(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蒸気外輪入口部は、前記空洞部の一部が一対の入口仕切板により区画される外輪入口ヘッダと、前記外輪に設けられて前記外輪入口ヘッダに連通する蒸気供給口とを有し、前記蒸気外輪出口部は、前記空洞部の一部が一対の出口仕切板により区画される外輪出口ヘッダと、前記外輪に設けられて前記外輪出口ヘッダに連通する蒸気排出口とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静翼ユニット。
前記外輪の空洞部に前記外輪入口ヘッダ及び前記外輪出口ヘッダに隣接してドレン排出部が設けられ、前記ドレン排出部が前記静翼の中空部に連通されることを特徴とする請求項3に記載の静翼ユニット。
前記内輪の空洞部に設けられる蒸気内輪入口部と、前記内輪の空洞部に前記蒸気内輪入口部に周方向に離間して設けられる蒸気内輪出口部と、前記静翼内に設けられて前記蒸気外輪入口部と前記蒸気内輪入口部を連通する入口連通路と、前記静翼内に設けられて前記蒸気外輪出口部と前記蒸気内輪出口部を連通する出口連通路と、前記内輪の空洞部内で前記蒸気内輪入口部と前記蒸気内輪出口部とを連通する第2蒸気通路とが設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の静翼ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した各特許文献に記載されたものは、蒸気を外輪の中空部と静翼の中空部と内輪の中空部に流通させることで、外輪と静翼と内輪を加熱している。ところで、湿り蒸気によるエロージョンを防ぐためには、外輪と静翼と内輪の全ての領域を加熱する必要はなく、エロージョンが発生しやすい領域を加熱するだけでも、エロージョンを抑制する効果が十分にある。一方で、加熱に使用する蒸気は、ボイラや蒸気タービンなどから抽気したものであり、この蒸気を大量に使用することで、エネルギのロスを生じさせ、熱効率の低下を招いてしまう。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、蒸気を効率的に使用することで湿り蒸気によるエロージョンの発生を抑制すると共に熱効率の低下を抑制する静翼ユニット及び蒸気タービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の静翼ユニットは、外輪と内輪が周方向に所定間隔で配置される複数の静翼により連結される静翼ユニットにおいて、前記外輪の空洞部に設けられる蒸気外輪入口部と、前記外輪の空洞部に前記蒸気外輪入口部に周方向に離間して設けられる蒸気外輪出口部と、前記外輪の空洞部内で前記蒸気外輪入口部と前記蒸気外輪出口部とを連通する第1蒸気通路と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
従って、外輪の空洞部に蒸気外輪入口部と蒸気外輪出口部を周方向に離間して設け、蒸気外輪入口部と蒸気外輪出口部とを第1蒸気通路により連通しており、蒸気外輪入口部に供給された蒸気は、外輪の空洞部内にある第1蒸気通路を通って蒸気外輪出口部から排出される。そのため、蒸気が外輪の空洞部ではなく第1蒸気通路を通ることから、少ない蒸気量で必要な個所のみ外輪や静翼を加熱することとなり、使用する蒸気量を低減し、少ない蒸気を効率的に使用することで、湿り蒸気によるエロージョンを適正に抑制することができる。
【0010】
本発明の静翼ユニットでは、前記第1蒸気通路は、前記外輪の空洞部における内周側に沿って配置されることを特徴としている。
【0011】
従って、第1蒸気通路を外輪の空洞部における内周側に沿って配置することで、蒸気により外輪の内周側、つまり、静翼ユニットにおける静翼の外輪側の端部を加熱することとなり、ドレン水が多く付着しやすい個所を効率的に加熱することができる。
【0012】
本発明の静翼ユニットでは、前記第1蒸気通路は、チューブにより構成されることを特徴としている。
【0013】
従って、第1蒸気通路をチューブとすることで、外輪の空洞部内に容易に第1蒸気通路を配置することができ、製造コストを低減することができる。
