特許第6284243号(P6284243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6284243浅い外方拡散されたp+エミッタ領域を備えたSiGeヘテロ接合バイポーラトランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284243
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】浅い外方拡散されたp+エミッタ領域を備えたSiGeヘテロ接合バイポーラトランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/331 20060101AFI20180215BHJP
   H01L 29/737 20060101ALI20180215BHJP
   H01L 21/8222 20060101ALI20180215BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H01L29/72 H
   H01L27/06 101B
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-501949(P2015-501949)
(86)(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公表番号】特表2015-515130(P2015-515130A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】US2013033709
(87)【国際公開番号】WO2013142862
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年3月22日
(31)【優先権主張番号】13/429,274
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー エイ バブコック
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ サドヴニコフ
【審査官】 杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−268732(JP,A)
【文献】 特開2000−036499(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/004960(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/331
H01L 29/737
H01L 21/8222
H01L 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を有する基板構造と、
前記基板構造に接する第1のエピタキシャル構造であって、単結晶シリコンを含む、前記第1のエピタキシャル構造と、
前記第1のエピタキシャル構造に接する第2のエピタキシャル構造であって、前記第2のエピタキシャル構造が第1の単結晶ゲルマニウム領域と前記第1の単結晶ゲルマニウム領域の上のシリコン領域とを含み、前記第1の単結晶ゲルマニウム領域が第2の導電型を有する、前記第2のエピタキシャル構造と、
前記第2のエピタキシャル構造に接する非導電性構造であって、前記第2のエピタキシャル構造を露出させるエミッタ開口を有する、前記非導電性構造と、
前記非導電性構造に接し、且つ、前記第2のエピタキシャル構造に接するように前記エミッタ開口を介して延びる、第3のエピタキシャル構造であって、前記第3のエピタキシャル構造が第2の単結晶ゲルマニウム領域と前記第2の単結晶ゲルマニウム領域の上の単結晶領域とを含み、前記第2の単結晶ゲルマニウム領域が前記第1の導電型を有する、前記第3のエピタキシャル構造と、
を含み、
前記第2のエピタキシャル構造の前記シリコン領域が前記エミッタ開口に対応する位置に形成された外方拡散された領域を含み、前記外方拡散された領域が前記第1の導電型を有し、前記第1の導電型がp型である、バイポーラ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のバイポーラ構造であって、
前記第3のエピタキシャル構造の前記単結晶領域が、前記第2の単結晶ゲルマニウム領域に接し、且つ、前記第2の単結晶ゲルマニウム領域より上にある、第の単結晶シリコン領域である、バイポーラ構造。
【請求項3】
請求項2に記載のバイポーラ構造であって、
前記第の単結晶シリコン領域が前記第1の導電型を有する、バイポーラ構造。
