特許第6284496号(P6284496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284496
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】電圧変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20180215BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20180215BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H02M3/155 U
   H02M3/155 H
   B60R16/02 645D
   B60R16/033 D
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-31260(P2015-31260)
(22)【出願日】2015年2月20日
(65)【公開番号】特開2016-154399(P2016-154399A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】折金 俊典
(72)【発明者】
【氏名】蜂谷 孝治
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/107774(WO,A2)
【文献】 特開2011−155791(JP,A)
【文献】 特開2014−125117(JP,A)
【文献】 特許第4835690(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
B60R 16/02
B60R 16/033
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直流電源、第2直流電源、および負荷がそれぞれ接続され、前記各直流電源の電圧を異なる大きさの電圧に変換して前記負荷に供給する電圧変換装置において、
前記第1直流電源が接続される第1接続端子と、
前記第2直流電源が接続される第2接続端子と、
前記負荷が接続される第3接続端子と、
第1入出力端子と第2入出力端子とを有する第1DC−DCコンバータと、
第3入出力端子と第4入出力端子とを有する第2DC−DCコンバータと、
一端が前記第1接続端子に接続され、他端が前記第1入出力端子に接続された第1電力経路と、
一端が前記第2入出力端子に接続され、他端が前記第3入出力端子に接続された第2電力経路と、
一端が前記第4入出力端子に接続され、他端が前記第2接続端子に接続された第3電力経路と、
一端が前記第2電力経路の途中に接続され、他端が前記第3接続端子に接続された第4電力経路と、
一端が前記第1電力経路の途中に接続され、他端が前記第3接続端子に接続された第5電力経路と、
前記第5電力経路に設けられた第5スイッチング素子と、
前記第4電力経路に設けられた第6スイッチング素子と、
前記各DC−DCコンバータと前記各スイッチング素子とを制御する制御部と、を備え、
前記負荷は、供給電圧が下がらないように保護する必要がある被保護負荷であり、
前記第1直流電源には、動作時に大電流が流れる大電流負荷と、回生電力を発生する発電機とが並列に接続され、
前記第2直流電源は、前記発電機で発生した回生電力を蓄電可能であり、
前記制御部は、
前記発電機が発電していない場合において、前記大電流負荷が動作していないときに、前記各DC−DCコンバータを動作させ、前記第5スイッチング素子をオンし、前記第6スイッチング素子をオフし、
前記大電流負荷が動作するときに、少なくとも前記第2DC−DCコンバータを動作させ、前記第5スイッチング素子をオフし、前記第6スイッチング素子をオンする、ことを特徴とする電圧変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧変換装置において、
前記第1DC−DCコンバータは、
グランドと前記第2入出力端子との間に同一の向きで直列接続された第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
一端が前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との間に接続され、他端が前記第1入出力端子に接続された第1チョークコイルと、
一端が前記第1入出力端子と前記第1チョークコイルとの間に接続され、他端がグランドに接続された第1コンデンサと、
一端が前記第2入出力端子と前記第2スイッチング素子との間に接続され、他端がグランドに接続された第2コンデンサと、から構成され、
前記第2DC−DCコンバータは、
グランドと前記第3入出力端子との間に同一の向きで直列接続された第3スイッチング素子および第4スイッチング素子と、
一端が前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間に接続され、他端が前記第4入出力端子に接続された第2チョークコイルと、
一端が前記第4入出力端子と前記第2チョークコイルとの間に接続され、他端がグランドに接続された第3コンデンサと、
一端が前記第3入出力端子と前記第4スイッチング素子との間に接続され、他端がグランドに接続された第4コンデンサと、から構成されている、ことを特徴とする電圧変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電圧変換装置において、
前記第1DC−DCコンバータは、
前記第1入出力端子から入力された電圧を昇圧して前記第2入出力端子から出力可能であり、かつ前記第2入出力端子から入力された電圧を降圧して前記第1入出力端子から出力可能であり、
前記第2DC−DCコンバータは、
前記第3入出力端子から入力された電圧を降圧して前記第4入出力端子から出力可能であり、かつ前記第4入出力端子から入力された電圧を昇圧して前記第3入出力端子から出力可能である、ことを特徴とする電圧変換装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電圧変換装置において、
前記第2DC−DCコンバータ側から前記第1DC−DCコンバータに流れる電流を検出する電流検出部をさらに備え、
前記制御部は、
前記発電機が発電していない場合において、前記大電流負荷が動作するときに、
前記電流検出部の検出値に基づいて、前記第1DC−DCコンバータに流れる電流を、前記被保護負荷の駆動に支障のない規定値以下に制限する、ことを特徴とする電圧変換装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電圧変換装置において、
前記第2直流電源の電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記制御部は、
前記発電機が発電していない場合において、前記大電流負荷が動作するときに、
前記電圧検出部で検出した前記第2直流電源の電圧が、前記被保護負荷を駆動するのに必要な電圧より大きな所定値以上であれば、前記各DC−DCコンバータを動作させ、前記第5スイッチング素子をオフし、前記第6スイッチング素子をオンし、
前記第2直流電源の電圧が前記所定値未満であれば、前記第2DC−DCコンバータを動作させ、前記第1DC−DCコンバータを停止し、前記第5スイッチング素子をオフし、前記第6スイッチング素子をオンする、ことを特徴とする電圧変換装置。
【請求項6】
請求項ないし請求項のいずれかに記載の電圧変換装置において、
前記制御部は、
前記大電流負荷が動作していないときに、前記各DC−DCコンバータを動作させ、前記第5スイッチング素子をオンし、前記第6スイッチング素子をオフすることで、前記第2直流電源の電力を前記各DC−DCコンバータと前記第5スイッチング素子とを通して前記被保護負荷に供給するとともに、前記第1直流電源の電力を前記第5スイッチング素子を通して前記被保護負荷に供給し、
前記大電流負荷が動作するときに、前記各DC−DCコンバータを動作させ、前記第5スイッチング素子をオフし、前記第6スイッチング素子をオンすることで、前記第2直流電源の電力を前記第2DC−DCコンバータと前記第6スイッチング素子とを通して前記被保護負荷に供給するとともに、前記第2直流電源の電力を前記各DC−DCコンバータを通して前記大電流負荷に供給する、ことを特徴とする電圧変換装置。
