特許第6284227号(P6284227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284227
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】おにぎり成形装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20180215BHJP
【FI】
   A23L7/10 G
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-71438(P2014-71438)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-192602(P2015-192602A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】長島 光彦
(72)【発明者】
【氏名】米川 純
【審査官】 厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−017862(JP,A)
【文献】 特開2013−240289(JP,A)
【文献】 特開2009−089619(JP,A)
【文献】 特開2009−065960(JP,A)
【文献】 特開2002−272395(JP,A)
【文献】 特開2003−070432(JP,A)
【文献】 特開2007−049937(JP,A)
【文献】 特開2009−089643(JP,A)
【文献】 特開2011−062108(JP,A)
【文献】 特開2010−187564(JP,A)
【文献】 特開平07−163326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00 − 7/104
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定板と、当該固定板の両側においてヒンジを介して取り付けられて前記固定板側を支点にして前記固定板の上方で自由端が接近するように旋回する2つの可動板とを備えた折り畳み手段と、
シート状の米飯塊に対して、相互に平行となって凹んだ2本の折れ線部を、前記折り畳み手段上に載置されたときに前記ヒンジに対向する位置よりも内側となる位置に形成する折れ線形成部を備えた形成手段と、
前記折り畳み手段により折り畳まれた米飯塊を圧縮しておにぎりを成形する圧縮手段とを有し、
前記折り畳み手段は、シート状の米飯塊を前記2つの可動板の旋回により前記折れ線部で屈曲させて折り畳む、
ことを特徴とするおにぎり成形装置。
【請求項2】
前記形成手段は、所定の具材を載置するための具穴を形成する具穴形成部をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項1記載のおにぎり成形装置。
【請求項3】
前記成形手段は、シート状の米飯塊における前記2本の折れ線部と直交し、当該米飯塊の前記2本の折れ線部に沿った方向を拡張する米飯塊拡張溝を形成する拡張溝形成部をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項2記載のおにぎり成形装置。
【請求項4】
所定の具材を載置するための具穴を形成する具穴形成部を備えた具穴形成手段をさらに有し、
前記折り畳み手段は、前記2つの可動板の旋回により前記2本の折れ線部および前記具穴の形成されたシート状の米飯塊を前記折れ線部で屈曲させて折り畳む、
ことを特徴とする請求項1記載のおにぎり成形装置。
【請求項5】
前記折れ線形成部と前記具穴形成部とは、前記米飯塊に形成された前記2本の折れ線部の深さが前記具穴の深さよりも深くなる突起である、
ことを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のおにぎり成形装置。
【請求項6】
前記圧縮手段には、前記折り畳みユニットで折り畳まれた米飯塊を上方から投入しておにぎりを成形する開口部が三角形の成形孔が、当該三角形の一辺が前記成形孔に導入される米飯塊を向いた方向となって形成され、
前記具穴は、シート状の米飯塊の中央よりも当該米飯塊の搬送方向側にずれた位置に形成される、
ことを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載のおにぎり成形装置。
【請求項7】
前記形成手段は、フッ素系またはシリコーン系の樹脂材で形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のおにぎり成形装置。
【請求項8】
前記形成手段の米飯塊との接触面は、
フッ素系もしくはシリコーン系の樹脂材でコーティングされ、またはシボ加工されている、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のおにぎり成形装置。
【請求項9】
シート状の米飯塊を搬送する搬送手段と、
前記形成手段で前記折れ線部または前記折れ線部および前記具穴形成部が形成されているときに前記搬送手段上の米飯塊を搬送方向の前後から挟んで米飯塊の広がりを規制する規制手段と、
前記形成手段により米飯塊に折れ線部または前記折れ線部および前記具穴形成部を形成しているときには搬送動作が停止し、それ以外のときには搬送動作が実行するように前記搬送手段を制御する搬送制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のおにぎり成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯からおにぎりを成形するためのおにぎり成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
おにぎり成形装置としては、計量した米飯塊を圧縮して目的の形状に成形するものが知られている。
【0003】
その際、米飯塊をシート状にしておいてその上に具材を載置し、当該具材を包むように両側を折り畳み、その後目的の形状に成形することが行われている(特許文献1参照)。
