(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像装置は,前記第2拠点の床面に設定された動線に加えて人の動きを含めて前記第2拠点の状況を撮像することを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーションシステム。
前記映像表示部は面状部材に構成され,前記映像表示部に前記第2拠点の前記動線を前記第1拠点の前記動線に連携させて前記映像が表示されることを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーションシステム。
前記映像表示部は,その下端が前記第1拠点の床面に対して近接又は当接され,前記映像表示部の下端側には,前記撮像装置により撮像された前記第2拠点の映像のうち前記第2の空間の床面の映像が表示されることを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーションシステム。
前記映像表示部は,前記映像表示部の上端と前記第1拠点の天井との間に,前記第1拠点の壁面が前記映像表示部に向かって立つ視覚者の視界に入らない高さに設定されること
を特徴とする請求項5に記載のコミュニケーションシステム。
前記映像表示部は,前記面状部材を複数組み合わせることにより前記面状部材の表示面が前記第1拠点の動線側と前記第1拠点の動線側から奥まった領域に渡って存在し,その中央領域の表示面に等身大の映像が表示されることを特徴とする請求項3に記載のコミュニケーションシステム。
さらに,前記第1拠点の音を集音し前記第2拠点へ音を出力する音響装置,前記第2拠点の音を集音し前記第1拠点へ音を出力する音響装置のうち少なくとも一方を備えていることを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーションシステム。
前記撮像装置で,前記第2拠点の床面に設定された動線に加えて人の動きを含めて前記第2拠点の状況を撮像することを特徴とする請求項11に記載のコミュニケーション方法。
前記映像表示部として表示面を含む面状部材を用い,前記面状部材の表示面に前記第2拠点の前記動線を前記第1拠点の前記動線に連携させて前記映像が表示させることを特徴とする請求項11に記載のコミュニケーション方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
先ず、本発明の実施形態に係るコミュニケーションシステムの基本構成について説明する。
図1には異なる拠点をなす第1拠点A及び第2拠点Bのうち第1拠点内のレイアウトを示してある。
図1に示すように、第1拠点Aがオフィスの場合には、そのオフィス(拠点A)内がパネル2、3、4、5により部署6
a、6
b、6
c、6
dを単位として間仕切りされ、それらの部署6
a、6
b、6
c、6
dのスペース内には机7と椅子8とのセットが複数設置されている。さらには、各部署6
a6
b、6
c、6
d内の床面F
A上には、人Nが部署6
a、6
b、6
c、6
d内を効率よく往来するための経路である動線T
Aが設定されている。部署6
a、6
b、6
c、6
d相互間で人Nが効率よく往来するために部署6
a、6
b、6
c、6
d間の床面F
A上にも同様に動線T
Aとして設定されている。
【0026】
図1に示すオフィスのレイアウトの場合、パネル4、5の高さは什器9の高さに相当する等の理由によりパネル4、5に沿う領域は什器9を収納する収納スペースとして利用されている場合がある。一方、パネル2、3の領域では間仕切りのためにのみ使用されている場合がある。
図3、4に示す第2拠点B内も
図1の拠点A内のレイアウトと同様に、動線T
Bが第2拠点Bの床面F
A上に設定されている。
【0027】
本発明の実施形態では
図1に示すパネル2、3が動線T
Aに沿っていることに着目して、パネル2、3を中心として映像表示部15
Aと撮像装置10
Aとを配置してコミュニケーションシステムを構築したものである。
以下に、本発明の実施形態1に係るコミュニケーションシステムについて説明する。本発明の実施形態に係るコミュニケーションシステムは
図1に示すように、
図1のパネル2、3に映像表示部15
Aを構成している。
図1に示す映像表示部15
Aを構成しているパネル2、3はスクリーンであり、そのスクリーンであるパネル2、3のパネル面2
A、3
Aに表示装置14
Aからの映像が表示される。映像表示の際、パネル2、3のパネル面2
A、3
Aが映像表示部15
Aの表示面(2
A、3
A)として機能する。パネル2、3は、床面F
Aから天井に向けて立ち上げて配置された表示媒体としての面状部材であり、映像表示部15
Aが面状部材(表示媒体)としてのパネル2、3に構成される。
【0028】
図1では、面状部材(表示媒体)としてパネル2、3を用いているが、これに限られるものではない。パネル2、3以外には建物の内壁のように表示装置14
Aからの映像がその内壁面に表示されるものを面状部材として用いてよい。その建物の内壁面がスクリーンとなり、その建物の内壁が面状部材であり、建物の内壁を面状部材として用いた場合であっても、映像表示部15
Aは面状部材(表示媒体)に構成される。パネル2、3や建物の内壁面をスクリーンとして用いる場合、それらの面の全面をスクリーンとして用いる場合に限られるものではなく、それらの面の一部をスクリーンとして用いてもよい。また、前記パネルや前記建物の内壁面などの前面に前記スクリーンが配置された場合であってもよく、前記パネルや前記建物の内壁面等の前面のスクリーンが前記面状部材をなし、その面状部材に前記映像表示部15
Aが構成される。
【0029】
さらに、
図1に示す映像表示部15
Aは、表示装置14
Aからの映像が映写されて表示面(2
A、3
A)に映像が表示される構成であるが、これに限られるものではない。
前記スクリーンに代えて液晶デジタルディスプレイなどのデジタル型ディスプレイを用いてもよく、この場合、デジタル型ディスプレイの表示面が表示媒体としての面状部材をなし、前記映像表示部15
Aがデジタル型ディスプレイからなる前記面状部材(表示媒体)に構成されることになる。
また、前記デジタル型ディスプレイが前記パネルや前記建物の内壁面などの前面に配置された場合であってもよく、前記パネルやの内壁面等とその前面の前記デジタル型ディスプレイとが前記面状部材をなし、その面状部材に前記映像表示部15
Aが構成される。
したがって、映像表示部15
Aは、表示装置14
Aからの映像が表示面(2
A、3
A)に表示される構成、或いは自己発光して映像が表示される構成のいずれであってもよい。
【0030】
さらに、
図1に示す例では、映像表示部15
Aは、表示面(2
A)を含む面状部材の第1映像表示部15
A1と、表示面(3
A)を含む面状部材の第2映像表示部15
A2を組み合わせることにより構成されている。そして、第1映像表示部15
A1と第2映像表示部15
A2とを備えているため、これらの映像表示部に映像を表示させるための表示装置14
Aとして第1表示装置14
A1と第2表示装置14
A2とを備えている。
【0031】
次に、映像表示部15
Aの表示面(2
A、3
A)に表示される映像について説明する。
図1のオフィスを第1拠点Aとすると、
図4に示すオフィスが第2拠点Bとなる。
図4に示す第2拠点Bには撮像装置10
Bが設置されている。撮像装置10
Bは2つの撮像装置10
B1、10
B2を備えており、これらの撮像装置10
B1、10
B2で第2拠点B内の状況を撮像し、その映像を
図11に示す通信ネットワーク20により第1拠点Aの表示装置14
Aに送信する。
図1では、第1拠点Aに設置した一方の表示装置14
A1が対応する映像表示部15
A1の表示面(2
A)に表示させ、第1拠点Aに設置した他方の表示装置14
A2が対応する映像表示部15
A2の表示面(3
A)に表示させる。すなわち、第1拠点Aの映像表示部15
Aには第2拠点Bの撮像装置10
Bが撮像した第2拠点B内の状況を撮像した映像が表示されることになる。
図4に示す例では、撮像装置10
Bとして2つの撮像装置10
B1、10
B2を設置したが、1つの撮像装置により第2拠点B内の状況を撮像して第1拠点Aに送信するようにしてもよい。
【0032】
図1には、
図4と同様に撮像装置10
Aとして2つの撮像装置10
A1、10
A2が設置され、これらの撮像装置10
A1、10
A2が第1拠点A内の状況を撮像して、その映像を
図11に示す通信ネットワーク20により第2拠点Bの表示装置14
Bに送信する。
図4では、第2拠点Bに設置した一方の表示装置14
B1が対応する映像表示部15
B1の表示面(2
B)に表示させ、第2拠点Bに設置した他方の表示装置14
B2が対応する映像表示部15
B2の表示面(3
B)に表示させる。すなわち、第2拠点Bの映像表示部15
Bには第1拠点Aの撮像装置10
Aが撮像した第1拠点A内の状況を撮像した映像が表示されることになる。
図1に示す例では、撮像装置10
Aとして2つの撮像装置10
A1、10
A2を設置したが、1つの撮像装置により第1拠点A内の状況を撮像して第2拠点Bに送信するようにしてもよい。
【0033】
図4において、第2拠点B内の撮像装置10
Bは、第2拠点Bの床面F
Aに設定された動線Tに加えて人Nの動きを含めて第2拠点Bの状況を撮像する。同様に
図1において、第1拠点A内の撮像装置10
