【文献】
F.Vullum,Oxygen stoichiometry and transport properties of cerium niobate,Solid State Ionics,2008年,vol.179,Issues.21-26,pp1061-1065
【文献】
J.Thompson et al,Modulated Structures in Oxidized Cerium Niobates,Journal of Solid State Chemistry,1999年,vol.143,pp122-131
【文献】
A.A.Yaremchenko et al,Methane oxidation by lattice oxygen of CeNbO4+δ,Catalysis Communications,2007年,vol.8,pp335-339
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0022】
[複合金属酸化物]
先ず、本発明の複合金属酸化物について説明する。すなわち、本発明の複合金属酸化物は、Ce(セリウム)とNb(ニオブ)とを含む複合金属酸化物であって、
前記複合金属酸化物が、組成式:CeNbOx(式中、xは4.03以上4.30以下の数を示す。)で表わされるセリウムニオブ複酸化物を主成分として含有しており、
前記複合金属酸化物をX線回折測定することにより得られるCuKα線を用いたX線回折パターンから求められる、2θが25.0〜30.0°の領域に存在する回折ピークのピーク面積の合計(B)に対する、前記領域に存在する前記セリウムニオブ複酸化物の回折ピークのピーク面積の合計(A)の比率(A/B)の値が0.5以上であり、かつ、
前記複合金属酸化物のBET比表面積が10m
2/g以上である、ことを特徴とするものである。
【0023】
(セリウムニオブ複酸化物)
このような本発明の複合金属酸化物としては、組成式:CeNbOx(式中、xは4.03以上4.30以下の数を示す。)で表わされるセリウムニオブ複酸化物を主成分として含有していることが必要である。なお、本発明にかかるセリウムニオブ複酸化物(cerium−niobium multiple oxide)とは、Ce(セリウム)とNb(ニオブ)と酸素との化合物のうち、構造上酸素酸イオンの存在が認められないものである。このようなセリウムニオブ複酸化物の組成式における酸素の原子比、すなわちxの値が前記下限未満では、セリウムニオブ複酸化物の生成ができないため、触媒を構成した場合に窒素酸化物分解活性が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとセリウムの価数が変化しにくくなるため、触媒を構成した場合に窒素酸化物分解活性が低下する傾向にある。
【0024】
また、このような本発明の複合金属酸化物としては、前記複合金属酸化物をX線回折測定することにより得られるCuKα線を用いたX線回折パターンから求められる、2θが25.0〜30.0°の領域に存在する回折ピークのピーク面積の合計(B)に対する、前記領域に存在する前記セリウムニオブ複酸化物の回折ピークのピーク面積の合計(A)の比率(A/B)(以下、単に「ピーク面積比率」と略すことがある。)の値が0.5以上であることが必要である。前記複合金属酸化物の前記ピーク面積比率の値が前記下限未満では、セリウムニオブ複酸化物の含有量が少なくなり、十分に高い窒素酸化物分解活性を有する複合金属酸化物が得られない。また、このような複合金属酸化物の前記ピーク面積比率の値は、より十分に高い窒素酸化物分解活性を有する複合金属酸化物を得るという観点から、0.7以上の範囲にあることが好ましく、0.75以上の範囲がより好ましく、0.8以上の範囲が特に好ましい。なお、本発明の前記複合金属酸化物に含有するセリウムニオブ複酸化物の含有量は、このようなピーク面積比率の値に相関があり、例えば、検量線を作成することによって、ピーク面積比率の値からセリウムニオブ複酸化物の含有量を求めることができる。このようなピーク面積比率の値が1.00の場合は、前記複合金属酸化物が、基本的に前記セリウムニオブ複酸化物のみからなることを意味する。また、前記面積比率の値が0.00の場合は、前記複合金属酸化物が、基本的に前記セリウムニオブ複酸化物を含まないことを意味する。
【0025】
なお、本発明におけるX線回折パターンとは、X線回折測定において、試料にX線(CuKα線)を照射しながら入射角度θを所定角度範囲で走査し、この間に回折するX線の強度を計数し、横軸に回折角度2θ、縦軸に回折強度をプロットすることにより得られるものである。また、回折ピークとは、X線回折パターンにおけるSN比(信号(S)とノイズ(N)の比(S/N))の値が10以上である山状の部分をいう。個々の回折ピークは結晶面に対応する。なお、ピーク部分については、ピーク強度の積分を行う際にベースラインを求める公知の手法に従ってベースラインを定める。
