特許第6284169号(P6284169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6284169多孔質な3次元構造を有するインプラント用材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284169
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】多孔質な3次元構造を有するインプラント用材料
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20180215BHJP
   A61K 6/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   A61C8/00 Z
   A61K6/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-512430(P2016-512430)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公表番号】特表2016-527924(P2016-527924A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】IB2013000971
(87)【国際公開番号】WO2014181144
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2016年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】515011715
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー ”アルティミッド”
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ドスタ、アナトリ、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ハラウコ、アレクサンドル、アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ドスタ、ドミトリ、エー.
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−141163(JP,A)
【文献】 特開昭46−3095(JP,A)
【文献】 特開2008−295777(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/154296(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0009103(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質な3次元構造を有する3次元体として作られたインプラント用材料であって、当該材料は、貫通した孔と、均一に配置され当該内側表面に連結した片側が開口した穴であって、当該穴は150−300μmの範囲で任意的に分配されたサイズを有する前記片側が開口した穴とを有し、チタニウムもしくはチタニウム合金で作製された補強要素を具備するものであり、
当該補強要素はメッシュ状に形成され、当該メッシュの外側表面に均一に分配され前記3次元体の表面に配置され、各々が直方体であって、補強要素の厚さに一致した厚みを有する突起部を有する補強要素であることを特徴とする、材料。
【請求項2】
請求項1に記載の材料であって、前記補強要素の外側の前記突起部の一部は矢型に形成されたことを特徴とする、材料。
【請求項3】
請求項1に記載の材料であって、前記補強要素はチタニウムシートの押し抜きもしくはチタニウムワイヤーを織ることによって作製されることを特徴とする、材料。
【請求項4】
請求項1に記載の材料であって、前記補強要素のメッシュの開口部のサイズは前記孔の最大のサイズよりも小さくないことを特徴とする、材料。
【請求項5】
請求項1に記載の材料であって、前記3次元構造はチタニウム粉末から形成されることを特徴とする、材料。
【請求項6】
請求項1に記載の材料であって、前記3次元構造はチタニウム粉末がプレスされた基部を有することを特徴とする、材料。
【請求項7】
