(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶液重合SBRが、20〜150ムーニー単位、好ましくは30〜100ムーニー単位のムーニー粘度(ML 1+4、100℃)を有することを特徴とする、請求項1に記載の加硫可能なゴム混合物。
オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、1〜50重量部、好ましくは2.5〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部の前記ヒドロキシル含有ミクロゲルII)が使用されることを特徴とする、請求項1に記載の加硫可能なゴム混合物。
前記ヒドロキシル含有ミクロゲルが、70重量%を超える、好ましくは75重量%を超える、特に好ましくは80重量%を超えるゲル含量を有することを特徴とする、請求項7に記載の加硫可能なゴム混合物。
前記ヒドロキシル含有ミクロゲルが、30未満、好ましくは25未満、特に好ましくは20未満のトルエン中膨潤指数(Qi)を有することを特徴とする、請求項8に記載の加硫可能なゴム混合物。
前記ヒドロキシル含有酸化物系充填剤III)が、シリカであり、その含量が、オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、10〜150重量部の範囲、好ましくは20〜120重量部の範囲、より好ましくは25〜100重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の加硫可能なゴム混合物。
オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、0.2〜12重量部、好ましくは1〜10重量部のポリスルフィド含有アルコキシシランが使用されることを特徴とする、請求項12に記載の加硫可能なゴム混合物。
請求項1〜14のいずれか一項に記載の加硫可能なゴム混合物を製造するための方法であって、成分I)〜VI)を、1段または多段のステージ、好ましくは、インターナルミキサー中における2混合ステージおよびローラーの上の最終混合ステージも用いた3ステージの混合操作によるか、またはその第一混合ステージをインターナルミキサー中で実施し、その第二混合ステージをローラー上で実施する2ステージ混合操作によるか、または両方の混合ステージをインターナルミキサー中で実施する2ステージ混合操作により混合し、前記混合物を、3ステージ混合操作において、ローラー上で添加されるそれらの成分を添加する前に、120℃未満、好ましくは110℃未満の温度に冷却することを特徴とする、方法。
請求項1〜14のいずれか一項に記載の加硫可能なゴム混合物を、好ましくは100〜250℃、特には130〜180℃の範囲の温度で、1〜200barの範囲の圧力下で架橋反応させることを特徴とする、加硫物を製造するための方法。
空気タイヤ、特に冬用タイヤ、タイヤ構成要素、特にタイヤトレッド、特に冬用タイヤのトレッド、サブトレッド、カーカス、サイドウォール、ランフラットタイヤのための補強サイドウォール、およびアペックス混合物を製造するため、ならびに、工業用ゴム物品、好ましくは制動要素、ロールカバー、コンベヤベルトカバー、伝動ベルト、紡糸用コップ、シーリング、ゴルフボールの芯、および靴底を製造するための、請求項1〜14のいずれか一項に記載の加硫可能なゴム混合物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ゴムのガラス転移温度は、DIN EN ISO 11357−1およびDIN EN 61006に従い、DSC(示差走査熱量測定)の手段によって求める。温度の較正は、インジウム(156.6℃)および鉛(328℃)の固体/液体の転移の開始温度の手段によって実施する(出発ベースラインと、上昇する溶融曲線との差)。第1回の加熱サイクルの開始に先立って、サンプルを、液体窒素用い320K/分の冷却速度で−130℃にまで冷却する。次いで加熱を実施するが、その場合、窒素ガスを用いてパージしながら20K/分の加熱速度で最高150℃にまで加熱する。その後、サンプルを、液体窒素を用いて−130℃にまで冷却し、そして20K/分で加熱する。2回目の加熱ステップのサーモグラムを使用して評価する。その評価は、グラフ法の手段により、3本の直線をあてはめることにより実施する(
図1参照)。交点YおよびZの中間温度として、ガラス転移温度Tgが求められる。
【0026】
油展ゴムのガラス転移温度を求めるためには、そのゴムからオイルを除去しなければならない。オイルは、ソックスレー抽出器の中でメタノールを用いて徹底的に抽出することによって除去することが可能であり、ガラス転移温度の測定をする前に、付着したアセトンを、減圧下に一定重量になるまで除去する。別な方法として、ゴムのトルエン溶液からメタノールを用いて再沈殿させることによってオイルを除去することもできる。この目的のためには、油展ゴムを小片に切断して、室温で撹拌しながらトルエンの中に溶解させる(1gのゴムを50gのトルエンに溶解させる)。その後で、そのゴムのトルエン溶液を、500gのメタノールの中に室温で撹拌しながら滴下により徐々に添加する。凝固させたゴムを単離し、付着した溶媒を機械的手段により絞り出してから、減圧下で一定重量になるまでそのゴムを乾燥させる。
【0027】
溶液重合SBRのIa)は、ビニル芳香族化合物およびジエン、好ましくは共役ジエンをベースとして、溶液重合で製造したゴムを意味するものと理解されたい(H.L.Hsieh,R.P.Quirk,Marcel Dekker Inc.,New York−Basle,1996,p.447〜469;Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme Verlag,Stuttgart,1987,volume E 20,p.114〜134;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A23,Rubber 3., Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,p.240〜364)。好適なビニル芳香族モノマーは、スチレン、o−、m−およびp−メチルスチレン、工業グレードのメチルスチレン混合物、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、およびジビニルナフタレンである。スチレンが好ましい。重合させたビニル芳香族化合物の含量は、好ましくは5〜50重量%の範囲、より好ましくは10〜40重量%の範囲である。好適なジエンは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、および1,3−ヘキサジエンである。好ましいのは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。重合させたジエンの含量は、50〜95重量%の範囲、好ましくは60〜90重量%の範囲である。重合させたジエンの中のビニル基の含量は、10〜90%の範囲であり、1,4−trans二重結合の含量は10〜80%の範囲、そして1,4−cis二重結合の含量は、ビニル基と1,4−trans二重結合を合計したものを補完する量である。S−SBRのビニル含量は、10%を超えているのが好ましい。
【0028】
重合させたモノマーおよび異なったジエンの立体配置は、典型的には、そのポリマーの中にランダムに分布している。
【0029】
溶液重合SBRは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、あるいは末端基が変性されていてもよい。たとえば、そのようなタイプが、独国特許第2 034 989C2号明細書および、特開A昭56−104 906号公報に明記されている。使用される分岐化剤は、好ましくは、四塩化ケイ素または四塩化スズである。
【0030】
これらのビニル芳香族化合物/ジエンゴムは、特にアニオン溶液重合によって、すなわち有機溶媒中アルカリ金属系触媒またはアルカリ土類金属系触媒の手段によって、本発明のゴム混合物のためのゴム成分Ia)として製造される。
【0031】
溶液重合させたビニル芳香族化合物/ジエンゴムは、20〜150ムーニー単位(ME)の範囲、好ましくは30〜100ムーニー単位の範囲のムーニー粘度(ML 1+4、100℃)を有している。特に、ムーニー粘度が80MEを超える高分子量のS−SBRのタイプは、100重量部のゴムを基準にして、オイルを30〜100重量部の量で含んでいてよい。オイルフリーのS−SBRゴムは、示差熱分析(DSC)で測定して、−70℃〜−10℃の範囲のガラス転移温度を有している。
【0032】
溶液重合SBRは、100重量部のオイルフリーゴムマトリックスを基準にして、25〜65重量部で使用するのが特に好ましい。
【0033】
b)1,4−cis−ポリブタジエン(BR)としては、特に、少なくとも90モル%の1,4−cis含量を有するポリブタジエンのタイプで、遷移金属をベースとするZiegler/Natta触媒を使用して調製したものが挙げられる。Ti、Ni、CoおよびNdをベースとする触媒系を使用するのが好ましい(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie、Thieme Verlag,Stuttgart,1987,volume E 20,p.798〜812;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol A23,Rubber 3,Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,p.239〜364)。1,4−cis−ポリブタジエン(BR)は、示差熱分析(DSC)で測定して、−95℃〜−115℃の範囲のガラス転移温度を有している。好ましいポリブタジエンのタイプ(オイルフリー)のためのガラス転移温度は、DSCの手段によって求められる:
Ti−BR:−103℃
Co−BR:−107℃
Ni−BR:−107℃
Nd−BR:−109℃
