(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酵母と、前記酵母を洗浄するための洗浄液又は前記酵母を保存するための保存液である処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を、第一の原料液に添加して、発泡性飲料の製造に使用される第二の原料液を製造することを含む
ことを特徴とする方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る方法(以下、「本方法」という。)の一例に関する操作を示す説明図である。本方法の一例は、
図1に示すように、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を、第一の原料液に添加して、発泡性飲料の製造に使用される第二の原料液を製造することを含む方法である。すなわち、本方法において特徴的なことの一つは、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を使用する点である。
【0020】
酵母は、特に限られず、生きた酵母であることとしてもよく、不活化された酵母であることとしてもよい。不活化酵母は、実質的に増殖及び/又は代謝を行わない程度に不活化された酵母であれば特に限られず、例えば、死んだ酵母(生命活動が停止した酵母)であることとしてもよい。死酵母は、例えば、人為的な処理(例えば、生きた酵母に熱処理、酸処理、凍結処理及び乾燥処理からなる群より選択される1つ以上の処理)が施されることにより死滅した酵母である。
【0021】
また、不活化酵母は、例えば、生命活動は停止していないものの、人為的な処理(例えば、遺伝子操作、薬剤処理及び光線(例えば、紫外線)処理からなる群より選択される1つ以上の処理)が施されることにより、実質的に増殖及び/又は代謝を行わない程度に不活化された酵母であることとしてもよい。また、不活化酵母は、例えば、その細胞体の形状を維持したものであることとしてもよい。
【0022】
また、酵母は、アルコール(例えば、エタノール)を産生する酵母(アルコール産生酵母)であることとしてもよく、アルコール(例えば、エタノール)を産生しない酵母(アルコール非産生酵母)であることとしてもよい。
【0023】
アルコール産生酵母は、アルコールを産生する酵母であれば特に限られず、例えば、アルコール発酵に使用される酵母(例えば、ビール酵母、ワイン酵母、焼酎酵母及び清酒酵母からなる群より選択される1種以上)、バイオエタノールの製造に使用される酵母及びパン酵母からなる群より選択される1種以上であることとしてもよい。アルコール非産生酵母は、アルコールを産生しない酵母であれば特に限られない。
【0024】
また、酵母は、アルコール発酵に使用された後に回収されたアルコール産生酵母(回収酵母)であることとしてもよい。回収酵母は、例えば、アルコール飲料の製造におけるアルコール発酵に使用され、当該アルコール発酵の終了後に回収されたアルコール産生酵母である。
【0025】
また、酵母は、培養培地中で培養された酵母(培養酵母)であることとしてもよい。培養酵母は、例えば、酵母用の培養培地(例えば、YEPD培地)で培養され、アルコール飲料の製造におけるアルコール発酵には未だ使用されていないアルコール産生酵母である。培養酵母は、純粋培養により得られた酵母(例えば、アルコール産生酵母)であることとしてもよい。
【0026】
酵母と接触させる処理液は、当該酵母を分散させることのできる水溶液であれば特に限られない。処理液は、酵母が資化可能な炭素源及び窒素源を実質的に含まない水溶液であることとしてもよい。この場合、例えば、アルコール産生酵母と処理液とを混合して得られた酵母懸濁液中において、当該アルコール産生酵母は、アルコールを実質的に産生することができない。
【0027】
また、処理液は、硝酸態窒素(NO
3−)及び亜硝酸態窒素(NO
2−)の合計含有量が10mg/L以下で、全有機炭素(TOC)の含有量が3mg/L以下の水溶液であることとしてもよい。この場合もまた、アルコール産生酵母と処理液とを混合して得られた酵母懸濁液中において、当該アルコール産生酵母は、アルコールを実質的に産生することができない。なお、上述の硝酸態窒素、亜硝酸態窒素及び全有機炭素に関する条件は、日本国における水道水質基準(平成21年4月改正準拠 改訂4版 水道水質基準ガイドブック、日本環境管理学会編、平成21年5月25日発行)に準拠したものである。
【0028】
また、処理液は、水であることとしてもよい。なお、本実施形態において処理液として使用される水は、酵母が資化可能な炭素源及び窒素源を実質的に含まず、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の合計含有量が10mg/L以下であり、全有機炭素の含有量が3mg/L以下である。
【0029】
また、処理液は、酵母を洗浄するための洗浄液又は当該酵母を保存するための保存液であることとしてもよい。洗浄液及び保存液は、それぞれ回収酵母の洗浄及び保存に適した溶液であれば特に限られない。すなわち、洗浄液及び保存液は、酵母が資化可能な炭素源及び窒素源を実質的に含まない水溶液であることとしてもよい。また、洗浄液及び保存液は、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の合計含有量が10mg/L以下で、全有機炭素の含有量が3mg/L以下の水溶液であることとしてもよい。また、洗浄液及び保存液は、水であることとしてもよい。
【0030】
また、処理液は、飲料の製造に使用され得る原料液であることとしてもよい。原料液は、飲料の製造に使用され得るものであれば、特に限られない。原料液は、飲料の製造に使用され得る原料を使用して調製される。
【0031】
原料液は、例えば、植物原料液であることとしてもよい。植物原料液は、植物原料由来成分を含む原料液である。すなわち、植物原料液は、植物原料を使用して調製される。具体的に、植物原料液は、例えば、植物原料と水(好ましくは湯)とを混合し、当該植物原料に含まれる成分を抽出することにより調製される。
【0032】
植物原料は、飲料の製造に使用され得るものであれば特に限られないが、例えば、穀類(例えば、大麦、小麦、米類及びとうもろこしからなる群より選択される1種以上)、豆類及びいも類からなる群より選択される1種以上を含むこととしてもよい。これら穀類、豆類及びいも類は、発芽させたものであることとしてもよく、発芽させていないものであることとしてもよい。
【0033】
具体的に、処理液は、例えば、麦芽を含む植物原料を使用して調製された植物原料液であることとしてもよい。麦芽としては、大麦麦芽及び/又は小麦麦芽が好ましく使用される。大麦麦芽及び小麦麦芽は、それぞれ大麦及び小麦を発芽させることにより得られる。麦芽を含む植物原料は、麦芽エキスを含む植物原料であることとしてもよい。麦芽エキスは、麦芽から、糖分及び窒素分を含むエキス分を抽出することにより得られる麦芽抽出物である。麦芽エキスとしては、市販の麦芽エキスを使用することとしてもよい。また、処理液は、例えば、麦芽及びホップを含む植物原料を使用して調製された植物原料液であることとしてもよい。
【0034】
処理液のエタノール含有量は、特に限られないが、例えば、80体積%未満であることとしてもよく、5体積%未満であることとしてもよく、1体積%未満であることとしてもよく、0.05体積%未満であることとしてもよく、0.005体積%未満であることとしてもよい。処理液は、アルコール発酵を行うことなく製造されたものであることとしてもよい。
【0035】
そして、上清を取得するための酵母懸濁液は、酵母と処理液との接触により調製される。酵母と処理液とを接触させる方法は特に限られず、例えば、当該酵母と当該処理液とを混合することにより、当該酵母と当該処理液とを接触させる。
【0036】
酵母懸濁液は、例えば、生きた酵母と、当該生きた酵母が資化可能な炭素源及び窒素源を実質的に含まない水溶液である処理液との接触により調製される。また、酵母懸濁液は、例えば、生きた酵母と、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の合計含有量が10mg/L以下で、全有機炭素の含有量が3mg/L以下の水溶液である処理液との接触により調製される。また、酵母懸濁液は、例えば、生きた酵母と、水である処理液との接触により調製される。また、酵母懸濁液は、例えば、生きた酵母と、当該酵母を洗浄するための洗浄液又は当該酵母を保存するための保存液である処理液との接触により調製される。
【0037】
さらに、生きた酵母と処理液との接触において、当該生きた酵母は、生きたアルコール産生酵母であることとしてもよく、生きた回収酵母であることとしてもよく、生きた培養酵母であることとしてもよい。
【0038】
すなわち、酵母懸濁液は、例えば、生きた回収酵母と、当該回収酵母を洗浄するための洗浄液又は当該回収酵母を保存するための保存液である処理液との接触により調製される。この場合、洗浄液及び保存液は、酵母が資化可能な炭素源及び窒素源を実質的に含まない水溶液であることとしてもよく、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の合計含有量が10mg/L以下で、全有機炭素の含有量が3mg/L以下の水溶液であることとしてもよく、水であることとしてもよい。