骨との接触用の生体適合性を有する多孔質なメタル領域と、歯科補綴用の台座部とを有する歯科インプラントであって、前記生体適合性を有する多孔質なメタル領域は請求項1からに記載の材料で作製され、圧入により顎骨に植え込まれる可能性を有することを特徴とする、歯科インプラント。
【請求項8】
請求項に記載の歯科インプラントであって、前記材料は横断面が円形もしくは楕円形の円筒もしくは錐台に形成されることを特徴とする、歯科インプラント。
【請求項9】
請求項に記載の歯科インプラントであって、前記材料は板(plate)の形状を有し、前記補強要素の外側表面に千鳥配列(staggered order)された突起部を有することを特徴とする、歯科インプラント。
【請求項10】
骨との接触用の生体適合性を有する多孔質なメタル領域と、歯科補綴用の台座部を有する歯科インプラントであって、前記生体適合性を有する多孔質なメタル領域は請求項1からに記載の材料から円筒形状もしくは錐台形状に形成され、突起部が補強要素の外側表面上に螺旋状に配置されることで前記歯科インプラントを顎骨にねじ込むための螺旋線路を形成することを特徴とする、歯科インプラント。
【請求項11】
骨との接触用の生体適合性を有する多孔質なメタル領域と、歯科補綴用の台座部とを有する歯科インプラントであって、前記生体適合性を有する多孔質なメタル領域は請求項1からに記載の材料から抜歯される歯の予め取得した3D断層撮影画像に従って作製されるものであり、前記骨との接触用の生体適合性を有する多孔質なメタル領域の形状とサイズは当該歯根の形状とサイズに完全一致することを特徴とする、歯科インプラント。
【請求項12】
歯科インプラントの製造方法であって、当該歯科インプラントは、骨と接触し抜歯直後に顎骨に圧入される生体適合性を有する多孔質なメタル領域と、基部と、歯科補綴用の台座部とを有するものであり、当該方法は前記基部の製造工程と前記基部上において多孔質なメタル領域の形成工程含むものであり、この方法は、
前記インプラントと置換される歯の3D断層撮影画像をあらかじめ取得する工程と、
当該歯根の3次元モデルを前記断層撮影画像に従って作製する工程と、
当該モデルに従って、骨と接触する多孔質なメタル領域を請求項1からに記載の材料から形成する工程であって、当該多孔質なメタル領域の形状およびサイズはこのインプラントと置換される歯の根の形状およびサイズと完全に一致するものである工程と
を有することを特徴とする、前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機器に関し、特に歯科分野において、骨組織の置換用インプラントの製造に用いられてもよい。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機器への利用を意図した多孔質な3次元構造はよく知られている。
【0003】
そのような構造としては、例えば、基部にコーティングを施したもの(EP0 296 335、1988年4月28日公開)や圧縮されたメタルシートの層の構造に沿って均一な管を形成する開口部を有するもの(US20050112397、2005年5月26日公開)があげられる。
【0004】
既知の構造のデメリットは、(Karl E. MISH,Orthopedic Treatment with Support on Dental Implants,ページ347−348、モスクワ、2010年)において発見されており、前記構造の脱離、欠損、およびバリの形成の余地があることと関連付けられている。
【0005】
請求項に係る技術的解決方法に最近の解決方法としては、3次元構造体として作られた3次元の多孔質な構造(WO97/24084、1997年7月10日公開)であって、貫通した孔と、片側が開いた穴であって前記孔の内側表面に均一に配置され、当該内側表面に連結され、そのサイズは150−300μmの任意的に分配された範囲である前記穴とを有するであるものがあげられる。
【0006】
十分でない強度および硬直性がこの既知の3次元の多孔質な構造にけるデメリットである。一般にこの構造は基部上に構成されるものであり、実施された調査は前記構造の脱離、欠損、およびバリの形成の余地があることを示している。
【0007】
骨組織と接触する表面を有するインプラント(WO97/21393 A1、1997年6月19日公開)であって、骨組織が成長できる生態適合性を有する多孔質なメタル領域を含むものが存在する。しかしながら、前記インプラント構造は当該インプラントの内側方向への骨組織の内植を促す微細形状を有しない特殊な円筒形状であって、この骨の融合の効果はメタル表面領域の微細構造領域のみにおいて確立されているものである。