Aは、第1拠点Aの床面F
Aに設定された動線T
Aに加えて人Nの動きを含めて第1拠点Aの状況を撮像する。
図3は、第2拠点B内の状況を撮像した映像を第1拠点A内の映像表示部15
Aの表示面(2
A、3
A)に表示する場合を示している。
図3に示すように、第1拠点A内に設置した映像表示部15
Aは、その表示面(2
A、3
A)に第2拠点Bの動線T
Bを第1拠点Aの動線T
Aに連携させて前記映像が表示される。
【0034】
また、
図1及び
図4では、第1拠点Aの音を集音し第2拠点Bの音を出力する音響装置(集音装置12
A、音声装置16
A)を第1拠点A内に設け、第2拠点Bの音を集音し第1拠点Aの音を出力する音響装置(集音装置12
B、音声装置16
B)を第2拠点B内に設けている。
【0035】
図1では、映像表示部15
A1、15
A2が動線T
Aに沿って配置されている例を示したが、
図4に示すように、映像表示部15
B1、15
B2は動線T
B側と動線T
B側から奥まった領域に渡って存在する場合がある。
図1及び
図4に示す映像表示部15
A1、15
A2のうち中央領域の表示面に等身大の映像が表示されるようにしてもよい。
【0036】
以上のように、本発明の実施形態1に係るコミュニケーションシステムは
図1及び
図4に示すように、異なる拠点A、Bにおけるコミュニケーションを誘発するコミュニケーションシステムであって、異なる拠点のうち第1拠点Aの床面F
Aに設定された動線T
Aに対応させて設置される映像表示部15
Aと、異なる拠点のうち第2拠点B内の状況を撮像する撮像装置10
Bと、を有し、前記動線T
Aは、前記拠点Aの床面F
A上を人が往来する経路であり、前記映像表示部15
Aは、前記撮像装置10
Bが撮像した前記映像が表示されることにより前記第2拠点B内の状況を映像の情報として前記第1拠点Aの前記対応させた動線T
A側に向けて発信する構成として構築することになる。
【0037】
また、本発明の実施形態1に係るコミュニケーションシステムは
図1及び
図4に示すように、異なる拠点A、B間でのコミュニケーションを誘発するコミュニケーションシステムであって、異なる拠点A、Bのうち第1拠点Aに設置された映像表示部15
Aと、異なる拠点A、Bのうち第2拠点Bの床面F
Bに設定された動線T
Bに加えて人Nの動きを含めて第2拠点Bの状況を撮像する撮像装置10
Bと、を有し、動線T
Bは、拠点Bの床面F
A上に人Nが往来する経路であり、映像表示部15
Aは、撮像装置10
Bが撮像した映像が表示されることにより第2拠点B内の状況を映像の情報として第1拠点Aの動線T
Aに向けて発信する構成として構築してもよいものである。
【0038】
本発明の実施形態1に係るコミュニケーションシステムを稼働させると、第2拠点B内に設置された撮像装置10
Bが、人Nが往来する経路の動線T
Bが設定された第2拠点B内を撮像し、その撮像装置10
Bで撮像する際に、第2拠点Bの床面F
Bに設定された動線T
Bに加えて人Nの動きを含めて第2拠点B内の状況を撮像し、第1拠点A内に配置した映像表示部15
Aにより、撮像装置10
Bが撮像した前記映像を表示することにより第2拠点B内の状況を映像の情報として第1の空間A内で発信させる。
【0039】
映像表示部15
Aで映像情報を発信する際には、映像表示部15
Aを第1拠点A内に設定された動線T
Aに対応させて配置し、前記映像の情報を前記対応させた動線T
A側に向けて第1拠点A内で発信させる。同様に、映像表示部15
Bで映像情報を発信する際には、映像表示部15
Bを第2拠点B内に設定された動線T
Bに対応させて配置し、前記映像の情報を前記対応させた動線T
B側に向けて第2拠点B内で発信させる。この場合、第1拠点A及び第2拠点Bとしては、人Nが主に事務処理を行うオフィス、工場などの作業現場、商業施設などのようにコミュニケーションを取る必要がある空間であれば、いずれのものであってもよい。
【0040】
コミュニケーションは、異なる拠点A、B内に位置する人N同士が必要に応じて適宜行うものであるから、
図4に示すように、第1拠点A内に映像表示部15
A、映像を撮像する撮像装置10
Aを設置し、同様に第2拠点B内に、映像情報を表示する映像表示部15
B、撮像装置10
Bを設置し、異なる拠点A、B内の状況を双方で発信させるようにしてもよいものである。前記双方での通信を行う場合、
図11に示すように、異なる拠点A、B間に設けられている既設の通信ネットワーク(例えばインターネット回線網)20を利用すればよいものである。
【0041】
異なる拠点A、Bを同一の空間のように共有する感覚を感得させるには、第2拠点Bの撮像装置10
Bにより、第2拠点B内の状況を逐次撮像し、第1拠点Aの映像表示部15
Aにより、撮像装置10
Bが撮像した第2拠点B内の状況を映像の情報として第1拠点A内で逐次発信させ、同様に第1拠点Aの撮像装置10
Aにより、第1拠点A内の状況を逐次撮像し、第2拠点Bの映像表示部15
Bにより、撮像装置10
Aが撮像した第1拠点A内の状況を映像の情報として第2拠点B内で逐次発信させるという運用にすればよいものである。
【0042】
異なる拠点A、Bがオフィスである場合を想定してコミュニケーションが誘発される場合を分析する。オフィスには、複数のデスクが設置されているとともに複数の人Nが共有する例えばプリンタが一箇所に集中して設置され、事務の効率化が図られている。そのオフィスには、各人のデスクからプリンタに至る経路(動線T
A、T
B)には、人の効率的な動きを実現するために動線が設定されている。その場合、遠方のオフィスにいる担当者と即座にコミュニケーションを取ることにより新たなアイデアが有効なものとして結実する場合がある。このコミュニケーションが即座に成立すれば、事務効率が向上することになる。
【0043】
そこで、本発明の実施形態に係るコミュニケーションシステムを
図4に示すように、異なる拠点A、B内にそれぞれ設置して同時に稼働させると、第2拠点B内の撮像装置10
B及び第1拠点A内の撮像装置10
Aがそれぞれ稼働して、人が往来する経路の動線T
B、T
Aが設定された拠点B、Aを撮像し、その撮像装置10
B、10
Aで撮像する際に、第2拠点B内の撮像装置10
Bは、第2拠点B内に設定された動線T
Bに加えて人Nの動きを含めて第2拠点B内の状況を撮像する。同様に、第1拠点A内の撮像装置10
Aは、第1拠点A内に設定された動線T
Aに加えて人Nの動きを含めて第1拠点A内の状況を撮像する。
【0044】
第1拠点A及び第2拠点B内に設置した撮像装置10
A、10
Bがそれぞれ稼働して対象の拠点A、B内の状況を撮像すると、第1拠点Aと第2拠点Bとの間に敷設された既設の通信ネットワーク(
図11参照)ラインによって双方向での通信が行われ、
図2及び
図3に示すように、第2拠点Bの撮像装置10
Bが撮像した第2拠点B内の状況の映像が第1拠点A内の映像表示部15
Aにより表示されて第2拠点B内の状況を映像の情報として第1拠点A内で発信される。同様に、第1拠点Aの撮像装置10
Aが撮像した第1拠点A内の映像が第2拠点B内の映像表示部15
Bにより表示されて第1拠点A内の状況を映像の情報として第2拠点B内で発信される。
【0045】
映像表示部15
A及び映像表示部15
Bで映像情報を発信する際には、映像表示部15
Aを第1拠点A内に設定された動線T
Aに対応させて設置して、前記映像の情報を前記対応させた動線T
A側に向けて第1拠点A内で発信させる。同様に、映像表示部15
Bで映像情報を発信する際には、映像表示部15
Bを第2拠点B内に設定された動線T
Bに対応させて設置して、前記映像の情報を前記対応させた動線T
B側に向けて第2拠点B内で発信させる。
【0046】
従って、
図2及び
図3に示すように、異なる拠点内の状況が映像の情報として眼の前に広がり、遠くにいる人でも距離を越えてすぐ隣にいるかのような感覚を生み出す。これにより、離れたオフィスとのコミュニケーションを活性化することができ、新たなアイデアを誘発してイノベーションなど知的創造を促進することができる。
【0047】
映像表示部15
A、15
Bが構成される面状部材は、第1拠点A及び第2拠点B内に設定された動線T
A、T
Bに対応させて配置してあり、前記映像の情報を前記対応させた動線T
A、T
B側に向けて対応する拠点A或いは拠点B内で発信するものであるため、
図3に示すように、動線T
A、T
B上で話したいときに話しかけることができ、しかも、動線上に行けばそこで異なる空間の人と話すことができる。さらには、動線T
A、T
B上で異なる空間の状況(雰囲気)を感じ取ることができ、話さなくても存在を感じることができる。
【0048】
さらに、撮像装置10
A、10
Bは、異なる空間A、B内の状況を逐次撮像し、映像表示部15
A、15
Bが、撮像装置10
B、10
Aから出力される拠点BまたはAの状況を示す映像に基づいて異なる拠点B、A内の状況を映像の情報として逐次発信することにより、日常的な交流で業務を円滑化、スピードアップを図ることができる。この場合、
図2に示すように、拠点A、B内の一部のスペースを利用してデスク及び椅子のセットを設置することにより、そのスペースが会議室に早替わりさせることができ、利用されていないスペースを有効利用することができる。
【0049】
さらに、映像表示部15
A、15
B及び撮像装置10
A、10