【0014】
本発明の静翼ユニットでは、前記蒸気外輪入口部は、前記空洞部の一部が一対の入口仕切板により区画される外輪入口ヘッダと、前記外輪に設けられて前記外輪入口ヘッダに連通する蒸気供給口とを有し、前記蒸気外輪出口部は、前記空洞部の一部が一対の出口仕切板により区画される外輪出口ヘッダと、前記外輪に設けられて前記外輪出口ヘッダに連通する蒸気排出口とを有することを特徴としている。
【0015】
従って、蒸気外輪入口部として入口仕切板により区画される外輪入口ヘッダを設けると共に、蒸気外輪出口部として出口仕切板により区画される外輪出口ヘッダを設けることで、外部からの蒸気を蒸気外輪入口部に容易に供給することができると共に、蒸気外輪出口部から蒸気を容易に排出することができ、また、第1蒸気通路の端部を容易に蒸気外輪入口部と蒸気外輪出口部に連結することができる。
【0016】
本発明の静翼ユニットでは、前記外輪の空洞部に前記外輪入口ヘッダ及び前記外輪出口ヘッダに隣接してドレン排出部が設けられ、前記ドレン排出部が前記静翼の中空部に連通されることを特徴としている。
【0017】
従って、外輪の空洞部に外輪入口ヘッダ及び外輪出口ヘッダに隣接して設けられるドレン排出部が静翼の中空部に連通することで、静翼の中空部で入ったドレンをドレン排出部から外部に容易に排出することができる。
【0018】
本発明の静翼ユニットでは、前記内輪の空洞部に設けられる蒸気内輪入口部と、前記内輪の空洞部に前記蒸気内輪入口部に周方向に離間して設けられる蒸気内輪出口部と、前記静翼内に設けられて前記蒸気外輪入口部と前記蒸気内輪入口部を連通する入口連通路と、前記静翼内に設けられて前記蒸気外輪出口部と前記蒸気内輪出口部を連通する出口連通路と、前記内輪の空洞部内で前記蒸気内輪入口部と前記蒸気内輪出口部とを連通する第2蒸気通路とが設けられることを特徴としている。
【0019】
従って、内輪の空洞部に蒸気内輪入口部と蒸気内輪出口部を周方向に離間して設け、蒸気外輪入口部と蒸気内輪入口部を静翼の入口連通路により連通すると共に、蒸気外輪出口部と蒸気内輪出口部を静翼の出口連通路により連通し、蒸気内輪入口部と蒸気内輪出口部とを第2蒸気通路により連通している。蒸気外輪入口部に供給された蒸気は、入口連通路から蒸気内輪入口部に流れ、内輪の空洞部内にある第2蒸気通路を通って蒸気内輪出口部に流れ、出口連通路を介して蒸気外輪出口部から排出される。そのため、蒸気が内輪の空洞部ではなく第2蒸気通路を通ることから、少ない蒸気の使用量で必要な個所のみ内輪や静翼を加熱することとなり、使用する蒸気量を低減して少ない蒸気を効率的に使用することで湿り蒸気によるエロージョンを適正に抑制することができる。
【0020】
本発明の静翼ユニットでは、前記第2蒸気通路は、前記内輪の空洞部における外周側に沿って配置されることを特徴としている。
【0021】
従って、第2蒸気通路を内輪の空洞部における外周側に沿って配置することで、蒸気により内輪の外周側、つまり、静翼ユニットにおける静翼の内輪側の端部を加熱することとなり、ドレンが多く付着しやすい個所を効率的に加熱することができる。
【0022】
本発明の静翼ユニットでは、前記第2蒸気通路は、チューブにより構成されることを特徴としている。
【0023】
従って、第2蒸気通路をチューブとすることで、内輪の空洞部内に容易に第2蒸気通路を配置することができ、製造コストを低減することができる。
【0024】
また、本発明の蒸気タービンは、ケーシングと、前記ケーシング内に回転自在に支持されたロータと、動翼の基端部が前記ロータに支持されて前記ロータの周方向に所定間隔で複数配置される複数段の動翼ユニットと、静翼の基端部と先端部が前記ケーシングに支持されて前記ロータの周方向に所定間隔で複数配置される複数段の静翼ユニットと、を有し、前記複数段の静翼ユニットのうちの最終段の静翼ユニットとして請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の静翼ユニットが適用される、ことを特徴とするものである。
【0025】