【0008】
歯茎に触る部分を生理活性ケイ酸素でガラスコーティングしたインプラントが存在する(DE19816865 A1、1997年7月10日公開)。歯茎の表皮細胞は前記インプラント上のコーティングと結合することで、前記顎との強固な適合を確かなものとするものである。しかしながら、そのようなインプラントの構造は組織の内部への成長を増加させるのみで、当該プロセスの刺激をするものでもなく感染がインプラント箇所へ侵入することを防ぐものでもない。
【0009】
多孔質構造のための空洞部と医薬を投与するための溝部を含むチタニウムで作られた基部を有する円筒形状の歯科インプラントが存在する(WO2008/52300 A1、2008年5月8日公開)。当該インプラントの容器(case)は外郭がねじやま状の螺旋形状であって前記螺旋状の内側に配置され長手方向に補剛する3つのリブにより固定されるものである。この歯科インプラントは請求項に係るインプラントの第1および第2の変形として最も近い先行技術の参照である。
【0010】
ここでは、150−300μmサイズの孔を有する多孔質構造が前記螺旋形状の内部に備え付けられる。
【0011】
請求項に係るインプラントおよび方法各々の第3の変形に最近の参考先行技術として(US6244868、2001年6月12日公開)の歯科インプラントおよびその植え込み方法が存在する。説明される当該歯科インプラントは歯科補綴のための台座部および骨と接触するための生態適合性を有する多孔質なメタル領域を有する。この説明されるインプラントは抜歯直後、止血をすることなく圧入(press−fit)手法により顎骨に植え込まれる。この方法において、当該歯科インプラントは「平均化された(averaged)」生態適合性を有するメタル多孔質領域を有するよう製造されるため、植え込みの際に骨上の前記台座部を広げる必要があり、出血の増加と外傷の残る手術へとつながる。
【0012】
「Vityaz P.A. et al. Porous Powder Materials and Goods Thereof. Minsk, Vysheyshaya Shkola,1987年、114−115、137ページ」に説明される方法は本願請求項に係るインプラントの製造方法に最近の参考先行技術である。この方法には生体適合性を有する粉末状素材(チタニウム、もしくはその派生素材)を基部上(好ましくはチタニウム)−すなわち骨組み(framework)に形成する方法が含まれる。
【0013】
前記既知の最近の参考先行技術におけるデメリットは上述の多孔質で生体適合性を有する素材のデメリット、層の剥がれ、欠損およびバリに起因する。多孔質な生体適合性を有するの素材の利用におけるこれらのデメリットは、そのような素材により製造された物品の弱点−すなわち歯科インプラントの本質的に不十分な安定性を左右する。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 国際公開第2010/139041号
(特許文献2) 米国特許出願公開第2005/112397号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項に係る発明の目的は、強化された3次元の多孔質な構造を創造し、基部に埋め込まれた場合に構造の脱離、欠損、およびバリの欠如が起きない事を確実にすることにある。
【0015】
請求項に係る発明のさらなる目的としては、歯科インプラントの異なる変形(variant)を創造することで本質的に安定性が高く、素材が高度に強固で、強固で高い率での骨との統合、および顎部の適切な領域における植え込みの可能性を確実にすることにある。
【0016】
本願発明のさらなる目的は、本質的に安定性が高く、素材が強固で、強固で高度な骨統合率を確実にする歯科インプラントの製造方法および埋め込み方法を創造することにある。
【0017】
前記多孔質な3次元構造であって、3次元体として作製され、貫通した孔と、片側が開口した複数の穴であって、孔の内部表面に均一に配置されかつ当該内側表面に連結され、150−300μmの任意的に分配された範囲のサイズを有する穴とを有し、チタニウムもしくはチタニウム合金から作られた補強要素を備えた前記3次元体として作られた多孔質な3次元構造の策定された目的は、以下の要領で解決されている:前記補強要素はメッシュ形状に作製され、当該メッシュ形状の外側表面に突起が均一に配置され、当該3次元体の表面に配置される。
【0018】