【請求項4】
請求項3に記載のバイポーラ構造であって、
前記第2のエピタキシャル構造の前記シリコン領域が、前記第1の単結晶ゲルマニウム領域に接し、且つ、前記第1の単結晶ゲルマニウム領域より上にある、第の単結晶シリコン領域である、バイポーラ構造。
【請求項5】
請求項4に記載のバイポーラ構造であって、
前記第3のエピタキシャル構造が前記第の単結晶シリコン領域に接する、バイポーラ構造。
【請求項6】
請求項5に記載のバイポーラ構造であって、
前記第の単結晶シリコン領域が前記第の導電型を有する、バイポーラ構造。
【請求項7】
請求項1に記載のバイポーラ構造であって、
前記第3のエピタキシャル構造の前記第2の単結晶ゲルマニウム領域が、前記第2のエピタキシャル構造の単結晶シリコン領域に接する、バイポーラ構造。
【請求項8】
請求項1に記載のバイポーラ構造であって、
前記第2のエピタキシャル構造の前記シリコン領域が、前記第1の単結晶ゲルマニウム領域に接し、且つ、前記第1の単結晶ゲルマニウム領域より上にある、第1の単結晶シリコン領域である、バイポーラ構造。
【請求項9】
請求項8に記載のバイポーラ構造であって、
前記第1の単結晶シリコン領域が前記第1の導電型を含む、バイポーラ構造。
【請求項10】
請求項9に記載のバイポーラ構造であって、
前記第3のエピタキシャル構造が前記第1の単結晶シリコン領域に接する、バイポーラ構造。
【請求項11】
請求項10に記載のバイポーラ構造であって、
前記第3のエピタキシャル構造の前記単結晶領域が、前記第2の単結晶ゲルマニウム領域に接し、且つ、前記第2の単結晶ゲルマニウム領域より上にある、第2の単結晶シリコン領域である、バイポーラ構造。
【請求項12】
請求項11に記載のバイポーラ構造であって、
前記第2の単結晶シリコン領域が前記第1の導電型を有する、バイポーラ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、浅い外方拡散されたp+エミッタ領域を備えたSiGeヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)に関連する。
【背景技術】
【0002】
バイポーラトランジスタは、エミッタ、エミッタに接続されたベース、及びベースに接続されたコレクタを有する周知の構造である。エミッタは第1の導電型を有し、ベースは第2の導電型を有し、コレクタは第1の導電型を有する。例えば、npnバイポーラトランジスタが、n型エミッタ、p型ベース、及びn型コレクタを有し、pnpバイポーラトランジスタが、p型エミッタ、n型ベース、及びp型コレクタを有する。
【0003】
エミッタ及びベースが、それぞれ、シリコン及びゲルマニウム等、異なる半導体材料から形成されるとき、その界面はヘテロ接合として知られる。ヘテロ接合は、ベースからエミッタに注入され得るホールの数を制限する。注入されるホールの数を制限することは、ベースのドーパント濃度を上昇させ得、それがトランジスタのベース抵抗を低下させ、最大周波数を上昇させる。
【0004】
図1は、従来技術のSiGeヘテロ接合バイポーラ構造100の例を示す断面図を示す。図1に示すように、バイポーラ構造100は、シリコン・オン・オキサイド(SOI)ウエハ110を含み、シリコン・オン・オキサイドウエハ110は、シリコンハンドルウエハ112、シリコンハンドルウエハ112に接する埋込隔離層114、及び埋込隔離層114に接する単結晶シリコン基板116を有する。シリコン基板116は、重ドープp導電型(p+)埋込領域120、及び重ドープn導電型(n+)埋込領域122を有する。
【0005】
図1に更に示されるように、バイポーラ構造100は、シリコン基板116の頂部表面に接する単結晶シリコンエピタキシャル構造130を含む。エピタキシャル構造130は、外方拡散の領域を除いて、極めて低いドーパント濃度を有する。例えば、多数のp型原子がp+埋込層120からエピタキシャル構造130へ外方拡散し、多数のn型原子がn+埋込層122からエピタキシャル構造130へ外方拡散する。この例において、エピタキシャル構造130は、外側拡散の領域を除いて、極めて軽くドープされたn導電型(n−−−)領域である。
【0006】
また、バイポーラ構造100は、エピタキシャル構造130に接する多数の浅いトレンチ隔離構造132、及びエピタキシャル構造130並びにシリコン基板116に接し、それらを介して延びて埋込隔離層114に接するディープトレンチ隔離構造134を含む。埋込隔離層114及びディープトレンチ隔離構造134は、電気的に隔離された単結晶シリコン領域136、及び横方向に隣接する電気的に隔離された単結晶シリコン領域138を形成する。
