特許第6284446号(P6284446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6284446ダイナミックマイクロホンおよび背部空気室の成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284446
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】ダイナミックマイクロホンおよび背部空気室の成形方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20180215BHJP
   H04R 9/08 20060101ALI20180215BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H04R1/28 320Z
   H04R9/08
   H04R1/02 106
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-132174(P2014-132174)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-12756(P2016-12756A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】秋野 裕
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−336777(JP,A)
【文献】 特開2005−277652(JP,A)
【文献】 特開2011−205299(JP,A)
【文献】 特開2006−157086(JP,A)
【文献】 米国特許第04920564(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
H04R 1/28
H04R 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイルを備えた振動板および前記ボイスコイルが振動可能に配置される磁気ギャップを備えた磁気回路を含むダイナミックマイクロホンユニットと、
前記ダイナミックマイクロホンユニットに連結され、前記振動板の背面に連通する背部空気室を形成する有底状の筐体と、
前記筐体内に圧着されて配置され、前記ダイナミックマイクロホンユニットから遠ざかるにしたがって、開口面積が除々に減少する窪みを備えた金属繊維よりなる音響抵抗体とを備えることを特徴とするダイナミックマイクロホン。
【請求項2】
前記金属繊維は、アルミニウム繊維であることを特徴とする請求項1に記載されたダイナミックマイクロホン。
【請求項3】
前記ダイナミックマイクロホンユニットから遠ざかるにしたがって、開口面積が除々に減少する窪みを複数個備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたダイナミックマイクロホン。
【請求項4】
前記筐体内に圧着されて配置される金属繊維は、前記筐体の内面に対して隙間なく密着した状態で配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載されたダイナミックマイクロホン。
【請求項5】
背部空気室を形成する前記筐体は、前記マイクロホンユニットを支持するグリップケースであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載されたダイナミックマイクロホン。
【請求項6】
背部空気室を形成する前記筐体は、前記マイクロホンユニットを支持するグリップケース内に収容されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載されたダイナミックマイクロホン。
【請求項7】
ダイナミックマイクロホンユニットの振動板の背面に連通する背部空気室の成形方法であって、
振動板の背面に連通する開口部を備えた有底状の筐体内に、所定量の金属繊維を投入する工程と、
先端部に向かって外径が縮小する突起部を備えたロッド部材を、前記筐体の開口部から挿入し、筐体内の金属繊維に前記ロッド部材の突起部に対応した窪みを塑性変形により形成させる工程と、
前記筐体の開口部から、前記ロッド部材を引き抜く工程とを備えることで、開口面積が除々に減少する窪みを有する金属繊維よりなる音響抵抗体を筐体の内底部に備えた背部空気室を得ることを特徴とする背部空気室の成形方法。
【請求項8】
金属繊維にロッド部材の突起部に対応した窪みを塑性変形により形成させる工程において、前記金属繊維を前記筐体の内面に対して隙間なく密着させることを特徴とする請求項7に記載された背部空気室の成形方法。
【請求項9】
前記金属繊維として、アルミニウム繊維を用いることを特徴とする請求項7または請求項8に記載された背部空気室の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイナミックマイクロホンユニットの背部に形成される空気室に改良を加えたダイナミックマイクロホンおよび背部空気室の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無指向性ダイナミックマイクロホンは抵抗制御で動作し、単一指向性ダイナミックマイクロホンは質量制御と抵抗制御で動作することは知られている。
