特許第6284303号(P6284303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6284303O/W型エマルション組成物及び皮膚外用剤
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  • 特許6284303-O/W型エマルション組成物及び皮膚外用剤 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284303
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】O/W型エマルション組成物及び皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20180215BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20180215BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20180215BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/06
   A61K8/67
   A61K9/107
   A61K47/32
   A61P3/02
   A61P3/02 102
   A61P3/02 109
   A61P3/02 107
   A61P3/02 104
   A61K45/00
   A61Q19/00
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-91919(P2013-91919)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-241406(P2013-241406A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2016年4月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-101010(P2012-101010)
(32)【優先日】2012年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166959
【氏名又は名称】御木本製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】306014736
【氏名又は名称】第一三共ヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】中野 章典
(72)【発明者】
【氏名】梶浦 孝友
(72)【発明者】
【氏名】野呂 哲也
(72)【発明者】
【氏名】辻 恵子
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−104131(JP,A)
【文献】 国際公開第01/042390(WO,A1)
【文献】 特表2004−506052(JP,A)
【文献】 特表2007−516265(JP,A)
【文献】 特開平10−095706(JP,A)
【文献】 特開2001−122735(JP,A)
【文献】 特開平10−265332(JP,A)
【文献】 特開平09−255529(JP,A)
【文献】 特開2006−256971(JP,A)
【文献】 特開2003−292414(JP,A)
【文献】 特開2006−315957(JP,A)
【文献】 特開2004−091360(JP,A)
【文献】 特開2003−012498(JP,A)
【文献】 特開2001−139453(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/039974(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 9/107
A61K 45/00
A61K 47/32
A61P 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油溶性有効物質とアルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩とを含有するO/W型エマルション組成物であって、
該組成物のpHは4.0から8.0であり、
該組成物におけるエマルション粒子の平均粒子径が2μmから10μmであり、かつ
アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩以外の界面活性剤の含有量が油相の量の0.1重量%以下である、
上記組成物。
【請求項2】
上記油溶性有効物質として、油溶性ビタミン、その誘導体又はそれらの塩;及び水溶性ビタミンの油溶性誘導体又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンD、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンK、その誘導体又はそれらの塩;油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩;及び油溶性ピリドキシン誘導体又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンD、その誘導体又はそれらの塩;油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩;及び油溶性ピリドキシン誘導体又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1から3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はその塩;及び油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1から4の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれら塩;及び油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩からなる群から選択される2種以上を含有する、請求項1から5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;並びに油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩を含有する、請求項1から6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
上記pHが4.5から7.5である、請求項1から7の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
上記pHが4.5から7.0である、請求項1から8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の組成物を含有する、皮膚外用剤。
【請求項11】
化粧組成物、スキンケア組成物、または医薬組成物である、請求項10に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油溶性有効物質の保存安定性及び経皮吸収性に優れたO/W型エマルション組成物、及び該エマルション組成物を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
O/W型エマルション組成物は、エモリエント効果とみずみずしい使用感があることから、皮膚外用剤をはじめとして多くの製剤の剤形として広く用いられている。エマルションの製造では、製造水と油を均一に分散させるために界面活性剤ないし乳化剤の使用が必要とされる。
【0003】