Bが異なる空間A、B内にそれぞれ設置することにより、異なる拠点A、B内で相手方の拠点B、A内の状況を示す映像情報が発信されるため、恰も同一の空間で一緒にいる感覚を得ることができ、異なる拠点を一つの空間として共用し、空間を繋げて、人と人との相乗効果に基づいて潜在的な力を引き出すことができる。
【0050】
図1の例では、表示媒体としての面状部材にオフィスなどの空間の中央領域に配置されたパネル2、3を用いた例を説明したが、オフィスなどの隅部をなす建物の内壁を前記表示媒体としての面状部材に用いてもよく、建物の隅部をなす内壁面に映像表示部15
Aが構成される。これらの例を
図17及び
図18を用いて説明する。
図17に示すように、本発明の実施形態1に係るコミュニケーションシステムは、第1拠点Aと第2拠点B間でのコミュニケーションを誘発するコミュニケーションシステムであって、第1拠点Aに存在する映像表示部15
Aと、第2拠点B内の状況を撮像する撮像装置と、を有し、映像表示部15
Aは、撮像装置10
Bが撮像した第2拠点B内の状況の映像を表示するために複数の面状部材に構成され、それらの複数の面状部材を組み合わせることにより角部S
Aをなすことよって、活用されていなかった角部S
Aに第2拠点B内の状況が映写されることにより、角部S
Aを通して第2拠点B内の空間が広がり、遠くにいる人でも距離を越えてすぐ隣にいるかのような感覚を生み出し、角部S
Aをコミュニケーションの場として有効活用することができる。そして、コミュニケーションの場となった角部S
Aでは、異なる拠点間でのコミュニケーションが誘発され、離れたオフィスとのコミュニケーションを活性化することができ、新たなアイデアの誘発やイノベーションなど知的創造を促進することができる。
【0051】
複数の面状部材である建物の内壁(表示媒体の面状部材)は、映像表示部15
Aを互いに角部S
Aの内側に向けて角部S
Aを構成し、撮像装置10
Bが撮像した第2拠点B内の状況の映像が映像表示部15
Aに表示されることにより、
図2、3に示すように、角部S
Aに異なる拠点内の状況が映像の情報として眼の前に広がり、角部S
Aがコミュニケーションの起点となる。これにより、角部S
Aの有効活用を図ることができるとともに、角部S
Aの内側にいる人が、より臨場感、没入感をもって遠くにいる人でも距離を越えてすぐ隣にいるかのような存在感を感じることが出来る。
【0052】
ここで、角部S
Aとは、建物の内壁を面状部材としてこれらを組み合わせることによって構成される空間領域であって、前記空間領域内にいる人Nが、面状部材としての内壁面に構成される映像表示部15
Aを通して第2拠点B内の状況の映像を視覚し、前記映像の情報を受信することができる空間領域をいうが、具体的には、本実施形態における角部S
Aとは、
図18に示すように、角部をなす建物の交差する2つの内壁を組み合わせることにより構成される空間領域であって、映像表示部15
A1と、映像表示部15
A2と、表示装置14
A1から見て映像表示部15
A1の左端と、表示装置14
A2から見て映像表示部15
A2の右端を結んだ面(X−Z面)と、で囲まれた空間領域をいう。
【0053】
図1では、既設のパネル2、3を映像表示部15
A(映像表示部15
A1、15
A2)、映像表示部15
B(映像表示部15
B1、15
B2)として構築した例を示したが、オフィスなどによっては、既設のパネル2、3などが存在しないために本発明の実施形態に係るコミュニケーションシステムを、枠組み等を利用して拠点A、Bに設置する場合がある。その場合のフレームの例を
図4〜
図13に基づいて説明する。
【0054】
図4に示すように、第1拠点Aにコミュニケーションシステム1
Aを配置し、第2拠点Bにコミュニケーションシステム1
Bを配置して、第2拠点Bのコミュニケーションシステム1
Bにより撮像された第2拠点の時空間の状況を示す映像及び集音された音を、第1拠点Aのコミュニケーションシステム1
Aにより第1拠点A内で発信することにより、第1拠点Aと第2拠点Bとの異なる空間(主として遠隔地のオフィス、工場など)において、臨場感のあるリアルタイムなコミュニケーションを実現することができるコミュニケーションシステム1に関するものである。同様に第1拠点Aのコミュニケーションシステム1
Aにより撮像された映像及び集音された音を、第2拠点Bのコミュニケーションシステム1
Bにより第2拠点B内で発信することにより、第1拠点Aと第2拠点Bとの異なる空間において、あたかも第1拠点Aと第2拠点Bとが同じ空間にいるような演出をすることができ、双方向に臨場感のあるリアルタイムなコミュニケーションを実現することができるコミュニケーションシステム1に関するものである。
本発明の実施形態に係るコミュニケーションシステム1は、
図4に示すように、第1拠点A及び第2拠点Bのフロアに設定されている、人が往来する経路としての動線を利用して設置されるものである。すなわち、第1拠点Aと第2拠点Bは、本来異なる拠点に存在するものであるから、第1拠点Aの動線と第2拠点Bの動線は別個独立に存在し、それぞれの動線上で活動する人達のFace to Faceのコミュニケーションは限られた第1拠点A或いは第2拠点Bのみで行われており、例えば遠隔地に位置する第1拠点Aと第2拠点Bとでの間でFace to Faceのコミュニケーションは上述したように、Web会議やテレビ会議で行われているのが実情であるが、これらのシステムを用いたコミュニケーションでは、第1拠点Aと第2拠点Bとの距離感が払拭できないために臨場感に欠け、また、両拠点においてWeb会議システムやテレビ会議システムを同時に稼働している間でなければ両拠点間でコミュニケーションが生成されない点で限界があった。
そこで、コミュニケーションシステム1は、第1拠点Aと第2拠点Bとにおいて、あたかも第1拠点Aと第2拠点Bとが同じ空間にいるような演出をすることができ、双方向に臨場感のあるリアルタイムなコミュニケーションを実現することができるコミュニケーションシステム1を提供するものである。
【0055】
コミュニケーションシステム1は、コミュニケーションシステム1
Aとコミュニケーションシステム1
Bとを備え、その構成の詳細を
図4乃至
図13を参照して説明する。コミュニケーションシステム1におけるコミュニケーションシステム1
Aとコミュニケーションシステム1
Bとは、同様の構成を有しているので、以下、コミュニケーションシステム1
Aを中心に説明する。
図4は、コミュニケーションシステム1
A、1
Bを第1拠点A及び第2拠点Bのそれぞれに設けた場合の構成を示す図、
図5は、
図4に示すコミュニケーションシステム1
Aの外観を示す斜視図、
図6は、
図4に示すコミュニケーションシステム1
Aの分解斜視図、
図7は、
図4に示すコミュニケーションシステム1
Aにおける表示装置14
A及び映像表示部15
Aの配置を示す図であり、(a)は前記配置を平面から見た模式図、(b)は前記配置を側面から見た模式図、
図8は、
図1に示すコミュニケーションシステム1
Aにおける映像表示部15
Aの、第1拠点Aの床面F
A及び天井C
Aとの近接又は当接の関係を示す模式図、
図9は、
図1に示すコミュニケーションシステム1
Aにおける映像表示部15
Aの配置を示す図であり、(a)は第1拠点Aにおける配置を示す図、(b)は第2拠点Bにおける配置を示す図、
図10は、
図4に示すコミュニケーションシステム1
Aにおける撮像装置10
Aの配置を示す図であり、(a)は前記配置を平面から見た模式図、(b)は前記配置を側面から見た模式図、
図11は、
図4に示すコミュニケーションシステム1
A、1
Bのブロック図である。なお、
図9においては、映像表示部15
A、15
B以外の構成要素の図示を省略している。
【0056】
[コミュニケーションシステムの構成]
図4に示すコミュニケーションシステム1において、第1拠点Aに設けられるコミュニケーションシステム1
Aは、
図4、
図5及び
図11に示すように、撮像装置10
A(10
A1、10
A2)と、集音装置12
Aと、映像部と、音声装置16
Aと、送信部21
Aと、受信部23
Aと、フレーム50とを備える。以下、各構成についてそれぞれ説明する。なお、第2拠点Bに設けられるコミュニケーションシステム1
Bは、同様の構成を備えているので、説明を省略する。
【0057】
[フレーム]
図4に示すコミュニケーションシステム1
Aは、
図4及び
図5に示すように、フレーム50を備えている。このフレーム50は、配置場所の平坦な床面F
A上に設けられた複数の支柱52(第1支柱52a〜第4支柱52d)、本実施形態では4つの支柱と、この支柱52の上部同士を連結するための梁部材53(第1梁部材53a〜第4梁部材53d)、本実施形態では4つの梁部材とから構成される。なお、フレーム50は、支柱52を床面F
A上に載置して設けられると床面F
Aに対する躯体工事が必要ないため好ましいが、床面F
Aに対して固定して設けられてもよい。
【0058】
図4及び
図5に示すように、フレーム50は支柱と梁とを組み合わせた軸組構造であり、フレーム50を構成する支柱52は、第1支柱52a〜第4支柱52dでなり、梁部材53は、第1梁部材53a〜第4梁部材53dでなる。なお、支柱52(第1支柱52a〜第4支柱52d)の長さ、梁部材53(第1梁部材53a〜第4梁部材53d)の長さは、同一若しくは異なる長さを適宜選定することができる。なお、
図4及び