【0039】
また、酵母懸濁液は、例えば、不活化酵母と処理液との接触により調製される。不活化酵母と処理液との接触は、例えば、予め不活化された酵母(例えば、予め死滅させられた酵母)と処理液との接触により行う。
【0040】
また、不活化酵母と処理液との接触は、例えば、生きた酵母と、当該酵母が不活化される温度(例えば、当該酵母が死滅する温度)の処理液とを混合することにより、当該酵母を不活化するとともに、当該不活化された酵母と当該処理液とを接触させることにより行う。
【0041】
酵母が不活化される温度は、当該酵母の種類によって適宜決定されるが、例えば、40℃以上であることとしてもよく、50℃以上であることとしてもよく、60℃以上であることとしてもよく、70℃以上であることとしてもよく、80℃以上であることとしてもよい。この温度が高くなるほど、酵母をより確実に不活化することができる。酵母を不活化するための温度の上限値は特に限られないが、当該温度は、例えば、120℃以下であることとしてもよい。
【0042】
なお、生きた酵母と処理液とを接触させる場合には、当該酵母が不活化されない温度(当該酵母の生存が維持される温度)の処理液を使用する。酵母が不活化されない温度は、当該酵母の種類によって適宜決定されるが、例えば、40℃未満であることとしてもよく、20℃以下であることとしてもよく、10℃以下であることとしてもよい。酵母が不活化されない温度の下限値は、特に限られないが、当該温度は、例えば、0℃以上であることとしてもよい。
【0043】
すなわち、例えば、上述した生きた回収酵母と洗浄液又は保存液である処理液との接触により酵母懸濁液が調製される場合において、当該処理液として、20℃以下の当該洗浄液又は保存液を使用することとしてもよく、10℃以下の当該洗浄液又は保存液を使用することとしてもよい。
【0044】
酵母として、不活化酵母(例えば、死酵母)又はアルコール非産生酵母を使用することにより、本方法において製造される原料液及び発泡性飲料へのアルコールの混入を確実に回避することができる。
【0045】
また、生きたアルコール産生酵母を使用する場合であっても、例えば、当該酵母が実質的にアルコールを産生しない条件で当該酵母と処理液とを接触させることにより、原料液及び発泡性飲料へのアルコールの混入を回避することができる。
【0046】
生きたアルコール産生酵母が実質的にアルコールを産生しない条件としては、例えば、当該酵母が資化可能な炭素源及び窒素源を実質的に含まない水溶液である処理液の使用、硝酸態窒素(NO
3−)及び亜硝酸態窒素(NO
2−)の合計含有量が10mg/L以下で、全有機炭素(TOC)の含有量が3mg/L以下の水溶液である処理液の使用、当該酵母が実質的にアルコールを産生することのできない低温(例えば、0℃以下)の処理液の使用、当該酵母が実質的にアルコールを産生できない短時間での接触が挙げられる。
【0047】
酵母として、生きた酵母を使用する場合には、当該生きた酵母と処理液との接触後(当該接触により得られた酵母懸濁液から上清を取得した後)に当該生きた酵母を回収することができる。この場合、例えば、処理液との接触後に回収された生きた酵母を再利用することができる。
【0048】
具体的に、本方法においては、例えば、生きた酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得し、当該上清を第一の原料液に添加して、発泡性飲料の製造に使用される第二の原料液を製造するとともに、当該酵母懸濁液から当該生きた酵母を回収して再利用することとしてもよい。
【0049】
この場合、例えば、生きた回収酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得し、当該上清を第一の原料液に添加して、発泡性飲料の製造に使用される第二の原料液を製造するとともに、当該酵母懸濁液から当該生きた回収酵母を回収し、回収された当該生きた回収酵母をアルコール発酵に使用することとしてもよい。さらに、この場合、処理液として、回収酵母を洗浄するための洗浄液又は当該回収酵母を保存するための保存液を使用することとしてもよい。
【0050】
処理液と接触させる酵母の量は、当該接触による効果が得られる範囲であれば特に限られないが、例えば、当該酵母と当該処理液との接触により調製される酵母懸濁液の上清が添加される第一の原料液に対して、0.002重量%以上(第一の原料液100重量部に対して酵母0.002重量部以上)であることとしてもよく、0.003重量%以上であることとしてもよく、0.004重量%以上であることとしてもよく、0.005重量%以上であることとしてもよく、0.01重量%以上であることとしてもよく、0.015重量%以上であることとしてもよく、0.02重量%以上であることとしてもよい。
【0051】
処理液と接触させる酵母の量の上限値は、当該接触による効果が得られる範囲であれば特に限られないが、当該酵母の量は、例えば、当該酵母と当該処理液との接触により調製される酵母懸濁液の上清が添加される第一の原料液に対して、7重量%以下であることとしてもよく、5重量%以下であることとしてもよく、3重量%以下であることとしてもよい。
【0052】
すなわち、酵母の量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて規定される範囲内であることとしてもよい。具体的に、処理液と接触させる酵母の量は、例えば、当該酵母と当該処理液との接触により調製される酵母懸濁液の上清が添加される第一の原料液に対して、0.002重量%、0.003重量%、0.004重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.015重量%及び0.02重量%のうちいずれか以上であって、且つ7重量%、5重量%及び3重量%のうちいずれか以下であることとしてもよい。すなわち、例えば、処理液と接触させる酵母の量は、当該酵母と当該処理液との接触により調製される酵母懸濁液の上清が添加される第一の原料液に対して、下限値が0.002重量%の場合には、0.002重量%以上、7重量%以下であることとしてもよく、0.002重量%以上、5重量%以下であることとしてもよく、0.002重量%以上、3重量%以下であることとしてもよく、下限値が0.015重量%の場合には、0.015重量%以上、7重量%以下であることとしてもよく、0.015重量%以上、5重量%以下であることとしてもよく、0.015重量%以上、3重量%以下であることとしてもよい。
【0053】
また、処理液と接触させる酵母の量は、例えば、当該酵母と当該処理液との接触により調製される酵母懸濁液の上清が添加される第一の原料液に対して、0.01〜7重量%(第一の原料液100重量部に対して酵母0.01〜7重量部)であることとしてもよく、0.01〜5重量%であることとしてもよく、0.01〜3重量%であることとしてもよく、0.02〜7重量%であることとしてもよく、0.02〜5重量%であることとしてもよく、0.02〜3重量%であることとしてもよく、0.03〜7重量%であることとしてもよく、0.03〜5重量%であることとしてもよく、0.03〜3重量%であることとしてもよく、0.05〜7重量%であることとしてもよく、0.05〜5重量%であることとしてもよく、0.05〜3%重量%であることとしてもよい。酵母と処理液とを接触させる時間は、当該接触による効果が得られる範囲であれば特に限られない。
【0054】
酵母と処理液との接触により得られる酵母懸濁液は、当該酵母を当該処理液中に分散することにより得られる。すなわち、酵母懸濁液は、酵母が、処理液を含む溶媒中に分散された溶液である。本方法において第一の原料液に添加される上清は、この酵母懸濁液から取得される。酵母懸濁液の上清は、当該酵母懸濁液に含まれる酵母と分離された、当該酵母懸濁液の液性成分である。
【0055】
酵母懸濁液の上清を取得する方法は特に限られない。すなわち、例えば、当該酵母懸濁液中で酵母を沈降させ、当該沈降した酵母と分離された上清を取得することとしてもよい。酵母懸濁液中で酵母を沈降させる方法としては、例えば、当該酵母懸濁液を静置する方法や、当該酵母懸濁液を遠心する方法が使用される。また、例えば、酵母懸濁液を、酵母が通過しないフィルターでろ過することにより、当該酵母と分離された上清を取得することとしてもよい。
【0056】
上清のエタノール含有量は、特に限られないが、例えば、80体積%未満であることとしてもよく、5体積%未満であることとしてもよく、1体積%未満であることとしてもよく、0.05体積%未満であることとしてもよく、0.005体積%未満であることとしてもよい。上清は、アルコール発酵を行うことなく取得されたものであることとしてもよい。
【0057】
なお、本方法において、回収酵母と、当該回収酵母を洗浄するための洗浄液又は当該回収酵母を保存するための保存液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得する場合、従来の回収酵母の洗浄又は保存において廃棄されていた排液に相当する当該上清を有効に利用することとなる。
【0058】