【0007】
また、バイポーラ構造100は、シリコンエピタキシャル構造130の頂部表面から下方にエピタキシャル構造130を介して延びてp+埋込領域120に接する軽ドープp導電型(p−)領域140、及びシリコンエピタキシャル構造130の頂部表面から下方にエピタキシャル構造130を介して延びてn+埋込領域122に接する軽ドープn導電型(n−)領域142を含む。
【0008】
また、バイポーラ構造100は、シリコンエピタキシャル構造130の頂部表面から下方にエピタキシャル構造130を介してp+埋込領域120まで延びるp導電型シンカ領域144、及びシリコンエピタキシャル構造130の頂部表面から下方にエピタキシャル構造130を介してn+埋込領域122まで延びるn導電型シンカ領域146を含む。
【0009】
シンカ領域144は、重ドープp導電型(p+)表面領域、及び中ドープp導電型(p)下部領域を含み、シンカ領域146は、重ドープn導電型(n+)表面領域、及び中ドープn導電型(n)下部領域を含む。
【0010】
また、バイポーラ構造100は、シリコンエピタキシャル構造130、浅いトレンチ隔離構造132、及びp−領域140に接し、それらの上にあるSiGeエピタキシャル構造150を含む。SiGeエピタキシャル構造150は、頂部層151、及び頂部層151に接しその下にある下部層152を含む、多数の層を有する。
【0011】
頂部層151は、単結晶シリコン領域及び多結晶シリコン領域を含む。頂部層151は更に、外方拡散されたエミッタ領域153、及び外方拡散されたエミッタ領域153に接する外側領域154を有する。単結晶シリコン領域にある、外方拡散されたエミッタ領域153は、重いドーパント濃度及びp導電型(p+)を有する。
【0012】
外方拡散されたエミッタ領域153を水平に囲む外側領域154は、非常に低いドーパント濃度、この例ではn導電型(n−−−)、を有する。下部層152は、頂部層151の単結晶シリコン領域に接する単結晶ゲルマニウム領域、及び頂部層151の多結晶シリコン領域に接する多結晶ゲルマニウム領域を含む。下部層152は更に、重いドーパント濃度及びn導電型(n+)を有する。そのため、単結晶ゲルマニウム領域はn+ドーパント濃度を有する。
【0013】
バイポーラ構造は更に、シリコンエピタキシャル構造130、浅いトレンチ隔離構造132、及びn−領域142に接し、それらの上にあるSiGeエピタキシャル構造155を含む。SiGeエピタキシャル構造155は、頂部層156、及び頂部層156に接しその下にある下部層157を含む、多数の層を有する。
【0014】
頂部層156は、単結晶シリコン領域及び多結晶シリコン領域を含む。また、頂部層156は、外方拡散されたエミッタ領域158、及び外方拡散されたエミッタ領域158に接する外側領域159を有する。頂部層156の単結晶シリコン領域にある、外方拡散されたエミッタ領域158は、重いドーパント濃度及びn導電型(n+)を有する。
【0015】
外方拡散されたエミッタ領域158を水平に囲む外側領域159は、非常に低いドーパント濃度、この例ではn導電型(n−−−)、を有する。下部層157は、頂部層156の単結晶シリコン領域に接する単結晶ゲルマニウム領域、及び頂部層156の多結晶シリコン領域に接する多結晶ゲルマニウム領域を含む。下部層157も、重いドーパント濃度及びp導電型(p+)を有する。
【0016】
バイポーラ構造100は更に、SiGeエピタキシャル構造150に接する隔離構造160、及びSiGeエピタキシャル構造155に接する隔離構造162を含む。隔離構造160及び162は非導電性である。隔離構造160は、SiGeエピタキシャル構造150の頂部層151の単結晶シリコン領域を露出させるエミッタ開口164、及びSiGeエピタキシャル構造150の頂部層151の多結晶シリコン領域を露出させるコンタクト開口166を有する。同様に、隔離構造162は、SiGeエピタキシャル構造155の頂部層156の単結晶シリコン領域を露出させるエミッタ開口170、及びSiGeエピタキシャル構造155の頂部層156の多結晶シリコン領域を露出させるコンタクト開口172を有する。
【0017】
バイポーラ構造100は更に、隔離構造160に接し、エミッタ開口164を介して延びてSiGeエピタキシャル構造150のp+外方拡散されたエミッタ領域153に接する、重ドープp導電型(p+)ポリシリコン構造180を含む。また、バイポーラ構造100は、隔離構造162に接し、エミッタ開口170を介して延びてSiGeエピタキシャル構造155のn+外方拡散されたエミッタ領域158に接する、重ドープn導電型(n+)ポリシリコン構造182を含む。
【0018】