近年、このようなO/W型エマルション組成物の製造方法として、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを用いて乳化する方法が広く用いられている。例えば、有効成分としてアスコルビン酸及びその誘導体を配合した組成物において、その乳化安定性を向上させる目的としてアルキル変性カルボキシビニルポリマーを添加した組成物が知られている(特許文献1及び2参照)。これらの組成物は、水溶性物質であるアスコルビン酸又はその誘導体を有効成分として含有する組成物であり、アルキル変性カルボキシビニルポリマーは該組成物の乳化安定性を高めるために添加されている。実際には、これらの組成物では、アルキル変性カルボキシビニルポリマーに加えて各種界面活性剤が添加されている。
【0004】
また、有効成分としてビタミンA又はその誘導体を含有する皮膚外用剤において、ビタミンA又はその誘導体の安定性を高めることを目的として、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル、キレート剤及び多価アルコールを添加した皮膚外用剤が知られている(特許文献3)。特許文献3には、実施例1−1〜4、実施例2−1〜4、実施例3−1〜5、並びに実施例4〜9の合計19種の組成物が開示されているが、そのうち18種は界面活性剤が添加されている(脂肪酸の一部とアルカリが反応して調整後界面活性剤ができている)。なお、特許文献3の実施例6では界面活性剤が添加されていないが、本実施例の組成物はO/W型エマルションではない。
【0005】
また、有効成分としてアスコルビン酸のエステル及びエーテルの少なくとも1種と、リン脂質及びポリアルキレングリコール−ジイソシアネート共重合体の少なくとも一種とを含有する皮膚用アスコルビン酸誘導体組成物が知られている(特許文献4)。当該組成物の組成は、有効成分であるアスコルビン酸(ビタミンC)の作用の持続性や経皮吸収性を高めるために採用されたものであるが、当該組成物中におけるリン脂質は界面活性剤として作用する物質である。
【0006】
さらに、油溶性アスコルビン酸誘導体とともに、カルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子を含有し、乳化物の体積基準平均粒子径が8〜100μmであることを特徴とする油溶性アスコルビン酸誘導体を含有する乳化組成物が知られている(特許文献5)。当該組成物は、油溶性アスコルビン酸誘導体の皮膚透過性を向上させるために上記処方を採用したものである。当該乳化組成物には、実際上、効率的な乳化のために界面活性剤が添加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−12498号公報
【特許文献2】特開2004−91360号公報
【特許文献3】特開2001−122735号公報
【特許文献4】特開平11−79930号公報
【特許文献5】特開2006−8620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の通り、O/W型エマルション組成物においては、水相と油相を均一に分散させるために界面活性剤が使用されるのが一般的である。しかしながら、O/W型エマルション組成物の皮膚外用剤への用途においては、界面活性剤の添加は、組成物の乳化安定性を確保するためには有効ではあるものの、油溶性有効物質の保存安定性及び経皮吸収性を低下させる要因となり得る。
従って、上記のような従来技術においては、界面活性剤を使用すること無く、製剤としての乳化安定性を維持しつつ、油溶性有効物質の保存安定性及び経皮吸収性が高いO/W型エマルション組成物を提供することは殆ど不可能であった。
【0009】
そこで、本発明の課題は、油溶性有効物質を含有するO/W型エマルション組成物であって、製剤としての高い乳化安定性を維持しつつ、油溶性有効物質の保存安定性及び経皮吸収性に優れ、かつ安全性にも優れたO/W型エマルション組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、油溶性有効物質を配合したO/W型エマルションにおいて、以下の条件(1)から(4)を採用することにより上記課題を解決できることを見出した。本発明は、係る知見により完成されたものである。
(1)当該組成物がアルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含有すること。
(2)当該組成物のpHを4.0〜8.0に調整すること。
(3)当該組成物におけるエマルション粒子の平均粒子径が2〜30μmであること。
(4)当該組成物が実質的に界面活性剤を含有しないこと。
【0011】
すなわち、本発明は以下に関する。
〔1〕
油溶性有効物質とアルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩とを含有するO/W型エマルション組成物であって、
該組成物のpHは4.0から8.0であり、
該組成物におけるエマルション粒子の平均粒子径が2μmから30μmであり、かつ
該組成物は界面活性剤を実質的に含有しない、
上記組成物。
〔2〕
上記油溶性有効物質として、油溶性ビタミン、その誘導体又はそれらの塩;及び水溶性ビタミンの油溶性誘導体又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有する、〔1〕に記載の組成物。
〔3〕
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンD、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンK、その誘導体又はそれらの塩;油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩;及び油溶性ピリドキシン誘導体又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有する、〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンD、その誘導体又はそれらの塩;油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩;及び油溶性ピリドキシン誘導体又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有する、〔1〕から〔3〕の何れかに記載の組成物。
〔5〕
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はその塩;及び油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有する、〔1〕から〔4〕の何れかに記載の組成物。
〔6〕
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれら塩;及び油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩からなる群から選択される2種以上を含有する、〔1〕から〔5〕の何れかに記載の組成物。
〔7〕
上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;並びに油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩を含有する、〔1〕から〔6〕の何れかに記載の組成物。
〔8〕
上記pHが4.5から7.5である、〔1〕から〔7〕の何れかに記載の組成物。
〔9〕
上記pHが4.5から7.0である、〔1〕から〔8〕の何れかに記載の組成物。
〔10〕
〔1〕から〔9〕の何れかに記載の組成物を含有する、皮膚外用剤。
〔11〕