従って、最終段の静翼ユニットにて、蒸気が外輪の空洞部ではなく蒸気通路を通ることから、少ない蒸気の使用量で必要な個所のみ外輪や内輪及び静翼を加熱することとなり、使用する蒸気量を低減して少ない蒸気を効率的に使用することで湿り蒸気によるエロージョンを適正に抑制することができ、蒸気タービンの熱効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の静翼ユニット及び蒸気タービンによれば、外輪の空洞部に蒸気外輪入口部と蒸気外輪出口部を周方向に離間して設け、蒸気外輪入口部と蒸気外輪出口部とを第1蒸気通路により連通するので、使用する蒸気量を低減して少ない蒸気を効率的に使用することで湿り蒸気によるエロージョンを適正に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る静翼ユニット及び蒸気タービンの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0029】
図8は、本実施形態の蒸気タービンを表す概略構成図である。
【0030】
蒸気タービンにおいて、
図8に示すように、ケーシング11は、中空形状をなし、ロータ12が複数の軸受13により回転自在に支持されている。このロータ12は、ケーシング11の内部にて、外周部に軸方向に所定間隔で動翼ユニット14が複数設けられている。この動翼ユニット14は、ロータ12の外周部に軸方向に所定間隔で設けられた複数のディスク15と、各ディスク15の外周部に周方向に沿って固定される複数の動翼16により構成されている。
【0031】
また、ケーシング11は、内部にて、ロータ12の軸方向に所定間隔で静翼ユニット17が複数設けられている。この静翼ユニット17は、ロータ12の外周部に軸方向に所定間隔で配置される複数の外輪18及び内輪19と、各外輪18と各内輪19とを連結するように周方向に沿って固定される複数の静翼20により構成されている。このように、動翼ユニット14と静翼ユニット17は、ロータ12における軸方向に交互に配置されている。
【0032】
また、ケーシング11は、この複数の動翼ユニット14と複数の静翼ユニット17が配設される通路に蒸気通路21が形成されている。そして、ケーシング11は、蒸気通路21に連通する蒸気供給口22と蒸気排出口23が設けられている。
【0033】
従って、蒸気が蒸気供給口22から蒸気通路21に供給されると、この蒸気は、複数の動翼ユニット14及び静翼ユニット17を通過することで、各動翼ユニット14を介してロータ12を駆動回転することができる。このロータ12は、図示しない発電機が連結されており、発電機を駆動して発電することができる。
【0034】
ところで、低圧タービンの最終段翼列において、蒸気はドレンを含む湿り蒸気になる。このドレンは、静翼20の外輪18側の端部(以下、外輪側端部という。)及び静翼20の内輪19側の端部(以下、内輪側端部という。)に多く衝突して付着し、ここから飛散したドレンが高速で回転している動翼16に衝突することで、エロージョン(侵食)が発生する。
【0035】
そのため、本実施形態では、静翼ユニット17を構成する外輪18と内輪19と静翼20内に蒸気を流動させ、外輪18と内輪19と静翼20の必要な部分のみを加熱することで、湿り蒸気によるエロージョンを抑制している。
【0036】
図1は、本実施形態の蒸気タービンにおける静翼ユニットを表す概略図、
図2は、静翼ユニットの正面図、
図3は、外輪における蒸気入口部の断面図、
図4は、
図3のIV−IV断面図、
図5は、内輪における蒸気入口部の断面図、
図6は、
図5のVI−VI断面図、
図7は、チューブの断面図である。
【0037】
図1及び
図2に示すように、最終段における静翼ユニット17は、外輪(分割環)18と内輪(シュラウド)19が周方向に所定間隔で配置される複数の静翼20により連結されて構成されている。外輪18は、リング形状をなし、外周部がケーシング11(
図8参照)のフレーム31に固定されることで、断面が筒形状に形成されている。この外輪18は、内部に周方向に沿う隔壁32が固定されることで、第1加熱室(空洞部)33と第1ドレン排出室(ドレン排出部)34が区画形成されている。
【0038】
