【実施例1】
【0015】
以下、本発明の実施例を図に従って説明する。
図1乃至
図3に示すようにワーク加工装置1は、ワーク加工手段としての加工用ロボット3、ワーク支持手段5、加工原点較正手段7、ワーク伸縮較正手段9により構成される。
【0016】
加工用ロボット3は、少なくとも2本の第1及び第2アーム11・13を回動及び搖動してハンド部15に設けられた加工具17を予め設定された下降位置へ移動制御してワーク19を加工する従来公知の多関節型ロボットで、基台21に内蔵された数値制御可能なサーボモータ等の電動モータの出力軸(いずれも図示せず)には第1回動軸支部材23が連結され、該第1回動軸支部材23には、第1アーム11の基端部が搖動可能に軸支される。
【0017】
該第1アーム11の基端部には、第1回動軸支部材23に設けられた数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ25の出力軸が連結され、図示しない電動モータ及び該電動モータ25の駆動に伴って第1アーム11が搖動及び回動される。
【0018】
第1アーム11の先端部には、数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ(図示せず)が内蔵され、該電動モータの出力軸には、第2回動軸支部材(図示せず)が取り付けられる。該第2回動軸支部材には、第2アーム13の基端部が搖動可能に軸支される。
【0019】
第2アーム13の基端部には、第2回動軸支部材に設けられた数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ29の出力軸が連結され、図示しない電動モータ及び該電動モータ29の駆動に伴って第2アーム13が搖動及び回動される。
【0020】
第2アーム13の先端部には、数値制御可能なサーボモータ等の電動モータ(図示せず)が内蔵され、該電動モータの出力軸には、ハンド部15が取り付けられる。該ハンド部15は、図示しない電動モータの駆動に伴って回動される。また、ハンド部15には、レーザ出力ヘッド、エンドミル、切断刃等の加工具17が着脱可能に取り付けられる。
図1乃至
図3においては、加工具17として、エンドミルを示す。
【0021】
なお、ワーク加工手段の加工具17としては、ワークの所定箇所に穴開けする場合には、エンドミル、ワークの所定箇所を切断したりトリミングしたりする場合には、切断刃やレーザ光出力ヘッドを選択して取り付ける。また、ワーク加工手段としては、上記した多関節型の加工用ロボットの他に三軸直交走行型として構成してもよい。
【0022】
上記加工用ロボット3の前方には、ワーク支持手段5が配置される。該ワーク支持手段5における本体35の後方(加工用ロボット3側)には、所定の高さで起立する第1取付けフレーム37が設けられ、該第1取付けフレーム37の上部には、本体35の長手方向(左右方向とも称する。)へ延出する第1支持フレーム39の長手方向中間部が取り付けられる。
【0023】
該第1支持フレーム39は、長手方向中間部にて左右フレーム部39a・39bに区画され、左右フレーム部39a・39bには、第1及び第2可動体41・43がそれぞれ独立して左右方向へ移動するように支持される。第1及び第2可動体41・43は、対応する左右フレーム部39a・39bに対して左右方向に軸線を有し、一方端部に数値制御可能なサーボモータ等の第1及び第2電動モータ45・47がそれぞれ連結されて回転するようにそれぞれ軸支された送りねじ49・51に噛合わされ、第1及び第2電動モータ45・47の駆動に伴って左右方向へ独立してそれぞれ移動される。
【0024】
第1及び第2可動体41・43には、上下方向に軸線を有し、先端部がワークとしての車両用バンパー19の裏面に当接して支持する基準ワーク支持部材53・55が、その先端が同一高さになるようにそれぞれ取り付けられる。
【0025】
また、基準ワーク支持部材53・55の外側に応じた第1及び第2可動体41・43には、上下方向に軸線を有した後述する可動ワーク支持手段57・59が、その上端が基準ワーク支持部材53・55の上端より若干下方に位置するようにそれぞれ取り付けられる。
【0026】
なお、車両用バンパー19の形状によっては、可動ワーク支持手段57・59の上端を基準ワーク支持部材53・55の上端より若干上方に位置するように設定してもよい。
【0027】