化粧組成物、スキンケア組成物、または医薬組成物である、〔10〕に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、O/W型エマルション製剤として高い乳化安定性を維持しつつ、油溶性有効物質の保存安定性及び経皮吸収性が顕著に向上したO/W型エマルション組成物を提供することができる。さらに、本発明のO/W型エマルション組成物は、界面活性剤を実質的に含有しないことから、極めて安全性の高いO/W型エマルション製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例2及び比較例3の各組成物についてビタミンA油(パルミチン酸レチノール)の経皮吸収性を比較した結果を示す。
図2図2は、実施例2及び比較例3の各組成物についてテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの経皮吸収性を比較した結果を示す。
図3図3は、実施例3、及び比較例4から6の各組成物について酢酸dl−α−トコフェロールの経皮吸収性を比較した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、油溶性有効物質とアルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩とを含有するO/W型エマルション組成物であって、該組成物のpHは4.0から8.0であり、該組成物におけるエマルション粒子の平均粒子径が2μmから30μmであり、かつ該組成物は界面活性剤を実質的に含有しない、上記組成物に関する。
【0015】
本発明において、油溶性有効物質は、所望の用途や効能などを考慮して適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。本発明の油溶性有効物質としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0016】
油溶性ビタミン:
カロテン、リコピン(プロビタミンA)、アスタキサンチン、ルテイン、クロセチン、レチノイド、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、レチノイン酸、レチノール、 酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール(ビタミンA油)等のビタミンA及びその誘導体並びにそれらの塩;トコフェロール(d-α-トコフェロール)、酢酸トコフェロール(酢酸dl-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール)、ニコチン酸トコフェロール、(リノール酸/オレイン酸)トコフェロール、リノール酸トコフェロール等のビタミンE及びその誘導体並びにそれらの塩;エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、1,2,5−ジヒドロキシ−コレカルシフェロールなどのビタミンD及びその誘導体並びにそれらの塩;フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)等のビタミンK及びそれらの誘導体並びにそれらの塩。
【0017】
水溶性ビタミンの油溶性誘導体:
ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシン、トリパルミチン酸ピリドキシン、トリスヘキシルデカン酸ピリドキシン、トリ2−ヘキシルデカン酸ピリドキシン等の油溶性ピリドキシン誘導体(ビタミンB6の油溶性誘導体)及びその塩;ジパルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル等の油溶性アスコルビン酸誘導体(ビタミンCの油溶性誘導体)及びその塩。
【0018】
その他の油溶性有効物質:
そのほか、ガンマオリザノール、ヒノキチオール、エチニルエストラジオール、グリチルレチン酸ステアリル、ステアリン酸グリチルレチニル、セラミド、ステロール類、油溶性甘草抽出物等の油溶性の有効物質が例示できる。
【0019】
本発明のO/W型エマルション組成物によれば、製剤としての乳化安定性も維持しつつ油溶性有効物質の保存安定性及び経皮吸収性の両方を向上させることができることから、従来技術において特に保存安定性が問題になっている油溶性物質を用いた場合にそれらの欠点を解消できる。さらに本発明のO/W型エマルション組成物では、油溶性有効成分の経皮吸収性も向上させることができる。この点は、特に本発明の有利な点である。本発明の優位性が際立つ物質としては、油溶性ビタミン及び/又は水溶性ビタミンの油溶性誘導体が挙げられる。
【0020】
従って、本発明の組成物は、上記油溶性有効物質として、油溶性ビタミン、その誘導体又はそれらの塩、及び水溶性ビタミンの油溶性誘導体又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有することが好ましい。さらに、本発明の組成物は、上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンD、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンK、その誘導体又はそれらの塩;油溶性アスコルビン酸誘導体(ビタミンCの油溶性誘導体)又はその塩;及び油溶性ピリドキシン誘導体(ビタミンB6の油溶性誘導体)又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有することが好ましい。さらに好ましくは、本発明の組成物は、上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンD、その誘導体又はそれらの塩;油溶性アスコルビン酸誘導体(ビタミンCの油溶性誘導体)又はその塩;及び油溶性ピリドキシン誘導体(ビタミンB6の油溶性誘導体)又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有し得る。特に、上記油溶性化合物のうち、従来から保存安定性に問題があるとされている成分、例えば、ビタミンA、油溶性アスコルビン酸誘導体は、本発明のO/W型エマルションに配合すると、製剤の乳化安定性を損なうことなく、従来のO/W型エマルションに比較して、当該有効物質の保存安定性を改善するだけでなく、経皮吸収性も向上させることが可能である。したがって、本発明の組成物は、上記油溶性有効物質として、ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれらの塩;及び油溶性アスコルビン酸誘導体(ビタミンCの油溶性誘導体)又はその塩からなる群から選択される1種以上を含有することが特に好ましい。
【0021】
より具体的な実施形態としては、本発明の組成物は、上記油溶性有効物質として、以下の物質を含有し得る。
(1)ビタミンE、その誘導体又はそれらの塩。
(2)ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;及び油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩。
(3)ビタミンA、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンE、その誘導体又はそれらの塩;ビタミンD、その誘導体又はそれらの塩;油溶性アスコルビン酸誘導体又はその塩;及び油溶性ピリドキシン誘導体又はその塩。
【0022】