【0004】
ここで、本発明者が検討したおにぎり成形装置について、図19および図20を用いて説明する。図19(a)は本発明者が検討したおにぎり成形装置において米飯塊に具穴を形成する部分を搬送方向側方から見た説明図、図19(b)は当該部分を搬送方向正面から見た説明図、図20(a)〜(c)は折り畳みユニットで折り畳まれる米飯塊を示す説明図である。
【0005】
発明者が検討したおにぎり成形装置では、図19に示すように、シート状の米飯塊Rの両側を規制プレート135bで挟んでおき、具穴成形型135dで具穴R2を形成する。
【0006】
そして、当該米飯塊Rの具穴R2に所定の具材Tを載置して折り畳みユニット117に載せ(図20(a))、ヒンジ117bを介して固定板117−1の両側に取り付けられた2枚の可動板117−2を旋回させて米飯塊Rの両側を持ち上げ(図20(b))、可動板117−2の両側が接近するようにして米飯塊Rを折り畳んで具材Tを包み込んでいる(図20(c))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−240289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような本発明者が検討したおにぎり成形装置によれば、折り畳んだ米飯の上部が結着せずに、具材が米飯に包み込まれないことがある。この原因には、米飯塊に内包される具材の量が多かったり、米飯の伸びが悪いために折り畳むために必要な長さが足りなくなったことなどが考えられる。
【0009】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、折り畳まれた米飯塊に対して確実に具材を包み込むことのできるおにぎり成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のおにぎり成形装置は、固定板と、当該固定板の両側においてヒンジを介して取り付けられて前記固定板側を支点にして前記固定板の上方で自由端が接近するように旋回する2つの可動板とを備えた折り畳み手段と、シート状の米飯塊に対して、相互に平行となって凹んだ2本の折れ線部を、前記折り畳み手段上に載置されたときに前記ヒンジに対向する位置よりも内側となる位置に形成する折れ線形成部を備えた形成手段と、前記折り畳み手段により折り畳まれた米飯塊を圧縮しておにぎりを成形する圧縮手段とを有し、前記折り畳み手段は、シート状の米飯塊を前記2つの可動板の旋回により前記折れ線部で屈曲させて折り畳む、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記形成手段は、所定の具材を載置するための具穴を形成する具穴形成部をさらに備えた、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明において、前記成形手段は、シート状の米飯塊における前記2本の折れ線部と直交し、当該米飯塊の前記2本の折れ線部に沿った方向を拡張する米飯塊拡張溝を形成する拡張溝形成部をさらに備えた、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、所定の具材を載置するための具穴を形成する具穴形成部を備えた具穴形成手段をさらに有し、前記折り畳み手段は、前記2つの可動板の旋回により前記2本の折れ線部および前記具穴の形成されたシート状の米飯塊を前記折れ線部で屈曲させて折り畳む、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、上記請求項2〜4の何れか一項に記載の発明において、前記折れ線形成部と前記具穴形成部とは、前記米飯塊に形成された前記2本の折れ線部の深さが前記具穴の深さよりも深くなる突起である、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、上記請求項2〜5の何れか一項に記載の発明において、前記圧縮手段には、前記折り畳みユニットで折り畳まれた米飯塊を上方から投入しておにぎりを成形する開口部が三角形の成形孔が、当該三角形の一辺が前記成形孔に導入される米飯塊を向いた方向となって形成され、前記具穴は、シート状の米飯塊の中央よりも当該米飯塊の搬送方向側にずれた位置に形成される、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、上記請求項1〜6の何れか一項に記載の発明において、前記形成手段は、フッ素系またはシリコーン系の樹脂材で形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、上記請求項1〜6の何れか一項に記載の発明において、前記形成手段の米飯塊との接触面は、フッ素系もしくはシリコーン系の樹脂材でコーティングされ、またはシボ加工されている、ことを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、上記請求項1〜8の何れか一項に記載の発明において、シート状の米飯塊を搬送する搬送手段と、前記形成手段で前記折れ線部または前記折れ線部および前記具穴形成部が形成されているときに前記搬送手段上の米飯塊を搬送方向の前後から挟んで米飯塊の広がりを規制する規制手段と、前記形成手段により米飯塊に折れ線部または前記折れ線部および前記具穴形成部を形成しているときには搬送動作が停止し、それ以外のときには搬送動作が実行するように前記搬送手段を制御する搬送制御手段と、をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
シート状の米飯塊に対して、折り畳み手段上に載置されたときにヒンジに対向する位置よりも内側となる位置に、相互に平行となって凹んだ2本の折れ線部を形成している。そして、このようなシート状の米飯塊を、2つの可動板の旋回により折れ線部で屈曲させて折り畳んでいるので、2本の折れ線部を形成した位置がヒンジに対向する位置となっている場合に比べて、米飯塊の折り畳まれる部分の長さが長くなる。