一方、内輪19は、外輪18より小径のリング形状をなし、断面が筒形状に形成されている。この内輪19は、内部に周方向に沿う隔壁35が固定されることで、第2加熱室(空洞部)36と第2ドレン排出室(ドレン排出部)37が区画されている。
【0039】
外輪18は、第1加熱室33に蒸気外輪入口部41が設けられると共に、蒸気外輪入口部41に周方向に離間して蒸気外輪出口部42が設けられている。本実施形態では、この蒸気外輪入口部41と蒸気外輪出口部42は、外輪18にほぼ90度離間して設けられることで、それぞれ4個ずつ設けられている。そして、外輪18の第1加熱室33内にて、蒸気外輪入口部41と蒸気外輪出口部42が第1蒸気通路43により連通されている。
【0040】
この第1蒸気通路43は、外輪18の第1加熱室33における内周側に沿って複数(本実施形態では、2個)配置されており、各第1蒸気通路43は、蒸気通路21側の内周面に接触して配置されている。
【0041】
具体的に説明すると、
図3及び
図4に示すように、蒸気外輪入口部41は、第1加熱室33の一部が一対の入口仕切板44,45により区画される外輪入口ヘッダ46として形成されている。そして、蒸気外輪入口部41は、外周側から外輪18を貫通して外輪入口ヘッダ46に連通する蒸気供給口47が設けられると共に、蒸気供給口47から内周側に貫通する蒸気供給口48が設けられている。そして、第1蒸気通路43は、第1加熱室33の内周側に形成された凹部33a内に沿って配置され、端部が入口仕切板45の中央部に貫通して固定されている。なお、複数の第1蒸気通路43は、第1加熱室33の内周側に固定金具49により所定間隔で固定されている。
【0042】
また、蒸気外輪出口部42は、図示しないが、蒸気外輪入口部41とほぼ同様の構成となっており、第1加熱室33の一部が一対の出口仕切板により区画される外輪出口ヘッダとして形成され、外部から外輪18を貫通して外輪出口ヘッダに連通する蒸気排出口50(
図2参照)が設けられている。そして、第1蒸気通路43は、第1加熱室33の内周側に沿って配置され、端部が出口仕切板の中央部に貫通して固定されている。
【0043】
第1蒸気通路43は、
図7に示すように、チューブにより構成されている。即ち、第1蒸気通路43は、中心部に沿って設けられるチューブ本体43aと、このチューブ本体43aの外周部にリング形状をなす複数の襞部43bとから構成されている。複数の襞部43bは、チューブ本体43aの長手方向に所定間隔で設けられ、内部が連通している。
【0044】
また、
図1及び
図2に示すように、内輪19は、第2加熱室36に蒸気内輪入口部51が設けられると共に、蒸気内輪入口部51に周方向に離間して蒸気内輪出口部52が設けられている。本実施形態では、この蒸気内輪入口部51と蒸気内輪出口部52は、内輪19にほぼ90度離間して設けられることで、それぞれ4個ずつ設けられている。そして、蒸気内輪入口部51は、蒸気外輪入口部41と外輪18及び内輪19の径方向に対向して配置され、蒸気内輪出口部52は、蒸気外輪出口部42と外輪18及び内輪19の径方向に対向して配置されている。そして、内輪19の第2加熱室36内にて、蒸気内輪入口部51と蒸気内輪出口部52が第2蒸気通路53により連通されている。
【0045】
この第2蒸気通路53は、内輪19の第2加熱室36における外周側に沿って複数(本実施形態では、3個)配置されており、各第2蒸気通路53は、蒸気通路21側の外周面に接触して配置されている。
【0046】
具体的に説明すると、
図5及び
図6に示すように、蒸気内輪入口部51は、第2加熱室36の一部が一対の入口仕切板54,55により区画される内輪入口ヘッダ56として形成され、静翼20側から内輪19を貫通して内輪入口ヘッダ56に連通する蒸気供給口57が設けられている。そして、第2蒸気通路53は、第2加熱室36の外周側に形成された凹部36a内に沿って配置され、端部が入口仕切板55の中央部に貫通して固定されている。なお、複数の第2蒸気通路53は、第2加熱室36の外周側に固定金具59により所定間隔で固定されている。
【0047】
