特許第6284322号(P6284322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284322
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】外装材
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/12 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   E04F13/12 101E
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-190203(P2013-190203)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-55128(P2015-55128A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】結城亨
(72)【発明者】
【氏名】荒木淳一
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−032155(JP,A)
【文献】 特開平09−144277(JP,A)
【文献】 特開平06−235255(JP,A)
【文献】 米国特許第03849959(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って連続した複数個の連続直線状の凹凸部を形成した化粧面と、該化粧面の上下端部に雄雌連結構造を形成した金属製表面材と、該金属製表面材の化粧面裏面の凹凸部全面を覆うように接着した補強ネットと、裏面材とからなり、金属製表面材の化粧面裏面と裏面材間に断熱材を充填し、該断熱材は補強ネットを含めて金属製表面材の化粧面裏面から裏面材間の略全面に充填され、金属製表面材と補強ネットと裏面材とを断熱材により一体に形成したことを特徴とする外装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物の外装を形成する外装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属製板材をロール成形、プレス成形等して加工し、化粧面に凹凸を形成することにより空間を形成したパネルは数多く上市されている。(例えば、特許文献1〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−251086号公報
【特許文献2】特開2005−207208号公報
【特許文献3】特開2006−161487号公報
【特許文献2】特開2013−067963号公報
【特許文献3】特開2013−067964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜5には凹凸条の波状金属板を表面材として利用したパネルが記載されている。しかしながら、特許文献1〜5は波状の凹凸部が付された金属板の裏面に発泡プラスチックボードを形成した建築用パネル、金属サイディングであり、これらは、表面材となる金属製表面材の裏面に発泡性プラスティックの樹脂を充填して成形する際に、発泡圧、高温の熱、脱型後の収縮などにより、表面材の凹凸形状と平面状の裏面材との相乗影響により、幅方向において大きく反ってしまう危険性があった。また、凹凸の形状により、曲げ強度に劣り、耐風圧性能に悪影響を及ぼすものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような欠点を解決するために、長手方向に沿って連続した複数個の連続直線状の凹凸部を形成した化粧面と、該化粧面の上下端部に雄雌連結構造を形成した金属製表面材と、該金属製表面材の化粧面裏面の凹凸部全面を覆うように接着した補強ネットと、裏面材とからなり、金属製表面材の化粧面裏面と裏面材間に断熱材を充填し、該断熱材は補強ネットを含めて金属製表面材の化粧面裏面から裏面材間の略全面に充填され、金属製表面材と補強ネットと裏面材とを断熱材により一体に形成した外装材を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る外装材によれば、(1)凹凸化粧面の剛性が強化され、金属製表面材の凹凸部の曲げ強度の弱点を補強し、外装材自体の剛性が強化され、耐風圧性能の向上が図られる。(2)外装材の耐風圧強度を大幅に向上出来る。(3)補強ネットを形成したために、断熱材の形成を阻害しない。(4)表面が凹凸で裏面が平面の金属製外装材の場合に、合成樹脂発泡体形成後の表面と裏面の収縮の違いによる変形を補強ネットにより補強し、外装材自体のフラット性を維持出来る。(5)補強ネットが外装材の中心部分での骨格となり、成形直後の初期段階の外装材の反りを防止出来る。(6)補強ネットの空隙間において、合成樹脂発泡体よりなる断熱材が金属製表面材と補強ネット間に浸入して相互を接着出来るために、断熱材と金属製表面材と補強ネットの一体化が強化される。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る外装材の代表例を示す断面図である。
