(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記推定部は、前記検出部が検出した前記電圧レベルが、前記領域に含まれる前記電圧レベルのサンプル値の最高値よりも高い場合、当該最高値に基づいて、前記検出部が検出した前記電圧レベルに対応する前記電力レベルを推定する、
請求項1に記載の電力レベル推定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の利得制御装置は、入力信号の電圧レベルを検出し、予め記憶部に記憶されている、電圧レベルのサンプル値と電力レベルのサンプル値とを関連付けた変換テーブルを用いて直線補間を行い、検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定する。
【0005】
ところで、従来の利得制御装置では、電圧レベルと電力レベルとの関係は、通常は単調増加型又は単調減少型の直線性を有しているものの、使用するハードウェアによっては、電圧レベルの上限付近又は下限付近において電圧レベルと電力レベルとの関係が直線性を有していない場合がある。この場合、従来の利得制御装置では、直線性を有していない区間のサンプル値に基づいて直線補間を行うことで、入力信号の実際の電力レベルと大きく異なる電力レベルを推定するという問題が発生する。
【0006】
図10は、従来の利得制御装置において電力レベルを推定した例を説明する図である。
図10において、横軸は、電力レベルを示しており、縦軸は、電圧レベルのデジタル値を示している。
図10では、電力レベルが−94dBmから−20dBmまでの範囲に対応する電圧レベルのサンプル値と電力レベルのサンプル値とが変換テーブルに含まれているものとする。
【0007】
例えば、電圧レベルのデジタル値が「FEh」である場合、従来の利得制御装置は、区間A又は区間Bに対応するサンプル値を用いて、電力レベルを推定する。ここで、区間Bに対応するサンプル値に基づいて直線補間を行って電力レベルを推定すると、電力レベルは、−40dBmと推定され、実際の電力レベル(−100dBm)と大きく異なる電力レベルが推定されてしまう。
【0008】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、電力レベルを安定的に推定することができる電力レベル推定装置及び電力レベル推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る電力レベル推定装置は、入力信号の電圧レベルを検出する検出部と、複数の前記電圧レベルのサンプル値と前記入力信号の電力レベルのサンプル値とを関連付けた変換テーブルを記憶する記憶部と、前記変換テーブルにおいて、前記電圧レベルのサンプル値の増加に対して前記電力レベルのサンプル値が増加する領域における前記電圧レベルのサンプル値及び前記電力レベルのサンプル値に基づいて、前記検出部が検出した前記電圧レベルに対応する電力レベルを推定する推定部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記推定部は、前記変換テーブルに含まれる前記電圧レベルのサンプル値のうち、中心値付近のサンプル値を特定し、前記検出部が検出した前記電圧レベルが前記中心値付近のサンプル値よりも大きい場合には、前記中心値付近のサンプル値から順にサンプル値を検索し、初めて前記検出部が検出した前記電圧レベル以上となるサンプル値を第1検索値とし、前記第1検索値に隣接する前記中心値側のサンプル値を第2検索値とし、前記第1検索値及び当該第1検索値に対応する電力レベルのサンプル値と、前記第2検索値及び当該第2検索値に対応する電力レベルのサンプル値とに基づいて直線補間することにより、前記検出部が検出した前記電圧レベルに対応する電力レベルを推定してもよい。
【0011】
また、前記推定部は、前記検出部が検出した前記電圧レベルが、前記領域に含まれる前記電圧レベルのサンプル値の最高値よりも高い場合、当該最高値に基づいて、前記検出部が検出した前記電圧レベルに対応する前記電力レベルを推定してもよい。
【0012】
また、第2の態様に係る電力レベル推定装置は、入力信号の電圧レベルを検出する検出部と、複数の前記電圧レベルのサンプル値と前記入力信号の電力レベルのサンプル値とを関連付けた変換テーブルを記憶する記憶部と、前記変換テーブルにおいて、前記電圧レベルのサンプル値の減少に対して前記電力レベルのサンプル値が減少する領域における前記電圧レベルのサンプル値及び前記電力レベルのサンプル値に基づいて、前記検出部が検出した前記電圧レベルに対応する電力レベルを推定する推定部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様に係る電力レベル推定方法は、入力信号の電圧レベルを検出するステップと、複数の前記電圧レベルのサンプル値と前記入力信号の電力レベルのサンプル値とを関連付けた変換テーブルにおいて、前記電圧レベルのサンプル値の増加に対して前記電力レベルのサンプル値が増加する領域における前記電圧レベルのサンプル値及び前記電力レベルのサンプル値に基づいて、前記検出した前記電圧レベルに対応する電力レベルを推定するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力レベルを安定的に推定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本実施形態>