補強要素の外側表面上の突起の各々は、前記補強要素の厚さに一致する厚さの直方体であるか、矢印型に造形される。
【0019】
前記補強要素はチタニウムシートからの押抜きか、チタニウムワイヤーを織る手法の両方によって形成されてもよい。
【0020】
前記補強要素メッシュの開口部のサイズは、前記孔の最小の孔より小さくないものであることが好ましい。
【0021】
前記3次元構造はチタニウム粉末によって形成されるものである。
【0022】
前記3次元構造はチタニウム粉末がプレスされた基部を有する。
【0023】
骨と補綴用の台座部とに接する生体適合性を有するの多孔質なメタル領域を有する歯科インプラントの第1変形の策定された目的は、以下の要領で解決される:骨と接触する請求項に係る多孔質なメタル領域は、多孔質な3次元構造であって、圧入により顎骨に植え込まれる可能性を有する。
【0024】
骨との接触のための生体適合性を有する多孔質なメタル領域は、横断面が円形もしくは楕円形の円筒もしくは錐台の形状、もしくは板(plate)の形状を有し、前記補強要素の外側表面に千鳥配列(staggered order)された突起部を有する。
【0025】
骨と補綴用の台座部とに接する生体適合性を有する多孔質なメタル領域を有する歯科インプラントの第2変形の策定された目的は、以下の要領で解決される:骨と接触する多孔質なメタル領域は円筒形状もしくは円錐形状の多孔質な3次元構造であり、前記突起は螺旋状に前記補強要素の外側表面に配置され、前記歯科インプラントを顎骨に埋め込むための螺旋形状を形成するものである。
【0026】
骨と補綴用の台座部とに接する生体適合性の多孔質なメタル領域を有する歯科インプラントの第3変形の策定された目的は、以下の要領で解決される:骨と接触する多孔質なメタル領域は、インプラントが施術される予定の歯の予め取得した3DX線断層写真に従って作製され、その形状およびサイズは該当の歯の歯根の形状とサイズに完全一致するものである。
【0027】
基部の製造および骨と接触する多孔質なメタル領域の形成を含む請求項に係る歯科インプラントの製造方法の策定された目的は、以下の要領で解決される:抜歯される歯の3D断層撮影画像をあらかじめ作成し、当該歯根の3次元モデルを断層撮影画像に従って製造し、請求項に係る骨と接触する多孔質なメタル領域を、補綴に置き換えられる歯根の形状およびサイズに完全一致する形状およびサイズの当該モデルに基づいて3次元の多孔質な構造から作製する。
【0028】
抜歯およびあらかじめ作製された歯科インプラントの埋め込みを含む、抜歯直後に止血をすることなく顎骨に圧入する方法での前記歯科インプラントの埋め込み方法の策定された目的は、以下の要領で解決される:抜歯の前に該当の歯の3D断層撮影画像をあらかじめ作製し、断層撮影画像に従って当該歯根の3次元モデルを作製し、骨と接触する請求項に係る多孔質なメタル領域を、抜歯される歯根の形状およびサイズに完全一致する形状およびサイズのモデルに基づいて3次元の多孔質な構造から作製する。
【0029】
請求項に係る発明の本質がこれらに限定されない図によって説明される:
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】請求項に係る多孔質構造であって、圧入による植え込みを意図した当該構造を第1の変形で実施した第1実施例の図において一部分をスケッチの形態で現した図である。
図2図1に示される請求項に係る歯科インプラントの全体図をスケッチの形態で表した図である。
図3】請求項に係る多孔質構造であって、圧入による植え込みを意図した当該構造を第1の変形で実施した別の実施例をスケッチの形態で表した図である。
図4図3に示される請求項に係る歯科インプラントの全体図をスケッチの形態で表した図である。
図5】請求項に係る多孔質構造であって、ねじ込み式の植え込みを意図した当該構造の第2の変形例の一部をスケッチの形態で表した図である。
図6図5に示される請求項に係る歯科インプラントの全体図をスケッチの形態で表した図である。
図7】請求項に係る多孔質構造であって、請求項に係る方法の埋め込みを意図した当該構造の第3の変形例の一部をスケッチの形態で表した図である。
図8図7に示される請求項に係る歯科インプラントの全体図をスケッチの形態で表した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0031】