【0026】
また、粉末X線回折法(Cu−K線)によって前記複合金属酸化物を測定した際に、2θが25.0〜30.0°の領域に存在する前記セリウムニオブ複酸化物の回折ピークが2つ以上観測されることが好ましい。このようなセリウムニオブ複酸化物の回折ピークが2つ以上観測されると、得られる触媒の窒素酸化物分解活性がより高くなる傾向にある。
【0027】
更に、このようなセリウムニオブ複酸化物としては、例えば、より高い窒素酸化物分解活性が得られるという観点から、基本組成がCeNbO
4.08[回折ピーク:2θ=28.254°、28.728°]及びCeNbO
4.25[回折ピーク:2θ=28.190°、29.415°]からなる群から選択される少なくとも一種以上のセリウムニオブ複酸化物を用いることが好ましい。なお、基本組成とは、上記セリウムニオブ複酸化物の代表的な組成という意味であり、上記組成式で表されるものの他、必ずしも化学量論組成のものに限定されるわけではなく、例えば、製造上不可避的に生じるCe、Nb等の陽イオン元素が欠損した、或いは酸素元素が欠損した非化学量論組成のもの等も含む。また、例えば、セリウムサイトやニオブサイトを他の1種又は2種以上の元素で一部置換したもの等の組成も含む。
【0028】
(複合金属酸化物)
本発明にかかる複合金属酸化物(composite metal oxide)は、Ce(セリウム)とNb(ニオブ)とを含有する複合金属酸化物であり、前述した組成式:CeNbOx(式中、xは4.03以上4.30以下の数を示す。)で表わされるセリウムニオブ複酸化物を主成分として含有していることが必要である。なお、前記セリウムニオブ複酸化物以外の成分としては、組成式:CeNbOx(式中、xは4.03未満又は4.30超の数を示す。)で表わされるセリウムニオブ複酸化物[x=4.33、回折ピーク:2θ=27.603°、28.327°、28.568°、29.317°、29.736°、x=4.00、回折ピーク:2θ=27.568°、29.17°]、前記セリウムニオブ複酸化物以外のCe(セリウム)とNb(ニオブ)とを含有する複酸化物[CeNb
5O
14、回折ピーク:2θ=28.681°、Ce
3NbO
7、回折ピーク:2θ=29.16°、CeNb
7O
19、回折ピーク:2θ=26.634°]、セリウム酸化物[回折ピーク:2θ=28.555°]、ニオブ酸化物[回折ピーク:2θ=26.832°]、等が挙げられる。
【0029】
また、このような本発明の複合金属酸化物としては、BET比表面積が10m
2/g以上であることが必要である。BET比表面積が前記下限未満では、本発明の複合金属酸化物を用いて触媒としたときに十分に高い窒素酸化物分解活性を有する窒素酸化物分解触媒が得られない。なお、このような複合金属酸化物のBET比表面積は、より十分に高い窒素酸化物分解活性が得られるという観点から、15m
2/g以上がより好ましく、20〜200m
2/gが特に好ましい。また、このような比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。なお、このようなBET比表面積は、市販の装置を利用して求めることができる。
【0030】
更に、このような複合金属酸化物の粒子径としては、本発明の複合金属酸化物を用いて触媒としたときにより十分に高い窒素酸化物分解活性が得られるという観点から、平均粒子径が0.005〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.005〜0.1μmがより好ましい。なお、このような平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察、走査型電子顕微鏡写真(SEM)観察、電子線マイクロアナライザー(EPMA)観察等により測定することができる。
【0031】
[複合金属酸化物の製造方法]
次に、本発明の複合金属酸化物の製造方法を説明する。本発明の複合金属酸化物の製造方法は、セリウム塩とニオブ塩とを含有する溶液から、塩基の存在下でセリウムとニオブとを含む複合金属酸化物の前駆体を沈殿せしめ、複合金属酸化物前駆体粉体を得る工程(前駆体粉体調製工程)と、前記複合金属酸化物前駆体粉体及び凝集抑制剤粉体をミリング処理により混合粉砕して微細混合物を得る工程(混合粉砕工程)と、得られた微細混合物を不活性雰囲気中又は還元雰囲気中で600〜900℃の範囲内の温度で焼成することにより上記本発明の複合金属酸化物を得る工程(焼成工程)と、を含むことを特徴とする方法である。
【0032】
(前駆体粉体調製工程)
本発明の複合金属酸化物の製造方法においては、先ず、セリウム塩とニオブ塩とを含有する溶液から、塩基の存在下でセリウムとニオブとを含む複合金属酸化物の前駆体を沈殿せしめ、複合金属酸化物前駆体粉体を得る(前駆体粉体調製工程)。
【0033】
