(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284448
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】タイヤ装着装置
(51)【国際特許分類】
B60C 25/12 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
B60C25/12 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-140058(P2014-140058)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-16721(P2016-16721A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】502327953
【氏名又は名称】三貴ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】杉村 哲夫
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭50−062204(JP,U)
【文献】
実公昭43−022563(JP,Y1)
【文献】
特開平08−169218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中実のタイヤ本体と、ホイールのリムに形成されたタイヤ装着溝に嵌着されるビード部と、が一体的に成形されてなるノーパンクタイヤを、該ホイールに装着するためのタイヤ装着装置であって、
装着装置本体と、該装着装置本体に回動自在に取り付けられた回動式操作部材とを備え、
前記装着装置本体は、
前記ホイールを回転不能に固定し、かつ固定したホイールにおけるリムのタイヤ装着溝に前記ノーパンクタイヤの一部分のみを嵌着した状態を保持する回転防止固定手段を備え、
さらに、前記回動式操作部材は、固定されたホイールの軸線を中心にして回動自在であって、
前記リムの外周縁と前記ノーパンクタイヤの内周縁との間に差し入れられ、該ノーパンクタイヤの未装着部分を拡径方向に案内する案内爪部と、
該リムの周方向に沿うようにして前記案内爪部の両側に各々配置され、該リムの一側面に当接する一対の第一リム支持体と、
該リムの周方向に沿うようにして前記案内爪部の両側に各々配置され、該リムの他側面に当接する一対の第二リム支持体と、
を備え、
該回動式操作部材の回動に伴い、該第一リム支持体と該第二リム支持体とで囲まれた領域に対応するタイヤ装着溝部分から前記ビード部が順次嵌着されていくようにした
ことを特徴とするタイヤ装着装置。
【請求項2】
前記回動式操作部材は、
前記ホイールのリムのタイヤ装着溝に隣接する位置に配置されたタイヤ案内ローラ部を備えており、
該タイヤ案内ローラ部が、前記ノーパンクタイヤの未装着部分におけるタイヤ本体の側面に当接することで、該ノーパンクタイヤの未装着部分が順次前記案内爪部に向かって案内される
請求項1に記載のタイヤ装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中実のタイヤ本体を備えたノーパンクタイヤを、ホイールに装着するためのタイヤ装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自転車や車いすの車輪用として、例えば特許文献1に記載されているような、エアチューブを用いない中実のノーパンクタイヤ(空洞がないエアレスタイヤ)が提供されていることはよく知られている。
【0003】
特に車いす用のノーパンクタイヤとして、中実のタイヤ本体とビード部とが一体的に成形された発泡ポリウレタン製のいわゆるハイポリマータイヤと呼ばれるものは、パンクの心配がなく、軽量であることから多く使われるようになってきている。
【0004】
ところで、中実のノーパンクタイヤをホイールに装着する際には、小径のタイヤを大径のリムに嵌め入れる必要があるため、作業時に非常に大きな力を要することがよく知られている。
【0005】
そこで、例えば特許文献2には、チューブ組み込み用の挿入ロールを備えたスポンジチューブ組込み器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−143187号公報
