すように互いの間隔を拡げ、又は
図3の実線矢印で示すように互いの間隔を縮めるように構成される。
【0045】
図2に示すように、軸方向沿わせ手段21に隣接して基台10aには支持部材26が立設され、この支持部材26には昇降用エアシリンダ27が取付けられる。この昇降用エアシリンダ27は支持部材26に取付けられた本体部27bと、その本体部27bに昇降可能に取付けられ圧縮エアの供給により昇降する可動スライダ27aとを有し、この可動スライダ27aに取付部材28が取付けられる。そして、この取付部材28に周方向沿わせ手段31が取付けられる。
【0046】
このように周方向沿わせ手段31は昇降用エアシリンダ27を介して軸方向沿わせ手段21の上方に取付けられ、昇降用エアシリンダ27はその可動スライダ27aを昇降させることにより周方向沿わせ手段31を軸方向沿わせ手段21の上方において上下動可能に構成される。
【0047】
図5及び
図6に示すように、周方向沿わせ手段31は、3個の周方向押しつけ具34と、その周方向押しつけ具34を移動させる周方向押しつけ具移動手段32と、その周方向押しつけ具34を芯棒16の周囲に回転させる回転手段41とを備える。
【0048】
3箇の周方向押しつけ具34を備えるこの実施の形態では、3個の周方向押しつけ具34が放射状に設けられる場合を例示し、周方向押しつけ具移動手段32は、3個の周方向押しつけ具34が放射状に移動可能に設けられる操作具33と、この操作具33を操作して流体圧により周方向押しつけ具34を移動させるエアシリンダ36(
図2)とを備える。
【0049】
操作具33は、その本体部33dの上部中央に円柱部33eがその軸を鉛直方向に向けて設けられる。取付部材28には、円柱部33eの軸心が芯棒16(
図2)の軸心と一致するように、その円柱部33eがベアリング29を介して取付けられる。
【0050】
操作具33における本体部33dの下面には3本の把持レール33aが、円柱部33eの軸心、即ち、芯棒16の軸心を中心として、120度毎にその中央部分から放射状に設けられ(
図6)、これらの把持レール33aに把持スライダ33b(
図5)が移動可能にそれぞれ設けられる。そしてこれらの把持スライダ33bに周方向押しつけ具34がそれぞれ取付けられる。
【0051】
図1及び
図2に示す昇降用エアシリンダ27は、可動スライダ27aとともに周方向沿わせ手段31を実線矢印で示すように下降させると、
図9に示すように、周方向沿わせ手段31における3個の周方向押しつけ具34が芯棒16の周囲に位置するように調整される。
【0052】
そして、
図1及び
図2に示すように、可動スライダ27aとともに周方向沿わせ手段31を破線矢印で示すように上昇させると、周方向沿わせ手段31における3個の周方向押しつけ具34も上昇して、その芯棒16と周方向沿わせ手段31との間に作業空間を形成し、その作業空間を介して作業員が軸方向沿わせ手段21により3個の平形コイル12のそれぞれの一方の直線部12aを芯棒16の外周に支持させ、或いは軸方向沿わせ手段21により支持された成形後の鞍型コイル13をその軸方向沿わせ手段21から取外すことができるように構成される。ここで、可動スライダ27aの上昇位置を調整するための調整ネジを、
図1及び
図2に符号27cにおいて示す。
【0053】
図5及び
図6に示すように、この実施の形態の周方向沿わせ手段31における操作具33は、円柱部33eの上部に3個の周方向押しつけ具34を移動させる操作用突起33fが設けられた市販のものが用いられる。
【0054】
この操作用突起33fは、上方から押圧されることにより把持スライダ33bを周方向押しつけ具34とともに把持レール33aに沿って移動させ、
図10に示すように3個の周方向押しつけ具34の互いの間隔を縮め、押圧された操作用突起33fが引き戻されることにより、
図5及び
図6に示すように、把持スライダ33bとともに3個の周方向押しつけ具34の互いの間隔を拡大するように構成される。