図5に示すフレーム50の支柱52及び梁部材53は同じ長さで構成し、全体が立体形状で構成している。
【0059】
図4に示すコミュニケーションシステム1
Aは、
図6に示すように、配置場所である平坦な床面F
A上に、第1支柱52a〜第4支柱52dと第1梁部材53a〜第4梁部材53dとを連結して組み立てられる。
まず、第1支柱52aの上部と第2支柱52bの上部との間に第1梁部材53aを連結、第2支柱52bの上部と第3支柱52cの上部との間に第2梁部材53bを連結、第3支柱52cの上部と第4支柱52dの上部との間に第3梁部材53cを連結、第4支柱52dの上部と第1支柱52aの上部との間に第4梁部材53dを順次連結して、枠体状のフレーム50が形成される。また、例えば、第1支柱52aの下部と第2支柱52bの下部との間や、第2支柱52bの下部と第3支柱52cの下部の間などにも、別のフレーム部材(図示せず)を連結してもよい。支柱52(52a〜52d)に対して梁部材53(53a〜53d)を直接的に連結させてもよく、または、取付部材としての連結部材55(55a〜55d)を介在させて連結しても良い。
【0060】
なお、
図4に示すフレーム50を構成する支柱及び梁部材の個数及び寸法は特に限定されるものではない。例えば、第1支柱52a〜第4支柱52dは、コミュニケーションシステム1
Aの配置場所が屋内であれば、その配置場所における床から天井までの高さよりも低く設定するのが好適である。コミュニケーションシステム1
Aの配置・撤去が容易で、移動が容易であるからである。また、第1梁部材53a〜第4梁部材53dの長さは、コミュニケーションシステム1
Aの用途に応じて適宜設定すればよい。
【0061】
なお、
図5に示すように、本実施形態においては、フレーム50は、平面視、第1梁部材53a乃至第4梁部材53dが略正方形の構成を例示したが、後述のように、映像表示部15
Aや表示装置14
Aを取付・固定できる構成であればよいため、本発明はこの構成形態に限定されるものではなくまた、各梁部材も直線構成のものに限られず、湾曲させた構成であってもよく、その形状は特に限定されない。
【0062】
[映像部]
図4及び
図12に示すように、
図4に示すコミュニケーションシステム1
Aの映像部は、第2拠点Bにおいて撮像された映像を第1拠点Aにおいて表示するための手段である。本実施形態においては、コミュニケーションシステム1
Aの映像部は、第2拠点Bにおいて撮像された映像(D
B1及び/又はD
B2)を映写する表示装置14
Aと、第2拠点Bにおいて撮像された映像(D
B1及び/又はD
B2)が映し出される表示面を備えた映像表示部15
Aとから構成される例を説明する。一例として、表示装置14
Aはプロジェクター、映像表示部15
Aはスクリーンで構成されるが、これに限られるものではない。前記映像部として液晶ディスプレイなどのデジタル型ディスプレイを用いた場合、映像表示部15
Aが液晶パネルなどの表示パネルに相当し、表示装置14
Aが前記表示パネルを駆動する駆動回路に相当することになる。前記映像部としてデジタル型ディスプレイを用いた場合、重量が嵩むプロジェクターを用いる必要がなく、前記映像部の重量を軽減することができ、またこの場合には、プロジェクターを用いる必要がないため、第4支柱52d、第3梁部材53c及び第4梁部材53dを設けなくてもよい。
【0063】
本実施形態では、
図5に示すように、2台の表示装置14
A1、14
A2は、フレーム50の第3梁部材53cに設けられた第1表示装置14
A1、第4梁部材53dに設けられた第2表示装置14
A2が設けられている。また、2つの映像表示部15
A1、15
A2は、フレーム50の第1支柱52aと第2支柱52bと第1梁部材53aとにより囲われる面(X−Z面)に設けられた第1映像表示部15
A1、第2支柱52bと第3支柱52cと第2梁部材53bとにより囲われる面(Y−Z面)に設けられた第2映像表示部15
A2が設けられている。なお、表示装置14
A、映像表示部15
Aは、本実施形態ではそれぞれ2つずつ台で構成しているが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つずつ以上あれば、配置台数は限定されるものではない。
図4に示すコミュニケーションシステム1において、表示装置14
A及び映像表示部15
Aは、第2拠点Bにおいて撮像された映像(D
B1及び/又はD
B2)が第1拠点Aで見ることができる構成であればよく、コミュニケーションシステム1の演出ができれば、表示装置14
A、映像表示部15
Aの台数は限定されるものではないからである。
【0064】
また、本実施形態では、
図5及び
図7に示すように、第1表示装置14
A1が第1映像表示部15
A1の対面に配置されて第1表示装置14
A1が映写した映像は、第1映像表示部15
A1の全面若しくはほぼ全面の範囲で映写されて表示される。また、第2表示装置14
A2が第2映像表示部15
A2の対面に配置されて、第2表示装置14
A2が映写した映像は第2映像表示部15
A2の全面若しくはほぼ全面の範囲で映写されて表示される。しかして、第1映像表示部15
A1若しくは第2映像表示部15
A2には、第1表示装置14
A1、第2表示装置14
A2の映像が全面若しくはほぼ全面に映写されればよいので、例えば、
図7(a)に示す配置関係において、第1表示装置14
A1の映像を第2映像表示部15
A2に、及び第2表示装置14
A2の映像を第2映像表示部15
A2に映写されて表示されるものでもよい。
【0065】
また、本実施形態では、第1表示装置14
A1は、第3梁部材53c、第2表示装置14
A2は、第4梁部材53dに設けられて高い位置から映像が映写される。したがって、フレーム50の内部空間S
Aで人の移動が行われても映写される映像が遮られることがなく、第1拠点Aのコミュニケーションシステム1
Aと第2拠点Bのコミュニケーションシステム1
Bとの空間と空間とが一体となってコミュニケーションが可能な空間が形成される。
【0066】
表示装置14
A及び映像表示部15
Aは、第2拠点において撮像された映像(D
B1及び/又はD
B2)を第1拠点において見ることができる映像部であればよいため、プロジェクター及びスクリーンのような組み合わせに限られず、例えば液晶ディスプレイのような映像部によって構成してもよく、特に限定されるものではない。
【0067】
また、
図4に示すように、第2拠点Bのコミュニケーションシステム1
Bのフレーム50の内部空間S
Bに立つ者が撮像装置10
Bにより撮像され、その映像(D
B1、D
B2)が第1拠点Aのコミュニケーションシステム1
Aの映像表示部15
Aに映写されるに際して、内部空間S
Bに立つ者の映像が等身大に映写されることが可能なサイズで映像表示部15
Aが構成されるのが好ましい。本実施形態に係るコミュニケーションシステム1は、第1拠点Aと第2拠点Bとの異なる空間において、あたかも第1拠点Aにいる者と第2拠点Bにいる者とが同じ空間にいるような演出をすることができ、双方向に臨場感のあるリアルタイムな会話を実現するものであるから、第1拠点Aと第2拠点Bとの異なる空間が恰も同じ空間となるように演出することができるからである。
【0068】
図5に示すように、第1映像表示部15
A1は、第1支柱52aと第2支柱52bと第1梁部材53aとにより囲われるフレーム50の一側面(X−Z面)を覆うように設けられ、第2映像表示部15
A2は、第2支柱52bと第3支柱52cと第2梁部材53bとにより囲われるフレーム50の一側面(Y−Z面)を覆うように設けられる。そのため、フレーム50は、上記二側面が閉塞されている。したがって、第3支柱52cと第4支柱52dと第3梁部材53cとにより囲われる側面、第4支柱52dと第1支柱52aと第4梁部材53dとにより囲われる側面、第1梁部材53a〜第4梁部材53dにより囲われる天面は解放されて、内部空間S
Aが形成される。
【0069】
図5及び
図7(a)に示すように、第1映像表示部15
A1及び第2映像表示部15
A2は、第2支柱52bを基点として、全体として、平面視、角度α(
図7(a)参照)で折れ曲がった映像表示部(15
A)を形成している。なお、
図7(a)で示す角度αは、90度となっているが、180度のフラットな面で構成してもよい。要するに、本実施形態に係るコミュニケーションシステム1を演出することができればよいので、角度αは適宜設定することができる。
【0070】
映像表示部15
Aは、第2拠点Bにおいて撮像された映像(D
B1及び/又はD
B2)が映し出される表示面であればよい。そのため、映像表示部15
Aは、
図6等に示すように表示媒体としての面状部材そのものに構成される場合に限られず、パネルや建物の内壁の前面に配置した例えば布製スクリーンなどの面状媒体(表示媒体)に構成されるようにしてもよい。また、映像表示部15
Aは前記面状部材の全面或いは一部に構成されていてもよい(
図8(d)参照)。
【0071】
また、
図5に示すように、映像表示部15
Aの下端は、第1拠点Aの床面F
Aに対して近接又は当接するのが好ましく、また、映像表示部15
Aの上端は、第1拠点Aの天井C
Aに対して近接又は当接するのが好ましい。すなわち、映像表示部15
Aの下端は、第1拠点Aの床面F
Aに対して当接するか(
図8(a)、(c)、(d)参照)、第1拠点Aの床面F
Aに対して近接する(
図8(b)参照)のが好ましい。このように構成することにより、映像表示部15