【0034】
溶液重合させたBRのタイプは、20〜150ムーニー単位(ME)の範囲、好ましくは30〜100ムーニー単位の範囲のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有している。特に、ムーニー粘度が80MEを超える高分子量のBRのタイプは、100重量部のゴムを基準にして、オイルを30〜100重量部の量で含んでいてよい。
【0035】
1,4−cis−ポリブタジエンは、100重量部のオイルフリーゴムマトリックスを基準にして、35〜65重量部で使用するのが特に好ましい。
【0036】
c)天然ゴム(NR)または合成ポリイソプレン(IR):
ポリイソプレン(IR)は、典型的には、少なくとも70モル%の1,4−cis含量を有している。IRという用語には、合成1,4−cis−ポリイソプレンと天然ゴム(NR)の両方が含まれる。
【0037】
IRは、リチウム触媒の手段によるか、Ziegler/Natta触媒、好ましくはチタンおよびネオジム触媒を用いるかのいずれかで、合成的に製造される(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie、Thieme Verlag,Stuttgart,1987,volume E 20,p.114〜134;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A23,Rubber 3., Synthetic,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,p.239〜364)。ネオジムベースの触媒系の手段による合成ポリイソプレンの製造については、特には、国際公開第02/38635A1号パンフレットおよび国際公開第02/48218A1号パンフレットを参照されたい。
【0038】
使用される1,4−cis−ポリイソプレンは天然ゴムが好ましいが、好適なNRの品質は、リブドスモークシート(RSS)、エアドライドシート(ADS)およびペールクレープのようなもの、および工業的標準品質たとえばTSR5、TSR10、TSR20およびTSR50であるが、メーカーを問わない。天然ゴムは、使用する前に、素練りする。
【0039】
前もって素練りをせずに使用されるCV(「定粘度」=constant viscosity)の品質もまた、好適である。
【0040】
オイルフリーのNRまたはIRは、示差熱分析(DSC)による測定で、−50℃〜−75℃の範囲のガラス転移温度を有している。
【0041】
天然ゴムまたはポリイソプレンは、100重量部のオイルフリーゴムマトリックスを基準にして、10〜30重量部で使用するのが特に好ましい。
【0042】
II)ポリブタジエンをベースとするヒドロキシル含有ミクロゲル
成分II)としては、ポリブタジエンをベースとする少なくとも1種のヒドロキシル含有ミクロゲルを使用する。
【0043】
本発明との関連においては、ポリブタジエンをベースとするヒドロキシル含有ミクロゲルは、少なくとも1種の共役ジエン(A)、少なくとも1種の架橋性モノマー(B)および少なくとも1種のヒドロキシル含有モノマー(C)の繰り返し単位を有している。
【0044】
使用される共役ジエンs(A)は、好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンおよび2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンである。好ましいのは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。
【0045】
それぞれの場合において、重合において使用されるモノマーの100重量部を基準にして、好ましくは65〜94.9重量%、より好ましくは72.5〜94.0重量%、特に好ましくは80〜93.5重量%のジエン(A)が使用される。
【0046】
使用される架橋性モノマー(B)は、分子の中に少なくとも2個の二重結合を有するモノマーである。そのようなものとしては、以下のようなものが挙げられる:1〜20個の炭素原子を有するジオールの(メタ)アクリレート、たとえばエタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオール(メタ)アクリレート、1,2−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(B1)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、および1〜25の重合度を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーをベースとするジオール(B2)、1〜25の重合度を有する重合させたテトラヒドロフランをベースとするジオール(B3)、三価アルコールのビス−およびトリス(メタ)アクリレートたとえば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリルジ(メタ)アクリレート、およびグリセリルトリ(メタ)アクリレート(B4)、四価アルコールのビス−、トリス−およびテトラ(メタ)アクリレートたとえば、ペンタエリトリチルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリチルトリ(メタ)アクリレート、およびペンタエリトリチルテトラ(メタ)アクリレート(B5)、芳香族ポリビニル化合物(B6)たとえば、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ならびにその他の少なくとも2個のビニル基を有する化合物たとえば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ビニルクロトネートおよびアリルクロトネート(B7)。好ましいのは、エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル系エステル、および芳香族ポリビニル化合物のジビニルベンゼンである。
【0047】
架橋性モノマー(B)は、それぞれの場合において、重合において使用されるモノマー100重量部を基準にして、0.1重量%〜15重量%、好ましくは0.5〜12,5重量%、特には好ましくは1〜7.5重量%の量で使用される。
【0048】
その他いくつかの他のパラメーターたとえば、重合において典型的に使用される調節剤の量、重合転化率および重合温度と共に、ミクロゲルのゲル含量および膨潤指数も、架橋性モノマー(B)の量の影響を特に受ける。さらに、モノマー(B)は、モノマー(A)からなる、相当する非架橋のホモポリマーおよび/またはコポリマーのガラス転移温度を上げる。
【0049】
使用されるヒドロキシル含有モノマー(C)は、一般的には、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C1)、ヒドロキシアルキルクロトネート(C2)、ポリオールのモノ(メタ)アクリレート(C3)、ヒドロキシル変性不飽和アミド(C4)、ヒドロキシル含有芳香族ビニル化合物(C5)、およびその他のヒドロキシル含有モノマー(C6)である。
【0050】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C1)は、たとえば以下のものである:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート。
【0051】
ヒドロキシアルキルクロトネート(C2)は、たとえば以下のものである:2−ヒドロキシエチルクロトネート、3−ヒドロキシエチルクロトネート、2−ヒドロキシプロピルクロトネート、3−ヒドロキシプロピルクロトネート、2−ヒドロキシブチルクロトネート、3−ヒドロキシブチルクロトネート、および4−ヒドロキシブチルクロトネート。
【0052】
ポリオールのモノ(メタ)アクリレート(C3)は、二価および多価アルコールたとえば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、1〜25個のグリコール単位を含むオリゴマー化エチレングリコールおよびプロピレングリコールから誘導される。
【0053】
ヒドロキシル変性不飽和アミド(C4)はたとえば、以下のようなモノマーである:N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド。
【0054】
ヒドロキシル含有芳香族ビニル化合物(C5)は、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、および4−ビニルベンジルアルコールである。
【0055】
さらなるヒドロキシル含有モノマー(C6)は、たとえば(メタ)アリルアルコールである。
【0056】
ヒドロキシル含有モノマー(C)は、それぞれの場合において、重合において使用されるモノマー100重量部を基準にして、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは1〜12.5重量%の量で使用される。
【0057】
重合させたモノマー(A)、(B)および(C)の比率で、そのミクロゲルのガラス転移温度が決まる。そのガラス転移温度は、乳化重合によって調製されたポリブタジエンのガラス転移温度から推測することができる。これはほぼ−82℃である。成分(B)および(C)は、重合させた量に従ってガラス転移温度を上げるので、ポリブタジエンをベースとするオイルフリーのヒドロキシル含有ミクロゲルのガラス転移温度は、−82℃〜−60℃の間、好ましくは−65℃〜−82℃、特に好ましくは−70℃〜−80℃となる。
【0058】
ミクロゲル成分II)は、オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、1〜50重量部、好ましくは2.5〜30重量部、特に好ましくは5〜20重量部の少なくとも1種のヒドロキシル含有ミクロゲルの量で使用される。
【0059】