図2】本発明に係る外装材の金属製表面材を示す断面図である。
図3】本発明に係る外装材の補強ネットを示す断面図である。
図4】本発明に係る外装材の補強ネットを示す斜視図である。
図5】本発明に係る外装材の裏面材を示す断面図である。
図6】本発明に係る外装材の部分拡大断面図である。
図7】本発明に係る外装材の部分拡大断面図である。
図8】本発明に係る外装材の施工状態を示す断面図である。
図9】本発明に係る外装材の製造方法を示す説明図である。
図10】本発明に係る外装材に使用する補強ネットのその他の実施例を示す斜視図である。
図11】本発明に係る外装材に使用する補強ネットのその他の実施例を示す斜視図である。
図12】本発明に係る外装材に使用する補強ネットのその他の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に図面を用いて、本発明に係る外装材の一実施例について詳細に説明する。すなわち、外装材Aは図1に示すように、表面材1と裏面材3で例えば合成樹脂発泡体からなる断熱材4を、サンドイッチした外装材Aであり、図2は金属製表面材1a、図3図4は補強ネット2、図5は裏面材3、図6は雄型連結部5の拡大断面図、図7は雌型連結部6の拡大断面図、図8は施工状態を示す断面図である。なお、図8において、αは躯体、βは固定具である。
【0009】
外装材Aの全体形状の一例としては図1に示すように、長尺で金属製の薄板からなる金属製表面材1aと補強ネット2とからなる表面材1と裏面材3間に断熱材4をサンドイッチし、幅方向の下端に形成した雄型連結部5、上端に形成した雌型連結部6とから長尺状に形成し、化粧面7の下端には側壁8、上端には側壁9を形成したものである。また、化粧面7に少なくとも一個の凹部7aを形成することにより複数個の凸部7bを形成し、凹部7aと凸部7bにより凹凸部7cを形成したものである。
【0010】
さらに詳説すると、金属製表面材1aの下端部に形成した雄型連結部5は、図2に示すように化粧面7下端を屋内側に屈曲した側壁8と、側壁8の先端を上方へ突出した上面10と、上面10の先端を屋内側へ屈曲した折り返し片12aと、折り返し片12aの先端を下方に屈曲した係合片11と、係合片11の先端を屋内側へ屈曲し先端を上方に折り返したカシメ片11aと、上面10と係合片11とからなる係合溝12とから形成したものである。
【0011】
金属製表面材1aの上端部に形成した雌型連結部6は、図2に示すように化粧面7の上端を屋内側に屈曲した側壁9と、側壁9の先端を上方に屈曲した目地底面13と、目地底面13の先端を屋内側へ屈曲した折り返し片15aと、折り返し片15aの先端を下方に垂下した下面14とからなる嵌合片15と、下面14の先端を上方に屈曲して突出した固定面16と、下面14と固定面16とから形成した嵌合溝17とから形成した長尺状板材である。なお、Pは防水性強化のために形成したパッキンである。
【0012】
金属製表面材1aの素材としては、金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、等からなるものである。
【0013】
補強ネット2は図3図4に示すように、垂直平面状の貼着面19と、貼着面19の下端を屋内側に屈曲した立ち上がり面20と、立ち上がり面20の先端を下方に垂下した載置面21とから形成した長尺状板材である。
【0014】
補強ネット2は、図1に示すように図2に示す金属製表面材1aの凹部7aの裏面、係合片11の裏面に接着剤2aを介して接着されることにより、金属製表面材1aと補強ネット2とから表面材1を形成したものである。このために、金属製表面材1aが凹凸状であるための曲げ強度の低下を抑制出来、強度のある外装材Aの表面材1となるものである。
【0015】
また、補強ネット2は図4に示すように複数の空隙2bを形成したネット状である。このために、この空隙2bを介して金属製表面材1aの凹凸部7cの裏面空間にまで、後記する液状断熱材4aよりなる合成樹脂発泡体からなる断熱材4が充填され、その後発泡・硬化し、金属製表面材1a、裏面材3、補強ネット2が断熱材4により強固に一体化されるものである。なお、空隙2bの大きさ(目合い)によって効果(強度、合成樹脂発泡体の透過性・通過性、など)が変わってくる。
【0016】
補強ネット2は、繊維をタテ・ヨコに積層したもの、あるいはその接点を樹脂で接着した2軸積層型ネットであり、金属、ガラス、ビニロン、高密度ポリエチレン、アラミド、カーボン、等のさまざまな素材、繊維から形成したものである。