[利得制御装置1の構成]
図1は、本実施形態に係る利得制御装置1の概要図である。
利得制御装置1は、入力信号に対する出力信号の利得を調整し、出力信号のレベルを目標レベルから一定の範囲に制御する利得制御を行う。
【0017】
利得制御装置1は、可変利得増幅器11と、検出部としてのレベル検波回路12と、利得調整部13と、記憶部14とを備えている。利得調整部13は、例えばCPUにより構成されており、EEPROM又はROMによって構成されている記憶部14に記憶された利得制御プログラムを実行することにより、推定部131、増幅器制御部132として機能する。利得制御装置1は、レベル検波回路12、利得調整部13の推定部131、及び記憶部14を備えることにより、電力レベル推定装置として機能する。
【0018】
可変利得増幅器11は、利得調整部13によって設定された利得で入力信号を増幅し、増幅後の信号を出力信号として出力する。ここで、可変利得増幅器11は、利得調整部13によって利得が設定される前は、利得が1に設定されており、入力信号をそのまま出力信号として出力する。
【0019】
レベル検波回路12は、可変利得増幅器11から出力された出力信号を入力信号として検波して、当該入力信号の電圧レベルを検出する。そして、レベル検波回路12は、検出した電圧レベルに応じたデジタル値を利得調整部13に出力する。
【0020】
推定部131は、記憶部14に記憶されている、複数の電圧レベルのデジタル値のサンプル値と、入力信号の電力レベルのサンプル値とを関連付けた変換テーブルを参照して、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定する。
【0021】
具体的には、推定部131は、記憶部14に記憶されている変換テーブルにおいて、電圧レベルのサンプル値の増加に対して電力レベルのサンプル値が増加する領域(以下、単調増加領域ともいう。)における電圧レベルのサンプル値及び電力レベルのサンプル値に基づいて、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定する。
【0022】
より具体的には、推定部131は、変換テーブルに含まれる電圧レベルのサンプル値のうち、中心値付近のサンプル値を特定する。ここで、中心値付近のサンプル値とは、変換テーブルに含まれる電力レベルのサンプル値の最小値と最大値との中間値(最小値と最大値との和を2で割った値)に最も近い電力レベルに関連付けられている電圧レベルのサンプル値である。なお、中心値付近のサンプル値を予め特定して記憶部14に記憶させておき、推定部131が当該サンプル値を取得するようにしてもよい。
【0023】
続いて、推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが中心値付近のサンプル値よりも大きい場合には、中心値付近のサンプル値から順に、電圧レベルが増加する方向にサンプル値を検索し、初めて、レベル検波回路12が検出した電圧レベル以上となるサンプル値を第1検索値とする。続いて、推定部131は、第1検索値に隣接する中心値側のサンプル値を第2検索値とする。
【0024】
図2Aは、本実施形態に係る利得制御装置1において検索値を特定する例を説明する図(その1)である。
図2Aにおいて、検出した電圧レベルは、サンプル値の中心値よりも高いものとする。この場合において、推定部131は、中心値付近のサンプル値から順にサンプル値を検索する。ここでは、初めてレベル検波回路12が検出した電圧レベル以上となるサンプル値を第1検索値とすることから、推定部131は、サンプル値L3を第1検索値とする。また、推定部131は、第1検索値に隣接する中心値側のサンプル値L2を第2検索値とする。
【0025】
また、推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが中心値付近のサンプル値以下の場合には、中心値付近のサンプル値から順に、電圧レベルが減少する方向にサンプル値を検索し、初めて、レベル検波回路12が検出した電圧レベル未満となるサンプル値を第1検索値とし、第1検索値に隣接する中心値側のサンプル値を第2検索値とする。
【0026】
図2Bは、本実施形態に係る利得制御装置1において検索値を特定する例を説明する図(その2)である。
図2Bにおいて、検出した電圧レベルは、サンプル値の中心値以下であるものとする。この場合において、推定部131は、中心値付近のサンプル値から順にサンプル値を検索する。ここでは、初めてレベル検波回路12が検出した電圧レベル未満となるサンプル値を第1検索値とすることから、推定部131は、サンプル値L13を第1検索値とする。また、推定部131は、第1検索値に隣接する中心値側のサンプル値L12を第2検索値とする。
【0027】
図3は、本実施形態に係る利得制御装置1において、電力レベルの推定に使用するサンプル値の範囲を説明する図である。
