特許第6284407号(P6284407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6284407-建設機械 図000002
  • 特許6284407-建設機械 図000003
  • 特許6284407-建設機械 図000004
  • 特許6284407-建設機械 図000005
  • 特許6284407-建設機械 図000006
  • 特許6284407-建設機械 図000007
  • 特許6284407-建設機械 図000008
  • 特許6284407-建設機械 図000009
  • 特許6284407-建設機械 図000010
  • 特許6284407-建設機械 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284407
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/82 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   B66C23/82 C
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-76270(P2014-76270)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-196588(P2015-196588A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】村手 徳夫
(72)【発明者】
【氏名】高山 浩司
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−198672(JP,A)
【文献】 特開平11−011872(JP,A)
【文献】 米国特許第03977530(US,A)
【文献】 実開昭63−142384(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00─23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端がベースマシンに回動可能に装着された前脚と、該前脚の上端部とベースマシンとの間に設けられた後脚とを備え、該後脚は、下端がベースマシンに回動可能に装着された下部後脚と、上端が前記前脚の上端部に回動可能に装着された上部後脚とを有し、前記下部後脚の上端部と前記上部後脚の下端部とが中間連結部にて屈曲可能に連結され、前記中間連結部を介して下部後脚と上部後脚とを直線状に延伸させることにより前記前脚の上端が上昇して起立状態となり、前記中間連結部を前脚方向に移動させて下部後脚と上部後脚とを屈曲させることにより前記前脚の上端が下降して倒伏状態となるガントリを備えた建設機械において、
前記ベースマシンと前記前脚との間に、ガントリを起伏させるためのガントリ起伏シリンダを設けるとともに、前記前脚に設けられたスプリング取付部と前記上部後脚に設けられたスプリング取付部との間に、起立状態時の上部後脚を、下部後脚と上部後脚とが屈曲する方向に付勢する後脚屈曲用スプリングを設け
該後脚屈曲用スプリングは、スプリング部と、該スプリング部の一側に設けられた、スプリング伸縮方向に長い長孔を有するスライド板とで形成され、前記長孔により、前記上部後脚のスプリング取付部又は前記前脚のスプリング取付部のいずれかに移動可能に連結した
ことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
下端がベースマシンに回動可能に装着された前脚と、該前脚の上端部とベースマシンとの間に設けられた後脚とを備え、該後脚は、下端がベースマシンに回動可能に装着された下部後脚と、上端が前記前脚の上端部に回動可能に装着された上部後脚とを有し、前記下部後脚の上端部と前記上部後脚の下端部とが中間連結部にて屈曲可能に連結され、前記中間連結部を介して下部後脚と上部後脚とを直線状に延伸させることにより前記前脚の上端が上昇して起立状態となり、前記中間連結部を前脚方向に移動させて下部後脚と上部後脚とを屈曲させることにより前記前脚の上端が下降して倒伏状態となるガントリを備えた建設機械において、
前記ベースマシンと前記前脚との間に、ガントリを起伏させるためのガントリ起伏シリンダを設けるとともに、前記前脚に設けられたスプリング取付部と前記上部後脚に設けられたスプリング取付部との間に、起立状態時の上部後脚を、下部後脚と上部後脚とが屈曲する方向に付勢する後脚屈曲用スプリングを設け、
該後脚屈曲用スプリングは、スプリング部と、該スプリング部の両側にそれぞれ設けられた、スプリング伸縮方向に長い長孔を有するスライド板とで形成され、前記長孔により、前記上部後脚のスプリング取付部及び前記前脚のスプリング取付部に移動可能に連結した
ことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関し、詳しくは、ベースマシン上に起伏可能なガントリを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンや杭打機などの建設機械では、ベースマシンの後部に設けたウインチから巻き出されるワイヤーを、ベースマシンの後部に設けたガントリを介してベースマシンの前部に起伏可能に設けたブームやリーダに接続するようにしている。ガントリとしては、ベースマシンに回動可能に装着された前脚と、前脚方向に屈曲可能に形成された後脚とを組み合わせ、後脚を直線状に延伸させたときにガントリが起立状態(作業状態)になり、後脚を屈曲させて折り畳み状態にしたときにガントリが倒伏した倒伏状態(収納状態)になるように形成するとともに、ベースマシンと前脚との間にガントリを起伏させるためのシリンダを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−37628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後脚を前脚方向に屈曲可能としたガントリを起立状態から倒伏状態にする際、シリンダを作動させて前脚を倒していこうとしても、直線状態になっている後脚が所定の方向に屈曲しないことがあり、人手によって後脚を屈曲方向に押したりしなければならないときがあった。
