(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(a1)と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメント(a2)とを構成成分とし、融点が163℃以上210℃未満のポリエステルブロック共重合体(A)66〜99重量%とポリビニルアセタール樹脂(B)1〜34重量%からなる樹脂成分(ポリエステルブロック共重合体(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の合計が100重量%である)100重量部に対し、シランカップリング剤(C)0.01〜5.0重量部と、酸化防止剤(D)0.01〜5.0重量部と、ポリカルボジイミド化合物(E)0.1〜5.0重量部を含有する熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
前記ポリエステルブロック共重合体(A)のハードセグメント(a1)が、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンイソフタレート単位とからなる請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
前記ポリエステルブロック共重合体(A)のハードセグメント(a1)が、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートとイソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート/イソフタレート単位からなる請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
前記ポリエステルブロック共重合体(A)のソフトセグメント(a2)が、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール単位を構成成分とするものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
前記酸化防止剤(D)が、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤からなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)とは、結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(a1)と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメント(a2)とを構成成分とし、融点が210℃未満のポリエステルブロック共重合体である。
【0013】
ハードセグメント(a1)は、好ましくは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成される。
【0014】
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル−4,4' −ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4' −ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、および3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0015】
本発明においては、上記酸成分を2種以上使用することが好ましく、例えばテレフタル酸とイソフタル酸、テレフタル酸とドデカンジオン酸、テレフタル酸とダイマー酸などの組み合わせが挙げられる。酸成分を2種以上使用することでハードセグメントの結晶化度を下げることができ、柔軟性を付与することも可能で、かつ他の熱可塑性樹脂との熱接着性も向上する。
【0016】
ジオールの具体例としては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、およびキシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニルプロパン、2,2' −ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4' −ジヒドロキシ−p−ターフェニル、および4,4' −ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールは、エステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩などの形でも用い得る。
【0017】
ポリエステルブロック共重合体(A)のハードセグメント(a1)は、好ましくは、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンイソフタレート単位とからなる。
【0018】
ポリエステルブロック共重合体(A)のハードセグメント(a1)は、より好ましくは、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートとイソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート/イソフタレート単位からなる。
【0019】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)のソフトセグメント(a2)は、脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位から構成される。
【0020】
構成単位である脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールなどが挙げられる。また、構成単位である脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルのなかで得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性からは、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコール、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、及びポリエチレンアジペートなどの使用が好ましく、これらの中でも特にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、及びエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールの使用が好ましい。また、これらのソフトセグメントの数平均分子量としては共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