p+ポリシリコン構造180及びp+外方拡散されたエミッタ領域153はエミッタを形成し、SiGeエピタキシャル構造150の残りの部分はn型ベースを形成し、p+埋込領域120、p−領域140、及びp型シンカ領域144の組み合わせは、pnp SiGeヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)190のコレクタを形成する。
【0019】
また、n+ポリシリコン構造182及びn+外方拡散されたエミッタ領域158はエミッタを形成し、SiGeエピタキシャル構造155の残りの部分はp型ベースを形成し、n+埋込領域122、n−領域142、及びn型シンカ領域146の組み合わせは、npn SiGe HBT192のコレクタを形成する。
【0020】
HBT190及びHBT192の製造におけるアニールの間、p+ポリシリコン構造180のp型原子は、p+エミッタ領域153を形成するようにSiGeエピタキシャル構造150の頂部層151に外方拡散し、n+ポリシリコン構造182のn型原子は、n+エミッタ領域158を形成するようにSiGeエピタキシャル構造155の頂部層156に外方拡散する。
【0021】
HBT190及びHBT192の欠点の一つは、p+外方拡散されたエミッタ領域153は、リンなどのn型原子の一層低い拡散速度に比べると、ボロンなどのp型原子の一層速い拡散速度に起因してn+外方拡散されたエミッタ領域158より著しく大きく深いということである。
【0022】
pnp及びnpnパラメータができるだけ近接してマッチングされるべき用途では、n+外方拡散されたエミッタ領域158の深さに比べると著しく深いp+外方拡散されたエミッタ領域153の深さが問題となる。深さの変動を低減することに対する1つのアプローチは、SiGeエピタキシャル構造150の頂部層151の単結晶シリコン領域の、エミッタ開口164により露出される部分上に薄い酸化物層を形成することである。
【0023】
図2は、従来技術のSiGeヘテロ接合バイポーラ構造200の一例を図示する断面図を示す。SiGeヘテロ接合バイポーラ構造200は、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造100に類似し、その結果、両方の構造に共通の要素を示すために同じ参照符号を用いる。
【0024】
図2に示すように、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造200は、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造200が、p+外方拡散されたエミッタ領域153の代わりにp+外方拡散されたエミッタ領域210を用いるという点で、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造100とは異なる。p+外方拡散されたエミッタ領域210は、p+外方拡散されたエミッタ領域210がp+外方拡散されたエミッタ領域153より小さく浅いことを除き、p+外方拡散されたエミッタ領域153に類似する。
【0025】
SiGeヘテロ接合バイポーラ構造200は更に、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造200が、SiGeエピタキシャル構造150のp+外方拡散されたエミッタ領域210とp+ポリシリコン構造180との間に位置し、且つ、それらに接する酸化物層212を含むという点で、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造100とは異なる。
【0026】
p+ポリシリコン構造180及びp+外方拡散されたエミッタ領域210はエミッタを形成し、SiGeエピタキシャル構造150の残りの部分はn型ベースを形成し、p+埋込領域120、p領域140、及びp型シンカ領域144の組み合わせは、pnp SiGeヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)214のコレクタを形成する。
【0027】
原子に外方拡散させるアニールの間、酸化物層212は、p+エミッタ領域210を形成するようにp型原子がp+ポリシリコン構造180からSiGeエピタキシャル構造150の頂部層151へ拡散するように充分薄いが、それらの原子がSiGeエピタキシャル構造150の頂部層151へ拡散する速度を遅くするように充分厚い。その結果、p+外方拡散されたエミッタ領域210の深さは、n+外方拡散されたエミッタ領域158の深さとほぼ同じになるように形成され得る。
【0028】