【0055】
そして、この操作具33は、その円柱部33eが取付部材28にベアリング29を介して鉛直なその中心軸を回転中心として回転可能に取付けられ、その回転中心である中心軸は芯棒16の中心軸に一致するように取付けられる。
【0056】
図9及び
図10に示すように、周方向押しつけ具34は、芯棒16の外周に押しつけられた一方の直線部12aの両端に連続する一対の連結線部12c,12dのそれぞれの一端を芯棒16に押しつけるものである。即ち、3個の軸方向押しつけ具24は芯棒16に近づいて互いの間隔を狭めることにより芯棒16の外周に一対の連結線部12c,12dのそれぞれの一端を押しつけるように構成される。
【0057】
そして、3個の周方向押しつけ具34は、
図5に示すように、把持スライダ33bに載置される載置部34dと、その載置部34dから垂下して設けられた垂下部34aと、その垂下部34aの芯棒16に臨む中央側に形成され、互いの間隔を狭めた場合に芯棒16の外周に一対の連結線部12c,12dのそれぞれの一端を実際に押しつける当接部34b,34cとを備える。
【0058】
図9及び
図10に示すように、周方向押しつけ具34における当接部34b,34cは軸方向押しつけ部24の当接部24bを挟むように設けられる。これにより、下降状態の周方向沿わせ手段31は、芯棒16の周囲に位置する3個の周方向押しつけ具34の互いの間隔を縮めることにより、軸方向押しつけ部24の当接部24bの両側において、その当接部34b,34cを一対の連結線部12c,12dに接触させて、その一対の連結線部12c,12dを芯棒16の外周に沿わせるように構成される。
【0059】
また、
図1及び
図2に示すように、操作具33における操作用突起33fを押圧し又は引き戻す操作用エアシリンダ36は、昇降用エアシリンダ27における可動スライダ27aに設けられる。
【0060】
そして、周方向押しつけ具移動手段32を構成するこのエアシリンダ36は、操作用突起33fを押圧することにより、周方向押しつけ具34を芯棒16の外周に一対の連結線部12c,12dに押しつける押しつけ位置にまで移動させ、逆に、その操作用突起33fを引き戻すことにより、それぞれの周方向押しつけ具34を芯棒16の外周から離間させ離間位置にまで移動させるように構成される。
【0061】
一方、回転手段41は、押しつけ位置の周方向押しつけ具34を芯棒16の周囲に回転させるものであり、操作具33の円柱部33eに設けられた従動プーリ42と、その円柱部33eをベアリング29を介して支持する取付部材28に設けられた電動モータ43と、電動モータ43の回転軸43aにおける駆動プーリ44と円柱部33eに設けられた従動プーリ42の間に掛け渡されたベルト46とを有する。
【0062】
そして電動モータ43が駆動し、その回転軸43aが正転又は逆転すると駆動プーリ44も正転又は逆転し、その回転がベルト46を介して従動プーリ42に伝達されて、周方向押しつけ具34が設けられた操作具33が、その周方向押しつけ具34とともに芯棒16の中心軸を回転中心として正転又は逆転するように構成される。
【0063】
そして、
図1、
図11に示すように、軸方向沿わせ手段21における軸方向押しつけ具24が支持する平形コイル12の一対の連結線部12c,12dの一端に周方向沿わせ手段31における複数の周方向押しつけ具34が当接した状態で、その複数の周方向押しつけ具34を芯棒16を中心に実線矢印で示すように回転させると、複数の周方向押しつけ具34は、回転することのない平形コイル12における一対の連結線部12c,12dを芯棒16の外周に周方向に順次押しつけるように構成される。
【0064】
また、この実施の形態における周方向沿わせ手段31は、エアシリンダ36に供給されるエア圧により複数の周方向押しつけ具34を放射状に移動させるので、一対の連結線部12c,12dを芯棒16の外周に周方向に順次押しつける際に、その連結線部12c,12dが隣接する平形コイル12の連結線部12c,12dに乗り上げて、周方向押しつけ具34が押しつける芯棒16を中心とする連結線部12c,12dの半径が拡大すると、圧縮エアのエア圧に抗して複数の周方向押しつけ具34の互いの間隔を拡げ、その半径の拡大を許容するように構成される。