【0020】
これにより、折り畳まれた米飯塊に対して確実に具材を包み込むことが可能になる。したがって、内包される具材の量が多かったり、米飯の伸びが悪くても、おにぎりに成形された米飯塊から具材が露出することがない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態に係る米飯シート形成部、おにぎり成形部およびおにぎり包装部を正面から示す概略図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る米飯シート形成部、おにぎり成形部およびおにぎり包装部を平面から示す概略図である。
図3】(a)はシート処理部を構成する形成部および規制部を搬送方向側方から見た説明図、(b)はシート処理部を構成する形成部を搬送方向正面から見た説明図である。
図4】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部を構成する形成部の要部である押圧部を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部を構成する折り畳みユニットを示す平面図である。
図6】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部を構成する折り畳みユニットを示す正面図である。
図7】(a)〜(c)は本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部において折り畳みユニットで折り畳まれる米飯塊を連続的に示す説明図である。
図8】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部を構成する成形テーブル、移載型、移載受型および投入ユニットを示す平面図である。
図9】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部を構成する成形テーブル、移載型、移載受型および投入ユニットを示す側面図である。
図10】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部において処理される米飯塊の工程を連続的に示す説明図である。
図11】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部によるおにぎり成形プロセスの一部を示す説明図である。
図12】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部によるおにぎり成形プロセスの図10に続く説明図である。
図13】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部によるおにぎり成形プロセスの図11における折り畳みユニットの動作を示す説明図である。
図14】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部によるおにぎり成形プロセスの図12に続く説明図である。
図15】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部によるおにぎり成形プロセスの図13に続く説明図である。
図16】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部によるおにぎり成形プロセスの図14に続く説明図である。
図17】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部によるおにぎり成形プロセスの図15に続く説明図である。
図18】本発明の一実施の形態に係るおにぎり成形部によるおにぎり成形プロセスの図16に続く説明図である。
図19】(a)は本発明者が検討したおにぎり成形装置において米飯塊に具穴を形成する部分を搬送方向側方から見た説明図、(b)は当該部分を搬送方向正面から見た説明図である。
図20】(a)〜(c)は本発明者が検討したおにぎり成形装置において折り畳みユニットで折り畳まれる米飯塊を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1および図2に示す装置は、米飯を矩形シート状に成形する米飯シート成形部M1と、米飯シート成形部M1で成形された米飯を受け取ってこれを搬送し、おにぎりに成形するおにぎり成形部M2(おにぎり成形装置)と、おにぎり成形部M2で成形されたおにぎりに包装を行うおにぎり包装部M3とで構成されている。
【0024】
米飯シート成形部M1は、キャスタ1aによって移動可能とされた台座2a上に第1の計量コンベア3、第2の計量コンベア4、搬送コンベア5が搬送方向上流側から下流側に沿って配置されている。また、第1の計量コンベア3および第2の計量コンベア4の上方には、米飯(生地)をシート状に成形して送り出す第1の送出部6aおよび第2の送出部6bがそれぞれ配置されている。
【0025】
台座2の後側(図1において右側)には、上下方向に延びる一対の縦レール7に沿って米飯容器8を昇降させるリフタ9が設けられている。このリフタ9によって米飯容器8は上部に設置されたホッパ10の位置まで持ち上げられ、リフタ9の上端に設けられた反転部28によってホッパ10に向けて上下反転されることにより、米飯容器8内の米飯がホッパ10に投入される。
【0026】
ホッパ10には、投入された米飯を解すための解しローラ11が設けられており、さらに、解しローラ11に解された米飯を第1の送出部6aに向けて搬送するための搬送ローラ12aおよび解しローラ11に解された米飯を第2の送出部6bに向けて搬送するための搬送ローラ12bが設けられている。
【0027】
なお、ホッパ10に隣接した位置には、作業者が所望する装置の動作設定を行うとともに設定された動作内容が表示される操作部30が設けられている。
【0028】
第1の送出部6a内には、左右一対で合計2段となった第1のローラ対13が上下方向に配置されている。この第1のローラ対13は、上段に位置する第1のローラ対13aの間隔よりも下段に位置する第1のローラ対13bの間隔の方が狭くなっている。したがって、米飯が第1のローラ対13a,13bにより上方より下方へ送られることによって、シート状に圧縮成形される。