SiGeヘテロ接合バイポーラ構造200の欠点の一つは、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造200が、酸化物層212の存在に起因してSiGeヘテロ接合バイポーラ構造100より著しく大きい1/fノイズを有するということである。また、次世代HBTは通常、ポリシリコン構造180などのポリシリコン構造の代わりにエミッタを形成するようにエピタキシャル成長された単結晶シリコン構造を用いる。しかし、単結晶シリコンは酸化物上にエピタキシャル成長され得ないため、p+外方拡散されたエミッタ領域の深さを低減するためのエピタキシャル成長された単結晶シリコンエミッタと共に酸化物層212などの酸化物層を用いることができない。
【発明の概要】
【0029】
そのため、n+外方拡散されたエミッタ領域の深さにほぼ等しい、浅いp+外方拡散されたエミッタ領域を備えたSiGe HBTが求められている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、従来技術のSiGeヘテロ接合バイポーラ構造100の一例を図示する断面図である。
【0031】
図2図2は、従来技術のSiGeヘテロ接合バイポーラ構造200の一例を図示する断面図である。
【0032】
図3図3は、本発明に従ったSiGeヘテロ接合バイポーラ構造300の一例を図示する断面図である。
【0033】
図4A図4Aは、本発明に従ってSiGeヘテロ接合バイポーラ構造を形成する方法400を図示する断面図である。
図4B図4Bは、本発明に従ってSiGeヘテロ接合バイポーラ構造を形成する方法400を図示する断面図である。
図4C図4Cは、本発明に従ってSiGeヘテロ接合バイポーラ構造を形成する方法400を図示する断面図である。
図4D図4Dは、本発明に従ってSiGeヘテロ接合バイポーラ構造を形成する方法400を図示する断面図である。
図4E図4Eは、本発明に従ってSiGeヘテロ接合バイポーラ構造を形成する方法400を図示する断面図である。
図4F図4Fは、本発明に従ってSiGeヘテロ接合バイポーラ構造を形成する方法400を図示する断面図である。
図4G図4Gは、本発明に従ってSiGeヘテロ接合バイポーラ構造を形成する方法400を図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図3は、本発明に従ったSiGeヘテロ接合バイポーラ構造300の一例を図示する。
【0035】
図3に示すように、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造300は、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造300が、p+外方拡散されたエミッタ領域153の代わりにp+外方拡散されたエミッタ領域310を用いるという点で、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造100とは異なる。p+外方拡散されたエミッタ領域310は、p+外方拡散されたエミッタ領域310がp+外方拡散されたエミッタ領域153より小さく浅いことを除き、p+外方拡散されたエミッタ領域153に類似する。そのため、外側領域154が、一層小さなp+外方拡散されたエミッタ領域310に接し、且つ、それを水平に囲む。
【0036】
SiGeヘテロ接合バイポーラ構造300は更に、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造300が、n+外方拡散されたエミッタ領域158の代わりにn+外方拡散されたエミッタ領域312を用いるという点で、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造100とは異なる。n+外方拡散されたエミッタ領域312は、n+外方拡散されたエミッタ領域158に類似する。そのため、外側領域159が、n+外方拡散されたエミッタ領域312に接し、且つ、それを水平に囲む。p+外方拡散されたエミッタ領域310は、n+外方拡散されたエミッタ領域312の深さとほぼ同じ深さを有する。
【0037】
また、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造300は、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造300が、p+ポリシリコン構造180をp+エピタキシャル構造314で置き換えるという点で、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造100とは異なる。p+エピタキシャル構造314は、底部層316、及び底部層316に接し、底部層316より上にある上部層318を含む、多数の層を有する。
