(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284191
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】シールピース
(51)【国際特許分類】
A62B 18/08 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
A62B18/08 D
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-125845(P2014-125845)
(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公開番号】特開2016-2387(P2016-2387A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145507
【氏名又は名称】株式会社重松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】石原 隼和
(72)【発明者】
【氏名】財津 修
【審査官】
二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−044465(JP,A)
【文献】
特開平08−126713(JP,A)
【文献】
実開平8−8536(JP,U)
【文献】
実開昭60−132745(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 7/00−33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡使用者が全面形面体を装着した際に、眼鏡の蔓によって面体と顔面との間に形成される隙間を埋めるためのシールピースであって、眼鏡の蔓が挿通される柔軟素材で形成された偏平な本体を備え、本体に形成された蔓挿通穴の一端部が他の部位に比べて小径に形成されており、蔓挿通穴に眼鏡の蔓が挿通されると、前記小径の一端部が弾性変形して拡径し、眼鏡の蔓に密着することを特徴とするシールピース。
【請求項2】
蔓挿通穴の小径の一端部周囲の本体の肉厚が、周方向に均一化されていることを特徴とする請求項1に記載のシールピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡使用者が全面形面体を装着した際に、眼鏡の蔓によって面体と顔面との間に形成される隙間を埋めるためのシールピースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
眼鏡使用者が全面形面体を装着した際に、眼鏡の蔓によって面体と顔面との間に形成される隙間を埋めるためのシールピースであって、眼鏡の蔓が挿通される柔軟素材で形成された偏平な本体と、本体と一体形成されて本体から突出し、本体を貫通した眼鏡のツルを収容する突出部とを備えるシールピースが特許文献1に開示されている。特許文献1のシールピースにおいては、本体及び突出部に形成された蔓挿通穴を全面形面体の外部環境に暴露させないことにより、蔓挿通穴を介する外部環境と面体内部空間との連通を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−126713
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシールピースには、本体と突出部とを備えるので、構造が複雑で製造コストが高く、また使用時に眼鏡の蔓を本体に挿通し且つ突出部に挿通する必要があるので、使い勝手が悪いという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、眼鏡使用者が全面形面体を装着した際に、眼鏡の蔓によって面体と顔面との間に形成される隙間を埋めるためのシールピースであって、従来技術に比べて製造コストが低く、使い勝手が良いシールピースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、眼鏡使用者が全面形面体を装着した際に、眼鏡の蔓によって面体と顔面との間に形成される隙間を埋めるためのシールピースであって、眼鏡の蔓が挿通される柔軟素材で形成された偏平な本体を備え、本体に形成された蔓挿通穴の一端部が他の部位に比べて小径に形成されており、蔓挿通穴に眼鏡の蔓が挿通されると、前記小径の一端部が弾性変形して拡径し、眼鏡の蔓に密着することを特徴とするシールピースを提供する。
本発明に係るシールピースにおいては、柔軟素材で形成された偏平な本体が眼鏡の蔓によって面体と顔面との間に形成される隙間を埋め、前記隙間を介する外部環境と面体内部空間との連通を防止する。蔓挿通穴に眼鏡の蔓が挿通されると、挿通穴の小径の一端部が弾性変形し、拡径して眼鏡の蔓に密着し、蔓挿通穴を介する外部環境と面体内部空間との連通を防止する。