ミクロゲル成分II)は、典型的には70重量%を超える、好ましくは75重量%を超える、より好ましくは80重量%を超えるゲル含量を有している。それはさらに、一般的には30未満、好ましくは25未満、より好ましくは20未満のトルエン中の膨潤指数(Qi)を有し、0.1重量%より高い、重合させたヒドロキシル含有モノマーの含量を有している。得られるミクロゲルのヒドロキシル価は、一般的には0.5よりも高い。
【0060】
好ましいのは、ポリブタジエンをベースとするヒドロキシル含有ミクロゲル(II)およびモノマーのブタジエン、トリメチロールプロパントリメタクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートをベースとするもの、ならびに、ブタジエン、エチレングリコールジメタクリレート、およびヒドロキシプロピルメタクリレートをベースとするミクロゲルである。
【0061】
そのヒドロキシル含有ミクロゲルは、適切なモノマーを、好ましくは10〜100℃、より好ましくは12〜90℃、特には15〜50℃の温度で、普通の乳化重合をさせることによって調製される。乳化重合は、等温モード、半断熱モードまたは完全断熱モードで実施することができる。この方法で得られるミクロゲルラテックスは、良好な剪断安定性および貯蔵安定性も有している。重合の後で、ミクロゲルラテックスを、噴霧乾燥法によるかまたは凝固法によって加工する。ラテックスの凝固は、20〜100℃の温度範囲内において実施するのが適切である。
【0062】
適切な重合開始剤は、分解してフリーラジカルとなるものである。そのようなものとしては、−O−O−単位(ペルオキソ化合物)、−O−O−H単位(ヒドロペルオキシド)、および−N=N−単位(アゾ化合物)を有する化合物が挙げられる。レドックス系による開始もまた可能である。さらに、当業者には公知の調節剤物質を添加して実施することもまた可能である。乳化重合は、これまた当業者には公知の停止剤の手段によって停止させる。さらに、変性樹脂酸(I)の少なくとも1種の塩および脂肪酸(II)の少なくとも1種の塩を用いて乳化重合を実施するのが有用であることも見いだされた。
【0063】
変性樹脂酸は、未変性の樹脂酸の二量化、不均化および/または水素化によって得られる化合物である。適切な未変性の樹脂酸は、たとえば、ピマル酸、ネオアビエチン酸、アビエチン酸、レボピマル酸(laevopimaric acid)およびパルストリン酸である。その変性樹脂酸が、不均化された樹脂酸であるのが好ましい(Ullmann’s Encyclopaedia of Industrial Chemistry,第6版,volume 31,p.345〜355)。それは、市場で入手可能である。使用される樹脂酸は、根(roots)、パインバルサム、およびトール油から得られる三環式ジテルペンカルボン酸である。これらは、たとえば、不均化樹脂酸に転換させることができるが、それについては、W.Bardendrecht,L.T.Lees,Ullmans Encyclopaedie der Technischen Chemie,第4版,vol.12,525〜538,Verlag Chemie,Weinheim−New York,1976に記載がある。さらに、脂肪酸の少なくとも1種の塩が使用される。それには、1分子あたり、好ましくは6〜22個の炭素原子、より好ましくは6〜18個の炭素原子が含まれる。それらは、完全に飽和であっても、分子内に1個または複数の二重結合または三重結合を有していてもよい。そのような脂肪酸の例としては、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸が挙げられる。本発明のさらなる構成においては、それらのカルボン酸が、特定由来の(origin−specific)混合物たとえば、ヒマシ油、綿実油、ラッカセイ油、アマニ油、ココナッツ油、パーム核油、オリーブ油、ナタネ油、ダイズ油、魚油、および牛脂の形態であってもよい(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,第6版,volume 13,p.75〜108)。好ましいカルボン酸は、牛脂からのもので、部分的に水素化されているものである。したがって、特に好ましいのは、部分水素化獣脂脂肪酸である。樹脂酸と脂肪酸はいずれも、遊離のカルボン酸としてか、部分中和の形、または完全中和の形で市販されている。
【0064】
樹脂酸および脂肪酸は、個々の成分として、または合わせて、ミクロゲル製造における乳化剤として使用されるが、樹脂酸もしくは脂肪酸の量または樹脂酸と脂肪酸とを合計した量は、それぞれの場合においてモノマー混合物100重量部を基準にして、2.2〜12.5重量部、好ましくは2.5〜10重量部、特に好ましくは2.8〜7.5重量部である。
【0065】
樹脂酸(I)と脂肪酸(II)の塩の重量比は、好ましくは(0.05:1)から(15:1)までの間、より好ましくは(0.08:1)から(12:1)までの間である。
【0066】
重合の過程で塩を調製するために必要とされるアルカリの添加量を求めるためには、酸滴定によって、使用される樹脂酸および脂肪酸の特性を求めておく。この方法では、その重合において使用される樹脂酸/脂肪酸混合物の中和レベルを調節して確定させるために計算する目的で、遊離のカルボン酸の含量および乳化剤の塩の含量を求める。
【0067】
良好なラテックスの安定性を得るためには、樹脂酸/脂肪酸混合物の中和レベルが重要である。樹脂酸(I)および脂肪酸(II)の中和レベルは、好ましくは104〜165%、好ましくは106〜160%、特に好ましくは110〜155%であるが、ここで、100%の中和レベルとは、完全に塩を形成させることを意味していると理解するべきであって、100%を超える中和レベルでは、塩基が相応に過剰である。
【0068】
樹脂酸および脂肪酸を中和させるためには、塩基たとえば、LiOH、NaOH、KOH、NH
3および/またはNH
4OHを使用することができる。好ましいのは、酸と反応したときに難溶性の塩を形成しない塩基である。特に好ましい塩基は、LiOH、NaOH、KOHおよびNH
4OHである。
【0069】
貯蔵安定性のあるミクロゲルラテックスの製造に関する詳細は、P001 00246(欧州特許第2 186 651号明細書)を参照されたい。
【0070】
そのヒドロキシル含有ミクロゲルは、10nm〜100nmの平均粒径を有している。
【0071】
III)ヒドロキシル含有酸化物系充填剤
本発明においては、成分III)としては、1種または複数の淡色の補強用フィラーを使用することができる。本発明との関連において「淡色の(light−coloured)」という用語は、特にカーボンブラックを排除している。補強用の淡色の充填剤は、好ましくは、シリカ(SiO
2)またはアルミナ(Al
2O
3)またはそれらの混合物である。
【0072】
シリカ(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,”Silica”,p.635〜647)を使用する場合、それはヒュームドシリカ(同書、p.635〜647)または沈降シリカ(同書、642〜647)である。沈降シリカは、無機酸を用いて(好ましくは硫酸使用)、水ガラスを処理することにより得られる。シリカは、任意選択で、他の金属酸化物たとえば、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr、Tiの酸化物との混合酸化物として存在させてもよい。好ましいのは、それぞれの場合においてBETで求めて、5〜1000m
2/g、好ましくは20〜400m
2/gの比表面積を有する沈降シリカである。低い転がり抵抗性を有するタイヤトレッドを製造するためには、高い分散性を有する沈降シリカが好ましい。高い分散性を有するシリカの好ましい例としては、たとえば以下のものが挙げられる:Perkasil(登録商標)KS430(AKZO)、BV3380およびUltrasil(登録商標)7000(Evonik−Degussa)、Zeosil(登録商標)1165、MP 1115MPおよびHRS1200MP(Rhodia)、Hi−Sil2000(PPG)、Zeopol(登録商標)8715、8741または8745(Huber)、Vulkasil(登録商標)S、NおよびC(Lanxess製)、ならびに処理を施した沈降シリカ、たとえばアルミニウム−「ドープをした」シリカ(欧州特許出願公開第A−0 735 088号明細書に記載)。1種または複数のシリカのタイプを使用してもよい。
【0073】
アルミナも同様に、たとえば欧州特許出願公開第A−0 810 258号明細書に記載されているような、高い分散性を有するアルミナの形態で使用することができる。例としては以下のものが挙げられる:A125またはCR125(Baikowski)、APA−1OORDX(Condea)、Aluminium oxide C(Degussa)、およびAKP−GO 15(住友化学)。
【0074】
その淡色の補強用フィラーは、粉体、マイクロビーズ、顆粒またはペレットの形態であってよい。好ましい実施形態においては、シリカおよび/またはアルミナが使用される。特に好ましいのは、シリカ、特に沈降シリカである。
【0075】
ヒドロキシル含有酸化物系充填剤の含量は合計して、オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、典型的には10〜150重量部の範囲、好ましくは20〜120重量部の範囲、特に好ましくは25〜100重量部である。
【0076】
IV)ポリスルフィド含有アルコキシシラン
本発明において使用されるポリスルフィド含有アルコキシシランは、エラストマーマトリックスの中に補強用フィラーを分散および結合させるためのカップリング剤と呼ばれているものである。当業者には公知のことであるが、それらは、二つのタイプの官能基、淡色の充填剤に結合するアルコキシシリル基とエラストマーに結合する硫黄含有基とを担持している。本発明においては、1種または複数のポリスルフィド含有アルコキシシランを組み合わせて使用することができる。
【0077】