【0029】
下段に位置する第1のローラ対13bの下方には、左右一対で合計2段となった第2のローラ対14が配置されている。この第2のローラ対14は相互に接近離間可能になっており、第1のローラ対13から送られたシート状の連続した米飯は、第2のローラ対14の間隔に応じて厚みが調整されて下方へと送り出される。
【0030】
第2のローラ対14と第1の計量コンベア3との間には、第2のローラ対14から送り出されるシート状の米飯を分割するためのカッタ15が配置されている。
【0031】
したがって、シート状に連続した米飯は第2のローラ対14から送り出されてカッタ15により分割されて矩形シート状の米飯塊Rとなって第1の計量コンベア3に載せられ、計量が行われる。
【0032】
また、第2の送出部6b内には、左右一対となった第1のローラ対31が配置されている。したがって、米飯が第1のローラ対31により上方より下方へ送られることによって、シート状に圧縮成形される。
【0033】
第1のローラ対31の下方には、左右一対で合計2段となった第2のローラ対32が配置されている。この第2のローラ対32は相互に接近離間可能になっており、第1のローラ対31から送られたシート状の連続した米飯は、第2のローラ対32の間隔に応じて厚みが調整されて下方へと送り出される。
【0034】
第2のローラ対32と第2の計量コンベア4との間には、第2のローラ対32から送り出されるシート状の米飯を分割するためのカッタ33が配置されている。
【0035】
したがって、シート状に連続した米飯は第2のローラ対32から送り出されてカッタ33により分割されて米飯塊Rとなり、第1の計量コンベア3から第2の計量コンベア4へと搬送されて来た米飯塊Rの上に載せられ、計量が行われる。
【0036】
ここで、第1の送出部6aでは、目標とする重量の米飯塊Rが生成されて第1の計量コンベア3で計量される。また、第2の送出部6bでは、目標とする重量と第1の計量コンベア3での計量値との差(不足重量)に応じた重量の米飯塊Rが生成され、第1の送出部6aで生成された米飯塊Rとの合計の重量が第2の計量コンベア4で計量される。したがって、第1の送出部6aで生成された米飯塊Rの重量が目標重量であった場合には、第2の送出部6bでの米飯塊Rの供給は行われないことになる。
【0037】
なお、本実施の形態の米飯シート成形部M1では、矩形シート状の米飯塊Rの寸法は、長さ110mm、幅65mm、高さ(厚さ)15mmとなっており、1時間に約3000枚製造可能な性能を有している。
【0038】
米飯シート成形部M1の搬送方向下流側には、米飯塊Rを所定の形状に成形(例えば三角形のおにぎり形状に成形)するためのおにぎり成形部M2が配置されている。そして、第2の計量コンベア4から搬送コンベア5へと搬送された米飯塊Rは、米飯シート成形部M1からおにぎり成形部M2へと取り込まれる。
【0039】
図1および図2に示すように、おにぎり成形部M2は、米飯シート成形部M1で目的とする重量に計量されて形成された矩形シート状の米飯塊Rに2本の折れ線部R1(図10)と具穴R2(図10)を形成する処理を行うシート処理部35と、梅干し、シャケ、タラコなどといった所定の具材Tを載置する具材載置部24(具材載置手段)と、具材載置部24を通過した矩形シート状の米飯塊Rの具材Tの有無および全体重量(具材Tの載置された米飯塊Rの重量)をチェックする具材チェッカ26(具材確認手段)と、具材Tの載置された矩形シート状の米飯塊Rを搬送する搬送コンベア16と、搬送コンベア16によって搬送された米飯塊Rを折り畳む折り畳みユニット17(折り畳み手段)と、折り畳みユニット17で折り畳まれた米飯塊Rを圧縮しておにぎりを成形する成形孔22の形成された成形テーブル18(圧縮手段)と、成形されたおにぎりを取り出す取出型20とを備えている。
【0040】
また、おにぎり成形部M2は、折り畳みユニット17で折り畳まれた米飯塊Rを水平方向に圧縮する圧縮型29と、圧縮された米飯塊Rを上方から成形テーブル18の成形孔22に投入する投入ユニット23と、成形孔22内の米飯塊Rを上下方向に圧縮しておにぎりを成形する圧縮型19とを備えている。
【0041】
ここで、シート処理部35は、シート状の米飯塊Rを搬送する搬送コンベア35a(搬送手段)と、搬送コンベア35a上の米飯塊Rに相互に平行となって凹んだ2本の折れ線部R1および具材Tを載置するための具穴R2を形成する形成部35d(形成手段)と、形成部35dで折れ線部R1等が形成される際に米飯塊Rを搬送方向の前後から挟んで当該米飯塊Rが広がってしまうことを規制する規制部35b(規制手段)と、搬送コンベア35aの搬送動作を制御する搬送制御部35c(搬送制御手段)とからなる。
【0042】
また、具材載置部24には、矩形シート状の米飯塊Rを搬送する具入れコンベア24aが備えられており、作業者は具入れコンベア24a上を搬送されていく米飯塊Rの具穴R2に具材Tを載置していく。
【0043】
さらに、具材チェッカ26は、具材Tの載置された矩形シート状の米飯塊Rを搬送しながら重量を計測する計量コンベア26aと、計量コンベア26a上に配置されて米飯塊R上の具材Tの有無を検知する具検知センサ26bとからなる。
【0044】
なお、シート処理部35は前述の米飯シート成形部M1と一体になっており、具材載置部24はスタンド25上に設置され、搬送コンベア16、折り畳みユニット17、成形テーブル18、圧縮型19および取出型20は、キャスタ1bによって移動可能とされた台座2b上に設置されている。
【0045】
前述のように、シート処理部35は、搬送コンベア35a、規制部35b、搬送制御部35cおよび形成部35dで構成されている。
【0046】