このような本発明の製造方法にかかる前駆体粉体調製工程において用いるセリウム塩としては、特に制限されないが、例えば、硝酸セリウム(III)・6水和物、酢酸セリウム(III)、硫酸セリウム(III)・8水和物、しゅう酸セリウム(III)、塩化セリウム(III)が挙げられ、中でも、水への溶解性の高さという観点から、硝酸セリウム(III)・6水和物、塩化セリウム(III)が好ましい。
【0034】
また、このような本発明の製造方法にかかる前駆体粉体調製工程において用いるニオブ塩としては、特に制限されないが、例えば、塩化ニオブ、しゅう酸ニオブ、しゅう酸ニオブアンモニウムが挙げられ、中でも、水への溶解性の高さという観点から、塩化ニオブ、しゅう酸ニオブが好ましい。
【0035】
更に、前記セリウム塩と前記ニオブ塩とを含有する溶液としては、特に制限されないが、例えば、前記セリウム塩と前記ニオブ塩とを溶媒(好ましくはイオン交換水、蒸留水等の水)に溶解せしめて前記溶液を得る。このような溶液の濃度は、特に制限されないが、含有される金属塩の合計濃度が0.05〜1.0mol/L程度であることが好ましい。また、このような溶液としては、前記セリウム塩と前記ニオブ塩の含有比率が、モル比([セリウムのモル数]:[ニオブのモル数])で5:3〜3:5であることが好ましく、4:3〜3:4であることがより好ましい。このようなモル比が前記下限未満では目的とする複酸化物が形成されない傾向にあり、他方、前記上限を超えると目的とする複酸化物が形成されない傾向にある。
【0036】
また、このような本発明の製造方法にかかる前駆体粉体調製工程において用いる塩基としては、特に制限されないが、例えば、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウムが挙げられ、中でも、不純物の低減という観点から、アンモニアが好ましい。
【0037】
更に、このような本発明の前駆体粉体調製工程において、セリウム塩とニオブ塩とを含有する溶液から塩基の存在下でセリウムとニオブとを含む複合金属酸化物の前駆体を沈殿せしめる方法としては、特に制限されないが、例えば、前記セリウム塩と前記ニオブ塩とを含有する溶液を、前記塩基を含む溶液に撹拌しながら順次添加して沈殿物を生成せしめる方法が挙げられる。なお、このような前駆体粉体調製工程においては、前記セリウム塩と前記ニオブ塩と前記塩基を含む溶液とからなる混合溶液のpHを7〜10(より好ましくは8〜9)に調整して複合金属酸化物前駆体粉体となる沈殿物を生成させることが好ましい。また、前記攪拌の条件は、特に制限されないが、より均一な混合体を得やすいという観点からメカニカルスターラーやマグネチックスターラー等による強攪拌(激しい攪拌)を行うことが好ましい。
【0038】
また、このような前駆体粉体調製工程により得られる複合金属酸化物の前駆体の粒径としては、特に制限されないが、高い比表面積のものが得られるという観点から、平均粒径(平均二次粒径)が0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜1μmであることがより好ましい。
【0039】
(混合粉砕工程)
次に、本発明の複合金属酸化物の製造方法においては、前記前駆体粉体調製工程において得られた複合金属酸化物前駆体粉体及び凝集抑制剤粉体をミリング処理により混合粉砕して微細混合物を得る(混合粉砕工程)。
【0040】
このような本発明の製造方法にかかる混合粉砕工程において用いる凝集抑制剤粉体としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック、塩化カルシウム、炭酸カルシウムが挙げられ、中でも、十分な凝集抑制という観点から、カーボンブラック、塩化カルシウムが好ましい。
【0041】
このような混合粉砕工程におけるミリング処理としては、複合金属酸化物前駆体粉体及び凝集抑制剤粉体を混合粉砕することによって微細混合物が得られる処理法であれば特に制限されないが、例えば、遊星ボールミルや転動ミル等を用いて機械的エネルギーを付与しながら被混合物を混合粉砕する方法が挙げられる。このようなミリング処理において用いる装置としては、例えば、遊星ボールミル、転動ミル(回転ミル)、振動ミル、ターボミル、ディスクミル等を用いることができ、中でも、遊星ボールミル、転動ミル(回転ミル)が好ましい。また、ミル容器(ポット)やボール(振動子)の材質については特に制限されないが、例えば、ジルコニア製、ステンレス製、メノウ製等のミル容器を用いることができる。ボールの粒径についても特に制限されないが、例えば、直径3〜50mmのものを使用することができる。更に、ミリング処理の条件としては、所望の微細混合物を得ることができるように設定すればよい。例えば、転動ミルにより微細混合物を作製する場合には、ミル容器内に被混合物とボール(粉砕用振動子)を加え、所定の回転数及び時間でミリング処理を行えばよい。処理条件の一例として、回転数としては、100rpm〜1000rpmの範囲内が好ましく、中でも100rpm〜400rpmの範囲内であることがより好ましい。また、振動ミルを行う際の処理時間としては、1時間〜100時間の範囲内が好ましく、中でも2時間〜30時間の範囲内であることがより好ましい。