【請求項7】
請求項ないし請求項のいずれかに記載の電圧変換装置において、
前記制御部は、
前記発電機で回生電力が発生するときに、前記各DC−DCコンバータを動作させ、前記第5スイッチング素子をオンし、前記第6スイッチング素子をオフすることで、前記回生電力で前記第2直流電源を充電するとともに、前記回生電力を前記第5スイッチング素子を通して前記被保護負荷に供給する、ことを特徴とする電圧変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の直流電源からの電圧を昇圧または降圧して、負荷に供給する電圧変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球の環境保護や燃料消費率(燃費)の向上のため、アイドリングストップ機能と減速回生機能とを有する車両が開発されている。この種の車両には、たとえばバッテリやキャパシタなどから成る複数の直流電源と、DC−DCコンバータなどから成る電圧変換装置とが設けられている。電圧変換装置は、各直流電源からの電圧を昇圧または降圧して負荷に供給したり、車両に備わる発電機で発生した回生電力をキャパシタなどに蓄電したりする。
【0003】
また、たとえば、特許文献1の電圧変換装置や、特許文献2の図7に示されている電圧変換装置では、供給電圧が下がらないように保護する必要がある負荷(狭電圧範囲補機)とバッテリとの間の電力経路に、スイッチが設けられている。また、その負荷とスイッチとの間の電力経路には、DC−DCコンバータを介して蓄電部が接続されている。バッテリとスイッチとの間の電力経路には、発電機やスタータモータやその他の負荷(補機、広電圧範囲補機)が接続されている。
【0004】
たとえば、車両の減速により、発電機で回生電力が発生するときは、スイッチがオンされて、DC−DCコンバータが駆動し、回生電力が蓄電部に蓄電される。また、車両がアイドリングストップ以外の状態で、発電機で回生電力が発生しないときは、スイッチがオンされて、DC−DCコンバータが駆動し、蓄電部が放電される。この際、特許文献1では、DC−DCコンバータが動作でき、かつバッテリの電圧が瞬時低下する既定期間に亘り蓄電部が負荷を駆動し続けることができる電圧まで、蓄電部を放電する。
【0005】
また、車両のアイドリングストップ後にエンジンを再始動する際は、スタータモータを起動することで、スタータモータに大電流が流れて、バッテリの電圧が瞬時低下する。そこで、その際、スイッチがオフされて、負荷と蓄電部とがバッテリとスタータモータとから電気的に切り離され、蓄電部の電力が、DC−DCコンバータを経由して負荷に供給される。これにより、負荷が蓄電部の電力で安定に駆動し続ける。
【0006】
電圧変換装置のDC−DCコンバータは、たとえば特許文献3〜5のような、双方向昇降圧型チョッパ回路から構成されている。これらの双方向昇降圧型チョッパ回路は、2つのハーフブリッジ回路とリアクトルなどから構成されている。各ハーフブリッジ回路は、直列接続された2つのスイッチング素子から成る。リアクトルの一端は、一方のハーフブリッジ回路のスイッチング素子間に接続され、リアクトルの他端は、他方のハーフブリッジ回路のスイッチング素子間に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−155791号公報
【特許文献2】特許第4835690号公報
【特許文献3】特開2001−268900号公報
【特許文献4】特開2001−292567号公報
【特許文献5】特開2005−295671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電圧変換装置に接続される負荷には、供給電圧が所定値より下がると、動作に支障を来す負荷がある。このような負荷には、電力を安定に供給する必要がある。
【0009】
また、電圧変換装置に複数の直流電源を接続した場合、一方の直流電源の電力を偏って使用すると、一方の直流電源の寿命が短くなる。このため、各直流電源の寿命を延ばすには、各直流電源の電力を有効に活用する必要がある。さらに、減速回生機能に対応するように、電圧変換装置に複数の直流電源としてバッテリとキャパシタを接続した場合は、キャパシタに蓄電された回生電力の活用機会を増やすのが好ましい。
【0010】
本発明の課題は、負荷に電力を安定に供給し、各直流電源の電力を有効に活用することができる電圧変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による電圧変換装置は、第1直流電源、第2直流電源、および負荷がそれぞれ接続され、各直流電源の電圧を異なる大きさの電圧に変換して負荷に供給する。そして、第1直流電源が接続される第1接続端子と、第2直流電源が接続される第2接続端子と、負荷が接続される第3接続端子と、第1入出力端子と第2入出力端子とを有する第1DC−DCコンバータと、第3入出力端子と第4入出力端子とを有する第2DC−DCコンバータと、一端が第1接続端子に接続され、他端が第1入出力端子に接続された第1電力経路と、一端が第2入出力端子に接続され、他端が第3入出力端子に接続された第2電力経路と、一端が第4入出力端子に接続され、他端が第2接続端子に接続された第3電力経路と、一端が第2電力経路の途中に接続され、他端が第3接続端子に接続された第4電力経路と、一端が第1電力経路の途中に接続され、他端が第3接続端子に接続された第5電力経路と、第5電力経路に設けられた第5スイッチング素子と、第4電力経路に設けられた第6スイッチング素子と、各DC−DCコンバータと各スイッチング素子とを制御する制御部とを備える。負荷は、供給電圧が下がらないように保護する必要がある被保護負荷である。第1直流電源には、動作時に大電流が流れる大電流負荷と、回生電力を発生する発電機とが並列に接続される。第2直流電源は、発電機で発生した回生電力を蓄電可能である。制御部は、発電機が発電していない場合において、大電流負荷が動作していないときに、各DC−DCコンバータを動作させ、第5スイッチング素子をオンし、第6スイッチング素子をオフし、大電流負荷が動作するときに、少なくとも第2DC−DCコンバータを動作させ、第5スイッチング素子をオフし、第6スイッチング素子をオンする。
【0012】
上記によると、第1直流電源からの電力を、第1接続端子、第1電力経路、第1DC−DCコンバータ、第2電力経路、第4電力経路、および第3接続端子を通して、負荷に供給することができる。この際、第1直流電源からの電圧を、第1DC−DCコンバータで負荷に対応する電圧に変換することができる。また、第2直流電源からの電力を、第2接続端子、第3電力経路、第2DC−DCコンバータ、第2電力経路、第4電力経路、および第3接続端子を通して、負荷に供給することができる。この際、第2直流電源からの電圧を、第2DC−DCコンバータで負荷に対応する電圧に変換することができる。このため、第1直流電源および第2直流電源から負荷に電力を安定に供給することが可能となる。また、各直流電源の電力の活用機会をそれぞれ増やして、各直流電源の電力を有効に活用することが可能となる。
【0013】
また、本発明では、上記電圧変換装置において、第1DC−DCコンバータは、グランドと第2入出力端子との間に同一の向きで直列接続された第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、一端が第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との間に接続され、他端が第1入出力端子に接続された第1チョークコイルと、一端が第1入出力端子と第1チョークコイルとの間に接続され、他端がグランドに接続された第1コンデンサと、一端が第2入出力端子と第2スイッチング素子との間に接続され、他端がグランドに接続された第2コンデンサとから構成されていてもよい。また、第2DC−DCコンバータは、グランドと第3入出力端子との間に同一の向きで直列接続された第3スイッチング素子および第4スイッチング素子と、一端が第3スイッチング素子と第4スイッチング素子との間に接続され、他端が第4入出力端子に接続された第2チョークコイルと、一端が第4入出力端子と第2チョークコイルとの間に接続され、他端がグランドに接続された第3コンデンサと、一端が第3入出力端子と第4スイッチング素子との間に接続され、他端がグランドに接続された第4コンデンサとから構成されていてもよい。
