【実施例】
【0031】
多孔質な構造はあらゆるサイズおよび形状に、例えば歯科分野の要件に従って作製される(
図1参照)。3次元性と通約性が必須要件である(すなわち、当該構造の3次元座標におけるサイズは同一の状態である必要がある)。貫通した孔と、片側が開いた穴であって、前記孔の内側表面に均一に配置され、かつ当該内側表面に連結され、150−300μmの任意的に分配された範囲のサイズを有する前記穴とを有する前記構造の実績は「WO97/24084」により知られている。多孔質な構造1は補強要素2を具備しチタニウムもしくはチタニウム合金のメッシュとして作製され、突起3が当該メッシュの外側表面に均一に配置され、当該3次元構造本体の表面に配置される。
【0032】
前記補強要素2は、例えば、チタニウムシートの押し抜きもしくはチタニウムワイヤーを織ることによって作製されてもよい。補強要素2の開口部4のサイズおよび孔の通約性が達成される(すなわち、開口部4のサイズは孔のサイズよび小さくないものである。)
補強要素の外側表面に位置する突起3の各々は、直方体であって、補強要素の厚さに一致した厚みを有するか、矢型に形状されてもよい。
【0033】
請求項に係る多孔質な構造は生態適合性を有する素材、例えばチタニウム、チタニウム合金、もしくはその他の生体適合性を有する素材から作製される。
【0034】
このような素材は、一方で、生体適合性があり容易に滅菌できるものであるが、その一方で骨組織の弾性係数に近い弾性係数を有し、従ってインプラントの機械的および強度的性質との適合を可能にし、再生骨組織を最も有益なものとする。
【0035】
請求項に係る多孔質な構造は異なる製造方法、例えば、粉末チタニウムをチタニウムスポンジから基部に水圧プレス方法(Vityaz P.A.)、もしくは、例えば生体適合性を有する素材(チタニウムもしくはその派生物)の混合粉末から孔形成物を用いて形成する、もしくは焼結方法(BY10325、2003年12月30日公開)により取得することが可能である。
【0036】
補強要素2の開口部4のサイズが先述の孔の最大の大きさより小さくないことにより、構造1における血液の流入を確実にし、従って血流の流体力学の向上を促進し、結果として再生される組織を育成する。
【0037】
請求項に係る歯科インプラントの第1の変形の第1の実施例は
図1および2に示される。当該歯科インプラントは、チタニウムのような生体適合性のある素材から製造され、歯科補綴用の台座部5(図示されず)および生体適合性を有する多孔質なメタル領域であって、この例において顎骨への圧入のための筒型本体6の形態で作製された前記多孔質なメタル領域を備える。当該筒型本体6は3次元の多孔質な構造1が押つけられる手長方向基部7を含むものであり、補強要素2は3次元の多孔質な構造上に配置され、均一に配置された突起部3は補強要素2の外側表面に固定されるものである。
【0038】
ポリテトラフルオロエチレンからなる3次元の多孔質な構造から作られ、かつ歯茎組織の内部への成長が意図されたリングヘッド部8は、台座部5を取り囲む筒型本体6を覆って配置される。
【0039】
補助補強要素9は、開口部を有する中空の包囲体として作製され、前記リングヘッド部8を取り囲むように配置される。
【0040】
前記補強要素9は、生体適合性を有するメタルから、例えばチタニウムワイヤーの既知のレーザー溶接やチタニウムシートからの型抜きのような方法によって作製される。前記補強要素9の前記開口部10のサイズは、前記リングヘッド部8の多孔質な3次元構造の孔のサイズより小さくないものである。
【0041】
図3から4に示されるように、請求項に係る歯科インプラントの第1変形の別の例において、請求項に係る歯科インプラントは、骨との接触のための生体適合性のある多孔質なメタル領域を有し、板部(plate)11として前記基部7にプレスされたチタニウム粉末から形成される。歯茎軟組織の内部への成長を目的としてブッシュ形状に作製された前記ヘッド部8は、前記歯科補綴のための台座部5を包囲する前記板部11を取り囲むように配置される。
【0042】
請求項に係る歯科インプラントの第1変形は以下の要領で植え込まれる。筒型6もしくは板型11の形状の生体適合性を有する多孔質なメタル領域を顎骨に形成された穴に、ヘッド部8の外側表面が歯茎の軟組織と同一の高さとなる要領で圧入し、軟組織を縫い付ける。前記歯科補綴は前記基部7の台座部5にインプラントの最終移植後に取り付けられる。
【0043】