また、上記油溶性有効物質のうち、カロテン、リコピン、アスタキサンチン、ルテイン、クロセチン、レチノイド、レチナール、レチノイン酸、レチノール、 酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等の油溶性ビタミンA(それらの誘導体又はそれらの塩を含む);トコフェロール(d-α-トコフェロール)、酢酸トコフェロール(酢酸dl-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール)、ニコチン酸トコフェロール、(リノール酸/オレイン酸)トコフェロール、リノール酸トコフェロール等のビタミンE(それらの誘導体又はそれらの塩を含む);及び/又はジパルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル等の油溶性アスコルビン酸誘導体(それらの塩を含む)を本発明の組成物に配合した場合に、それら物質の保存安定性及び経皮吸収性を格別に向上させることができる。加えて、ビタミンA、その誘導体又はその塩;ビタミンE、その誘導体又はその塩;及び油溶性アスコルビン酸誘導体(ビタミンCの油溶性誘導体)又はそれらの塩からなる群から選択される2種以上を配合すると、それら油溶性有効物質の保存安定性及び経皮吸収性が格別顕著に増すので、当該O/W型エマルション組成物は化粧組成物、スキンケア組成物、または医薬組成物として利用価値が極めて高い。特に好ましい実施形態としては、本発明の組成物は、上記油溶性有効物質として、ビタミンA油(パルミチン酸レチノール)、天然ビタミンE(d-α-トコフェロール)、酢酸dl-α-トコフェロール、トリスヘキシルデカン酸ピリドキシン、コレカルシフェロール及びテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルからなる群から選択される1種以上、好ましくは2種以上を含有し得る。
【0023】
より具体的な実施形態としては、本発明の組成物は、上記油溶性有効物質として、以下の物質を含有し得る。
(1)天然ビタミンE(d-α-トコフェロール)及び/又は酢酸dl-α-トコフェロール。
(2)ビタミンA油(パルミチン酸レチノール);及びテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル。
(3)ビタミンA油(パルミチン酸レチノール);天然ビタミンE(d-α-トコフェロール)及び/又は酢酸dl-α-トコフェロール;コレカルシフェロール;テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル;及びトリスヘキシルデカン酸ピリドキシン。
【0024】
しかしながら、上記有効物質に関する説明は、本発明の油溶性有効物質を特定の物質に限定する意図ではない。
【0025】
本発明の組成物において油溶性有効物質の量は、所望の用途や効能を考慮して決定すればよく特に限定されるものではないが、例えば、当該組成物の総重量に対して約0.001重量%から約30重量%であり、好ましくは約0.01重量%から約20重量%であり得る。
【0026】
本発明の組成物は、アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含有する。該アルキル変性カルボキシビニルポリマーのアルキル基は直鎖状でも分岐状であってもよい。また、該アルキル基の炭素数は、乳化機能を発揮する限り特に限定されるものではないが、例えば8〜35であり、好ましくは10〜30である。このようなアルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、例えば、炭素数8〜35(好ましくは10〜30)の長鎖アルキルアクリレートモノマーとオレフィン性不飽和カルボン酸モノマーと共重合させて得られる共重合ポリマーを用いることが可能である。さらに具体的には、長鎖アルキルアクリレートモノマー1〜50重量%とオレフィン性不飽和カルボン酸モノマー50〜99重量%とを共重合して得られる共重合ポリマーを用いることが可能であり、場合によっては共重合体の特性を調整するために、オレフィン性多官能性モノマーを配合して重合した架橋構造を持つ共重合体も用いることができる(例えば、特開2002‐193731を参照)。
【0027】
具体的には、本発明におけるアルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、下記一般式(1)の長鎖アルキルアクリレートモノマーと、オレフィン性不飽和カルボン酸モノマーとの共重合ポリマーを用いることができる。
【0028】
【化1】
(但し、Rは炭素数8〜35、好ましくは10〜30の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、R'は水素またはメチル基である。)
【0029】
長鎖アルキルアクリレートモノマーとしては、例えばデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート等の炭素数8〜35、好ましくは10〜30のアルキルアクリレート、及びそれらに相当するメタクリレートの群から選ばれる1種以上のモノマーであり、また、オレフィン性不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−クロロ−アクリル酸、α−フェニルアクリル酸、ソルビン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、または、無水マレイン酸等のオレフィン系の二重結合および少なくとも1つのカルボキシル基を含む重合性化合物の群から選ばれる1種以上のモノマーであり、好ましくは入手しやすく優れた重合能力を持つアクリル酸が挙げられる。長鎖アルキルアクリレートとオレフィン性不飽和カルボン酸モノマーとからの共重合体としては、上記の必須成分である長鎖アルキルアクリレートとオレフィン性不飽和カルボン酸モノマーの両モノマーに加えて、共重合体の特性を調整するために、メチレンビスアクリルアミド、アリルアクリレート、メタリルメタクリレート、ジビニルエーテル、アリルショ糖、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセリルトリアクリレート等のオレフィン性多官能性モノマーを配合して重合した架橋構造をもつ共重合体を本発明において使用することもできる。該オレフィン系多官能性モノマーの配合量としては、長鎖アルキルアクリレートモノマーとオレフィン系多官能性モノマーの総量に対して約0.01〜約4重量%が好ましく、更に好ましくは0.2〜1.0重量%である。これら上記の共重合体は、例えば特開昭51−6190号公報、特開平2−39312号公報等に記載された方法で製造することができる。
【0030】
本発明のアルキル変性カルボキシビニルポリマーの平均分子量は、特に限定されるものでは無いが、約500,000〜5,000,000のものが好ましい。
【0031】
なお、このようなアルキル変性カルボキシビニルポリマーは、ペムレン TR−1又はペムレン TR−2((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー)(ノベオン社製)、カーボポール1342(ノベオン社製)、カーボポールETD2020(ノベオン社製)、アライアンツ OPT(インターナショナル スペシャルティ プロダクツ社製)等の製品名で市販されているので、それらの市販品を用いてもよい。
【0032】
本発明の組成物におけるアルキル変性カルボキシビニルポリマーの配合量は、アルキル変性カルボキシビニルポリマーの種類や他の配合物、油相量、乳化条件等で大きく異なるが、通常、当該組成物の総重量に対して約0.01重量%から約4.0重量%を配合することができ、好ましくは約0.1重量%から約2.0重量%を配合することができる。
【0033】
本発明の組成物のpHは約4.0から約8.0であることを特徴とする。組成物のpHの値が上記の範囲から逸れると、組成物の乳化が困難となり乳化安定性も確保できず、さらに油溶性有効物質の十分な保存安定性を確保することができないからである。特に、組成物のpHの値が8.0を超えると、油溶性有効物質の中でも油溶性アスコルビン酸誘導体(例えば、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)の保存安定性が低下してしまう。さらに、組成物のpHの値が4.0を下回ると、組成物の乳化性及び乳化安定性が低下してしまう。本発明の組成物のpHは、所望の目的や用途に応じてこの範囲で調整すればよく特に限定されるものではないが、組成物の高い乳化安定性を維持しつつ、さらに油溶性有効物質の保存安定性を顕著に向上させる観点から言えば、好ましくは約4.5から約7.5であり、より好ましくは約4.5から約7.0である。