【0042】
更に、このようなミリング処理の条件として、遠心力(重加速度)が1〜50Gの範囲内であることが好ましく、1〜30Gの範囲であることがより好ましい。また、ミリング処理の温度としては、特に制限されないが、通常、室温近傍の温度で行うことができる。また、ミリング処理を行う際の雰囲気としては、特に制限されないが、大気中の水分等と被混合物との反応を抑制する観点で、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
【0043】
また、ミリング処理により得られる微細混合物の粒径としては、特に制限されないが、大きな比表面積を有する複合金属酸化物が得られるという観点から、平均粒径(平均二次粒径)が0.01〜100μmであることが好ましく、0.02〜10μmであることがより好ましい。なお、このような微細混合物は、できる限り均質な混合物であることが好ましい。より均質な混合物とすることにより、焼成時に起こり得る複合金属酸化物の凝集を高度に抑制することが可能となり、熱処理後もより大きな比表面積を有する複合金属酸化物を得ることが可能となる。
【0044】
更に、本発明の混合粉砕工程においては、前記ミリング処理後にミリング処理装置から微細混合物を回収する方法としては、特に制限されないが、例えば、前記ミリング処理後の微細混合物に、1〜5分間程度の湿式ミリングを施すことにより容器とボールに付着した微細混合物を回収する方法であることが好ましい。このような湿式ミリングは、ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、ホモジナイザー等により行うことができる。湿式ミリングにおいて用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールが挙げられる。なお、湿式ミリングを施した後に、回収した微細混合物に乾燥を施すことが好ましい。このような乾燥の方法は、特に制限はされないが、溶媒蒸発による再凝集を抑制するという観点から、スプレードライヤー、振動乾燥機、流動乾燥機、ドラムドライヤー等で乾燥することが好ましい。
【0045】
(焼成工程)
次に、本発明の複合金属酸化物の製造方法においては、前記混合粉砕工程において得られた微細混合物を不活性雰囲気中又は還元雰囲気中で600〜900℃の範囲内の温度で焼成することにより上記本発明の複合金属酸化物を得る(焼成工程)。
【0046】
このような本発明の複合金属酸化物の製造方法にかかる焼成工程においては、前記混合粉砕後に前記微細混合物の焼成を、不活性雰囲気中又は還元雰囲気中で行うことが必要である。
【0047】
前記不活性雰囲気としては、活性ガス濃度が0.1容量%以下であることが好ましく、0.01容量%以下であることがより好ましい。このような不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気が挙げられる。
【0048】
また、前記還元雰囲気としては、還元性ガス濃度が0.1容量%以上にあることが好ましく、0.1〜10容量%にあることがより好ましい。このような還元性ガスとしては、水素、一酸化炭素、炭化水素等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
更に、このような焼成工程における雰囲気としては、1〜5容量%の水素(H
2)ガスであることが好ましい。
【0050】
また、このような本発明の複合金属酸化物の製造方法にかかる焼成工程においては、前記混合粉砕後に前記微細混合物を600〜900℃の範囲内の温度で焼成せしめることが必要である。前記焼成温度が、前記下限未満では、焼成が十分に達成されず、十分に高い窒素酸化物分解活性を有する複合金属酸化物が得られず、他方、上限を超えると、複酸化物の比表面積が低下するという問題がある。このような焼成温度は、より高い窒素酸化物分解活性が得られるという観点から、750〜850℃の範囲内の温度であることがより好ましい。また、焼成(加熱)時間としては、前記焼成温度により異なるものであるため一概には言えないが、0.5〜20時間であることが好ましく、1〜10時間であることがより好ましい。
【0051】
更に、前記混合粉砕後に前記微細混合物を焼成して前記担体を得るが、その際に、前記微細混合物を必要に応じ乾燥し、更に焼成することが好ましい。このような乾燥方法としては、特に制限されないが、一般的に80〜150℃で1〜48時間程度の乾燥条件が適宜採用される。
【0052】