【0065】
図1に戻って、コイル成形装置10は、軸方向沿わせ手段21と周方向沿わせ手段31を制御するコントローラ51を備える。コントローラ51の制御出力は軸方向沿わせ手段21における流体圧シリンダ23へ圧縮エアを供給する支持用バルブ52、周方向沿わせ手段31における操作具33に圧縮エアを供給する当接用バルブ53、その周方向沿わせ手段31を上下動させる昇降用エアシリンダ27に圧縮エアを供給する昇降用バルブ54及び電動モータ43に接続される。
【0066】
ここで、
図1の符号56は、軸方向沿わせ手段21、操作用エアシリンダ36及び昇降用エアシリンダ27に圧縮エアを供給する圧縮エア源56であり、符号57は、このコイル成形装置10を駆動させるための操作スイッチ57である。
【0067】
次に、上述したコイル成形装置を用いた本発明におけるコイル成形方法について説明する。
【0068】
このコイル成形方法は、軸方向沿わせ手段21により複数の平形コイル12のそれぞれの一方の直線部12aを芯棒16の外周に周方向に所定の間隔を開けて軸方向に沿わせて支持させるコイル支持工程と、周方向沿わせ手段31における周方向押しつけ具34を芯棒16の周囲から一方の直線部12aの両端に連続する一対の連結線部12c,12dの一端に押しつける押しつけ具押しつけ工程と、押しつけられた周方向押しつけ具34を芯棒16の周囲に回転させて一対の連結線部12c,12dを芯棒16の周囲に周方向に沿わせる連結線部沿わせ工程と、一対の連結線部12c,12dが芯棒16の周囲に周方向に沿って湾曲し、それにより得られた複数の非平板状コイル13を芯棒16から取外す取外し工程とを有する。
【0070】
<コイル支持工程>
この工程では、軸方向沿わせ手段21により複数の平形コイル12のそれぞれの一方の直線部12aを芯棒16の外周に周方向に所定の間隔を開けて軸方向に沿わせて支持させる。従って、先ず複数の平形コイル12を準備する。
【0071】
図示しないが、この平形コイル12の作製は、市販の巻線機を用いて行われ、その断面が方形の巻芯を回転させて、外周表面に融着層が形成された線材11を加熱しつつその巻芯の外周に巻回し、更に径方向に複数層積層巻回することにより
図12(a)に示すような平形コイル12を得ることができる。
【0072】
このような平形コイル12を支持させる以前の状態では、
図2の破線矢印で示すように周方向沿わせ手段31を上昇させて軸方向沿わせ手段21の上方に作業空間を形成し、
図3の実線矢印で示すように軸方向沿わせ手段21における複数の軸方向押しつけ具24は互いに離間させて、芯棒16から遠ざけておく。
【0073】
図13に示すように、この実施の形態ではボビン14の周囲に得られた複数の非平板状コイル13を組み付ける場合を説明し、
図7に示すように、そのボビン14を軸方向沿わせ手段21の上方に作業空間から芯棒16に上方から嵌入させて、その下端を第1段部16a(
図4)に当接させて位置決めを行う。
【0074】
ここで、このボビン14は芯棒16に嵌入する筒部14aと、その筒部14aの周囲から軸方向に延びて放射状に設けられた複数のリブ14bとを備えるものを例示する。
【0075】
そして、
図8に示すように、複数の平形コイル12、この実施の形態では、3個の平形コイル12は、それぞれの一方の直線部12aを芯棒16の外周に周方向に所定の間隔を開けて軸方向に沿わせる。
【0076】
この実施の形態では、ボビン14を用いるので、それぞれの一方の直線部12aは、120度毎に、ボビン14のリブ14bとリブ14bの間の筒部14aに沿わせられる。そして、そのボビン14の外周に一方の直線部12aが沿う平形コイル12の下縁を芯棒16の第2段部16b(