【0021】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の融点は210℃未満であり、好ましくは200℃未満、さらに好ましくは190℃未満であることが、異種成形体との接合において有効である。
【0022】
ここで、融点とは、示差走査熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)と定義する。
【0023】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)のソフトセグメント(a2)の共重合量は、ハードセグメント(a1)とソフトセグメント(a2)の合計を100重量%としたとき、通常、20〜95重量%、好ましくは25〜90重量%であり、20%未満であるとポリエステルブロック共重合体(A)の融点が高くなり過ぎてしまい、異種成形体との接合が困難となり、95%を超える場合には結晶性が悪くなるため好ましくない。
【0024】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物では、ポリエステルブロック共重合体(A)の含有量は、ポリエステルブロック共重合体(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の総計を100重量部としたとき、66重量%〜99重量%であり、好ましくは76〜97重量%である。ポリエステルブロック共重合体(A)の含有量が、66重量%未満では得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物の機械特性が低く成形加工性が劣り、99重量%を越えると接合強度が低下する。
【0025】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)は、公知の方法で製造することができる。その具体例としては、例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、およびジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法などをとることが出来、この中でもジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法が好ましい。
【0026】
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)は、ポリビニルアルコールとアルデヒド化合物とを塩酸等の酸触媒の存在下で脱水縮合(アセタール化)させて製造されたものである。
【0027】
また、ポリビニルアルコール樹脂のアセタール化を、ブチルアルデヒドを主体とするアルデヒドで行って得られるポリビニルアセタール樹脂を特にポリビニルブチラール樹脂と呼ぶ。
【0028】
ポリビニルアセタール樹脂(B)としては市販品を使用することでき、例えば、積水化学工業(株)製エスフレックスBL−1、BL−2、BX−L、BM−S、KS−3、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5、BX−L等があり電気化学工業(株)製デンカブチラール3000−1、3000−2、3000−4、4000−2等があり、これらに限定されるものではない。
【0029】
ポリビニルアセタール樹脂(B)の含有量は、ポリエステルブロック共重合体(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の総計を100重量部としたとき、1〜34重量%であり、好ましくは3〜24重量%である。ポリビニルアセタール樹脂(B)が、1重量%未満では接合強度が低く、34重量%を超えると得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物の機械強度が低く、成型加工性にも劣る。
【0030】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物では、ポリエステルブロック共重合体(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の総計を100重量部としたとき、シランカップリング剤(C)を0.01〜5.0重量部含有する。シランカップリング剤の配合量が0.01重量部未満では接合強度が低く、また5重量部を超えると、ブルーミングを生じ、熱安定性が低下する。
【0031】
本発明に用いられるシランカップリング剤(C)は、好ましくは、1分子中にアミノ基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、スルフィド基等を有するもので、中でもエポキシ基を有するエポキシ系シランカップリング剤が好適に使用される。シランカップリング剤の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロキルエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリイルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等があり、これらは1種単独または2種以上併用して使用することができる。
【0032】
本発明のシランカップリング剤(C)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の総計を100重量部としたとき、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1.5重量部である。
【0033】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物では、ポリエステルブロック共重合体(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の総計を100重量部としたとき、酸化防止剤(D)0.01〜5.0重量部含有する。酸化防止剤の合計配合量が0.01重量部未満では、目的とする改良効果が得られない。また5重量部を超えると、ブルーミングを生じ、熱可塑性エラストマー樹脂組成物の機械的強度が低下する。
【0034】
本発明に用いられる酸化防止剤(D)としては、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤からなる群より選ばれた1種、または2種以上が挙げられ、中でも芳香族アミン系酸化防止剤が好適に使用される。
【0035】