また、蒸気内輪出口部52は、図示しないが、蒸気内輪入口部51とほぼ同様の構成となっており、第2加熱室36の一部が一対の出口仕切板により区画される内輪出口ヘッダとして形成され、静翼20側から内輪19を貫通して内輪出口ヘッダに連通する蒸気排出口が設けられている。そして、第2蒸気通路53は、第2加熱室36の外周側に沿って配置され、端部が出口仕切板の中央部に貫通して固定されている。
【0048】
なお、第2蒸気通路53は、第1蒸気通路43と同様に、チューブにより構成されており、中心部に沿って設けられるチューブ本体と、このチューブ本体の外周部にリング形状をなす複数の襞部とから構成されている。
【0049】
図2に示すように、複数の静翼20は、ほぼ同様の構成をなし、内部に中空部61が形成されている。この複数の静翼20における所定の中空部61は、蒸気外輪入口部41と蒸気内輪入口部51を連通する入口連通路61aとして機能する。また、複数の静翼20における所定の中空部61は、蒸気外輪出口部42と蒸気内輪出口部52を連通する出口連通路61bとして機能する。
【0050】
なお、
図1に示すように、外輪18は、隔壁32により第1加熱室33と第1ドレン排出室34が区画されており、第1ドレン排出室34は、各静翼20の中空部61に連通すると共に、ドレン排出通路71が連通している。また、内輪19は、隔壁35により第2加熱室36と第2ドレン排出室37が区画されており、第2ドレン排出室37は、各静翼20の中空部61に連通すると共に、ドレン排出通路(図示略)が連通している。第1ドレン排出室34及び第2ドレン排出室37は、静翼20に設けられたスリット(図示略)から入ったドレンが溜まる。そして、溜まったドレンはドレン排出通路から排出される。
【0051】
ボイラや蒸気タービンなどから抽気した蒸気は、外輪18における各蒸気供給口47から各蒸気外輪入口部41に供給される。各蒸気外輪入口部41に供給された蒸気は、外輪18の第1加熱室33にある複数の第1蒸気通路43を通って蒸気外輪出口部42に流れ、この蒸気外輪出口部42の蒸気排出口50から外部に排出される。そのため、
図1に示すように、蒸気が外輪18の第1加熱室33における内周側に沿った第1蒸気通路43を通ることから、この蒸気により第1加熱室33(第1蒸気通路43)を介して外輪18の内周側が加熱され、各静翼20の外輪側端部が加熱される。
【0052】
また、
図2に示すように、各蒸気外輪入口部41に供給された蒸気は、対向する静翼20の入口連通路61aを通って内輪19における各蒸気内輪入口部51に供給される。各蒸気内輪入口部51に供給された蒸気は、内輪19の第2加熱室36にある複数の第2蒸気通路53を通って蒸気内輪出口部52に流れる。そして、この蒸気内輪出口部52の蒸気は、対向する静翼20の出口連通路61bを通って外輪18における蒸気外輪出口部42に流れ、この蒸気外輪出口部42の蒸気排出口50から外部に排出される。そのため、
図1に示すように、蒸気が内輪19の第2加熱室36における外周側に沿った第2蒸気通路53を通ることから、この蒸気により第2加熱室36(第2蒸気通路53)を介して内輪19の外周側が加熱され、各静翼20の外輪側端部が加熱される。
【0053】
蒸気通路21を流れる蒸気は、最終段の静翼20に至ると、湿り蒸気となり、この湿り蒸気に含まれるドレンが最終段の静翼20における外輪18や内輪19に衝突して付着する。特に、静翼20の外輪側端部及び内輪側端部に多くのドレンが付着するが、このとき、外輪18や内輪19、静翼20の外輪側端部及び内輪側端部は、各蒸気通路43,53を通る蒸気により加熱されていることから、付着したドレンは、再び蒸発して蒸気となる。静翼20から飛散したドレンが動翼16に衝突することがなくなり、動翼16でのエロージョンが抑制される。
【0054】
このように本実施形態の静翼ユニットにあっては、外輪18と内輪19が周方向に所定間隔で配置される複数の静翼20により連結される静翼ユニット17において、外輪18の第1加熱室33に設けられる蒸気外輪入口部41と、外輪18の第1加熱室33に蒸気外輪入口部41に周方向に離間して設けられる蒸気外輪出口部42と、外輪18の第1加熱室33内で蒸気外輪入口部41と蒸気外輪出口部42とを連通する第1蒸気通路43とを設けている。
【0055】