図4)に当接させて、その位置決めを行う。
【0077】
その後、操作スイッチ57を操作して、コントローラ51からの指令により支持用バルブ52を介して軸方向沿わせ手段21における本体部23dに圧縮エアを供給又は排出し、
図3の実線矢印で示すように複数の軸方向押しつけ具24を放射状に移動させて互いの間隔を縮め、
図8に示すように、軸方向押しつけ具24における当接部24bを平形コイル12の一方の直線部12aに当接させる。
【0078】
このようにして3個の平形コイル12のそれぞれの一方の直線部12aを芯棒16の外周に周方向に所定の間隔(120度毎)を開けて軸方向に沿わせて支持させる。そして、芯棒16に嵌入されたボビン14の筒部14aに押しつけることにより、各平形コイル12の一方の直線部12aを、筒部14aに沿って幅方向に湾曲させる。
【0079】
<押しつけ具押しつけ工程>
この工程では、周方向沿わせ手段31における周方向押しつけ具34を芯棒16の周囲から一方の直線部12aの両端に連続する一対の連結線部12c,12dの一端に押しつける。即ち、芯棒16の周囲に放射状に設けられた複数の周方向押しつけ具34の互いの間隔を縮めて一対の連結線部12c,12dの一端に複数の周方向押しつけ具34をそれぞれ当接させる。
【0080】
具体的に、複数の周方向押しつけ具34を当接させるために、周方向沿わせ手段31を下降させる。この下降はコントローラ51により昇降用バルブ54を操作し、昇降用エアシリンダ27に圧縮エアを供給又は排出して
図2の実線矢印で示すようにその可動スライダ27aを下降させることにより行われる。これにより、周方向沿わせ手段31における複数の周方向押しつけ具34を芯棒16の周囲に配置する。
【0081】
次に、コントローラ51は当接用バルブ53を操作し、操作用エアシリンダ36の出没ロッド36a(
図1及び
図2)を突出させることにより周方向沿わせ手段31における操作用突起33fを押圧し、
図6の実線矢印で示すように複数の周方向押しつけ具34の互いの間隔を縮める。これにより、
図9及び
図10に示すように、軸方向沿わせ手段21により支持された3個の平形コイル12の一方の直線部12aの両端に連続する一対の連結線部12c,12dの一端に複数の周方向押しつけ具34における当接部34b,34cを押しつける。
【0082】
<連結線部沿わせ工程>
この工程では、押しつけられた周方向押しつけ具34を芯棒16の周囲に回転させて一対の連結線部12c,12dを芯棒16の周囲に周方向に沿わせる。芯棒16を中心とした周方向押しつけ具34の回転は、
図1に示す電動モータ43を駆動することにより行われ、その回転軸43aに設けられた駆動プーリ44が回転することにより、ベルト46を介して従動プーリ42とともに周方向沿わせ手段31である操作具33が芯棒16の中心軸を回転中心として回転することになる。
【0083】
ここで、軸方向沿わせ手段21における軸方向押しつけ具24が支持する平形コイル12は、その一方の直線部12aが芯棒16に押しつけられているので、その平形コイル12は回転することがない。
【0084】
このため、周方向沿わせ手段31における複数の周方向押しつけ具34が当接した平形コイル12の一方の直線部12aの両端に連続する一対の連結線部12c,12dは、
図11の実線矢印で示すように、その複数の周方向押しつけ具34が回転移動すると、回転しない一対の連結線部12c,12dをその一端側から順次芯棒16に押しつけることになって、その一対の連結線部12c,12dを芯棒16の外周に周方向に順次沿わせることになる。
【0085】
そして、一対の連結線部12c,12dの全てが芯棒16に押しつけられた状態で、他方の直線部12b(
図9及び
図12)は芯棒16に沿うことになる。
【0086】
すると、平形コイル12の対向する一対の直線部12a,12b(
図12(a))は芯棒16の長手方向に沿って残存し、一対の直線部12a,12bの両端に連続する一対の連結線部12c,12dは芯棒16の周方向に沿って湾曲するので、