特に好適なポリスルフィド含有アルコキシシランは、以下の式(1)および(2)のものであるが、ただし、以下において示す定義によって限定されると理解してはならない。式(1)のものは、中央の硫黄の両側に相応に置換されたシリル基を担持しているものであるが、それに対して式(2)の場合においては、これが片側だけである。
【0078】
したがって、一般式(1)または(2)のポリスルフィド含有アルコキシシランを使用することが可能である。
【化1】
[式中、
xは、2〜8の整数であり、
yは、1〜8の整数であり、
Aは、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ二価の炭化水素基(「スペーサー」)であり、
Zは、同一であるかまたは異なっていて、次式の一つを有しており:
【化2】
式中、
R
1は、同一であるかまたは異なっていて、置換されていても非置換であってもよく、それぞれC
1〜C
18アルキル基、C
5〜C
18シクロアルキル基、またはC
6〜C
18アリール基であり、
R
2は、同一であるかまたは異なっていて、置換されていても非置換であってもよく、それぞれC
1〜C
18アルコキシ基、C
5〜C
18シクロアルコキシ基、またはC
6〜C
18アリールオキシ基であり、
および、
R
3は、水素、直鎖状または分岐状のアルキル(ここでそのアルキル鎖は、任意選択で、1個または複数、好ましくは5個までのヘテロ原子、特に酸素、硫黄またはN(H)で中断されていてもよい)、アリール、好ましくはC
6〜C
20−アリール、および/または次の構造を有する基である:
【化3】
式中、R
4は、1〜20個、好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、任意選択で1〜3個のヘテロ原子、好ましくは酸素、窒素または硫黄を有する脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環族、芳香族、またはヘテロ芳香族基である。]
【0079】
一般式(1)のポリスルフィド含有アルコキシシランにおいては、そのxの数値は、好ましくは2〜5の整数である。上で定義された式(1)のポリスルフィド含有アルコキシシランの混合物の場合、特に慣用される市販の混合物の場合においては、「x」は平均値であって、好ましくは2〜5の範囲、特にはほぼ2または4である。本発明は、x=2およびx=4であるアルコキシシランスルフィドを用いて、都合よく実施することができる。
【0080】
一般式(1)および(2)のポリスルフィド含有アルコキシシランにおいて、置換もしくは非置換のA基は、同一であるかまたは異なっていて、好ましくはそれぞれ、飽和またはモノ不飽和もしくはポリ不飽和で、1〜20個、好ましくは1〜18個の炭素原子と、任意選択で1〜3個のヘテロ原子、特には酸素、硫黄または窒素を有する、二価の脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族ヒドロカルビル基である。好適なA基は、特にはC
1〜C
18アルキレン基またはC
6〜C
12アリーレン基、より好ましくはC
1〜C
10アルキレン基、特にはC
2〜C
4アルキレン基、最も好ましくはプロピレンである。
【0081】
一般式(1)および(2)のポリスルフィド含有アルコキシシランにおいては、R
1は、同一であるかまたは異なっていて、好ましくはそれぞれC
1〜C
6アルキル、シクロヘキシルまたはフェニル、より好ましくはC
1〜C
4アルキル、特にはメチルおよび/またはエチルである。
【0082】
一般式(1)および(2)のポリスルフィド含有アルコキシシランにおいて、R
2は、同一であるかまたは異なっていて、好ましくはそれぞれ、C
1〜C
10−アルコキシ、より好ましくはC
1〜C
8−アルコキシ、特にはメトキシおよび/またはエトキシ、C
5〜C
8シクロアルコキシ、より好ましくはシクロヘキシルオキシ、またはC
6〜C
14アリールオキシ、より好ましくはフェノキシである。
【0083】
これらの「対称」ポリスルフィド含有アルコキシシランおよびそれらの各種の調製プロセスは、たとえば米国特許第A−5,684,171号明細書および米国特許第A−5,684,172号明細書に記載されているが、そこには、2〜8の範囲のxについて公知の化合物の詳細なリストが記されている。
【0084】
本発明において使用されるポリスルフィド含有アルコキシシランは、ビス(C
1〜C
4)トリアルコキシシリルプロピル、より好ましくはビス(C
1〜C
4)トリアルコキシシリルプロピル、特にビス(2−エトキシシリルプロピル)またはビス(3−トリメトキシシリルプロピル)またはビス(トリエトキシシリルプロピル)の、好ましくはポリスルフィド、特にはジスルフィドまたはテトラスルフィドである。ビス(トリエトキシシリルプロピル)のジスルフィドまたは式[(C
2H
5O)
3Si(CH
2)
3S]
2のTESPDは、たとえばEvonik Degussaから、Si266またはSi75の名称(後者の場合は、ジスルフィドとポリスルフィドとの混合物の形態)、またはそうでなければWitcoからSilquest A 1589の名称で、市場で入手可能である。ビス(トリエトキシシリルプロピル)のテトラスルフィドまたは式[(C
2H
5O)
3Si(CH
2)
3S
2]
2のTESPTは、たとえば、Evonik DegussaからSI 69の名称(またはX−50S、担体として50重量%のカーボンブラックを含む)、またはWitcoからSilquest A 1289の名称で(いずれの場合においても、市販されているポリスルフィドの混合物は、4に近いxの平均値を有している)入手可能である。
【0085】
ポリスルフィド含有アルコキシシランは、本発明のゴム混合物の中で、オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、適切には0.2〜12重量部、好ましくは1〜10重量部の量で使用される。
【0086】
V)加硫剤
本発明においては、1種または複数の加硫剤および/または加硫助剤を使用することができる。いくつかの例を以下に挙げる。
【0087】
・ 硫黄および硫黄供与体
本発明のゴム混合物を架橋させるには、元素状硫黄の形態または硫黄供与体の形態のいずれかの、硫黄が好適である。元素状硫黄は、可溶性硫黄の形態かまたは不溶性硫黄の形態で使用される。
【0088】
可溶性硫黄とは、常温で安定な唯一の形態で、黄色のシクロオクタ硫黄(S
8)すなわちα−Sを意味していると理解するべきであるが、このものは、典型的な斜方晶からなり、二硫化炭素への溶解性が高い。たとえば、25℃では、30gのα−Sが100gのCS
2の中に溶解する(“Schwefel”[Sulphur],online Roempp Chemie Lexikon,August 2004 version,Georg Thieme Verlag,Stuttgartを参照されたい)。
【0089】
不溶性硫黄とは、ゴム混合物の表面に滲出する傾向を有していない、硫黄の多形を意味していると理解されたい。この特定の硫黄の多形は、二硫化炭素の中に60〜95%の範囲で溶解しない。
【0090】
硫黄供与体の例としては、カプロラクタムジスルフィド(CLD)、ジチオモルホリン(DTDM)または2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(MBSS)が挙げられる(W.Hoffmann,“Kautschuktechnologie”[Rubber Technology],p.254〜,Gentner Verlag,Stuttgart(1980))。
【0091】
硫黄および/または硫黄供与体は、本発明のゴム混合物の中に、オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、0.1〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部の範囲の量で使用される。
【0092】
・ 加硫促進剤
本発明のゴム混合物においては、硫黄加硫に適した1種または複数の加硫促進剤を使用することもさらに可能である。
【0093】
相当する加硫促進剤は、次の文献に記載されている:J.Schnetger,“Lexikon der Kautschuktechnik”[Lexicon of Rubber Technology]、第3版,Huethig Verlag,Heidelberg,2004,p.514〜515、537〜539、586〜589。
【0094】
本発明との関連においては、そのような加硫促進剤は、たとえば、以下のものの群から選択することができる:キサントゲン酸塩、ジチオカルバミン酸塩、テトラメチルチウラムジスルフィド、チウラム、チアゾール、チオ尿素誘導体、アミン誘導体たとえばテトラミン、スルフェンイミド、ピペラジン、アミンカルバミン酸塩、スルフェンアミド、ビスフェノール誘導体、およびトリアジン誘導体、さらには一般式(3)または(4)のポリチオリン酸系化合物:
【化4】
[式中、
R
5、R
6、R
7およびR
8は、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ、1〜24個、好ましくは1〜18個の炭素原子、および任意選択で1〜4個のヘテロ原子、特にはN、SまたはOを有する、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族基であり、
tは、1〜8、好ましくは3〜6の整数であり、
zは、1〜3、好ましくは1〜2の整数であり、
M
z+は、電荷z+を有する金属カチオン(ここでz+は1〜3、好ましくは1および2である)であるか、または式N(R
9)
4+のカチオン(ここでR
9は同一であるかまたは異なっていて、それぞれ水素および/またはR
5について定義されたものである)である。]
【0095】
一般式(3)の化合物は、ホスホリルポリスルフィドであって、一般式(4)の化合物はジチオホスフェートである。
【0096】
次の金属のカチオンがM