【0017】
裏面材3は、図5に示すように、垂直平面状の裏面22と、裏面22の下端を屋外側へ突出した突出片23と、突出片23の先端を屋外側下方へ傾斜して突出した傾斜片24と、傾斜片24の先端を下方へ垂下した載置片25と、裏面22の上端を屋外側へ屈曲して突出したガイド片26と、ガイド片26の先端を屋内側へ折り返した舌片27とから長尺状に形成したものである。
【0018】
裏面材3は後記する断熱材4の裏面を覆って、断熱材4が外部へ露出するのを防止すると共に、表面材1と一体化して外装材Aの強度向上、防火性の向上、耐火性の向上、施工性の向上、等を図るために形成されたものである。
【0019】
裏面材3は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、あるいはクラフト紙、アルミニウム蒸着シート、防水シート、等からなるものである。
【0020】
断熱材4は、表面材1と裏面材3間に合成樹脂発泡体の原液を充填し、発泡・硬化させて形成したものであり、断熱材、防火材、耐火材、嵩上げ材、表面材1と裏面材3の接着剤、等として機能するものである。
【0021】
なお、雄型連結部5の上面10の屋外側に補強ネット2の下端部分を挿入して載置することも出来るものである。
【0022】
断熱材4は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、の合成樹脂発泡体からなるものであり、特に耐火性を必要とする場合にはレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材1、もしくは裏面材3の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。また、断熱材4中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させることも出来る。勿論、断熱材4としてロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機材を使用しても良いものである。
【0023】
外装材A同士は、係合片11が嵌合溝17へ、係合溝12には嵌合片15が挿入されることにより、図8に示すように連結されるものである。
【0024】
そこで、本発明に係る外装材Aの製造方法について図9(a)〜(f)を用いて説明する。まず、図9(a)に示すように、金属製表面材1aの裏面を上に向けた長尺状連続成形体を準備する。その後、図9(b)に示すように金属製表面材1aの凹部7aの裏面全面に接着剤2aを塗布する。接着剤2aの塗布が完了したら、図9(c)に示すように金属製表面材1aの裏面に補強ネット2を接着剤2aを介して接着する。勿論、接着剤2aを補強ネット2に塗布して接着しても良いものである。
【0025】
次に、図9(d)に示すように金属製表面材1aと補強ネット2が接着剤2aにより一体化された表面材1の裏面、つまり補強ネット2上に吐出機Tよりポリイソシアヌレートフォーム樹脂発泡体の原液よりなる液状断熱材4aを吐出し、図9(e)に示すように液状断熱材4aを覆うように両端部が成形された裏面材3を形成し、図9(f)に示すようにカシメ片11aにより補強ネット2と裏面材3の端部を固定し、加熱・硬化させ、最後に所定長さ、例えば3636mm等に切断して製造することにより、外装材Aを連続的に製造するものである。なお、吐出機Tは図のように左右に移動させて液状断熱材4aを吐出する方法、あるいは複数個の吐出機Tを設けて液状断熱材4aを吐出する方法により断熱材4を隙間なく充填するものである。
【0026】
以上説明したのは、本発明に係る外装材の一実施例にすぎず、図10図12に示すような補強ネット2を使用することが出来るものである。すなわち、図10図11は補強ネット2の網目を広く形成し、液状の合成樹脂発泡体よりなる断熱材4の金属製表面材1aへの浸入を阻害しないように形成した補強ネット2、図12は平面状に形成した補強ネット2である。
【符号の説明】
【0027】
α 躯体
β 固定具
A 外装材
K 空間
P パッキン
T 吐出機
1 表面材
1a 金属製表面材
2 補強ネット
2a 接着剤
2b 空隙
3 裏面材
4 断熱材
4a 液状断熱材
5 雄型連結部
6 雌型連結部
7 化粧面
7a 凹部
7b 凸部
7c 凹凸部
8 側壁
9 側壁
10 上面
11 係合片
11a カシメ片
12 係合溝
12a 折り返し片
13 目地底面
14 下面
15 嵌合片
15a 折り返し片
16 固定面
17 嵌合溝
18 折り返し面
19 貼着面
20 立ち上がり面
21 載置面
22 裏面
23 突出片
24 傾斜片
25 載置片
26 ガイド片
27 舌片

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12