すなわち、この場合、本方法においては、回収酵母を洗浄液により洗浄することにより取得される上清、又は当該回収酵母を保存液中で保存した後に当該回収酵母を再回収することにより取得される上清を使用する。
【0059】
具体的に、例えば、回収酵母と洗浄液とを混合することにより当該回収酵母と当該洗浄液とを接触させ、得られた酵母懸濁液中で当該回収酵母を沈降させるとともに当該酵母懸濁液の上清を除去し、当該沈降した回収酵母と新たな洗浄液を混合することを含む操作(洗浄操作)において取得される当該上清を使用する。
【0060】
また、例えば、回収酵母(例えば、上述のようにして洗浄液を使用して洗浄された後の回収酵母)と保存液とを混合することにより当該回収酵母と当該保存液とを接触させ、得られた酵母懸濁液を保存し(例えば、当該酵母懸濁液を保存用タンクで保存する)、保存された当該酵母懸濁液中で当該回収酵母を沈降させるとともに当該酵母懸濁液の上清を除去し、当該沈降した回収酵母を回収することを含む操作(保存後の再回収操作)において取得される当該上清を使用する。
【0061】
次に、上述のようにして取得された上清を、第一の原料液に添加する。すなわち、上述のように第一の原料液とは独立して得られた酵母懸濁液の上清を、当該第一の原料液に添加する。
【0062】
第一の原料液は、発泡性飲料の製造に使用される原料液であれば、特に限られない。第一の原料液は、発泡性飲料の製造に使用される原料を使用して調製される。
【0063】
第一の原料液は、例えば、植物原料液であることとしてもよい。植物原料液は、植物原料由来成分を含む原料液である。すなわち、植物原料液は、植物原料を使用して調製される。具体的に、植物原料液は、例えば、植物原料と水(好ましくは湯)とを混合し、当該植物原料に含まれる成分を抽出することにより調製される。
【0064】
植物原料は、発泡性飲料の製造に使用されるものであれば特に限られないが、例えば、穀類(例えば、大麦、小麦、米類及びとうもろこしからなる群より選択される1種以上)、豆類及びいも類からなる群より選択される1種以上を含むこととしてもよい。これら穀類、豆類及びいも類は、発芽させたものであることとしてもよく、発芽させていないものであることとしてもよい。
【0065】
具体的に、第一の原料液は、例えば、麦芽を含む植物原料を使用して調製された植物原料液であることとしてもよい。麦芽としては、大麦麦芽及び/又は小麦麦芽が好ましく使用される。大麦麦芽及び小麦麦芽は、それぞれ大麦及び小麦を発芽させることにより得られる。麦芽を含む植物原料は、麦芽エキスを含む植物原料であることとしてもよい。麦芽エキスは、麦芽から、糖分及び窒素分を含むエキス分を抽出することにより得られる麦芽抽出物である。麦芽エキスとしては、市販の麦芽エキスを使用することとしてもよい。
【0066】
また、植物原料液は、麦芽を含む植物原料を使用し、糖化を行うことにより調製されることとしてもよい。この場合、植物原料液は、麦芽と水(好ましくは湯)とを混合し、得られた混合液の糖化を行うことにより調製される。糖化は、例えば、麦芽及び水を含む混合液を、当該麦芽に含まれる消化酵素(例えば、デンプン分解酵素、タンパク質分解酵素)が働く温度(例えば、30〜80℃)に維持することにより行う。
【0067】
また、第一の原料液は、上述した穀類、豆類及びいも類からなる群より選択される1種以上と、ホップとを含む植物原料を使用して調製された植物原料液であることとしてもよい。この場合、第一の原料液は、例えば、麦芽及びホップを含む植物原料を使用して調製された植物原料液である。具体的に、この場合、植物原料液は、例えば、麦芽と水(好ましくは湯)とを混合し、得られた混合液にホップを添加し、煮沸することにより調製される。また、ホップの添加前に糖化を行うこととしてもよい。
【0068】
第一の原料液のエタノール含有量は、例えば、5体積%未満であることとしてもよく、1体積%未満であることとしてもよく、0.05体積%未満であることとしてもよく、0.005体積%未満であることとしてもよい。第一の原料液は、アルコール発酵を行うことなく製造されたものであることとしてもよい。
【0069】
第一の原料液への上清の添加は、当該第一の原料液と当該上清とを混合することにより行う。第一の原料液に添加される上清は、上述のようにして酵母懸濁液から取得された上清そのものであることとしてもよいし、当該酵母懸濁液から取得された上清に所定の処理を施すことにより調製された組成物であることとしてもよい。
【0070】
すなわち、第一の原料液に添加される上清は、例えば、酵母懸濁液から取得された上清に、濃縮、希釈及び乾燥(例えば、凍結乾燥)からなる群より選択される1種以上の処理を施すことにより調製された組成物であることとしてもよい。
【0071】
ここで、第一の原料液への上清の添加は、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液から取得された上清を含む添加剤を当該第一の原料液に添加することにより行うこととしてもよい。すなわち、この添加剤は、発泡性飲料の製造に使用される原料液に添加される添加剤である。
【0072】
そして、この添加剤は、例えば、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を含む当該添加剤を製造することを含む方法により製造される。この添加剤の製造方法は、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得すること、及び当該上清を含む当該添加剤を製造することを含むこととしてもよい。
【0073】
添加剤は、酵母懸濁液から取得された上清そのものであることとしてもよく、当該上清に濃縮、希釈及び乾燥(例えば、凍結乾燥)からなる群より選択される1種以上の処理を施すことにより調製された組成物であることとしてもよく、当該上清に他の成分(例えば、賦型剤)を添加して調製された組成物であることとしてもよい。添加剤の形態は特に限られず、例えば、液状、ペースト状又は固体(例えば、粉末、ペレット、錠剤)であることとしてもよい。
【0074】
そして、本方法においては、上述のようにして酵母懸濁液の上清を第一の原料液に添加することにより、発泡性飲料の製造に使用される第二の原料液を製造する。すなわち、こうして得られる第二の原料液は、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を、第一の原料液に添加することを含む方法により製造される、発泡性飲料の製造に使用される原料液である。
【0075】
第二の原料液は、第一の原料液に比べて、発泡性飲料の泡特性を向上させる。すなわち、第二の原料液は、発泡性飲料の製造に使用されることにより、当該発泡性飲料の泡特性を、当該第二の原料液に代えて第一の原料液を使用して製造された発泡性飲料のそれに比べて向上させる。発泡性飲料の泡特性の向上については後述する。
【0076】
第二の原料液のエタノール含有量は、例えば、5体積%未満であることとしてもよく、1体積%未満であることとしてもよく、0.05体積%未満であることとしてもよく、0.005体積%未満であることとしてもよい。第二の原料液は、アルコール発酵を行うことなく製造されたものであることとしてもよい。
【0077】
本方法は、上述のとおり、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を、第一の原料液に添加して、発泡性飲料の製造に使用される第二の原料液を製造することを含む方法であれば特に限られない。すなわち、本方法は、
図1の例に示されている操作の一部を含まないこととしてもよい。
【0078】
具体的に、本方法は、例えば、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得すること、及び当該上清を第一の原料液に添加して第二の原料液を製造することを含む方法であることとしてもよいし、当該上清を取得することを含まない方法であることとしてもよい。後者の場合、予め取得された上清を使用する。
【0079】
また、本方法は、例えば、酵母と処理液とを接触させて酵母懸濁液を得ること、当該酵母懸濁液から上清を取得すること、及び当該上清を第一の原料液に添加して第二の原料液を製造することを含む方法であることとしてもよいし、当該酵母懸濁液を調製することを含まず、当該酵母懸濁液から上清を取得することを含む方法であることとしてもよい。後者の場合、予め調製された酵母懸濁液を使用する。
【0080】
また、本方法は、第二の原料液を使用して発泡性飲料を製造することを含まないこととしてもよい。この場合、本方法は、例えば、発泡性飲料の製造に使用される原料液を製造する方法である。なお、後述する第二の原料液を使用して発泡性飲料を製造することを含む本方法もまた、当該第二の原料液を製造することを含むため、当該発泡性飲料の製造に使用される原料液を製造する方法であるといえる。
【0081】
また、本方法においては、アルコール発酵を行わないこととしてもよい。すなわち、本方法は、アルコール発酵を行うことなく、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を、第一の原料液に添加して、発泡性飲料の製造に使用される第二の原料液を製造することを含む方法である。