z+のための選択肢である:Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Nd、Zn、Cd、NiおよびCu。好ましいのは、Na、K、ZnおよびCuである。同様に好ましいM
z+は、NH
4+である。
【0097】
以下の金属ジチオホスフェートが特に興味深い:
【化5】
[式中、
zは、2であり、
R
5およびR
6は、同一であるかまたは異なっていて、それぞれ水素であるか、または直鎖状または分岐状で置換または非置換の1〜12個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基、より好ましくはC
2〜C
12アルキル基またはC
5〜C
12シクロアルキル基、特にはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロヘキシル、エチルヘキシルまたはドデシルである。]
【0098】
そのような一般式(3)または(4)の化合物は、任意選択で、担持された形態またはポリマーに結合された形態で使用してもよい。
【0099】
好適な加硫促進剤としては以下のものが挙げられる:ベンゾチアジル−2−シクロヘキシルスルフェンアミド(CBS)、ベンゾチアジル−2−tert−ブチルスルフェンアミド(TBBS)、ベンゾチアジル−2−ジシクロヘキシルスルフェンアミド(DCBS)、1,3−ジエチルチオ尿素(DETU)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)およびその亜鉛塩(ZMBT)、ジメチルジチオカルバミン酸銅(CDMC)、ベンゾチアジル−2−スルフェンモルホリド(MBS)、ベンゾチアジルジシクロヘキシルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾールジスルフィド(MBTS)、ジメチルジフェニルチウラムジスルフィド(MPTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBZTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、テトライソブチルチウラムジスルフィド(IBTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、N−ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)、N−ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、N−ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、N−エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZEBC)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZBEC)、ジイソブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDiBC)、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛(ZPMC)、N−エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZEPC)、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛(ZMBT)、エチレンチオ尿素(ETU)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TDEC)、ジエチルチオ尿素(DETU)、N,N−エチレンチオ尿素(ETU)、ジフェニルチオ尿素(DPTU)、トリエチルトリメチルトリアミン(TTT);N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミド(TBSI);1,1’−ジチオビス(4−メチルピペラジン);ヘキサメチレンジアミンカルバメート(HMDAC);ベンゾチアジル−2−tert−ブチルスルフェンアミド(TOBS)、N,N’−ジエチルチオカルバミル−N’−シクロヘキシルスルフェンアミド(DETCS)、N−オキシジエチレンジチオカルバミル−N’−オキシジエチレンスルフェンアミド(OTOS)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛(ZIX)、ジチオカルバミン酸のセレン塩、テルル塩、鉛塩、銅塩およびアルカリ土類金属塩;N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸ペンタメチレンアンモニウム;シクロヘキシルエチルアミン;ジブチルアミン;ポリエチレンポリアミン、ポリエチレンポリイミン、たとえばトリエチレンテトラミン(TETA)、ホスホリルポリスルフィドたとえば:
【化6】
[式中、t=2〜4、(Rhenocure(登録商標)SDT/S、高活性シリカに30重量%結合、Rhein Chemie Rheinau GmbH製)]および次式の亜鉛ジチオホスフェート、たとえばRhenocure(登録商標)ZDT/G(30重量%の高活性シリカおよび20重量%のポリマーバインダー結合、Rhein Chemie Rheinau GmbH製)。
【化7】
【0100】
それらの加硫促進剤は、好ましくは、オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして0.1〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部の範囲の量で使用される。
【0101】
・ 酸化亜鉛およびステアリン酸またはステアリン酸亜鉛
本発明の混合物にはさらに、硫黄加硫のための活性化剤として、酸化亜鉛を含んでいてもよい。当業者ならば、何の大きな困難もなく適切な量の選択が可能である。酸化亜鉛をいくぶん高めの量で使用すると、それによって、モノスルフィド結合の形成が促進されることにより、老化抵抗性が改良される。本発明のゴム組成物にはさらにステアリン酸(オクタデカン酸)を含む。このものが、ゴム工業においてブロードな作用スペクトルを有しているということは当業者には公知である。たとえば、その効果の一つは、それが、酸化亜鉛および加硫促進剤の分散を改良するということである。さらに、硫黄加硫の過程で、亜鉛イオンとの錯体形成も起きる。
【0102】
本発明の組成物において酸化亜鉛は、オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、典型的には0.5〜15重量部、好ましくは1〜7.5重量部、特に好ましくは1〜5重量%、の量で使用される。
【0103】
本発明の組成物においてステアリン酸は、オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、0.1〜7、好ましくは0.25〜7、重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で使用される。
【0104】
酸化亜鉛とステアリン酸との組合せに代えるか、またはそれに加えて、ステアリン酸亜鉛を使用してもよい。この場合においては、それぞれの場合においてオイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にして、典型的には0.25〜5重量部、好ましくは1〜3重量部の量が使用される。
【0105】
VI)任意選択的な1種または複数のゴム添加剤
任意選択で、本発明のゴム混合物の成分VI)として、さらなるゴム添加剤が添加されるが、そのようなものとしては、以下のものが挙げられる:老化安定剤、加硫戻り安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、ワックス、鉱油、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、樹脂、増量剤、有機酸、加硫促進剤、金属酸化物、およびさらなる充填剤−活性剤、たとえばトリエタノールアミン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオールまたはその他のゴム工業において公知の添加剤、たとえばカーボンブラック(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Verlagsgesellschaft mbH,D−69451 Weinheim,1993,vol A 23,“Chemicals and Additives”,p.366〜417)。
【0106】
本発明の組成物に添加される加硫促進剤は、たとえば、スルホンアミド、スルファニリドまたはフタルイミドであってよい。好適な例は、N−シクロヘキシルチオフタルイミド、無水フタル酸(PTA)、サリチル酸(SAL)、N−ニトロソジフェニルアミン(NDPA)、トリクロロメラミン(TCM)、無水マレイン酸(MSA)、およびN−トリクロロメチルスルフェニルベンゼンスルファニリド(後者は、Vulkalent(登録商標)Eの名称で市販されている)などである。相当する加硫促進剤は、J.Schnetger,“Lexikon der Kautschuktechnik”,第3版,Huethig Verlag,Heidelberg,2004,p.590にも同様に記載されている。
【0107】
本発明の組成物に添加される抗酸化剤としては、たとえば、以下のものが挙げられる:メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール(2−MMBI)、3−メルカプトメチルベンズイミダゾール(3−MMBI)、4−メルカプトメチルベンズイミダゾール(4−MMBI)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(NDBC)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)、および2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(BKF)。これらの抗酸化剤は、無粉塵性、特にポリマーに結合させた供給形態で使用することもまた可能である(「ミクログラニュール」(MG)または「ミクログラニュールコーテッド」(MGC)として)。