ここで、規制部35bは、搬送コンベア35a上の米飯塊Rを搬送方向の両側から挟むものであり、形成部35dは、シート状の米飯塊Rが規制部35bで挟まれている状態において、当該米飯塊Rを上方から押圧して2本の折れ線部R1および具穴R2を形成する。また、搬送制御部35cは、形成部35dにより米飯塊Rに折れ線部R1および具穴R2を形成しているときには搬送動作が停止し、それ以外のときには搬送動作が実行するように搬送コンベア35aを制御する。
【0047】
次に、形成部35dおよび規制部35bについて説明する。
【0048】
ここで、図3(a)はシート処理部を構成する形成部および規制部を搬送方向側方から見た説明図、図3(b)はシート処理部を構成する形成部を搬送方向正面から見た説明図、図4は形成部の要部である押圧部を示す斜視図である。
【0049】
これらの図面に示すように、形成部35dは、シャフト35d−1と、当該シャフト35d−1の先端に取り付けられた押圧部35d−2からなる。
【0050】
また、押圧部35d−2の下面には、上述した2本の折れ線部R1を形成するための突起である折れ線形成部35d−L、および具穴R2を形成するための突起である具穴形成部35d−Hが設けられている。そして、搬送コンベア35aにあるシート状の米飯塊Rへと下降して上から当該米飯塊Rを押圧することにより、2本の折れ線部R1および具穴R2が形成される。
【0051】
ここで、本実施の形態においては、折れ線部R1は具穴R2を横切るようにして形成されている(図10参照)。したがって、折れ線部R1と具穴R2とが重なった領域において具穴R2の方がより深くなって当該領域において折れ線部R1が消えてしまうと、後述する折り畳みユニット17でシート状の米飯塊Rを折り畳む際にきれいに折れ線部R1で折り曲げられなくなるおそれがある。そこで、折れ線形成部35d−Lと具穴形成部35d−Hとは、米飯塊Rに形成された2本の折れ線部R1の深さが具穴R2の深さよりも深くなるように形成されている。
【0052】
また、本実施の形態においては、形成部35dの米飯塊Rとの接触面は、米飯塊Rを押圧した際に米飯が伸びやすいようにするために、例えばフッ素樹脂でコーティングされている。このようにして米飯塊Rを伸びやすくすれば、押圧前ではシート状の米飯塊Rが形成部35dの全面に対して欠損した箇所があったとしても、押圧により米飯が伸びて(広がって)欠損部にも米飯が行き渡るので、シート状の米飯塊Rの形状不良により具材が露出することがない。
【0053】
なお、形成部35dの米飯塊Rとの接触面をフッ素樹脂でコーティングすること以外にも、当該接触面をシボ加工したり、形成部35dそのものをフッ素樹脂で形成してもよい。
【0054】
また、樹脂材としてはフッ素樹脂に限定されるものではなく、フッ素系やシリコーン系の様々な樹脂材を適用することができる。
【0055】
図示するように、規制部35bは、シート状の米飯塊Rの搬送方向前方側の辺を規制する第1の規制板35b−1と、シート状の米飯塊Rの搬送方向後方側の辺を規制する第2の規制板35b−2とで構成されている。
【0056】
これら第1の規制板35b−1および第2の規制板35b−2は回転軸37,37にそれぞれ取り付けられて旋回するようになっている。そして、米飯塊Rと非接触となる位置と、これら第1の規制板35b−1と第2の規制板35b−2とで米飯塊Rを両側から挟む位置(図3(a)に示す位置)とに旋回して往復移動する。
【0057】
なお、旋回時において規制板35b−1,35b−2が搬送コンベア35aと干渉することを回避するために、第1の規制板35b−1および第2の規制板35b−2の先端Sは、米飯塊Rを挟んだ位置においてテーパ状となる形状に形成されている。
【0058】
搬送コンベア35aに搬送されたシート状の米飯塊Rが形成部35dの真下まで到達したときに搬送制御部35cにより搬送コンベア35aの搬送動作が停止される。そして、最初に第1の規制板35b−1が米飯塊Rを挟む位置(図3(a))に旋回し、次に第2の規制板35b−2が米飯塊Rを挟む位置(図3(a))に旋回する。そして、第1の規制板35b−1と第2の規制板35b−2とで米飯塊Rを挟んだ状態で、形成部35dが下降して米飯塊Rを上方から押圧し、2本の折れ線部R1と具穴R2とが形成される。
【0059】
このようにして米飯塊Rに2本の折れ線部R1および具穴R2が形成されたならば、第1の規制板35b−1および第2の規制板35b−2は米飯塊Rと非接触となる位置に旋回するとともに、形成部35dが上昇し、搬送制御部35cにより搬送コンベア35aの搬送動作が再開される。
【0060】
図5および図6に示すように、折り畳みユニット17は、中央に位置して台座17aに固定されたセンタープレート17−1(固定板)と、センタープレート17−1の両側にヒンジ17bを介して連結されてセンタープレート17−1に対して(センタープレート17−1の側を支点にして)旋回自在となった2枚のサイドプレート17−2(可動板)とを備えている。
【0061】
センタープレート17−1は米飯塊Rの2本の折れ線部R1に挟まれた部位に対応している。また、2つのサイドプレート17−2は、2本の折れ線部R1の外側の部位にそれぞれ対応している。
【0062】
ここで、前述したシート状の米飯塊Rに形成された2本の折れ線部R1は、当該米飯塊Rを折り畳みユニット17上に載置したときに、ヒンジ17bに対向する位置よりも内側となるような位置に形成されている(図7参照)。これは、シート状の米飯塊Rを2枚のサイドプレート17−2の旋回により折れ線部R1で屈曲させて折り畳んだときに、2本の折れ線部R1を形成した位置がヒンジ17bに対向する位置となっている場合に比べて、米飯塊Rの折り畳まれる部分の長さが長くなるようにするためである。
【0063】
台座17aには、外側に向かって上方に湾曲した一対のアーム17cが揺動自在に取り付けられている。また、当該アーム17cの自由端は、一方端がサイドプレート17−2に対して回動自在に取り付けられた第1のリンク棒17dの他方端に回動自在に取り付けられている。さらに、アーム17cの途中には、モータ軸17eに固定されたカム17fが長孔17gを水平方向に往復することにより上下動する昇降ユニット17hの先端に回動自在に取り付けられた第2のリンク棒17jの先端が回動自在に取り付けられている。
【0064】