【特許文献2】実用新案登録第3035048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来のタイヤ装着装置にあっては、タイヤ装着溝にビード部を嵌着する際に大きな力が発生するため、当該リムが歪んでしまい、ホイール全体が変形してタイヤがうまく装着されないことがあった。
【0008】
そこで、本発明は、中実のノーパンクタイヤをホイールに装着する際に、リムに歪みが発生せず、ホイール全体に変形が生じにくいタイヤ装着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、中実のタイヤ本体と、ホイールのリムに形成されたタイヤ装着溝に嵌着されるビード部と、が一体的に成形されてなるノーパンクタイヤを、該ホイールに装着するためのタイヤ装着装置であって、装着装置本体と、該装着装置本体に回動自在に取り付けられた回動式操作部材とを備え、前記装着装置本体は、前記ホイールを回転不能に固定し、かつ固定したホイールにおけるリムのタイヤ装着溝に前記ノーパンクタイヤの一部分のみを嵌着した状態を保持する回転防止固定手段を備え、さらに、前記回動式操作部材は、固定されたホイールの軸線を中心にして回動自在であって、前記リムの外周縁と前記ノーパンクタイヤの内周縁との間に差し入れられ、該ノーパンクタイヤの未装着部分を拡径方向に案内する案内爪部と、該リムの周方向に沿うようにして前記案内爪部の両側に各々配置され、該リムの一側面に当接する一対の第一リム支持体と、該リムの周方向に沿うようにして前記案内爪部の両側に各々配置され、該リムの他側面に当接する一対の第二リム支持体と、を備え、該回動式操作部材の回動に伴い、該第一リム支持体と該第二リム支持体とで囲まれた領域に対応するタイヤ装着溝部分から前記ビード部が順次嵌着されていくようにしたことを特徴とするタイヤ装着装置である。
【0010】
上記構成にあっては、前記回転防止固定手段によって、前記ホイールと前記ノーパンクタイヤとが固定された状態で前記回動式操作部材を回動させると、一対の前記第一リム支持体と、一対の前記第二リム支持体とで前記リムが両側から挟持され、ビード部が嵌着されるタイヤ装着溝部分周辺の歪みが、前記リム支持体によって抑制される。このため、タイヤ装着時においてタイヤが外れてしまうといった不具合が生じにくい。
【0011】
また、前記回動式操作部材は、前記ホイールのリムのタイヤ装着溝に隣接する位置に配置されたタイヤ案内ローラ部を備えており、該タイヤ案内ローラ部が、前記ノーパンクタイヤの未装着部分におけるタイヤ本体の側面に当接することで、該ノーパンクタイヤの未装着部分が順次前記案内爪部に向かって案内される構成が提案される。
【0012】
すなわち、前記回動式操作部材を前記回転防止固定手段の一側から他側へ向かって回動させると、前記ノーパンクタイヤの未装着部分が前記タイヤ案内ローラ部によって前記タイヤ装着溝に向かって強制的に案内され、さらに該ノーパンクタイヤの未装着部分は前記案内爪部によって拡径方向に案内される。このため、該ノーパンクタイヤの前記ビード部が、タイヤ装着溝内に円滑に嵌着されていくことになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のタイヤ装着装置は、ホイールの変形を抑制させてノーパンクタイヤを装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例にかかるタイヤ装着装置の斜視図である。
【
図2】車いす用の車輪を示し、(a)は平面図、(b)は部分断面図である。
【
図3】ノーパンクタイヤを載置した状態のタイヤ装着装置を示す平面図である。
【
図4】タイヤ装着装置を示し、
図3に示す状態からさらにホイールを載置した状態を示す平面図である。
【
図5】(a)は、クランプを用いてノーパンクタイヤとホイールとを固定した状態を示すタイヤ装着装置の平面図であり、(b)は、クランプ周辺の縦断面図である。
【
図6】タイヤ装着装置を示し、
図4に示す状態からさらに上側支持ローラをリムに当接させた状態を示す平面図である。
【
図8】(a)は、ビード部の嵌着過程を示す説明図であり、(b)は、案内爪部とビード部との配置関係を示す説明図である。
【
図9】タイヤ装着装置を示し、
図6に示す状態からさらに回動式操作部材を略半周分だけ回動させた状態を示す平面図である。
【