上記ワーク支持手段5の本体35における前方の左右方向中間部には、図示する前後方向へ延出する前後フレーム61が設けられ、該前後フレーム61には、前後可動体63が図示する前後方向へ移動するように支持される。該前後可動体63は、前後フレーム61に対して前後方向に軸線を有して回転するように軸支され、一端部に数値制御可能なサーボモータ等の前後電動モータ65が連結された前後送りねじ(図示せず)に噛合わされる。そして前後可動体63は、前後電動モータ65の駆動に伴って前後方向へ移動される。
【0028】
上記前後可動体63には、所定の高さで起立する第2取付けフレーム67が設けられ、該第2取付けフレーム67の上部には、図示する左右方向へ延出する第2支持フレーム69の長手方向中間部が取り付けられる。
【0029】
該第2支持フレーム69は、長手方向中間部にて左右フレーム部69a・69bに区画され、左右フレーム部69a・69bには、第3及び第4可動体71・73がそれぞれ独立して左右方向へ移動するように支持される。第3及び第4可動体71・73は、対応する左右フレーム部69a・69bに対して左右方向に軸線を有して回転するようにそれぞれ軸支され、一方端部に数値制御可能なサーボモータ等の第3及び第4電動モータ75・77が連結されて回転するように軸支された送りねじ79・81に噛合わされ、第3及び第4電動モータ75・77の駆動に伴って左右方向へ独立してそれぞれ移動される。
【0030】
第3及び第4可動体71・73には、上方に向かって傾斜し、かつ外側に向かって延出する取付けアーム83・85の基端部がそれぞれ取り付けられ、各取付けアーム83・85の先端部には、上下方向に軸線を有し、先端部が車両用バンパー19の裏面に当接して支持する基準ワーク支持部材87・89が、その先端が同一高さになるようにそれぞれ取り付けられる。
【0031】
各基準ワーク支持部材87・89の内側に応じた取付けアーム91・93には、上下方向に軸線を有した後述する可動ワーク支持手段95・97が、その上端が基準ワーク支持部材87・89の上端から若干上方に位置するようにそれぞれ取り付けられる。
【0032】
上記した可動ワーク支持手段57・59、95・97は、軸線長さ、大きさが異なるのみで、構造的には実質的に同一であるため、
図5及び
図6においては、可動ワーク支持手段95・97の内、一方の可動ワーク支持手段95を図示し、他の可動ワーク支持手段57・59、97の詳細に付いては省略する。
【0033】
図4及び
図5に示すように可動ワーク支持手段95の軸支部材99は、中心部に上下方向に軸線を有した軸支孔99aを有し、取付けアーム91・93の上部に固定される。上記軸支部材99の軸支孔99a内には、上下方向に軸線を有し、かつ上下方向へ連通する通気路101aが形成された上下支持軸101が上下方向へ摺動するように軸支される。
【0034】
該上下支持軸101の上端部には、弾性変形可能なシリコンゴム等の吸着パッド103が上記通気路101aに連通して取り付けられる。また、上記上下支持軸101の下端部は、負圧発生手段に開閉バルブ(いずれも図示せず)等を介して接続される。
【0035】
上記軸支部材99と吸着パッド103間の上下支持軸101には、圧縮ばね等の弾性部材105が介装され、上記上下支持軸101は、常には弾性部材105の弾性力により軸線上方へ付勢される。
【0036】
また、上記軸支部材99の下部には、該軸支部材99の下方へ突出する上下支持軸101の外周面に圧接して移動を規制する移動規制部材107が取り付けられる。該移動規制部材107は、上記上下支持軸101の軸線と直交する方向に軸線を有した電磁ソレノイドやエアーシリンダ等の作動部材107aと、該作動部材107aの作動軸に設けられて上下支持軸101の外周面に圧接して移動を規制する圧接部材107bにより構成される。
【0037】
そして上記作動部材107aは、常には上記圧接部材107bを上下支持軸101の外周面に圧接する位置に移動して昇降を規制する一方、ワーク支持手段5に車両用バンパー19がセットする際に作動スイッチ(図示せず)が操作されると、上記圧接部材107bを上下支持軸101の外周面から離間する位置に移動して下降を可能にする。
【0038】
そしてワーク支持手段5に車両用バンパー19がセットされた際に上記作動スイッチの操作が解除されると、作動部材107aを作動して圧接部材107bを上下支持軸101の外周面に圧接して移動を規制する。
【0039】
なお、上下支持軸101を挟んで圧接部材107bに相対する軸支部材99の下部には、上下支持軸101の一部外周面に摺接する、例えばフッ化樹脂等の摩擦係数が低い軸受部107cが設けられ、上下支持軸101の外周面に圧接部材105bが圧接した際に該軸受部107cとの協働により移動を規制する構成としてもよい。
【0040】