【0082】
また、本方法においては、処理液、酵母懸濁液、当該酵母懸濁液の上清、第一の原料液及び第二の原料液の全てがアルコール発酵を行うことなく調製されたものであることとしてもよい。
【0083】
また、本方法においては、処理液、酵母懸濁液、当該酵母懸濁液の上清、第一の原料液及び第二の原料液の各々のエタノール含有量が、5体積%未満であることとしてもよく、1体積%未満であることとしてもよく、0.5体積%未満であることとしてもよく、0.05体積%未満であることとしてもよく、0.005体積%未満であることとしてもよい。
【0084】
すなわち、例えば、処理液、酵母懸濁液、当該酵母懸濁液の上清及び第一の原料液の各々のエタノール含有量が5体積%未満であり、第二の原料液のエタノール含有量が1体積%未満であることとしてもよい。また、この場合、処理液、酵母懸濁液及び当該酵母懸濁液の上清の各々のエタノール含有量が5体積%未満であり、第一の原料液及び第二の原料液の各々のエタノール含有量が1体積%未満であることとしてもよい。さらに、この場合、酵母懸濁液及び当該酵母懸濁液の上清の各々のエタノール含有量が5体積%未満であり、処理液、第一の原料液及び第二の原料液の各々のエタノール含有量が1体積%未満であることとしてもよい。そして、処理液、酵母懸濁液、当該酵母懸濁液の上清、第一の原料液及び第二の原料液の各々のエタノール含有量が1体積%未満であることとしてもよい。
【0085】
また、処理液、酵母懸濁液、及び当該酵母懸濁液の上清のエタノール含有量にかかわらず、第一の原料液のエタノール含有量が5体積%未満であり、第二の原料液のエタノール含有量が1体積%未満であることとしてもよい。この場合、第一の原料液のエタノール含有量もまた、1体積%未満であることとしてもよい。これらの場合、処理液、酵母懸濁液、及び当該酵母懸濁液の上清のエタノール含有量は、80体積%未満であることとしてもよい。
【0086】
本方法は、第二の原料液を使用して、発泡性飲料を製造することをさらに含むこととしてもよい。すなわち、この場合、本方法は、発泡性飲料を製造する方法である。具体的に、本方法は、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を、第一の原料液に添加して、第二の原料液を製造すること、及び当該第二の原料液を使用して、発泡性飲料を製造することを含む方法である。
【0087】
ここで、発泡性飲料は、泡立ち特性及び泡持ち特性を含む泡特性を有する飲料である。すなわち、発泡性飲料は、例えば、炭酸ガスを含有する飲料であって、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有する飲料である。
【0088】
なお、飲料に発泡性を付与する方法は、特に限られず、発泡性飲料は、例えば、アルコール発酵を行うこと、炭酸水の使用、及び炭酸ガスの吹き込みからなる群より選択される1種以上の方法により発泡性が付与された飲料であることとしてもよい。
【0089】
発泡性飲料は、例えば、発泡性ノンアルコール飲料であることとしてもよい。発泡性ノンアルコール飲料は、エタノールの含有量が1体積%未満の発泡性飲料である。発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、1体積%未満であれば特に限られないが、例えば、0.5体積%未満であることとしてもよく、0.05体積%未満であることとしてもよく、0.005体積%未満であることとしてもよい。
【0090】
また、発泡性飲料は、例えば、発泡性アルコール飲料であることとしてもよい。発泡性アルコール飲料は、エタノールの含有量が1体積%以上(アルコール分1度以上)の発泡性飲料である。発泡性アルコール飲料のエタノール含有量は、1体積%以上であれば特に限られないが、例えば、1〜20体積%であることとしてもよい。
【0091】
本方法においては、第二の原料液を使用して、アルコール発酵を行うことなく発泡性飲料を製造することとしてもよい。すなわち、本方法においては、その全工程を通じて、アルコール発酵を行わないこととしてもよい。
【0092】
この場合、本方法は、アルコール発酵を行うことなく、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を、第一の原料液に添加して、第二の原料液を製造すること、及び当該第二の原料液を使用して、発泡性飲料を製造することを含む方法である。
【0093】
また、本方法においては、処理液、酵母懸濁液、当該酵母懸濁液の上清、第一の原料液、第二の原料液及び発泡性飲料の全てがアルコール発酵を行うことなく調製されたものであることとしてもよい。
【0094】
また、本方法においては、エタノール含有量が5体積%未満である処理液、酵母懸濁液、当該酵母懸濁液の上清及び第一の原料液と、エタノール含有量が1体積%未満である第二の原料液とを使用して、エタノール含有量が1体積%未満の発泡性ノンアルコール飲料を製造することとしてもよい。また、この場合、エタノール含有量が5体積%未満である処理液、酵母懸濁液及び当該酵母懸濁液の上清と、エタノール含有量が1体積%未満である第一の原料液及び第二の原料液とを使用して、エタノール含有量が1体積%未満の発泡性ノンアルコール飲料を製造することとしてもよい。さらに、この場合、エタノール含有量が5体積%未満である酵母懸濁液及び当該酵母懸濁液の上清と、エタノール含有量が1体積%未満である処理液、第一の原料液及び第二の原料液とを使用して、エタノール含有量が1体積%未満の発泡性ノンアルコール飲料を製造することとしてもよい。また、これらの場合、製造される発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、0.5体積%未満であることとしてもよく、0.05体積%未満であることとしてもよく、0.005体積%未満であることとしてもよい。
【0095】
また、本方法においては、エタノール含有量が1体積%未満である処理液、酵母懸濁液、当該酵母懸濁液の上清、第一の原料液及び第二の原料液を使用して、エタノール含有量が1体積%未満の発泡性ノンアルコール飲料を製造することとしてもよい。この場合、処理液、酵母懸濁液、当該酵母懸濁液の上清、第一の原料液、第二の原料液及び発泡性ノンアルコール飲料の各々のエタノール含有量が、0.5体積%未満であることとしてもよく、0.05体積%未満であることとしてもよく、0.005体積%未満であることとしてもよい。
【0096】
また、本方法においては、処理液、酵母懸濁液、及び当該酵母懸濁液の上清のエタノール含有量にかかわらず、エタノール含有量が5体積%未満の第一の原料液、及びエタノール含有量が1体積%未満の第二の原料液を使用して、エタノール含有量が1体積%未満の発泡性ノンアルコール飲料を製造することとしてもよい。この場合、第一の原料液のエタノール含有量もまた、1体積%未満であることとしてもよい。また、これらの場合、処理液、酵母懸濁液、及び当該酵母懸濁液の上清のエタノール含有量は、80体積%未満であることとしてもよい。さらに、これらの場合、製造される発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、0.5体積%未満であることとしてもよく、0.05体積%未満であることとしてもよく、0.005体積%未満であることとしてもよい。
【0097】
本方法において発泡性ノンアルコール飲料を製造する場合、例えば、回収酵母と、当該回収酵母を洗浄するための洗浄液又は当該回収酵母を保存するための保存液である処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を、第一の原料液に添加して第二の原料液を製造し、当該第二の原料液を使用して、当該発泡性ノンアルコール飲料を製造することとしてもよい。
【0098】
本方法においては、例えば、第二の原料液と他の原料とを混合することにより発泡性飲料を製造することとしてもよい。この場合、第二の原料液と他の原料とを混合することにより、アルコール発酵を行うことなく発泡性飲料を製造することとしてもよい。なお、他の原料としては、例えば、糖類、食物繊維、酸味料、色素、香料、甘味料及び苦味料からなる群より選択される1種以上を使用することとしてもよい。これらの場合、第二の原料液と他の原料とを混合することにより発泡性ノンアルコール飲料を製造することとしてもよい。
【0099】
また、例えば、第二の原料液を使用して、アルコール発酵を行って発泡性飲料を製造することとしてもよい。すなわち、この場合、第二の原料液に酵母を添加してアルコール発酵を行い、発泡性飲料を製造する。第二の原料液を使用したアルコール発酵に使用される酵母は、アルコール産生酵母であれば特に限られない。これらの場合、第二の原料液を使用して、アルコール発酵を行って、発泡性アルコール飲料を製造することとしてもよい。なお、アルコール発酵の条件は特に限られないが、例えば、第二の原料液に酵母を添加して調製された発酵液のエタノール含有量が5体積%未満となるように行うこととしてもよく、3体積%以下となるように行うこととしてもよい。
【0100】
また、本方法において発泡性アルコール飲料を製造する場合、上述のようにアルコール発酵を行うこととしてもよいが、これに限られない。すなわち、例えば、アルコール発酵を行うことなく、第二の原料液と、エタノール又はエタノールを含有する水溶液とを混合することにより、発泡性アルコール飲料を製造することとしてもよい。