図10】回動式操作部材を回動終了させた状態のタイヤ装着装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のタイヤ装着装置を具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0016】
図1に示すタイヤ装着装置1は、
図2に示すようなノーパンクタイヤ11をホイール21に装着して車いす用の車輪10とするための装置である。なお、
図2bに示すように、ノーパンクタイヤ11は、中実のタイヤ本体12とビード部13,13とが一体的に成形されてなる。
【0017】
また、
図2aに示すように、前記ホイール21は、軸部23を備えており、該軸部23を中心にしてスポーク24が放射状に複数配設されている。さらに、該スポーク24の先端部にはリム22が形成されている。該リム22の外周面には、タイヤ装着溝221が形成されており、該タイヤ装着溝221には、前記ノーパンクタイヤ11のビード部13,13が嵌着される。
【0018】
図1に示すように、前記タイヤ装着装置1の主要部を構成する装着装置本体3は、前記ノーパンクタイヤ11と前記ホイール21とを固定する回転防止固定手段5を備えている。さらに詳述すると、該装着装置本体3は、帯板状の基台31を備えている。さらに、該基台31上には、軸受け部32が設けられており、該軸受け部32上に、タイヤ装着対象となる前記ホイール21の軸部23が固定可能とされている。なお、該軸受け部32に該ホイール21が固定された状態で、前記軸部23は上下方向に配されることとなる。
【0019】
また前記基台31上には、レール33が設けられており、さらに該レール33上に、前記軸受け部32との離間距離が変更自在な回転防止固定台座34が取り付けられている。
【0020】
また、前記回転防止固定台座34上には、中央にスポーク挿入溝352が形成されたストッパ35が配置されている。該ストッパ35の表面には、前記軸受け部32に固定されたホイール21におけるリム22の内周面222に当接する湾曲状のリム当接面351が形成されている。
【0021】
また、前記回転防止固定台座34上には、クランプ36が配設されており、前記リム当接面351に対向する該クランプ36の表面には、凹形状のタイヤ当接面361が形成されている。なお、該クランプ36は、前記ストッパ35に対して前後動自在とされており、該ストッパ35に対して離開させたり接近させたりすることができる。
【0022】
さらに、前記装着装置本体3には、前記軸受け部32を中心に回動する回動式操作部材4が取り付けられている。さらに詳述すると、前記回動式操作部材4は、前記軸受け部32から回動自在に突き出された角棒41を備えている。
【0023】
さらに、前記角棒41には、前記軸受け部32からの離間距離を変更できる回動基部42が取り付けられている。そして、該回動基部42には、案内爪部43が上方に向かって突設されている。さらに該回動基部42における前記案内爪部43の左右両側には、一対の下側支持ローラ(第一リム支持体)44が各々配置されている。
【0024】
また、前記下側支持ローラ44よりも上方位置であって、前記案内爪部43の左右両側には、一対の上側支持ローラ(第二リム支持体)45が各々配置されている。なお、該上側支持ローラ45を支持するアーム部には、回旋軸451が設けられており、該回旋軸451を中心に回動操作することで、該上側支持ローラ45を回旋させることが可能となっている。
【0025】
さらに前記回動基部42であって、前記案内爪部43よりも外側位置には、左右一対の案内ローラ(タイヤ案内ローラ部)46が該案内爪部43を中心にして両側にそれぞれ設けられている。またさらに、該回動基部42であって、前記案内爪部43よりも内側位置には、補助案内ローラ47が複数設けられている。
【0026】
さらに、前記回動基部42には、延長把手48が取り付けられており、作業者によって手動操作が容易とされている。
【0027】
次に、
図3〜
図10に従って、タイヤ装着装置1を用いたノーパンクタイヤ11の装着手順を説明する。
【0028】
まず、
図3に示すように、前記クランプ36を前記ストッパ35から離開させると共に、前記上側支持ローラ45を外向きに回旋させておく。さらに、前記回動式操作部材4を前記回転防止固定手段5の一側に配置し、前記タイヤ装着装置1の上にノーパンクタイヤ11を載置する。具体的には、該ノーパンクタイヤ11の一部分を、前記ストッパ35と前記クランプ36との間に配置すると共に、該ノーパンクタイヤ11の内周縁が前記案内爪部43よりも外側に配置する。