また、移動規制部材107を、上下支持軸101の外周面に圧接部材107bを圧接して移動を規制する構成としたが、作動部材107aの作動軸にリンクを介して挟持部材としての把持爪(図示せず)を連結し、作動部材107aの作動により把持爪を開閉して上下支持軸101の外周面を把持可能にして移動を規制する構成としてもよい。
【0041】
上記本体35の後方には、取付けフレーム109が設けられる。該取付けフレーム109は、上部フレームがワーク支持手段5の上方で、旋回及び搖動する加工用ロボット3のハンド部15に対して非干渉で、図示左右方向へ水平状態で延出する。そして上部フレームの図示する左右方向の中央部には、加工原点較正手段7が、また図示する左右方向の両端部には、左右一対のワーク伸縮較正手段9がそれぞれ取り付けられる。
【0042】
上記加工原点較正手段7は、ワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19の中央部上面に所定のパターンを投射するパターン投射部材7a及び車両用バンパー19の中央部上面に投射されたパターン画像を撮像するCCDカメラ等の原点撮像部材7bとから構成される。
【0043】
各ワーク伸縮較正手段9は、ワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19の図示する左右方向の各端部上面に所定のビーム径のレーザ光を投射してマーキングするマーキング部材9a及び車両用バンパー19の各端部上面にマーキングされた個所と車両用バンパー19の各端を含む画像を撮像するCCDカメラ等の伸縮撮像部材9bとから構成される。
【0044】
なお、パターンが投射される車両用バンパー19の中央部上面には、原点較正基準部19aになる突条、切欠き等が位置される。同様に、レーザ光がマーキングされる車両用バンパー19における各端部の画像においては、車両用バンパー19の各端が伸縮較正基準部に設定される。
【0045】
図6に示すようにワーク加工装置1を駆動制御する制御手段111のCPU113には、プログラム記憶領域115及び作業データ記憶領域117が接続される。上記プログラム記憶領域115には、加工用ロボット3を駆動制御して車両用バンパー19に対する穴開け等の加工作業を実行するためのプログラムデータ、ワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19の被加工原点と加工用ロボット3の加工原点を較正する加工原点較正処理を実行するためのプログラムデータ、ワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19の長手方向各端部における伸縮に伴う被加工位置と加工用ロボット3による加工位置を較正する伸縮較正処理を実行するためのプログラムデータ等が記憶される。
【0046】
上記作業データ記憶領域117は、加工用ロボット3におけるハンド部15を予め設定された移動経路(待機位置、加工開始原点及び車両用バンパー19の各穴開け位置)及びその穴深さ等に関する三次元位置データを記憶する加工データ記憶領域119、ワーク支持手段5に対して正規状態(車両用バンパー19の被加工原点位置と加工用ロボット5による加工原点位置が一致した状態)で支持された車両用バンパー19の三次元基準ワークデータを記憶する基準ワークデータ記憶領域121、原点撮像部材7bにより撮像された車両用バンパー19における所定箇所周辺の撮像データを記憶する原点撮像データ記憶領域123、各伸縮撮像部材9bにより撮像された車両用バンパー19の長手方向各端部の撮像データを記憶する伸縮撮像データ記憶領域125、原点撮像データ記憶領域123及び伸縮撮像データ記憶領域125に記憶されたそれぞれの撮像データを三次元データに変換した三次元撮像データをそれぞれの領域に記憶する三次元撮像データ記憶領域127、原点較正データ及び伸縮較正データをそれぞれの領域に記憶する較正データ記憶領域129、加工原点を較正する際に車両用バンパー19に投射される単一、または複数の基準パターンのパターンデータを記憶するパターンデータ記憶領域131等が設けられる。
【0047】
上記加工データ記憶領域119、基準ワークデータ記憶領域121、三次元撮像データ記憶領域127にそれぞれ記憶されるデータは、世界座標系データとして記憶さる。また、基準ワークデータ記憶領域121に記憶されるデータとしては、例えばワーク支持手段5に正規状態で支持される車両用バンパー19の三次元位置を直接入力して基準ワークデータを世界座標として設定する方法、またはワーク支持手段5に正規状態で支持される車両用バンパー19の高さデータと車両用バンパー19のCADデータを合成した基準ワークデータを世界座標系データとして設定する方法のいずれであってもよい。
