【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の一局面によれば、第1および第2の組織部分または組織部分および移植部分を互いに固定する方法が提供される。当該方法は、
−(一般的に少なくとも端部分に)熱可塑性材料を含む締結具を設けるステップと、
−締結器具を設けるステップとを含み、締結器具は、第1の接触面を有する第1の器具構成要素と第2の接触面を有する第2の器具構成要素とを含み、第1の器具構成要素および第2の器具構成要素は互いに関して変位可能であり、さらに、
−締結具および締結器具を位置決めするステップを含み、
締結具は第1および第2の組織または移植部分の共有開口部を通って伸び、共有開口部は、第1の組織または移植部分の第1の貫通開口部と、第2の組織または移植部分の第2の貫通開口部とによって構成され、第1および第2の貫通開口部は互いに位置合せされ、
第1の接触面は締結具の近位端面に接し、第2の接触面は締結具の遠位端面に接し、さらに、
−締結具が第1および第2の接触面の間で押されるように第1および第2の器具構成要素に相対力をかけ、同時に、振動力によって、かつ相対力および振動の共通の衝撃を受けて端部分を少なくとも部分的に軟化させかつ/または融解するのに十分な振動時間中に、第1および第2の器具構成要素の少なくとも一方に機械的振動を結合し、端部分の軟化および/または融解を用いて、直径が貫通開口部の少なくとも一方の直径よりも大きいヘッドを端部分に設けるステップと、
−軟化されたかつ/または融解された端部分を再凝固させるステップとを含む。
【0005】
発明は、そのような方法において締結具または締結具部(部分)として使用される熱可塑性材料(たとえば以下に明示的に言及される材料のいずれか1つ)にも関係する。特に、そのような使用は、熱可塑性材料の変形によって、または以下に説明されるように熱可塑性ヘッド成形要素に溶接されている熱可塑性材料によって変形および/または融解されて遠位または近位ヘッドを設けることができる締結具部分に関係する。当該方法に関係のある本稿中のすべての所見および教示は、そのような方法における締結具または締結具部分として使用される熱可塑性材料にも関係する。
【0006】
当該方法に戻り、締結具を位置決めするステップと器具を位置決めするステップとは、いずれかの順序で、または同時にもしくは部分的に同時に、セットアップと場合によっては外科医の要望とに依存して行われ得る。
【0007】
端部分の軟化および/または融解を用いて端部分にヘッドを設けるステップにおいて、相対力および振動の共通の衝撃を受けて端部分を変形させヘッドを生じさせ得る。
【0008】
これはたとえば、端部分そのものがヘッドに変形されるように行われ得る、つまりヘッド材料は、変形した端部分材料であり得る。
【0009】
代替的な実施例において、ヘッド部分が形成される接触面における器具構成要素は、ヘッド形成要素を含み得、ヘッド形成要素は、振動および相対力の衝撃を受けて締結具の端部分に溶接され、したがって端部分を再凝固させるステップ後の締結具は、当初の締結具材料に加えてヘッド形成要素材料を含む。この目的のために、上記の器具構成要素(たとえば、締結具の遠位端に接し、脚部を有する第2の器具構成要素)はヘッド形成要素ディスペンサを含み得る。
【0010】
組織部分または組織部分および移植部分の貫通開口部は、自然に存在し得るか(または移植部分の場合にはあらかじめ製造され得る)、締結具の挿入前の準備ステップにおいて(たとえば掘削によって)あらかじめ作製され得るか、または締結具の挿入によって作製され得、その後たとえば穿孔先端もしくはエッジ(または一般にリーマ加工機能)を含む。組合せ、たとえば、一部分にあらかじめ作製された貫通開口部と他の部分に挿入によって作製された開口部との組合せ、またはいずれかの他の組合せが可能である。また、開口部が部分的にあらかじめ作製されることも可能である。たとえば、第1の、より小さい横断面積のあらかじめ作製されたかまたは自然に存在する開口部が存在し、締結具の挿入によって、第2のより大きい横断面積に締結具の挿入によって追加的に広げられる。
【0011】
実施例において、締結具は一般に近位側から挿入され、その側は手術中に外科医によってアクセスすることができる側でもある。その場合、変形されてヘッドをもたらす端部分は遠位端部分である。
【0012】