【0005】
そこで本発明は、ガントリを収納状態にする際に後脚を確実に屈曲させることができる構造を備えた建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の建設機械は、下端がベースマシンに回動可能に装着された前脚と、該前脚の上端部とベースマシンとの間に設けられた後脚とを備え、該後脚は、下端がベースマシンに回動可能に装着された下部後脚と、上端が前記前脚の上端部に回動可能に装着された上部後脚とを有し、前記下部後脚の上端部と前記上部後脚の下端部とが中間連結部にて屈曲可能に連結され、前記中間連結部を介して下部後脚と上部後脚とを直線状に延伸させることにより前記前脚の上端が上昇して起立状態となり、前記中間連結部を前脚方向に移動させて下部後脚と上部後脚とを屈曲させることにより前記前脚の上端が下降して倒伏状態となるガントリを備えた建設機械において、前記ベースマシンと前記前脚との間に、ガントリを起伏させるためのガントリ起伏シリンダを設けるとともに、前記前脚に設けられたスプリング取付部と前記上部後脚に設けられたスプリング取付部との間に、起立状態時の上部後脚を、下部後脚と上部後脚とが屈曲する方向に付勢する後脚屈曲用スプリングを設け、第1の発明にあっては、前記後脚屈曲用スプリングは、スプリング部と、該スプリング部の一側に設けられた、スプリング伸縮方向に長い長孔を有するスライド板とで形成され、前記長孔により、前記上部後脚のスプリング取付部又は前記前脚のスプリング取付部のいずれかに移動可能に連結したことを特徴とし、第2の発明にあっては、前記後脚屈曲用スプリングは、スプリング部と、該スプリング部の両側にそれぞれ設けられた、スプリング伸縮方向に長い長孔を有するスライド板とで形成され、前記長孔により、前記上部後脚のスプリング取付部及び前記前脚のスプリング取付部に移動可能に連結したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の建設機械によれば、ガントリを収納状態にする際に後脚屈曲用スプリングの付勢力によって上部後脚を屈曲方向に移動させることができるので、ガントリ起伏シリンダをガントリ収納方向に作動させることにより、後脚を確実に屈曲させて折り畳むことができ、人手に頼らずにガントリを収納状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1参考例を示すベースマシンの側面図である。
図2】同じく平面図である。
図3】作業状態のガントリの側面図である。
図4】収納状態のガントリの側面図である。
図5】要部の側面図である。
図6】要部の一部断面背面図である。
図7】本発明の建設機械の第形態例を示す作業状態のガントリにおける要部の側面図である。
図8】同じく要部の一部断面背面図である。
図9】同じく作業状態のガントリにおける要部の側面図である。
図10】建設機械の一つであるアースドリルの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図10は、本発明の建設機械の一つであるアースドリルを示している。このアースドリル11は、自走式のベースマシン12の前部に起伏可能に設けられたブーム13の先端部から垂下した主巻ワイヤ14にスイベルジョイント15を介してケリーバ16を回転可能かつ昇降可能に吊り下げるとともに、ブーム13の下部から複数のアームやシリンダ17によって支持されたケリーバ回転駆動装置18でケリーバ16を回転駆動するように形成されている。ケリーバ16の下端には、作業内容に応じて掘削バケットや拡底バケット19が装着される。
【0010】
ベースマシン12の後部上方には、ベースマシン後部に配置されたウインチ21から巻き出される起伏ワイヤ22をガイドするためのガントリシーブ23を備えたガントリ24が起伏可能に設けられている。起伏ワイヤ22は、上下一対のガイドシーブブロック25に巻掛けられ、上部側のガイドシーブブロック25には、ブーム13の先端後部に連結したペンダントロープ26が連結されている。また、ベースマシン12の後部には、カウンタウエイト27が搭載されている。
【0011】
図1乃至図6に示す参考例のように、ガントリ24は、ベースマシン12の中央上部左右にそれぞれ設けられたブラケット31に前後方向に回動可能に装着された左右一対の前脚32と、該前脚32の上端とベースマシン12の後部左右にそれぞれ設けられた連結バー33の上端との間に設けられた後脚34とを組み合わせたものであり、左右の前脚32の上端部間には、前記ガントリシーブ23を回転可能に支持したシーブ支持軸35が掛け渡されている。
【0012】
後脚34は、下端が前記連結バー33に下部連結軸36aを介して前後方向に回動可能に連結された下部後脚34aと、上端が前記前脚32の上端部に上部連結軸36bを介して前後方向に回動可能に連結された上部後脚34bとで形成されており、下部後脚34aの上端と上部後脚34bの下端とが中間連結軸36cを介して前後方向に屈曲可能に連結されている。