【0029】
次に、
図4に示すように、前記タイヤ装着装置1上にホイール21を載置する。具体的には、該ホイール21の軸部23を前記軸受け部32に挿入して固定すると共に、スポーク24の一つを前記ストッパ35のスポーク挿入溝352に挿通させる。さらに、前記リム22の内周面222の一部を前記ストッパ35のリム当接面351に当接させ、かつ、既に配置したノーパンクタイヤ11の一部分を該ホイール21のタイヤ装着溝221に対して外側に配置し、前記ストッパ35と前記クランプ36との間において、該ノーパンクタイヤ11のビード部13,13をタイヤ装着溝221に仮嵌着させる。また、このとき、前記タイヤ案内ローラ46が、リム22のタイヤ装着溝221に隣接して配置されることとなる。
【0030】
そして、
図5a,bに示すように、前記クランプ36を前記ストッパ35に接近させて、該クランプ36と該ストッパ35とで、前記ホイール21と前記ノーパンクタイヤ11とを挟圧する。これにより、前記ホイール21に前記ノーパンクタイヤ11の一部分が装着された状態が保持されながら該ホイール21及び該ノーパンクタイヤ11が周方向に沿って回転不能に固定される。このとき該ノーパンクタイヤ11の未装着部分は、前記基台31側に垂れ下がった状態となっている。また、回動式操作部材4の案内爪部43が、該ノーパンクタイヤ11の内周縁と、該ホイール21の外周面との間に差し入れられた状態となる。さらに、該ホイール21の周方向に沿って並置された一対の前記下側支持ローラ44が、リム22の一側面223(下面)にそれぞれ当接した状態となる。
【0031】
次に、
図6に示すように、該ホイール21の周方向に沿って並置された一対の前記上側支持ローラ45を内向きに旋回させて、各上側支持ローラ45を前記リム22の他側面224(上面)に当接させる。
【0032】
そうすると、
図7,
図8に示すように、前記案内爪部43の前記ホイール21周方向両側において前記下側支持ローラ44と前記上側支持ローラ45とで該リム22が両側から上下方向に挟持される。また、前記ノーパンクタイヤ11の未装着部分における前記タイヤ本体12の側面121が、前記タイヤ案内ローラ46に当接した状態となる。さらに、該ノーパンクタイヤ11の未装着部分における内周面111が、前記補助案内ローラ47に当接した状態となる。
【0033】
そして、
図9に示すように、前記回動式操作部材4を、クランプ36を基準にして一側から他側へ向かって時計回りに回動開始させると、前記ノーパンクタイヤ11の未装着部分が、前記補助案内ローラ47によって前記タイヤ案内ローラ46側に向かって案内されると共に前記タイヤ案内ローラ46によってタイヤ装着溝221側に向かって持ち上げられて前記案内爪部43の外側に案内され、さらに該案内爪部43によって拡径されつつ、順に該タイヤ装着溝221内に前記ビード部13,13が嵌着されていく。
【0034】
かかる過程にあっては、前記リム22が、前記下側支持ローラ44と前記上側支持ローラ45とによって挟持されており、対応するリム22部分が変形することがないため、該下側支持ローラ44と該上側支持ローラ45とで囲まれた領域に対応するタイヤ装着溝221の部分から前記ビード部13が円滑に嵌着されていく。
【0035】
そして、
図10に示すように、前記回動式操作部材4を、クランプ36の他側となる位置まで回動させると、ノーパンクタイヤ11の全周が前記ホイール21に対して装着され、装着作業が完了する。そして、前記上側支持ローラ45を外向きに回旋させて該ホイール21と干渉しない位置に変位させ、前記クランプ36を前記ストッパ35から離開させてノーパンクタイヤ11が装着されたホイール21を前記タイヤ装着装置1から取り外す。
【0036】
なお、上記した複数の補助案内ローラ47や一対のタイヤ案内ローラ46を、適宜、省略した構成としてもよい。また、ホイール21を回転不能に固定する構成は、上記構造以外のものであっても勿論よい。
【符号の説明】
【0037】
1 タイヤ装着装置
3 装着装置本体
4 回動式操作部材
5 回転防止固定手段
11 ノーパンクタイヤ
12 タイヤ本体
13 ビード部
21 ホイール
22 リム
23 軸部(軸線)
43 案内爪部
44 下側支持ローラ(第一リム支持体)
45 上側支持ローラ(第二リム支持体)
46 案内ローラ(タイヤ案内ローラ部)
221 タイヤ装着溝
223 一側面
224 他側面