【0034】
本発明の組成物のpHを調整する際に用いる物質としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等アルカリ金属の水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等アルカノールアミン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、酢酸等の有機酸およびそれらの塩、塩酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム等の無機酸およびそれらの塩等、その他、炭酸グアニジン、炭酸アンモニウム、2−アミノ−2−メチル−1,3ープロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3ープロパンジオール、L−アルギニン等が挙げられる。本発明においては、アルキル変性カルボキシビニルポリマーが酸性である場合、アルカリ性物質を加えることが多い。
【0035】
本発明の組成物には、上記の各成分以外に、化粧料や医薬などの皮膚外用剤に用いられ得る油剤、粉体、色素、高分子、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、溶媒、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分、保湿剤、塩類、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤等の任意の成分を適宜配合することもできる。
【0036】
上記油剤としては、化粧料や医薬などの皮膚外用剤に用いられ得る揮発性及び不揮発性の油剤、溶剤、並びに樹脂等が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体の何れであっても構わない。油剤の例としては、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、フタル酸ジエチル、オキシステアリン酸オクチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、大豆油、アルガニアスピノサ核油、ヒマシ油、オリーブ油、水添パーム油、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2−オクチルドデシル)等の油脂、ポリエチレンワックス、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。
【0037】
また、別の形態の油剤としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、ジメチルシリル化シリカ等のシリコーン化合物、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール等のフッ素化合物等が挙げられる。
【0038】
粉体ないし色素の例としては、赤色104号、赤色102号、赤色226号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、黒色401号等の色素、青色1号アルミニウムレーキ、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられ、またこれら材料に任意の表面処理、例えば、N−アシル化リジン処理、アミノ酸処理、親水性高分子処理、油剤処理、シリコーン処理、金属石鹸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等を施したものを使用することも可能である。また、混合物の色を肌色等に調整したものを処理することも可能である。さらに、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の紫外線散乱成分を使用することで紫外線防御機能を有する粉体とすることも可能である。
【0039】
高分子の例としては、上記アルキル変性カルボキシビニルポリマー以外のカルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、セルロースエーテル、アルギン酸カルシウム、エチレン/アクリル酸共重合体、ビニルピロリドン系ポリマー、ビニルアルコール/ビニルピロリドン共重合体、窒素置換アクリルアミド系ポリマー、カチオン化グァーガム等のカチオン系ポリマー、ジメチルアクリルアンモニウム系ポリマー、ポリビニルアルコール、プルラン、デオキシリボ核酸及びその塩、コンドロイチン硫酸等の酸性ムコ多糖類及びその塩、タマリンド種子多糖類、寒天、キサンタンガム、クインスシードガム、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グァーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、ヒアルロン酸及びその塩、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン、セルロース、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコール、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー等が挙げられる。
【0040】
防腐剤としては、例えば安息香酸、安息香酸ナトリウム、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸又はその塩、デヒドロ酢酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等の有機酸及びその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルエチルアルコール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム、フェノキシエタノール、フェノキシジグリコール、フェノール、ベンジルアルコール等のフェノール類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルイソキノリウム、臭化ドミフェノン等の4級アンモニウム塩、茶エキス、ヒノキチオール、リンゴエキス等の植物抽出液、また、クロラミンT、クロルヘキシジン、ジンクピリチオン等を挙げることができる。
【0041】
有機系紫外線吸収剤の例としては、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−メトキシハイドロケイ皮酸 ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、サリチル酸ホモメンチル、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、サリチル酸オクチル、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0042】
溶媒の例としては、精製水、常水、エタノール、温泉水、海洋深層水等が挙げられる。
【0043】
天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分の例としては、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解コラーゲン、加水分解コンキオリン、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クリスマムマリチマムカルス培養液、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プランクトンエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、油溶性カロットエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0044】