【0038】
隔離構造160の上にある底部層316は、単結晶p+外方拡散されたエミッタ領域310に接する単結晶領域を含む。また、底部層316は、単結晶ゲルマニウム領域及び多結晶ゲルマニウム領域を含む。底部層316は更に、重いドーパント濃度及びp導電型(p+)を有する。そのため、単結晶ゲルマニウム領域はp+ドーパント濃度を有する。
【0039】
上部層318は、底部層316の単結晶ゲルマニウム領域に接しその上にある単結晶シリコン領域、及び底部層316の多結晶ゲルマニウム領域に接しその上にある多結晶シリコン領域を含む。更に、上部層318は、重いドーパント濃度及びp導電型(p+)を有する。そのため、単結晶シリコン領域はp+ドーパント濃度を有する。
【0040】
SiGeヘテロ接合バイポーラ構造300は更に、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造300が、n+ポリシリコン構造182をn+エピタキシャル構造320で置き換えるという点で、SiGeヘテロ接合バイポーラ構造100とは異なる。n+エピタキシャル構造320は、単結晶シリコン領域及び多結晶シリコン領域を含む。n+エピタキシャル構造320の単結晶シリコン領域は、SiGeエピタキシャル構造155の単結晶n+外方拡散されたエミッタ領域312に接する。
【0041】
そのため、p+エピタキシャル構造314及びp+外方拡散されたエミッタ領域310はエミッタを形成し、SiGeエピタキシャル構造150の残りの部分はn型ベースを形成し、p+埋込領域120、p領域140、及びp型シンカ領域144の組み合わせは、pnp SiGeヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)322のコレクタを形成する。
【0042】
更に、n+エピタキシャル構造320及びn+外方拡散されたエミッタ領域312はエミッタを形成し、SiGeエピタキシャル構造155の残りのp型部分はp型ベースを形成し、n+埋込領域122、n−領域142、及びn型シンカ領域146の組み合わせは、npn SiGeヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)324のコレクタを形成する。
【0043】
オペレーションにおいて、p型原子を外方拡散させるアニールの間、底部層316のゲルマニウムは、p+外方拡散されたエミッタ領域310を形成するようにp型原子が上部層318からSiGeエピタキシャル構造150の頂部層151へ拡散するように充分薄いが、それらの原子がSiGeエピタキシャル構造150の頂部層151に拡散する速度を遅くするように充分厚い。その結果、p+外方拡散されたエミッタ領域310の深さは、n+外方拡散されたエミッタ領域312の深さとほぼ同じになるように形成され得る。
【0044】
図4A図4Gは、本発明に従ってSiGeヘテロ接合バイポーラ構造を形成する方法400を図示する。
【0045】
図4Aに示すように、この方法は、シリコン・オン・オキサイド(SOI)ウエハ410を含む、従来のように形成された中間構造408を用い、SOIウエハ410は、シリコンハンドルウエハ412、シリコンハンドルウエハ412に接する埋込絶縁層414、及び埋込絶縁層414に接する単結晶シリコン基板416を有する。シリコン基板416は、p+埋込領域420及びn+埋込領域422を有する。
【0046】
また、ベース構造408は、シリコン基板416の頂部表面に接する単結晶シリコンエピタキシャル構造430を含む。この例において、エピタキシャル構造430は、外方拡散の領域を除いて、非常に低いドーパント濃度及びn導電型(n−−−)を有する。例えば、多数のp型原子がp+埋込層420からエピタキシャル構造430へ外方拡散し、多数のn型原子がn+埋込層422からエピタキシャル構造430へ外方拡散する。その結果、実質的にエピタキシャル構造430の全てが非常に低いドーパント濃度を有する。
【0047】
中間構造408は更に、エピタキシャル構造430に接する多数の浅いトレンチ隔離構造432、及び埋込絶縁層414に接するようにエピタキシャル構造430及びシリコン基板416に接し、且つ、それらを介して延びる深いトレンチ隔離構造434を含む。深いトレンチ隔離構造434は、電気的に隔離された単結晶シリコン領域436、及び横方向に隣接する電気的に隔離された単結晶シリコン領域438を形成する。
【0048】