ダイナミックマイクロホンの抵抗制御は、振動板後部の直近に配置された音響抵抗と、この音響抵抗の背後に音波の侵入しない背部空気室を設けることで実現される。前記音響抵抗は背部空気室の入り口にあり、背部空気室の容積が極めて大きい場合には、音響抵抗から空気室を見たインピーダンスはほぼ音響抵抗となる。
【0003】
しかし背部空気室の容積が小さいと空気室のスチフネスがあることから、低域では空気室のインピーダンスが音響抵抗に直列に接続された状態で動作する。
したがって、背部空気室を小さく設計すると低域の周波数応答が低下し、低域の指向性も変化する。現実には、この背部空気室の容積を無限に大きくすることは不可能であり、特に手持ちタイプのダイナミックマイクロホンにおいては、背部空気室の容積にはより制限が加わることになる。
【0004】
一方、背部空気室を形成する壁のいずれかの部分が振動すると、空気室の容積が変動することで発生する音波が、前記した音響抵抗を介して振動板に到達する。したがって、空気室の壁の一部が振動する場合には、その共振周波数の付近においてマイクロホンの指向周波数応答が劣化する。
【0005】
また、底の有るパイプ状の空気室を用いると長手方向で定在波が発生する。これは前記した音響抵抗を経て空気室に入った音波で発生する。このために空気室内部に音響抵抗の少ないスポンジ等を入れて定在波の発生を阻止する手段が一般的に採用される。
しかしこの場合、空気室内部に入れる音響抵抗は、前記した抵抗制御を実現するための音響抵抗と等価的に直列接続されることから、定在波の発生を抑えるための音響抵抗は必要最小の範囲にとどめることが必要となる。
【0006】
ところで、特許文献1には背部空気室の開口断面積が、振動板から遠のくにしたがって小さく設定した構成のダイナミックマイクロホンが提案されている。
この特許文献1に開示されたダイナミックマイクロホンによると、マイクロホングリップ(グリップケース)およびこのマイクロホングリップ内に収容される背部空気室は、後端側に向かうにしたがって開口断面積が小となるように形成され、これによりマイクロホングリップ内および背部空気室内に定在波が生ずるのを抑制するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3882268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した特許文献1に開示されたダイナミックマイクロホンによると、背部空気室の外壁の形状とマイクロホングリップ内の形状を概ね一致させないと、特許文献1の図1に示すようなマイクロホングリップ内の容積を有効活用することができない。
すなわち、背部空気室の容積は前記したとおり、できるだけを大きく設定することが望ましいところ、特許文献1に開示されたダイナミックマイクロホンにおいては、例えば円錐状の背部空気室を形成させるために、空気室の容積に制約が加わるという問題を抱えている。
【0009】
そこでこの発明は、グリップケース内の容積を有効に利用して、背部空気室を大きく設計することができると共に、背部空気室を形成する壁面が特定の共振周波数を持つのを阻止し、さらに背部空気室内に定在波が生ずるのを効果的に阻止することができるダイナミックマイクロホンおよび背部空気室の成形方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を達成するためになされたこの発明に係るダイナミックマイクロホンは、ボイスコイルを備えた振動板および前記ボイスコイルが振動可能に配置される磁気ギャップを備えた磁気回路を含むダイナミックマイクロホンユニットと、前記ダイナミックマイクロホンユニットに連結され、前記振動板の背面に連通する背部空気室を形成する有底状の筐体と、前記筐体内に圧着されて配置され、前記ダイナミックマイクロホンユニットから遠ざかるにしたがって、開口面積が除々に減少する窪みを備えた金属繊維よりなる音響抵抗体とを備えることを特徴とする。
【0011】
この場合、前記金属繊維としては、好ましくはアルミニウム繊維が用いられる。そして、前記ダイナミックマイクロホンユニットから遠ざかるにしたがって、開口面積が除々に減少する窪みは、複数個備える構成も採用することができる。
加えて、前記筐体内に圧着されて配置される金属繊維は、前記筐体の内面に対して隙間なく密着した状態で配置されることが望ましい。
【0012】
そして、背部空気室を形成する前記筐体は、前記ダイナミックマイクロホンユニットを支持するグリップケースを利用することができる。また、背部空気室を形成する筐体を、前記マイクロホンユニットを支持するグリップケース内に収容した構成も好適に採用することができる。
【0013】
一方、この発明に係るダイナミックマイクロホンユニットの振動板の背面に連通する背部空気室の成形方法は、振動板の背面に連通する開口部を備えた有底状の筐体内に、所定量の金属繊維を投入する工程と、先端部に向かって外径が縮小する突起部を備えたロッド部材を、前記筐体の開口部から挿入し、筐体内の金属繊維に前記ロッド部材の突起部に対応した窪みを塑性変形により形成させる工程と、前記筐体の開口部から、前記ロッド部材を引き抜く工程とを備えることで、開口面積が除々に減少する窪みを有する金属繊維よりなる音響抵抗体を筐体の内底部に備えた背部空気室を得ることができる。
【0014】
この場合、金属繊維にロッド部材の突起部に対応した窪みを塑性変形により形成させる工程において、前記金属繊維を前記筐体の内面に対して隙間なく密着させることが望ましく、また前記金属繊維として、アルミニウム繊維を好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