本発明に係るシールピースは、眼鏡の蔓が挿通される柔軟素材で形成された偏平な本体のみから構成されているので、本体に加えて本体から突出し本体を貫通した眼鏡のツルを収容する突出部を備える従来のシールピースに比べて構成が簡素であり、製造コストが低い。また使用時には単に眼鏡の蔓を本体に挿通すれば良いので、蔓を突出部にも挿通する必要がある従来のシールピースに比べて使い勝手が良い。
本発明の好ましい態様においては、蔓挿通穴の小径の一端部周囲の本体の肉厚が、周方向に均一化されている。
蔓挿通穴の小径の一端部周囲の本体の肉厚が、周方向に均一化されていれば、蔓が挿通されると前記一端部周囲の本体が周方向に均一に伸びる。この結果、蔓と挿通穴小径部との密着の度合いが周方向に均一化され、蔓挿通穴を介する外部環境と面体内部空間との連通が効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施例に係るシールピースの構造図である。(a)は側面図であり、(b)は(a)のb−b矢視図であり、(c)は(a)のc−c矢視図であり、(d)は(a)のd−d矢視図である。
【
図2】シールピースの使用状態を示す、蔓にシールピースが装着された眼鏡と全面形面体とを装着した人の頭部の側面図である。
【
図3】眼鏡の蔓に装着されたシールピースの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施例に係るシールピースを説明する。
図1に示すように、眼鏡使用者が全面形面体を装着した際に、眼鏡の蔓によって面体と顔面との間に形成される隙間を埋めるためのシールピースであって、本発明の実施例に係るシールピース1は、側面形状が略正方形で一辺中央部が山形に突出し、縦断面形状が凸レンズ形状の、シリコーンゴム、ポリウレタン樹脂等の柔軟素材で形成された、偏平な本体2を備えている。
本体2の最大肉厚部の肉厚中心を通って、中央部が山形に突出する前記一辺に直交し互いに対向する二辺間で直線状に延在し、一端部が前記山形の突出部を通る、直線状の貫通穴が本体2に形成されている。前記貫通穴は眼鏡の蔓が挿通される蔓挿通穴3を形成している。蔓挿通穴3の前記一端部3aは他の部位3bに比べて小径に形成されている。蔓挿通穴3の前記一端部3aは四隅がR加工された長方形断面を有している。蔓挿通穴3の前記他の部位3bは長円形断面を有している。前記長方形と長円形の短径は同一値に設定されているが、長方形の長径は長円形の長径よりも小さな値に設定されている。小径の一端部3a周囲の本体3の肉厚は、周方向に均一化されている。
【0008】
図2に示すように、眼鏡使用者が全面形面体4を装着する際、蔓挿通穴3に眼鏡5の蔓6を挿通して、蔓6にシールピース1を予め装着しておき、その後に、面体4を装着する。蔓6にシールピース1を装着する際は、蔓挿通穴3の他の部位3b側から小径の一端部3a側へ向けて蔓6を蔓挿通穴3に挿入する。
眼鏡5の蔓6によって面体4と顔面との間に形成される隙間を、シールピース1が埋め、前記隙間を介する外部環境と面体内部空間との連通を防止する。蔓挿通穴3に眼鏡5の蔓6が挿通されると、
図3に示すように、蔓挿通穴3の小径の一端部3aが弾性変形し、拡径して眼鏡の蔓6に密着し、蔓挿通穴3を介する外部環境と面体内部空間との連通を防止する。
シールピース1は、眼鏡の蔓6が挿通される柔軟素材で形成された偏平な本体2のみから構成されているので、本体に加えて本体から突出し本体を貫通した眼鏡のツルを収容する突出部を備える従来のシールピースに比べて構成が簡素であり、製造コストが低い。また使用時には単に眼鏡の蔓6を本体2に挿通すれば良いので、蔓を突出部にも挿通する必要がある従来のシールピースに比べて使い勝手が良い。
【0009】
蔓挿通穴3の一端部3aを除く他の部位3bは前記一端部3aに比べて大径なので、眼鏡の蔓6を蔓挿通穴3の他の部位3b側から小径の一端部3a側へ向けて蔓挿通穴3に挿入する際の自由度が大きく、シールピース1の使い勝手を向上させている。
小径の一端部3a周囲の本体3の肉厚は、周方向に均一化されているので、蔓6が挿通されると周方向に均一に伸びる。この結果、蔓6と小径の一端部3aとの密着の度合いが周方向に均一化され、蔓挿通穴3を介する外部環境と面体内部空間との連通が効果的に防止される。
眼鏡の蔓6の断面形状は長方形断面が一般的なので、蔓挿通穴の小径の一端部3aの断面形状を長方形断面とすることにより、蔓6と小径の一端部3aとの密着の度合を向上させ、蔓挿通穴3を介する外部環境と面体内部空間との連通を効果的に防止している。
蔓挿通穴3の断面形状は長方形に限定されない。円形断面の蔓に対応すべく円形断面としても良い。
蔓挿通穴の小径の一端部3aの寸法を、市販されている眼鏡の蔓6の平均的な断面寸法に合わせておけば、前記断面寸法のある程度の変動に対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、眼鏡使用者が全面形面体を装着した際に、眼鏡の蔓によって面体と顔面との間に形成される隙間を埋めるためのシールピースに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0011】
1 シールピース
2 本体
3 蔓挿通穴
3a 小径の一端部
3b 他の部位
4 全面形面体
5 眼鏡
6 蔓