更に、中間構造408は、シリコンエピタキシャル構造430の頂部表面からp+埋込領域420に接するように下方にエピタキシャル構造430を介して延びる軽ドープp導電型(p−)領域440、及びシリコンエピタキシャル構造430の頂部表面からn+埋込領域422に接するように下方にエピタキシャル構造430を介して延びる軽ドープn導電型(n−)領域442を含む。
【0049】
中間構造408は更に、シリコンエピタキシャル構造430の頂部表面から下方にエピタキシャル構造430を介してp+埋込領域420まで延びるp導電型シンカ領域444、及びシリコンエピタキシャル構造430の頂部表面から下方にエピタキシャル構造430を介してn+埋込領域422まで延びるn導電型シンカ領域446を含む。
【0050】
シンカ領域444は、重ドープp導電型(p+)表面領域及び中ドープp導電型(p)下部領域を含み、シンカ領域446は、重ドープn導電型(n+)表面領域及び中ドープn導電型(n)下部領域を含む。
【0051】
更に、中間構造408は、シリコンエピタキシャル構造430、浅いトレンチ隔離構造432、及びp領域440に接し、それらの上にあるSiGeエピタキシャル構造450を含む。中間構造408は更に、シリコンエピタキシャル構造430、浅いトレンチ隔離構造432、及びn−領域442に接し、それらの上にあるSiGeエピタキシャル構造452を含む。
【0052】
SiGeエピタキシャル構造450は、頂部層454、及び頂部層454に接しその下にある下部層455を含む、多数の層を有する。頂部層454は、単結晶シリコン領域及び多結晶シリコン領域を含む。また、頂部層454は、非常に低いドーパント濃度及び、この例では、n導電型(n−−−)を有する。
【0053】
下部層455は、頂部層454の単結晶シリコン領域に接する単結晶ゲルマニウム領域、及び頂部層454の多結晶シリコン領域に接する多結晶ゲルマニウム領域を含む。下部層455は更に、重いドーパント濃度及びn導電型(n+)を有する。
【0054】
同様に、SiGeエピタキシャル構造452は、頂部層456、及び頂部層456に接しその下にある下部層457を含む、多数の層を有する。頂部層456は、単結晶シリコン領域及び多結晶シリコン領域を含む。更に、頂部層456は、非常に低いドーパント濃度及び、この例では、n導電型(n−−−)を有する。
【0055】
下部層457は、頂部層456の単結晶シリコン領域に接する単結晶ゲルマニウム領域、及び頂部層456の多結晶シリコン領域に接する多結晶ゲルマニウム領域を含む。下部層457は更に、重いドーパント濃度及びp導電型(p+)を有する。
【0056】
中間構造408はまた、SiGeエピタキシャル構造450に接する隔離構造460、及びSiGeエピタキシャル構造452に接する隔離構造462を含む。隔離構造460及び462は電気的に非導電性である。隔離構造460は、SiGeエピタキシャル構造450の頂部層454の単結晶シリコン領域を露出させるエミッタ開口464、及びSiGeエピタキシャル構造450の頂部層454の多結晶シリコン領域を露出させるコンタクト開口466を有する。同様に、隔離構造462は、SiGeエピタキシャル構造452の頂部層456の単結晶シリコン領域を露出させるエミッタ開口470、及びSiGeエピタキシャル構造452の頂部層456の多結晶シリコン領域を露出させるコンタクト開口472を有する。
【0057】
図4Aに更に示すように、方法400は、SiGeエピタキシャル構造450及び452の露出された単結晶シリコン領域及び多結晶シリコン領域上に従来の方式で下部層474をエピタキシャル成長させることにより開始する。下部層474もpシンカ領域444及びnシンカ領域446上に成長される。下部層474は、隔離構造460及び462上及び浅いトレンチ隔離構造432及び深いトレンチ隔離構造434上にも成長される。
【0058】
下部層474は、SiGeエピタキシャル構造450の頂部層454の単結晶シリコン領域に接しその上にある単結晶領域、及び頂部層456の単結晶シリコン領域に接しその上にある単結晶領域を有する。下部層474は更に、単結晶pシンカ領域444に接しその上にある単結晶領域、及び単結晶nシンカ領域に接しその上にある単結晶領域を有する。下部層474は、隔離構造432、434、460、及び462に接し、それらの上にある多結晶領域を有する。
【0059】
更に、下部層474は、単結晶ゲルマニウム領域及び多結晶ゲルマニウム領域を含み、及び、任意選択で、そのゲルマニウムの下及び/又は上にある単結晶シリコン及び多結晶シリコンを含み得る。下部層474が成長された後、パターニングされたフォトレジスト層476が下部層474上に従来の方式で形成される。
【0060】