代替的な実施例では、締結具は遠位側から挿入される。この目的のために、締結具は、器具(または少なくとも別個の器具の第2の器具構成要素)を手術部位に配置する前に、第2の器具構成要素に一時的に取付けられ得る。可能性として、第2の器具構成要素は、処理中に締結具の遠位端に接し、連続的に複数の締結具を投入するディスペンサを含み得る。
【0013】
軟化および/または融解が始まるとすぐに、相対力によって第1および第2の器具構成要素の相対運動が生じることになり、それによって第1および第2の接触面が互いに向かって移動し、したがって締結具が圧縮される。
【0014】
したがって発明の一局面では、超音波振動などの機械的振動を用いて締結具の(遠位部分または近位部分であり得る)端部分を(遠位または近位それぞれの)ヘッドに変形させることが提案される。その結果、締結具は一種のリベットとして機能する。ここで、締結具は当初は任意の断面の締結ピンであり得る。また、締結具は反対の(近位または遠位それぞれの)側にあらかじめ形成されたヘッドを任意に含み得る。
【0015】
多くの実施例において、第2の器具構成要素は、近位シャフト部分および遠位脚部分を有し、第2の接触面は、脚部分の近位対向面またはその一部として形成される。実施例では、第2の接触面は、近位遠位締結具軸にほぼ垂直であり得る。
【0016】
多くの実施例では、締結具にその近位側から当たる第1の器具構成要素を用いて、たとえば機械的振動を締結具に結合することによって機械的振動を締結具に当てる。この目的のために、器具は、圧電素子および圧電素子のための電気的励起回路を含む振動発生器などの機械的振動発生器をさらに含み得る。第1の器具構成要素は、器具のソノトロード(sonotrode)として機能し得、ソノトロードは振動発生器に結合される。器具は器具ハウジングをさらに含み得、ソノトロードがそこに結合された振動発生器がその中に収容される。ハウジングは、振動発生器を密封し得るが、完全に密封する必要はない。その場合、第2の器具構成要素は、たとえば第1の器具構成要素(および存在する場合はハウジング)に対して移動可能に搭載された、または別個のツールなど外科医によって保持されることができるカウンタ要素であり得る。第2の器具構成要素は、近位側に向かって面する第2の接触面とカウンタ部分から近位方向に延在するシャフト部分とを有する(脚部分であり得る)遠位カウンタ部分を含み得る。シャフト部分は、摺動するように(または旋回するように)ハウジングに搭載され得、シャフト部分に相対力が印加され得る。
【0017】
一オプションとして、発明の実施例において、第2の器具構成要素は、振動発生器によって生成された機械的振動を偏向させるように構成され得る。これはたとえば、振動要素を有する器具構成要素によって行われ得、入力軸に沿った横振動が出力軸に沿った横振動に偏向される。そのような装置の一例は、国際公開第2007/101362号に教示されている。機械的振動の偏向を含む実施例は、締結具の軸に沿った直線的なアクセスが困難であり、横からの方が手術部位にアクセスしやすい状況に特に適する。横からのアクセスによる挿入にも適していることが、本発明の実施例の利点の1つである。
【0018】
また一オプションとして、複数の締結具を使用することができる。たとえば、複数の締結具を組織/移植部分上に分散させることができる。その場合、隣接する締結具のヘッド同士を、互いに接するようにまたは互いに溶接されるように任意に構成することができる。
【0019】
一オプションによれば、互いに固定された組織部分には、補強のための人工材料の1つ以上の可撓性平面構造が同時に設けられる。例として、そのような可撓性平面構造はメッシュであり得る。そのような可撓性平面構造は、組織部分の一方の外側上、組織部分の複数の外側上、および/または組織部分同士の間に設けられ得る。代替的に、移植部分が組織部分に固定される場合、そのような可撓性平面構造が移植部分を構成し得る。
【0020】
第1および第2の組織部分は、共通の組織要素または臓器の部分であり得る。たとえば、第1および第2の組織部分は、断裂を治さなければならない断裂したかもしくは部分的に断裂した組織要素または臓器の部分であり得る。代替例として、第1および第2の組織部分は、別個の要素および/または臓器、たとえば平坦な曲げることができる組織部分に貼付けられる平坦な曲げることができる移植片であり得る。
【0021】
第1および第2の組織部分はたとえば、軟骨の層または他の部分であり得る。発明の方法の局面の用途は、半月板の修復である。当該方法の準備において、断裂した半月板の端部分が互いに重なり合うように曲げられ、互いに重なり合った部分のアセンブリに第1および第2の開口部が作られる。