図3に示す曲線Dは、変換テーブルに含まれている電圧レベルのサンプル値と、電力レベルのサンプル値とが、単調増加する区間と、単調減少する区間とが混在している例を示している。このように、単調増加する区間と、単調減少する区間とが混在している場合であっても、推定部131は、中心値付近のサンプル値から順にサンプル値を検索して第1検索値及び第2検索値を特定することから、曲線D’に示すように単調減少する区間に対応する電圧レベルのサンプル値を抽出せず、単調増加する区間に対応する電圧レベルのサンプル値のみを抽出することができる。なお、記憶部14に記憶されている変換テーブルを、曲線D’に示すように単調増加する区間に対応する電圧レベルのサンプル値と、当該電圧レベルに対応する電力レベルのサンプル値とのみで構成されるようにしてもよい。
【0028】
続いて、推定部131は、第1検索値及び当該第1検索値に対応する電力レベルのサンプル値と、第2検索値及び当該第2検索値に対応する電力レベルのサンプル値と、に基づいて直線補間することにより、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定する。
【0029】
このように、利得制御装置1は、中心値付近のサンプル値から順にサンプル値を検索して第1検索値及び第2検索値を特定することにより、単調増加領域に対応するサンプル値のみを用いて直線補間をする。一般的に、電圧レベルの中心値における、電圧レベルと電力レベルとの関係は、直線性を有していることから、中心値から順番に単調増加領域を検索して得られた第1検索値及び第2検索値を用いて直線補間することで、安定して電力レベルを推定することができる。
【0030】
なお、利得制御装置1の推定部131は、変換テーブルにおいて、単調増加する領域における電圧レベルのサンプル値及び電力レベルのサンプル値に基づいて、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定したが、これに限らない。例えば、利得制御装置1の推定部131は、変換テーブルにおいて、電圧レベルのサンプル値の減少に対して電力レベルのサンプル値が減少する領域における電圧レベルのサンプル値及び電力レベルのサンプル値に基づいて、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定してもよい。
【0031】
推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが、単調増加領域に含まれる電圧レベルのサンプル値の最高値よりも高い場合、当該最高値に基づいて、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定する。例えば、推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを、単調増加領域に含まれる電圧レベルのサンプル値の最高値に対応する電力レベルと推定する。
【0032】
また、推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが、単調増加領域に含まれる電圧レベルのサンプル値の最低値よりも低い場合、当該最低値に基づいて、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定する。例えば、推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを、単調増加領域に含まれる電圧レベルのサンプル値の最低値に対応する電力レベルと推定する。
【0033】
このように、利得制御装置1は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが、単調増加領域に含まれていない場合であっても、単調増加領域に含まれているサンプル値を用いて電力レベルを推定するので、単調増加領域に含まれていないサンプル値を用いて電力レベルを算出する場合に比べて、実際の電力レベルに近い電力レベルを推定することができる。
【0034】
[利得制御装置1の動作フローチャート]
続いて、利得制御装置1における処理の流れについてフローチャートを用いながら説明を行う。
図4は、本実施形態に係る利得制御装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
利得調整部13は、可変利得増幅器11に利得設定値を入力することにより利得を制御し、可変利得増幅器11は、設定された利得で入力信号を増幅し、出力信号を出力する(S1)。
【0036】
利得調整部13は、可変利得増幅器11からの出力信号を入力信号とし、当該入力信号の電圧レベルに対応する電力レベルを推定するレベル推定処理を実行する(S2)。この処理の詳細は、
図5において説明する。
続いて、増幅器制御部132は、S2において検出された電力レベルに基づいて利得調整処理を行うことにより、可変利得増幅器11に入力する利得設定値を決定する(S3)。この処理が終了すると、利得制御装置1は、S1に処理を移し、利得制御を行う。
【0037】
[レベル推定処理のフローチャート]
図5は、本実施形態に係るレベル推定処理の流れを示すフローチャートである。なお、この処理の開始時において、レベル検波回路12が、可変利得増幅器11からの出力信号を入力信号として、電圧レベルを検出しているものとする。
【0038】
まず、推定部131は、変換テーブルに含まれているデータ数を確認する(S21)。ここで、データ数が2個未満である場合には、電力レベルの推定を行うことができないことから、エラーとしてレベル推定処理を終了させてもよい。
【0039】