【0014】
また、本発明では、上記電圧変換装置において、第1DC−DCコンバータは、第1入出力端子から入力された電圧を昇圧して第2入出力端子から出力可能であり、かつ第2入出力端子から入力された電圧を降圧して第1入出力端子から出力可能であってもよい。また、第2DC−DCコンバータは、第3入出力端子から入力された電圧を降圧して第4入出力端子から出力可能であり、かつ第4入出力端子から入力された電圧を昇圧して第3入出力端子から出力可能であってもよい。
【0018】
また、本発明では、上記電圧変換装置において、第2DC−DCコンバータ側から第1DC−DCコンバータに流れる電流を検出する電流検出部をさらに備え、制御部は、発電機が発電していない場合において、大電流負荷が動作するときに、電流検出部の検出値に基づいて、第1DC−DCコンバータに流れる電流を、被保護負荷の駆動に支障のない規定値以下に制限してもよい。
【0019】
また、本発明では、上記電圧変換装置において、第2直流電源の電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、制御部は、発電機が発電していない場合において、大電流負荷が動作するときに、電圧検出部で検出した第2直流電源の電圧が、被保護負荷を駆動するのに必要な電圧より大きな所定値以上であれば、各DC−DCコンバータを動作させ、第5スイッチング素子をオフし、第6スイッチング素子をオンし、第2直流電源の電圧が所定値未満であれば、第2DC−DCコンバータを動作させ、第1DC−DCコンバータを停止し、第5スイッチング素子をオフし、第6スイッチング素子をオンしてもよい。
【0020】
また、本発明では、上記電圧変換装置において、制御部は、大電流負荷が動作していないときに、各DC−DCコンバータを動作させ、第5スイッチング素子をオンし、第6スイッチング素子をオフすることで、第2直流電源の電力を各DC−DCコンバータと第5スイッチング素子とを通して被保護負荷に供給するとともに、第1直流電源の電力を第5スイッチング素子を通して被保護負荷に供給してもよい。また、大電流負荷が動作するときに、各DC−DCコンバータを動作させ、第5スイッチング素子をオフし、第6スイッチング素子をオンすることで、第2直流電源の電力を第2DC−DCコンバータと第6スイッチング素子とを通して被保護負荷に供給するとともに、第2直流電源の電力を各DC−DCコンバータを通して大電流負荷に供給してもよい。
【0021】
さらに、本発明では、上記電圧変換装置において、制御部は、発電機で回生電力が発生するときに、各DC−DCコンバータを動作させ、第5スイッチング素子をオンし、第6スイッチング素子をオフすることで、回生電力で第2直流電源を充電するとともに、回生電力を第5スイッチング素子を通して被保護負荷に供給してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、負荷に電力を安定に供給し、各直流電源の電力を有効に活用することができる電圧変換装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態による電圧変換装置の回路構成を示した図である。
図2】スタンバイ時の図1の回路の動作を示した図である。
図3】スタータモータ初回起動時の図1の回路の動作を示した図である。
図4】初回走行時の図1の回路の動作を示した図である。
図5】回生電力発生時の図1の回路の動作を示した図である。
図6】非発電時でかつスタータモータ非起動時の、図1の回路の動作を示した図である。
図7】アイドリングストップ後のスタータモータ起動時でかつキャパシタの電圧が所定値以上の場合の、図1の回路の動作を示した図である。
図8】アイドリングストップ後のスタータモータ起動時でかつキャパシタの電圧が所定値未満の場合の、図1の回路の動作を示した図である。
図9図1の回路の他の動作を示した図である。
図10図1の回路の他の動作を示した図である。
図11】本発明の他の実施形態による電圧変換装置の回路構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0025】
まず、本実施形態の電圧変換装置100とその周辺部の回路構成を、図1を参照しながら説明する。なお、図1において、実線は電力系配線を示し、破線は制御系配線または通信系配線を示している(以降の各図においても同様)。
【0026】
図1に示す回生システム200は、アイドリングストップ機能と減速回生機能とを有した車両に搭載されている。回生システム200には、電圧変換装置100、キャパシタ11、バッテリ12、発電機13、大電流負荷4、負荷5、被保護負荷6、上位ECU(電子制御装置)7、およびIG−SW(イグニションスイッチ)8が含まれている。
【0027】
キャパシタ11は、電気二重層キャパシタから成り、本発明の「第2直流電源」の一例である。これ以外に、たとえばリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ、またはニッケル水素充電池などから第2直流電源を構成してもよい。
【0028】
バッテリ12は、従来型の鉛バッテリから成り、本発明の「第1直流電源」の一例である。これ以外のバッテリや電池などから第1直流電源を構成してもよい。
【0029】
発電機13は、図示しない車両のエンジンによって駆動され、電力を発生する。たとえば、車両の通常走行時に、バッテリ12の電圧が低下した場合は、エンジンの駆動力により、発電機13を駆動して発電を行う。また、車両の減速時や車両の制動操作時にも、車両は走行を続け、エンジンに燃料が供給されていなくても、エンジンは回転している。そこで、この回転力を利用して発電機13を駆動し、発電を行う。この減速時等に発電機13が発生した電力を、回生電力と呼ぶ。キャパシタ11は、発電機13で発生した電力を蓄電する。
【0030】
また、車両の減速時には、エンジンへの燃料供給が停止されている。すなわち、燃料を消費することなく発電が行われるため、車両の燃料消費率が向上する。なお、通常走行時に、バッテリ12の電圧が十分である場合には、発電機13による発電は行わない。
【0031】
大電流負荷4は、動作時に大電流が流れる電動機などから成る。この大電流負荷4には、エンジンを始動するためのスタータモータ4aが含まれる。他の例として、図示しないパワーステアリング用のモータや電動ブレーキなども、大電流負荷4に含まれる。
【0032】
負荷5は、車両のアイドリングストップ中に使用しなくてもよい電装品などから成る。負荷5には、たとえば、電熱式シートヒータなどが含まれている。
【0033】
被保護負荷6は、車両のアイドリングストップ中も電力を供給する必要があり、かつアイドリングストップ後のエンジンの再始動時(スタータモータ4aの起動時)などに、供給電圧が下がらないように保護する必要がある電装品などから成る。被保護負荷6には、たとえば、ナビゲーション、オーディオ、エアコン、メータ、トランスミッション、および安全装置などが含まれている。
【0034】
上位ECU7は、たとえばCAN(Controller Area Network)により、電圧変換装置100と接続されている。上位ECU7は、車両の状態を示す情報や動作指示などを電圧変換装置100に対して送信する。
【0035】
IG−SW8の一端は、バッテリ12の正極と接続されている。IG−SW8の他端は、電圧変換装置100に接続されている。バッテリ12の負極は、接地されている。大電流負荷4、発電機13、負荷5、および上位ECU7は、バッテリ12に並列に接続されている。
【0036】
電圧変換装置100は、接続された各直流電源11、12からの電圧を異なる大きさの電圧に変換して、被保護負荷6に供給する。電圧変換装置100には、電力経路S1〜S5、接続端子N1〜N3、第1DC−DCコンバータ1、第2DC−DCコンバータ2、FET(電界効果トランジスタ)Q5、FETQ6、制御部10、電圧検出部14、および電流検出部15が備わっている。
【0037】
