【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による目的は、
本発明の特徴を有するチューブアダプタによって解決される。本発明による目的はまた、
本発明の特徴を有する透析液チューブシステム及び
本発明の特徴を有する医療装置によって解決される。さらに、本発明の目的は、
本発明の特徴を有するチューブアダプタを使用する方法によって、及び
本発明の特徴を有する透析液チューブシステム内の最小圧力未満の圧力の発生を防ぐための方法によって解決される。
【0005】
故に、本発明によれば、透析液チューブシステムの1つ以上のチューブ部と連結するチューブアダプタが提案される。あるいは、本発明のチューブアダプタは、透析液チューブシステムの2つのチューブ部の間に挿入されてもよく、またはそれに応じて使用され、適合されることが意図される。チューブアダプタおよびチューブ部の両方が、意図されるように使用されているときに透析液を灌流させるように意図され、構成される。
【0006】
本発明のチューブアダプタは、チューブアダプタまたはそれに連結されたチューブ部の貫流ルーメンを一時的または可逆的に閉鎖する1つ以上の閉鎖機構、および流れ抵抗を発生または変化させる装置、またはそれら両方を備える。
【0007】
本発明の透析液チューブシステムは、本発明の1つ以上のチューブアダプタを備え、こうした1つのチューブアダプタと一体化され(または一体部品であり)、あるいはその貫流ルーメンを閉鎖する1つ以上の閉鎖機構、あるいは流れ抵抗を発生または変化させる装置またはそれら両方を備える。
【0008】
本発明の医療装置は、本発明の1つ以上の透析液チューブシステムを備え、またはそれらに連結される。
【0009】
本発明に従って本発明のチューブアダプタを用いることは、チューブアダプタを透析液チューブシステム、特に透析液チューブシステムの1つ以上のダイアライザカプラと連結するステップを包含し、カプラは、透析液チューブシステムをダイアライザまたは血液フィルタと連結させるように構成される。
【0010】
さらに、本発明によれば、透析液チューブシステム内の圧力が最小圧力未満になることを防ぐ方法が示唆されている。この方法は、本発明のチューブアダプタを透析液チューブシステムと連結するステップを包含し、または透析チューブシステムの貫流ルーメンを閉鎖するための閉鎖機構を配置するステップを包含し、または透析液チューブシステム内の流れ抵抗を発生または変化させる装置を配置するステップ、あるいはそれらの両方を包含する。連結または配置は、透析液チューブシステムに連結される加熱装置の下流で行われる。
【0011】
以降、「できる/であってもよい」または「有することができる/有していてもよい」などは、「好ましくは〜である」、または「好ましくは〜を有する」などと理解されるべきであり、本発明の実施形態に関連するように理解されるべきである。
【0012】
本発明の有利な発展は従属請求項および実施例および実施形態の各主題である。
【0013】
本発明の実施形態は、以下の通りに記述される特徴の1つまたはいくつかを有していてもよい。
【0014】
本発明の一部の実施形態において、流れ抵抗は、段階的に変化する、または一定でなく変化する、またはその両方において変化する。
【0015】
本発明の特定の実施形態において、チューブアダプタは、連結されている透析液チューブシステムのチューブアダプタと流体連通する。故に、使用されているときに、チューブ部は、チューブ部と同じ流体もしくは同じ量の流体またはそれら両方が貫流している。
【0016】
本発明の一部の実施形態において、流れ抵抗は、チューブアダプタによって、またはその構成要素の1つによって発生させられ、または変化させられ、またはその両方である。
【0017】
本発明の特定の実施形態において、チューブアダプタは、使用されている透析液チューブシステムの1つ以上のチューブ部と連結することが意図され、構成され、またはそれら両方である。
【0018】
本発明の一部の実施形態において、流れ抵抗の変化は、本発明のチューブアダプタの貫流ルーメン内で生じる。
【0019】
本発明の特定の実施形態において、流れ抵抗は、圧力降下に従って変化し、または圧力降下を引き起こす。
【0020】
本発明の一部の実施形態において、チューブアダプタの貫流は、その閉鎖された状態の閉鎖機構によって閉鎖される。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、透析液の供給源からダイアライザへの透析液の進入は、その閉鎖された状態の閉鎖機構によって閉鎖される。
【0022】