Aの映像を見る視覚者の目線よりも十分に低い位置まで、映像表示部15
Aに第2拠点Bの映像を表示させることが可能となる。
【0072】
また、映像表示部15
Aの上端は、第1拠点Aの天井C
Aに対して近接するか(
図8(a)及び(b)参照)、第1拠点Aの天井C
Aに対して当接する(
図8(c)及び(d)参照)のが好ましい。或いは、
図9に示すように、映像表示部15
Aの上端と第1拠点Aの天井C
Aとの間に、第1拠点Aの壁面W
Aが映像表示部15
Aに向かって立つ視覚者の視界に入らない高さに設定されるのが好ましい。このように構成することにより、映像表示部15
Aの映像を見る視覚者の目線よりも十分に高い位置まで、映像表示部15
Aに第2拠点Bの映像を表示させることが可能となる。
【0073】
なお、第1映像表示部15
A1が構成される面状部材は特に限定されず、例えば、強度の高い板状部材(例えばスチール製、木製など)で構成する場合は、フレーム50の第1梁部材53aを省略することができる。すなわち、第1支柱52a及び第2支柱52bと面状部材とを連結すればよい。同様に、第2映像表示部15
A2を強度の高い素材で構成する場合は、フレーム50の第2梁部材53bを省略することができる。すなわち、第2支柱52b及び第3支柱52cと面状部材とを連結すればよい。また、強度の高い素材で構成した第1映像表示部15
A1とが構成される面状部材と第2映像表示部15
A2が構成される面状部材とを連結することで、第1支柱52a、第2支柱52b、第3支柱52cのいずれか又は総てを省略することができる。
【0074】
第1映像表示部15
A1(及び/又は第2映像表示部15
A2)をスクリーンとして構成する場合、第1映像表示部15
A1(及び/又は第2映像表示部15
A2)の裏側からの光を通さずにクリアな映像を表示させるために、第1映像表示部15
A1(及び/又は第2映像表示部15
A2)が構成される面状部材自体を透光性のない部材で構成する、又は、第1映像表示部15
A1(及び/又は第2映像表示部15
A2)が構成される面状部材の裏側に透光性のない部材を併設する構成が好ましい。
【0075】
[音声装置]
図4及び
図5に示すように、音声装置16
Aは、スピーカーなどで構成され、第2拠点Bにおいて集音された音(V
B)(
図12に図示)を発する装置である。臨場感のある音を発することができるように、後述の集音装置12
Bを2台以上で構成し、それに対応させて音声装置16
Aを2台以上で構成してもよい。
【0076】
[撮像装置]
撮像装置10
Aは、ビデオカメラなどで構成され、第1拠点Aにおける所定空間を撮像するためのカメラレンズ11
Aを備える装置である。
【0077】
図5に示す通り、本実施形態においては、撮像装置10
Aとして、2台の撮像装置10
A1、10
A2で構成する例を示しているが、撮像装置10
Aの配置台数は2台に限定されるものではなく、少なくとも1台以上であればよい。
【0078】
図5に示すように、第1撮像装置10
A1及び第2撮像装置10
A2は、映像表示部15
Aの中央部に設けられ、第1映像表示部15
A1と第2映像表示部15
A2との境界近傍(第2支柱52bの近傍)に配置され、その配置場所(1点)から2方向を夫々個別に撮像する。第1撮像装置10
A1及び第2撮像装置10
A2は、各撮像方向(
図10(a)の光軸方向LA
1、LA
2参照)をそれぞれ個別に撮像した映像(D
A1、D
A2)を逐次出力するようになっている。
【0079】
図4及び
図5に示すように、コミュニケーションシステム1
Aは、フレーム50で構成されている。このフレーム50は、第3支柱52cと第4支柱52dと第3梁部材53cにより囲われる側面、第4支柱52dと第1支柱52aと第4梁部材53dにより囲われる側面、第1梁部材53a〜第4梁部材53dにより囲われる天面が解放されており、第1撮像装置10
A1及び第2撮像装置10
A2は、
図10(a)に示す光軸方向LA
1、LA
2方向に奥行きのある映像(D
A1、D
A2)を撮像して出力されるため、フレーム50で形成される内部空間S
Aのみならず、その外側空間まで撮像される。したがって、
図10に示すように、内部空間S
Aを移動する人のみならず、該内部空間S
Aを越えて移動する人や空間も撮像するため、異なる空間が一体化される映像を撮像することができる。
【0080】
[集音装置]
図4及び
図5に示すように、集音装置12
Aは、マイクロフォンなどで構成され、第1拠点Aにおける所定空間の音を集音するための装置であり、集音した音(V
A)(
図12に図示)を逐次出力するようになっている。また、集音装置12
Aを2台以上で構成してもよい。集音装置12
Aは、フレーム50の内部空間S
Aにおける音のみを集音できるように設定してもよい。
【0081】
[送信部及び受信部]
図11及び
図12に示すように、コミュニケーションシステム1
Aは、インターネットなどの通信ネットワーク20を介した通信を行うための通信手段として、送信部21
A及び受信部23
Aを有する。送信部21
Aは、撮像装置10
A1、10
A2により撮像され出力された映像D
A1、D
A2や、集音装置12
Aにより集音され出力された音V
Aを通信ネットワーク20に送出するようになっている。受信部23
Aは、第2拠点Bで撮像され出力された映像D
B1、D
B2や、集音されて出力された音V
Bを通信ネットワーク20から受信するようになっている。なお、通信ネットワーク20は、インターネットのみならず、イントラネット、その他の通信回線での通信ネットワークでもよい。
【0082】
[制御装置]
第1撮像装置10
A1、第2撮像装置10
A2、集音装置12
A、第1表示装置14
A1、第2表示装置14
A2、音声装置16
A、送信部21
A、受信部23
Aの全部又は一部と接続されてそれらの動作を制御するための、1以上の制御装置(図示せず)を有する構成としてもよい。その制御装置は、例えば、パーソナルコンピュータで構成されている。
【0083】
[コミュニケーションシステムの組み立て]
コミュニケーションシステム1
A、1
Bの組み立てについて、
図6を参照して、説明する。
第1拠点Aにおいて、第1梁部材53aの両端に第1連結部材55a及び第2連結部材55bを連結させる。第2連結部材55bに第2梁部材53bの一端を連結し、第2梁部材53bの他端に第3連結部材55cを連結させる。第3連結部材55cに第3梁部材53cの一端を連結し、第3梁部材53cの他端に第4連結部材55dを連結させる。第4梁部材53dの両端に、第1梁部材53a及び第4連結部材53dを連結させる。これにより、第1梁部材53a〜第4梁部材53dが第1連結部材55a〜第4連結部材55dによって枠体状に連結された状態となる。
【0084】
次に、枠体状に連結された第1梁部材53a〜第4梁部材53dを持ち上げた状態で、第1連結部材55a〜第4連結部材55dのそれぞれ下方に、第1支柱52a〜第4支柱52dを配置して、第1支柱52aの上端を第1連結部材55aの下端と連結し、第2支柱52bの上端を第2連結部材55bの下端と連結し、第3支柱52cの上端を第3連結部材55cの下端と連結し、第4支柱52dの上端を第4連結部材55dの下端と連結することにより、フレーム50が形成される。
【0085】
次に、第1映像表示部15
A1が構成される面状部材を第1梁部材53aに固定し、第2映像表示部15
A2が構成される面状部材を第2梁部材53bに固定する。このとき、第1映像表示部15
A1と第2映像表示部15
A2との間にできる限り隙間が生じないように固定されるのが好ましい。なお、第1映像表示部15
A1が構成される面状部材を第1支柱52a及び第2支柱52bに固定し、第2映像表示部15
A2が構成される面状部材を第2支柱52b及び第3支柱52cに固定してもよい。
【0086】
また、第1表示装置14
A1を、X−Z面に沿って第3梁部材53cに取付・固定し、第2表示装置14
A2をY−Z面に沿って第4梁部材53dに取付・固定する。このとき、第3梁部材53cにおける第1表示装置14
A1の固定位置は、第1映像表示部15
A1に対して映像を全面若しくはほぼ全面に映写可能な位置であればよい。第1表示装置14
A1を第3梁部材53cに載置するための設置器具を介して固定しても良い。第4梁部材53dにおける第2表示装置14
A2についても同様である。
【0087】
更に、表示装置14
A(第1表示装置14
A1及び第2表示装置14
A2)の固定位置についてより詳しく説明する。表示装置14
Aは、映像表示部15
Aという映写可能な表示面を有効に使用して、第2拠点Bにおいて撮像された映像を映写するように設定する。すなわち、映像表示部15
Aには、撮像装置10
Bが撮像した第2拠点Bの映像が、映像表示部15
Aの下端まで表示される。また、映像表示部15
Aには、撮像装置10
Bが撮像した第2拠点Bの映像が、映像表示部15
Aの上端まで表示される。更には、映像表示部15
Aには、撮像装置10
Bが撮像した第2拠点Bの映像が、映像表示部15
Aの幅方向両端まで表示される。
【0088】
本実施形態においては、第1映像表示部15
A1及び第2映像表示部15
A2の大きさは、幅は梁部材53、高さは支柱52(及び連結部材55を加えた高さ)に対応している。この大きさに対応するようにして、第2拠点Bにおいて撮像された映像(又は所定の映像処理が施された映像)を映写するように設定する。そのため、