第1接続端子N1には、バッテリ12の正極が接続されている。第2接続端子N2には、キャパシタ11が接続されている。第3接続端子N3には、被保護負荷6が接続されている。なお、図1の電圧変換装置100を示す一点鎖線の枠上にあるその他の白丸も接続端子を示している(符号省略、以降の各図も同様)。
【0038】
第1DC−DCコンバータ1は、第1入出力端子T1と第2入出力端子T2とを有している。第2DC−DCコンバータ2は、第3入出力端子T3と第4入出力端子T4とを有している。
【0039】
第1電力経路S1の一端は、第1接続端子N1に接続され、第1電力経路S1の他端は、第1DC−DCコンバータ1の第1入出力端子T1に接続されている。第2電力経路S2の一端は、第1DC−DCコンバータ1の第2入出力端子T2に接続され、第2電力経路S2の他端は、第2DC−DCコンバータ2の第3入出力端子T3に接続されている。第3電力経路S3の一端は、第2DC−DCコンバータ2の第4入出力端子T4に接続され、第3電力経路S3の他端は、第2接続端子N2に接続されている。
【0040】
第4電力経路S4の一端は、第2電力経路S2の途中に接続され、第4電力経路S4の他端は、第3接続端子N3に接続されている。第5電力経路S5の一端は、第1電力経路S1の途中に接続され、第5電力経路S5の他端は、第4電力経路S4の途中に接続されている。つまり、第5電力経路S5の他端は、第4電力経路S4の一部を介して第3接続端子N3に接続されている。
【0041】
図1のPxは、第2電力経路S2と第4電力経路S4の接続点である。Pyは、第4電力経路S4と第5電力経路S5の接続点である。Pzは、第1電力経路S1と第5電力経路S5の接続点である。
【0042】
FETQ5とFETQ6は、Nチャンネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)からそれぞれ構成されている。
【0043】
FETQ5は、第5電力経路S5上に設けられている。FETQ5のドレインは、第4電力経路S4に接続されている。FETQ5のソースは、第1電力経路S1に接続されている。FETQ5のソース・ドレイン間に並列に接続されたダイオードD5は、FETQ5の寄生ダイオードである。ダイオードD5のアノードは、第1電力経路S1に接続されている。ダイオードD5のカソードは、第4電力経路S4に接続されている。このため、ダイオードD5は、第1電力経路S1側から第4電力経路S4側へ電流を流す。FETQ5は、本発明の「第5スイッチング素子」の一例である。
【0044】
FETQ6は、第4電力経路S4上の接続点Pyと接続点Pxとの間に設けられている。FETQ6のドレインは、第2電力経路S2に接続されている。FETQ6のソースは、第5電力経路S5および第3接続端子T3に接続されている。FETQ6のソース・ドレイン間に並列に接続されたダイオードD6は、FETQ6の寄生ダイオードである。ダイオードD6のアノードは、第5電力経路S5および第3接続端子N3に接続されている。ダイオードD6のカソードは、第2電力経路S2に接続されている。このため、ダイオードD6は、第5電力経路S5側または第3接続端子N3側から第2電力経路S2側へ電流を流す。FETQ6は、本発明の「第6スイッチング素子」の一例である。
【0045】
第1DC−DCコンバータ1は、FETQ1、FETQ2、チョークコイルL1、コンデンサC1、およびコンデンサC2から構成されている。
【0046】
FETQ1とFETQ2は、Nチャンネル型のMOSFETからそれぞれ構成されていて、グランドと第2入出力端子T2との間に同一の向きで直列に接続されている。詳しくは、FETQ1のソースは、グランドに接続されている。FETQ1のドレインは、FETQ2のソースに接続されている。FETQ2のドレインは、第2入出力端子T2に接続されている。FETQ1は、本発明の「第1スイッチング素子」の一例である。FETQ2は、本発明の「第2スイッチング素子」の一例である。
【0047】
FETQ1のソース・ドレイン間に並列に接続されたダイオードD1は、FETQ1の寄生ダイオードである。FETQ2のソース・ドレイン間に並列に接続されたダイオードD2は、FETQ2の寄生ダイオードである。ダイオードD1のアノードは、グランドに接続されている。ダイオードD1のカソードは、ダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD2のカソードは、第2入出力端子T2に接続されている。このため、ダイオードD1およびダイオードD2は、第2入出力端子T2側へ電流を流す。
【0048】
チョークコイルL1の一端は、FETQ1とFETQ2の間に接続されている。チョークコイルL1の他端は、第1入出力端子T1に接続されている。チョークコイルL1は、本発明の「第1チョークコイル」の一例である。
【0049】
コンデンサC1の一端は、第1入出力端子T1とチョークコイルL1との間に接続されている。コンデンサC1の他端は、グランドに接続されている。コンデンサC2の一端は、第2入出力端子T2とFETQ2との間に接続されている。コンデンサC2の他端は、グランドに接続されている。コンデンサC1は、本発明の「第1コンデンサ」の一例である。コンデンサC2は、本発明の「第2コンデンサ」の一例である。
【0050】
第2DC−DCコンバータ2は、FETQ3、FETQ4、チョークコイルL2、コンデンサC3、およびコンデンサC4から構成されている。
【0051】
FETQ3とFETQ4は、Nチャンネル型のMOSFETからそれぞれ構成されていて、グランドと第3入出力端子T3との間に同一の向きで直列に接続されている。詳しくは、FETQ3のソースは、グランドに接続されている。FETQ3のドレインは、FETQ4のソースに接続されている。FETQ4のドレインは、第3入出力端子T3に接続されている。FETQ3は、本発明の「第3スイッチング素子」の一例である。FETQ4は、本発明の「第4スイッチング素子」の一例である。
【0052】
FETQ3のソース・ドレイン間に並列に接続されたダイオードD3は、FETQ3の寄生ダイオードである。FETQ4のソース・ドレイン間に並列に接続されたダイオードD4は、FETQ4の寄生ダイオードである。ダイオードD3のアノードは、グランドに接続されている。ダイオードD3のカソードは、ダイオードD4のアノードに接続されている。ダイオードD4のカソードは、第3入出力端子T3に接続されている。このため、ダイオードD3およびダイオードD4は、第3入出力端子T3側へ電流を流す。
【0053】
チョークコイルL2の一端は、FETQ3とFETQ4の間に接続されている。チョークコイルL2の他端は、第4入出力端子T4に接続されている。チョークコイルL2は、本発明の「第2チョークコイル」の一例である。
【0054】
コンデンサC3の一端は、第4入出力端子T4とチョークコイルL2との間に接続されている。コンデンサC3の他端は、グランドに接続されている。コンデンサC4の一端は、第3入出力端子T3とFETQ4との間に接続されている。コンデンサC4の他端は、グランドに接続されている。コンデンサC3は、本発明の「第3コンデンサ」の一例である。コンデンサC4は、本発明の「第4コンデンサ」の一例である。
【0055】
第1DC−DCコンバータ1の構成回路と、第2DC−DCコンバータ2の構成回路とは、第2電力経路S2と第4電力経路S4との接続点Pxに対して対称になっている。
【0056】
制御部10は、CPUとメモリから構成されている。制御部10は、各DC−DCコンバータ1、2の動作を制御する。詳しくは、制御部10には、各DC−DCコンバータ1、2のFETQ1、Q2、Q3、Q4のゲートがそれぞれ接続されている(図示省略、以降の各図においても同様)。制御部10は、各FETQ1、Q2、Q3、Q4のゲートに駆動信号を入力して、各FETQ1、Q2、Q3、Q4をオン・オフさせる。これにより、各DC−DCコンバータ1、2で通電状態または通電停止状態となる。また、制御部10は、各FETQ1、Q2、Q3、Q4のオン・オフのスイッチング動作をPWM(パルス幅変調)で制御する。これにより、各DC−DCコンバータ1、2で電圧の昇圧または降圧が行われる。
【0057】
第1DC−DCコンバータ1では、第1入出力端子T1から入力された電圧を、FETQ1、Q2のスイッチング動作により昇圧して、第2入出力端子T2から出力することが可能である。また、第2入出力端子T2から入力された電圧を、FETQ1、Q2のスイッチング動作により降圧して、第1入出力端子T1から出力することが可能である。さらに、FETQ2をオンすることで、双方向に通電状態となる。