【0013】
下部後脚34aの長さは、上部後脚34bの長さに対して約1/2の長さに設定されており、後脚34の中間連結部である中間連結軸36cを介して両脚34a,34bを直線状に延伸したときに、ガントリ24が図1に実線で示す起立状態となり、前記ガントリシーブ23があらかじめ設定された位置になるように両脚34a,34bの合計長さが設定され、かつ、両脚34a,34bを、中間連結軸36cを前脚32側に移動させて両脚34a,34bを屈曲させ、両脚34a,34bが重なるように折り畳んだ状態にしたときに、ガントリ24が図1に想像線で示す倒伏状態となり、前脚32の上部がカウンタウエイト27の上に位置するように設定されている。
【0014】
そして、前記前脚32の下部とベースマシン12との間には、油圧によってガントリ24を起伏させるためのガントリ起伏シリンダ37が設けられるとともに、前記前脚32の上部に設けられたスプリング取付部38aと前記上部後脚34bの上部に設けられたスプリング取付部38bとの間には、起立状態時の上部後脚34bを、後脚34が屈曲する方向、すなわち、上部後脚34b下端の中間連結軸36cを前脚32の方向に付勢する後脚屈曲用スプリング38が設けられている。
【0015】
このように形成したガントリ24は、倒伏状態から起立状態へは、ガントリ起伏シリンダ37を伸長方向に作動させるだけでよく、両脚34a,34bを直線状に延伸したときに前脚32が所定の角度に起立した状態となる。この起立状態では、前記下部連結軸36a及び中間連結軸36cに隣接してそれぞれ設けられた通孔39a,39bに固定ボルトなどをそれぞれ挿通して固定することにより、後脚34を直線状態に保持することができる。また、後脚屈曲用スプリング38は、伸びた状態になり、縮み方向への復元力が発生する。
【0016】
一方、起立状態のガントリ24を倒伏状態にするときには、ガントリ起伏シリンダ37を短縮方向に作動させると、後脚屈曲用スプリング38の付勢力により、上部連結軸36bを中心として上部後脚34bが前脚32に向かって回動するので、ガントリ起伏シリンダ37の短縮に伴い、直線状態に延伸している後脚34における上部後脚34bが前脚32に向かって屈曲方向に回動し、上部後脚34b下端の中間連結軸36cが前脚32に向かって移動することから、下部後脚34aが下部連結軸36aを中心として前脚32の方向に倒れ、下部後脚34aと上部後脚34bとが屈曲して折り畳まれた状態になり、さらに、折り畳まれた後脚34の上に前脚32が重なった倒伏状態になる。この倒伏状態では、前脚32の上端から下方に垂下した状態で設けられている固定アーム40の下端を、カウンタウエイト搭載部41に設けられている固定部42に固定ボルトなどで固定することにより、ガントリ24を倒伏状態に保持することができる。
【0017】
したがって、起立状態のガントリ24を倒伏状態にするときに、後脚屈曲用スプリング38の付勢力により、後脚34を自動的に屈曲させることができるので、人手に頼らずにガントリを収納状態にすることができ、安全性を確保することができる。
【0018】
図7乃至図9は、本発明の第形態例を示している。なお、以下の説明において、前記参考例に示した建設機械の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0019】
本形態例では、前記前脚32の上部と前記上部後脚34bの上部との間に設けた後脚屈曲用スプリング38を、スプリング部51とスライド板52とで形成するとともに、スライド板52にスプリング伸縮方向に長い長孔52aを形成し、該長孔52aにより、スライド板52を前記スプリング取付部38bに移動可能に連結している。
【0020】
このように、後脚屈曲用スプリング38をスプリング部51とスライド板52とで形成することにより、ガントリ24を収納状態にしたときに、スライド板52がスライドすることによってスプリング部51の変形量を小さくすることができる。これにより、スプリング部51の負荷を軽減して長寿命化を図ることができる。
【0021】
前記スライド板52は、前脚32のスプリング取付部38a側に設けることもでき、スプリング部51の両側に設けることもできる。さらに、スライド板52に代えて、スプリング取付部38a,38bを中心として回動可能な回動部材を用いることもできる。
【0022】
なお、ガントリの細部の構造は、ベースマシンの状態などに応じて任意であり、付属品の有無も任意である。また、前記形態例では、建設機械としてアースドリルを例示したが、本発明のガントリの構造は、杭打機やクレーンなど、ガントリを備えた各種建設機械に適用することができる。
【符号の説明】
【0023】
11…アースドリル、12…ベースマシン、13…ブーム、14…主巻ワイヤ、15…スイベルジョイント、16…ケリーバ、17…シリンダ、18…ケリーバ回転駆動装置、19…拡底バケット、21…ウインチ、22…起伏ワイヤ、23…ガントリシーブ、24…ガントリ、25…ガイドシーブブロック、26…ペンダントロープ、27…カウンタウエイト、31…ブラケット、32…前脚、33…連結バー、34…後脚、34a…下部後脚、34b…上部後脚、35…シーブ支持軸、36a…下部連結軸、36b…上部連結軸、36c…中間連結軸、37…ガントリ起伏シリンダ、38…後脚屈曲用スプリング、38a,38b…スプリング取付部、39a,39b…通孔、40…固定アーム、41…カウンタウエイト搭載部、42…固定部、51…スプリング部、52…スライド板、52a…長孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10