図7(a)に示すように、第1表示装置14
A1は、その設置位置から前記映像を第1映像表示部15
A1に対して映写したときに、映写された映像の幅方向両端が第1映像表示部15
A1の幅方向両端と一致若しくは略一致するような映像映写角度θ
11で映写できる位置に取付・固定する。また、
図7(b)に示すように、第1表示装置14
A1は、その設置位置から前記映像を第1映像表示部15
A1に対して映写したときに、映写された映像の高さ方向両端が第1映像表示部15
A1の高さ方向両端と一致若しくは略一致するような映像映写角度θ
12で映写できる位置CH
1に固定する。位置CW
1は、第1表示装置14
A1からの映像の映写が左右均等になるように、平面視、映像映写角度θ
11の中心線が第1映像表示部15
A1と直角をなすように、第3梁部材53cの中央部となっている。また、第1表示装置14
A1の高さ方向の位置CH
1は、第3梁部材53cの上面(CW
1に対応する位置)に設置する。第1表示装置14
A1は、
図7(b)に示すように、第1映像表示部15
A1の中心よりも上側の位置から前記映像を映写することになるため、位置CH
1を通る水平方向(一点鎖線で図示)に対して下向きの映像映写角度θ
13で映写できるように固定する。このようにして、位置CW
1、CH
1、角度θ
11、θ
12、θ
13を決めて、第1表示装置14
A1を設置する。第2表示装置14
A2についても、第1表示装置14
A1の映像映写角度θ
11と同様にして映像映写角度θ
21で映写できるように取付・固定し(
図7(a)参照)、更に映像映写角度θ
12、θ
13と同様に、所定の映像映写角度で映写できるような位置に固定する。
【0089】
図5に示すように、第1撮像装置10
A1及び第2撮像装置10
A2は、映像表示部15
Aの中央部である第1映像表示部
A1と第2映像表示部15
A2との境界近傍(第2支柱52bの近傍)に設置される。第1撮像装置10
A1及び第2撮像装置10
A2の設置方法は特に限定されるものではなく、例えば、第2支柱52bに固定したり、別の載置台に設置してもよい。
【0090】
図10を参照して、第1撮像装置10
A1及び第2撮像装置10
A2がそれぞれ備えるカメラレンズ11
A1、11
A2の撮像方向及び配置を説明する。
図10(a)に示すように、第1カメラレンズ11
A1の水平方向の設置は、第2映像表示部15
A2が撮像されない様に設定する。第2カメラレンズ11
A2の水平方向の位置は、第1映像表示部15
A1が撮像されない様に設定する。このように設置することによって、第1拠点Aにおける第1映像表示部15
A1及び第2映像表示部15
A2が、第2拠点Bで映写される映像に表示されなくなり、臨場感・リアリティのある映像を第2拠点Bへ提供できるようになる。
【0091】
一方、第1カメラレンズ11
A1、第2カメラレンズ11
A2の垂直方向の配置は、第1カメラレンズ11
A1の光軸LA
1及び第2カメラレンズ11
A2の光軸LA
2がそれぞれ水平であって、第1カメラレンズ11
A1の光軸LA
1と、第2カメラレンズ11
A2の光軸LA
2との高さが一致する様に、第1撮像装置10
A1及び第2撮像装置10
A2を配置する。第1カメラレンズ11
A1及び第2カメラレンズ11
A2の光軸LA
1、LA
2の高さが一致しない場合は、第2拠点Bにおける第1映像表示部15
B1に映写される映像と第2映像表示部15
B2に映写される映像との間で上下のズレが生じることとなり、このようなズレを防ぐ必要がある。第1カメラレンズ11
A1及び第2カメラレンズ11
A2の配置高さH1は、例えば、着座した人間の平均的な視線の高さ乃至起立した人間の平均的な視線の高さに調整すると、第2拠点Bにおいて映写される映像が自然な感覚で観ることが可能となる。本実施形態では、H1を床面F
Aから約1m程度に設定することにより、臨場感・リアリティのある映像を撮像し得るが、この高さは適宜設定を行えばよい。
【0092】
また、第1カメラレンズ11
A1は、第3梁部材53cや第1表示装置14
A1が映り込まないように画角を調節すると、これらが第2拠点Bで映写される映像に表示されなくなり、臨場感・リアリティのある映像を第2拠点Bへ提供できるようになる。第2カメラレンズ11
A2も、第4梁部材53dや第2表示装置14
A2が映り込まないように調節する。
【0093】
更に、撮像装置10
Aが、少なくとも第1拠点Aの床面F
Aの一部を含む所定空間を撮像して映像を出力できるように、カメラレンズ11
Aの画角が調整される。例えば、
図810(b)に示すように、第1カメラレンズ11
A1、第2カメラレンズ11
A2は、内部空間S
Aにおける床面F
Aの一部(
図8(b)のP点を参照)が映り込むように画角を調整する。特に、内部空間S
Aのうち、第3梁部材53c又は第4梁部材53d近傍に立つ被写体の足及びその周囲の床面F
Aが撮像できるように、第1カメラレンズ11
A1、第2カメラレンズ11
A2の画角を調整する。第3梁部材53c又は第4梁部材53d近傍に立つ被写体の足及びその周囲の床面F
Aが撮像されることによって、空間の連続性が生まれて臨場感・リアリティのある映像を提供することができる。同様に、撮像装置10
Aが、少なくとも第1拠点Aの天井C
Aの一部を含む所定空間を撮像して映像を出力できるように、カメラレンズ11
Aの画角が調整される。
【0094】
なお、第1カメラレンズ11
A1、第2カメラレンズ11
A2は、第1カメラレンズ11
A1の光軸LA
1及び第2カメラレンズ11
A2の光軸LA
2がそれぞれ水平になるように配置する場合を説明したが、第3梁部材53cや第1表示装置14
A1、第4梁部材53dや第2表示装置14
A2が映り込まず(
図10(a)参照)、かつ、内部空間S
Aにおける床面F
Aの一部(
図10(b)のP点を参照)が映り込むように、第1カメラレンズ11
A1の光軸LA
1及び第2カメラレンズ11
A2の光軸LA
2がそれぞれ下向きになるようにして配置してもよい。
【0095】
集音装置12
Aの配置場所は特に限定されないが、主としてフレーム50の内部空間S
Aにおける音を集音することができる位置に適宜配置すればよい。
【0096】
音声装置16
Aの配置場所は特に限定されないが、第2拠点において集音された音(V
B)をフレーム50の内部空間S
Aにおいて前記音を明瞭に聞き取ることができる位置に適宜配置すればよい。
【0097】
図11に示す送信部21
Aや受信部23
Aの配置場所は特に限定されるものではなく、上記各装置と接続されていればよい。
【0098】
以上のようにして、第1拠点Aにおいてコミュニケーションシステム1
Aが組み立てられる。同様にして、第2拠点Bにおいてもコミュニケーションシステム1
Bを組み立てればよい。第1拠点Aにおいて組み立てたコミュニケーションシステム1
Aを
図14(a)に示すように、第1拠点Aの右下角部の床面F
A上に設定された動線T
Aに沿って設置すると、そのコミュニケーションシステム1
Aには、恰も点線で示すように第2拠点Bの空間が広がるような映像が表示されることになる。同様に、
図14(b)に示すように、第2拠点Bにおいて組み立てたコミュニケーションシステム1
Bを、第2拠点Bの右上角部の床面F
B上に設定された動線T
Bに沿って設置すると、そのコミュニケーションシステム1
Bには、恰も点線で示すように第1拠点Aの空間が広がるような映像が表示されることになる。
また、第1拠点Aにおいて組み立てたコミュニケーションシステム1
Aを
図15(a)に示すように、第1拠点Aの中央部の床面F
A上に設定された動線T
Aに沿って設置すると、そのコミュニケーションシステム1
Aには、恰も点線で示すように第2拠点Bの空間が広がるような映像が表示されることになる。同様に、
図15(b)に示すように、第2拠点Bにおいて組み立てたコミュニケーションシステム1
Bを、第2拠点Bの中央部の床面F
B上に設定された動線T
Bに沿って設置すると、そのコミュニケーションシステム1
Bには、恰も点線で示すように第1拠点Aの空間が広がるような映像が表示されることになる。
【0099】
[コミュニケーションシステムの動作及び処理]
図1及び
図12に示すように、第2拠点Bに配置するためのコミュニケーションシステム1
Bは、上述したコミュニケーションシステム1
Aと同様にして、撮像装置10
B(10
B1、10
B2)と、集音装置12
Bと、表示装置14
B(14
B1、14
B2)と、映像表示部15
B(15
B1、15
B2)と、音声装置16
Bと、送信部21
Bと、受信部23
Bと、フレーム50と、によって構成する。コミュニケーションシステム1は、第1拠点Aにコミュニケーションシステム1
Aを配置し、第2拠点Bにコミュニケーションシステム1
Bを配置することにより、第1拠点Aと第2拠点Bとの間(主として遠隔地のオフィス、工場など)のコミュニケーションを行うことができる。以下、コミュニケーションシステム1について、
図11及び
図12を参照して説明する。
図12は、
図4に示すコミュニケーションシステム1
A、1
Bにおけるデータの流れを示す図であり、(a)は第1拠点Aから第2拠点Bへのデータ送受信を示す図、(b)は第2拠点Bから第1拠点Aへのデータ送受信を示す図である。
【0100】
図11及び
図12に示すように、第1拠点Aにはコミュニケーションシステム1