【0058】
第2DC−DCコンバータ2では、第3入出力端子T3から入力された電圧を、FETQ3、Q4のスイッチング動作により降圧して、第4入出力端子T4から出力することが可能である。また、第4入出力端子T4から入力された電圧を、FETQ3、Q4のスイッチング動作により昇圧して、第3入出力端子T3から出力することが可能である。さらに、FETQ4をオンすることで、双方向に通電状態となる。
【0059】
制御部10は、FETQ5、Q6のオン・オフ動作も制御する。詳しくは、制御部10には、FETQ5、Q6のゲートがそれぞれ接続されている(図示省略、以降の各図においても同様)。制御部10は、各FETQ5、Q6のゲートに駆動信号を入力して、各FETQ5、Q6をオン・オフさせる。これにより、第4電力経路S4または第5電力経路S5で通電状態または通電停止状態となる。
【0060】
また、制御部10は、上位ECU7と相互に通信する。特に、制御部10は、上位ECU7から車両の状態を示す情報や動作指示を受信する。なお、図1では、電圧変換装置100内の制御系配線や通信系配線の図示を省略している(以降の各図においても同様)。
【0061】
電流検出部15は、第2電力経路S2上の接続点Pxと第1DC−DCコンバータ1の第2入出力端子T2との間に設けられている。電流検出部15は、第2電力経路S2を流れる電流や、第2DC−DCコンバータ2側から第1DC−DCコンバータ1に流れる電流を検出する。制御部10は、スタータモータ4aが動作するときに、電流検出部15の検出値に基づいて、第1DC−DCコンバータ1に流れる電流を制限する。
【0062】
電圧検出部14は、キャパシタ11の電圧を検出する。制御部10は、電圧検出部14の検出電圧に基づいて、キャパシタ11の充電量を算出し、DC−DCコンバータ1、2とFETQ5、Q6の動作を制御する。
【0063】
次に、電圧変換装置100の動作を、図2図10を参照しながら説明する。
【0064】
IG−SW8がオフ状態にあるときは、車両が停止状態にあり、回生システム200がスタンバイ状態にある。このとき、上位ECU7や負荷5、6には、これらが動作できるように、電流を流す必要があるため、図2に矢印で示すように、バッテリ12の電力が負荷5、上位ECU7、および電圧変換装置100に供給される。
【0065】
このスタインバイ時に、電圧変換装置100では、各DC−DCコンバータ1、2が停止(FETQ1〜Q4がオフ)状態にあり、FETQ5、Q6もオフ状態にある。このため、バッテリ12から電圧変換装置100の第1接続端子N1に供給された電力は、第1電力経路S1、第5電力経路S5、FETQ5のダイオードD5、第4電力経路S4、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6に供給される。
【0066】
そして、運転手の操作によりIG−SW8がオンされると、エンジンを初回始動するため、スタータモータ4aが初回起動される。このとき、図3に矢印で示すように、スタータモータ4aはバッテリ12の電力により起動する。また、電圧変換装置100では、制御部10が、各DC−DCコンバータ1、2を停止(FETQ1〜Q4をオフ)し、FETQ6をオフし、FETQ5をオンする。これにより、バッテリ12の電力が、第1接続端子N1から第1電力経路S1、第5電力経路S5、FETQ5、第4電力経路S4、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6に供給される。
【0067】
エンジンが始動した後、運転手の操作により車両が初回走行すると、発電機13で発電が行われる。発電機13で発電された電力は、図4に矢印で示すように、負荷5、上位ECU7、および電圧変換装置100に供給される。
【0068】
この初回走行時に電圧変換装置100では、制御部10が、各DC−DCコンバータ1、2を停止(FETQ1〜Q4をオフ)し、FETQ6をオフし、FETQ5をオンする。このため、発電機13からの電力は、第1接続端子N1から第1電力経路S1、第5電力経路S5、FETQ5、第4電力経路S4、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6に供給される。
【0069】
車両の走行中において、たとえば運転手がアクセルペダルを解放したり、ブレーキペダルを踏み込んだりして、車両が減速すると、発電機13が回生電力を発生する。この回生電力は、図5に矢印で示すように、発電機13から、負荷5、上位ECU7、バッテリ12、および電圧変換装置100へ供給される。このとき、バッテリ12の電圧が低下している場合は、回生電力でバッテリ12が充電される(図示省略)。
【0070】
回生電力が発生する際、電圧変換装置100では、制御部10が、FETQ5をオンし、FETQ6をオフする。これにより、回生電力が第1接続端子N1から、第1電力経路S1、第5電力経路S5、FETQ5、第4電力経路S4、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6に供給される。
【0071】
また、制御部10が、各DC−DCコンバータ1、2を動作させて、第1接続端子N1から第1電力経路S1を通って入力される回生電力の電圧をキャパシタ11に対応する電圧に変換して、第2接続端子N2からキャパシタ11に電力を出力する。
【0072】
具体的には、たとえば制御部10は、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1、Q2をスイッチング動作(SW)させて、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3をオフし続け、FETQ4をオンし続ける。これにより、第1接続端子N1から第1電力経路S1を通って入力された回生電力の電圧が、第1DC−DCコンバータ1で昇圧される。そして、この変換後の回生電力が、第1DC−DCコンバータ1から第2電力経路S2、第2DC−DCコンバータ2のFETQ4、チョークコイルL2、および第3電力経路S3を経由した後、第2接続端子N2からキャパシタ11へ出力される。
【0073】
または、制御部10は、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1をオフし続け、FETQ2をオンし続け、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3、Q4をスイッチング動作させる。これにより、第1接続端子N1から第1電力経路S1を通って入力された回生電力の電圧が、第1DC−DCコンバータ1のチョークコイルL1とFETQ2と第2電力経路S2を経由した後、第2DC−DCコンバータ2へ入力される。そして、その回生電力の電圧が、第2DC−DCコンバータ2で降圧され、該変換後の電力が、第2DC−DCコンバータ2から第3電力経路S3を経由した後、第2接続端子N2からキャパシタ11へ出力される。
【0074】
キャパシタ11は、第2接続端子N2から出力される電力によって、充電される。つまり、回生電力がキャパシタ11に蓄電される。
【0075】
車両がアイドリングストップ以外の状態で、発電機13が発電しない場合は、スタータモータ4aの起動も行われない。これは、たとえば、バッテリ12およびキャパシタ11の電圧が十分高い場合である。このような発電機13の非発電時でかつスタータモータ4aの非動作時は、図6に矢印で示すように、バッテリ12の電力が負荷5、上位ECU7、および電圧変換装置100へ供給される。
【0076】
このとき、電圧変換装置100では、図6に示すように、制御部10が、FETQ5をオンし、FETQ6をオフする。これにより、バッテリ12からの電力が、第1接続端子N1、第1電力経路S1、第5電力経路S5、FETQ5、第4電力経路S4、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6に供給される。
【0077】
また、制御部10が、各DC−DCコンバータ1、2を動作させて、キャパシタ11から第2接続端子N2と第3電力経路S3を通って入力される電圧を、DC−DCコンバータ1、2で被保護負荷6に対応する電圧に変換して、第1電力経路S1へ電力を出力する。