【0022】
軟骨の代替例として、第1および第2の組織部分の少なくとも一方は、他の組織、特に軟組織、または組織置換材料の部分であり得る。第1および第2の組織部分の一方は、組織部分に貼付けられる移植片でもあり得る。
【0023】
本稿では、簡潔にするために、互いに貼付けられる部分を「第1および第2の組織部分」と称することが多いが、発明の実施例は、人工要素(移植片)を組織部分にその場で貼付けることにも関係する。
【0024】
発明は、3つ(以上)の組織部分を互いに重ね合わせ、締結具を共通の位置合せされた穴に導入することによって、2つを超える組織部分、たとえば3つ以上の組織部分を1回のステップで互いに固定することにも適用される。
【0025】
発明に係る方法および装置の多くの実施例は、軟骨もしくは軟組織部分を互いに貼付けること、またはそのような組織に人工装置(移植部分)を貼付けることに特に適しているが、寸法的に堅い骨組織への適用はすべての実施例において排除されない。むしろ、当該方法および装置は、骨組織、特に平らな骨(扁平骨)または弱い骨組織にも好適であり得る。
【0026】
さらなるオプションは、外科用糸(特に外科縫合用の糸)などのフィラメント状要素を組織に締結するための方法および装置を使用することである。例として、そのようなフィラメント状要素は、固定処理中に互いに固定された組織部分または組織部分および移植部分に取付けられ得る。たとえば、フィラメント状要素のループを締結具のシャフトに巻きつけ、締結具のヘッド(あらかじめ製造されたヘッド、または端部分の軟化および/または融解を用いて設けられたヘッド)によって保持し得る。他の例として、そのようなフィラメント状要素は移植部分を構成し、その場合、ループは組織部分の貫通開口部と位置合せされた貫通開口部を形成する。
【0027】
より一般的に、一局面に係る発明は、フィラメント状要素、特に糸を組織部分に定着させる方法に関し、当該方法は、
−締結具を設けるステップを含み、締結具は第1の締結具端部分において第1のヘッドを含み、さらに、
−締結器具を設けるステップを含み、締結器具は、第1の接触面を有する第1の器具構成要素と第2の接触面を有する第2の器具構成要素とを含み、第1の器具構成要素および第2の器具構成要素は互いに関して変位可能であり、さらに、
−締結具が組織の開口部を通って伸びるように、かつ第1の接触面が締結具の近位端面に接し、第2の接触面が締結具の遠位端面に接するように、締結具および締結器具を位置決めするステップと、
−器具構成要素の少なくとも一方によって、エネルギを締結具に結合して、第2の締結具端部分を少なくとも部分的に軟化させかつ/または融解させ、第2の端部分の軟化および/または融解を用いて開口部の直径より大きい直径の第2のヘッドを第2の端部分に設けるステップと、
−軟化されたかつ/または融解された端部分を再凝固させるステップとを含み、フィラメント状要素が締結具の周りにループを形成し、ループの直径は、第1のヘッドおよび第2のヘッドの少なくとも一方より小さい。
【0028】
一実施例によれば、フィラメント状要素は、それが搭載される位置決め要素(針または他の要素、場合によっては締結具そのものなど)によって位置決めされる。一実施例に係るこの要素は、端部分がループを形成するフィラメント状要素の端部分が近位側からアクセス可能であるやり方で、遠位側から組織部分を通って挿入される。
【0029】
位置決め要素が針である場合は、形状記憶材料の針であり得、第2の器具構成要素のチャネル内を案内されて、近位側から押され、遠位側から組織を穿孔し、組織を通って近位側に糸(または他のフィラメント状要素)を戻し得る。
【0030】
多くの実施例において、第2の器具構成要素(または締結具が遠位側から導入される場合は第1の器具構成要素)は、第2の(または第1のそれぞれの)接触面を形成するヘッド成形部分を有する。ヘッド成形部分は、カウンタ部分/脚部分に存在する場合は、たとえば浅いくぼみとして設けられ得、その底部は第2の(第1の)接触面を形成する。ヘッド成形部分は、異なる方向への所望の材料流を確実にする少なくとも1つのエネルギディレクタまたは分配構造をさらに含み得る。ヘッド成形部分はたとえば、凹面または部分的に凹面形状を有し得る。発明の一局面に係る方法によって、成形される遠位ヘッドは、ヘッド成形部分の複製である表面部分を含む。