【0108】
さらに、たとえば以下の形態で老化安定剤を使用することもまた可能である:変色性老化安定剤で抗疲労作用および抗オゾンがあるもの、たとえばN−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD);N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−1,4−ジメチルペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(7PPD)、N,N’−ビス−(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン(77PD)など;変色性老化安定剤で疲労保護作用はあるが抗オゾン作用のないもの、たとえばフェニル−α−ナフチルアミン(PAN);変色性老化安定剤で、抗疲労作用が低く、抗オゾン作用がないもの、たとえばオクチル化ジフェニルアミン(ODPA);非変色性老化安定剤で疲労保護作用と良好な熱保護作用のあるもの、たとえばスチレン化フェノール(SPH);非変色性オゾン安定剤で抗老化作用がないもの、たとえばワックス(特定の炭化水素の混合物)、環状アセタールおよびエノールエーテル;ならびに加水分解安定剤、たとえばポリカーボジイミド。
【0109】
さらに、本発明のゴム混合物には素練り用薬剤を添加することもできるが、それらは好ましくは以下のものからなる群より選択される:チオフェノール、チオフェノール亜鉛塩、置換芳香族ジスルフィド、チオカルボン酸の誘導体、ヒドラジン誘導体、ニトロソ化合物、金属錯体、特に好ましくは鉄ヘミポルフィラジン、鉄フタロシアニン、鉄アセトニルアセテート、およびそれらの亜鉛塩。素練り用薬品は特に、混合物において使用される天然ゴムの素練りのために使用されるが、天然ゴムの素練りは、実際の混合物を製造する前に、別のプロセス工程で実施するのが好ましい。
【0110】
本発明においては、それでもなお、淡色の充填剤に加えて、ある程度の量のカーボンブラック、特にHAF、ISAF、およびSAFのタイプのカーボンブラックを使用することも可能であるが、それらは、空気タイヤにおいて、特に空気タイヤのトレッドにおいて慣用されてきたものである。それらのカーボンブラックの例としては、N110、N115、N220、N134、N234、N339、N347およびN375が挙げられるが、これらは、当業者には充分に周知であり、多くのメーカーから市販されている。
【0111】
しかしながら、カーボンブラックを添加する場合、淡色の補強用フィラーの割合が、使用される補強用フィラーの全量を基準にして、50重量%を超える、好ましくは75重量%超えるようにする。したがって、カーボンブラックの割合は、50重量%未満、より好ましくは40重量%未満である。好ましい実施形態においては、本発明のゴム混合物の中にカーボンブラックを、オイルフリーゴムを合計したもの100重量部を基準にして、0〜35重量部の量で添加する。
【0112】
成分VI)として使用することが可能なゴム添加剤は、末端用途も含めた因子によって導かれる、慣用される量で使用する。個々のゴム添加剤で慣用される量は、たとえば、0.1〜50phrであるが、ここで示された量では、ゴムの増量剤としてゴム混合物の中に導入されるオイルの量は無視されている。
【0113】
好ましくは、本発明のまた別の変形形態においては、ポリチオリン酸系化合物を含まない加硫可能なゴム混合物が含まれる。
【0114】
本発明が提供するのは、上述のゴム混合物、およびさらには、それらから硫黄架橋によって得られる加硫物、特にはそれらから製造される、空気タイヤの各種構成要素、特にタイヤトレッド、および特に冬用タイヤのトレッドである。
【0115】
以下において、実施例により本発明のゴム混合物を説明する。
【0116】
ゴム混合物の製造
本発明のゴム混合物は、成分I)〜VI)を混合することにより製造する。この混合は、1ステージかまたは最高6ステージまでで実施することができる。インターナルミキサーにおける2段の混合ステージとローラー上での最終混合ステージ(「レディー・ミキシング(ready−mixing)ステージ」と呼ばれる)の、3ステージの混合操作が有用であることが見いだされた。また別の可能な方法は、インターナルミキサー中での第一の混合ステージとローラー上での第二の混合ステージを有する、2−ステージ混合操作である。さらなる可能な方法は、2−ステージ混合操作であるが、両方の混合ステージをインターナルミキサー中で実施し、その混合物を冷却した後で成分を添加するが、それらは、典型的には、ローラー上で、120℃未満、好ましくは110℃未満の温度で添加される。
【0117】
成分III)を淡色の充填剤の形態で全部第一の混合工程で添加し、成分II)をヒドロキシル含有ミクロゲルの形態で、第一の混合工程で全部、またはそうでなければ第一の混合工程と第二の混合工程とに分けて、またはそうでなければ第二の混合工程とそれより後の工程で添加するのが有用であるということが見いだされた。ポリスルフィド含有アルコキシシラン(IV)も同様に、第一の混合工程で全部添加するか、または第一の混合工程とそれより後の混合工程で分割して添加するかのいずれかで実施することができる。
【0118】
混合物を製造するのに適した装置は自体公知であり、たとえば、ローラー、インターナルミキサー、または混合エクストルーダーなどが挙げられる。
【0119】
インターナルミキサーにおける2−ステージ混合操作、または3−ステージもしくは多段ステージ混合プロセスを使用する場合においては、その第一および/または第二およびそれ以降の混合ステージ、好ましくは第一および第二混合ステージにおいて、110℃〜180℃、好ましくは120℃〜175℃、特に好ましくは125℃〜170℃の温度を採用し、それらの温度における混合時間を1〜15分の範囲として、この初期のステージでの加硫(初期加硫またはスコーチ)が起きないように選択する。
【0120】
レディー・ミキシングステージにおける温度は、20〜120℃、好ましくは30〜110℃である。
【0121】
典型的には、インターナルミキサーにおける混合は、20〜180℃の温度範囲、好ましくは50〜170℃の温度範囲内において実施するか、または100℃未満でローラー上で実施する。当業者は、専門家としての知識に基づいて、一方では、混合の過程でシリカがシラン化され、他方では早すぎる加硫(スコーチ)が起きないようにして、好適な温度を選択することができる。
【0122】
加硫物を製造するためのプロセス:
本発明の組成物の加硫は、典型的には100〜250℃、好ましくは130〜180℃の範囲の温度、標準圧力下(1bar)または、任意選択で200barまでの加圧下のいずれかで実施する。
【0123】
本発明において製造される組成物は、空気タイヤの製造、特にはタイヤトレッドの製造、特に冬用タイヤのためのトレッドの製造のために好適である。
【実施例】
【0124】
表Kに、ゴムマトリックスのためのこの後の実施例において使用されるゴムIa)、Ib)およびIc)(溶液重合SBR、1,4−cis−ポリブタジエン、天然ゴム)、およびそれらのゴムの重要な物性をまとめている。
【0125】
【表2】
【0126】
ガラス転移温度(Tg)の測定には、Perkin−Elmer製のDSC−7熱量計を使用した。それぞれの場合において、メーカー製の標準のアルミニウムるつぼの中に10mgのゴムを秤り込み、封じた。評価には、2回目の加熱ステップのサーモグラムを使用する。
【0127】
油展ゴム(Buna(登録商標)VSL5025−1 HM、Buna(登録商標)VSL5025−2 HM、およびBuna(登録商標)VSL5228−2)のガラス転移温度を、初期の、すなわちオイルを含んでいる状態と、オイルを除去した後との両方で測定した。オイルを除去するためには、油展ゴムを再沈殿させた。この目的のためには、油展ゴムを小片に切断して、室温で撹拌しながらトルエンの中に溶解させた(1gのゴムを50gのトルエンに溶解させた)。ゴムが完全に熔解してから、そのゴムのトルエン溶液を、500gのメタノールに、撹拌しながら室温で徐々に滴下した。凝固したゴムを単離し、それに付着している溶媒を絞り出し、次いでそのゴムを減圧下で、一定重量になるまで乾燥させた。表Kに見られるように、油展ゴムのガラス転移温度は、初期の状態と、オイルを除去した後とでは異なっている。ゴムマトリックスのガラス転移温度を計算するには、すべての場合において、再沈殿によってオイルを除去した後のゴムのガラス転移温度を用いた。
【0128】
ゴムゲル
本発明のために、Tg=−75℃のBRゲルを使用した。このゲルは、95重量%のトルエン中不溶画分を有している。トルエン中の膨潤指数は、11.5である。そのゲルのヒドロキシル価は、30mgKOH/g−ゲルである。
【0129】
そのBRゲルは、その組成を下記の表Mに示したモノマーの混合物を共重合させることにより製造するが、欧州特許第1 298 166号明細書(タイトル:[1]Production of Rubber Gel)のパラグラフ[0077]の開示にある重合条件を採用した。
【0130】
【表3】
【0131】
重合で得られたBRゲルラテックスのさらなる処理および作業は、欧州特許第1245 630号明細書パラグラフ[0103]および[0104]の製造実施例“Production of Conjugated Diene−Based Rubber Gel 1”の記載に従った。
【0132】
【表4】
【0133】
混合物シリーズ1)〜6)のゴム混合物の製造
ゴム混合物は、3−ステージの混合プロセスで製造したが、第一および第二混合ステージでは、それぞれの場合において、かみ合い式混練要素(PS 5Aパドル形状)を備えた容量1.5Lのインターナル混合物(mixture)(GK1,5、Werner & Pfleiderer(Stuttgart)製)を使用した。第三混合ステージは、恒温調節可能なローラーの上で、最高ローラー温度60℃で実施した。