そして、昇降ユニット17hの下死点におけるアーム17cの台座17aに対する取付位置よりもアーム17cと第2のリンク棒17jとの取付位置の方が外側となっている。また、昇降ユニット17hの下死点では、センタープレート17−1と2枚のサイドプレート17−2とは相互に展開した状態になっている。
【0065】
このような構造により、昇降ユニット17hが上昇すると第2のリンク棒17jを介してアーム17cが外側に弧を描くように上昇する。これにより、第1のリンク棒17dを介して2枚のサイドプレート17−2がセンタープレート17−1側を支点にして起き上がり、センタープレート17−1の上方で自由端が接近するように旋回する(図6の二点鎖線による表示部分参照)。
【0066】
したがって、図7に示すように、このような折り畳みユニット17のプレート17−1,17−2にシート状の米飯塊Rが搭載されると(図7(a))、ヒンジ17bの内側に位置した2本の折れ線部R1の位置を折り曲げ位置として米飯塊Rの両側が起き上がり(図7(b))、中央側に倒れるように2本の折れ線部R1の位置で折り畳まれる(図7(c))。
【0067】
このとき、前述のように、シート状の米飯塊Rに形成された2本の折れ線部R1は、米飯塊Rを折り畳みユニット17上に載置したときに、ヒンジ17bに対向する位置よりも内側となるような位置に形成されている。そして、2枚のサイドプレート17−2の旋回で折れ線部R1で屈曲させて折り畳んだときの折り畳まれる部分の長さが、2本の折れ線部R1を形成した位置がヒンジ17bに対向する位置となっている場合に比べて長くなるようになっている。
【0068】
したがって、具材Tの量の多少にかかわらず折り畳んだ米飯の上部が結着することになるので、折り畳まれた米飯塊Rに対して確実に具材Tが包み込まれるようになる。これにより、内包される具材Tの量が多かったり、米飯の伸びが悪くても、おにぎりに成形された米飯塊Rから具材が露出することがなくなる。
【0069】
なお、本実施の形態では、米飯塊Rが略三角に折り畳まれるようになっているが、例えばサイドプレート17−2の形状をL字状にすることにより、米飯塊Rが略平らに折り畳まれるようになっていてもよい。
【0070】
さて、図1および図2において、成形テーブル18は図示しないモータによって水平方向に間欠的に回転する回転体であり、成形孔22は成形テーブル18の周方向に一定の間隔で複数(本実施の形態では8箇所に)形成されている。そして、圧縮型29および投入ユニット23、圧縮型19ならびに取出型20は成形テーブル18の回転方向に沿って順次配置されている。
【0071】
図8および図9において、投入ユニット23では、折り畳みユニット17によって折り畳まれた部位が上方を向くようにして米飯塊Rが成形孔22に投入される。図示するように、本実施の形態の成形孔22の開口部の形状は略三角形となっており、三角形のおにぎりが成形される。なお、投入ユニット23の構造の詳細については後述する。
【0072】
図10に詳しく示すように、成形テーブル18に形成されている開口部が三角形の形状をした成形孔22は、その三角形の一辺が成形孔22に導入される米飯塊Rを向いた方向となっている。また、米飯塊Rに形成される具穴R2は、米飯塊Rの中央よりも当該米飯塊Rの搬送方向側にずれた位置(本実施の形態では、中央から5mmずれた位置)に形成されている。なお、具穴R2がこのようなずれた位置に形成されている理由については後述する。
【0073】
さて、おにぎり成形部M2には、搬送コンベア16で搬送される矩形シート状の米飯塊Rを折り畳みユニット17へ移載し、折り畳みユニット17で折り畳まれた米飯塊Rを投入先である成形孔22の上方へ移載する移載型29−1が設けられている。そして、当該移載型29−1が、後述する移載受型29−2とともに、折り畳みユニット17で折り畳まれた米飯塊Rを水平方向に圧縮する圧縮型29を構成している。なお、移載型29−1の動作は、成形テーブル18の間欠的な回転に対応して行われる。
【0074】
図12図14および図15に示すように、圧縮型29の一方である移載型29−1は、天板29aと、天板29aの下面に移載方向に沿って下方に延びて取り付けられた2枚の壁板29bと、図示しないアームに係止される係止突起29cを備えている。
【0075】
後退位置では、図12に示すように、先端の壁板29b−1の外側に折り畳みユニット17上の米飯塊Rが位置し、先端の壁板29b−1と後端の壁板29b−2との間に搬送コンベア16上の米飯塊Rが位置している。
【0076】
そして、このような移載型29−1がアームにより水平方向に1領域分だけ動いた前進位置では、図14に示すように、折り畳みユニット17上の米飯塊Rが壁板29b−1に押されて成形テーブル18の成形孔22上に移載され、搬送コンベア16上の米飯塊Rが壁板29b−2に押されて折り畳みユニット17上に移載される。さらに、搬送コンベア16上の米飯塊Rが壁板29b−2に押されて折り畳みユニット17上に移載された搬送コンベア16上の米飯塊Rの位置には、次の米飯塊Rが搬送される。
【0077】
前進位置に動いた移載型29−1は、アームに持ち上げられるようにして米飯塊Rとの干渉を回避しながら前述の後端位置へと戻り、以降このような前進移動および後退移動を繰り返す。
【0078】
圧縮型29の他方である移載受型29−2は、図8および図9に示すように、成形孔22を挟んで移載型29−1と対向するように配置されて、移載型29−1により成形孔22の上方へ移載された米飯塊Rを受け止める。この移載受型29−2は、移載型29−1に向けて開いた形状となって2つの内壁面29−2aが形成されており、図9において符号D1で示す方向に移動して前進位置になった移載型29−1の先端面29−1aとで、成形孔22の開口部に対応した形状の三角形を構成している。そして、この三角形の形状になって前述のように米飯塊Rを受け止める。
【0079】
したがって、移載型29−1が符号D1(図6)に示す方向である前進位置に動き、圧縮型29である移載型29−1と移載受型29−2とが協働して米飯塊Rが水平方向に圧縮されると、当該米飯塊Rは成形孔22の開口部の形状(三角形)に圧縮される。