【0078】
具体的には、たとえば制御部10は、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3、Q4をスイッチング動作させて、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1をオフし続け、FETQ2をオンし続ける。これにより、キャパシタ11から第2接続端子N2と第3電力経路S3を通って入力された電圧が、第2DC−DCコンバータ2で昇圧される。そして、この変換後の電力が、第2DC−DCコンバータ2から第2電力経路S2と第1DC−DCコンバータ1のFETQ2とチョークコイルL1を経由した後、第1電力経路S1へ出力される。
【0079】
または、制御部10は、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3をオフし続け、FETQ4をオンし続け、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1、Q2をスイッチング動作させる。これにより、キャパシタ11から第2接続端子N2と第3電力経路S3を通って入力された電圧が、第2DC−DCコンバータ2のチョークコイルL2とFETQ4と第2電力経路S2を経由した後、第1DC−DCコンバータ1へ入力される。そして、そのキャパシタ11からの電圧が、第1DC−DCコンバータ1で降圧され、該変換後の電力が第1DC−DCコンバータ1から第1電力経路S1へ出力される。
【0080】
上記のように、第1DC−DCコンバータ1から第1電力経路S1へ出力されたキャパシタ11の電力は、第5電力経路S5、FETQ5、第4電力経路S4、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6に供給される。これにより、キャパシタ11が放電される。
【0081】
車両が極低速走行状態または停止状態になって、所定のアイドリングストップ移行条件が成立すると、アイドリングストップが開始される。このときのアイドリングストップ移行条件としては、たとえば、エンジンの再始動時に被保護負荷6へ供給可能な電力がキャパシタ11またはバッテリ12に残っていることである。アイドリングストップ移行条件の成立判定やアイドリングストップの制御は、上位ECU7で行われる。アイドリングストップ中は、発電機13で発電されたり回生電力が発生したりすることはない。
【0082】
その後、アイドリングストップが終了して、エンジンの再始動のため、スタータモータ4aが起動するときに、制御部10は、電圧検出部14によりキャパシタ11の電圧を検出する。このとき、電圧検出部14で検出したキャパシタ11の電圧が、所定値(被保護負荷6を駆動するのに必要な電圧より大きな値)以上であれば、制御部10は、図7に示すように、各DC−DCコンバータ1、2を動作させ、FETQ5をオフし、FETQ6をオンする。
【0083】
具体的には、たとえば制御部10は、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3、Q4をスイッチング動作させる。これにより、キャパシタ11からの電圧が、第2接続端子N2と第3電力経路S3を経由した後、第2DC−DCコンバータ2で被保護負荷6に対応するように昇圧される。そして、この変換後の電力が、第2DC−DCコンバータ2から第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6へ供給される。
【0084】
または、制御部10は、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3をオフし続け、FETQ4をオンし続ける。これにより、図7に矢印で示すように、キャパシタ11からの電力が、第2接続端子N2、第3電力経路S3、第2DC−DCコンバータ2のFETQ4、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6へ供給される。
【0085】
また、キャパシタ11からの電力は、図7に矢印で示すように、第2接続端子N2、第3電力経路S3、第2DC−DCコンバータ2、および第2電力経路S2を経由した後、第1DC−DCコンバータ1へ入力される。
【0086】
このとき、制御部10は、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1をオフし続け、FETQ2をオンし続ける。これにより、第2DC−DCコンバータ2から第1DC−DCコンバータ1へ入力された電力が、第1DC−DCコンバータ1のFETQ2、第1電力経路S1、および第1接続端子N1を通って、スタータモータ4aや他の負荷4、5に供給される。
【0087】
または、制御部10は、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1、Q2をスイッチング動作させる。これにより、第2DC−DCコンバータ2から第1DC−DCコンバータ1へ入力された電圧が、第1DC−DCコンバータ1でスタータモータ4aや他の負荷4、5に対応するように降圧される。そして、この変換後の電力が、第1DC−DCコンバータ1から第1電力経路S1と第1接続端子N1を通って、スタータモータ4aや他の負荷4、5に供給される。
【0088】
上記のように、キャパシタ11の充電量が多い場合は、キャパシタ11からの電力が被保護負荷6だけでなく、スタータモータ4aや他の負荷4、5にも供給される。
【0089】
また、制御部10は、キャパシタ11からの電力を負荷4、5に供給する際に、電流検出部15により第2DC−DCコンバータ2側から第1DC−DCコンバータ1に流れる電流を検出する。そして、制御部10は、電流検出部15の検出値(電流値)に基づいて、第1DC−DCコンバータ1に流れる電流を、被保護負荷6の駆動に支障のない規定値以下に制限する。
【0090】
具体的には、制御部10は、電流検出部15の検出値が規定値以下になるように、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1、Q2または第2DC−DCコンバータ2のFETQ3、Q4をスイッチング動作させるためのPWM信号のオンデューティーを制御する。これにより、スタータモータ4aの動作時(初回起動時を除く)に、キャパシタ11からスタータモータ4aに電流が流れても、キャパシタ11から被保護負荷6への供給電圧は、該負荷6の駆動に支障が出るほど低下することはなく、被保護負荷6は安定に駆動し続ける。
【0091】
一方、アイドリングストップ後のスタータモータ4aが起動するときに、電圧検出部14で検出したキャパシタ11の電圧が所定値未満であれば、制御部10は、図8に示すように、第2DC−DCコンバータ2を動作させ、第1DC−DCコンバータ1を停止し、FETQ5をオフし、FETQ6をオンする。
【0092】
このとき、たとえば制御部10は、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3、Q4をスイッチング動作させる。これにより、キャパシタ11からの電圧が、第2接続端子N2と第3電力経路S3を経由した後、第2DC−DCコンバータ2で被保護負荷6に対応するように昇圧される。そして、この変換後の電力が、第2DC−DCコンバータ2から第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6へ供給される。
【0093】
または、制御部10は、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3をオフし続け、FETQ4をオンし続ける。これにより、図8に矢印で示すように、キャパシタ11からの電力が、第2接続端子N2、第3電力経路S3、第2DC−DCコンバータ2のFETQ4、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6へ供給される。
【0094】