【0134】
使用した混合物構成成分はそれぞれ、オイルフリーゴムマトリックス100重量部を基準にしたものである。混合物構成成分の添加順序と添加時間は、個々の混合シリーズの相当する表の中に示す。
【0135】
第一混合工程においては、表にリストアップした混合物構成成分を70℃に加熱したインターナルミキサーの中に導入し、充填レベル72%、ラム圧8bar、ニーダー速度70min
−1で混合した。シラン化のために、速度を上げることによりその混合物を混合物シリーズに記載した温度にまで加熱してから、表に記載されている時間それらの温度に維持した。その後で、混合物を排出し、ローラー上で90℃未満にまで冷却した。
【0136】
23℃で24時間貯蔵した後に、それらの混合物を第二混合ステージで、任意選択でさらなる成分(混合物シリーズを参照)を添加してから、インターナルミキサーの中に再分散させ(充填レベル:72%、ラム圧:8bar、回転速度:70min
−1)、回転速度を上げることによりその混合物シリーズに記載した温度にまで加熱し、次いで、混合物シリーズに記載されている時間、それらの温度に維持した。その後で、それらの混合物を排出し、40℃に予備加熱したローラーの上で60℃未満にまで冷却した。
【0137】
第三混合ステージにおいて、表に記載した混合物構成成分を、ローラー上での最高温度60℃で添加したが、前もって中間体を貯蔵することはしなかった。
【0138】
試験
未加硫ゴム混合物を使用し、1分後のムーニー粘度(ML1+1/100℃)および4分後のムーニー粘度(ML1+4/100℃)、ならびに10秒および30秒後のムーニー緩和を、ASTM D1646に従って測定した。
【0139】
それらの混合物の加硫特性は、DIN 53 529に従い160℃で、MDR 2000E Monsantoレオメーターを使用したレオメーターで検討した。この方法で、特性データたとえば、F
min、F
max、F
max−F
min、t
10、t
50、t
90およびt
95、さらにはF
15min、F
20min、F
25minおよびF
25min−F
maxを測定した。
【0140】
DIN 53 529、Part3による定義は以下のとおりである:
F
min:架橋等温線が最小のときの加硫計の読み
F
max:架橋等温線が最大のときの加硫計の読み
F
max−F
min:加硫計の読みにおける最大値と最小値の差
t
10:10%の転化率に到達した時間
t
50:50%の転化率に到達した時間
t
90:90%の転化率に到達した時間
t
95:95%の転化率に到達した時間
【0141】
加硫戻り特性は、以下のパラメーターにより特性解析した:
F
15min:15分後の加硫計の読み
F
20min:20分後の加硫計の読み
F
25min:25分後の加硫計の読み
F
25min−F
max:25分後の加硫計の読みと、最大値の間の差
【0142】
良好な加硫戻り特性を有するゴム混合物は、長い加硫時間の間でも実質的に一定の加硫計の読みを与えることを特徴としている、すなわち、加硫計の最大値に対する変化が最小となるべきである。極めて望ましくないのは、加硫時間が長くなるほど加硫計の読みが小さくなることである(「加硫戻り」)。このことは、その加硫物の老化特性が劣るということを表していて、使用している間に架橋度あるいはモジュラスが低下するということを示唆している。同様に望ましくないのが、加硫計の読みが最大値に達した後でも上昇することである(「マーチングモジュラス」)。ゴム混合物の加硫戻り抵抗性に関連して用いられる尺度は、25分と最大値との間の加硫計の読みの差(F
25min−F
max)であった。本発明の混合物の場合においては、この値が−0.47dNm未満である。
【0143】
加硫物の特性解析に必要な試験片は、混合物を120barの加圧下でプレス加硫することにより作製した。試験片を作製するために用いた加硫条件は、個々の試験シリーズに記載してある。
【0144】
それらの加硫物を使用して、以下の物性を、明記した標準に従って測定した:
DIN 53505:ショアーA硬度(23℃および70℃)
DIN 53512:レジリエンス(23℃、70℃)(「R23」)
DIN 53504:10%、25%、50%、100%、200%および300%歪みにおける応力値(σ
10、σ
25、σ
50、σ
100、σ
200およびσ
300)、引張強度、および破断時伸び
DIN 53516:摩耗
【0145】
動的性質(温度範囲−60℃〜0℃における貯蔵モジュラスE’の温度依存性、および60℃におけるtanδ)を測定するためには、Eplexor装置(Eplexor 500N)(Gabo−Testanlagen GmbH(Ahlden,Germany)製)を使用した。測定は、DIN 53513に従い、10Hzで、−100℃〜+100℃の温度範囲内において加熱速度1K/分で、円筒状のサンプルについて測定した。測定は、圧縮モードで、静的圧縮1%、動的変形0.1%で実施した。
【0146】
その方法を使用して、以下のパラメーター(ASTM 5992−96に従った命名法)を得た:
E’(−60℃):−60℃における貯蔵モジュラス
E’(−50℃):−50℃における貯蔵モジュラス
E’(−40℃):−40℃における貯蔵モジュラス
E’(−30℃):−30℃における貯蔵モジュラス
E’(−20℃):−20℃における貯蔵モジュラス
E’(−10℃):−10℃における貯蔵モジュラス
E’(0℃):0℃における貯蔵モジュラス
および
tanδ(60℃):60℃における損失係数(E’’/E’)
【0147】
E’は、冬用タイヤトレッドの氷および雪の上でのグリップ性の指標を与える。E’が低いほど、グリップ性が良好となる。
【0148】
tanδ(60℃)は、タイヤの回転におけるヒステリシス損失の尺度である。tanδ(60℃)が低いほど、タイヤの転がり抵抗性が小さい。
【0149】
結果のまとめ
溶液重合SBR、1,4−cis−ポリブタジエンおよびNRの混合比と、ミクロゲルの比率の両方を変化させて、6種の混合物シリーズを作製した。本発明実施例はそれぞれ、「
*」印を付けて区別した。
【0150】
第一混合物シリーズ
混合シリーズ1)においては、溶液重合SBR、cis−1,4−ポリブタジエン、および天然ゴムの比率を変化させると、ゴムマトリックスのガラス転移温度が、−58.4℃〜84.1℃の間で変化した(下記の表1.1参照)。−73.0〜−84.1℃のマトリックスTgおよび10〜30重量部のNR含量を基準にすると、1.2
*、1.3
*、1.4
*および1.7
*が本発明実施例である。実施例1.5および1.6は、そのNR含量の45および80重量部が本発明の範囲外であるので、本発明実施例ではない。
【0151】
【表5】
【0152】
【表6A】
【表6B】
【0153】
【表7】
【0154】
【表8】
【0155】
未加硫ゴム混合物を使用して、ムーニー粘度ならびに10秒後および30秒後のムーニー緩和を測定した。
【0156】
【表9】
【0157】
それらの混合物の加硫特性は、MDR 2000E Monsantoレオメーターを使用し、DIN 53 529に従い160℃でのレオメーターで検討した。
【0158】
【表10】
【0159】
加硫物の特性解析のために必要とされる試験片は、下記の条件下でのプレス加硫によって作製した。
【0160】
【表11】
【0161】
加硫物の物性を次の表にまとめた。
【0162】
【表12A】
【表12B】
【0163】
第一混合物シリーズからは次のことがわかる:VSL2525−0M(Tg=−49℃)のタイプのS−SBRを使用し、溶液重合SBR、1,4−cis−ポリブタジエンおよびNRの比率を変化させた場合には、本発明実施例の1.2
*、1.3
*、1.4
*および1.7
*の場合にのみ、加硫戻り抵抗性、貯蔵モジュラス(E’)、tanδ(60℃)および摩耗抵抗性に関して、良好な物性が得られる。本発明実施例においては、その天然ゴム含量が45重量部未満(10〜35重量部)であり、そのマトリックスTgが−73.0℃〜−84.1℃の範囲である。本発明ではない、−58.4℃のゴムマトリックスのガラス転移温度の場合においては(非本発明実施例1.1)、DIN 摩耗ならびに−60℃、−50℃および−40℃における貯蔵モジュラス(E’)が、満足のいくものではない。NR含量が45および80重量部である、非本発明実施例1.5および1.6の場合においては、その加硫レベルが、最大値に達した後で低下する(加硫戻り)。このことは、老化特性が貧弱であることを示唆している(使用中に、モジュラスが低下)。さらに、非本発明実施例1.5および1.6においては、tanδ(60℃)が満足のいくものではない。NR含量が10〜35重量部である本発明実施例においては、加硫戻り抵抗性が充分である。
【0164】
第二混合物シリーズ
混合シリーズ2)においては、溶液重合SBR、cis−1,4−ポリブタジエン、および天然ゴムの比率を変化させると、ゴムマトリックスのガラス転移温度が、−43.8℃〜87.3℃の間で変化した(下記の表2.1参照)。非本発明実施例の2.1、2.2、2.3、2.4および2.7においては、ゴムマトリックスの計算上のガラス転移温度が、−43.8℃、−61.2℃、−61.3℃、−61.5および−63.6℃である。非本発明実施例の2.7および2.8には、NRが70および80重量部の量で含まれている。本発明実施例の2.5
*および2.6
*のみにおいて、ゴムマトリックスのガラス転移温度とNR含量が共に本発明の範囲に入っている。
【0165】
【表13】
【0166】
【表14A】
【表14B】
【0167】
【表15】
【0168】
【表16】
【0169】
未加硫ゴム混合物を使用して、ムーニー粘度ならびに10秒後および30秒後のムーニー緩和を測定した。
【0170】
【表17】
【0171】
それらの混合物の加硫特性は、MDR 2000E Monsantoレオメーターを使用し、DIN 53 529に従い160℃でのレオメーターで検討した。
【0172】
【表18】
【0173】
加硫物の特性解析のために必要とされる試験片は、下記の条件下でのプレス加硫によって作製した。