【0101】
本実施形態に係る発泡性飲料は、上述のとおり、原料液を使用して製造される発泡性飲料であって、当該原料液として、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を第一の原料液に添加して調製された第二の原料液を使用して製造される。
【0102】
そして、第二の原料液を使用して製造された発泡性飲料の泡特性は、当該第二の原料液に代えて第一の原料液を使用して製造された発泡性飲料のそれに比べて向上している。すなわち、本方法は、第二の原料液を使用することにより、当該第二の原料液に代えて第一の原料液を使用する以外は同一の条件で製造された発泡性飲料に比べて泡特性が向上した発泡性飲料を製造する方法である。
【0103】
ここで、発泡性飲料の泡特性の向上は、泡立ち特性及び/又は泡持ち特性の向上である。この点、例えば、発泡性飲料の泡持ち特性の向上は、当該発泡性飲料においていったん形成された泡が保たれる時間が長くなることを意味する。具体的に、発泡性飲料の泡持ち特性の向上は、例えば、当該発泡性飲料のNIBEM値の増加により確認される。
【0104】
したがって、第二の原料液を使用して製造された発泡性飲料のNIBEM値は、当該第二の原料液に代えて第一の原料液を使用して製造された発泡性飲料のそれよりも大きくなる。すなわち、本方法は、第二の原料液を使用することにより、当該第二の原料液に代えて当該第一の原料液を使用して製造された発泡性飲料よりNIBEM値が大きい発泡性飲料を製造する方法であることとしてもよい。
【0105】
なお、NIBEM値は、ビール等の発泡性アルコール飲料の泡持ち特性を示す指標値として使用されている。NIBEM値は、発泡性飲料を所定の容器に注いだ際に形成された泡の高さが所定量減少するまでの時間(秒)として評価される。NIBEM値が大きいほど、発泡性飲料の泡持ち特性が優れていることになる。ただし、発泡性飲料の泡持ち特性の向上は、NIBEM値以外の指標により確認することもできる。すなわち、発泡性飲料の泡持ち特性は、例えば、Σ法及びRudin法等の公知の方法により評価することとしてもよい。
【0106】
また、本方法は、原料液を使用して製造される発泡性飲料の泡特性を向上させる方法であって、当該原料液として、酵母と処理液との接触により得られた酵母懸濁液の上清を第一の原料液に添加して調製された第二の原料液を使用することにより、当該発泡性飲料の泡特性を、当該第二の原料液に代えて当該第一の原料液を使用して製造された発泡性飲料に比べて向上させる方法であることとしてもよい。
【0107】
この場合、本方法においては、原料液として第二の原料液を使用することにより、発泡性飲料のNIBEM値を、当該第二の原料液に代えて当該第一の原料液を使用して製造された発泡性飲料のそれより増加させることとしてもよい。また、これらの場合、発泡性飲料は、発泡性ノンアルコール飲料であることとしてもよい。
【0108】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0109】
[酵母懸濁液の上清の取得]
回収酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。なお、処理液として使用した水は、回収酵母が資化可能な炭素源及び窒素源を実質的に含まず、その硝酸態窒素(NO
3−)及び亜硝酸態窒素(NO
2−)の合計含有量は10mg/L以下であり、その全有機炭素(TOC)の含有量は3mg/L以下であり、エタノールを含まない(エタノール含有量は少なくとも0.005体積%未満)ものであった。以下の説明において、この水を単に「水」という。
【0110】
回収酵母としては、発泡性アルコール飲料の製造におけるアルコール発酵に使用され、当該アルコール発酵の終了後に回収され、回収された後に洗浄液としての水で洗浄され、洗浄後に保存液としての水と混合されて保存タンク内で保存されていた生きたビール酵母を使用した。
【0111】
保存タンクから回収された酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、上清を捨てた。沈殿した生きた回収酵母2.0gに処理液としての水20mLを加えることにより、当該回収酵母と当該水とを接触させて酵母懸濁液を調製した。
【0112】
ここで、第一の例では、生きた回収酵母と、加熱されていない室温(約20℃)の水とを混合して得られた酵母懸濁液を、当該室温で10分維持することにより、当該生きた回収酵母と水とを接触させた。
【0113】
一方、第二の例では、生きた回収酵母と40℃の水とを混合し、当該回収酵母を含む酵母懸濁液を40℃で10分維持することにより、当該回収酵母と水とを接触させた。
【0114】
また、第三の例では、生きた回収酵母と80℃の水とを混合することにより、当該回収酵母を死滅させるとともに、死んだ回収酵母を含む酵母懸濁液を80℃で10分維持することにより、当該死んだ回収酵母と水とを接触させた。
【0115】
その後、各例において、酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清20mLを取得した。
【0116】
[原料液の製造]
上述のようにして取得した上清を第一の植物原料液に添加して、第二の植物原料液を製造した。植物原料液としては、麦芽及びホップを含む原料を使用して調製された植物原料液を使用した。
【0117】
具体的に、まず、麦芽及びホップを使用して第一の植物原料液を調製した。すなわち、粉砕した大麦麦芽に50℃の湯を加え、得られた混合液を65℃で維持することにより、糖化を行った。次いで、糖化後の混合液から大麦麦芽の穀皮を除去した。その後、混合液にホップを添加して煮沸を行った。煮沸後の混合液を第一の植物原料液として得た。
【0118】
そして、第一の植物原料液2.0Lに、上述のようにして取得した上清20mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。すなわち、この第二の植物原料液は、第一の植物原料液2.0Lに対して回収酵母を2.0g使用して(酵母の使用率は0.1重量%)調製された。
【0119】
また、比較例として、第一の植物原料液2.0Lに、水20mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。なお、第一の植物原料液及び第二の植物原料液のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0120】
[発泡性飲料の製造]
第二の植物原料液を使用して、発泡性ノンアルコール飲料を製造した。すなわち、上述のようにして製造された各例に係る第二の原料液と、二酸化炭素ガスとを接触させること(いわゆるガス付け(carbonation))により発泡性を付与し、発泡性ノンアルコール飲料を製造した。各例において製造された発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0121】
[評価]
上述のようにして製造された発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値及び苦味価(BU)を測定した。
図2Aには、第一の例(回収酵母/水(20℃)/上清)、第二の例(回収酵母/水(40℃)/上清)、第三の例(回収酵母/水(80℃)/上清)及び比較例(水)のそれぞれについて、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値(秒)を測定した結果を示す。
【0122】
図2Aに示すように、第一の例、第二の例及び第三の例で製造された発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値は、比較例で製造された発泡性アルコール飲料のそれに比べて顕著に大きかった。また、生きた酵母及び死んだ酵母のいずれを使用しても上清の使用によるNIBEM値の顕著な増加効果が得られることが確認された。
【0123】
図2Bには、第一の例、第二の例、第三の例及び比較例のそれぞれについて、発泡性ノンアルコール飲料のBUを測定した結果を示す。
図2Bに示すように、第一の例〜第三の例で製造された発泡性ノンアルコール飲料のBUは、比較例で製造された発泡性アルコール飲料のそれと同等であった。
【0124】
したがって、第一の例、第二の例及び第三の例で製造された発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値が、比較例で製造された発泡性アルコール飲料のそれに比べて顕著に増加したという効果は、ビールにおいてNIBEM値を増加させる成分として知られているホップ由来の苦味成分(例えば、イソα酸)によるものではないと考えられた。
【実施例2】
【0125】
[酵母懸濁液の上清の取得]