また、本発明の複合金属酸化物の製造方法においては、前記焼成工程(前記複合金属酸化物を得る工程)で得られた複合金属酸化物から前記凝集抑制剤を除去する工程を更に含むことが好ましい。なお、前記凝集抑制剤を除去する方法としては、特に制限されないが、例えば、酸化性雰囲気下で加熱処理を施し除去する方法、洗浄を施し除去する方法等が挙げられる。その中でも、酸化性雰囲気(例えば、大気中)下、温度500〜700℃の条件で加熱処理を施す方法であることが好ましい。
【0053】
以上、本発明の複合金属酸化物の製造方法の好適な実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではない。
【0054】
[窒素酸化物分解触媒]
次に、本発明の窒素酸化物分解触媒を説明する。本発明の窒素酸化物分解触媒は、上記本発明の複合金属酸化物を含むことを特徴とするものである。このような窒素酸化物分解触媒とすることにより、十分に高い窒素酸化物分解活性を有する窒素酸化物分解触媒を提供することができる。
【0055】
なお、本発明の窒素酸化物分解触媒は、上記本発明の複合金属酸化物を含むことが必要である。ここで、「複合金属酸化物を含む」とは、前記窒素酸化物分解触媒が前記本発明の複合金属酸化物のみから構成されるもの、或いは、主として前記本発明の複合金属酸化物からなり本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含み構成されるものであることを意味する。このような窒素酸化物分解触媒に含有させることが可能な他の成分としては、触媒や複合金属酸化物に利用することが可能な公知の他の成分を適宜利用することができる。このような窒素酸化物分解触媒に含有する他の成分としては、触媒の熱安定性や触媒活性の観点から、例えば、チタニウム(Ti)、ケイ素(Si)、リン(P)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、ランタン(La)等の元素の酸化物を好適に用いることができる。なお、後者の場合、窒素酸化物分解触媒における前記複合金属酸化物の含有量は、窒素酸化物分解触媒の全質量100質量%に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることが特に好ましい。このような窒素酸化物分解触媒における複合金属酸化物の含有量が前記下限未満では、本発明の効果が十分に得られない傾向にある。
【0056】
また、このような窒素酸化物分解触媒の比表面積としては、特に制限されないが、十分に高い窒素酸化物分解活性が得られるという観点から、10m
2/g以上が好ましく、15m
2/g以上がより好ましく、20〜200m
2/gが特に好ましい。
【0057】
更に、このような窒素酸化物分解触媒の粒子径としては、より高い十分に高い窒素酸化物分解活性が得られるという観点から、平均粒子径が0.005〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.005〜0.1μmがより好ましい。
【0058】
また、本発明の窒素酸化物分解触媒の形態としては、特に制限されないが、例えば、目的とする触媒の用途等に応じたハニカム形態、ペレット形態等が挙げられ、前記窒素酸化物分解触媒をそのような形態に成形しても、或いは基材に前記窒素酸化物分解触媒を固定せしめてもよい。このような基材としては、特に制限されないが、目的とする触媒の用途等に応じて適宜選択されるが、DPF基材、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等をより好適に用いることができる。更に、このような基材の材料も特に制限されないが、コージェライト、炭化ケイ素、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材をより好適に用いることができる。また、このような基材を用いる場合において、前記窒素酸化物分解触媒を前記基材に固定する方法としては、例えば、基材に前記窒素酸化物分解触媒の粉末をウォッシュコート法等の方法でコートして前記窒素酸化物分解触媒からなるコート層を基材の表面に形成せしめる方法を採用することができる。
【0059】
また、前記窒素酸化物分解触媒を基材に固定せしめた形態とする場合、基材容量1L当たりの前記窒素酸化物分解触媒の量としては、得られる触媒において十分な触媒活性が得られ、かつ圧損上昇やコート層剥離が抑制できるという観点から、金属酸化物換算で50〜400g/L程度であることが好ましい。
【0060】
また、本発明の窒素酸化物分解触媒は、他の触媒と組み合わせて利用してもよい。このような他の触媒としては、特に制限されず、公知の触媒(例えば、自動車の排ガス浄化用触媒の場合は、三元触媒、酸化触媒、NOx還元触媒、NOx吸蔵還元型(NSR触媒)、HC選択酸化触媒等)を適宜用いてもよい。
【0061】
[窒素酸化物の分解方法]