【0174】
【表19】
【0175】
加硫物の物性を次の表にまとめた。
【0176】
【表20A】
【表20B】
【0177】
第二混合物シリーズから次のことがわかる:Buna(登録商標)VSL5025−0 HM(Tg=−22℃)のタイプのS−SBRを使用し、溶液重合SBR、1,4−cis−ポリブタジエンおよびNRの比率を変化させた場合には、ゴムマトリックスのガラス転移温度と天然ゴム含量の両方が本発明の範囲内である場合にのみ、満足のいく物性の組み合わせが得られる。−43.8℃(非本発明実施例2.1)、−61.2℃(非本発明実施例2.2)、および−61.3℃(非本発明実施例2.3)のゴムマトリックスのガラス転移温度では、これらの実施例のNR含量が本発明の範囲内であるにも関わらず、満足のいく物性が得られていない。これらの実施例においては、DIN 摩耗が高すぎる。さらに、これらの実施例においては、すべての実施例でその貯蔵モジュラスE’が充分ではない。NR含量が45、70および50重量部である、非本発明実施例の2.4、2.7および2.8においては、ゴム混合物の加硫戻り抵抗性が、不充分である。非本発明実施例2.7および2.8の場合においてもまた、それらの加硫物のtanδ(60℃)(転がり抵抗性)が、満足のいくものではない。さらに、非本発明実施例2.7においては、その貯蔵モジュラスE’(−60℃)、E’(−50℃)、E’(−20℃)、E’(0℃)ならびに摩耗抵抗性が、不充分である。本発明実施例の2.5
*および2.6
*においては、加硫戻り抵抗性、温度範囲−60℃〜0℃における貯蔵モジュラス、転がり抵抗性および摩耗特性が、満足のいくものである。
【0178】
第三混合物シリーズ
第三混合物シリーズにおいては、S−SBR、Nd−BRおよびNRの混合比を一定にして、S−SBRのタイプを変化させる。この評価の結果として、ゴムマトリックスの計算上のガラス転移温度が、−57.2℃〜−73.4℃の間で変化する。さらに、ゴムマトリックスの組成が同じ場合について、ミクロゲル含有ゴム混合物(10phrミクロゲル)とミクロゲルフリーのゴム混合物の物性を比較している。マトリックスTg=−73.4℃である、本発明実施例3.6
*のミクロゲル含有ゴム混合物の場合にのみ、要求される有利な物性の組合せを有していることがわかる。
【0179】
【表21】
【0180】
【表22A】
【表22B】
【0181】
【表23】
【0182】
【表24】
【0183】
未加硫ゴム混合物を使用して、ムーニー粘度ならびに10秒後および30秒後のムーニー緩和を測定した。
【0184】
【表25】
【0185】
それらの混合物の加硫特性は、MDR 2000E Monsantoレオメーターを使用し、DIN 53 529に従い160℃でのレオメーターで検討した。
【0186】
【表26】
【0187】
加硫物の特性解析のために必要とされる試験片は、下記の条件下でのプレス加硫によって作製した。
【0188】
【表27】
【0189】
加硫物の物性を次の表にまとめた。
【0190】
【表28】
【0191】
【表29】
【0192】
第三混合物シリーズにおいては、ガラス転移温度の面で異なる各種の溶液重合SBRのタイプを使用している。溶液重合SBR、1,4−cis−ポリブタジエンおよび天然ゴムの比率は一定に維持し、その天然ゴム含量はそれぞれの場合において、20phrである。ゴムマトリックスの計算上のガラス転移温度は、−57.2〜−73.4℃の間で変化している。第三混合物シリーズから次のことがわかる:そのゴムマトリックスの計算上のガラス転移温度が−73.4℃である、本発明実施例の3.6
*の場合においてのみ、摩耗抵抗性および転がり抵抗性において、−60〜0℃の温度範囲内におけるE’と共に有利な物性が見いだされる。第三混合物シリーズにおけるすべての実施例において、加硫戻り抵抗性は充分なものである。
【0193】
第四混合物シリーズ
第四混合物シリーズにおいては、S−SBR、高−cis−1,4のBRおよびNRの比率を変化させることによって、ゴムマトリックスの計算上のガラス転移温度が、−70.5℃〜−75.9℃と、本発明の範囲内で変化する。使用した高−cisBRのタイプは、NdBRタイプのBuna(登録商標)CB 24と、CoBRタイプのBuna(登録商標)CB 1203の両方である。使用したS−SBRは、Buna(登録商標)VSL2525−0 MおよびBuna(登録商標)VSL5025−0 HMの両方である。すべてのゴム混合物において、ミクロゲルの量は一定に保った(10phr)。本発明の有利な物性の組合せは、本発明実施例の4.1
*、4.2
*、4.3
*、4.4
*、4.5
*、および4.6
*で見いだされる。NR含量が38および40phrである実施例4.7および4.8は、加硫戻り抵抗性が不充分であるので、本発明ではない。
【0194】
【表30】
【0195】
【表31A】
【表31B】
【0196】
【表32】
【0197】
【表33】
【0198】
未加硫ゴム混合物を使用して、ムーニー粘度ならびに10秒後および30秒後のムーニー緩和を測定した。
【0199】
【表34】
【0200】
それらの混合物の加硫特性は、MDR 2000E Monsantoレオメーターを使用し、DIN 53 529に従い160℃でのレオメーターで検討した。
【0201】
【表35】
【0202】
加硫物の特性解析のために必要とされる試験片は、下記の条件下でのプレス加硫によって作製した。
【0203】
【表36】
【0204】
加硫物の物性を次の表にまとめた。
【0205】
【表37A】
【表37B】
【0206】
【表38】
【0207】
第四混合物シリーズにおいては、S−SBR、高−cis−1,4のBRおよびNRの比率を変化させることによって、ゴムマトリックスのガラス転移温度が、−70.5℃〜−75.9℃と、本発明の範囲内で変化する。天然ゴムの量は、15〜40phrの範囲で変化させた。使用した高−cisBRのタイプは、NdBRタイプ(Buna(登録商標)CB 24)と、CoBRタイプ(Buna(登録商標)CB 1203)の両方である。使用したS−SBRは、Buna(登録商標)VSL2525−0 MおよびBuna(登録商標)VSL5025−0 HMである。すべてのゴム混合物において、ミクロゲルの量は一定に保った(10phr)。本発明実施例の4.1
*〜4.6
*においては、加硫戻り抵抗性、E’、tanδおよび摩耗抵抗性について、有利な物性の組合せが見いだされる。天然ゴム含量が38および40phrである、非本発明実施例の4.7および4.8は、加硫戻り抵抗性(F
25min−F
max)が不充分である。
【0208】
第五混合物シリーズ
第五混合物シリーズにおいては、BRゲルの量を0から25phrまで増加させるが、それに対して、ゴムのS−SBR、高−cisBRおよびNRの混合比は一定に維持する。それぞれの実施例におけるゴムマトリックスの計算上のガラス転移温度は、−73.4℃であって、本発明の範囲内である。実施例5.1はミクロゲルを全く含まず、本発明実施例ではない。ミクロゲルを5〜25phr添加した実施例5.2
*〜5.8
*は本発明実施例である。
【0209】
【表39】
【0210】
【表40A】
【表40B】
【0211】
【表41】
【0212】
【表42】
【0213】
未加硫ゴム混合物を使用して、ムーニー粘度ならびに10秒後および30秒後のムーニー緩和を測定した。
【0214】
【表43】
【0215】
それらの混合物の加硫特性は、MDR 2000E Monsantoレオメーターを使用し、DIN 53 529に従い160℃でのレオメーターで検討した。
【0216】
【表44】
【0217】
加硫物の特性解析のために必要とされる試験片は、下記の条件下でのプレス加硫によって作製した。
【0218】
【表45】
【0219】
加硫物の物性を次の表にまとめた。
【0220】
【表46】
【0221】
【表47】
【0222】
第五混合物シリーズにおいては、ゴム混合物の中のBRゲルの量を0〜25重量部の範囲で変化させるのに対して、溶液重合SBR、1,4−cis−ポリブタジエンおよびNRの混合比は一定に維持する。すべての実施例におけるゴムマトリックスのガラス転移温度は−73.4℃である。第五混合物シリーズからは以下のことがわかる:所定の満足のいく加硫戻り抵抗性で、BRゲルを添加すると、−60℃〜−10℃の温度範囲内における貯蔵モジュラスE’の温度依存性、tanδ(60℃)、およびDIN 摩耗が改良される。この理由から、実施例5.2
*〜5.8
*が本発明実施例である。
【0223】
第六混合物シリーズ
本発明ではない第六混合物シリーズにおいては、BRゲルの量を0から30phrまで増加させるが、それに対して、ゴムのS−SBR、高−cisBRおよびNRの混合比は一定に維持する。すべての実施例におけるゴムマトリックスの計算上のガラス転移温度は−60.8℃であり、本発明の範囲外である。実施例6.1〜6.7は、非本発明実施例である。
【0224】
【表48】
【0225】
【表49】
【0226】
【表50】
【0227】
【表51】
【0228】
未加硫ゴム混合物を使用して、ムーニー粘度ならびに10秒後および30秒後のムーニー緩和を測定した。
【0229】
【表52】
【0230】
それらの混合物の加硫特性は、MDR 2000E Monsantoレオメーターを使用し、DIN 53 529に従い160℃でのレオメーターで検討する。
【0231】
【表53】
【0232】
加硫物の特性解析のために必要とされる試験片は、下記の条件下でのプレス加硫によって作製した。
【0233】
【表54】
【0234】
加硫物の物性を次の表にまとめた。
【0235】
【表55】
【0236】
【表56】
【0237】
本発明ではない第六混合物シリーズにおいては、BRゲルの量を0から30phrまで増加させるが、それに対して、ゴムのS−SBR、高−cisBRおよびNRの混合比は一定に維持する。すべての実施例におけるゴムマトリックスのガラス転移温度は−60.8℃であり、本発明の範囲外である。第六混合物シリーズの実施例すべてにおいて、特にDIN 摩耗値が満足のいくものではない。