多孔質な構造はあらゆるサイズおよび形状に、例えば歯科分野の要件に従って作製される(図1参照)。3次元性と通約性が必須要件である(すなわち、当該構造の3次元座標におけるサイズは同一の状態である必要がある)。貫通した孔と、片側が開いた穴であって、前記孔の内側表面に均一に配置され、かつ当該内側表面に連結され、150−300μmの任意的に分配された範囲のサイズを有する前記穴とを有する前記構造の実績は「WO97/24084」により知られている。多孔質な構造1は補強要素2を具備しチタニウムもしくはチタニウム合金のメッシュとして作製され、突起3が当該メッシュの外側表面に均一に配置され、当該3次元構造本体の表面に配置される。
【0032】
前記補強要素2は、例えば、チタニウムシートの押し抜きもしくはチタニウムワイヤーを織ることによって作製されてもよい。補強要素2の開口部4のサイズおよび孔の通約性が達成される(すなわち、開口部4のサイズは孔のサイズよび小さくないものである。)
補強要素の外側表面に位置する突起3の各々は、直方体であって、補強要素の厚さに一致した厚みを有するか、矢型に形状されてもよい。
【0033】
請求項に係る多孔質な構造は生態適合性を有する素材、例えばチタニウム、チタニウム合金、もしくはその他の生体適合性を有する素材から作製される。
【0034】
このような素材は、一方で、生体適合性があり容易に滅菌できるものであるが、その一方で骨組織の弾性係数に近い弾性係数を有し、従ってインプラントの機械的および強度的性質との適合を可能にし、再生骨組織を最も有益なものとする。
【0035】
請求項に係る多孔質な構造は異なる製造方法、例えば、粉末チタニウムをチタニウムスポンジから基部に水圧プレス方法(Vityaz P.A.)、もしくは、例えば生体適合性を有する素材(チタニウムもしくはその派生物)の混合粉末から孔形成物を用いて形成する、もしくは焼結方法(BY10325、2003年12月30日公開)により取得することが可能である。
【0036】
補強要素2の開口部4のサイズが先述の孔の最大の大きさより小さくないことにより、構造1における血液の流入を確実にし、従って血流の流体力学の向上を促進し、結果として再生される組織を育成する。
【0037】
請求項に係る歯科インプラントの第1の変形の第1の実施例は図1および2に示される。当該歯科インプラントは、チタニウムのような生体適合性のある素材から製造され、歯科補綴用の台座部5(図示されず)および生体適合性を有する多孔質なメタル領域であって、この例において顎骨への圧入のための筒型本体6の形態で作製された前記多孔質なメタル領域を備える。当該筒型本体6は3次元の多孔質な構造1が押つけられる手長方向基部7を含むものであり、補強要素2は3次元の多孔質な構造上に配置され、均一に配置された突起部3は補強要素2の外側表面に固定されるものである。
【0038】
ポリテトラフルオロエチレンからなる3次元の多孔質な構造から作られ、かつ歯茎組織の内部への成長が意図されたリングヘッド部8は、台座部5を取り囲む筒型本体6を覆って配置される。
【0039】
補助補強要素9は、開口部を有する中空の包囲体として作製され、前記リングヘッド部8を取り囲むように配置される。
【0040】
前記補強要素9は、生体適合性を有するメタルから、例えばチタニウムワイヤーの既知のレーザー溶接やチタニウムシートからの型抜きのような方法によって作製される。前記補強要素9の前記開口部10のサイズは、前記リングヘッド部8の多孔質な3次元構造の孔のサイズより小さくないものである。
【0041】
図3から4に示されるように、請求項に係る歯科インプラントの第1変形の別の例において、請求項に係る歯科インプラントは、骨との接触のための生体適合性のある多孔質なメタル領域を有し、板部(plate)11として前記基部7にプレスされたチタニウム粉末から形成される。歯茎軟組織の内部への成長を目的としてブッシュ形状に作製された前記ヘッド部8は、前記歯科補綴のための台座部5を包囲する前記板部11を取り囲むように配置される。
【0042】
請求項に係る歯科インプラントの第1変形は以下の要領で植え込まれる。筒型6もしくは板型11の形状の生体適合性を有する多孔質なメタル領域を顎骨に形成された穴に、ヘッド部8の外側表面が歯茎の軟組織と同一の高さとなる要領で圧入し、軟組織を縫い付ける。前記歯科補綴は前記基部7の台座部5にインプラントの最終移植後に取り付けられる。
【0043】