骨組織に接触する生体適合性を有するメタル領域が3次元の多孔質な構造1から作製されることにより、前記骨組織が全深に亘って、3次元の多孔質な構造と一体化した内部成長をする。ここで、前記生体適合性のある3次元メタル多孔質領域1は前記補強要素2による損傷から安全に保護され、前記突起部3が錨要素としての役割を果たすことでインプラント全体が配置からずれる事を防ぎ、根本的な安定性を確実にする。
【0044】
さらに、前記多孔質な3次元構造1は口腔からの感染の侵入から安全に保護され、多孔質な3次元構造を有するポリテトラフルオロエチレンからなる前記ヘッド部8により歯茎の軟組織の内部への成長を確実にする。
【0045】
前記生体適合性を有するメタルの多孔質構造を包囲体もしくは板形状に製造することは、インプラントのための領域を有する顎における異なる位置での請求項に係る歯科インプラントの埋め込みの可能性を確実にする。
【0046】
従って、請求項に係る歯科インプラントは、口腔からの病原性の病原菌の侵入から埋め込み領域を安全に保護し、さらに骨組織の徹底した内部への成長を確実にし、埋め込みの強度と顎骨への植え付けを促進する。
【0047】
請求項に係る歯科インプラントの第2変形の植え込みの例が
図5から6に示される。歯科インプラントはチタニウムのような生体適合性を有する素材から作製され、歯科補綴のための台座部5と、本例においては筒型本体12として示される作製された骨と接触する生体適合性を有する多孔質なメタル領域6とを有する。この本体12は、前記多孔質な3次元構造1が圧入される長手方向基部7を含み、前記補強要素2は当該多孔質な3次元構造の表面に配置され、均等に配置された突起部3は前記補強要素2の外側表面に固定される。この実施例において、前記突起部3は前記補強要素2の外側表面上に螺旋状に配置され、歯科インプラント、すなわち本体12を顎骨にねじ込むための螺旋線路を形成する。
【0048】
歯茎組織の内部への成長を意図してポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質な3次元構造から作製された前記リングヘッド部8は、前記台座部5を包囲する領域6を取り囲むように配置される。
【0049】
前記ヘッド部8は第1実施例で説明されるように作製される。
【0050】
前記本体12より上部の前記手長方向基部7はより幅広になり、前記ヘッド部8より下の配置となる部分13を形成する;当該部分13の表面上には、皮質層への固定のための複数のねじ突起が配置される。
【0051】
請求項に係る歯科インプラントの第2変形は以下の要領で植え込まれる。筒型本体12として形成された生体適合性のある多孔質なメタル領域を、突起3をスレッドとして用いつつ、前記ヘッド部8の外側表面が歯茎の軟組織と同一の高さとなるよう顎骨に形成された穴にねじ込み、当該軟組織を縫い付ける。歯科補綴は、インプラントの最終植え込みの後、前記基部7の台座部5に取り付けられる。
【0052】
骨組織と接触する生体適合性のあるメタル領域が3次元多孔質構造1として作製されることにより、骨組織が内部に完全に成長し、上述の3次元多孔質構造と一体化する。ここで、生体適合性を有するメタルの3次元多孔質領域1は前記補強要素2による損傷から安全に保護され、前記突起部3はねじ部および錨要素としての役割を果たすことでインプラント全体が配置からずれる事を防ぎ、従って、根本的な安定性を確実にする。
【0053】
さらに、ポリテトラフルオロエチレンからなる前記ヘッド部8が多孔質な3次元構造により歯茎の軟組織の内部への成長を確実にすることで、前記多孔質な3次元構造1は口腔からの感染の侵入から安全に保護される。
【0054】
従って、請求項に係る歯科インプラントは、口腔からの病原性の病原菌の侵入から埋め込み領域を安全に保護し、さらに骨組織の徹底した内部への成長を確実にし、埋め込みの強度と顎骨への植え付けを促進する。
【0055】
請求項に係る歯科インプラントの第3変形の実施例が
図7から8に示される。当該歯科インプラントは歯科補綴のための台座部5と、骨との接触のための生体適合性を有する多孔質なメタル領域6を有する。骨との接触のための前記多孔質なメタル領域は、インプラントとの置換を意図された歯のあらかじめ取得された3D断層撮影画像に従って、請求項に係る多孔質な3次元構造から複雑な3次元構造15として作製されるものであり、その形状は当該歯根の形状とサイズに完全に一致する。
【0056】
この複雑な3次元構造15は、前記多孔質な3次元構造1がプレスされる手長方向に枝分かれした基部16を有する。前記補強要素2は前記多孔質な3次元構造の表面上に配置され、均等に配置された突起部3は前記補強要素2の外側表面上に固定される。