本発明の一部の実施形態において、チューブアダプタの貫流は、本発明のチューブアダプタの上流であり、特にここではチューブアダプタを通って導かれる透析液が加熱された加熱装置、例えばバッグヒーターとして構成される装置の下流の圧力に依存して閉鎖機構によって妨げられる。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、チューブアダプタの下流およびチューブアダプタの上流の流れまたはいずれかの流れは、チューブアダプタの通常使用の間に流れ抵抗を発生させる装置によって、本発明のチューブアダプタの上流の圧力に依存して変更され、または妨げられる。
【0024】
本発明の一部の実施形態において、閉鎖機構および流れ抵抗を発生させる装置、またはそれらの両方は、チューブアダプタの上流の予備規定圧力を取り除く、または排除するように作用する。予備規定圧力は、真空もしくは負の圧力または予備規定された最小圧力未満の圧力であってもよい。
【0025】
予備規定された最小圧力は、逆止弁または圧力停止弁のような特定の要素を選択することによって規定され、または設定されてもよい。
【0026】
用語「逆止弁」および「圧力停止弁」は、これが、技術的観点から可能であると当業者が考慮する場合はいつでも、本発明の一部の実施形態において交換可能に使用されている。
【0027】
本発明の一部の実施形態において、最小圧力は、真空または負の圧力である。本発明の特定の実施形態において、最小圧力は、この圧力が容器またはバッグの内側に適用される場合に、容器または実際に使用されるバッグヒーターのバッグが確実に潰れない圧力である。本発明の一部の実施形態において、最小圧力または圧力差は、それぞれ0hPaである。
【0028】
本発明の特定の実施形態において、最小圧力は、容器または実際に使用されるバッグヒーターのバッグの内側圧力に関し;本発明の他の実施形態において、最小圧力は、加熱装置とダイアライザとの間の透析液チューブシステムの内側圧力に関する。
【0029】
本発明の一部の実施形態において、チューブアダプタまたはこれらの構成成分は、透析液用のダイアライザの注入口の上流に位置する。
【0030】
本発明の特定の実施形態において、チューブアダプタまたはその構成要素に進入する流体は、そこから流れ出る流体と同じである。流体の処理またはその組成の操作は、本発明のこうした実施形態においてはチューブアダプタ内では行われない。浸出液などはこうした実施形態においてチューブアダプタ内に添加されない。チューブアダプタは、そのために適合もされず、意図もされない。チューブアダプタは、本発明の一部の実施形態においてポート弁でもなく、マルチポート弁でもない。
【0031】
本発明の特定の実施形態において、チューブアダプタまたはその構成要素は、適合されない、または−意図する使用の間に−例えば加熱によって、特に目的とするまたは意図する加熱によってそれを貫流する流体を変化させることも、または操作することもできない。
【0032】
本発明の一部の実施形態において、チューブアダプタもその構成要素も、ポンプ用のバイパスライン内には配置されない。
【0033】
本発明の特定の実施形態において、透析液チューブシステムは、ポンプ用のバイパスラインを備えていない。
【0034】
本発明の一部の実施形態において、チューブアダプタもその構成要素も、圧力を制限する装置ではなく、またはそのように作用もしない。
【0035】
本発明の特定の実施形態において、チューブアダプタまたはその構成要素は、最小圧力を確実にするための装置であり、またはそのように作用する。
【0036】
例えば、本発明の一部の実施形態において、本明細書に記述される逆止弁または圧力停止弁は、一旦十分高い圧力に到達したら開放することによって圧力を制限することを意図しない。むしろ、圧力が低すぎると閉じる。
【0037】
本発明の特定の実施形態において、透析液チューブシステムは、ポンプ、例えばローラーポンプのような遮蔽ポンプに挿入されることを意図するチューブ部を備える。
【0038】
本発明の一部の実施形態において、チューブアダプタ、その閉鎖機構、または流れ抵抗を発生または変化させるその装置は、弁および/またはスロットルおよび/または開口であり、またはこうした要素の1つ以上を備える。
【0039】
弁の場合、それは、例えば規定または予備決定された開口圧力を有する逆止弁または圧力停止弁であることができる。
【0040】
本発明の特定の実施形態において、チューブアダプタの閉鎖機構の開口圧力は、最小50hPa(またはmbar)および最大350hPaであり、またはそれら両方である。
【0041】
本発明の一部の実施形態において、上述の最小圧力は5hPaであり、それは、チューブアダプタまたは閉鎖機構の下流で広がる圧力よりも5hPa高い。
【0042】
本発明の特定の実施形態において、流れ抵抗を発生または変更させる装置は、本発明のチューブアダプタの使用中に、最小5hPaおよび/または最大1000hPa、好ましくは最小50hPaおよび/または最大400hPa、特に好ましくは最小100hPaおよび/または最大350hPaの圧力差が装置またはチューブアダプタにわたって広がるように変更する。
【0043】