第一の例では、生きた回収酵母と、洗浄液又は保存液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。すなわち、上述の実施例1と同様に、生きた回収酵母と水とを混合することにより調製され保存タンク内において0℃で保存されていた細胞懸濁液を、当該保存タンクから回収し、当該生きた回収酵母1.5gを含む当該酵母懸濁液約15mLを遠心して(5000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。
【0126】
一方、第二の例では、上述の実施例1の第一の例と同様に、保存タンクから回収された酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、その上清を捨て、沈殿した回収酵母1.5gと、水15mLとを混合して酵母懸濁液を調製し、当該酵母懸濁液を室温で10分維持することにより、当該生きた回収酵母と水とを接触させ、その後、当該酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。
【0127】
第三の例では、上述の第二の例と同様に取得した上清15mLを凍結乾燥することにより、粉末状の上清組成物を取得した。
【0128】
[原料液の製造]
上述の実施例1と同様に、上述のようにして取得した上清を第一の植物原料液に添加して、第二の植物原料液を製造した。具体的に、上述の実施例1と同様に麦芽及びホップを含む原料を使用して調製された第一の植物原料液1.5Lに、上述の各例で取得した上清15mL(第三の例については、具体的には、上清15mLを凍結乾燥することにより得られた組成物)を添加することにより、第二の植物原料液を製造した。すなわち、第二の植物原料液は、第一の植物原料液1.5Lに対して回収酵母を1.5g使用して(酵母の使用率は0.1重量%)調製された。
【0129】
また、比較例として、第一の植物原料液1.5Lに、水15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。なお、各例における第一の植物原料液及び第二の植物原料液のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0130】
[発泡性飲料の製造]
上述の実施例1と同様に、第二の植物原料液を使用して、発泡性ノンアルコール飲料を製造した。各例において製造された発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0131】
[評価]
上述の実施例1と同様に、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値及び苦味価(BU)を測定した。
図3Aには、第一の例(回収酵母/上清)、第二の例(回収酵母/水/上清)、第三の例(回収酵母/水/上清(凍結乾燥))及び比較例(水)のそれぞれについて、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値(秒)を測定した結果を示す。
【0132】
図3Aに示すように、第一の例、第二の例及び第三の例で製造された発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値は、比較例で製造された発泡性アルコール飲料のそれに比べて顕著に大きかった。
【0133】
また、処理液として保存液を使用した場合(第一の例)、及び凍結乾燥させた上清を使用した場合(第三の例)のいずれにおいてもNIBEM値の顕著な増加効果が得られることが確認された。
【0134】
図3Bには、第一の例、第二の例、第三の例及び比較例のそれぞれについて、発泡性ノンアルコール飲料のBUを測定した結果を示す。
図3Bに示すように、第一の例、第二の例及び第三の例で製造された発泡性ノンアルコール飲料のBUは、比較例で製造された発泡性アルコール飲料のそれと同等であった。
【0135】
したがって、上述の実施例1と同様、第一の例、第二の例及び第三の例におけるNIBEM値の増加効果は、ホップ由来の苦味成分によるものではないと考えられた。
【実施例3】
【0136】
[酵母懸濁液の上清の取得]
上述の実施例1の第一の例と同様に、生きた回収酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。すなわち、第一の例では、上述の実施例1の第一の例と同様に、生きた回収酵母1.5gと、水15mLとを混合して得られた酵母懸濁液を、室温で10分維持することにより、当該生きた回収酵母と水とを接触させ、その後、当該酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。
【0137】
一方、第二の例では、酵母の使用率(重量%)を第一の例の10倍に増加させ、生きた回収酵母15gと、水15mLとを混合して得られた酵母懸濁液を、室温で10分維持することにより、当該生きた回収酵母と水とを接触させ、その後、当該酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。
【0138】
[原料液の製造]
上述の実施例1と同様に、上述のようにして取得した上清を第一の植物原料液に添加して、第二の植物原料液を製造した。具体的に、上述の実施例1と同様に麦芽及びホップを含む原料を使用して調製された第一の植物原料液1.5Lに、上述の各例で取得した上清15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。
【0139】
すなわち、第一の例において、第二の植物原料液は、第一の植物原料液1.5Lに対して回収酵母を1.5g使用して(酵母の使用率は0.1重量%)調製された。一方、第二の例において、第二の植物原料液は、第一の植物原料液1.5Lに対して回収酵母を15g使用して(酵母の使用率は1.0重量%)調製された。
【0140】
また、比較例として、第一の植物原料液1.5Lに、水15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。なお、各例における第一の植物原料液及び第二の植物原料液のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0141】
[発泡性飲料の製造]
上述の実施例1と同様に、第二の植物原料液を使用して、発泡性ノンアルコール飲料を製造した。各例において製造された発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0142】
[評価]
上述の実施例1と同様に、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値を測定した。
図4には、酵母使用率(重量%)と、NIBEM値(秒)の測定結果との相関関係を示す。
【0143】
図4に示すように、酵母の使用率が0.1重量%であった第一の例及び酵母の使用率が1.0重量%であった第二の例で製造された発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値は、酵母の使用率が0重量%であった(上清を使用しなかった)比較例で製造された発泡性ノンアルコール飲料のそれに比べて、顕著に大きかった。
【0144】
また、第一の例のNIBEM値は、第二の例のそれと同等であった。すなわち、0.1重量%以上の酵母使用率によって、NIBEM値の十分な増加効果が得られることが確認された。
【実施例4】
【0145】
[酵母懸濁液の上清の取得]
第一の例及び第二の例では、生きた回収酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。すなわち、第一の例では、上述の実施例1の第一の例と同様に、生きた回収酵母1.5gと、水15mLとを混合して得られた酵母懸濁液を、室温で10分維持することにより、当該生きた回収酵母と水とを接触させ、その後、当該酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。
【0146】
また、第二の例では、ホップ由来成分を除去するために重曹による洗浄処理が施された生きた回収酵母を使用した。すなわち、まず、上述の実施例1と同様に、保存タンクから回収された酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、上清を捨てた。
【0147】
次いで、沈殿した生きた回収酵母に、1%重曹水溶液を加えて酵母懸濁液を調製し、当該酵母懸濁液を室温で1〜2分維持した後に、当該酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、上清を捨てるという洗浄操作を3回繰り返した。なお、この重曹による洗浄操作は、ビールの製造におけるアルコール発酵で使用された回収酵母から、当該回収酵母の表面に吸着したホップ由来成分を除去する操作として知られている。
【0148】
その後、上述の実施例1の第一の例と同様に、洗浄後の生きた回収酵母1.5gと、水15mLとを混合して得られた酵母懸濁液を、室温で10分維持することにより、当該生きた回収酵母と水とを接触させ、その後、当該酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。
【0149】
第三の例〜第六の例では、互いに組成の異なる培養液を使用した純粋培養により増殖させた生きた培養酵母(ビール酵母)と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。