続いて、推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが、記憶部14に記憶されている変換テーブルにおいて、単調増加領域における電圧レベルの上下限以内か否かを判定する(S22)。推定部131は、電圧レベルが、単調増加領域における電圧レベルの上下限以内であると判定した場合(判定がYesの場合)、S24に処理を移し、単調増加領域における電圧レベルの上下限以内ではないと判定した場合(判定がNoの場合)、S23に処理を移す。
【0040】
S23において、推定部131は、テーブル範囲外処理を実行する。具体的には、推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが、単調増加領域に含まれる電圧レベルのサンプル値の最高値よりも高い場合、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを、当該最高値に対応する電圧レベルと推定する。また、推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが、単調増加領域に含まれる電圧レベルのサンプル値の最低値よりも低い場合、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを、当該最低値に対応する電圧レベルと推定する。
【0041】
推定部131は、S24において、変換テーブルにおける電圧レベルの中心値を特定する。
続いて、推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが、電圧レベルの中心値よりも高いか否かを判定する。推定部131は、電圧レベルの中心値よりも高いと判定した場合(判定がYesの場合)、S26に処理を移し、電圧レベルの中心値以下と判定した場合(判定がNoの場合)、S27に処理を移す。
【0042】
推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが、電圧レベルの中心値よりも高い場合、プラス方向に検索を行い第1検索値及び第2検索値を特定する(S26)。具体的には、推定部131は、変換テーブルを参照して、中心値付近の電圧レベルのサンプル値から順に、電圧レベルが増加する方向にサンプル値を検索し、初めてレベル検波回路12が検出した電圧レベル以上となるサンプル値を第1検索値とし、第1検索値に隣接する中心値側のサンプル値を第2検索値とする。
【0043】
推定部131は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルが、電圧レベルの中心値以下の場合、マイナス方向に検索を行い第1検索値及び第2検索値を特定する(S27)。具体的には、推定部131は、変換テーブルを参照して、中心値付近の電圧レベルのサンプル値から順に、電圧レベルが減少する方向にサンプル値を検索し、初めてレベル検波回路12が検出した電圧レベル未満となるサンプル値を第1検索値とし、第1検索値に隣接する中心値側のサンプル値を第2検索値とする。
【0044】
推定部131は、変換テーブルを参照し、S26又はS27において特定した第1検索値及び当該第1検索値に対応する電力レベルのサンプル値と、第2検索値及び当該第2検索値に対応する電力レベルのサンプル値とに基づいて直線補間することにより、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定する(S28)。
【0045】
[電力レベルの推定例]
続いて、本実施形態に係る利得制御装置1を用いた場合の電力レベルの推定例について説明する。
図6は、本実施形態に係る利得制御装置1を用いた場合の電力レベルの推定例に使用した変換テーブルに含まれるデータを示す図である。
図6に示す変換テーブルでは、データ番号(No.)と、電力レベルのサンプル値と、電圧レベルのサンプル値とが関連付けられて記憶されている。
【0046】
例えば、レベル検波回路12が検出した電圧レベルのデジタル値が「307」であったとする。この場合において、推定部131は、デジタル値「307」が、変換テーブルの単調増加領域における電圧レベルの上下限以内であることから、電圧レベルの中心値を特定する。ここでは、電力レベルのサンプル値の最低値が「−94」、最大値が「−16」であることから、(−94−16)/2を演算し、−55を得る。−55に最も近い電力レベルのサンプル値は、「−50」であることから、推定部131は、「577」を電圧レベルのサンプル値の中心値と特定する。
【0047】
続いて、推定部131は、デジタル値「307」が、中心値「577」よりも低い値であることから、中心値付近の電圧レベルのサンプル値から順に、電圧レベルが減少する方向にサンプル値を検索し、初めてレベル検波回路12が検出した電圧レベル未満となるサンプル値を第1検索値とする。ここでは、推定部131は、電圧レベルのサンプル値「306」を第1検索値と特定する。続いて、推定部131は、当該電圧レベル「306」に隣接する中心値側の電圧レベルのサンプル値「364」を第2検索値とする。続いて、推定部131は、第1検索値「306」と、第1検索値に対応する電力レベル「−88」と、第2検索値「364」と、第2検索値に対応する電力レベル「−80」とを用いて線形補間を行い、電力レベルを「−86.8」と推定する。
【0048】
[従来例との比較結果(その1)]