また、第1DC−DCコンバータ1が停止(FETQ1、Q2がオフ)し、FETQ5がオフとなっているので、被保護負荷6やバッテリ12などに対してキャパシタ11が電気的に切り離される。このため、スタータモータ4aの起動時に、バッテリ12からスタータモータ4aに電流が流れても、キャパシタ11から被保護負荷6への供給電圧は低下せず、被保護負荷6は安定に駆動し続ける。
【0095】
車両のアイドリングストップ中も、上記図7および図8のように、キャパシタ11の電圧と所定値との比較結果に基づいて、キャパシタ11の電力を負荷4、5、6に供給してもよい。
【0096】
バッテリ12の電力を、図9に矢印で示すように、第1接続端子N1、第1DC−DCコンバータ1、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通して、被保護負荷6に供給することもできる。
【0097】
図9では、制御部10は、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1、Q2をスイッチング動作させ、FETQ5をオフし、FETQ6をオンする。これにより、たとえばバッテリ12からの電圧が被保護負荷6を駆動するのに必要な電圧より低くても、バッテリ12からの電圧が、第1接続端子N1と第1電力経路S1を経由した後、第1DC−DCコンバータ1で被保護負荷6に対応するように昇圧される。そして、この変換後の電力が、第1DC−DCコンバータ1から第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6へ供給される。
【0098】
または、制御部10が、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1をオフし続け、FETQ2をオンし続け、FETQ5をオフし、FETQ6をオンしてもよい。これにより、バッテリ12からの電力が、第1接続端子N1、第1電力経路S1、第1DC−DCコンバータ1、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6へ供給される。
【0099】
上記の際、第2DC−DCコンバータ2では、たとえば、FETQ3、Q4をオフしてもよいし(図2図4参照)、FETQ3をオフし続けてFETQ4をオンし続けてもよいし、FETQ3、Q4をスイッチング動作させてもよい(図6参照)。図9では、接続点Pxより第2DC−DCコンバータ2側の回路の動作や電力の供給状態の図示を省略している。
【0100】
また、発電機13で発生した回生電力を、図10に矢印で示すように、第1接続端子N1、第1DC−DCコンバータ1、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通して、被保護負荷6に供給することもできる。
【0101】
図10では、制御部10は、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1、Q2をスイッチング動作させ、FETQ5をオフし、FETQ6をオンする。これにより、たとえば回生電力の電圧が被保護負荷6を駆動するのに必要な電圧より低くても、回生電力の電圧が、第1接続端子N1と第1電力経路S1を経由した後、第1DC−DCコンバータ1で被保護負荷6に対応するように昇圧される。そして、この変換後の電力が、第1DC−DCコンバータ1から第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6へ供給される。
【0102】
または、制御部10が、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1をオフし続け、FETQ2をオンし続け、FETQ5をオフし、FETQ6をオンしてもよい。これにより、回生電力が、第1接続端子N1、第1電力経路S1、第1DC−DCコンバータ1、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6へ供給される。
【0103】
上記の際、第2DC−DCコンバータ2では、たとえば、FETQ3をオフし続けてFETQ4をオンし続けてもよいし、FETQ3、Q4をスイッチング動作させてもよい(図5参照)。図10では、接続点Pxより第2DC−DCコンバータ2側の回路の動作や電力の供給状態の図示を省略している。
【0104】
上記実施形態によると、バッテリ12からの電力を、第1接続端子N1、第1電力経路S1、第1DC−DCコンバータ1、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通して、被保護負荷6に供給することができる(図2図4)。この際、バッテリ12の電圧が低い場合は、バッテリ12の電圧を、第1DC−DCコンバータ1で被保護負荷6に対応する電圧に昇圧することができる。
【0105】
また、発電機13で発生した回生電力を、第1接続端子N1、第1電力経路S1、第1DC−DCコンバータ1、第2電力経路S2、第2DC−DCコンバータ2、第3電力経路S3、および第2接続端子N2を通して、キャパシタ11に供給して、キャパシタ11を充電することができる(図5)。この際、回生電力の電圧がキャパシタ11に対応していない場合は、回生電力の電圧を、第1DC−DCコンバータ1でキャパシタ11に対応するように昇圧したり、第2DC−DCコンバータ2でキャパシタ11に対応するように降圧したりすることができる。
【0106】
また、アイドリングストップ後のスタータモータ4aの動作時に、キャパシタ11からの電力を、第2接続端子N2、第3電力経路S3、第2DC−DCコンバータ2、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通して、被保護負荷6に供給することができる(図7図8)。この際、キャパシタ11の電圧が低い場合は、キャパシタ11の電圧を、第2DC−DCコンバータ2で被保護負荷6に対応する電圧に昇圧することができる。
【0107】
また、アイドリングストップ後のスタータモータ4aの動作時でかつ、キャパシタ11の電圧が高い(所定値以上)場合に、キャパシタ11からの電力を、第2接続端子N2、第3電力経路S3、第2DC−DCコンバータ2、第2電力経路S2、第1DC−DCコンバータ1、第1電力経路S1、および第1接続端子N1を通して、負荷4、5に供給することができる(図7)。この際、キャパシタ11の電圧が負荷4、5に対応していない場合は、キャパシタ11の電圧を、第2DC−DCコンバータ2で負荷4、5に対応するように昇圧したり、第1DC−DCコンバータ1で負荷4、5に対応するように降圧したりすることができる。
【0108】
また、バッテリ12の電力を、第1接続端子N1、第1電力経路S1、第5電力経路S5、FETQ5、第4電力経路S4、および第3接続端子N3を通して、被保護負荷6に供給することもできる(図6)。さらに、キャパシタ11の電力を、第2接続端子N2、第3電力経路S3、第2DC−DCコンバータ2、第2電力経路S2、第1DC−DCコンバータ1、第1電力経路S1、第5電力経路S5、FETQ5、第4電力経路S4、および第3接続端子N3を通して、被保護負荷6に供給することもできる(図6)。この際、キャパシタ11の電圧が被保護負荷6に対応していない場合は、キャパシタ11の電圧を、第2DC−DCコンバータ2で被保護負荷6に対応するように昇圧したり、第1DC−DCコンバータ1で被保護負荷6に対応するように降圧したりすることができる。
【0109】
よって、バッテリ12およびキャパシタ11から負荷4、5、6に電力を安定に供給することが可能となる。また、バッテリ12およびキャパシタ11の電力の活用機会をそれぞれ増やして、バッテリ12およびキャパシタ11の電力を有効に活用することが可能となる。さらに、回生電力をキャパシタ11に蓄電した後、負荷4、5、6に供給することで、回生電力を有効に活用することが可能となる。
【0110】
また、上記実施形態では、第4電力経路S4にFETQ6を設けているので、FETQ6をオンすることで、バッテリ12やキャパシタ11の電力を、第4電力経路S4を通して被保護負荷6に供給することができる。また、FETQ6をオフすることで、バッテリ12もしくはキャパシタ11の電力、または回生電力が、意図せず第2電力経路S2から第4電力経路S4へ漏出するのを阻止することができる。さらに、FETQ6がオフのときに、バッテリ12の電力、または回生電力が、意図せず第5電力経路S5から第4電力経路S4のダイオードD6を通って、第2電力経路S2から第3電力経路S3へ漏出するのを、DC−DCコンバータ2で食い止めることができる。