【0080】
このようにして移載型29−1および移載受型29−2で構成される圧縮型29で圧縮された米飯塊Rを成形テーブル18の成形孔22に投入する投入ユニット23は、図9に示すように、下型23aと上型23bとからなる。そして、当該投入ユニット23は、図15に詳しく示すように、移載型29−1と移載受型29−2とにより圧縮された米飯塊Rを成形孔22に投入するために、成形孔22に対して入出可能に設けられている。
【0081】
すなわち、下型23aは、成形孔22に対して下方から入出可能に設けられており、移載型29−1によって米飯塊Rが成形孔22の上方へ移載されたときに成形孔22の上端まで上昇し、その後下降する。また、上型23bは、成形孔22に対して上方から入出可能に設けられており、米飯塊Rが成形孔22の上方へ移載されたときに成形孔22の外側まで上昇し、その後下型23aの下降に連動して下降する(符号D2(図9))米飯塊Rを成形孔22内に投入する。
【0082】
そして、このような投入ユニット23の動きにより、移載型29−1と移載受型29−2とで圧縮された米飯塊Rが上方から成形孔22に投入される。
【0083】
ここで、前述のように、成形孔22において開口部を形成する三角形の一辺が成形孔22に導入される米飯塊Rを向いた方向となっている。
【0084】
したがって、図10において、具穴R2が形成され(図10(a))、当該具穴R2に具材Tが載置され(図10(b))、折り畳みユニット17により折り畳まれた米飯塊R(図10(c))が成形孔22の開口部に沿った形状に圧縮型29によって圧縮されるとき(図10(d))、搬送方向に対して傾斜した位置に相当する三角形の二辺により、斜め前方から圧縮力を受ける。このため、圧縮される部位の米飯が斜め後方へと移動し、これに伴って具材Tも後方へと押しやられる。
【0085】
このとき、米飯塊Rの中の具材Tは、米飯塊Rの中央よりも搬送方向側にずれて形成された具穴R2に位置しているので、三角形に圧縮される米飯塊Rに伴って後方へ押しやられたときには当該三角形のほぼ中央になる。これにより、三角形のおむすびの中心部に具材Tを内包することが可能になる。よって、具材Tがおむすびの一方向に偏って内包されてしまい、消費者がおむすびを食べたときになかなか具材Tが出てこないといったことがなくなる。
【0086】
さて、このようにして成形孔22に投入された米飯塊Rを上下方向に圧縮するための圧縮型19は、図1および図2に示すように、投入ユニット23によって米飯塊Rが投入される成形孔22側の成形孔22に対応して設けられた第1の圧縮型19aと、第1の圧縮型19aよりも成形テーブル18の回転方向下流側に隣接する成形孔22に対応して設けられた第2の圧縮型19bとで構成されている。
【0087】
図16および図17に示すように、何れの圧縮型19a,19bも下型19a−1,19b−1と上型19a−2,19b−2とで構成されている。下型19a−1,19b−1は成形孔22に対して下方から入出可能に設けられ、上型19a−2,19b−2は成形孔22に対して上方から入出可能に設けられており、両者が最接近した位置で所定の間隔が形成されるようになっている。そして、下型19a−1,19b−1が上昇すると同時に上型19a−2,19b−2が下降することにより、両者に挟まれた米飯塊Rが上下方向から圧縮されることにより、上下面が略平坦で、外周が成形孔22に沿った3つの略平坦な面からなるおにぎりが成形される。
【0088】
なお、このように、本実施の形態では、米飯塊Rを一気に圧縮するのではなく、第1の圧縮型19aで圧縮した後、再度第2の圧縮型19bで圧縮するように2段階に分けて圧縮して、成形されたおにぎりが一層柔らかくなるようにしている。但し、1つの圧縮型19だけを設けるようにすることもできる。
【0089】
圧縮型19で圧縮されて成形されたおにぎりを成形孔22から取り出すための取出型20は、当該圧縮型19よりも成形テーブル18の回転方向下流側に位置する成形孔22に対応して設けられている。図18に示すように、取出型20は、成形孔22に対して下方から入出可能になって、成形テーブル18が回転することによって送られてきたおにぎりを下方から叩いて成形孔22の上方に持ち上げる持上型20aと、この持上型20aによって持ち上げられたおにぎりをおにぎり包装部M3の搬送コンベア40上に送り込む送込型20bとで構成されている。
【0090】
そして、取出型20を構成するこれら持上型20aと送込型20bとの動きにより、成形孔22内のおにぎりはおにぎり成形部M2からおにぎり包装部M3へと送り込まれる。
【0091】
おにぎり成形部M2で成形されたおにぎりに包装を行うおにぎり包装部M3は、おにぎり成形部M2で成形されたおにぎりを搬送する搬送コンベア40と、搬送コンベア40で搬送されたおにぎりにフィルムシートなどを用いて包装を行う包装本体部41とを備えている。そして、このおにぎり包装部M3でおにぎりが包装されて最終的な製品となる。
【0092】
次に、おにぎり成形部M2によるおにぎり成形プロセスについて、図3および図10図18を用いて説明する。
【0093】
まず、図3において、米飯シート成形部M1で矩形シート状に成形された米飯塊Rは、シート処理部35に送り込まれる。このシート処理部35では、搬送コンベア35aに搬送された米飯塊Rが形成部35dの真下まで到達したときに搬送制御部35cにより搬送コンベア35aの搬送動作が停止される。
【0094】
そして、第1の規制板35b−1と第2の規制板35b−2とが順次が旋回して米飯塊Rを搬送方向の両側から挟み、形成部35dが下降して米飯塊Rを上方から押圧して2本の折れ線部R1および具穴R2が形成される(図10(a)参照)。
【0095】
米飯塊Rに2本の折れ線部R1および具穴R2が形成されたならば、第1の規制板35b−1と第2の規制板35b−2とが米飯塊Rの非接触位置に旋回するとともに、形成部35dが上昇し、搬送制御部35cにより搬送コンベア35aの搬送動作が再開され、米飯塊Rは具材載置部24に送られる。
【0096】