続いて、本実施形態に係る利得制御装置1と、従来の利得制御装置との比較結果(その1)について説明する。なお、ここでは、
図6に示す変換テーブルを用いて電力レベルを推定したときの比較を行ったものとする。
図7は、本実施形態に係る利得制御装置1と、従来の利得制御装置とのそれぞれにおける電力レベルの推定結果を示す図(その1)である。具体的には、
図7に示す破線は、従来の利得制御装置によって電力レベルを推定した結果を示し、実線は、利得制御装置1によって電力レベルを推定した結果を示している。
【0049】
従来の利得制御装置では、レベル検波回路12が検出した電圧レベルのデジタル値が、単調増加領域における電圧レベルの上下限を超える場合、単調増加領域に含まれない電圧レベルのサンプル値及び電力レベルのサンプル値を利用して線形補間を行うため、
図7に示すように、電力レベルが実際の電力レベルから大きく乖離する場合がある。例えば、従来の利得制御装置は、
図6に示す変換テーブルに含まれている、電圧レベルのサンプル値と、当該電圧レベルに対応する電力レベルのサンプル値の組み合わせ(277,−94)と、(276,−92)に基づいて線形補間することにより、電圧レベルのサンプル値が0付近の電力レベルを、約450[dBm]と推定する。
【0050】
これに対して、利得制御装置1は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルのデジタル値が、単調増加領域における電圧レベルの上下限を超える場合、単調増加領域の上下限に対応する電力レベルに基づいて電力レベルを推定する。例えば、レベル検波回路12が検出した電圧レベルのデジタル値が、変換テーブルにおける電圧レベルの下限「276」よりも小さい場合、推定部131は、電力レベルを、当該下限に対応する電力レベル「−92」と推定する。これにより、利得制御装置1は、電力レベルの推定値が実際の電力レベルから大きく乖離しないようにすることができる。
【0051】
[従来例との比較結果(その2)]
続いて、本実施形態に係る利得制御装置1と、従来の利得制御装置との比較結果(その2)について説明する。ここでは、変換テーブルに含まれるデータは、
図8に示すものであるとする。具体的には、
図8に示すデータでは、単調増加領域における電圧レベルの上下限を超えた場合の電圧レベルが、上下限と等しいものとする。
【0052】
図9は、本実施形態に係る利得制御装置1と、従来の利得制御装置とのそれぞれにおける電力レベルの推定結果を示す図(その2)である。
図9に示す破線は、従来の利得制御装置によって電力レベルを推定した結果を示し、実線は、利得制御装置1によって電力レベルを推定した結果を示している。
【0053】
従来の利得制御装置では、レベル検波回路12が検出した電圧レベルのデジタル値が、単調増加領域における電圧レベルの上下限を超える場合、単調増加領域に含まれない電圧レベルのサンプル値及び電力レベルのサンプル値を利用して線形補間を行うため、
図9に示すように、電力レベルが実際の電力レベルから大きく乖離する場合がある。例えば、従来の利得制御装置は、
図8に示す変換テーブルに含まれている、電圧レベルのサンプル値と、当該電圧レベルに対応する電力レベルのサンプル値の組み合わせ(297,−94)と、(277,−92)に基づいて線形補間することにより、電圧レベルのサンプル値が297未満に対応する電力レベルを、0[dBm]と推定する。
【0054】
これに対して、利得制御装置1は、レベル検波回路12が検出した電圧レベルのデジタル値が、単調増加領域における電圧レベルの上下限を超える場合、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを、単調増加領域の上下限に対応する電力レベルに基づいて推定する。例えば、レベル検波回路12が検出した電圧レベルのデジタル値が、変換テーブルにおける電圧レベルの下限「276」よりも小さい場合、推定部131は、電力レベルを、当該下限に対応する電力レベル「−92」と推定する。これにより、電力レベルの推定値が実際の電力レベルから大きく乖離しないようにすることができる。
【0055】
[本実施形態の効果]
以上のとおり、本実施形態に係る利得制御装置1は、入力信号の電圧レベルを検出するレベル検波回路12と、複数の電圧レベルのサンプル値と入力信号の電力レベルのサンプル値とを関連付けた変換テーブルを記憶する記憶部14と、変換テーブルにおいて、電圧レベルのサンプル値の増加に対して電力レベルのサンプル値が増加する領域における電圧レベルのサンプル値及び電力レベルのサンプル値に基づいて、レベル検波回路12が検出した電圧レベルに対応する電力レベルを推定する推定部131と、を備える。
【0056】
これにより、利得制御装置1は、変換テーブルに対して、電圧レベルと電力レベルとの関係が直線性を有していない区間が含まれていても、電圧レベルのサンプル値の増加に対して電力レベルのサンプル値が増加する領域に基づいて、電力レベルを安定的に推定することができる。
【0057】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0058】
また、上記の実施形態においては、CPUがコンピュータプログラムを実行することにより、推定部131及び増幅器制御部132として機能する構成について説明したが、推定部131及び増幅器制御部132の一部又は全てを、コンピュータプログラムを用いることなく構成してもよい。