従って、蒸気外輪入口部41に供給された蒸気は、外輪18の第1加熱室33内にある第1蒸気通路43を通って蒸気外輪出口部42から排出されるため、蒸気により外輪18を加熱することができ、各静翼20の外輪側端部を加熱することができる。そのため、蒸気通路21を流れる湿り蒸気は、含有するドレンが最終段の外輪18や静翼20の外輪側端部に付着しても、外輪18や静翼20の外輪側端部が加熱されて高温となっていることから、付着したドレンが蒸発して蒸気となり、後段の動翼16でのエロージョンが抑制される。このとき、蒸気は、外輪18の第1加熱室33ではなく第1蒸気通路43を通ることから、少ない蒸気量で必要な個所のみ外輪18や静翼20を加熱することとなり、使用する蒸気量を低減し、少ない蒸気を効率的に使用することで、湿り蒸気によるエロージョンを抑制することができると共に、熱効率の低下を抑制することができる。
【0056】
本実施形態の静翼ユニットでは、第1蒸気通路43を外輪18の第1加熱室33における内周側に沿って配置している。従って、蒸気により外輪18の内周側、つまり、静翼20の外輪側端部を加熱することとなり、蒸気通路21を流れる蒸気に含まれるドレンが多く付着しやすい個所を加熱することとなり、少ない蒸気量で外輪18を適正に加熱することができる。
【0057】
本実施形態の静翼ユニットでは、第1蒸気通路43をチューブにより構成している。従って、外輪18の第1加熱室33内に容易に第1蒸気通路43を配置することができ、製造コストを低減することができる。また、この第1蒸気通路43は、中心部に沿って設けられるチューブ本体43aと、このチューブ本体43aの外周部にリング形状をなす複数の襞部43bとから構成されている。従って、第1蒸気通路43の表面積を増加させることで、外輪18を効率良く加熱することができる。
【0058】
本実施形態の静翼ユニットでは、蒸気外輪入口部41を、入口仕切板44,45により区画される外輪入口ヘッダ46として構成し、外輪18に外輪入口ヘッダ46に連通する蒸気供給口47を設け、また、蒸気外輪出口部41として、一対の出口仕切板により区画される外輪出口ヘッダとして構成し、外輪18に外輪出口ヘッダに連通する蒸気排出口50を設けている。従って、外部からの蒸気を蒸気外輪入口部41に容易に供給することができると共に、蒸気外輪出口部42から蒸気を容易に排出することができ、また、第1蒸気通路43の端部を容易に蒸気外輪入口部41と蒸気外輪出口部42に連結することができる。
【0059】
本実施形態の静翼ユニットでは、外輪18の空洞部に第1加熱室33(外輪入口ヘッダ46及び外輪出口ヘッダ)に隣接して第1ドレン排出室34を設け、第1ドレン排出室34を静翼20の中空部61に連通している。従って、静翼20の中空部61で発生したドレン水を第1ドレン排出室34から外部に容易に排出することができる。
【0060】
本実施形態の静翼ユニットでは、内輪19の第2加熱室36に設けられる蒸気内輪入口部51と、第2加熱室36に蒸気内輪入口部51に周方向に離間して設けられる蒸気内輪出口部52と、静翼20内に設けられて前記蒸気外輪入口部41と蒸気内輪入口部51を連通する入口連通路61aと、静翼20内に設けられて蒸気外輪出口部42と蒸気内輪出口52部を連通する出口連通路61bと、第2加熱室36内で蒸気内輪入口部51と蒸気内輪出口部52とを連通する第2蒸気通路53とを設けている。
【0061】
従って、蒸気外輪入口部41に供給された蒸気は、入口連通路61aから蒸気内輪入口部51に流れ、内輪19の第2加熱室36内にある第2蒸気通路53を通って蒸気内輪出口部52に流れ、出口連通路61bを介して蒸気外輪出口部42から排出されるため、蒸気により内輪19を加熱することができ、各静翼20の内輪側端部を加熱することができる。そのため、蒸気通路21を流れる湿り蒸気は、含有するドレンが最終段の内輪19や静翼20の内輪側端部に付着しても、内輪19や静翼20の内輪側端部が加熱されて高温となっていることから、付着したドレンが蒸発して蒸気となり、後段の動翼16でのエロージョンが抑制される。このとき、蒸気は、内輪19の第2加熱室36ではなく第2蒸気通路53を通ることから、少ない蒸気量で必要な個所のみ内輪19や静翼20を加熱することとなり、使用する蒸気量を低減し、少ない蒸気を効率的に使用することで、湿り蒸気によるエロージョンを抑制することができると共に、熱効率の低下を抑制することができる。