【0150】
すなわち、第三の例では、麦芽及びホップを含む植物原料を使用して調製された植物原料液中で増殖させた生きた培養酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。
【0151】
具体的に、まず、上述の実施例1における第一の原料液と同様に麦芽及びホップを使用して、培養液としての植物原料液を調製した。次いで、この植物原料液中で酵母を培養することにより、当該植物原料液中で当該酵母を増殖させ、当該増殖した酵母を含む酵母懸濁液(当該酵母が分散された植物原料液)を調製した。さらに、この酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、上清を捨てた。そして、沈殿した生きた培養酵母1.5gと、処理液としての水15mLとを混合して酵母懸濁液を調製した。
【0152】
さらに、この酵母懸濁液を室温で10分維持することにより、生きた培養酵母と水とを接触させた。その後、酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。
【0153】
第四の例では、麦芽を含む植物原料を使用して調製された植物原料液中で増殖させた生きた培養酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。
【0154】
具体的に、まず、麦芽を使用して植物原料液を調製した。すなわち、粉砕した大麦麦芽に50℃の湯を加え、得られた混合液を65℃で維持することにより、糖化を行った。次いで、糖化後の混合液から大麦麦芽の穀皮を除去することにより、培養液としての植物原料液を得た。
【0155】
次いで、上述のようにして麦芽を使用しホップを使用することなく調製された植物原料液中で酵母を培養することにより、当該植物原料液中で当該酵母を増殖させ、当該増殖した酵母を含む酵母懸濁液(当該酵母が分散された植物原料液)を調製した。さらに、この酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、上清を捨てた。そして、沈殿した生きた培養酵母1.5gと、処理液としての水15mLとを混合して酵母懸濁液を調製した。
【0156】
さらに、この酵母懸濁液を室温で10分維持することにより、生きた培養酵母と水とを接触させた。その後、酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。
【0157】
第五の例では、YEPD培地中で増殖させた生きた培養酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。すなわち、培養液として、植物原料液に代えてYEPD培地を使用したこと以外は上述の第四の例と同様にして、生きた培養酵母と水とを接触させ、酵母懸濁液の上清を取得した。
【0158】
なお、YEPD培地は、水1Lに、酵母エキス(Bacto
TM Yeast Extract、Becton, Dickinson and Company)5gと、ペプトン(Bacto
TM Peptone、Becton, Dickinson and Company)10gと、グルコース(特級、WAKO)10gとを加え、オートクレーブ(121℃、20分)することにより調製した。
【0159】
第六の例では、SD培地中で増殖させた生きた培養酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。すなわち、培養液として、植物原料液に代えて、グルコース及びアミノ酸を含むSD培地を使用したこと以外は上述の第四の例と同様にして、生きた培養酵母と水とを接触させ、酵母懸濁液の上清を取得した。
【0160】
第七の例では、酵母として、不活化酵母(より具体的には、死酵母)の一種である乾燥酵母を使用した。なお、この乾燥酵母は、生きたビール酵母を熱処理により不活化し(死滅させ)乾燥させて調製されたものであった。
【0161】
すなわち、第七の例では、不活化酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。具体的に、酵母として、生きた回収酵母に代えて乾燥酵母を使用したこと以外は上述した第一の例と同様にして、当該乾燥酵母と水とを接触させ、酵母懸濁液の上清を取得した。
【0162】
[原料液の製造]
上述の実施例1と同様に、上述のようにして取得した上清を第一の植物原料液に添加して、第二の植物原料液を製造した。具体的に、上述の実施例1と同様に麦芽及びホップを含む原料を使用して調製された第一の植物原料液1.5Lに、上述の各例で取得した上清15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。すなわち、第二の植物原料液は、第一の植物原料液1.5Lに対して回収酵母を1.5g使用して(酵母の使用率は0.1重量%)調製された。
【0163】
また、第一の比較例として、第一の植物原料液1.5Lに、水15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。第二の比較例として、第一の植物原料液1.5Lに、酵母エキス1.5gと水とを混合することにより調製された水溶液15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。第三の比較例として、第一の植物原料液1.5Lに、ペプトン1.5gと水とを混合することにより調製された水溶液15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。なお、各例において、第一の植物原料液及び第二の植物原料液のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0164】
[発泡性飲料の製造]
上述の実施例1と同様に、第二の植物原料液を使用して、発泡性ノンアルコール飲料を製造した。各例において製造された発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0165】
[評価]
上述の実施例1と同様に、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値を測定した。
図5には、第一の例(回収酵母/水/上清)、第二の例(回収酵母(重曹洗浄)/水/上清)、第三の例(原料液(麦芽及びホップ)−培養酵母/水/上清)、第四の例(原料液(麦芽)−培養酵母/水/上清)、第五の例(YEPD培地−培養酵母/水/上清)、第六の例(SD培地−培養酵母/水/上清)、第七の例(乾燥酵母/水/上清)、第一の比較例(水)、第二の比較例(水+酵母エキス)及び第三の比較例(水+ペプトン)のそれぞれについて、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値(秒)を測定した結果を示す。
【0166】
図5に示すように、第一の例〜第七の例で製造された発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値は、第一の比較例〜第三の比較例で製造された発泡性アルコール飲料のそれに比べて顕著に大きかった。
【0167】
また、酵母として、生きた回収酵母を使用した場合(第一の例、第二の例)、生きた培養酵母を使用した場合(第三の例〜第六の例)及び不活化酵母を使用した場合(第七の例)のいずれにおいても、上清の使用によるNIBEM値の顕著な増加効果が得られることが確認された。
【0168】
また、培養液として、植物原料液を使用した場合(第三の例、第四の例)、培養培地を使用した場合(第五の例、第六の例)のいずれにおいても、上清の使用によるNIBEM値の顕著な増加効果が得られることが確認された。
【0169】
また、上清の使用によるNIBEM値の顕著な増加効果は、麦芽に由来する成分、ホップに由来する成分、培養培地に由来する成分のいずれによるものでもないと考えられた。
【実施例5】
【0170】
[酵母懸濁液の上清の取得]
第一の例〜第五の例では、生きた回収酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得し、当該上清のpHを調整することなく、又は当該上清のpHを調整して使用した。
【0171】
すなわち、第一の例では、上述の実施例1の第一の例と同様に、生きた回収酵母1.5gと、水15mLとを混合して得られた酵母懸濁液を、室温で10分維持することにより、当該生きた回収酵母と水とを接触させ、その後、当該酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。この上清のpHは約6であった。
【0172】
第二の例では、上述の第一の例と同様にしてpHが約6の上清を取得し、さらに当該上清にHClを添加してpHを4に調整することにより、pHが4の上清を取得した。
【0173】
第三の例では、上述の第一の例と同様にしてpHが約6の上清を取得し、さらに当該上清にHClを添加してpHを2に調整することにより、pHが2の上清を取得した。
【0174】
第四の例では、上述の第一の例と同様にしてpHが約6の上清を取得し、さらに当該上清にNaOHを添加してpHを8に調整することにより、pHが8の上清を取得した。