次に、上記本発明の窒素酸化物分解触媒を用いて窒素酸化物含有ガスを分解する本発明の方法について説明する。
【0062】
本発明の窒素酸化物の分解方法は、窒素酸化物含有ガスを前記本発明の窒素酸化物分解触媒に接触させて窒素酸化物を分解せしめることを特徴とする方法である。
【0063】
本発明にかかる窒素酸化物含有ガスとしては、一酸化窒素及び二酸化窒素等の窒素酸化物を含有しているガスであればよく、特に制限されないが、例えば、燃焼炉や自動車などから排出される燃焼排ガスや、加熱装置や化学プラントなどから排出される各種産業排ガスなどが挙げられる。なお、このような窒素酸化物含有ガスとしては、二酸化窒素の生成の点から、酸素の濃度は1体積%以上であることが好ましい。また、このような本発明の窒素酸化物の分解方法においては、窒素酸化物含有ガスを前記本発明の窒素酸化物分解触媒に接触せしめる際の温度条件は、250〜600℃であることが好ましい。このような窒素酸化物含有ガスと窒素酸化物分解触媒の接触温度が前記下限未満では、窒素酸化物含有ガスを十分に分解できない傾向にある。他方、前記上限を超えると、活性点であるNbやCeが粗大化する傾向にある。
【実施例】
【0064】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
先ず、塩化ニオブ(NbCl
5、和光純薬工業社製)のエタノール溶液(NbCl
5の濃度で3.7mmol/g)1.0gと塩化セリウム水溶液(CeCl
3の濃度で0.74mmol/g)5gを作製し、これらをアンモニア水(水酸化アンモニウム、1mol/LのNH
4OH相当)40gに激しく撹拌しながら順次添加して、Nb
2O
5とCe(OH)
3のナノ粒子混合物(Nb/Ceモル比=1)の沈殿を合成し、複合金属酸化物前駆体粉体(粉末)を得た。
【0066】
次に、ステンレス鋼(SUS304)製のミル容器(直径90mm、容量500mL)に、容器容積の40%相当量のボール(SUS304製:3.2mm)を、前記前駆体粉末1.0g、凝集抑制剤であるカーボンブラック0.05gとともに装入し、140rpmの容器回転速度で24時間のミリング処理を行った。次いで、少量のイオン交換水を投入して数分間の湿式ミリングを行い、容器とボールに付着した試料粉体を回収した。得られたスラリーを110℃で乾燥し、微細混合物を得た。
【0067】
次いで、得られた微細混合物0.5gをアルミナボートに入れ、Ar雰囲気中(流量500mL/min)700℃の温度条件で1時間焼成せしめ、更に、Air雰囲気中、600℃の温度条件で0.5時間の加熱処理を施すことによって複合金属酸化物からなる窒素酸化物分解触媒を得た。
【0068】
(実施例2)
カーボンブラックの導入量を0.1gとした以外は、実施例1と同様にして、複合金属酸化物からなる窒素酸化物分解触媒を得た。
【0069】
(実施例3)
カーボンブラックの導入量を0.3gとした以外は、実施例1と同様にして、複合金属酸化物からなる窒素酸化物分解触媒を得た。
【0070】
(実施例4)
凝集抑制剤としてカーボンブラックの代わりにCaCl
3を1.0g導入した以外は、実施例1と同様にして、複合金属酸化物からなる窒素酸化物分解触媒を得た。
【0071】
(実施例5)
ミリング処理におけるボールの径を9.5mmとし、カーボンブラックの導入量を0.1gとした以外は、実施例1と同様にして、複合金属酸化物からなる窒素酸化物分解触媒を得た。
【0072】
(実施例6)
先ず、実施例1と同様にして得た複合金属酸化物前駆体粉体(粉末)5gを、凝集抑制剤であるカーボンブラック0.1gとともに、18個のボール(ZrO
2製、直径10mm、密度6.0g/cm
3)が入ったジルコニア製の容器(直径40mm、容量45mL)に装入し、遊星ボールミル(フリッチュ社製、「遊星型ボールミルP−7」)を用いて120rpmの公転速度(仕様により、容器自転速度は公転速度の2倍に固定)で3時間のミリング処理を行い、微細混合物を得た。
【0073】
次に、得られた微細混合物0.5gをアルミナボートに入れ、Ar雰囲気中(流量500mL/min)700℃の温度条件で1時間焼成せしめ、更に、Air雰囲気中、600℃の温度条件で0.5時間の加熱処理を施すことによって複合金属酸化物からなる窒素酸化物分解触媒を得た。
【0074】
(比較例1)
先ず、塩化ニオブ(NbCl
5、和光純薬工業社製)のエタノール溶液(NbCl
5の濃度で3.7mmol/g)1gと塩化セリウム水溶液(CeCl
3の濃度で0.74mmol/g)5gを作製し、これらをアンモニア水(水酸化アンモニウム、1mol/LのNH
4OH相当)40gに激しく撹拌しながら順次添加して、Nb
2O
5とCe(OH)
3のナノ粒子混合物(Nb/Ceモル比=1)の沈殿を合成し、前駆体粉末を得た。
【0075】