【0111】
また、上記実施形態では、第1DC−DCコンバータ1にFETQ1、Q2を設け、第2DC−DCコンバータ2にFETQ3、Q4を設け、第5電力経路S5と第4電力経路S4にそれぞれFETQ5とFETQ6を設けている。このため、電力変換装置100におけるスイッチング素子の使用数を6つに抑えることができる。
【0112】
また、上記実施形態では、アイドリングストップ後のスタータモータ4aの動作時に、電流検出部15の検出値に基づいて、第1DC−DCコンバータ1に流れる電流を、被保護負荷6の駆動に支障のない規定値以下に制限している。このため、スタータモータ4aの動作時に、キャパシタ11の電力をスタータモータ4aおよび各負荷4、5、6に供給しても、キャパシタ11から被保護負荷6への供給電圧が、該負荷6の駆動に支障が出るほど低下するのを防止することができ、被保護負荷6を安定に駆動し続けることが可能となる。
【0113】
また、上記実施形態では、アイドリングストップ後のスタータモータ4aの動作時に、キャパシタ11の電圧が所定値以上であれば、キャパシタ11の電力をスタータモータ4aおよび各負荷4、5、6に供給し、キャパシタ11の電圧が所定値未満であれば、キャパシタ11の電力を被保護負荷6にだけ供給している。このため、被保護負荷6を駆動するのにキャパシタ11の電力を使用しても、キャパシタ11の残電力量が余り有るくらい多い場合に、キャパシタ11の電力をスタータモータ4aおよび各負荷4、5、6に供給して、有効に活用することができる。また、キャパシタ11の残電力量が被保護負荷6しか駆動できないくらい少ない場合に、キャパシタ11の電力を被保護負荷6に供給して、被保護負荷6を安定に駆動しつつ、キャパシタ11の電力を有効に活用することができる。つまり、発電機13で発生した回生電力をキャパシタ11に充電した後、当該電力を有効に活用することができる。
【0114】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、以上の実施形態では、第2DC−DCコンバータ2側から第1DC−DCコンバータ1に流れる電流を検出するために、第2電力経路S2上の接続点Pxと第1DC−DCコンバータ1の入出力端子T2との間に電流検出部15を設けた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、第1電力経路S1上の接続点Pz(図1)と第1DC−DCコンバータ1の入出力端子T1との間、もしくは第1DC−DCコンバータ1のグランドライン(図示省略)上に、電流検出部を設けてもよい。このようにしても、第2DC−DCコンバータ2側から第1DC−DCコンバータ1に流れる電流を、電流検出部により検出することができる。
【0115】
または、第2電力経路S2上の接続点Pxと第2接続端子N2の間に、第2DC−DCコンバータ2を流れる電流を検出する第1電流検出部を設け、第4電力経路S4上の接続点Pyと第3接続端子N3との間にFETQ6を流れる電流を検出する第2電流検出部を設けてもよい。この場合、第1電流検出部の検出値から第2電流検出部の検出値を減算することで、第2DC−DCコンバータ2側から第1DC−DCコンバータ1に流れる電流を検出することができる。
【0116】
また、バッテリ12と第1接続端子N1との間の電力経路のような、電圧変換装置100の外部に電流検出部を設けてもよい。この場合、電流検出部で検出した第2DC−DCコンバータ2側から第1DC−DCコンバータ1に流れる電流値を、CANなどにより電圧変換装置100の制御部10に出力すればよい。
【0117】
また、以上の実施形態では、第5電力経路S5とFETQ5とから成るバイパス回路を、第1電力経路S1と第4電力経路S4とに接続した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではなく、このようなバイパス回路は省略してもよい。この例を、図11に示している。
【0118】
図11において、たとえば、第1DC−DCコンバータ1を動作させて、FETQ6をオンする。これにより、バッテリ12の電力または発電機13の回生電力が、第1接続端子N1、第1電力経路S1、第1DC−DCコンバータ1、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6に供給される。この際、たとえば、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1をオフし続けて、FETQ2をオンし続けることにより、バッテリ12の電力や回生電力を電圧変換することなく被保護負荷6に供給してもよい。または、第1DC−DCコンバータ1のFETQ1、Q2をスイッチング動作させることにより、バッテリ12や回生電力の電圧を被保護負荷6に対応するように昇圧して、該変換後の電力を被保護負荷6に供給してもよい。第2DC−DCコンバータ2では、各FETQ3、Q4をオフしてもよいし、FETQ4だけオンすることにより通電状態にしてもよい。
【0119】
また、図11において、たとえば、第2DC−DCコンバータ2を動作させて、FETQ6をオンする。これにより、キャパシタ11の電力が、第2接続端子N2、第3電力経路S3、第2DC−DCコンバータ2、第2電力経路S2、第4電力経路S4、FETQ6、および第3接続端子N3を通って、被保護負荷6に供給される。この際、たとえば、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3をオフし続けて、FETQ4をオンし続けることにより、キャパシタ11の電力を電圧変換することなく被保護負荷6に供給してもよい。または、第2DC−DCコンバータ2のFETQ3、Q4をスイッチング動作させることにより、キャパシタ11の電圧を被保護負荷6に対応するように昇圧して、該変換後の電力を被保護負荷6に供給してもよい。第1DC−DCコンバータ1では、各FETQ1、Q2をオフしてもよいし、FETQ2だけオンすることにより通電状態にしてもよい。
【0120】
また、以上の実施形態では、第1〜第6スイッチング素子としてNチャンネル型のMOSFETQ1〜Q6を用いた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、Pチャンネル型のMOSFETを用いてもよい。また、MOSFETの代わりに、接合形FETを用いてもよい。さらに、トランジスタまたはリレーなどのような、他のスイッチング素子を用いてもよい。
【0121】
さらに、以上の実施形態では、アイドリングストップ機能と減速回生機能とを有した車両用の電圧変換装置100に、本発明を適用した例を挙げたが、これに限るものではない。これ以外の、たとえば減速回生機能は有しているがアイドリングストップ機能は有していない車両用の電圧変換装置や、その他の用途の電圧変換装置に対しても、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 第1DC−DCコンバータ
2 第2DC−DCコンバータ
4 大電流負荷
4a スタータモータ
6 被保護負荷
10 制御部
11 キャパシタ(第2直流電源)
12 バッテリ(第1直流電源)
13 発電機
14 電圧検出部
15 電流検出部
100 電圧変換装置
C1 コンデンサ(第1コンデンサ)
C2 コンデンサ(第2コンデンサ)
C3 コンデンサ(第3コンデンサ)
C4 コンデンサ(第4コンデンサ)
L1 チョークコイル(第1チョークコイル)
L2 チョークコイル(第2チョークコイル)
N1 第1接続端子
N2 第2接続端子
N3 第3接続端子
Q1 FET(第1スイッチング素子)
Q2 FET(第2スイッチング素子)
Q3 FET(第3スイッチング素子)
Q4 FET(第4スイッチング素子)
Q5 FET(第5スイッチング素子)
Q6 FET(第6スイッチング素子)
S1 第1電力経路
S2 第2電力経路
S3 第3電力経路
S4 第4電力経路
S5 第5電力経路
T1 第1入出力端子
T2 第2入出力端子
T3 第3入出力端子
T4 第4入出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11