【0031】
方法のいずれかの局面において、下記の1つまたは任意の(意味のある)組合せが成り立ち得る。
−機械的振動は、締結具を位置決めするステップ中に第1の器具構成要素から締結具に結合され得る。
−締結具は、一般に(いずれかの好適な断面の、つまり円形または非円形の)円筒形部分、場合によってはあらかじめ形成された(近位または遠位)ヘッド部分を有するピン形状であり得る。
−ピン形状の代替例として、締結具は、近位(または遠位)ブリッジ部分によって接続される複数のシャフトを含み得、シャフトは、第1および第2の組織または移植部分の対応する数の共有開口部を通って伸びるように構成される。
−締結具は、力および振動が締結具に結合されると、第1の組織部分に対して当接する肩部を形成するあらかじめ作製された近位(または遠位)ヘッド部分を含み得る。
−締結具は熱可塑性材料で構成され得るかまたは、締結具は(少なくとも遠位または近位の端部分を含む)熱可塑性構成要素と熱可塑性でない構成要素とを含み得る。
−締結具に振動を結合し、第1および第2の器具構成要素の間で締結具を圧縮する同時に起こるステップ中、(たとえばピン形状の)締結具の他方端(締結具が遠位側から挿入される場合、締結具の近位端は近位側または遠位端から挿入される)における熱可塑性部分は、近位/遠位のさらなるヘッドに変形され得る。締結具が、熱可塑性材料からなるあらかじめ成形されたさらなる(近位/遠位)ヘッドを含む場合は、あらかじめ成形されたさらなるヘッド部分が任意にさらに成形され得、したがってたとえばその遠位/近位肩部は、第1の組織部分の形状に適合化された形状を有する。
−締結具は、近位案内および/または保持構造を含み得、第1の器具構成要素の対応する案内および/または保持要素が、その挿入中に締結具を案内しかつ/または保持するようにそこに係合し得る。
−振動発生器に加えて、器具は、自動的に相対力を印加するための力付与装置をさらに含み得る。そのような力付与装置はたとえば、処理の前にあらかじめ張力がかけられ得るばねを含み得、ばね力は振動の生成と同時に解放され得る。代替的に、力付与装置は電気作動機構などの他の駆動装置を含み得る。
−力付与装置に加えて、または代替例として、器具は、外科医自身が力を加えることを可能にするためのハンドルを含み得る。その場合、器具は抵抗ばねをさらに任意に含み得、その力に対抗して相対力を印加しなければならず、第1および第2の器具構成要素を互いに対して移動させなければならない。そのようなばねは、熱可塑性材料の凝固後の器具構成要素の締結具からの解放を容易化し得る。
−締結具の熱可塑性材料は、第1および/または第2の組織部分の組織に付着させ得、かつ/または第1および/または第2の組織部分の構造に貫入させて押込み嵌合接続(positive-fit connection)を形成し得る。これは、近位および/または遠位ヘッド部分、および/またはヘッド部分同士間の残りの円筒形部分の熱可塑性材料であり得る。
【0032】
第1および第2の組織部分または組織部分および移植部分を互いに固定するための、またはフィラメント状要素、たとえば糸を組織に定着させるための締結器具は、
−第1の接触面を有する第1の器具構成要素と、
−第2の接触面を有する第2の器具構成要素とを含み、
−第1の器具構成要素および第2の器具構成要素は互いに関して変位可能であり、
−第1の器具構成要素は、遠位側に向かって面する第1の接触面を有し、
−第2の器具構成要素は、第1の接触面の遠位方向にあり、かつ近位側に向かって面する第2の接触面を有する脚部を有し、
−締結具は、第1および第2の器具構成要素の間に相対力を印加することによって第1および第2の接触面の間で圧縮可能であり、
−器具はさらに、第1および第2の器具構成要素の少なくとも一方に機械的エネルギを結合するためのエネルギ源を含む。
【0033】
接触面は、それに接して端部分にヘッドが設けられており、ヘッド成形部分を含み得る。たとえば、近位側から挿入される締結具については、第2の器具構成要素の脚部の第2の接触面がヘッド成形部分として形成される。締結具が遠位側から挿入される場合、第1の器具構成要素の遠位端面がヘッド成形部分を含み得る。また、各場合において、他方の接触面も任意にヘッド成形部分を含み得る。
【0034】
少なくとも第1および第2の器具構成要素を殺菌することが可能である。