前記した構成のダイナミックマイクロホンおよびその背部空気室の成形方法によると、有底状の筐体内に、例えばアルミニウム繊維に代表される金属繊維が投入され、この金属繊維は先端部に向かって外径が縮小する突起部を備えたロッド部材によって、有底状の筐体内に押し込まれて塑性変形を受ける。
したがって、前記金属繊維はダイナミックマイクロホンユニットから遠ざかるにしたがって、開口面積が除々に減少する窪みを備えた音響抵抗体として成形される。
【0016】
また、前記ロッド部材によって金属繊維が有底状の筐体内に押し込まれる際に、金属繊維はロッド部材による圧力受けて、前記筐体内に圧着される。これにより、金属繊維は筐体の内面に対して隙間なく密着された状態で固定される。
【0017】
金属繊維による音響抵抗体に形成された前記窪みの形状は、その開口面積がダイナミックマイクロホンユニットから遠ざかるにしたがって除々に減少するように構成されるため、その音響抵抗も同様にダイナミックマイクロホンユニットから遠ざかるにしたがって増加するようになされる。これにより、背部空気室内における定在波の発生を効果的に阻止することができる。
【0018】
また、前記金属繊維は背部空気室を構成する筐体内に圧着されて、筐体の内面に隙間なく密着した状態で収容されるので、前記金属繊維は筐体を構成する壁面の自由振動を抑制し、背部空気室の壁面が特定の共振周波数を持つのを効果的に阻止したダイナミックマイクロホンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明に係るダイナミックマイクロホンの全体構成を示した中央断面図である。
図2図1に示すダイナミックマイクロホンおける背部空気室を成形する場合の成形方法を説明する工程図である。
図3】この発明に係る他の構成のダイナミックマイクロホンの全体構成を示した中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係るダイナミックマイクロホンについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
図1は第1の実施の形態を示すものであり、この図1に示す例においては、主にボーカル用やスピーチ用として用いるために、例えば黄銅合金により形成された円筒状のグリップケース11が備えられている。
そして、グリップケース11内には、ゴム弾性体からなるショックマウント部材12を介して、例えばアルミニウム素材により構成された有底状の筐体13が、グリップケース11と同軸状に取り付けられている。なお、この有底状の筐体13は、後述するとおりダイナミックマイクロホンユニットの背部空気室14を構成するものとなる。
【0021】
前記筐体13の前端部には、ダイナミックマイクロホンユニット15が取り付けられている。このダイナミックマイクロホンユニット15は周知のとおり、ボイスコイル16を備えた振動板17および前記ボイスコイル16が振動可能に配置された磁気ギャップを有する磁気回路18を備えており、このマイクロホンユニット15の前記磁気回路18を構成するヨークの周側面が、円筒状に形成されたユニットホルダー19に嵌め込まれた状態で取り付けられている。
【0022】
ユニットホルダー19の後端部には、音響抵抗体20を収容し、中央部に音孔21aが形成されたキャップ部材21が嵌合されて取り付けられている。そして、ダイナミックマイクロホンユニット15を構成する前記振動板17の背面は、前記音響抵抗体20および音孔21aを介して、前記した筐体13内の背部空気室14に連通されている。
なお、前記ユニットホルダー19の前端部には、前記振動板17を覆うようにして、レゾネータ22が取り付けられている。
【0023】
そして、グリップケース11の前端部には、ダイナミックマイクロホンユニット15を覆うようにして、金属メッシュを備えた保護カバー24が取り付けられている。
また、グリップケース11の後端部には、出力コネクタ25が取り付けられている。
【0024】
加えて、この実施の形態においては、背部空気室14を形成する有底状の筐体13内には、金属繊維(この実施の形態においては、アルミニウム繊維)による音響抵抗体27が収容されており、図1に示す例においては、マイクロホンユニット15から遠ざかるにしたがって、開口面積が除々に減少する窪み28が、音響抵抗体27の中央部に形成されている。
なお、有底状の筐体13内に収容される金属繊維による音響抵抗体27については、その成形方法を説明する図2に基づいて、詳しく説明する。
【0025】
図2は、金属繊維による音響抵抗体27の成形方法を説明するものである。これに用いられる金属繊維については、例えば特許第3856790号公報に開示されており、線径が50〜100μmのアルミニウム繊維を好適に用いることができる。
このアルミニウム繊維は、溶融状態のアルミニウムを例えばノズル噴出孔から大気中に噴出し、急冷凝固させることにより得ることができる。
すなわち、これによって得られるアルミニウム繊維は、例えば綿繊維と同様にアルミニウムの長繊維が非圧縮状態で所定の面密度を持った状態で提供される。
【0026】
このアルミニウム繊維を用いて、背部空気室14内に音響抵抗体27を形成するには、図2(A)に示すように背部空気室14を構成する有底状の筐体13内に、予め定められた量のアルミニウム繊維(音響抵抗体と同一の符号27で示す。)が投入される。
この状態においては、アルミニウム繊維27は非圧縮状態であり、筐体13の内面との間に適宜の隙間31が存在する。
【0027】