【0048】
CPU113には、比較手段133が接続される。該比較手段133は、三次元撮像データ記憶領域127に記憶された加工原点の三次元撮像データと基準ワークデータ記憶領域121に記憶された三次元基準ワークデータを比較して三次元方向の位置ずれ量を原点較正データとして演算して較正データ記憶領域129の対応する領域に記憶させる。
【0049】
また、該比較手段133は、三次元撮像データ記憶領域127に記憶された車両用バンパー19における長手方向各端部の三次元撮像データと基準ワークデータ記憶領域121に記憶された三次元基準ワークデータを比較して伸縮量に関する伸縮較正データを演算して較正データ記憶領域129の対応する領域に記憶させる。
【0050】
CPU113には、ロボット制御手段135が接続される。該ロボット制御手段135は、加工データ記憶領域119に記憶された三次元位置データに基づいて図示しない各電動モータ及び図示する電動モータ25、29をそれぞれ駆動制御してハンド部15を加工原点位置へ移動した後に各穴開け位置に移動して穴開け加工を実行する。
【0051】
CPU113には、投射制御手段137が接続される。該投射制御手段137は、ワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19に対する加工に先立ってパターンデータ記憶領域131から読み出された単一、または複数のパターンデータに基づいてパターン投射部材7aを駆動して車両用バンパー19の所定箇所表面に基準パターンを投射させる。
【0052】
また、投射制御手段137は、ワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19に対する加工に先立って各マーキング部材9aを駆動して車両用バンパー19における長手方向の各端部表面にレーザ光を出力してマーキングさせる。
【0053】
CPU113には、撮像制御手段139が接続される。該撮像制御手段139は、ワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19に対して基準パターンが投射されたタイミングで原点撮像部材7bを撮像駆動して基準パターン及び原点較正基準部19aを含む車両用バンパー19における所定箇所表面を撮像し、原点撮像データを原点撮像データ記憶領域123に記憶させる。
【0054】
また、撮像制御手段139は、ワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19における長手方向各端部の表面に対してレーザ光がマーキングされたタイミングで伸縮撮像部材9bを撮像駆動してマーキングを含む車両用バンパー19の長手方向各端部の表面を撮像し、伸縮撮像データを伸縮撮像データ記憶領域125に記憶させる。
【0055】
また、CPU113には、ワーク支持手段5に車両用バンパー19が支持されたことを検知するリミットスイッチ等の複数の検知器141がインターフェース143を介して接続される。そしてCPU113は、複数の検知器141のすべてが車両用バンパー19の検知状態へ遷移した際に、ワーク支持手段5に車両用バンパー19が支持されたと判断し、加工原点較正処理及び伸縮較正処理を実行する。
【0056】
上記のように構成されたワーク加工装置1による穴開け作用及び較正処理を説明する。
先ず、ワーク支持手段5による車両用バンパー19の支持作用を説明すると、車両用バンパー19の長手方向長さに応じて第1及び第2電動モータ45・47、第3及び第4電動モータ75・77をそれぞれ駆動制御して対応する第1及び第2可動体41・43、第3及び第4可動体71・73を互いに近づく方向または遠ざかる方向へ移動して車両用バンパー19における裏面の長手方向に対する支持箇所の幅調整を行う。
【0057】
また、車両用バンパー19の長手直交方向長さに応じて前後電動モータ65を駆動制御して前後可動体63を前後方向へ移動して後方の基準ワーク支持部材53・55及び可動ワーク支持部材57・59と前方の基準ワーク支持部材87・89及び可動ワーク支持部材95・97の相互間隔を調整する。
【0058】
上記のように長手方向及び長手直交方向に対して幅調整された後方の基準ワーク支持部材53・55及び可動ワーク支持部材57・59と前方の基準ワーク支持部材87・89及び可動ワーク支持部材95・97に対して車両用バンパー19を載置して支持させる。このとき、前方に位置する基準ワーク支持部材87・89の上端に対して可動ワーク支持部材95・97の上端が上方に位置している。
【0059】