【0057】
前記リングヘッド部8は、歯茎組織の内部への成長を意図してポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質な3次元構造から作製され、前記台座部5を包囲する構造15を取り囲むように配置される。
【0058】
前記ヘッド部8は第1実施例に説明される要領で作製される。
【0059】
前記歯科インプラントのこの第3変形(
図7から8)は以下の要領で製造され植え込まれる。
【0060】
抜歯される歯の3D断層撮影画像を撮影する。
【0061】
歯の3D断層撮影画像に従ってこの歯根のコンピュータモデルを形成し、前記インプラントの長手方向に枝分かれした基部の3次元モデルをコンピュータモデルに基づいて形成する。
【0062】
前記歯根のコンピュータモデルに基づいて、CNC装置を用いて型を作る。次に、例えばポリウレタンから前記歯根の3次元モデルの形状に近い基盤を形成するものであるが、そのサイズは当該歯根の例えば5から10%を超えるサイズとする。
【0063】
長手方向に枝分かれした基部16を当該基部のコンピュータモデルに基づいてCNC装置を用いて形成する。
【0064】
形成された基盤であって、チタニウム粉末で満たされた基盤に取得した基部を埋め込み、例えば水圧プレス方法(Vityaz)により、その形状とサイズがインプラントと置換される歯根の形状とサイズに完全一致する請求項に係る多孔質な3次元構造を形成する。
【0065】
抜歯される歯のインプラントの準備が整った時に、該当の歯を抜歯し、あらかじめ製造されたインプラントを抜歯後即止血することなくヘッド部8の外側表面が歯茎の軟組織と同じ高さとなるよう顎骨に圧入し、軟組織を縫い付ける。歯科補綴は、インプラントの最終植え込み後、前記基部7の前記台座部5に取り付けられる。
【0066】
骨組織と接触する前記生体適合性のるメタル領域が3次元多孔質構造1によって作製され、止血をすることなくインプラントが植え込まれることにより、血液が3次元多孔質構造の全深を取り巻き、先述の3次元多孔質構造の全深に亘る骨組織の内部への成長、すなわち一体化を促進させる。ここで、生体適合性のある3次元の多孔質なメタル領域1は前記補強要素2による損傷から安全に保護され、前記突起部3が錨要素としての役割を果たすことでインプラント全体が配置からずれる事を防ぎ根本的な安定性を確実にする。
【0067】
さらに、前記多孔質な3次元構造1は口腔からの感染の侵入から安全に保護され、多孔質な3次元構造を有するポリテトラフルオロエチレンからなる前記ヘッド部8により歯茎の軟組織の内部への成長を確実にする。
【0068】
従って、請求項に係る歯科インプラントは、口腔からの病原性の病原菌の侵入から埋め込み領域を安全に保護し、さらに骨組織の徹底した内部への成長を確実にし、植え込みの強度と顎骨への植え付けを促進する。
【0069】
請求項に係る技術上の達成は、国際基準ISO-5832-3(外科処置用インプラント。変形可能なチタニウム基盤の合金)の要件に適合する国際標準(International Standard)ASTM International F 1147-058に従った実験で証明されている。前記国際標準ASTMはコーティング、特に、室温で密度の高いメタル基部と間近に接する多孔質なメタルコーティングの伸長力の試験方法を説明するものである。
【0070】
試験に際し、テストサンプルは前記標準ASTMに規定される通りに製造され、テストサンプルの各々はメタル基部と基部に適用された本発明に従った多孔質構造からなるものである。
【0071】
前述の標準に従って実施された試験において、本発明に従ったサンプルの本質的な強度は933MPaから950MPaである事が示され、これはISO−5832−3に標準として示される数値860MPaを大幅に上回るものである。欠損、バリ、および構造の脱離は認められなかった。
【0072】
従って、本発明に従った多孔質な構造の製造はこれまで達成することができなかった特性の達成:すなわち使用した際の増大した強度および硬直性、構造の離脱、欠損およびバリの不在を可能にしたものであり、従って「Karl E. MISH」の意見を論破するものである。
【0073】
この製造方法は多孔質な構造をインプラントと骨と両方に接着させ、血液が孔を通過する流れを解剖学上の方向にアレンジし、骨組織の多孔質構造への接着の強度を増加させることを可能にするものである。