保湿剤として、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングルコール、ジプロピレングルコール、へキシレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、カプリリルグリコール等のポリオール類、ソルビトール、グリコシルトレハロース・水添デンプン分解混合溶液、マルチトール、トレハロース、ラフィノース等の糖類、バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グリシン、セリン等のアミノ酸類、ヒドロキシプロリン等のアミノ酸誘導体、その他トリメチルグリシン、尿素、ピロリドンカルボン酸(塩)等を挙げることができる。
【0045】
油相量としては、用いられる成分種類や乳化条件、組成物の用途等を考慮して適宜設定すればよく特に限定されるものではないが、例えば、当該組成物の総重量に対して約1重量%から約60重量%とすることができる。
また、水相量も同様に当該組成物の総重量に対して約40重量%から約99重量%とすることができる。
【0046】
本発明のO/W型エマルション組成物は、上記した必須成分と任意の成分とを任意の条件や方法によって乳化することにより、組成物中のエマルション粒子の平均粒子径が2μmから30μmの範囲に調整された組成物である。エマルション粒子の平均粒子径が30μmを超えると、エマルション組成物の乳化安定性が低下してしまい、一方、エマルション粒子の平均粒子径が2μmを下回ると油溶性有効物質の経皮吸収性が低下してしまい、エマルション粒子の平均粒子径が上記範囲から逸れると、組成物の乳化安定性を維持しつつ、さらに油溶性有効物質の十分な保存安定性及び経皮吸収性を確保することができないからである。エマルション粒子の平均粒子径は、この範囲である限り特に限定されるものではないが、油溶性有効物質の保存安定性及び経皮吸収性をより高める観点から言えば、好ましくは2μmから20μm、より好ましくは2.1(さらに好ましくは2.2、2.3、2.4)μmから10μm、より一層好ましくは2.5μmから10μmである。
【0047】
本発明において「エマルション粒子の平均粒子径」とは、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により求められる50%径(累積中位径、メディアン径)を意味する。具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置により、エマルション粒子の粒度分布を体積基準で作成し、その中央値を平均粒子径とすることで測定できる。測定サンプルとしては、エマルション組成物を水に分散させたものを用いることができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置「SALD2000」等を用いることができる。
【0048】
本発明の組成物の製造方法については、エマルション粒子の平均粒子が上記範囲となり、かつ所望の効果が得られる限り特に限定されるものではないが、本発明の組成物は、上記した油溶性有効物質を含む油相成分と、上記アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、その他の成分を含む水相成分とを混合及び攪拌することにより、これら油相成分及び水相成分の乳化物として得ることができる。より具体的には、油溶性有効物質を含む油相成分(A)と、アルキル変性カルボキシルビニルポリマーを含む水相成分(B)とを準備し、これら油相成分(A)及び水相成分(B)を所定の温度に加熱し、次いで水相成分(B)を攪拌しながら該水相成分(B)に上記油相成分(A)を添加して乳化することにより本発明の組成物を得ることができる。
【0049】
ここで、エマルション粒子の平均粒子径を上記所定の範囲にするためには、アルキル変性カルボキシビニルポリマーや油溶性有効物質をはじめとする油相成分の種類や量、水相成分の種類や量と、各油相及び水相成分の加熱温度、撹拌条件、攪拌時間などの乳化条件を適宜調整することが必要となる。このような各成分の種類や量、並びに乳化条件の調整は、組成物中に含まれる成分に応じた乳化効率や薬効成分の活性保持などの観点から当業者が適宜選択すべき事項であり特に限定されるものではない。一般的には、乳化のための攪拌操作は、プロペラ攪拌により実施することが可能であり、特に乳化処理に特化した各種真空乳化装置が市販されているので、それら市販の装置を用いて実施してもよい。また、攪拌条件については、一般的には、油相及び水相成分の加熱温度を20〜90℃、好ましくは50℃〜90℃、より好ましくは60〜85℃とし、その他適切な条件下で油相及び水相成分の攪拌を行うことにより本発明の組成物を得ることができる。但し、攪拌条件については、上記の通り所定の平均粒子径の値を示すO/W型エマルション製剤を作製できる限り特に限定されるものではなく、これらの条件に限定する意図ではない。
【0050】
さらに、本発明の組成物は界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする。ここで、「界面活性剤」とは、その分子構造内に親水性基と疎水性基とを併せ持ち、少量の添加で界面に吸着して表面張力を著しく低下させる物質であるが、本発明においては油−水界面に吸着して、油と水の界面張力を低下させ、水の中に油滴を微細に分散させ得る物質を言う。このような界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンステロールエーテル(例えば、ポリオキシエチレン(20E.O.)ダイズステロールなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE(60E.O.)硬化ヒマシ油など)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸グリセリルなど)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(モノステアリン酸POE(20E.O.)ソルビタンなど)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸(ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウムなど)、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアロイル硫酸ナトリウム等のイオン性界面活性剤、レシチン類(大豆レシチン、卵黄リン脂質、水素添加レシチン(水素添加大豆リン脂質)、水酸化レシチンなど)、サポニン類(大豆サポニン、カンゾウサポニン、酵素処理サポニンなど)等の天然由来界面活性剤等が挙げられる。
【0051】
また、本発明において「実質的に含有しない」とは、組成物における界面活性剤の量が乳化性を発揮する程の量でもないことを意味し、含有量としては油相の量の0.1重量%以下、好ましくは0.01%以下である。本発明の組成物は、界面活性剤が実質的に含まれていないことから、皮膚外用剤の用途として極めて安全性が高い。
【0052】
本発明の組成物の用途は特に限定されるものではないが、化粧組成物、ヘルスケア組成物、スキンケア組成物、医薬組成物等として利用することができる。より具体的には、乳液、クリーム等の基礎化粧料、ファンデーション等のメイクアップ化粧料、ヘアクリーム、育毛剤等の毛髪化粧料、入浴剤等のヘルスケア製品、スキンケアクリームや日焼け止めクリームなどのスキンケア製品、油溶性医薬有効成分を含有する皮膚外用医薬製品として応用することができる。油溶性ビタミン類や、水溶性ビタミンの油溶性誘導体等の油溶性有効成分の保存安定性及び経皮吸収性を顕著に向上させることが可能である観点から、本発明の組成物は、特に化粧組成物やスキンケア組成物として利用価値が高い。