芳香族アミン系酸化防止剤の具体例としては、フェニルナフチルアミン、4,4’−ジメトキシジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、および4−イソプロポキシジフェニルアミンなどが挙げられるが、これらの中でもジフェニルアミン系化合物の使用が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸のジエチルエステル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル−ジフェニルメタン、α−オクタデシル−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6−(ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、ヘキサメチレングリコール−ビス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンホスホン酸のジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ジ−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアヌレートなどが挙げられる。これらの中でも特にテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものの使用が好ましい。
【0036】
イオウ系酸化防止剤とは、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、およびチオジプロピオンエステル系などのイオウを含む化合物である。これらの中でも、特にチオジプロピオンエステル系化合物の使用が好ましい。
リン系酸化防止剤とは、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、およびジアルキルビスフェノールAジホスファイトなどのリンを含む化合物である。これらの中でも、分子中にリン原子とともにイオウ原子も有する化合物、あるいは分子中に2つ以上のリン原子を有する化合物の使用が好ましい。
【0037】
酸化防止剤(D)の合計配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の総計を100重量部としたとき、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1.5重量部である。
【0038】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物では、ポリエステルブロック共重合体(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の総計を100重量部としたとき、ポリカルボジイミド化合物(E)を0.1〜5.0重量部含有する。ポリカルボジイミド化合物の配合量が0.1重量部未満では恒温恒湿処理後の接合強度低下抑制効果が低く、また5重量部を超えると樹脂組成物の溶融粘度が著しく高くなるため成形加工性が悪化する。
【0039】
本発明に用いられるポリカルボジイミド化合物(E)とは、(−N=C=N−)で表される構造(カルボイジイミド基)を有する化合物であり、例えば、適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱し、脱炭酸反応で製造できる。
【0040】
ポリカルボジイミド化合物(E)は、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートやこれらの混合物を重合して得られる化合物から選択できる。ポリカルボジイミドの具体例としては、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などのポリカルボジイミドなどを挙げることができる。中でも耐熱性の観点から芳香族ポリカルボジイミド化合物であることが好ましい。
【0041】
前記ポリカルボジイミド化合物(E)の市販品としては、スタバクゾールP(分子量3000、ラインケミージャパン(株)製)、スタバクゾールP400(分子量約20000、ラインケミージャパン(株)製)やLA−1(分子量約2000、日清紡ケミカル(株)製)を挙げることができる。
【0042】
ポリカルボジイミド化合物(E)の数平均分子量は1,000〜100,000であることが好ましく、1,500〜70,000であることがより好ましく、さらには2,000〜50,000であることが好ましい。数平均分子量が1,000未満である場合、恒温恒湿処理後の接合力の低下がする場合があり、また数平均分子量が100,000を超える場合、樹脂組成物の溶融粘度が高くなる場合がある。
【0043】
ポリカルボジイミド化合物(E)の融点は、50〜200℃であることが好ましく、 75 〜 175 ℃であることがより好ましく、100〜150℃であることが特に好ましい。融点が50℃未満の場合、加工時の熱によりポリカルボジイミド化合物の分解の恐れがあり、200℃を超える場合、樹脂組成物との分散不良の恐れがあるため好ましくない。
【0044】
本発明のポリカルボジイミド化合物(E)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の総計を100重量部としたとき、好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜2.0重量部である。
【0045】
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤を添加することができる。例えば公知の結晶核剤や滑剤などの成形助剤、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系化合物である耐光剤、顔料や染料などの着色剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤、補強剤、充填剤、可塑剤、離型剤などを任意に含有することができる。
【0046】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法は、例えば、ポリエステルブロック共重合体(A)、ポリビニルアセタール樹脂(B)、シランカップリング剤(C)、酸化防止剤(D)、ポリカルボジイミド化合物(E)を配合した原料を、スクリュー型押出機に供給し溶融混練する方法など適宜採用することができる。
【0047】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、射出成形、押出成形など各種方法により成形加工することが可能である。
【0048】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、異種材料からなる成形体を接合するための接合材として好ましく使用することができ、各種金属、ガラス、セラミックス、樹脂等各種材質からなる成形体を熱溶着することで接合することができる。