そして可動ワーク支持部材95・97における上下支持軸101に対する圧接部材107bの圧接を解除した状態で車両用バンパー19の前側を押し下げられると、車両用バンパー19の前側裏面に吸着パッド103が当接する上下支持軸101が弾性部材105の弾性力に抗して下方へ移動して車両用バンパー19の前側裏面に基準ワーク支持部材87・89の上端を当接させる。
【0060】
この状態にて上下支持軸101に対して圧接部材107bを圧接してその移動を規制して当接状態を保つことにより車両用バンパー19を後方の基準ワーク支持部材53・55及び可動ワーク支持部材57・59と前方の基準ワーク支持部材87・89及び可動ワーク支持部材95・97により支持させる。(
図7参照)
【0061】
次に、ワーク加工装置1による穴開け作用の概略を説明すると、
図8に示すようにステップ201においてワーク支持装置3にワークWをセットした際に、すべての検知器141がワーク検知状態に遷移したか否かを判定する。該ステップ201がNOの場合には、ステップ201に戻る。
【0062】
反対にステップ201がYESの場合には、ステップ203において後述する加工原点較正処理を実行して加工用ロボット5の加工原点とワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19の被加工原点を一致させる。
【0063】
上記加工原点較正処理の終了後にステップ205において後述する伸縮較正処理を実行した後、ステップ207において加工データ記憶領域119に記憶された加工原点に関する三次元位置データに基づいて図示しない各電動モータ及び図示する各電動モータ25、29をそれぞれ駆動制御して第1及び第2アーム11・13を搖動及び回動させると共にハンド部15の加工具17を、その軸線が車両用バンパー19の被加工原点の法線に一致するように移動した後、ステップ209において加工具17を回転駆動しながら上記三次元位置データに基づいて移動してワークWに所定の大きさ及び深さの穴を穿孔する。
【0064】
次に、ステップ211において加工データ記憶領域119に記憶された三次元位置データに基づいて第1及び第2アーム11・13を搖動及び回動させて加工具17を穿孔された穴から抜き出した後、ステップ213において加工データ記憶領域119に記憶された次位の三次元位置データに基づいて第1及び第2アーム11・13を搖動及び回動して加工具17を、その軸線が次位の被加工位置の法線に一致するように移動する。
【0065】
次に、ステップ215において加工具17が次位の被加工位置へ移動したか否かを判定し、該判定がNOの場合には、ステップ213に戻る。反対に該ステップ215がYESの場合には、ステップ217において上記と同様に加工具17を回転しながら上記三次元位置データに基づいて移動して車両用バンパー19に所定の大きさ及び深さの穴を穿孔した後、ステップ219において加工データ記憶領域119に記憶された三次元位置データに基づいて第1及び第2アーム11・13を搖動及び回動して加工具17を穿孔された穴から抜き出す。
【0066】
次に、ステップ221において車両用バンパー19におけるすべての被加工位置を穿孔したか否かを判定し、該ステップ221がNOの場合には、ステップ213に戻って次位の被加工位置に対する穿孔動作を実行する。
【0067】
一方、上記ステップ221がYESの場合には、ステップ223において加工データ記憶領域119に記憶された待機位置に関する三次元位置データに基づいて第1及び第2アーム11・13を搖動及び回動してハンド部15を待機位置へ移動した後、ステップ225においてランプを点灯したり、ブザーを鳴動したりして加工作業が終了したことを報知して終了する。
【0068】
次に、ステップ203による原点較正処理を説明すると、
図9に示すようにステップ227においてパターンデータ記憶領域131に記憶されたパターンデータに基づいてパターン投射部材7aを駆動してワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19の所定箇所に基準パターンを投射した後、ステップ229において原点撮像部材7bを駆動して投射された基準パターンを含む車両用バンパー19の加工原点箇所表面を撮像して原点撮像データを原点撮像データ記憶領域123に記憶する。
【0069】
ステップ231において原点撮像データ記憶領域123に記憶された原点撮像データを三次元撮像データへ変換して三次元撮像データ記憶領域127の所定の領域に記憶した後、ステップ233において比較手段133により三次元撮像データ記憶領域127に記憶された加工原点の三次元撮像データと基準ワークデータ記憶領域121に記憶された原点撮像箇所に対応する三次元基準ワークデータを比較する。