【0053】
以下、本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
[実施例1−1A]
表1に示す原料を用いて本発明のO/W型エマルション組成物を製造した。その製造方法は、A群及びB群をそれぞれ80℃に加温し、B群を撹拌しながらA群を添加して乳化した。その後、得られた組成物を35℃まで冷却した。なお、乳化装置は、プライミクス社製T.K.ロボミックスを用い、乳化は6,000rpm及び5分間の条件で行った。
【0055】
実施例1−1Aの組成物のpHは5.5であった。また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)を測定したところ、4.7μmであった。
【0056】
【表1】
【0057】
[実施例1−1B]
表1に示す原料を用い、かつ実施例1−1Aにおける乳化条件を変更して本発明のO/W型エマルション組成物を製造した。即ち、本実施例では、乳化条件を10,000rpm及び5分間の条件に変更した以外は、実施例1−1Aと同様に本願発明のO/W型エマルション組成物を製造した。
【0058】
実施例1−1Bの組成物のpHは実施例1−1Aと同様に5.5である。しかしながら、実施例1−1Aと同様に当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)を測定したところ、その値は2.8μmであった。
【0059】
[比較例1]
表2に示す原料を用いて、比較例1の組成物を製造した。製造方法は、表2に示す原料を用い、かつ乳化条件を8,000rpm及び1分間とした以外は、実施例1と同様に行った。なお、比較例1の組成物は、界面活性剤として、水素添加大豆リン脂質を含有する。
【0060】
比較例1の組成物のpHは6.3であった。また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準の粒度分布における)を測定したところ、1.4μmであった。
【0061】
【表2】
【0062】
[比較例2]
表3に示す原料を用いて、比較例2の組成物を製造した。製造方法は、表3に示す原料を用いた以外は、比較例1と同様に行った。なお、比較例2の組成物は、界面活性剤として、ポリオキシエチレン(20E.O.)ダイズステロール、モノステアリン酸グリセリル、及び水素添加大豆リン脂質を含有する。
【0063】
比較例2の組成物のpHは6.3であった。また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)を測定したところ、2.2μmであった。
【0064】
【表3】
【0065】
[薬剤安定性試験1]
上記の通り作製した実施例1−1A及び1−1B、並びに比較例1〜2の組成物をそれぞれ40℃、75%RHの恒温恒湿槽に保持した。各組成物を恒温恒湿槽に導入する前、並びに恒温恒湿槽における保持の開始から2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、及び6ヶ月後の各時点において、各組成物中におけるテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの量、並びにビタミンA油に含まれるパルミチン酸レチノールの量を測定した。測定方法については、所定量の各組成物を2−プロパノールで溶解し、各溶解試料中の各成分量を高速液体クロマトグラフィーにより定量した。測定条件は以下の通りである。
・測定機器:高速液体クロマトグラフィー
・カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル
・移動相:メタノール
・検出方法:紫外線吸収
・検出波長1:220nm(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)
・検出波長2:325nm(パルミチン酸レチノール)
【0066】
測定結果を表4に示す。表4において、各時点のパルミチン酸レチノール及びテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの量は、各組成物を恒温恒湿槽に導入する前の各成分量を100とした相対値で示されている。
【0067】
【表4】
【0068】
表4に示される通り、比較例1及び2の組成物は、保存後時間の経過とともに油溶性有効物質であるパルミチン酸レチノール及びテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルが急速に分解していた。これに対して、本発明による組成物(実施例1−1A及び1−1B)では、保存の6か月後においてもこれら物質は初期値に対する相対残存率が70%を超える値で安定に保持されていた。すなわち、本実施例により本発明による組成物が油溶性有効物質の保存安定性に優れるものであることが示された。
【0069】
[実施例1−2から1−11]
実施例1−1Aの組成物においてL−アルギニンの量を調整して、以下の表5に示すpHの値を示す実施例1−2から1−5の組成物を作製した。加えて、実施例1−1Aの組成物においてL−アルギニンに代えて水酸化ナトリウムを添加し、かつその量を調整することにより、表5に示すpHの値を示す実施例1−6から1−8の組成物を作製した。さらに加えて、実施例1−1Aの組成物においてL−アルギニンに代えて水酸化カリウムを添加し、かつその量を調整することにより、表5に示すpHの値を示す実施例1−9から1−11の組成物を作製した。
各組成物の製造方法は、上記の通りL−アルギニンの量を調整するか、又はL−アルギニンに代えて水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムを添加し、かつその量を調整した以外は、実施例1−1Aと同様である。
【0070】
また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、各組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)を測定したところ、表5に示す通りであった。
【0071】
[薬剤安定性試験2]
実施例1−2から1−11の組成物について、上記した薬剤安定性試験1と同様の試験を行った。但し、2週間後の測定は省略した。
その結果を表5に示す。なお、パルミチン酸レチノールの安定性に差は見られなかったので、表5にはテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの結果のみ示した。
【0072】
【表5】
【0073】
本薬剤安定性試験2により、pHの値を変化させた本発明の組成物においてパルミチン酸レチノール及びテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの両油溶性物質は長期保存後においても高いレベルで安定に保持されることが示された。なお、パルミチン酸レチノールについては安定性に差が見られなかったことから、表5において測定値を示していない。つまり、実施例1−2から1−11の組成物においてパルミチン酸レチノールの値は、表4に示す実施例1−1A及び1−1Bの測定値と同様の値を示したことを意味する(保存6か月後において初期値に対する相対残存率が80%超)。即ち、本発明の組成物は、油溶性有効物質の保存安定性に優れたものであることが示された。さらに、表5の結果について詳しく見ると、pHの値が特に5.0から6.0の範囲にある組成物は、6か月保存後においてテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの安定性が初期値に対する相対残存率が70%以上を示し、より優れた保存安定性を示すことが明らかとなった。
【0074】
[実施例2]
表6に示す原料を用いて、実施例2の組成物を製造した。製造方法は、表6に示す原料を用いた以外は、実施例1−1Aと同様である。
【0075】