骨組織に接触する生体適合性を有するメタル領域が3次元の多孔質な構造1から作製されることにより、前記骨組織が全深に亘って、3次元の多孔質な構造と一体化した内部成長をする。ここで、前記生体適合性のある3次元メタル多孔質領域1は前記補強要素2による損傷から安全に保護され、前記突起部3が錨要素としての役割を果たすことでインプラント全体が配置からずれる事を防ぎ、根本的な安定性を確実にする。
【0044】
さらに、前記多孔質な3次元構造1は口腔からの感染の侵入から安全に保護され、多孔質な3次元構造を有するポリテトラフルオロエチレンからなる前記ヘッド部8により歯茎の軟組織の内部への成長を確実にする。
【0045】
前記生体適合性を有するメタルの多孔質構造を包囲体もしくは板形状に製造することは、インプラントのための領域を有する顎における異なる位置での請求項に係る歯科インプラントの埋め込みの可能性を確実にする。
【0046】
従って、請求項に係る歯科インプラントは、口腔からの病原性の病原菌の侵入から埋め込み領域を安全に保護し、さらに骨組織の徹底した内部への成長を確実にし、埋め込みの強度と顎骨への植え付けを促進する。
【0047】
請求項に係る歯科インプラントの第2変形の植え込みの例が図5から6に示される。歯科インプラントはチタニウムのような生体適合性を有する素材から作製され、歯科補綴のための台座部5と、本例においては筒型本体12として示される作製された骨と接触する生体適合性を有する多孔質なメタル領域6とを有する。この本体12は、前記多孔質な3次元構造1が圧入される長手方向基部7を含み、前記補強要素2は当該多孔質な3次元構造の表面に配置され、均等に配置された突起部3は前記補強要素2の外側表面に固定される。この実施例において、前記突起部3は前記補強要素2の外側表面上に螺旋状に配置され、歯科インプラント、すなわち本体12を顎骨にねじ込むための螺旋線路を形成する。
【0048】
歯茎組織の内部への成長を意図してポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質な3次元構造から作製された前記リングヘッド部8は、前記台座部5を包囲する領域6を取り囲むように配置される。
【0049】
前記ヘッド部8は第1実施例で説明されるように作製される。
【0050】
前記本体12より上部の前記手長方向基部7はより幅広になり、前記ヘッド部8より下の配置となる部分13を形成する;当該部分13の表面上には、皮質層への固定のための複数のねじ突起が配置される。
【0051】
請求項に係る歯科インプラントの第2変形は以下の要領で植え込まれる。筒型本体12として形成された生体適合性のある多孔質なメタル領域を、突起3をスレッドとして用いつつ、前記ヘッド部8の外側表面が歯茎の軟組織と同一の高さとなるよう顎骨に形成された穴にねじ込み、当該軟組織を縫い付ける。歯科補綴は、インプラントの最終植え込みの後、前記基部7の台座部5に取り付けられる。
【0052】
骨組織と接触する生体適合性のあるメタル領域が3次元多孔質構造1として作製されることにより、骨組織が内部に完全に成長し、上述の3次元多孔質構造と一体化する。ここで、生体適合性を有するメタルの3次元多孔質領域1は前記補強要素2による損傷から安全に保護され、前記突起部3はねじ部および錨要素としての役割を果たすことでインプラント全体が配置からずれる事を防ぎ、従って、根本的な安定性を確実にする。
【0053】
さらに、ポリテトラフルオロエチレンからなる前記ヘッド部8が多孔質な3次元構造により歯茎の軟組織の内部への成長を確実にすることで、前記多孔質な3次元構造1は口腔からの感染の侵入から安全に保護される。
【0054】
従って、請求項に係る歯科インプラントは、口腔からの病原性の病原菌の侵入から埋め込み領域を安全に保護し、さらに骨組織の徹底した内部への成長を確実にし、埋め込みの強度と顎骨への植え付けを促進する。
【0055】
請求項に係る歯科インプラントの第3変形の実施例が図7から8に示される。当該歯科インプラントは歯科補綴のための台座部5と、骨との接触のための生体適合性を有する多孔質なメタル領域6を有する。骨との接触のための前記多孔質なメタル領域は、インプラントとの置換を意図された歯のあらかじめ取得された3D断層撮影画像に従って、請求項に係る多孔質な3次元構造から複雑な3次元構造15として作製されるものであり、その形状は当該歯根の形状とサイズに完全に一致する。
【0056】
この複雑な3次元構造15は、前記多孔質な3次元構造1がプレスされる手長方向に枝分かれした基部16を有する。前記補強要素2は前記多孔質な3次元構造の表面上に配置され、均等に配置された突起部3は前記補強要素2の外側表面上に固定される。
【0057】