本発明の一部の実施形態において、透析液チューブシステムは、チューブアダプタと一体化され、またはそこに堅く連結される。堅く連結されたとは、連結が破壊されない限り解放され得ないことを意味する。
【0044】
本発明の特定の実施形態において、透析液チューブシステムはさらに、透析液を含む容器またはバッグ(例えば回収または貯蔵容器)を備え、またはそれらに連結される。この流体は、チューブシステムを貫流するように意図される。また、透析液チューブシステムは、場合によりポンプを備えていてもよく、またはチューブシステムのルーメンに透析液を運び得るような形式で配置されるポンプと連結されてもよい。ポンプは、容積式ポンプ、例えばローラーポンプとして構成され得る。
【0045】
本明細書に使用される名称にかかわらず、本発明の一部の実施形態において、透析液チューブシステムは、これが当業者に可能であることが明らかである場合であれば、透析液以外の医療流体用のチューブシステムであってもよい。
【0046】
容器は、1つ以上のバッグとして構成されてもよい。こうしたバッグは、例として米国特許出願公開第2005/020959号明細書に開示され、この全体の内容は、ここで参考として本明細書に組み込まれる。
【0047】
本発明の一部の実施形態において、透析液チューブシステムは、透析液を加熱するための加熱装置を備え、またはそれと連結され、または使用中の加熱装置と連結されることが意図される部分を備える。
【0048】
本発明の特定の実施形態において、加熱装置は、チューブアダプタの上流に配置される。
【0049】
加熱装置は、所望の加熱結果を達成するために、容器内部において一定の正の圧力を必要とする装置の1つであってもよい。
【0050】
本発明の一部の実施形態において、加熱装置はバッグヒーターである。
【0051】
本発明の特定の実施形態において、透析液チューブシステムは使い捨てである。
【0052】
本発明の一部の実施形態において、透析液チューブシステムは、透析液チューブである。
【0053】
本発明の特定の実施形態において、医療装置は、血液処置装置、例えば透析装置、濾過装置、血液透析濾過装置または当業者に既知のいずれかの他の透析装置である。
【0054】
本発明の一部の実施形態において、医療装置は、体外血液回路および/またはチューブセットまたはシステムを有する処置システムまたは処置装置、あるいは1つまたはこれらに連結される。
【0055】
本発明の特定の実施形態において、医療装置は、透析装置であり、これは特に、持続的静静脈血液濾過透析(CVV−HDF)のために使用されるように構成され、または急性透析のために構成され、またはそれら両方である。
【0056】
本発明の一部の実施形態において、チューブアダプタは、加熱装置の下流、特にバッグヒーターの下流の透析液チューブシステムと連結されている。加熱装置はまた、透析液チューブシステムと連結される。
【0057】
本発明の特定の実施形態において、チューブアダプタは、透析液チューブシステムのダイアライザカプラと連結されている。この目的のために、本発明のチューブアダプタは、例えば1つまたはいくつかのダイアライザカプラと、プラグ連結によって、プラグ−スクリュー連結などによって、特にツールまたはさらなる連結要素を用いることなく連結されるように構成されてもよい。
【0058】
本明細書に使用される場合、用語チューブ「アダプタ」は、本発明のチューブアダプタがアダプタを用いずには互いに連結できないものを連結することを意図したような限定的な形式で解釈されることを意図しない。むしろ、この用語はまた、チューブシステムの2つのチューブ部、または特に直接的な形式で互いに流体連通するダイアライザとチューブ部とを連結することを意図する中間要素または連結要素を包含する。
【0059】
特定の実施形態において、本発明は、透析液チューブシステムの少なくとも別のチューブ部と連結するための1つ以上のチューブアダプタを有する透析液チューブシステムを対象とし、ここでチューブアダプタは、貫流され得るそのルーメンを閉じるための1つ以上の閉鎖機構および/またはチューブアダプタ、チューブ部、または透析液チューブシステムの流れ抵抗を発生または変化させるための装置を含み、ここで透析液チューブシステムはさらに、チューブシステムを貫流するために提供される透析液を有する1つ以上の容器、および透析液チューブシステムにおいて透析液を輸送するために配置された1つのポンプを備え、またはそれぞれが連結され、または連結されると意図され;ここでさらに透析液チューブシステムは、透析液を加熱するための加熱装置を備え、またはそれらに連結され、あるいは使用中に加熱装置に連結されることを意図した部分を有し;ここで加熱装置は、使用中にポンプの下流に配置され、ここでチューブアダプタは、加熱装置の下流であるが、ダイアライザの上流に配置される。
【0060】
本発明の実施形態の一部またはいくつかまたはすべてが、上述されたまたは以降に述べる利点の1つ、いくつかまたはすべてを提供し得る。