実施例2の組成物のpHは5.5であった。また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)を測定したところ、5.4μmであった。
【0076】
【表6】
【0077】
[比較例3]
表7に示す原料を用いて、比較例3の組成物を製造した。製造方法は、表7に示す原料を用いた以外は、比較例1と同様である。なお、比較例3の組成物は、界面活性剤として、ポリオキシエチレン(20E.O.)ダイズステロール、モノステアリン酸グリセリル、及び水素添加大豆リン脂質を含有する。
【0078】
比較例3の組成物のpHは6.3であった。また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)を測定したところ、2.2μmであった。
【0079】
【表7】
【0080】
[経皮吸収試験1]
上記の通り作製した実施例2及び比較例3の組成物を試験品として用い、以下の試験方法により各組成物について油溶性有効物質の経皮吸収性を調べた。
【0081】
(試験方法)
Yucatan micro-pig摘出皮膚(日本チャールズリバー社より購入)を解凍し、皮下脂肪及び筋肉を取り除き、3.0cm角の皮膚切片を作製した。次いで、皮膚切片に試験品50mgを塗布し、各皮膚切片をシャーレー中の緩衝生理食塩水で湿らせた濾紙上に保持した。該シャーレーを、32℃のインキュベータ内に3時間インキュベートした後、各皮膚切片の表面に塗布した試験品をキムワイプで十分に拭き取ることによって吸収除去し、さらにセロハンテープで皮膚表面を3回剥離操作した。次いで、この皮膚切片の表皮側を、60℃に加熱したホットプレートに30秒間押し当てた。この操作によって皮膚切片の表皮−真皮間の結合が緩むので、ピンセットで表皮を採取する。なお、試験サンプルは、各群当たり3例(n=3)とした。
【0082】
採取した表皮の重量を測定し、10mlの2−プロパノールに18時間浸漬して、表皮中のビタミンA油(パルミチン酸レチノール)およびテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルを抽出した。抽出した2−プロパノール液を0.45μmのポアサイズのフィルターに通し、高速液体クロマトグラフィーでビタミンA油(パルミチン酸レチノール)およびテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの量をそれぞれ測定した。
なお、高速液体クロマトグラフィーの条件は、上記薬剤安定性試験1で記載した通りである。
【0083】
(結果)
ビタミンA油(パルミチン酸レチノール)の結果を図1に、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルの結果を図2にそれぞれ示す。
図1及び2に示す通り、油溶性有効物質であるビタミンA油(パルミチン酸レチノール)ないしテトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルについて、比較例3の組成物と比較して、実施例2の組成物は皮膚への吸収量が高いことが示された。即ち、本実施例により、本発明による組成物は有効成分の優れた経皮吸収性を有することが示された。
【0084】
[実施例3]
表8に示す原料を用いて、実施例3の組成物を製造した。製造方法は、表8に示す原料を用いた以外は、実施例1−1Aと同様である。
【0085】
実施例3の組成物のpHは5.5であった。また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)を測定したところ、5.1μmであった。
【0086】
【表8】
【0087】
[比較例4]
表9に示す原料を用いて、比較例4の組成物を製造した。製造方法は、表9に示す原料を用いた以外は、比較例1と同様である。なお、比較例4の組成物は、界面活性剤として、ポリオキシエチレン(20E.O.)ダイズステロール、モノステアリン酸グリセリル、及び水素添加大豆リン脂質を含有する。
【0088】
比較例4の組成物のpHは6.3であった。また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)測定したところ、2.3μmであった。
【0089】
【表9】
【0090】
[比較例5]
表10に示す原料を用いて、比較例5の組成物を製造した。製造方法は、表10に示す原料を用いた以外は、比較例1と同様である。なお、比較例5の組成物は、界面活性剤として、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸POE(20E.O.)ソルビタン、POE(60E.O.)硬化ヒマシ油、及び水素添加大豆リン脂質を含有する。
【0091】
比較例5の組成物のpHは5.3であった。また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)を測定したところ、1.0μmであった。
【0092】
【表10】
【0093】
[比較例6]
実施例3と同一の処方により、比較例6の組成物を製造した。製造方法については、A群及びB群をそれぞれ80℃に加温し、B群を撹拌しながらA群を添加して乳化した。なお、乳化装置はプライミクス社製T.K.ロボミックスを用い、乳化条件は6,000rpm及び5分間とした。さらに、高圧乳化機(Microfluidics corp.製、マイクロフルイダイザーM-110 E/H)で18000psiで処理し、35℃まで冷却した。
【0094】
比較例6の組成物のpHは5.5であった。また、粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所製)を用いて、当該組成物中のエマルション粒子の平均粒子径(体積基準粒度分布における中央値)を測定したところ、0.8μmであった。
【0095】
[経皮吸収試験2]
上記の通り作製した実施例3及び比較例4から6の各組成物を試験品として用い、以下の試験方法により各組成物について油溶性有効物質の経皮吸収性を調べた。
【0096】
(試験方法)
Yucatan micro-pig摘出皮膚(日本チャールズリバー社より購入)を解凍し、皮下脂肪及び筋肉を取り除き、3.5cm角の皮膚切片を作製した。直径2.1cmのシリンジ筒(ポリプロピレン製、先端を切断したもの)のフランジ部分と皮膚切片をクランプで挟み試験品1gをシリンジ筒の部分に入れ、生理食塩水を入れたビーカーに皮膚が浸るように入れ、3時間放置した。次いで、皮膚切片の表面をキムワイプ(登録商標)(日本製紙クレシア株式会社製ワイパーS−200)で拭き取った後、粘着テープ(住友スリーエム社製 商品名Nexcare ブレンダーム)を用いてストリッピングを50回行った。該粘着テープにメタノールを加え、必要な濃度にして液体試料として回収し、該液体試料中の酢酸dl−α−トコフェロールの量を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。高速液体クロマトグラフィーにおいて、検出波長は285nmとし、その他の条件は経皮吸収試験1と同様とした。
【0097】
(結果)
試験結果を図3に示す。
図3に示す通り、油溶性有効物質である酢酸dl−α−トコフェロールについて、比較例4から6の組成物と比較して、実施例3の組成物は皮膚への吸収量が高いことが示された。即ち、本実施例により、本発明による組成物は有効成分の優れた経皮吸収性を有することが示された。
【0098】
[実施例4〜10]
さらに、本発明のO/W型エマルション組成物の例として、以下の表11に示す実施例4〜10の各組成並びに粒子径を有するものが挙げられる。これらO/W型エマルション組成物は、実施例1−Aに示す製造方法と同様にして製造することができる。その際、乳化条件については各組成物が表11に示す粒子径(エマルション粒子の平均粒子径)を有するように適宜調整する。
【0099】
【表11】
【0100】
以上に示す通り、本発明のO/W型エマルション組成物は、高い乳化安定性を有することに加えて、油溶性有効成分の高い保存安定性及び経皮吸収性を有する。
図1
図2
図3