【0049】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、異種材料からなる成形体の接合剤として使用して複合成形体を得ることができる。
【0050】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物をもちいて成形された複合体は恒温恒湿処理(80℃×95%RH×500h)後の接着強度保持率が50%以上であることが好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。
【0051】
成形体の接合方法としては、例えばレーザー光を照射する方法、熱板にて加熱する方法、高周波を使用する方法、金属などの成形体自体を加熱し熱可塑性エラストマー樹脂組成物を溶融させる方法、射出成形機や押出成形機から溶融した熱可塑性エラストマー樹脂組成物を吐出し2色成形等の方法で接合する方法等を選択することができる。
【実施例】
【0052】
以下に、実施例及び比較例により本発明をより詳しく説明する。以下の実施例でいう部および%は、特に断らない限りは重量単位を示す。
【0053】
また、以下の実施例における熱可塑性エラストマー樹脂組成物の硬度、引張破断強さ、引張破断伸び、各種材質との接合力の評価は、次の方法により行った。
【0054】
[引張破断強さ、引張破断伸び]
90℃で3時間以上熱風乾燥したペレットを、射出成形機(日精樹脂工業製 NEX−1000)を用いて、シリンダー温度220℃と金型温度50℃の成形条件で、JISK7113 2号ダンベル試験片を成形し、JIS K7113に従って測定した。
【0055】
[金属材料との熱プレスによる接合力]
異種材料として、長さ60mm×幅10mm×肉厚1.5mmの各種金属(アルミ、銅合金)を、下側220℃、上側220℃に設定した熱プレスの下側に配置し1分間放置する。その後、縦12mm横25mm×肉厚0.2mmにカットした熱可塑性エラストマー樹脂組成物シートを、金属板材の上に配置し、さらに12mm重ね合わせるように同じ金属板材を配置する。その後2MPaの加重で15秒間プレスし熱可塑性エラストマー樹脂組成物を溶融させて金属に接合させた。その後、2枚の金属板材からなる接合体を、上側と下側を40℃に設定したプレスにて、2MPa×15秒間プレスして熱可塑性エラストマー樹脂組成物を固化させることにより、2枚の金属板材が12mm
2の面積で重ね合わせられた引張剪断試験片を得た。その後、引張剪断試験片の両端を引張試験機のチャックにはさみ、50mm/分の歪み速度で引張り接合面の引張剪断によって剥がれる力を測定した。引張剪断によって得られた剥がれ力を接合面積で割り算した値を接合力として算出した。また、各接合試験片については耐久性試験として80℃×95%RH×500hの湿熱処理を施した後にも同様の方法で引張剪断による接合力を測定した。
【0056】
[スライドガラスとの熱プレスによる接合力]
長さ75mm×幅25mm×肉厚1mmのスライドガラスを、下側220℃、上側220℃に設定した熱プレスの下側に配置し1分間放置する。その後、縦12っm横25mm×肉厚0.2mmにカットした熱可塑性エラストマー樹脂組成物シートをスライドガラスの上に配置し、さらに12mm重ね合わせるように同じスライドガラスを配置する。その後、0.3MPaの加重で15秒間プレスし熱可塑性エラストマー樹脂組成物を溶融させてスライドガラスに接合させた。その後、2枚のスライドガラスからなる接合体を、上側と下側を40℃に設定したプレスにて、0.3MPa×15秒間プレスして熱可塑性エラストマー樹脂組成物を固化させることにより、2枚のスライドガラスが10mm
2の面積で重ね合わせられた引張剪断試験片を得た。その後、引張剪断試験片の両端を引張試験機のチャックにはさみ、50mm/分の歪み速度で引張り接合面の引張剪断によって剥がれる力を測定した。引張剪断によって得られた剥がれ力を接合面積で割り算した値を接合力として算出した。また、各接合試験片については耐久性試験として80℃×95%RH×500hの湿熱処理を施した後にも同様の方法で引張剪断による接合力を測定した。
【0057】
また、使用材料の詳細は下記のとおりである。
【0058】
[ポリエステルブロック共重合体(A)]
東レ・デュポン(株)製 ハイトレル4057N(PBT/PBI−PTMG共重合体、融点:163℃)
東レ・デュポン(株)製 ハイトレル2551(PBT/PBI−PTMG共重合体、融点:190℃)
[ポリビニルアセタール樹脂(B)]
積水化学工業(株)製 エスレックBM−SZ(ポリビニルブチラール)
積水化学工業(株)製 エスレックKS−1(ポリビニルアセタール)
[シランカップリング剤(C)]
東レ・ダウコーニング(株)製 Z−6040
[酸化防止剤(D)]
白石カルシウム(株)製 ナウガード445(芳香族アミン系酸化防止剤)
[モノカルボジイミド化合物(E’)]
ラインケミージャパン(株)製 Stabaxol1LF(分子量:360)
[ポリカルボジイミド化合物(E)]
ラインケミージャパン(株)製 StabaxolP(分子量:3,000)
ラインケミージャパン(株)製 StabaxolP400(分子量:20,000)
[実施例1〜7、比較例1〜9]
ポリエステルブロック共重合体(A)、ポリビニルアセタール樹脂(B)、シランカップリング剤(C)、酸化防止剤(D)、ポリカルボジイミド化合物(E)を、表1、2に示すような配合比率でドライブレンドし、45mmφのスクリューを有する2軸押出機を用いて、220℃の温度設定で溶融混練したのちペレット化した。このペレットを80℃で5時間乾燥した後、各種特性値を試験した。試験結果は表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1の結果から明らかなように、実施例の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、引張破断強さ、引張10%歪応力、引張破断伸びに優れ、各種金属(アルミ、銅合金)の熱プレスにおける接合力、スライドガラスの熱プレスにおける接合力に優れ、恒温恒湿処理(80℃95%RH×500h)後においてもその接合力が低下し難いことが分かる。
【0062】
一方、本発明の条件を満たさない比較例1〜8の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、本発明の樹脂組成物に比較して各種接合力が低く、特にポリカルボジイミド化合物(E)を含まない、又はモノカルボジイミドを用いたものでは恒温恒湿処理後の接合力低下が大きい(比較例1〜3,5)。またポリカルボジイミドの配合量が規定範囲を超えた比較例6では吐出が不安定となりペレットを得ることが困難であり、一方規定範囲を下回る比較例7では、恒温恒湿処理後の接合力低下抑制効果が薄いことが分かった。またポリビニルアセタール樹脂(B)の配合量が規定範囲を超えた比較例8では成形加工性が著しく劣り成形品を得ることができなかった。