【0175】
第五の例では、上述の第一の例と同様にしてpHが約6の上清を取得し、さらに当該上清にNaOHを添加してpHを10に調整することにより、pHが10の上清を取得した。
【0176】
第六の例から第八の例では、生きた培養酵母と、互いに組成の異なる処理液と、の接触により調製された酵母懸濁液の上清を取得した。第六の例では、まず、上述の実施例4の第三の例と同様にして得られた生きた培養酵母を、上述の実施例1における第一の原料液と同様に麦芽及びホップを使用して調製された植物原料液に添加することにより酵母懸濁液を調製し、当該酵母懸濁液中でアルコール発酵を行った(10.5℃で7日間)。
【0177】
そして、酵母懸濁液(発酵液)中のアルコール濃度が3体積%となった時点(発酵日数7日目)で、当該酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、上清を捨てた。さらに、沈殿した生きた培養酵母1.5gと、処理液としての水15mLとを混合して酵母懸濁液を調製し、当該酵母懸濁液を室温で10分維持することにより、当該生きた培養酵母と水とを接触させた。
【0178】
その後、酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。なお、この場合、生きた回収酵母と、処理液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得したともいえる。
【0179】
第七の例では、まず、上述の第六の例と同様に、生きた培養酵母を植物原料液に添加することにより酵母懸濁液を調製し、当該酵母懸濁液中でアルコール発酵を行った。
【0180】
そして、酵母懸濁液中のアルコール濃度が3体積%となった時点で、当該酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、上清を捨てた。さらに、沈殿した生きた培養酵母1.5gと、処理液としての上述の実施例1における第一の原料液と同様に麦芽及びホップを使用して調製された植物原料液15mLとを混合して酵母懸濁液を調製し、当該酵母懸濁液を室温で10分維持することにより、当該生きた培養酵母と当該植物原料液とを接触させた。
【0181】
その後、酵母懸濁液を遠心して(3000rpm、10分、4℃)、その上清15mLを取得した。なお、この場合、生きた回収酵母と、処理液としての植物原料液と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得したともいえる。
【0182】
第八の例では、まず、上述の第六の例と同様に、生きた培養酵母を植物原料液に添加することにより酵母懸濁液を調製し、当該酵母懸濁液中でアルコール発酵を行った。
【0183】
そして、酵母懸濁液中のアルコール濃度が3体積%となった時点で、当該酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、上清を取得した。すなわち、生きた回収酵母と、処理液としての植物原料液と、の接触(アルコール発酵)により得られた酵母懸濁液の上清(発酵液の上清)を取得した。
【0184】
[原料液の製造]
上述の実施例1と同様に、上述のようにして取得した上清を第一の植物原料液に添加して、第二の植物原料液を製造した。具体的に、上述の実施例1と同様に麦芽及びホップを含む原料を使用して調製された第一の植物原料液1.5Lに、上述の各例で取得した上清15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。すなわち、第二の植物原料液は、第一の植物原料液1.5Lに対して回収酵母を1.5g使用して(酵母の使用率は0.1重量%)調製された。また、比較例として、第一の植物原料液1.5Lに、水15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した。
【0185】
なお、第一の例〜第七の例及び比較例において、第一の植物原料液及び第二の植物原料液のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。一方、第八の例において、第一の植物原料液のエタノール含有量は、0.005体積%未満であり、第二の植物原料液のエタノール含有量は、0.03体積%であった。
【0186】
[発泡性飲料の製造]
上述の実施例1と同様に、第二の植物原料液を使用して、発泡性ノンアルコール飲料を製造した。なお、第一の例〜第七の例及び比較例において製造された発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。一方、第八の例において製造された発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、0.03体積%であった。
【0187】
[評価]
上述の実施例1と同様に、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値を測定した。
図6には、第一の例(回収酵母/水/上清(pH6))、第二の例(回収酵母/水/上清(pH4))、第三の例(回収酵母/水/上清(pH2))、第四の例(回収酵母/水/上清(pH8))、第五の例(回収酵母/水/上清(pH10))、第六の例(培養酵母/発酵/水/上清)、第七の例(培養酵母/発酵/原料液/上清)、第八の例(培養酵母/発酵/上清)及び比較例(水)のそれぞれについて、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値(秒)を測定した結果を示す。
【0188】
図6に示すように、第一の例〜第八の例で製造された発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値は、比較例で製造された発泡性アルコール飲料のそれに比べて顕著に大きかった。
【0189】
また、pHが2〜10という広い範囲の処理液を使用して、上清の使用によるNIBEM値の顕著な増加効果が得られることが確認された。ただし、処理液のpHは10未満(例えば、8以下)であることが好ましいと考えられた。
【0190】
また、第八の例において、アルコール発酵が行われている酵母懸濁液(発酵液)の上清を使用することによっても、NIBEM値の顕著な増加効果が得られることが確認された。
【実施例6】
【0191】
[酵母懸濁液の上清の取得]
生きた回収酵母と、洗浄液又は保存液としての水と、の接触により得られた酵母懸濁液の上清を取得した。すなわち、上述の実施例1と同様に、生きた回収酵母と水とを混合することにより調製され保存タンク内において0℃で約5日間保存されていた細胞懸濁液を、当該保存タンクから回収し、当該生きた回収酵母を含む当該酵母懸濁液を遠心して(5000rpm、10分、4℃)、その上清を取得した。
【0192】
[原料液の製造]
上述の実施例1と同様に、上述のようにして取得した上清を第一の植物原料液に添加して、第二の植物原料液を製造した。具体的に、上述の実施例1と同様に麦芽及びホップを含む原料を使用して調製された第一の植物原料液1.5Lに、回収酵母の使用率が所定値となる量の上清を添加することにより、第二の植物原料液を製造した。
【0193】
すなわち、第二の植物原料液は、酵母の使用率が0.001重量%、0.003重量%、0.005重量%、0.011重量%、0.016重量%又は0.053重量%となる量の上清を添加することにより調製された。
【0194】
また、比較例として、第一の植物原料液1.5Lに、水15mLを添加することにより、第二の植物原料液を製造した(酵母の使用率は0重量%)。なお、第一の植物原料液及び第二の植物原料液のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0195】
[発泡性飲料の製造]
上述の実施例1と同様に、第二の植物原料液を使用して、発泡性ノンアルコール飲料を製造した。製造された発泡性ノンアルコール飲料のエタノール含有量は、0.005体積%未満であった。
【0196】
[評価]
上述の実施例1と同様に、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値を測定した。
図7には、酵母使用率(重量%)と、NIBEM値(秒)の測定結果との相関関係を示す。
【0197】
図7に示すように、酵母使用率0.003重量%以上で製造された発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値は、酵母使用率0重量%で製造された発泡性ノンアルコール飲料(上清を使用することなく製造された発泡性ノンアルコール飲料)及び酵母使用率0.001重量%で製造された発泡性ノンアルコール飲料のそれに比べて高かった。
【0198】
また、酵母使用率が増加するにつれて、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値も増加する傾向が確認された。また、酵母使用率が0.016重量%以上の場合には、発泡性ノンアルコール飲料のNIBEM値は、酵母使用率が0重量%又は0.001重量%の場合に比べて顕著に高い、ほぼ一定値に収束した。