Aが、第2拠点Bにはコミュニケーションシステム1
Bがそれぞれ配置され、各装置を図示せぬ操作手段によって起動させることによって、コミュニケーションシステム1
Aの送信部21
A及び受信部23
A、並びに、コミュニケーションシステム1
Bの送信部21
B及び受信部23
Bが通信ネットワーク20を介して接続される。また、第1拠点Aの撮像装置10
A(10
A1、10
A2)及び集音装置12
Aが第1拠点Aの所定空間において撮像及び集音を開始し、逐次出力される映像(D
A1、D
A2)及び音(V
A)が送信部21
Aによって通信ネットワーク20へ送出される。第2拠点Bの受信部23
Bが第1拠点Aで撮像・集音された映像(D
A1、D
A2)及び音(V
A)を受信し、リアルタイムに、第2拠点Bの表示装置14
B(14
B1、14
B2)がその映像(D
A1、D
A2)を映像表示部15
B(15
B1、15
B2)に映写し、音声装置16
Bが音(V
A)を発する。更に、第2拠点Bの撮像装置10
B(10
B1、10
B2)及び集音装置12
Bが第2拠点Bの所定空間において撮像及び集音を開始し、逐次出力される映像(D
B1、D
B2)及び音(V
B)が送信部21
Bによって通信ネットワーク20へ送出される。第1拠点Aの受信部23
Aが第2拠点Bで撮像・集音された映像(D
B1、D
B2)及び音(V
B)を受信し、リアルタイムに、第1拠点Aの表示装置14
A(14
A1、14
A2)がその映像(D
B1、D
B2)を映像表示部15
A(15
A1、15
A2)に映写し、音声装置16
Aが音(V
B)を発する。
【0101】
ここで、第1拠点Aの第1映像表示部15
A1、第2映像表示部15
A2に第2拠点Bの映像D
B1、D
B2を映写するに際して、第1表示装置14
A1及び第2表示装置14
A2において行われる映像処理について説明する。
【0102】
第1拠点Aに配置されるコミュニケーションシステム1
Aは、第2拠点Bに配置されたコミュニケーションシステム1
Bの第1撮像手段10
B1及び第2撮像手段10
B2が撮像した第2拠点Bの映像D
B1、D
B2を、第1映像表示部15
A1と第2映像表示部15
A2とからなる横長の映像表示部15
Aに対して、恰も一連の横長の映像のごとく映写するものである。そこで、第1拠点Aの映像表示部14
Aは、受信部23
Aで受信した映像D
B1、D
B2を恰も一連の横長の映像のごとく映写するための映像処理を実行する。
【0103】
第2拠点Bにおける第1撮像手段10
B1の第1カメラレンズ11
B1の画角と第2撮像手段10
B2の第1カメラレンズ11
B2の画角とが一部重複している場合には撮像範囲が一部重複してしまい、その結果、第1撮像手段10
B1が撮像した映像D
B1及び第2撮像手段10
B2が撮像した映像D
B2は、同一の撮像対象が映り込んでしまう(
図10(a)参照)。そこで、表示装置14
Aは、映像D
B1、D
B2のうち、重複した映像部分をカットする第1映像処理を実行する。例えば、第1カメラレンズ11
B1の撮像方向(
図10(a)におけるLA
1に相当)と、第2カメラレンズ11
B2の撮像方向(
図10(a)におけるLA
2に相当)と、の中間(
図10(a)におけるLに相当)を境界として、第1表示装置14
A1では映像D
B1から映像D
B2との重複部分をカットし、第2表示装置14
A2では映像D
B2から映像D
B1との重複部分をカットするようにすればよい。
【0104】
また、第1表示装置14
A1は、第1映像表示部15
A1の中心よりも上側の位置から映像D
B1を映写することになるため、第1映像表示部15
A1に映し出される映像は台形に歪んでしまう。この歪みを解消するために、第1映像表示部15
A1の表示面に沿って映像を四角く見せるための台形歪み補正(keystone補正)をする第2映像処理を実行する。
【0105】
映像表示部15
Aの下端側には、撮像装置10
Bにより撮像された第2拠点Bの映像のうち、第2拠点Bの床面F
Bの映像が表示される。これにより、映像表示部15
Aの下端が床面F
Aに対して近接又は当接していることと相まって、実際の第1拠点Aの床面F
Aと映像表示部15
Aに表示される映像としての第2拠点Bの床面F
Bとが恰も連続しており、現実に視覚者がいる第1拠点Aの空間と映像表示されている第2拠点Bの空間とが連続しているかのような演出によって、臨場感とリアリティのある映像を提供することができる。また、映像表示部15
Aには、撮像装置10
Bが撮像した第2拠点Bの映像が、映像表示部15
Aの下端まで表示されることと相まって、映像表示部15
Aの下端側に、映像が表示されない余白部分がなくなり、実際の第1拠点Aの床面F
Aと、映像表示部15
Aに表示される映像としての第2拠点Bの床面F
Bとの連続感を一層向上させることができ、テレビ画面を見ている感覚が払拭された、更なる臨場感とリアリティのある映像を提供することができる。
【0106】
映像表示部15
Aの上端側には、撮像装置10
Bにより撮像された第2拠点Bの映像のうち、第2拠点Bの天井C
Bの映像が表示される。これにより、映像表示部15
Aの上端が天井C
Aに対して近接又は当接していることと相まって、実際の第1拠点Aの天井C
Aと映像表示部15
Aに表示される映像としての第2拠点Bの天井C
Bとが恰も連続しており、現実に視覚者がいる第1拠点Aの空間と映像表示されている第2拠点Bの空間とが連続しているかのような演出によって、臨場感とリアリティのある映像を提供することができる。また、映像表示部15
Aには、撮像装置10
Bが撮像した第2拠点Bの映像が、映像表示部15
Aの上端まで表示されることと相まって、実際の第1拠点Aの天井C
Aと、映像表示部15
Aに表示される映像としての第2拠点Bの天井C
Bとの連続感を一層向上させることができ、床面及び天井の両方で連続しているかのような、テレビ画面を見ている感覚が払拭された、更なる臨場感とリアリティのある映像を提供することができる。
【0107】
更には、映像表示部15
Aには、撮像装置10
Bが撮像した第2拠点Bの映像が、映像表示部15
Aの幅方向両端まで表示されることと相まって、映像表示部15
Aの幅方向両端に、映像が表示されない余白部分がなくなり、実際の第1拠点Aと、映像表示部15
Aに表示される映像としての第2拠点Bとの連続感を一層向上させることができ、テレビ画面を見ているかのような感覚を払拭した、更なる臨場感とリアリティのある映像を提供することができる。
【0108】
第1拠点Aのコミュニケーションシステム1
Aと、第2拠点Bのコミュニケーションシステム1
Bをそれぞれ稼動し続けておくことにより空間の連続性が生まれて臨場感・リアリティのある映像を提供でき、第1拠点Aにいる者と第2拠点Bにいる者との間の円滑なコミュニケーションを常時実現することが可能となる。なお、コミュニケーションシステム1
A及び/又はコミュニケーションシステム1
Bのオン・オフやその接続時間などは利用目的等に応じて適宜設定すればよい。例えば、第1拠点Aとしてのオフィスと、第2拠点Bとしてのオフィスとで利用する場合には、コミュニケーションの活性化及び誘発を促進するために、両オフィスの営業時間の間、常時稼働させるのが好適である。
【0109】
[コミュニケーションシステムの配置場所]
第1拠点Aにおけるコミュニケーションシステム1
Aの配置場所、及び、第2拠点Bにおけるコミュニケーションシステム1
Bの配置場所は、コミュニケーションシステム1の用途に応じて適宜配置すればよい。
【0110】
例えば、第1拠点A及び第2拠点Bがそれぞれ会社のオフィスであって、第1拠点Aにいる社員と第2拠点Bにいる社員との間でのコミュニケーションを図りやすくするために、各オフィスのうち人の往来が多い動線(移動線)に沿ってコミュニケーションシステム1
A及び/又はコミュニケーションシステム1
Bを配置する。このような配置場所を採択することによって、会議のような予定を合わせていなくても、偶然に通り過ぎる者との間でさえも自然にお互いの拠点からコミュニケーションをする(声をかける)ことや、相手方拠点における立ち話を見つけて他拠点からそのコミュニケーションに参加すること等を実現し、コミュニケーションの相手が同じ拠点(すぐ隣、目の前)にいるかのような距離感でのコミュニケーションを実現させることができる。
【0111】
また、例えば、第1拠点A(及び/又は第2拠点B)である屋内空間(部屋)のコーナー部にコミュニケーションシステム1
A(及び/又はコミュニケーションシステム1
B)を配置する。屋内空間(部屋)の角であるコーナー部は、デッドスペースとなり易く、有効利用がされないままに荷物置き場などにされてしまうことも多いが、このような場所にコミュニケーションシステム1
A(及び/又はコミュニケーションシステム1
B)を配置することは、フロアの有効利用の向上を図ることができると共に、比較的大型のコミュニケーションシステム1
A(及び/又はコミュニケーションシステム1
B)を常設する場所としても受け入れられ易い。
【0112】
[変形例1]
上記実施形態のうち、撮像装置10
A(10
A1、10
A2)の撮像方向については、
図13に示すように設定するようにしてもよい。
図13は、
図4に示すコミュニケーションシステム1
Aの変形例における撮像装置10
Aの撮像方向を示す図である。
【0113】
上記実施形態では、第1カメラレンズ11