次に、具材載置部24においては、図11に示すように、矩形シート状の米飯塊Rの具穴R2に所定の具材Tが載置される(図10(b)参照)。
【0097】
続いて、米飯塊Rは具材チェッカ26へと送られる。具材チェッカ26では、米飯塊R上に載置された具材Tの有無および米飯塊Rと具材Tとを含む全体重量がチェックされる。
【0098】
その後、具材Tの載置された米飯塊Rは具材チェッカ26から搬送コンベア16へと載せられ、図12に示すように移載型29−1が動作することで、折り畳みユニット17へと移載される。そして、折り畳みユニット17上に送り込まれた矩形シート状の米飯塊Rは、図13に示すように折り畳まれる(図10(c)参照)。
【0099】
なお、この折り畳みユニット17における折り畳みにおいては、既に説明したように、米飯塊Rに形成された2本の折れ線部R1は、米飯塊Rを折り畳みユニット17上に載置したときに、ヒンジ17bに対向する位置よりも内側となるような位置に形成されている。よって、サイドプレート17−2により折れ線部R1で屈曲させて折り畳んだときの折り畳まれる部分の長さが、折れ線部R1がヒンジ17bに対向する位置となっている場合に比べて長くなり、具材Tの量の多少にかかわらず折り畳んだ米飯の上部が結着する。これにより、折り畳まれた米飯塊Rに対して確実に具材Tが包み込まれるようになる(図7参照)。
【0100】
次に、図14に示すように移載型29−1が後退位置から前進位置へと動くことで、折り畳みユニット17上の米飯塊Rが成形孔22上に移載され(図15参照)、搬送コンベア16上の米飯塊Rが折り畳みユニット17上に移載される。このとき、移載型29−1と移載受型29−2とが協働することにより、成形孔22上に移載された米飯塊Rは水平方向に圧縮される(図10(d)参照)。
【0101】
次に、成形孔22上に移載された米飯塊Rは、図15に示すように、投入ユニット23により成形テーブル18に形成された成形孔22に投入される。そして、成形孔22内の米飯塊Rは成形テーブル18の間欠的に回転により送られて行き、その送り動作中で、図16および図17に示すように、第1の圧縮型19aおよび第2の圧縮型19bによって上下方向に圧縮されておにぎりが成形される。
【0102】
最後に、図18に示すように、取出型20により、成形後の米飯塊Rが成形孔22から取り出され、次工程であるおにぎり包装部M3の搬送コンベア40に載せられる。
【0103】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0104】
たとえば、本実施の形態の成形孔22の水平方向の断面は略三角形となって三角形のおにぎりが成形されるようになっているが、丸形や樽形など、略三角形以外の様々な断面形状を採用することが可能である。
【0105】
また、本実施の形態では、米飯塊R上に具材Tを載置するための具穴R2が形成されるが、当該具穴R2は具材Tを載置する際の目印であるので、具穴R2は形成されていなくてもよい。よって、具穴R2を形成するための形成部35dの具穴形成部35d−Hは設けられていなくてもよい。
【0106】
さらに、具穴R2を形成する場合であっても、具穴形成部35d−Hを形成部35dに折れ線形成部35d−Lとともに設けるのではなく、形成部35dには折れ線形成部35d−Lだけを設け、当該形成部35dとは別に、具穴形成部を備えた具穴形成部(具穴形成手段)を設けるようにしてもよい。この場合、2本の折れ線部R1および具穴R2のどちらを先にシート状の米飯塊Rに形成してもよい。
【0107】
なお、具穴R2の形状は自由に設定することができ、円、楕円、長円などであってもよい。また、具穴R2が折れ線部R1と重なっていなくてもよい。
【0108】
さらに、形成部35dには、シート状の米飯塊Rにおける2本の折れ線部R1と直交し、米飯塊Rの2本の折れ線部R1に沿った方向を拡張する米飯塊拡張溝を形成する拡張溝形成部をさらに形成してもよい。この拡張溝形成部により米飯塊拡張溝を形成すれば、米飯塊Rをより効果的に広げることができる。
【0109】
さらに、本実施の形態では、シート状の米飯塊Rは矩形になっているが、矩形である必要はなく、シート状である限り、形状は自由に設定することができる。
【0110】
さらに、本実施の形態のシート処理部35には規制部35bが設けられているが、当該規制部35bは必須のものではなく、省略することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上の説明では、本発明のおにぎり成形装置としてのおにぎり成形部は、米飯シート成形部およびおにぎり包装部と一体になったものが示されているが、おにぎり成形部単独であってもよい。
【符号の説明】
【0112】
16 搬送コンベア
17 折り畳みユニット(折り畳み手段)
17−1 センタープレート(固定板)
17−2 サイドプレート(可動板)
17b ヒンジ
18 成形テーブル(圧縮手段)
19 圧縮型
19a 第1の圧縮型
19a−1 下型
19a−2 上型
19b 第2の圧縮型
19b−1 下型
19b−2 上型
20 取出型
20a 持上型
20b 送込型
22 成形孔
23 投入ユニット
23a 下型
23b 上型
24 具材載置部
24a コンベア
26 具材チェッカ
26a 計量コンベア
26b 具検知センサ
29 圧縮型
29−1 移載型
29−1a 先端面
29−2 移載受型
29−2a 内壁面
29a 天板
29b,29b−1,29b−2 壁板
29c 係止突起
35 シート処理部
35a 搬送コンベア(搬送手段)
35b 規制部(規制手段)
35b−1 第1の規制板
35b−2 第2の規制板
35c 搬送制御部(搬送制御手段)
35d 形成部(形成手段)
35d−1 シャフト
35d−2 押圧部
35d−H 具穴形成部
35d−L 折れ線形成部
37 回転軸
M1 米飯シート成形部
M2 おにぎり成形部
M3 おにぎり包装部
R 米飯塊
R1 折れ線部
R2 具穴
T 具材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20