続いて、先端部に向かって外径が縮小する突起部33aを備えたロッド部材33が、筐体13の開口部13aから挿入される。このロッド部材33は例えば黄銅合金により形成され、図2(B)に示すようにロッド部材33の外径は、筐体13の内径よりも僅かに小さい程度に設定されている。
【0028】
前記ロッド部材33の突起部33aは、この例においてはほぼ円錐形状に構成されており、筐体13内に投入されたアルミニウム繊維27は、ロッド部材33の降下圧力を受けて筐体13の下底部13b側に押し込められて圧縮作用を受ける。
これにより、筐体13内のアルミニウム繊維27の中央部には、前記ロッド部材33の突起部33aに対応した窪み28が塑性変形により形成される。
【0029】
これと同時に、筐体13内のアルミニウム繊維27は、前記ロッド部材33の降下圧力を受けて前記筐体13内に圧着されて塑性変形し、アルミニウム繊維27は筐体13の内面に対して隙間なく密着された状態で固定され、音響抵抗体として機能することになる。
【0030】
図2(C)は、筐体13内から前記ロッド部材33を引き抜いた状態を示しており、筐体13の内底部には、中央部に開口面積が除々に減少する窪み28を有するアルミニウム繊維よりなる音響抵抗体27が、筐体13の下底部内面に対して隙間なく密着した状態で固定されている。
前記した工程によって形成されたアルミニウム繊維よりなる音響抵抗体27は、筐体13の開口部側の繊維密度が粗であるのに対して、筐体13の下底部側の繊維密度は密となる密度分布に設定される。なお、前記密度分布は、全体がほぼ均一であっても同様の作用効果を得ることができる。
そして、図2(C)示す音響抵抗体27を収容した筐体13は、その開口部13a側が図1に示すようにダイナミックマイクロホンユニット15の振動板17の背面に連通するように取り付けられる。
【0031】
したがって、図1に示すダイナミックマイクロホンによると、アルミニウム繊維よりなる音響抵抗体27に形成された円錐形状の窪み28は、背部空気室14内における定在波の発生を効果的に阻止するように作用する。これにより、背部空気室14内の定在波による影響を受けることのないダイナミックマイクロホンを提供することができる。
【0032】
また、背部空気室14を構成する筐体13内には、筐体の下底部内面に隙間なく密着した状態でアルミニウム繊維よりなる音響抵抗体27が収容されるので、前記アルミニウム繊維は筐体13を構成する壁面の自由振動を抑制し、背部空気室14の壁面が特定の共振周波数を持つのを阻止することができる。
これにより、背部空気室14における壁面の共振周波数でマイクロホンの指向周波数応答が劣化するのを確実に阻止することもできる。
【0033】
図3は、この発明に係るダイナミックマイクロホンの第2の実施の形態を示したものである。この図3に示す形態は、図1に示す背部空気室14を形成する筐体13に代えて、グリップケース11を筐体として利用している。
したがって図3においては、図1に示すダイナミックマイクロホンと同一の機能を果たす部分を同一符号で示しており、その詳細な説明は省略する。
【0034】
この図3に示す例においては、グリップケース11を背部空気室14を形成する筐体13として利用するものであるため、グリップケース11の後端部に取り付けられる出力コネクタ25を内側から覆う封止部材29が、グリップケース11の下底部に配置される。
そして、アルミニウム繊維を用いてグリップケース11内に窪み28を有する音響抵抗体27を形成する方法は、図2に示した例と同様である。
したがって、図3に示す例においても、図1に示すダイナミックマイクロホンと同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
加えて、図3に示したダイナミックマイクロホンの第2の例によると、グリップケース11を利用して背部空気室14を形成するものであるため、グリップケース11の容積を有効に利用した背部空気室14とすることができ、ダイナミックマイクロホンの低域特性の改善に寄与することができる。
【0036】
以上説明した実施の形態においては、金属繊維による音響抵抗体27には、その中央部に1つの円錐状の窪み28を形成した形態になされているが、これは開口面積が除々に減少する窪みを複数個備える構成であっても同様の作用効果を得ることができる。
前記したとおり、音響抵抗体27に開口面積が除々に減少する窪み28を複数個備える場合には、図2に示したロッド部材33に代えて、先端部に例えば円錐状の突起部33aを複数個備えたロッド部材33を利用することで、音響抵抗体27に対して同様に塑性変形により複数個の窪み28を形成することができる。
【0037】
また、以上説明した実施の形態においては、金属繊維としてアルミニウム繊維を用いた例を示しているが、例えば図2に示したようにロッド部材33の圧力を受けて塑性変形を受けるアルミニウム繊維以外のその他の金属繊維も同様に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
11 グリップケース
12 ショックマウント部材
13 筐体
13a 開口部
13b 下底部
14 背部空気室
15 ダイナミックマイクロホンユニット
16 ボイスコイル
17 振動板
18 磁気回路
19 ユニットホルダー
20 音響抵抗体
21 キャップ部材
21a 音孔
22 レゾネータ
24 保護カバー
25 出力コネクタ
27 音響抵抗体(金属繊維)
28 窪み
29 封止部材
31 隙間
33 ロッド部材
33a 突起部
図1
図2
図3