第1および第2の組織部分または組織部分および移植部分を互いに固定するための部品のキットは上記の種類の器具を含み、さらに、少なくとも1つの締結具を含み、締結具は近位および遠位端を含み、近位端および/または遠位端は、機械的エネルギの衝撃によって変形可能/流動可能となることができる熱可塑性材料を含む。締結具は一般に、任意の近位ヘッドと、任意の遠位切断および/または穿孔および/またはリーマ加工構造とを有するピン形状であり得る。
【0035】
たとえば、少なくとも1つの締結具が無菌パッケージで供給される。
機械的振動の代替例として、他の形態の機械的エネルギを用いて熱可塑性材料を流動可能/変形可能にし得る。これは特に、カウンタ要素に対する締結具の回転運動を含む。さらに別の代替例として、電磁放射を用いて熱可塑性材料を流動可能/変形可能にし得る。この目的のために、締結具は、特に遠位領域において放射線吸収材によって本質的に透明であり得る。放射線は、レーザまたは他の放射線源によって締結具に結合され得る。
【0036】
本稿において、「機械的振動の衝撃によって軟化および/または融解させることが可能な熱可塑性材料」、または要約して「液化可能な熱可塑性材料」もしくは「液化可能材料」という表現は、少なくとも1つの熱可塑性成分を含む材料を説明するために使用される。この材料は、加熱されると、特に摩擦により加熱されると、つまり互いに接し、かつ互いに対して振動でもしくは回転して移動される一対の表面(接触面)の一方に配置されると、液体または流動可能となる。振動の周波数は、2kHzと200kHzとの間、好ましくは20〜40kHzであり、振幅は1μmと100μmとの間、好ましくは約10〜30μmである。たとえばそのような振動は、たとえば歯科用途で知られている超音波装置によって生成される。荷重支持接続が可能となるように、材料は0.5GPaより大きい、好ましくは1GPaより大きい弾性率を有し得る。少なくとも0.5GPaの弾性率によって、内部の液化およびしたがって液化可能要素の不安定化が生じない、つまり液化可能材料がストップ面との液化境界面にある場合にのみ液化が生じるように減衰が小さい超音波振動を液化可能材料が伝えることが可能となることも確実となる。可塑化温度は、好ましくは200℃まで、200℃と300℃との間、またはさらに300℃より高い。用途によって、液化可能な熱可塑性材料は再吸収可能であっても再吸収可能でなくてもよい。
【0037】
好適な吸収性ポリマーは、たとえば乳酸および/またはグリコール酸(PLA、PLLA、PGA、PLGA等)、またはポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、多糖類、ポリジオキサノン(PD)、ポリ酸無水物、ポリペプチド、もしくは対応するコポリマーもしくは混合されたポリマーをベースとし、または上記のポリマーを成分として含有する複合材料が再吸収可能な液化可能材料として好適である。たとえばポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアリールケトン、ポリイミド、ポリフェニル硫化物、または液晶ポリマー(LCPS)、ポリアセタール、ハロゲン化ポリマー、特にハロゲン化ポリオレフィン、ポリフェニレン硫化物、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリプロピレン(PP)などの熱可塑性材料、もしくは対応するコポリマーもしくは混合されたポリマー、または上記のポリマーを成分として含有する複合材料が非吸収性ポリマーとして好適である。適合する熱可塑性材料の例は、Bohringer Ingelheim社によるポリラクチド生成物LR708(非晶質Poly−L−DLラクチド70/30)、L209またはL210Sのうちいずれか1つを含む。
【0038】
分解性材料の特定の実施例は、すべてBohringer社によるLR706 PLDLLA 70/30、R208 PLDLA 50/50、L210S、およびPLLA 100%Lのようなポリラクチドである。好適な分解性ポリマー材料のリストが、Erich Wintermantel und Suk-Woo Haa, 「Medizinaltechnik mit biokompatiblen Materialien und Verfahren」, 3.Auflage, Springer, Berlin 2002(以下「Wintermantel」と称する)200頁においても見つけることができる。PGAおよびPLAに関する情報については202頁以降を参照のこと。PCLについては207頁を参照のこと。PHB/PHVコポリマーについては206頁を参照のこと。ポリジオキサノンPDSについては209頁を参照のこと。さらなる生体吸収性材料の議論はたとえばCA Bailey他, J Hand Surg [Br] 2006 Apr;31(2):208-12に見つけることができる。