【0062】
本実施形態の静翼ユニットでは、第2蒸気通路53を内輪19の第2加熱室36における外周側に沿って配置している。従って、蒸気により内輪19の外周側、つまり、静翼20の内輪側端部を加熱することとなり、蒸気通路21を流れる蒸気に含まれるドレンが多く付着しやすい個所を加熱することとなり、少ない蒸気量で外輪18を適正に加熱することができる。
【0063】
本実施形態の静翼ユニットでは、第2蒸気通路53をチューブにより構成している。従って、内輪19の第2加熱室36内に容易に第2蒸気通路53を配置することができ、製造コストを低減することができる。また、この第2蒸気通路53は、中心部に沿って設けられるチューブ本体と、このチューブ本体の外周部にリング形状をなす複数の襞部とから構成されている。従って、第2蒸気通路53の表面積を増加させることで、内輪19を効率良く加熱することができる。
【0064】
また、本実施形態の蒸気タービンにあっては、ケーシング11と、ケーシング11内に回転自在に支持されたロータ12と、動翼16の基端部がロータ12に支持されてロータ12の周方向に所定間隔で複数配置される複数段の動翼ユニット14と、静翼20の基端部と先端部がケーシング11に支持されてロータ12の周方向に所定間隔で複数配置される複数段の静翼ユニット17とを設け、複数段の静翼ユニット17のうちの最終段の静翼ユニット17として上述した静翼ユニットを適用している。
【0065】
従って、蒸気により外輪18や内輪19、静翼20の外輪側端部や内輪側端部を加熱することから、蒸気通路21を流れる湿り蒸気は、含有するドレンが最終段の外輪18や内輪19、静翼20の外輪側端部や内輪側端部に付着しても、付着したドレンが蒸発して蒸気となり、後段の動翼16でのエロージョンが抑制される。このとき、蒸気は、外輪18の第1加熱室33ではなく第1蒸気通路43を通ることから、少ない蒸気量で必要な個所のみ外輪18や内輪19及び静翼20を加熱することとなり、使用する蒸気量を低減し、少ない蒸気を効率的に使用することで、湿り蒸気によるエロージョンを抑制することができると共に、熱効率の低下を抑制することができる。
【0066】
なお、上述した実施形態にて、蒸気外輪入口部41及び蒸気外輪出口部42と、蒸気内輪入口部51及び蒸気内輪出口部52を4組設け、一部(8個)の静翼20内に蒸気を流したが、この構成に限定されるものではない。例えば、蒸気外輪入口部41及び蒸気外輪出口部42と、蒸気内輪入口部51及び蒸気内輪出口部52を2組設け、4個の静翼20内に蒸気を流したり、蒸気外輪入口部41及び蒸気外輪出口部42と、蒸気内輪入口部51及び蒸気内輪出口部52を8組設け、16個の静翼20内に蒸気を流したりしてもよく、更に、全ての静翼20内に蒸気を流したりしてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、各加熱室33,36内に配置する蒸気通路43,53をチューブとしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、各加熱室33,36内に形成された凹部33a,36aを板部材により被覆することで、蒸気通路を形成してもよく、各加熱室33,36内の一部の空間を区画して蒸気通路を形成してもよい。また、蒸気通路43,53をチューブとして複数設けたが、その数に限定されるものではない。
【0068】
また、上述した実施形態では、蒸気外輪入口部41及び蒸気外輪出口部42と、蒸気内輪入口部51及び蒸気内輪出口部52として、外輪入口ヘッダ46及び外輪出口ヘッダと、内輪入口ヘッダ56及び内輪出口ヘッダを設けたが、蒸気通路43,53としてのチューブを外輪18の外部まで延出してもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、本発明の静翼ユニットを蒸気タービンの最終段の静翼ユニットに適用したが、その他の静翼ユニットに適用してもよい。