【0061】
加熱装置の下流に配置されるポンプ、例えば遮蔽ポンプ(例えばローラーポンプ)は、代替配置となり得る。この場合、例えば逆止弁または圧力停止弁を有するチューブアダプタの機能は、少なくとも部分的に、その遮蔽効果により、加熱装置とダイアライザとの間の真空または負の圧力を回避できる遮蔽ポンプによって想定されることになる。加熱装置、例えばバッグヒーターがポンプの下流に提供され、本発明のチューブアダプタが加熱装置の下流に提供される透析液チューブシステムを用いる本発明の配置は、この代替解決策に比べて以下の利点を備える:加熱装置内の真空または負の圧力は、ダイアライザによって生じ得るだけでなく(ダイアライザ内側の高いTMPはいくつかの理由を有し得る、
図3に関して行われた説明を参照のこと)、ローラーポンプとして知られる遮蔽ポンプのアスピレーションまたは吸引によっても生じ得る。加熱装置内側の真空または負の圧力の望ましくない効果も、加熱装置の下流に配置された遮蔽ポンプのアスピレーションまたは吸引効果によって生じ得る。
【0062】
さらに、バランシングのエラーは、加熱装置、特にバッグヒーターが−追加の体積貯蔵と見なされるが−、通常はバランシングシステムにおいて考慮されていないので避けられる。本発明のチューブアダプタによって、真空から得られる変化および加熱装置、特にバッグヒーターの容器の崩壊は、上述の代替解決策の場合がそうであるように、有利なことには回避され得る。
【0063】
さらに、本発明によって、代替配置で生じ得るような、透析液が輸送されていない間の透析液の加温は、特定の重炭酸塩含有溶液で防ぐことができる。こうした加温は、透析液の品質を劣化し得る。これは、結果として透析液の沈澱(percipitation)を生じ得る。
【0064】
流体がダイアライザに入る前の望ましくない透析液の温度低下は、有利なことには、本発明に従って加熱装置の上流にポンプが位置するという事実によって防ぐことができる。望ましくない温度低下は、見積もるのが困難な温度のずれをもたらし得る。本発明によれば、こうしたずれは、本発明によって提供される利点を達成しながら、防ぐことができる。
【0065】
加熱装置、例えばバッグヒーター内側の真空または負の圧力を検出して、それらを防ぐために、本発明によって提供される解決策により、または本発明の形式での加熱装置とダイアライザとの間のチューブアダプタの配置またはその構成要素によって、好適な最小値に関して濾液圧力、すなわち膜に近いダイアライザ内側の透析液圧力または別の圧力をモニタすることは必要でない。例えば、持続的静静脈血液濾過透析(CVV−HDF)用に配置した加熱装置と濾液圧力モニターとの間に本質的に関連する流れ抵抗はない。けれども、加熱装置内側の圧力がバッグの崩壊を確実に防ぐのに十分高い最小濾液圧力を同定することは、静水圧差による補正後に、可能となり得る。例えば、ポンプの流量は、圧力が最小濾液圧力未満に降下するとき、および降下する場合に、低下し得る。しかし、この目的のためには制御回路が必要とされる。これはコストおよび不便性、メンテナンス、キャリブレーションなどを生じさせる。本発明によれば、これは必要でない。
【0066】
また、こうした解決策は、誤ったスアラームがポンプの流量の許容される範囲内において生じ得る、および特定の処置パラメータが許容不可能であるというリスクを有する。そのため、説明不可能な警告が生じ得る(加熱バッグの枯渇、バランス警告、ヒーターアラート)。本発明のチューブアダプタを用いることによって、最小濾液圧力はモニタされる必要はない。
【0067】
別の利点によれば、加熱装置のバッグ内側の圧力は、本発明のチューブアダプタによって、5〜1000hPa、好ましくは50〜400hPa、特に好ましくは100〜350hPaの範囲の必要とされる値だけ増大し得る。この値は、流れ方向における開口圧力に基づいて、弁など上述されるような既知の装置によって設定され得る、または選択可能である。
【0068】
本発明に従って可能な形式で圧力を増大させることは、有利なことには、低圧で起こり得るような、加温加熱表面と接触しているときに溶液の望ましくないガス抜けを抑えるまたは主に回避する。故に、ガス抜け、特にCO
2のガス抜けによって生じるpHシフト、およびひいては流動溶液からの炭酸カルシウムおよび他の化学化合物の望ましくない沈澱を避けることができる。
【0069】
本発明のチューブアダプタの別の利点によれば、加熱装置または加熱バッグの崩壊が同定されたら、それらが組み込まれてもよい。このようにして、製造された透析液流体チューブシステムのそれぞれに、例えば逆止弁または圧力停止弁のコストのかかる複雑な一体化は、回避または除外され得る。
【0070】
以下に、添付の図面を参照して例を用いて本発明を説明するが、この図面において同じまたは同一要素は、同一の参照数字で表される。部分的に非常に単純化された図を含む