次に、得られた前駆体粉末0.5gをアルミナボートに入れ、Ar雰囲気中(流量500mL/min)650℃の温度条件で0.5時間焼成せしめ、比較用金属酸化物からなる比較用触媒を得た。得られた比較用触媒(比較用金属酸化物)はCeO
2を含み、単相のCeNbOxではなかった。メインの相はCeNbO
4.00、ピーク面積比は0.00であり基準よりも低かった。
【0076】
(比較例2)
加熱処理の条件をAr雰囲気中(流量500mL/min)800℃の温度条件で0.5時間とした以外は、比較例1と同様にして、比較用金属酸化物からなる比較用触媒を得た。得られた比較用触媒(比較用金属酸化物)のメインの相はCeNbO
4.00、ピーク面積比は0.00であり基準よりも低かった。
【0077】
(比較例3)
先ず、塩化ニオブ(NbCl
5、和光純薬工業社製)のエタノール溶液(NbCl
5の濃度で3.7mmol/g)1.0gと塩化セリウム水溶液(CeCl
3の濃度で0.74mmol/g)5.0gを作製し、これらをアンモニア水(水酸化アンモニウム、1mol/LのNH
4OH相当)40gに激しく撹拌しながら順次添加して、Nb
2O
5とCe(OH)
3のナノ粒子混合物(Nb/Ceモル比=1)の沈殿を合成し、前駆体粉末を得た。
【0078】
次に、ステンレス鋼(SUS304)製のミル容器(直径90mm、容量500mL)に、容器容積の40%相当量のボール(SUS304製:3.2mm)を前記前駆体粉末1gとともに装入し、140rpmの容器回転速度で24時間のミリング処理を行った。次いで、少量のイオン交換水を投入して数分間の湿式ミリングを行い、容器とボールに付着した試料粉体を回収した。得られたスラリーを110℃で乾燥し、微細混合物を得た。
【0079】
次いで、得られた微細混合物0.5g及びカーボンブラック0.1gを乳鉢にて混合し、得られた混合物をアルミナボートに入れ、Ar雰囲気中(流量500mL/min)700℃の温度条件で1時間焼成せしめ、更に、Air雰囲気中、600℃の温度条件で0.5時間の加熱処理を施すことによって比較用金属酸化物からなる比較用触媒を得た。得られた比較用触媒(比較用金属酸化物)のメインの相はCeNbO
4.25、ピーク面積比は1.00であった。
【0080】
なお、実施例1〜6及び比較例1〜3における、ミリング処理における条件及び焼成工程における条件を、表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
<耐久試験>
実施例1〜6で得られた窒素酸化物分解触媒及び比較例1〜3で得られた比較用触媒に対して、大気中、750℃の温度条件で24時間熱処理を施し、耐久試験を行った。
【0083】
<X線回折(XRD)の測定>
実施例1〜6で得られた耐久試験後の窒素酸化物分解触媒及び比較例1〜3で得られた耐久試験後の比較用触媒に対して、以下のようにして、XRD(X線回折法:X−ray diffraction)により、各触媒のX線回折パターンを測定し、ピーク面積比率を測定した。
【0084】
すなわち、先ず、前記窒素酸化物分解触媒(又は比較用触媒)をめのう乳鉢を用いて粉砕し粉末化した。次いで、得られた窒素酸化物分解触媒(又は比較用触媒)約100mgを評価試料として同一形状のサンプルホルダーを用いて試料量が一定となるようにし、X線回折装置((株)リガク社製、UltimaIV)に設置した。
【0085】
<測定条件>
X線源:Cu−Kα線(λ=0.15418nm)
出力設定:40kV×50mA
測定時光学条件:
発散スリット=1°
散乱スリット=1°
受光スリット=0.2mm
回折ピークの位置:2θ(回折角)
測定範囲:2θ=10〜70度
走査速度:10度/分
測定方法:連続。
【0086】
実施例1〜6で得られた窒素酸化物分解触媒及び比較例1〜3で得られた比較用触媒のXRD測定結果(XRDスペクトル)を
図1に示す。
図1は、耐久試験後の実施例1〜6で得られた窒素酸化物分解触媒及び比較例1〜3で得られた比較用触媒のX線回折パターンを示すグラフである。
【0087】
また、実施例1〜6で得られた窒素酸化物分解触媒及び比較例1〜3で得られた比較用触媒の、X線回折測定により得られるCuKα線を用いたX線回折パターンから求められる、2θが25.0以上30.0°以下の間の回折ピークのピーク面積の合計(B)に対する、2θが25.0以上30.0°以下の間の回折ピークにおける組成式:CeNbOx(式中、xは4.03以上4.30以下の数を示す。)のピーク面積の合計(A)の比率(A/B)の値を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
<XRD測定結果>
図1に示した結果から明らかなとおり、実施例1の窒素酸化物分解触媒のX線回折測定により得られるCuKα線を用いたX線回折パターン(XRDスペクトル)においては、2θ=28.19°及び2θ=29.42°に回折ピークが存在しており、この2つの回折ピークは、CeNbO