図12(b)に示すように、その一対の直線部12a,12bは所定の間隔を開けて対向する一対の直線部13a,13bとなり、その一対の一対の連結線部12a,12bは湾曲して、その一対の直線部13a,13bの端縁を円弧状を成して連結する円弧部13b,13dとなる。これにより、いわゆる鞍型の非平板状コイル13を複数個同時に得ることができる。
【0087】
このように、本発明のコイル成形装置10及びそれを用いたコイル成形方法では、平形コイル12の直線部12aの心棒16への押付けと、連結線部12c,12dの成形を別に行う。
【0088】
また、その連結線部12c,12dの成形は、芯棒16の外周に順次沿わせることにより行われる。このため、これらを同時に成形する従来のプレス成形と異なり、線材11の一部に引っ張り応力を生じさせずに成形することが可能になり、平形コイル12を断線させること無く成形することができる。
【0089】
そして、芯棒16の周囲に軸方向沿わせ手段21及び周方向沿わせ手段31が芯棒16の周囲に複数の平形コイル12を沿わせるようにしたので、複数の平形コイル12を同時に成形して複数の非平板状コイル13を同時に得ることが可能になり、単一のコイル成形に係る時間を従来より短縮させることができる。
【0090】
ここで、複数の平形コイル12のそれぞれの一方の直線部12aを支持する芯棒16の周方向距離よりも一対の連結線部12c,12dの長さW(
図12(a))を長くすると、周方向押しつけ具34の芯棒16を中心とする回転により、
図11に示すように、芯棒16の周囲に順次沿うことになる一対の連結線部12c,12dは、その他端が隣接する平形コイル12の一対の連結線部12c,12dに外側から重なることになる。
【0091】
このように連結線部12c,12dが隣接する平形コイル12の連結線部12c,12dに乗り上げてその外側から重なるようになると、周方向押しつけ具34が押しつける芯棒16を中心とする連結線部12c,12dの半径は拡大することになる。けれども、この実施の形態における周方向沿わせ手段31は、エアシリンダ36(
図1及び
図2)に供給されるエア圧により複数の周方向押しつけ具34を放射状に移動させるので、圧縮エアのエア圧に抗して複数の周方向押しつけ具34の互いの間隔を拡げることが可能になり、その半径の拡大は許容される。
【0092】
従って、複数の平形コイル12のそれぞれの一方の直線部12aを支持する芯棒16の周方向距離よりも一対の連結線部12c,12dの長さを長くすることにより、芯棒16の周囲に順次沿わせる一対の連結線部12c,12dの他端は隣接する平形コイル12の一対の連結線部12c,12dに外側から重なり、
図11に示すように、複数の非平板状コイル12を周方向に一部重複するように組み合わされた状態に成形することが可能になる。
【0093】
<取外し工程>
この工程では、一対の連結線部12c,12dが芯棒16の周囲に周方向に沿うことにより湾曲し、このように成形して得られた複数の非平板状コイル13を芯棒16から取外す。
【0094】
なお、表面に有着層を有する線材11を用いるこの実施の形態では、コイル支持工程における一方の直線部12aの支持、押しつけ具押しつけ工程、及び連結線部沿わせ工程はその融着層を溶融又は軟化させた状態で行われる。
【0095】
即ち、その融着層が熱風により溶融又は軟化するものである場合には、図示しない熱風発生器が設けられ、この熱風発生器から発せられる熱風を各平板状コイル12に吹き付け、それにより平板状コイル12を構成する線材11の融着層を溶融又は軟化させる。
【0096】
そして、その状態で、コイル支持工程における一方の直線部12aの支持、押しつけ具押しつけ工程、及び連結線部沿わせ工程が行われる。
【0097】
また、その融着層が溶剤により溶融又は軟化するものである場合には、塗布、浸漬又は散布された溶剤により平板状コイル12を構成する線材11の融着層を溶融又は軟化させ、その状態で、コイル支持工程における一方の直線部12aの支持、押しつけ具押しつけ工程、及び連結線部沿わせ工程が行われる。