A1の水平方向への配置位置は、第2映像表示部15
A2が撮像されない様に設定し、第2カメラレンズ11
A2の水平方向への配置位置は、第1映像表示部15
A1が撮像されない様に設定する例を説明した。これに対して、変形例1においては、
図13に示すように、第1カメラレンズ11
A1及び第2カメラレンズ11
A2の水平方向への配置位置は、第1カメラレンズ11
A1の画角の端部と、第2カメラレンズ11
A2の画角の端部とが境界線Lで一致する様に設定する。
【0114】
このような配置によると、第1カメラレンズ11
A1により撮像された映像D
A1には、第2映像表示部15
A2が映り込み、また、第2カメラレンズ11
A2により撮像された映像D
A2には、第1映像表示部15
A1が映り込んでしまい、これらの映像をそのまま第2拠点Bで映写すると臨場感・リアリティが欠けてしまう。そこで、第2拠点Bの表示装置14
Bにおいて、映像D
A1、D
A2のうち、第1拠点Aにおける映像表示部15
Aが映り込んでいる部分をカットする映像処理を実行するのが好ましい。
【0115】
より具体的には、第2拠点Bの第1表示装置14
B1は、映像D
A1のうち第1拠点Aの第1映像表示部15
A1が映り込んでいる部分をカットする映像処理をして第1映像表示部15
B1に映写し、第2表示装置14
B2は、映像D
A2のうち第1拠点Aの第2映像表示部15
A2が映り込んでいる部分をカットする映像処理を実行して第2映像表示部15
B2に映写するようにする。このような映像処理を実行することによって、第1拠点Aにおける第1映像表示部15
A1及び第2映像表示部15
A2が、第2拠点Bで映写される映像に映り込まなくなり、臨場感・リアリティのある映像を第2拠点Bへ提供できるようになる。映像D
B1、D
B2についても同様に、第1表示装置14
A1及び第2表示装置14
A2において映像処理を実行することで、第2拠点Bにおける第1映像表示部15
B1及び第2映像表示部15
B2が、第1拠点Aで映写される映像に映り込まなくなり、臨場感・リアリティのある映像を第2拠点Bへ提供できるようになる。
【0116】
[変形例2]
第1カメラレンズ11
A1及び第2カメラレンズ11
A2の画角に関しては、上記実施形態において説明したように、第1カメラレンズ11
A1は、第3梁部材53cや第1表示装置14
A1が映り込まない画角とし、第2カメラレンズ11
A2も第4梁部材53dや第2表示装置14
A2が映り込まない画角とするとともに(
図10(a)参照)、上記変形例1において説明したように、第1カメラレンズ11
A1の画角の端部と、第2カメラレンズ11
A2の画角の端部とが境界線L(
図13参照)で一致する画角としてもよい。これによれば、第2拠点Bの第1表示装置14
B1では、映像D
A1の所定部分をカットする映像処理を実行する必要がなくなり、同様に、第2拠点Bの第2表示装置14
B2では、映像D
A2の所定部分をカットする映像処理を実行する必要がなくなり、映像処理の簡単化を図ることができる点で好ましい。
【0117】
[変形例3]
上記実施形態においては、
図4に示すように、フレーム50は、平面視、正方形である軸組構造の例を説明したが、コミュニケーションシステム1の配置場所、用途等に応じて、支柱52、梁部材53及び映像部(表示装置14
A及び映像表示部15)の形状、個数、配置を適宜変更してもよく、以下、
図16を参照してその変形例を説明する。
図16は、
図4に示すコミュニケーションシステム1の軸組構造の変形例を示す平面から見た模式図である。
【0118】
図16(a)に示すように、4本の第1梁部材53a乃至第4梁部材53dを、平面視、菱形に組み立てた軸組構造としてもよい。上述した実施形態のように、映像表示部15
A1、15
A2のなす角度αが90度でなくても、映像表示部15
Aに表示される映像を視覚する視覚者の視野角を覆うように、映像表示部15
Aを構成すれば、映像表示部15
Aに表示される映像に対して没入感を得ることができるからである。
【0119】
図16(b)に示すように、第1梁部材53a乃至第4梁部材53dのうち、第3梁部材53cと第4梁部材53dとが直線をなすように組み立て、4本の第1梁部材53a乃至第4梁部材53dを、平面視、三角形状に組み立てた軸組構造としてもよい。第1表示装置14
A1を第3梁部材53cに、第2表示装置14
A2を第4梁部材53dに設置するようにするか、又は、映像部(映像表示部15
A1、15
A2)としてデジタル型ディスプレイを用いた場合にはプロジェクター(表示装置14
A1、14
A2)を第3梁部材53c及び第4梁部材53dに設けなくてもよい。これにより、コミュニケーションシステム1の配置面積を縮小することができる。
【0120】
図16(c)に示すように、第4支柱52d及び第4梁部材53dを省略し、3本の第1支柱52a〜第3支柱52c、及び、3本の第1梁部材53a乃至第3梁部材53cを用いて、平面視、三角形状に組み立てた軸組構造としてもよい。この場合、第1表示装置14
A1及び第2表示装置14
A2をともに第3梁部材53cに設置するようにするか、又は、映像部(映像表示部15
A1、15
A2)としてデジタル型ディスプレイを用いた場合にはプロジェクター(表示装置14
A1、14
A2)を第3梁部材53c及び第4梁部材53dに設けなくてもよい。このように構成すれば、第4支柱52d及び第4梁部材53dが不要になり、コミュニケーションシステム1の配置面積の縮小化と同時に、部品点数を抑えてコストの低減を図ることもできる。
【0121】
図16(d)に示すように、第1梁部材53a及び第2梁部材53bとして曲線部材を用いて、平面視、扇形状に組み立てられた軸組構造としてもよい。映像表示部15
A(15
A1、15
A2)が曲面で構成され、映像表示部15
A(15
A1、15
A2)が、映像表示部15
Aに表示される映像を視覚する視覚者の左右の視野角を覆うように配置されていることにより、視覚者は没入感を得ることができる。
【0122】
図16(e)に示すように、6本の支柱52及び6本の梁部材53を用いて、平面視、六角形状に組み立てられた軸組構造としてもよい。平面視、六角形状のフレーム50(角度α:一例としては120度)を形成し、3台の表示装置14
A(14
A1、14
A2、14
A3)から映写される映像を、3面の映像表示部15
A(15
A1、15
A2、15
A3)に表示するように構成してもよい。連接した3面の映像表示部15
Aを設けることで、映像表示部15
Aに表示される映像を視覚する視覚者の左右の視野角をさらに覆うことができるので、視覚者は広範囲の映像に対して没入感を得ることができる。平面視、六角形状のフレーム50を説明したが、平面視、五角形状その他の多角形状のフレームを形成してもよい。
【0123】
また、
図16(f)に示すように、上述の実施形態において説明したフレーム50を用いて、オフィス等の第1拠点Aの壁面W
Aの一部を映像表示部15
A1とし、表示装置14
Bが直接壁面W
Aに映像を映写する例である。映像表示部15
A2が構成される面状部材を壁面W
Aと隣接して設置することで、上述の実施形態のコミュニケーションシステム1(1
A、1
B)と同様の臨場感・リアリティ・没入感のある映像を提供できると同時に、部品点数を抑えてコストの低減を図ることもできる。
【0124】
[その他の変形例]
上記の実施形態においては、第1拠点Aに配置されるコミュニケーションシステム1
Aと第2拠点Bに配置されるコミュニケーションシステム1
Bとが同一構成の場合を説明したが、コミュニケーションシステム1
Aを配置する第1拠点Aの環境と、コミュニケーションシステム1
Bを配置する第2拠点Bの環境とが異なることもあるため、配置場所や用途等の条件によってコミュニケーションシステム1
Aとコミュニケーションシステム1
Bとを異なる構成としてもよい。
例えば、第1拠点Aに配置されるコミュニケーションシステム1
Aにおいては、表示装置14
A(14
A1、14
A2)が映像表示部15
A(15
A1、15
A2)に対して、第2拠点Bに配置された撮像装置10
B(10
B1、10
B2)が撮像した映像を映写し、第2拠点Bに配置された集音装置12
Bが集音した音を音声装置16
Aが発することが可能な構成であれば、第2拠点Bの内部空間S
Bの臨場感をリアルタイムに体験することができる。したがって、コミュニケーションシステム1
Bは、少なくとも第2拠点Bの内部空間S
Bの映像、音を送信可能な構成(撮像装置10
B(撮像装置10
B1、10
B2)及び集音装置12
B)を有していればよい。
また、カメラレンズ11
A1、11
A2とカメラレンズ11
B1、11
B2とで画角の異なるカメラレンズを使用してもよいし、映像表示部15
A(15
A1、15
A2)と映像表示部15
B(15
B1、15
B2)とで大きさが異なる構成を採用したり、第1映像表示部15
A1及び第2映像表示部15
A2がなす角度α(
図4(a)参照)と、第1映像表示部15
B1及び第2映像表示部15
B2がなす角度(図示せず)とで異なる構成を採用してもよく、コミュニケーションシステム1
Aの第1支柱52a〜第4支柱52dと、コミュニケーションシステム1
Bの第1支柱52a〜第4支柱52dとで異なる長さで構成してもよい。
【0125】
本発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。