4.25のそれぞれ(−121)面、(121)面に帰属するものであることが確認された。
【0090】
また、実施例2で得られたX線回折パターンにおいては、2θ=28.25°及び2θ=28.73°に回折ピークが存在しており、この2つの回折ピークは、CeNbO
4.08のそれぞれ(−121)面、(130)面に帰属するものであることが確認された。
【0091】
更に、実施例3で得られたX線回折パターンにおいては、2θ=28.25°及び2θ=28.73°に回折ピークが存在しており、この2つの回折ピークは、CeNbO
4.08のそれぞれ(−121)面、(130)面に帰属するものであることが確認された。
【0092】
また、実施例4で得られたX線回折パターンにおいては、2θ=28.25°及び2θ=28.73°に回折ピークが存在しており、この2つの回折ピークは、CeNbO
4.08のそれぞれ(−121)面、(130)面に帰属するものであることが確認された。
【0093】
更に、実施例5で得られたX線回折パターンにおいては、2θ=28.25°及び2θ=28.73°に回折ピークが存在しており、この2つの回折ピークは、CeNbO
4.08のそれぞれ(−121)面、(130)面に帰属するものであることが確認された。
【0094】
また、実施例6で得られたX線回折パターンにおいては、2θ=28.19°及び2θ=29.42°に回折ピークが存在しており、この2つの回折ピークは、CeNbO
4.25のそれぞれ(−121)面、(121)面に帰属するものであることが確認された。
【0095】
更に、比較例1で得られたX線回折パターンにおいては、2θ=27.57°及び2θ=29.17°に回折ピークが存在しており、この2つの回折ピークは、CeNbO
4.00のそれぞれ(−121)面、(121)面に帰属するものであることが確認された。また、2θ=28.35°付近にCeO
2の回折ピークの存在が確認された。
【0096】
また、比較例2で得られたX線回折パターンにおいては、2θ=27.57°及び2θ=29.17°に回折ピークが存在しており、この2つの回折ピークは、CeNbO
4.00の(−121)面に帰属するものであることが確認された。また、2θ=28.30°付近にCeO
2の回折ピークの存在が確認された。
【0097】
更に、比較例3で得られたX線回折パターンにおいては、2θ=28.19°及び2θ=29.42°に回折ピークが存在しており、この2つの回折ピークは、CeNbO
4.25の(−121)面に帰属するものであることが確認された。
【0098】
また、表2に示した結果から明らかなとおり、実施例1〜6の窒素酸化物分解触媒のピーク面積比率が1.00であることが確認された。
【0099】
<比表面積評価試験>
実施例1〜6で得られた耐久試験後の窒素酸化物分解触媒及び比較例1〜3で得られた耐久試験後の比較用触媒に対して、以下のようにして、比表面積を測定した。
【0100】
すなわち、窒素酸化物分解触媒及び比較用触媒の比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出した。すなわち、全自動比表面積測定装置(MICRO・DATA社製、商品名「MICRO SORP4232II」)を用い、液体窒素温度(−196℃)におけるN
2吸着を利用したBrunauer−Emmett−Teller(BET)一点法により算出した。得られた結果を表2に示す。
【0101】
<NOx浄化活性の評価>
実施例1〜6で得られた耐久試験後の窒素酸化物分解触媒及び比較例1〜3で得られた耐久試験後の比較用触媒に対して、NOx浄化率を以下の方法により測定した。
【0102】
すなわち、先ず、前記触媒を1000kgf/cm
2で圧粉成型し、破砕、整粒して直径0.5〜1.0mmのペレット化した。次いで、得られた触媒1.0gを触媒試料として常圧固定床流通型反応装置(大倉理研社製、TP−5000)に設置した。
【0103】
次に、O
2(10質量%)、NO(440ppm)、NH
3(500ppm)、CO
2(10質量%)、H
2O(10質量%)、N
2(残部)からなるリーンガスを5リットル/分のガス流量で供給し、触媒入りガス温度が350℃となるように調整した。その後、触媒入りガス温度を350℃に10分間保持しつつ、定常状態における触媒入りガス及び触媒出ガス中のNOx濃度を測定し、それらの測定値からNOx浄化率(%)を算出した。得られた結果を
図2及び表2に示す。
図2は、実施例2、5、7の窒素酸化物分解触媒及び比較例1〜2で得られた比較用触媒のNOx浄化活性測定試験の結果を示すグラフである。
【0104】
<NOx浄化活性の評価>
図2に示した実施例2、5、7の結果と比較例1〜2の結果との比較から明らかなように、実施例の窒素酸化物分解触媒は、比較例1〜2の比較用触媒よりもNOx浄化率が向上しており、十分に高い窒素酸化物分解活性を有する窒素酸化物分解触媒が得られていることが確認された。