【0070】
上記比較手段133による比較にあっては、原点較正基準部19aの三次元撮像データと三次元基準ワークデータにより二次元方向に対する位置ずれを比較すると共に三次元撮像データにおける基準パターンのスリット間隔とパターンデータ記憶領域131に記憶されたパターンデータのスリット間隔により高さ方向に対する位置ずれを比較する。
【0071】
次に、ステップ235において三次元撮像データと三次元基準ワークデータ及びパターンデータに差があるか否かを判定し、該ステップ235がNOの場合には、
図10に示すようにワーク支持手段5に対して車両用バンパー19が正規状態、即ち、加工具17による加工原点と車両用バンパー19の被加工原点が一致していると判断して終了する。
【0072】
反対に、上記ステップ235がYESの場合には、
図11に示すようにワーク支持手段5に対して車両用バンパー19の被加工原点と加工具17による加工原点が位置ずれしていると判断し、ステップ237において三次元方向に対する差を演算し、演算された三次元方向(X−Y−Z)への位置ずれ量を原点較正データとして較正データ記憶領域129の所定領域に記憶させる。
【0073】
次に、ステップ239において較正データ記憶領域129から読み出された原点較正データに基づいて加工データ記憶領域119に記憶された加工原点位置に関する三次元位置データ(X−Y−Z)を修正して原点較正動作を終了する。
【0074】
次に、ステップ205による伸縮較正処理を説明すると、
図12に示すようにステップ241において各マーキング部材9aを駆動してワーク支持手段5に支持された車両用バンパー19における長手方向(左右方向)の各端部側の表面にレーザ光を出力してマーキングした後に、ステップ243において伸縮撮像部材9bを駆動してマーキング箇所及び各端を含む車両用バンパー19の各端部を撮像して伸縮撮像データを伸縮撮像データ記憶領域125に記憶する。
【0075】
次に、ステップ245において伸縮撮像データ記憶領域125に記憶された原点撮像データを三次元撮像データへ変換して三次元撮像データ記憶領域127の所定の領域に記憶した後、ステップ247において比較手段133により三次元撮像データ記憶領域127に記憶された上記箇所の三次元撮像データと基準ワークデータ記憶領域121に記憶された三次元基準ワークデータを比較する。
【0076】
上記比較手段133による比較にあっては、三次元撮像データ記憶領域127に記憶された車両用バンパー19における各端部の三次元撮像データに基づいて計測される各端からマーキング箇所に至る間隔(距離)と基準ワークデータ記憶領域121に記憶された車両用バンパー19における各端からマーキング箇所に至る間隔を比較する。
【0077】
なお、上記比較手段133により比較処理を実行する際に、ワーク支持手段5に対して車両用バンパー19が位置ずれ状態で支持されている場合には、基準ワークデータ記憶領域121に記憶されたマーキング箇所の位置データを上記ステップ237により演算された位置ずれ量に基づいて補正処理する。
【0078】
次に、ステップ249において上記比較処理により差があるか否かを判定し、該ステップ249がNOの場合には、車両用バンパー19、特に各端部側において伸縮がないと判断して終了する。
【0079】
反対に、上記ステップ249がYESの場合には、
図13に示すように車両用バンパー19における各端部が雰囲気温度等に起因して伸縮していると判断し、ステップ251において伸縮量を演算し、演算された伸縮量を較正データ記憶領域129の所定領域に記憶させる。
【0080】
次に、ステップ253において較正データ記憶領域129から読み出された伸縮量データに基づいて加工データ記憶領域119に記憶された車両用バンパー19における各端部側の加工位置に関するデータを修正して伸縮較正処理を終了する。
【0081】
本実施例は、レーザ光の出力によりマーキングされた車両用バンパー19の各端部側の撮像データと三次元基準ワークデータに基づいて各端部側における伸縮量を演算し、演算された伸縮量に基づいて各端部側における加工位置の三次元加工データを較正することにより車両用バンパー19の各端部側に対するして加工を高い精度で行うことができる。
【0082】
上記説明は、ワーク支持手段5に対してワークを非位置決め状態で支持し、加工原点較正手段7によりワーク加工手段の加工原点とワークの被加工原点が一致するように加工データを較正する構成としたが、ワーク支持手段5に対してワークを位置決め状態で支持する構成としてもよい。この場合にあっては、ワーク伸縮較正手段9のみを設けてワークの伸縮量を演算して加工データを較正すればよい。