パターニングされたフォトレジスト層476の形成に続いて、図4Bに示すように、下部構造480を形成するように下部層474の露出された領域がエッチングされる。下部構造480は、エミッタ開口470により露出されたSiGeエピタキシャル構造450の頂部層454の単結晶シリコン領域、及び隔離構造460の頂部表面に接する。その結果、下部構造480は、SiGeエピタキシャル構造450の頂部層454に接しその上にある単結晶領域、及び隔離構造460に接しその上にある多結晶構造を有する。下部構造480が形成された後、パターニングされたフォトレジスト層476は従来の方式で取り除かれる。
【0061】
図4Cに示すように、パターニングされたフォトレジスト層476が取り除かれた後、従来の方式で下部構造480及びSiGeエピタキシャル構造452の頂部層456の単結晶シリコン領域上に上部層482がエピタキシャル成長される。上部層482は、SiGeエピタキシャル構造450及び452の多結晶シリコン領域上にも成長される。更に、上部層482は、pシンカ領域444及びnシンカ領域446上にも成長される。上部層482は、隔離構造460及び462上、及び浅いトレンチ隔離構造432及び深いトレンチ隔離構造434上にも成長される。
【0062】
上部層482は、下部構造480に接しその上にある単結晶領域、及びエミッタ開口470により露出されたSiGeエピタキシャル構造452の頂部層456の単結晶シリコン領域に接しその上にある単結晶領域を有する。
【0063】
更に、上部層482は、単結晶pシンカ領域444に接しその上にある単結晶領域、及び単結晶nシンカ領域446に接しその上にある単結晶領域を有する。上部層482は、隔離構造432、434、460、及び462に接し、それらの上にある多結晶領域を有する。更に、上部層482はシリコンを含む。上部層482が成長された後、パターニングされたフォトレジスト層484が従来の方式で上部層482上に形成される。
【0064】
パターニングされたフォトレジスト層484の形成に続いて、図4Dに示すように、下部構造480に接する第1の上部構造486、及びエミッタ開口470により露出されたSiGeエピタキシャル構造452の頂部層456の単結晶シリコン領域に接する第2の上部構造488を形成するように、上部層482の露出された領域がエッチングされる。上部構造486及び488が形成された後、パターニングされたフォトレジスト層484は従来の方式で取り除かれる。
【0065】
図4Eに示すように、パターニングされたフォトレジスト層484が取り除かれた後、パターニングされたフォトレジスト層490が従来の方式で形成される。パターニングされたフォトレジスト層490の形成に続いて、(p+)上部構造486を重くドープするため、パターニングされたフォトレジスト層490を介してボロンなどのp型ドーパントが注入される。上部構造486がドープされた後、パターニングされたフォトレジスト層490は従来の方式で取り除かれる。
【0066】
図4Fに示すように、パターニングされたフォトレジスト層490が取り除かれた後、パターニングされたフォトレジスト層492が従来の方式で形成される。パターニングされたフォトレジスト層492の形成に続いて、(n+)上部構造488を重くドープするため、パターニングされたフォトレジスト層492を介してリンなどのn型ドーパントが注入される。上部構造488がドープされた後、パターニングされたフォトレジスト層492は従来の方式で取り除かれる。
【0067】
図4Gに示すように、パターニングされたフォトレジスト層492が取り除かれた後、ドープされた構造が従来の方式でアニーリングされる。アニールの間、下部構造480のゲルマニウムは、p+外方拡散されたエミッタ領域494を形成するようにp型原子が上部構造486からSiGeエピタキシャル構造450へ外方拡散し得るように充分に薄いが、それらの原子が、SiGeエピタキシャル構造450に外方拡散する速度を遅くするように充分厚い。
【0068】
同時に、n+外方拡散されたエミッタ領域496を形成するようにn型原子が上部構造488からSiGeエピタキシャル構造452へ外方拡散する。そのため、ゲルマニウムによって提供される遅くする効果の結果、p+外方拡散されたエミッタ領域494の深さは、n+外方拡散されたエミッタ領域496の深さとほぼ同じになうように形成され得る。その後、方法400は従来の工程で続く。
【0069】
当業者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び多くの他の実施例が可能であることが分かるであろう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G