前記リングヘッド部8は、歯茎組織の内部への成長を意図してポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質な3次元構造から作製され、前記台座部5を包囲する構造15を取り囲むように配置される。
【0058】
前記ヘッド部8は第1実施例に説明される要領で作製される。
【0059】
前記歯科インプラントのこの第3変形(図7から8)は以下の要領で製造され植え込まれる。
【0060】
抜歯される歯の3D断層撮影画像を撮影する。
【0061】
歯の3D断層撮影画像に従ってこの歯根のコンピュータモデルを形成し、前記インプラントの長手方向に枝分かれした基部の3次元モデルをコンピュータモデルに基づいて形成する。
【0062】
前記歯根のコンピュータモデルに基づいて、CNC装置を用いて型を作る。次に、例えばポリウレタンから前記歯根の3次元モデルの形状に近い基盤を形成するものであるが、そのサイズは当該歯根の例えば5から10%を超えるサイズとする。
【0063】
長手方向に枝分かれした基部16を当該基部のコンピュータモデルに基づいてCNC装置を用いて形成する。
【0064】
形成された基盤であって、チタニウム粉末で満たされた基盤に取得した基部を埋め込み、例えば水圧プレス方法(Vityaz)により、その形状とサイズがインプラントと置換される歯根の形状とサイズに完全一致する請求項に係る多孔質な3次元構造を形成する。
【0065】
抜歯される歯のインプラントの準備が整った時に、該当の歯を抜歯し、あらかじめ製造されたインプラントを抜歯後即止血することなくヘッド部8の外側表面が歯茎の軟組織と同じ高さとなるよう顎骨に圧入し、軟組織を縫い付ける。歯科補綴は、インプラントの最終植え込み後、前記基部7の前記台座部5に取り付けられる。
【0066】
骨組織と接触する前記生体適合性のるメタル領域が3次元多孔質構造1によって作製され、止血をすることなくインプラントが植え込まれることにより、血液が3次元多孔質構造の全深を取り巻き、先述の3次元多孔質構造の全深に亘る骨組織の内部への成長、すなわち一体化を促進させる。ここで、生体適合性のある3次元の多孔質なメタル領域1は前記補強要素2による損傷から安全に保護され、前記突起部3が錨要素としての役割を果たすことでインプラント全体が配置からずれる事を防ぎ根本的な安定性を確実にする。
【0067】
さらに、前記多孔質な3次元構造1は口腔からの感染の侵入から安全に保護され、多孔質な3次元構造を有するポリテトラフルオロエチレンからなる前記ヘッド部8により歯茎の軟組織の内部への成長を確実にする。
【0068】
従って、請求項に係る歯科インプラントは、口腔からの病原性の病原菌の侵入から埋め込み領域を安全に保護し、さらに骨組織の徹底した内部への成長を確実にし、植え込みの強度と顎骨への植え付けを促進する。
【0069】
請求項に係る技術上の達成は、国際基準ISO-5832-3(外科処置用インプラント。変形可能なチタニウム基盤の合金)の要件に適合する国際標準(International Standard)ASTM International F 1147-058に従った実験で証明されている。前記国際標準ASTMはコーティング、特に、室温で密度の高いメタル基部と間近に接する多孔質なメタルコーティングの伸長力の試験方法を説明するものである。
【0070】
試験に際し、テストサンプルは前記標準ASTMに規定される通りに製造され、テストサンプルの各々はメタル基部と基部に適用された本発明に従った多孔質構造からなるものである。
【0071】
前述の標準に従って実施された試験において、本発明に従ったサンプルの本質的な強度は933MPaから950MPaである事が示され、これはISO−5832−3に標準として示される数値860MPaを大幅に上回るものである。欠損、バリ、および構造の脱離は認められなかった。
【0072】
従って、本発明に従った多孔質な構造の製造はこれまで達成することができなかった特性の達成:すなわち使用した際の増大した強度および硬直性、構造の離脱、欠損およびバリの不在を可能にしたものであり、従って「Karl E. MISH」の意見を論破するものである。
【0073】
この製造方法は多孔質な構造をインプラントと骨と両方に接着させ、血液が孔を通過する流れを解剖学上の方向にアレンジし、骨組織の多孔質構造への接着の強度を増加させることを可能にするものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8