【0039】
非分解性材料の特定の実施例は、ポリエーテルケトン(Invibio社のPEEK(登録商標)Optima、グレード450および150)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、またはポリカーボネートウレタン(特にDSMによるBionate)である。ポリマーおよび用途の概略表がWintermantelの150頁にリスト化されている。特定の例がWintermantelの161頁以降(PE, Hostalen Gur 812, Hochst AG)、164頁以降、(PET)、169頁以降(PA、すなわちPA6およびPA66)、171頁以降(PTFE)、173頁以降(PMMA)、180頁(PUR、表参照)、186頁以降(PEEK(登録商標))、189頁以降(PSU)、191頁以降(POM−ポリアセタール、商品名Delrin、TenacもProtecによって内部プロテーゼにおいて使用されている)に見つけることができる。
【0040】
熱可塑特性を有する液化可能材料は、さらなる機能に役立つ異質相または化合物を含んでもよい。特に、熱可塑性材料は、混合された充填剤、たとえば治療または他の所望の効果を有し得る微粒子充填剤によって強化され得る。熱可塑性材料は、その場で拡張するかまたは溶ける(孔を作成する)成分(たとえばポリエステル、多糖類、ヒドロゲル、リン酸ナトリウム)、またはその場で放出されるとともにたとえば治癒および再生の促進といった治療効果を有する化合物(たとえば、成長因子、抗生物質、炎症抑制剤、またはリン酸ナトリウムもしくは炭酸カルシウムといった、酸性分解の悪影響に対抗する緩衝液)を含み得る。熱可塑性材料が再吸収可能である場合、そのような化合物の放出は遅延される。
【0041】
液化可能材料が振動エネルギによってではなく電磁放射によって液化される場合は、特定の周波数範囲の(特に可視または赤外線周波数範囲の)そのような放射を吸収することが可能な化合物(微粒子または分子)、たとえばリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、酸化チタン、マイカ、飽和脂肪酸、多糖類、グルコース、またはそれらの混合物を局所的に含み得る。
【0042】
用いられる充填剤は、分解性ポリマーにおいて用いられる分解性の骨刺激性充填剤を含んでもよく、β−リン酸三カルシウム(TCP)、ハイドロキシアパタイト(HA、<90%の結晶度);またはTCP、HA、DHCP、生体ガラスの混合物(Wintermantel参照)を含む。非分解性のポリマーのための、部分的にのみ分解性またはほとんど分解性でない骨統合刺激性充填剤は、生体ガラス、ハイドロキシアパタイト(>90%の結晶度、HAPEX(R)を含む。SM Rea他, J Mater Sci Mater Med. 2004 Sept;15(9):997-1005を参照のこと。ハイドロキシアパタイトについては、L. Fang他、Biomaterials 2006 Jul; 27(20):3701-7, M. Huang他、J Mater Sci Mater Med 2003 Jul; 14(7):655-60、ならびにW. BonfieldおよびE. Tanner, Materials World 1997 Jan; 5 no. 1:18-20を参照のこと。生物活性充填剤の実施例およびそれらの議論は、たとえばX.HuangおよびX.Miao, J Biomater App. 2007 Apr; 21(4):351-74), JA Juhasz他、Biomaterials, 2004 Mar; 25(6):949-55において見つけることができる。微粒子充填剤タイプは、粗大タイプ:5〜20μm(含有量は好ましくは10〜25容積%)、サブミクロン(析出からのナノ充填剤、好ましくは縦横比>10、10〜50nm、含有量0.5〜5容積%)のようなプレートを含む。
【0043】
図面の簡単な説明
以下に、図面を参照して発明の実施例について説明する。概略的であって縮尺通りではない図面において、同じ参照符号は同じかまたは対応する要素を指す。