【0098】
そして、それらにより非平板状コイル13を得た後に線材11の融着層を固化させて線材11を互いに接着し、成形により得られた鞍型を成す非平板状コイル13の形状を維持させる。このようにして得られた非平板状コイル13をその形状が維持可能な状態とし、その後この取り外し工程が行われるものとする。
【0099】
この取外し工程における具体的な手順は、コントローラ51により当接用バルブ53を操作し、操作用エアシリンダ36の出没ロッド36a(
図1及び
図2)を没入させ、周方向沿わせ手段31における操作用突起33fを引き戻して、
図6の破線矢印で示すように複数の周方向押しつけ具34の互いの間隔を拡げる。これにより、平形コイル12の外周に当接していた複数の周方向押しつけ具34をその外周から離間させる。
【0100】
その後、コントローラ51により昇降用バルブ54を操作し、昇降用エアシリンダ27における可動スライダ27aを上昇させ、
図2の破線矢印で示すようにその可動スライダ27aとともに周方向沿わせ手段31を上昇させ、軸方向沿わせ手段21の上方に作業空間を形成する。
【0101】
これと同時に又はその後、コントローラ51により支持用バルブ52を操作して軸方向沿わせ手段21における複数の軸方向押しつけ具24を
図3の実線矢印で示すように放射状に移動させて互いに遠ざけ、得られた鞍型を成す非平板状コイル13の一方の直線部13aを芯棒16に押しつけていた軸方向押しつけ具24をその直線部12aから離間させる。
【0102】
そして、平形コイル12の上方であって、その平形コイル12と周方向沿わせ手段31との間に形成された作業空間を介して作業員又は図示しない取出しロボットが軸方向沿わせ手段21により押さえられていた複数の非平板状コイル13をボビン14とともに上方に移動させて、芯棒16から取外す。
【0103】
これにより一連の非平板状コイル13の製造を終了させ、次の非平板状コイル13の製造を、前述したコイル支持工程から再び開始させる。このようにすれば、所望の形状を有する非平板状コイル13を連続的に得ることが可能となる。
【0104】
そして、複数の平形コイル12のそれぞれの一方の直線部12aを支持する芯棒16の周方向距離よりも一対の連結線部12c,12dの長さを長くしたので、取外された3個の非平板状コイル13は、
図13に示すように、各非平板状コイル13の一方の直線部13aが他のコイル13の下側に成り、各非平板状コイル13の他方の直線部13bが隣接する非平板状コイル13の上側に成るように周方向の一部が重複して、周方向に隣り合って設けられるものとなる。
【0105】
よって、本発明のコイル成形装置10及びそれを用いたコイル成形方法では、複数の非平板状コイル13を周方向に一部重複するように組み合わされた状態に成形することが可能になるのである。
【0106】
なお、上述した実施の形態では、周方向沿わせ手段31において周方向押しつけ具34を芯棒16を中心として回転させる回転手段41として、電動モータ43を用いたけれども、この回転手段41は、電動モータ43に代えて流体圧シリンダや流体圧モータを用いても良い。
【0107】
また、上述した実施の形態では、芯棒16に嵌入されたボビン14の周囲に3個の平形コイル12を支持させたけれども、ボビン14は必ずしも必要でなく、平形コイル12の数は3個に限定されるものではない。よって、ボビン14を設けることなく、芯棒16の周囲に2個又は4個又は5個以上の平形コイル12を支持させるようにしても良い。このようにしても、複数の平形コイル12を同時に成形して複数の非平板状コイル13を同時に得ることが可能になり、単一のコイル成形に係る時間を従来より短縮させることができる。
【0108】
更に、上述した実施の形態では、断面が丸形を成す線材11を用いて説明したが、線材11はその断面が方形を成すいわゆる角線であっても良い。